第31回 公共料金等専門調査会 議事録

日時

2017年3月23日(木)12:58から16:08

場所

中央合同庁舎第4号館11階共用第1特別会議室(東京都千代田区霞が関3-1-1)

出席者

【委員】
井手座長代理、古賀委員、白山委員、陶山委員、矢野委員
【消費者委員会担当委員】
蟹瀬委員、長田委員
【説明者】
池辺 和弘 九州電力株式会社執行役員経営企画本部副本部長
成清 好寛 九州電力株式会社経営企画本部原価企画グループ長
小林 功 四国電力株式会社常務執行役員経営企画部長
山崎 正憲 四国電力株式会社総合企画室調査役(正しくは「立つ崎」)
千釜 章 東北電力株式会社執行役員企画部長
下井田 秀喜 東北電力株式会社企画部副部長
佐合 達矢 電力・ガス取引監視等委員会事務局取引監視課長
野沢 直樹 電力・ガス取引監視等委員会事務局統括管理官
【事務局】
消費者委員会 黒木事務局長、福島審議官、丸山参事官
消費者庁 福岡審議官、澤井消費者調査課長

議事次第

  1. 開会
  2. 九州電力、四国電力、東北電力の原価算定期間終了後の事後評価に関するヒアリング
  3. 電力・ガス小売自由化の現状に関するヒアリング
  4. 閉会

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

≪1.開会≫

○丸山参事官 それでは、定刻より若干早目ですけれども、会議のほうを始めさせていただきたいと思います。

本日は、皆様、お忙しい中お集まりいただき、ありがとうございます。

ただいまから「消費者委員会第31回公共料金等専門調査会」を開催いたします。

本日は、古城座長が所用のため御欠席となっております。また、松村委員、山内委員も御欠席、長田委員は遅れて参ると伺っております。

まず、議事に入ります前に、配付資料の確認をさせていただきます。

お手元の議事次第下部のほうに資料一覧を記載しております。資料1から資料5ということになっております。もしお手元の資料に不足がございましたら、事務局までお申し出ください。

なお、本日の会議につきましては公開で行います。議事録についても後日公開することといたします。

それでは、井手座長代理、以後の議事進行をよろしくお願いいたします。


≪2.九州電力、四国電力、東北電力の原価算定期間終了後の事後評価に関するヒアリング≫

○井手座長代理 それでは、早速、議事に入らせていただきます。

本日の議題は「九州電力、四国電力、東北電力の原価算定期間終了後の事後評価に関するヒアリング」でございます。

本調査会においては、北海道電力、東北電力、関西電力、四国電力、九州電力、この5社の料金値上げ後の事後評価について、消費者庁から消費者委員会に意見を求めるということがありました。それを受けて、本日ヒアリングを行いたいと思います。

前回、関西電力、北海道電力、この2社についてヒアリングを行いましたけれども、今回、九州電力、四国電力、東北電力、この3社について事後評価についてヒアリングを行います。その後、電力・ガス取引監視等委員会の事務局から、この3社に対する事後評価について説明を伺いたいと考えております。

まず各社から御説明をいただき、電力・ガス取引監視等委員会から説明をいただいた後、一括して御質問を受けたいと思います。

まず初めに九州電力から御説明をお願いしたいと思います。大体15分程度でお願いしたいと思います。九州電力におかれましては、池辺和弘経営企画本部副本部長、成清好寛経営企画本部原価企画グループ長に御出席いただいております。

よろしくお願いいたします。

○九州電力株式会社池辺執行役員経営企画本部副本部長 九州電力の池辺でございます。よろしくお願いいたします。

それでは、資料に基づき御説明いたします。

1ページ、平成25年度の料金改定の概要について御説明いたします。

九州電力は平成24年11月に原価算定期間を平成25年度から27年度の3カ年とする平均8.51%の規制部門料金の値上げを申請させていただきました。その後、電気料金審査専門委員会及び公聴会、消費者庁でのチェックポイントに基づく検証等を経まして、規制部門で平均6.23%の値上げを認可いただき、平成25年5月1日から実施させていただいております。

主な前提諸元は、スライドの左に記載のとおりでございますが、原子力利用率につきましては、川内1号機、2号機は平成25年7月から、玄海3号機、4号機は同年12月から順次稼働がなされるものと仮定して申請しております。

スライド中央には、原価の内訳を記載しております。また、経営効率化については、下のほうに査定額307億円を含めて1,437億円を織り込んでおります。

2ページ、原価算定期間3カ年における収支実積について御説明いたします。平成25年度から27年度の電気事業損益は3カ年平均で規制部門が10億円の黒字、自由化部門が590億円の赤字となりました。原子力発電所の再稼働遅延により、燃料費等の需給関係費が大幅に増加する中、料金値上げ時に織り込んだ経営効率化に加え、一時的な工事の繰延べなど、短期限定のコスト削減にも取り組んだことから、規制部門においては赤字を回避することができました。

一方、自由化部門においては、需給関係費の負担増が規制部門に比べて収支に大きく影響したことなどより大幅な赤字となり、規制部門、自由化部門合計でも赤字となっております。

3ページ、規制部門と自由化部門の利益率の乖離要因について御説明いたします。電気事業利益率につきましては、規制部門は0.1%、自由化部門はマイナス8.2%と乖離が生じておりますが、この要因は、自由化部門は規制部門に比べ、販売電力量の減少が大きいことに加え、電気料金のうち可変費の占める割合が高いため、原子力発電所の再稼働遅延に伴う燃料費等の需給関係負担の増加などが相対的に大きく影響する一方、規制部門は自由化部門に比べ、電気料金のうち固定費の占める割合が高いため、修繕費などのコスト削減が相対的に大きく影響したことなどによるものでございます。これらの要因を補正しますと、規制部門は2.0%、自由化部門は1.6%と、利益率の乖離は大きく縮小いたします。

4ページ、先ほど御説明いたしました利益率の乖離補正のイメージ、5ページ、年度ごとの収支実積でございます。御説明は省略させていただきたいと思います。

6ページ、前提諸元等の料金原価・実積比較について御説明いたします。前提諸元につきましては、料金値上げ時の想定と比較して、販売電力量は36億キロワットアワー減少、原油価格は1バレル当たり23ドル下落、為替レートは1ドル当たり31円の円安となりました。原子力利用率につきましては、料金原価上、4機が平成25年度中に順次再稼働するものとして55%と想定しておりましたが、実際には川内1号機、2号機の再稼働時期が平成27年度まで遅れ、玄海3号機、4号機は現在も停止していることから、実積は6%と想定を大幅に下回りました。

発電電力量で申し上げますと、原子力は原価上は252億キロワットアワーを期待しておりましたが、実積は29億キロワットアワーと、224億キロワットアワーの減少となっており、火力発電の焚き増し等により対応いたしました。

経営効率化につきましては、後ほど詳しく御説明いたしますが、一時的な工事の繰延べなど、短期限定の取組を含むコスト削減を徹底しまして、1,479億円の深掘りを行いました。

7ページ、料金値上げ時の想定から収支変動要因について御説明いたします。主な収支変動要因としては、右側に記載しておりますけれども、マル1マル3マル4の燃料価格の変動によるもの、マル2マル5の販売電力量の減少によるもの、マル6の原子力発電所の再稼働遅延、マル7のコスト削減となっております。

マル7の短期限定の取組を含むコスト削減については、計画を1,480億円上回る効率化の深掘りに努めましたが、マル6の原子力発電所の再稼働遅延による需給関係費の増加が1,860億円と大きく、マル1からマル8までの合計では、マイナス580億円と大幅な赤字になっております。

8ページ、料金原価・実積比較の各項目の内訳について御説明いたします。修繕費や減価償却費などにつきましては、繰延べを含む徹底したコスト削減に取り組んだことなどにより、実積費用が料金値上げ時の想定原価と比べて減少いたしました。一方、燃料費及び購入電力料につきましては、原子力発電所の再稼働遅延に伴う火力の焚き増し、人件費につきましては、人員数の差、給料手当の差などにより実積が原価を上回りました。

9ページ、その他経費の内訳についてでございます。その他経費につきましては、託送料、諸費等が増加しましたが、委託費等の徹底したコスト削減に取り組んだことにより、合計では242億円減少いたしました。

10ページ、実積が料金原価を上回った人件費について御説明いたします。人件費につきましては、年収水準や退職給付水準の引下げなどに努めましたが、出向者等の原価織り込みと実積の人員数の差ですとか、時間外手当の増加などにより、109億円増加しております。

11ページ、人的経費削減の取組についてでございます。年収水準の削減に加え、退職金・年金制度や福利厚生の見直しなど、人件費全体での費用抑制に努めてまいりました。具体的な取組内容は記載のとおりでございます。

12ページ、燃料費及び購入電力料について御説明いたします。燃料費、購入電力料につきましては、原子力発電所の再稼働遅延などにより大幅に増加しております。

13ページ、燃料費及び購入電力料の効率化の取組についてでございます。燃料の調達面や需給運用面、電力取引面において効率化を徹底し、可能な限り費用の抑制に努めてまいりました。具体的な取組は記載のとおりでございます。

14ページ、これはメリットオーダーの実積でございます。原子力発電所の再稼働遅延による火力発電の焚き増しはありましたが、発電単価の安い順に高稼働とするメリットオーダーの考えに基づき需給運用を行うことで、石油系火力の抑制に努めてまいりました。

15ページ、販売電力量当たり単価の料金原価・実積の比較について御説明いたします。それぞれの費用を販売電力量で割りました販売電力量当たりの原価と実積費用を比較いたしますと、実積が原価をキロワットアワー当たり2.18円上回っております。これは修繕工事の一時的な繰延べなど短期限定の取組を含むコスト削減を徹底したことなどによって設備費等はキロワットアワー当たり0.73円減少しましたが、原子力発電所の再稼働遅延に伴う火力発電の焚き増し等により燃料費等がキロワットアワー当たり2.91円と大幅に増加したことによるものでございます。

16ページ、経営効率化について御説明いたします。当社は、料金値上げ時に1,437億円の効率化目標額を設定いたしまして原価に織り込みましたが、実施段階での効率化などにより1,491億円と計画を55億円上回る効率化を達成いたしました。さらに、原子力発電所の再稼働遅延などによる収支悪化影響を緩和するため、一時的な工事の繰延べや業務の中止などにより1,424億円の短期限定のコスト削減を行いました。ただ、この短期限定のコスト削減額には、原子力発電所の再稼働が遅延したことに伴って、例えば原子力の定検がなかっただとか、そういう原子力・火力の点検修繕費の減などが817億円含まれておりますので、この817億を引くと、この影響を除いた繰延べ等による削減額は1,424億から817億を引いて607億円ということになります。

17ページ、経営効率化の具体的な取組について御説明いたします。メーカーの出身の方やコンサルタントの方など、社外の専門家を委員にお迎えして、調達改革推進委員会を設置するなど、外部の御意見、御助言などを活用して、調達機能の強化に取り組んでおります。

18ページ及び19ページでは、効率化事例として、18ページにガスタービン高温部品の交換周期の延伸、19ページに流通設備の点検周期の延伸を御紹介しております。詳細な説明は割愛させていただきます。

20ページ、21ページでは、繰延べ事例として、火力発電設備の法定点検の一時的な繰延べ、送電鉄塔の防錆塗装の一時的な繰延べを御紹介しております。こちらも詳細な説明は割愛させていただきます。

22ページ、リスクマップの活用について御説明いたします。修繕工事等の計画策定に当たりましては、リスクマップ等を用いることにより、設備の劣化状況や不具合発生時の影響度の観点から優先順位を評価しております。

また、個々の設備実態・運用を踏まえ、緊急避難的に繰り延べた工事についても、次年度計画策定時にリスクマップ等を用いて優先順位を再評価しております。

23ページ、電気料金の評価についてでございます。料金値上げ時の前提とした原価算定期間においては、既に申し上げたとおり、原子力発電所の再稼働遅延に伴う燃料費等の需給関係費の増加などがありましたが、一時的な工事の繰延べなど、短期限定のコスト削減を含む効率化に徹底して取り組んだことなどにより、規制部門については何とか黒字を確保いたしました。一方、自由化部門及び規制部門、自由化部門合計では大幅な赤字となりました。

平成28年度については、玄海原子力発電所、3号機、4号機の再稼働遅延や燃料費調整制度に伴う一時的な収支改善効果、いわゆる燃料費調整の期ずれなどの大幅な減少がございましたが、引き続き安全確保、法令遵守、安定供給を前提に徹底した経営効率化に努めてまいります。

電気料金については、現行料金の前提である玄海原子力発電所3号機、4号機の再稼働遅延や販売電力量の大幅な減少、原子力安全対策に係る費用の増加、さらには、東日本大震災以降の財務基盤の著しい毀損など、厳しい経営環境が続いておりますが、引き続き、経営効率化に徹底して取り組み、現行水準の維持に努めてまいりたいと考えております。

24ページ、部門別収支のホームページ公表箇所を記載しております。

25ページ及び26ページは、先日の料金審査専門会合での御質問への回答として説明させていただいたものでございます。25ページには規制部門の28年度の収支見通しを記載しております。26ページは、先ほど15ページで説明いたしました販売電力量当たり単価の原価・実積比較のうち、修繕費と購入電力料の内訳について記載しております。

私からの説明は以上でございます。

○井手座長代理 ありがとうございました。

それでは、引き続き四国電力からの御説明をお願いしたいと思います。同じく15分程度でお願いしたいと思います。

四国電力からは、小林功経営企画部長、山崎正憲総合企画室調査役に御出席いただいております。よろしくお願いいたします。

○四国電力株式会社小林常務執行役員経営企画部長 四国電力の小林でございます。本日はどうぞよろしくお願いいたします。

それでは、お手元の資料に沿って御説明させていただきます。

2ページ、当社は、平成25年2月に平均10.94%の規制部門料金の値上げ認可申請を行いました。その後の審査プロセスを経て、同年8月に規制部門で平均7.8%の値上げ認可をいただき、同年9月1日より実施しております。認可原価の詳細につきましては記載のとおりですので、説明は割愛させていただきます。

3ページ、ここでは、原価算定期間3カ年における規制部門、自由化部門別の収支実積を記載しております。電気事業利益につきましては3カ年平均で規制部門は52億円の黒字、利益率では2.1%、自由化部門は10億円の赤字、利益率ではマイナス0.4%、規制部門と自由化部門の合計では41億円の黒字、利益率では0.8%となりました。

4ページ、先ほどの規制部門と自由化部門の利益率の乖離要因について主な要因を説明しております。自由化部門は規制部門に比べ、電気料金のうち可変費の占める割合が高いため、原価に織り込んでいた伊方3号機の再稼働ができなかったことによる需給関連費の増加影響が相対的に大きくあらわれた一方で、効率化によるコスト削減影響は小さくあらわれたことによるものであります。

これらの要因に加え、燃料費調整制度のタイムラグ影響を補正することにより、規制部門の利益率は2.1%、自由化部門が1.7%となり、そのかわり乖離は大きく縮小することになります。

5ページ、ここでは4ページと同様の内容をイメージ図にしておりますが、重複しますので、説明は割愛させていただきます。

6ページ、ここでは先ほどの部門別収支実積について、参考までに年度ごとの実積をお示ししております。各年度の表の上に※印がありますが、これは燃料費調整のタイムラグ影響を記載しております。これを毎年の電気事業損益から差し引きますと、例えば平成27年度は87億円引く125億円で、マイナス38億円と、実態としては、厳しい収支状況となっているのが御確認いただけるかと思います。

7ページ、ここからは料金原価と実積の比較について御説明いたします。前提諸元につきましては、料金改定時の前提と比較しますと、販売電力量は節電や産業用の生産水準低下によりマイナス11キロワットアワー、率にして4.1%の減少、為替レートは大幅な円安、一方、原油価格は大幅に下落、原子力利用率は伊方3号機の再稼働を織り込んでいましたが、原価算定期間を通じて非稼働となっております。

次に、その下の需給バランスにつきましては、販売電力量の減少に伴い、全体の発受電電力量は15億キロワットアワー減少しましたが、他方で原子力の発電量が大幅に減少したことから、自社火力及び他社からの購入電力量などが増加しております。

こうした状況の中、経営全般にわたる徹底的な効率化に取り組み、最下段の経営効率化額は、料金改定申請時に計画した目標額に査定額を加えた412億円を上回る437億円を達成してございます。

8ページ、ここでは原価と実積の主な乖離要点について御説明しております。まず、燃料価格の低下による影響については、収入側ではマル1になりますが、75億円の増収、一方、費用側では、マル3とマル4を合わせて50億円の費用減となり、これらを合計しますと、125億円利益を押し上げたことになります。

次に販売電力量の減少による影響といたしましては、収入側はマル2の160億円の減収、一方、費用側はマル5の110億円の費用減となり、これらを合わせますと、50億円利益を押し下げたことになります。

続いて、原子力発電所の停止等による影響については、マル6の270億円、利益を押し下げております。

最後にコスト削減等による影響といたしましては、マル7とマル8を合わせて155億円となり、その他の要因も含めて、合計では電気事業利益ベースでトータルして41億円の黒字ということになっております。

9ページ、ここでは、各費目ごとの原価と実積の差異を示しております。実積費用については、修繕費を中心に徹底したコスト削減に努めたものの、原子力発電所の停止に伴い、燃料費や購入電力料が大幅に増加したことなどから、料金改定時の原価と比較して、規制部門、自由化部門合計で162億円増加いたしました。網かけをしておりますのが、実積が原価を上回った費目ですが、これらにつきましては、その要因について後ほど御説明させていただきます。

10ページ、ここでは諸経費の原価と実積の差異について、さらに詳しい内訳を記載しております。諸経費につきましては、一部の費目において、原価不算入分の支出等により実積が原価を上回ったものの、全体としては徹底したコスト削減に努めたことにより、一番下の欄で、18億円減少しております。

11ページ、ここからは実積費用が原価を上回った費目について、一つ一つ御説明いたします。まず、人件費につきましては、採用抑制を着実に実施したことに加え、人事制度見直しに伴う転籍拡大など経費対象人員の削減に努め、一番下の参考の欄でございますが、3カ年平均で212人程度減少しましたが、一方で、上の人件費の欄でございますが、出向者人件費の原価不算入分の支出などがあったことから、人件費はトータルでは18億円増加いたしました。

12ページ、燃料費、購入電力料につきましては、原子力発電所停止の影響により、自社火力の焚き増しや他社との相対契約や取引所からの購入が増加したことから、経済性にすぐれる電源の活用に努めたものの、原価と比較して、火力燃料費が116億円、購入電力料が232億円と大幅に増加いたしました。

13ページ、ここでは原価算定期間における当社のメリットオーダー、つまり、火力発電所の運用実績についてお示ししております。図を御覧いただきますと、最も経済性のある石炭火力をベースとして高稼働で運転し、次に経済性のあるLNG火力を活用し、残りを石油火力で賄っていることが見てとれるかと思います。

14ページ、減価償却費につきましては、伊方発電所の安全対策工事の実施に伴い、原子力設備に係る償却費が増加したことから、原価に対してトータルで4億円増加いたしました。

15ページ、参考までに実積が原価を大きく下回っている修繕費につきまして、その減少要因を記載しておりますが、説明は割愛させていただきます。

16ページ、ここでは原価と実積のキロワットアワー当たり単価を比較しております。想定原価と実積費用を販売電力量当たり単価で比較した場合、中段にございます設備費等につきましては、販売電力量の減少を上回るコスト削減を実現したことにより、わずかに0.01円でございますが、減少しております。しかし、原子力発電所の停止に伴う火力発電の焚き増し等により、燃料費等が増加したことから、合計では実積が原価を上回っております。

17ページ、ここからは、経営効率化の達成状況について御説明いたします。コスト削減実積につきましては、徹底したコスト削減に努めたことにより、料金改定申請時に計画した効率化目標額281億円に、料金認可時における査定額131億円を加えた412億円を25億円上回る437億円のコスト削減を達成いたしました。

18ページ、ここでは経営効率化の具体的な取組項目について記載しております。次ページ以降で、主な効率化事例を記載しておりますが、説明は割愛させていただきます。

24ページに飛んでいただけますでしょうか。この間は効率化の事例であります。

24ページ、ここでは緊急避難的な繰延べにおけるリスクマップの活用の考え方について記載しております。緊急避難的な繰延べの実施に当たっては、発生時の社会的影響度及び発生可能性の観点からリスクを評価した上で、収支状況を踏まえて、リスクが小さい順に実施することによりコスト削減を図っております。次ページ以降に緊急避難的な繰延べの主な事例を記載しておりますが、説明は割愛させていただきます。

27ページ、ここは電気料金改定に関する当社の考え方について記載してございます。現行料金の原価算定期間におきましては、先ほど申し上げたとおり、料金原価の前提に織り込んでいた伊方3号機再稼働が実現しなかったことに伴う需給関連費の増加影響等がありましたが、徹底したコスト削減に加えて、燃料価格の低下による一過性の収支改善や3号機再稼働遅延に伴う修繕工事の未実施等の影響により、黒字を確保することができました。

下図を御覧ください。一方、昨年8月に伊方3号機が再稼働し、需給関連費の減少による一定の収支改善効果はありますが、燃料価格の低下等に伴う一過性の収支改善効果がなくなることに加え、節電・離脱等の影響により電力需要が減少していること、また、伊方3号機の安全対策投資に係る減価償却費が増加することなどから、さらなるコスト削減や販売拡大に取り組むものの、収支改善が大きく見込める状況にはないのが実情であります。

料金改定につきましては、こうした先行きの収支見通しに加え、伊方3号機再稼働は現行料金原価の前提に織り込んでいること等を総合的に勘案した上で判断してまいる所存であります。

28ページ、ここからは参考資料となります。28ページは部門別収支等のホームページでの公表箇所を記載しております。説明は省略させていただきます。

29ページ、平成28年度における規制部門の収支見通しについてであります。当社は昨年9月30日に公表しました平成28年度の業績予想を踏まえて、規制部門の収支見通しを算定、公表しておりましたが、2月20日に業績予想を上方修正したことから、これを受けて見直しを行った結果、規制部門の見直しはマイナス15億円程度の損失となる見込みであります。

以上、御説明させていただきました。ありがとうございました。

○井手座長代理 ありがとうございました。

では、最後に東北電力から御説明をお願いしたいと思います。同じく15分程度でお願いしたいと思います。

本日は千釜章企画部長、下井田秀喜企画部副部長に御出席いただいております。

それでは、よろしくお願いいたします。

○東北電力株式会社千釜執行役員企画部長 東北電力の千釜でございます。

本日はこのような御説明の場を設けていただきまして、大変ありがとうございます。できる限り丁寧な御説明をさせていただきますので、忌憚のない御意見、御指導を賜れれば幸いでございます。

1ページ、目次でございます。おおむね九州電力様、四国電力様と同様の構成とさせていただいております。

2ページ、このスライドでは、弊社が平成25年9月より実施させていただいております電気料金の改定の概要について御説明しております。

3ページ、原価算定期間3カ年における収支の実績でございます。リード文の2つ目に記載しておりますが、原価算定期間である平成25年度から平成27年度までの3カ年におきましては、徹底したコスト削減に努めたことなどから、燃料費の増加といった費用増加の要因はございましたものの、規制部門、自由化部門のいずれにおきましても、黒字を達成することができました。

表のマル4電気事業利益率の欄に記載のとおり、規制部門の利益率は6.2%、自由化部門の利益率は5.1%となっております。

4ページ、規制部門と自由化部門の利益率が乖離した要因といたしましては、リード文の1つ目に記載しておりますとおり、自由化部門は規制部門と比較しまして、電気料金に占める可変費の割合が高いことから、原子力停止に伴う燃料費の増加影響などが大きくあらわれた一方で、規制部門は自由化部門と比較して固定費の占める割合が高いため、固定費が中心の緊急的な支出抑制や繰延べなどのコスト削減による影響が相対的に大きくあらわれているものと考えております。

こうした影響を補正いたしますと、表の右側のとおり規制が1.7%、自由化が0.9%ということで、利益率の格差は縮小するものと考えております。

5ページ、今ほどの御説明をグラフでお示ししたものです。説明は省略させていただきます。

6ページ、先ほど4ページで3カ年平均の利益率について御説明いたしましたが、各年度ごとの実績について参考として添付しております。説明は省略させていただきます。

7ページ、原価算定期間における利益率の改善要因である緊急的な支出抑制や繰延べの実施について、その背景として、弊社個別の自己資本比率の推移をお示ししております。平成23年3月11日に発生した東日本大震災や同じく平成23年7月に発生した新潟・福島豪雨による甚大な設備被害、また、原子力発電所の長期停止に伴う火力燃料費の増加などから、収支は著しく悪化し、財務体質は大幅に毀損いたしました。平成24年度末には自己資本比率が10.5%まで低下いたしましたので、電気料金の値上げをお願いするとともに、毀損した財務体質の回復を最優先課題と位置づけ、安全確保と安定供給を大前提とした上で、短期的には支障が生じないと判断した修繕工事や委託費などの経費の支出を一時的に抑制し、後年度への繰延べを実施してまいりました。こうしたコスト削減の取組の成果もあり、毀損した財務体質は回復基調を取り戻して、平成27年度末には自己資本比率が15%程度まで回復しておりますが、いまだ震災前の水準には達していない状況です。

8ページ、料金原価と実績の前提諸元を比較しております。前提諸元と需給バランスの表については説明を省略させていただきまして、一番下の経営効率化の表ですが、電気料金に織り込んだ効率化額1,139億円に対しまして、実績では1,179億円の効率化を達成した結果、効率化額を40億円深掘りしております。また、欄外に記載いたしましたが、このほかに緊急的な繰延べなどを3カ年平均で457億円程度行っております。

9ページ、このスライドでは販売電力量や為替レートといった主な要因が実際の電気事業利益にどのように影響したかをお示ししております。右の網かけのところで要因ごとに影響額をまとめておりますが、個別の説明は省略いたします。それらを合計すると、一番下の利益、850億円程度となります。

10ページ、費目別の原価と実績比較を行っております。表の中で太枠で囲まれた項目、具体的には人件費、燃料費、減価償却費、原子力バックエンド費用において実績が原価を上回っております。全体では修繕費などを中心に徹底した効率化を行いました結果、実績は原価と比較して82億円の減となっております。

11ページ、その他経費の原価と実績の比較の詳細な内訳となりますが、説明については省略させていただきます。

次のスライドからは、実績が原価を上回った項目について個別に説明してまいります。

12ページ、まずは人件費です。リード文に記載のとおり、基準賃金引下げや退職年金制度の見直しなど、効率化を進めてまいりましたが、給与手当水準の差や原価不算入となっている一部の出向者の給与手当を計上したことなどにより、実績が原価を30億円上回る結果となりました。

具体的な人件費の効率化の内容につきましては、次の13ページを御覧ください。基準賃金の引下げについては、平成25年度以降特別管理職はマイナス7%、一般社員はマイナス5%の減額を実施し、現在に至るまで継続しているところでございます。また、退職給付金制度や福利厚生制度の見直しに着手しているほか、採用数を抑制して人員を効率化するなど、人件費の低減に向けた取組を進めております。

14ページ、次に燃料費です。リード文に記載のとおり、原子力発電所が再稼働しなかったことにより、火力発電の焚き増しや為替レートが大幅な円安となったことにより、燃料費が増加したものと考えております。

燃料種別ごとの効率化への取組については、15ページを御覧ください。火力発電については安価な石炭火力や高効率のLNG火力をより多く稼働させることで、割高な石油火力の稼働を抑えるなど、全体として燃料費を抑制すべく取り組んでまいりました。

16ページ、ここでは参考といたしまして、それらの取組のうち、割高な石油火力の稼働を抑えることができた要因について図を用いて御紹介しております。御説明は省略いたします。

17ページ、発電所の燃料種別ごとの平均利用率と平均発電単価をプロット図でお示ししておりますので、御覧ください。

18ページ、減価償却費でございますが、普通償却費の34億円増のほか、特別償却費が106億円発生したことにより、実績が原価を140億円上回る結果となっております。特別償却費は環境負荷の低減や生産性の向上に資する設備の導入を促進する税制上の措置であり、将来的なコスト削減にも寄与するものであります。

19ページ、原子力バックエンド費用についてですが、解体引当金にかかわる会計制度が変更となり、原子力の発電量がない場合でも定額で費用計上する方法になったことにより、33億円の増となったことから、全体では実績が原価を29億円上回っております。

20ページ、これまでに御説明申し上げた費目別の原価と実績の比較について、キロワットアワー当たりの単価で表示したものをお示ししております。表の右端に太枠で囲んでおりますが、設備費等は販売電力量が減少したことから、プラスの6銭、燃料費などの可変費は円安の影響などによりプラスの64銭となりました。その結果、表の右下に記載のとおり、実績の仕上がり単価は原価と比較してプラスの70銭となりました。なお、このうち、修繕費は実績が原価を大きく下回り、単価ではマイナス32銭となっております。

説明は割愛いたしますが、御参考として、この具体的な要因について次の21ページで御説明をしておりますので、御覧いただければと思います。

22ページ、これ以降のスライドでは弊社が取り組んでおります経営の効率化について御説明させていただきます。22ページの組織図では、弊社は調達価格低減や競争発注拡大に向けた各種取組を進めるために、平成25年7月に設置した調達改革委員会の体制図を記載しております。

23ページ、このスライドでは経営効率化のうち弊社が構造的な効率化として取り組んでまいりました内容をマル1で費目別に記載し、その下のマル2で緊急的な繰延べ等の金額を記載しております。一部未達の費目もございますが、会社全体の取組として電気料金に織り込んだ効率化額1,139億円を上回る1,179億円の効率化を達成しております。また、マル2の緊急的な支出抑制・繰延べとして457億円の効率化を実施していますので、コスト削減額の合計としては1,636億円となります。

24ページ、弊社が経営効率化の取組を検討するに当たり活用しているリスクマップの御紹介です。色が濃い部分ほどリスクが大きくなるため、より慎重に実施の判断を行う必要があるといったことを可視化しながら、客観的な評価を行っております。

また、緊急的な繰延べ等については、リスクとその影響度合いを勘案しつつ、供給支障に直結するおそれのある設備の信頼度維持対策を優先的に行う一方、緊急を要しない予防保全的な工事については後年度に繰り延べるなどの見極めを行いながら実施いたしました。しかしながら、高経年化設備を多く抱える中、こうした緊急的な繰延べなどを長期間継続していることは困難であることから、徐々に縮小してまいりました。

一方、繰り延べた費用については、もともと安定供給を維持するために必要な施策に関わる費用として計上していたものであるため、後年度にそれらが発生してくる可能性がございます。それについては、全社的、体系的な形で評価を精査、深掘りし、中長期的に効果が持続する構造的な効率化として定着できるよう検討を進めてまいりたいと考えております。

25ページから27ページまでは、具体的な効率化の事例を御紹介しております。25ページは、当時実用化されていなかった工法を世界で初めて採用することで、高効率LNG火力の早期運転開始を実現できた事例でございます。

26ページ、ここでは部品のリサイクルの拡大を図っている事例と、競争発注を拡大することで調達価格を低減できた事例を紹介しております。

27ページ、仕様の見直しにより価格を低減している例として、海外製の部材の採用や、新素材を採用することで、価格低減を図っている事例を紹介しております。

28ページ及び29ページでは、緊急的な支出の抑制や繰延べとして取り組んだ具体的な事例を記載してございますので、御覧いただければと思います。

30ページ、ここでは事業者としての電気料金の評価をまとめております。現行料金の原価算定期間である平成25年度から平成27年度までの収支実績は、燃料費の増加影響などはございましたが、構造的な効率化の取組に加え、緊急的な支出抑制・繰延べを行ったこと及び燃料費調整制度のタイムラグ影響が一時的に収支改善に寄与したことなどから黒字を確保することができました。これにより、東日本大震災以降大きく毀損した財務体質は回復基調にあると考えておりますが、いまだ震災の前の水準には達していない状況です。また、競争環境が厳しさを増す中で、事業リスクへの対応力をさらに強化する必要があると考えております。したがいまして、今後も中長期的に効果が持続する構造的なコスト低減のさらなる深掘りと安全を最優先に原子力の再稼働に向けてしっかりと取り組みながら、経営基盤の安定化に努めてまいりたいと考えております。

以上のことから、電気料金については、当面は現行の料金を維持してまいりたいと考えております。

これ以降のスライドは御参考となりますが、31ページでは、当社の平成28年度の規制部門収支見通しの公表内容について御紹介しております。

32ページ、これら部門別収支にかかわるホームページ上での公表箇所について御紹介しております。スライドの右側に記載のとおり、弊社のホームページの構成を変えることで、お客様にとりましてアクセスが容易になったのではないかと考えております。また、料金審査専門会合での委員の先生の御指摘も踏まえまして、リンクの表現も「電気料金の原価と実績の比較等」とさせていただきました。今後もいろいろと御意見を頂戴しながら、さらなるサービスの向上に努めてまいりますので、何とぞよろしくお願いいたします。

私からの説明は以上でございます。

○井手座長代理 ありがとうございました。

それでは、事業者のヒアリングに続いて電力・ガス取引監視等委員会事務局から御説明をお願いしたいと思います。

15分程度でお願いします。

○電力・ガス取引監視等委員会事務局佐合取引監視課長 それでは、資料4に従って御説明いたします。

各社の評価は前回関西電力、北海道電力を御説明いたしましたけれども、それと同様に3つの論点、料金原価と実積の相違、規制部門と自由化部門の利益率の乖離、最後に経営効率化の取組ということで、この3つの論点に従って整理をしてございます。

今回のこの資料の最後でございますけれども、事後評価について総括的にまとめた総評というものを出しておりますので、その内容を御説明いたしたいと思います。

それでは、各社の評価でございますけれども、まず東北電力ということで4ページ目を見ていただいて、料金原価と実積費用の比較でございます。赤枠で書いてございますが、人件費、燃料費、減価償却費、原子力バックエンド費用の実積が原価を上回っているという形になっております。

人件費、これは原価に算入していなかった出向者の給与などがありまして、実積が原価を上回っているということであります。

燃料費でございますけれども、東北電力は原子力利用率の影響、これは少ないほうなのですけれども、他社の原発から電力調達をする予定だったのが、それができなくなった影響もあって、全体の販売電力量というか、需要も減ってはいるのですけれども、火力の焚き増しが若干必要になったということで、燃料費が増加しているということでございます。

減価償却費、これも実積が上回っているわけですけれども、燃料費の抑制を図るべく、高効率の新仙台火力の稼働を前倒しで実施したといったことが影響している、また、原価に織り込んでいなかった被災資産などの特別償却費の増分、これが影響しているということでございます。

原子力バックエンド費用でございますけれども、これは前回の関西電力と同様に、原子力の解体引当金の会計制度変更に伴う増加でございまして、もともと料金原価の認可申請のときには、原発の稼働率を低く想定していたという状況ではあるのですけれども、会計制度が、従来は発電電力量に比例して引当金を積むといった仕組みだったのが、支出の平準化を図るということで定額方式に変更されたということでありまして、結果として、定額方式になった分、実積が原価を上回る形になっているということでございます。それぞれの費目について、合理的な理由なく原価を上回っているということはないのではないかと考えた次第でございます。

両部門の利益率の乖離という2つ目のポイントが9ページ目にございます。その乖離について、主な要因を右下の表に記載してございますけれども、原子力停止に伴う火力焚き増しの影響、それから、燃料費調整制度のタイムラグの影響、緊急的な支出抑制という要因、これらがきいてくるということでございまして、これらがなかった場合にはどうなるかということで補正をかけると、先ほど東北電力さんからも御説明がございましたけれども、規制部門で6.2%、自由化部門で5.1%であった利益率、これが1.7%、0.9%と利益率としてはかなり縮小して、双方の差も若干ではございますけれども、縮小する形になっているということであります。

最後、10ページ目、経営効率化の努力でございますけれども、恒常的な取組として料金認可査定のときの計画値を40億円ほど深掘りする対応をしていただいているということで、それに加えて、一時的な支出抑制、緊急的な支出抑制、この表で言うとマル2ということで書いてございますけれども、457億円ほど実施していただいておって、コスト削減に対しても適切に取り組んでおられるということかと考えてございます。

次に、四国電力に移りますけれども、15ページ目でございます。実積が料金原価を上回った費目というと、これも赤で囲ってございますけれども、人件費、燃料費、減価償却費、購入電力料、それで実積が原価を上回っているという状況でございます。

人件費、これは各社とも先ほど申し上げたように同様の傾向ではあるのですけれども、出向者給与など原価にもともと入れ込んでいない部分の人件費があったり、残業代などもあって、原価を上回っている状況でございます。

燃料費、他社購入電力料の増加、これは原発停止に伴うものでございまして、四国電力は稼働率を33.8%と見込んでいたところ、先ほど御説明もありましたが、実積はゼロということでございましたので、こうした需給調整費、燃料費や他社購入電力料の増加は避けがたいのかなと思っております。

償却費の増加でございますけれども、これは原発再稼働ですね。四国電力の場合には昨年9月に再稼働したということだと思いますが、これに向けた安全対策工事の実施がございまして、それに伴う費用増などがあったということでございます。四国電力に関しても、どの費目も合理的な理由なく実積が料金原価を上回ったということは認められないのではないかと考えてございます。

2番目の利益率の比較と乖離要因でございますけれども、19ページ目でございます。規制部門と自由化部門の利益率の比較を整理させていただいておりますけれども、これも右下のほうに要因が書いてございますが、原発停止に伴う火力の焚き増し、燃調の影響、これは相対的に自由化部門にきいてきているというものでございますが、前者の火力の焚き増しは利益を減らす方向に、後者は今回の燃料価格が下がるような局面では利益が増える方向に作用するということでございます。こうしたものと経営効率化に伴うコスト削減ということで、この効果が四国電力の場合には比較的固定比率の高い規制部門の収益増の形であらわれているということで87億円、自由化部門は67億円でございますけれども、こういう影響がございます。これらの要因を差し引いて利益率を補正すると、規制部門が2.1%、自由化部門がマイナス0.4%だったものが2.1%と、1.7%と自由化部門もプラスになるということで、両者の差異も縮小するという形になってございます。

経営効率化努力の取組が次の20ページでございますけれども、恒常的な取組に関して、人件費、設備投資関連費で実積が計画値の査定時の査定の効率化取組も含んだ計画値を下回った形にはなってございます。全体として、査定の数字を下回る結果となっておりますけれども、これに一時的な繰延べ、こういったところで御努力をいただいて、企業全体としては、コスト削減に御努力いただいていることを確認した次第でございます。購入電力料の効率化なども、燃料調達コストの削減、購入電力料の削減は当然そうですけれども、電力自由化の中で卸取引の活性化なども、今、政策的にも進めております。取引所の活用などでもそういった御努力をしていただいているということかと思っております。

最後に九州電力ですけれども、25ページ目に料金原価と実積の比較を記載してございます。赤枠で囲っておりますが、人件費、燃料費、購入電力料、これが原価を上回った費目ということでございます。特に燃料費と購入電力料の需給調整費ですけれども、九電さんは説明もございましたけれども、原子力利用率は55%と想定をしていて実積が6%であったということが非常に大きくきいているのかなと考えております。燃料費、購入電力料の増加はこれに対応したものだと考えております。

28ページ目を見ていただいて、規制部門、自由部門の利益率の状況と乖離の要因でございます。これもまた右下に主な要因が書いてございますけれども、原発停止に伴うコスト増の要因、これが自由化部門に特に大きく影響しているという状況であります。規制部門は770億円のマイナスという効果が出ていますけれども、自由化部門は、それよりも桁が違って1,090億円の影響ということになっております。また、販売電力量も自由化部門で落ち込みが特に大きかった状況でありまして、販売電力量の減少の影響は、今、申し上げた右の下の表の主な乖離要因の上から4つ目、販売電力量の減少の影響ということで、規制部門は60億円のマイナスの影響なのですが、自由化部門は240億の影響が出ているということでありまして、とりわけ自由化部門に需要減のマイナスの影響が大きく出ている状況でございました。

経営効率化のこの中のコスト削減の深掘りの影響でございます。これも九州電力さんの場合は規制部門に固定比率が相対的に高い、そこの部門での効率化努力が多かったということで、規制部門でのプラスに600億、自由化部門ももちろんそういったプラスの効果は出てきますけれども、規制部門に比べると少し少ない490億ということになっております。これらを差っ引いて要因を補正いたしますと、規制部門で0.1%のプラスだったもの、自由化部門でマイナス8.2%だったもの、これがそれぞれ2.0%と1.6%となるということで、差も随分と縮小しているということでございます。

次のページが、効率化努力をまとめたものでございます。恒常的な効率化実積、これが査定時の計画を55億円ほど上回る形で、この表の中で言うと下から3行目の欄に小計がありますけれども、計画時で1,437億円だったものが実積で1,491億円ということで、約55億ほど深掘りする形でコスト削減に御対応いただいたということであります。

さらに、先ほど申し上げたようなことで需要も減少し、原発の稼働率も高く見込んでいて、厳しい経営環境だったということもあろうかと思いますけれども、一時的な繰延べも踏み込んだ形で随分対応していただいているということかと思っております。そこで607億円ということでございますので、トータルで見ると、コスト削減額は右下の数字でございますけれども、深掘り額は662億円ということになってございます。かなり原発停止の影響をなるべく抑制するような形でいろいろな御努力をされたのかと思っております。

以上が各社の評価でございますけれども、その後に総評ということで、今回の料金の事後評価、全体を通じて委員の方々あるいはオブザーバーの方々からいただいた御意見を踏まえまして、我々としての整理を34ページ、35ページに書かせていただいてございます。

最初にこの34ページの上に書いてございますけれども、結論から申し上げると、原発再稼働遅延の影響などを踏まえると、全般的に合理的な理由なく費目がその料金原価を上回る実積となっているものはないということで、今回事後評価の対象となった事業者について、現行の認可料金に関する値下げの認可申請の必要があるとは認められなかったと考えてございます。

それ以下、ただし書きというか、そういった評価の中で考え方を幾つかまとめさせていただいております。さっと申し上げますと、やむを得ない事情の中で、今、申し上げたように料金原価を上回る費目、実積が原価を上回る費目があるということでありますけれども、事業者の方には、審査時の査定内容、これを十分踏まえて事業運営に取り組んでいただくということが必要ではないかということでございます。

それから、修繕費の削減を随分各社ともやっておられるわけですけれども、これは供給信頼度を害することがないように引き続きリスク評価を適切に行って対応していただくことが大事であるということでございます。

35ページ目、効率化努力、これはいろいろな取組をされておるわけですけれども、一時的な収支改善効果、これを狙う取組だけではなくて、それを将来的な電気料金の抑制につながるような構造的な改善努力を追求していただくことが大事であるということと、今回、料金審査専門会合で、各社それぞれの取組を御紹介いただいたわけでございます。可能な分野であれば、各社の取組を相互に参考とするようなことも大事ではないかということであります。

事業の効率化の観点からは、昨年の4月から電力市場も小売も全面自由化されたわけでございます。こういった市場での競争、この中での創意工夫を凝らした経営努力、こういった競争を行うことが効率化にもつながるわけでございまして、これはひいては、規制料金、自由料金ともに電気料金の抑制にもつながるものでありますので、そういった創意工夫を凝らした競争に自由化された市場において取り組むことが求められるのではないかということを書かせていただいております。

次の段落、原発の再稼働時でございますけれども、これはコスト負担が現状よりも軽減されるであろうということもあります。そうしたコスト削減効果があるのであるならば、先ほどから御説明があったような一時的な支出繰延べだけではなくて、それを抑制するということや逆に消費者への還元などもしっかりと検討すべきであるということを書かせていただいております。

今、申し上げたようなことを踏まえて、引き続き経営効率化、消費者に対する分かりやすい説明と適切な情報、こういったことが求められるということもある意味では申し伝えさせていただいて、今回の評価を終えているという状況であります。

以上であります。

○井手座長代理 ありがとうございました。

それでは、ただいまの御説明3社の事業者、それから、電力・ガス取引監視等委員会の御説明について、御意見あるいは御質問がある方は御発言をお願いしたいと思います。名札を立てていただいて、よろしくお願いいたします。

陶山委員、どうぞ。

○陶山委員 各社、それから、委員会からの御説明、本当にありがとうございました。

3社のところに御質問させていただきます。緊急的あるいは一時的な緊急避難的な経営効率化ということで、そのような措置も非常に努力としてこの経営をやってこられたということが非常によく分かったのですけれども、今、委員会の総評のところでも触れられましたが、この一時的な修繕費の先送りと申しますか、そこが恒常的なものにつながるような事例は幾つかお持ちだと思うのです。それを大まかにどの程度の割合で緊急避難的なものが恒常的なものへ、あるいは構造的な変化をもたらしていく可能性として皆さん、捉えていらっしゃるか、分かる範囲内で教えていただきたいと思います。

もう一つ、これは算定期間中のことで結構なのですが、平成27年度の決算をされて、その後の株主総会後も含めて教えていただきたいのですが、3社のところで、株主配当、1株当たりどの程度してこられたのかを教えていただければと思います。されていないのではあればされていないということでお教えいただきたいです。25年度の決算以降も含めてというとこでよろしくお願いいたします。

以上です。

○井手座長代理 それでは、3社、どうぞ。

○九州電力株式会社池辺執行役員経営企画本部副本部長 一時的に繰り延べた工事については、今後もできれば恒常的にできるように状況を見ながらやっていきたいとは思っております。ただ、個々の設備の劣化状況をきちんと見ながら、その緊急性の見極めですとか応急措置での対応の可否、リスクの増加が懸念されるものについては監視強化などの補完策等を考慮して繰り延べてきておりますが、正直申し上げるとボディーブローのようにきいてきている部分があるだろうと思います。きちんとリスクを見ながらではございますけれども、計画的に対策を行っていく必要があるとは思います。定量的にどれぐらいの部分はというのは申し上げにくいのですけれども、引き続き収支、財務状況に加えて、安定供給の影響や中長期的な業務効率化の観点から検討していきたいと思っております。我々もできる効率化といいますか、可能なものについては、ぜひやっていきたいという思いは強くございますので、一生懸命やっていきたいと思っております。

2点目の配当でございますけれども、昨年27年度に5円の配当をさせていただいて、今、28年度については、配当の予想ということで、10円の配当を予想しておるところでございます。

以上でございます。

○四国電力株式会社小林常務執行役員経営企画部長 四国電力です。

緊急避難的に繰延べした修繕費等をどのようにリスク管理しているかということですけれども、巡視の点検回数を増やしたり、そういう対象設備について個別にシステム管理するなどして、実際に修繕をするかどうか見極めを行っております。電気料金の値上げを申請させていただいたときから本格的にこのようなリスクマップを使って取り組んでおりますので、まだ日が浅いもので、実積、恒常化にどのぐらいつながるかというのが定量的にはまだ把握できていません。今後、そういう恒常化の事例が出てくると、定量的にどのぐらいということが分かってくるのではないかと思っております。

配当につきましては、24年度、25年度と無配にしておりまして、その後、26年度が20円配当、27年度が20円配当、両者とも期末です。期末に20円、20円、28年度についても期末に20円配当するということで、既にアナウンス、公表しております。

○東北電力株式会社千釜執行役員企画部長 東北電力でございます。

1点目の一時的、効率的なところの定着の仕方というところでございますけれども、まず、一時的な対策については繰り延べているだけということで、将来的なコスト負担ということは考えられますので、段階的に縮小してきてございます。原価算定期間の最終年度の27年度では、修繕費等もほとんどそれに伴う削減がないような形でやってきております。その辺を含めまして、最終的にそれをどのように定着化していくのかというのは、今はまだ定量的に申し上げられるような段階ではありませんけれども、いろいろ調査なり継続監視しながら、今後できるだけ定量的な形にしていって、コストへの影響を少なくしていくということで現在検討しているところでございます。

2点目の配当でございますけれども、平成23年度については配当がゼロ、24年度についても配当がゼロということで続けてきておりまして、25年度の期末配当から配当を開始してございます。25年度につきましては年間で5円、26年度については15円、27年度については25円という形で、配当の実績となってございます。

以上です。

○井手座長代理 矢野委員、どうぞ。

○矢野委員 それぞれ御説明、どうもありがとうございました。

3社に共通して3つほどお伺いしたいと思います。

先ほどの陶山委員からの質問と関係するところがありますが、私も一時的な繰延べと恒常的な効率化との関連なのですが、経産省のそれぞれの電力会社のまとめ案のところに同じような文言で書かれているのですが、例えば資料4の13ページの東北電力さんのところを見ていただくと、2つ目のところに効率化のことについて私が質問したいところがあるのですが、2行目以下に「一時的繰延べについても、恒常的な効率化に繋げる取組が行われていることも確認した」と。これは、経産省側の取りまとめなのですけれども、一時的な繰延べと恒常的な効率化の関係というのは、基本的な考え方がこの間、言われていて、あくまでも恒常的な効率化を基本とするというところだと思うのですが、これに見合う具体的な事例を各社一つでもあれば、恒常的な効率化につなげる取組として教えていただきたいと思います。経産省のほうで、全ての電力会社のまとめに同様の文言が書かれていますけれども、この「確認した」というのはどういう具体的な事例でもって確認されたのか、補足をしていただければと思います。それが1点目です。

2点目は、私が経産省の専門家会合のところでも何回も述べていた、いわゆる利益の使途です。同じ資料4の37ページのところで、事後評価のあり方のところで、項目の中の37ページの右下のほうを見ていただければいいと思います。原価算定期間終了後における評価で、事業者のほうは原価と実積値の比較、それから、これまでの利益の使途、収支見通し等についてということで、この間、いろいろと資料等を追加も含めて出していただいてはいます。今、陶山委員からの配当も一つの利益の使途だとは思うのですが、各社ともこれがなかなか質問しないと出てこないというか、今回は余り質問しないで要望だけにとどめていたのですが、改めてなぜ項目にあるのに専門会合のところで資料として出てこなかったり、説明をされないのか。そのことについて3社の御説明を伺いたいと思います。

3点目です。自己資本についてです。自己資本については、各社それぞれどの程度を目標値として持っていらっしゃるのか、本当に様々だなという受け止めをしております。今回、東北電力さんの場合は震災前の水準に戻したいということで、今、10%以上の自己資本があるのですけれども、それも低いと評価されているのだと思うのですが、前回、北海道電力さんは自己資本比率の目標値が10%程度でした。だから、これもそれぞれの受けとめがあるのだろうと思うのですけれども、もし目標値をお持ちでしたら自己資本率を伺いたいと思います。それが3社に3点、それぞれに共通する質問です。

最後に、東北電力さんにお聞きしたいのですが、今日具体的な資料は出ていないのですが、経産省の専門会合のところでは、加藤オブザーバーから出された資料のところに、日本生協連が出した電気料金分布と託送料金の分布図、このようなものがあったのを覚えていらっしゃいますでしょうか。この中で、東北電力さんに限っては、いわゆる託送料金のラインと託送料金と卸電力市場の価格平均のラインよりも低い電気料金を支払っていらっしゃるアンケートに答えた組合員さんが結構いらっしゃるのです。ほかの電力会社は、図で示しますと、この赤のラインの下に入っているところは少ないわけです。東北電力さんは非常に多い。これはオール電化がほとんどなのですけれども、これだけオール電化に手厚い価格を低めるメニューというか、サービスが行われているのであれば、利益率もステップ1はクリアしましたけれども、かなり余裕があるのではないか、むしろ価格引下げにつなげられるのではないかという捉え方もできると思うのですが、そのことについてはどう考えていらっしゃるのか、お聞かせ願いたいと思います。

以上です。

○井手座長代理 よろしいですか。

それでは、どうぞ。

○九州電力株式会社池辺執行役員経営企画本部副本部長 九州電力でございますけれども、お答えさせていただきたいと思います。

まず1番目の一時的な繰延べと恒常的な効率化の関係ですけれども、九州電力提出資料の21ページを御覧いただきますと、送電鉄塔の防錆塗装の一時的な繰延べということでございまして、送電鉄塔、経年劣化していきますと、腐食度合いがどんどん進んでまいります。私たちは本当は左から3つ目のところぐらいの腐食進展度の下にあるぐらいのところで、適切な防錆塗装の時期だなと考えておるのですけれども、非常に厳しい経営状況を考えて、個別に評価しながら防錆塗装の限界マル2のところまで個別にチェックしながらやっておるところでございます。こういう一時的な繰延べについて、今後これが続けていけるかどうかを検討していきたいと考えております。

2番目の利益の使途についてでございますけれども、残念ながら、平成25年、26年は赤字でございまして、利益が出ていないのでないのですけれども、27年度利益が出ておりまして、これは決算の発表のときですとかホームページ上で掲載しておりまして、中身といたしましては、震災以降、4期連続の赤字により著しく毀損した自己資本の早期回復は不可欠であり、財務体質の改善等に充当してまいりますという説明を公表させていただいております。ホームページ等で皆さんに御覧いただけるものということで、今回の資料の中には載せていないような次第でございます。

3番目、自己資本の目標なのですけれども、実は、先ほど東北電力さんが10%程度になったということで非常に大変だと思われたと思いますが、私ども平成27年度末には8.9%まで落ちまして、非常に危機的な状況になったと思っております。どれぐらいの率が目標なのか、ピンポイントでここと言えるようなレベルではまだないので、どこが目標だという目標値は立てておりませんけれども、一刻も早く8.9%というひどい状況は抜けていかなければいけない。それから、私どもは、電気料金というのは安定していくことも非常に重要だと思っておるのですけれども、そのためには、今回私ども電気料金を1回だけの改定に抑えて、4年連続して大変大きな赤字を出してまだこうやって生き残っていられるのは、それ以前に自己資本、内部留保があったおかげだとも思っていますので、何か一朝事が起こったときのためにも、自己資本は厚くなければいけないと思っております。

以上でございます。

○四国電力株式会社小林常務執行役員経営企画部長 四国電力ですけれども、緊急避難的な繰延べが恒常化につながった事例ということでありまして、我々の資料の25ページをあけていただけますでしょうか。これは緊急避難的な繰延べの事例の一つとして、電線張替工事の繰延べというものがありまして、銅電線の接続箇所には結構雨水等がたまって、さびて断裂する可能性があるということであります。ですから、これについては、繰延べしても状態監視をしながらここの部分は張り替えていく必要があるということでございます。

ただし、場所によって、市街地とか非常に人通りが多いところは優先的に張り替えていく必要がありますが、こう言ってはなんですが、過疎地域あたりは、右下のほうの連結ロープで縛ってしばらく様子を見るということもするというような応急措置もしておりまして、こういうものがどのぐらいもつかどうかというのを今後見極めていきたいと思っております。

配当につきまして、我々としては事業運営を行う上での一つの資本コストという考えも持っておりますので、なるべく配当についてもできる範囲でやっていきたいという考えでやっております。特段、この資料に載せなかったということは他意はございません。

自己資本比率につきましては、当社の場合、現状、大体23%ぐらいあります。中長期目標がありまして、2020年度、いわゆる平成32年度に25%以上にするという目標を持っております。先ほど九州電力さんからも説明がありましたように、自己資本比率というのは利益剰余金等もありますので、いざというときのことに備えてある程度必要、電気事業の場合、経営リスクが高まっておりますので、25%以上は必要ではないかと考えて設定した次第であります。

以上です。

○東北電力株式会社千釜執行役員企画部長 東北電力でございます。

4点ございますけれども、まず、1点目の緊急的なものから恒常的なものの事例ということでございます。弊社の資料の29ページでございます。こちらに緊急的な抑制の事例ということで、柱上変圧器の取りかえの繰延べというものが書いてございます。このうち劣化度合いの低いものについて、これについては計画的に取りかえという形で、こちらについては計画的な修繕を長期的なものに移しかえていくような、こういう事例が一つございます。

2点目につきましては、利益の使途ということで、配当のお金がこの資料の中に入っていないというお話でございました。今、四国さんからありましたとおり、それは特に他意はございませんけれども、利益の使途ということで、いろいろな利益については使途があろうかと思いますが、その利益水準とか、各年度の部門別の利益ということについてはきっちりと開示しておりますので、そういったことで一定の説明責任は果たしているのではないかというようなことが、我々の基本的な考え方でございました。

3点目の自己資本比率ということで、目標はございます。この1月に中期経営方針というものを外に出してございます。その中では、2020年まで25%、将来的には30%というような数値でございます。この意味合いは先ほど御説明申し上げたとおりでありますけれども、自由化が入ってきて経営環境のリスクが高くなっていること、あるいはこういった自然災害などというもののリスクに一定の備えが必要だということであります。先ほど申しましたとおり、私ども、東日本大震災を含めまして、短い間に一気に自己資本比率が10%落ちるという実際の経験をしておりますので、その辺の過去の経験も踏まえまして、将来の事業環境も見据えまして、先ほどのような目標というものを作って、これは、ひいては資金の調達コストの低減ということで、お客様のメリットにもつながっていくというようなことで考えてございます。

4点目が、前に加藤オブザーバーから出していただいた生協様でやられた分析結果ということでございます。まず事実関係で申しますと、現在の料金体系で、おっしゃるように小売の料金と託送料金を足したものがそれよりも高いというところについては、現在はございません。過去、これがどうしてそのような形のものが出ているかということでございますけれども、詳細な中身は我々も分かりませんが、過去にオール電化を推進した事例がございました。これはオール電化によって電気の負荷構造を深夜に移して、全体として電気の使用をより効率的に行うという目的のために当時は行っていたということで、そういうことで、一定のインセンティブ的なものがございました。そのときのものが残っているのではないのかと推察いたします。そちらについても、現在そういう制度はございません。現在の料金は、先ほど申しましたとおり、そういったような逆転というものはございません。

以上でございます。

○井手座長代理 蟹瀬委員は、何か御意見はよろしいですか。

○蟹瀬委員 結構です。

○井手座長代理 ありがとうございます。

陶山委員、どうぞ。

○陶山委員 利益配分と言ったらおかしいのですけれども、資本コストとしての株主配当というものは理解いたしますし、自己資本のコストとして、様々な形で、内部留保も含めて事業経営にとっては非常に必要な観点であろうと思います。ただ、そのときに、会社なり創造された価値は誰のものなのかという、そういう新しい発想の中から、私も発言をさせていただいたことがあります。つまり、利益は株主のものなのか、あるいは社員のものなのか、あるいは役員のものなのか、そういったときにそこは限定されなくて、特にそれぞれの電力会社様のような大企業で、社会インフラを担っている企業にあっては地域のものでもあり、利用者、消費者のところにも還元されるべきものだろうと。現状としては、まだそういう段階にはないのかもしれませんけれども、そういう発想で利益配分というものをぜひ見ていただきたいと思っております。

それは今後のことですけれども、総括原価方式の中で原価が査定され、そして、料金の値上げ、認可申請で今の査定期間のフォローアップをしているわけですけれども、そのときに事業報酬の中の他人資本の報酬率です。これは資本コストとして大きい有利子負債、そこの支払い利子、ここが該当する内容かと思っていますが、この査定をして値上げをしたときの他人資本の報酬率は幾らであったのかということを教えていただきたいということと、この5年間、利子は随分下がってきているわけですね。私は地元が福岡なものですから、九州電力さんのところだけ取り上げて発言したことがありますけれども、九州電力さん、負債は2兆円台から3兆円台に増加したと。50%増なのですが、支払い利息は12%から13%にとどまっていますねということが読めました。そのときに、この他人資本の報酬率は一体幾らに設定してあって、その後、数年間の経過の中で、現状はマイナス金利とかというような状況に入ってきている中で、果たしてこの報酬率、現状と妥当なところなのかどうなのかという点検が必要ではないかと思っています。この点については、ぜひ監視等委員会から御見解をいただきたいです。他人資本の報酬率についても教えていただけたらと思います。

○井手座長代理 九州電力、どうぞ。

○九州電力株式会社池辺執行役員経営企画本部副本部長 私どもの他人資本の報酬率は1.49%だと思います。それで織り込ませていただいていると思います。確かに金利は下降しているのですけれども、マイナス金利というのは何も我々が借りるときにマイナスで借りられるわけではなくて、一定の金利が必要だと思っております。

○陶山委員 分かりました。

○井手座長代理 四国電力、どうぞ。

○四国電力株式会社小林常務執行役員経営企画部長 四国電力です。

四国電力の現在の他人資本報酬率は1.44%です。

○東北電力株式会社下井田企画部副部長 東北電力でございます。

四国様と同じで、1.44%でございます。

○井手座長代理 監視等委員会、どうぞ。

○電力・ガス取引監視等委員会事務局佐合取引監視課長 各社から御説明がありましたけれども、1.4%前後ということでありまして、確かに瞬間瞬間で見ると低金利の時代という状況もあろうかと思いますが、先ほども御説明ありましたが、マイナス金利で借りられるわけでもございませんし、電気事業も競争の中でリスクも高いビジネスになってきている状況の中で、資本調達を他人資本でやるのか、自己資本でやるのかということはありますけれども、一定程度の金利は当然支払わなければならないということだと思っております。特に長期的な事業運営をやるわけでございますから、それなりの長期の資金も借りざるを得ない状況かと思っていまして、そういう観点からすると、現時点での設定が直ちに何か問題があり得るものだとは思っておりません。

○井手座長代理 陶山委員、どうぞ。

○陶山委員 委員会としてはそのような御見解だと思うのですけれども、全般的に総括原価のメリット、デメリット、いろいろあるかと思いますが、この事業報酬について、以前は報酬率等も1年単位、2年単位で見直されていた経過がございますし、利子の水準も随分変化してきていますので、もう一度見直すべき時期に来ているのではないかと思いますので、ぜひ御検討いただけたらと思います。

○井手座長代理 監視等委員会、どうぞ。

○電力・ガス取引監視等委員会事務局佐合取引監視課長 御意見を賜った形に、ただ、今は少なくともこの場で何かやりますということでもないので、我々としては、現時点では今の仕組み自体では問題があるとは思っておりませんけれども、貴重な御意見をいただいたということで、今後の参考にさせていただきたいと思います。

○井手座長代理 基本的に総括原価というのは、事業報酬率、電気の場合、2.9%だったですか。本来、収支相償うということからすると、総括原価で料金が決まるので、それを超える利潤は理論的には基本的には発生するのがおかしい。なおかつ、自己資本とか他人資本のときに、産業全般の利益率というものを算定するときに計算しますけれども、産業全体の利益率はかなり低くなっているので、そういうのもあわせて、ぜひ事業報酬率について、総括原価方式についてですね。

あと、当然自由化が始まったので、これからの問題ですけれども、なかなか規制部門で料金の引下げは起こらないと考えてよろしいのですか。こういうステップ1、ステップ2という手順を踏むと、ほとんど下がらないのではないか。

○電力・ガス取引監視等委員会事務局佐合取引監視課長 そういう意味では、御指摘のとおり事業報酬額を超過するのが本来的にはあり得ないというお話もありますけれども、その超過分がどの程度あるのかを判断基準で見せていただいていて、超過したら直ちに引下げをするということではなくて、一定程度の効率化努力を促すために超過利潤が単年度の事業報酬額までは認められるというシステムで、今、評価をさせていただいております。だから、それを超える場合には引下げの命令ということになってくるわけで、今回はそういう仕組みの中ではこれに該当しなかったということでございます。これも規制の中で、規制料金の引下げがどうなるかというのは、各社の経営判断の中でこの基準に従わずともされることはあり得ますし、また、別途この後の電力の自由化の状況の御説明をさせていただくことになっておりますけれども、既に小売電気事業者は400社近く参入しておるわけでございます。いろいろなメニューも出していますので、経過措置料金の引下げをその事業者が判断をするというのとともに、それだけではなくいろいろな小売事業者から消費者の方にも選択をいただいて、自分の電気の使用パターンに合ったよい事業者を見つけていただくというのが、本来的にはこのシステム改革を進めていくときの大きな流れかなと思っております。

○電力・ガス取引監視等委員会事務局野沢統括管理官 先ほどの他人資本報酬率の数値なのですけれども、正確には1.44%でございまして、先ほど井手座長代理がおっしゃった全体の2.9%のうちの他人資本報酬率が1.44%ということで、料金を査定するときに、その他人報酬率というものを、各事業者の観測期間は1年という形にしておりますので、そのそれぞれ認可申請があったときには、その観測期間をベースにまた新たに設定することになろうかと思います。ですから、必ずこれが固定ではなくて、状況に合わせて変化することになろうかと思います。

○井手座長代理 今の関連ですか。

陶山委員、どうぞ。

○陶山委員 この5年間でこれは日銀が出している、今、データが出てこないのですが、10年あたりをピークにずっと下げてきているわけですね。当然皆さん経営者なのでよくよく御存じでいらっしゃるのだと思うのですけれども、決めたときは、2013年ですね。平成25年なので2013年だから、結構高い水準のときの部分で見ていると思いますので、そこは現状も見たときに、監視等委員会としても、ぜひともその視点でもってもう一度、まだ規制料金という形で残っていますし、これが一つのメルクマールになって、私たち消費者としてはこの料金の妥当性というものを見ようとしていますので、ぜひともその点からもアプローチしていただきたいと思います。

○井手座長代理 白山委員、どうぞ。

○白山委員 私は細かい点になってしまうのですが、東北電力さんだと12ページ、四国電力さんだと11ページ、九州電力さんだと10ページの人件費のところなのでございますが、退職給与金につきましては、年金資産の運用結果で、これは市場環境が大きく影響するので、いかんともしがたいといいますか、ラッキーだったとしか言いようがないのですが、給料手当のところの備考欄で幾つか要因が書いてあったりするのですが、この原価と実積との差異の要因がもし分かれば、もう少しお伺いしたいのです。いわゆる人員数の差ということと、時間外手当等の増加ということと、年齢構成等に伴う年齢水準の差とか、いろいろあると思うのです。

人員数の差というのが、原価算定上含まれていない電気事業本体に関係が深くない出向者分の負担ということだと思うのですけれども、この辺が実態はどのぐらいの金額だったのか。実際に、効率化努力のところでは、人件費のところについては様々な効率化努力はされていますということで書いてあったわけですが、原価と比較しますと、この部分が超過していて、それをちょうど補うような形で、たまたま年金資産の運用益がよかったというように見えてしまうところがあるので、原価と実積との差が、その内訳が実際のところ、どうなのかというところをお聞かせいただければと思います。

○井手座長代理 九州電力から、どうぞ。

○九州電力株式会社池辺執行役員経営企画本部副本部長 九州電力でございます。

九州電力の資料10ページでございますが、給料手当のところで、人員数の差、これはおっしゃったように出向者のうちの500人分が原価の中に入っておりませんで、金額で43億円程度になろうと思います。時間外手当の増、これは原子力の規制基準に対応するですとか、再生可能エネルギーが大量に九州は入ってきましたので、その対応等でかなり時間外が増えておりまして、29億程度。それから、年収水準の差が90億。この年収水準につきましては、電気事業というのは電気という目に見えない非常に危険なものを扱う、それから、高所作業も多い、特に九州の場合は台風が必ず毎年一、二回来ますので、そういうときに寝食を忘れてやってもらわなければいけない。去年ありました熊本地震につきましても、4月14日に地震があったのですけれども、2日後の15日にはほぼ復旧、ところが、16日にまたもう一回来ました。ただ、こちらはかなり被害が大きかったのですが、4月20日には送れるような状態に、これは各電力から高圧発電機車を109台寄せていただいての結果なのですけれども、そういう非常にモチベーションに配慮しなければいけない部分が多うございます。もちろん幾らの年収水準にするのかというのは労働組合との議論の中なのですけれども、そういうことで、年収水準の差はございます、それらを合わせまして、167億円の差異でございますということでございます。

○井手座長代理 四国電力、どうぞ。

○四国電力株式会社小林常務執行役員経営企画部長 四国電力です。

四国電力では、11ページでございますけれども、給料手当の要因分析ということで、内訳を申し上げますと、出向者人件費の原価不算入分ということで、これがプラス26億円になります。残り21億円の内訳といたしまして、人員差、下にあります参考で212人減ってございますけれども、この人員差によりまして9億円のマイナス。

一方で、給料手当が増えてございますので、この影響が25億円ということになってございます。そして、その他時間外等で6億円ということで、内訳としてはそのような内訳になっております。

○白山委員 先ほど九州電力さんで御説明があったように、金額だけではなくて、背景といいますか、その要因のようなものをお伺いしたいのです。

○四国電力株式会社小林常務執行役員経営企画部長 一つは、出向者人件費の原価不算入につきましては、これは当時申請時に、電気事業を行うに当たって、関係会社等と一緒に内製化をやっておりまして、出向者の人件費をその分算入したところ、査定されまして、そこの影響があったということで、そこは査定どおりに出向者を減らすというわけには急にはできないということで、幾ばくか残ってしまったということで20億円の差が出ているということであります。

単価差が25億円出たのは、これにつきましては、人員が減少している中、従業員の繁忙感とか、電気事業は今、かなりの経営課題を抱えておりますので、それに対するモチベーションを維持するという観点から、給料を少し戻させていただいたという背景がございます。

経費対象人員につきましては新しい制度を入れまして、転籍ということで、関係会社への転籍拡大というものがありまして、それで大きく減ったというのが一つの要因でございます。

○井手座長代理 東北電力、どうぞ。

○東北電力株式会社千釜執行役員企画部長 東北電力でございます。

資料12ページのところの備考の欄というところで、まず、給与手当の水準の差、これが154億円ということでございます。この中の内訳としては、賞与にかかわる部分が128億円ということで、ほとんどが賞与の部分ということでございます。先ほど御説明したとおり、月例賃金につきましては、それぞれ特管職、一般職、減額を続けておりますので、そこはほとんど原価等変わりございません。賞与の部分については、今ほど各社さんの御説明がありましたとおり、モチベーションとか、そういったところも考慮しながら、こういったような形になっているということであります。

右側に出向者云々ということで書いてございますが、まず、人数ですけれども、全体の609名中284名が原価に不算入という状況でございました。こちらにつきましては、原価ルールというところはございますが、いずれ当社の事業に非常に有益なものだということで、そこの部分の差額が10億円ございます。ただ、この10億円は、先ほど申し上げました154億円の内数という形になりますけれども、出向者の部分が10億円。時間外については、原価に比べて3億円の増という、そのような形になっております。

○白山委員 分かりました。

○井手座長代理 よろしいですか。

古賀委員、どうぞ。

○古賀委員 どうも御説明ありがとうございました。

最初に意見、要望を申し上げさせていただきたいのですが、一つは、今、どこの電力会社さんか分かりませんけれども、電気料金の安定が必要で内部留保が必要だというお考えをお聞きして、資本が毀損されては大変なことだし、電力の安定供給と消費者にとって公共性ある生活必需財であるということのバランスをとった経営は非常に重要だとは思うのですが、今回の原価と実際の乖離の検証にあたっては、原価については値上げのときに、一つのお約束をさせていただいたわけなので、余り乖離が大きいということは消費者利益を害していることだと思います。私からは、特に先ほど来出ている事業報酬の見直しと変更命令の発動についての要件の見直しを、ぜひエネ庁さんに検討していただきたいと思います。なぜならば、これから経過措置料金も続くわけですけれども、経過措置料金規制料金は自由化のもとでも電気料金の最大のスタンダードになるわけですので、そこのところは、きちんと利益が上がれば消費者に還元していただくという基本的なことは続けていっていただきたいと思います。

質問なのですけれども、今回乖離が大きかったものはいろいろあると思うのですが、その中で購入電力が非常に額として大きなものになっておりますので、その内容と経営効率化を含めた託送料等の関係についてお伺いしたいと思います。

九州電力さんの8ページのスライド、四国電力さんの10ページのスライド、東北電力さんの11ページのスライドのところを見ていただきながら、基本的なところから御質問させていただきたいと思います。

1つ目は、まず九州電力さんのところなのですが、九州電力さんの場合は、購入電力料が896億円、原価と実積が異なって増えているということなのですけれども、そもそも先ほど開いていただいた9ページの託送料なのですけれども、これが原価25億に対して45億ということで、20億円の差が生じているのですが、ここの託送料が非常に見ていて分かりにくいものですから、ここの託送料は、そもそもどこの部門が何のためにどこに支払っていらっしゃる費用なのかどうか、自助努力でそういうものは抑制できるのかどうかということを、これは九州電力さんに特定してお答えいただきたいと思います。

3電力さんに共通しまして、この中で控除収益ということで、右側に参考にそれぞれあると思うのですけれども、この地帯間販売電力料と他社販売電力料、これが一緒になっていますが、それぞれの費用、収益関係を教えてください。その際に、地帯間販売電力料については、常時バックアップとそのほかの取引所取引などについて分けて内訳を教えていただきたいということと、それから、他社販売電力料という項目がありますが、この内訳を教えていただければと思います。

一旦そこで切らせていただきます。

○井手座長代理 九州電力さん、どうぞ。

○九州電力株式会社池辺執行役員経営企画本部副本部長 まず託送料ですけれども、金額的に大きいのは関門連系線というものがありまして、これはJ-POWERさんがお持ちなのですけれども、その関門連系線のための費用をお支払いする分が実積で23億円ほどございます。

こちらの9ページに記載しておりますけれども、卸電力取引所の活用増ということで、そこから買っておりますので、他エリアからの電力購入の増に伴って電気を運んでもらうということでお支払いしている分が増えております。

地帯間と他社ですが、地帯間・他社販売でございますけれども、金額で3年平均の実積の154億の内訳のうち、地帯間販売は実積で4億円でございます。他社販売が残りの150億円でございますが、その中で多いのは常時バックアップ、新電力さんたちに特高・高圧でしたら3割、低圧でしたら1割、低圧はまだ始まっていませんでしたけれども、特高・高圧を3割を限度として供給させていただいている常時バックアップが75億円という実積でございます。

以上でございます。

○井手座長代理 四国電力さん、どうぞ。

○四国電力株式会社小林常務執行役員経営企画部長 四国電力です。

地帯間・他社販売の内訳でございますが、弊社の資料の10ページのところの参考の控除収益の一番上の欄、実積マイナス161億円と出ております。この内訳につきましては、地帯間販売が81億円、他社販売が80億円ということで、両方で161億円となってございます。他社販売の内訳ですけれども、先ほど九州さんから説明がありましたように常時バックアップについては8億円、取引所への販売ということで、これが69億円という内訳です。

○井手座長代理 東北電力、どうぞ。

○東北電力株式会社下井田企画部副部長 続きまして、東北電力でございます。

弊社ページでは11ページ、右上のところに地帯間・他社販売電力料がございますが、まず地帯間販売のほうの実績につきましては2,052億円で、他社販売は190億円ということで、合わせて2,242億円になってございます。

地帯間販売のほうの内訳は、系統運用のところで1,060億円、そのほか、当社火力発電所は広域でお送りしている部分が581億円で販売している部分です。主なものはそれでございまして、他社販売のほうでございますが、190億円のうち常時バックアップ、こちらは49億円、取引所のほうへの販売、こちらは134億円、これが主なものでございます。

○井手座長代理 引き続き、古賀委員、どうぞ。

○古賀委員 購入電力料についてなのですが、それぞれ経営効率化の対象としてお取組を今の数字の関連でもされていらっしゃると思うのですが、監視等委員会さんのほうでおまとめいただいているのですが、それぞれ購入電力料についての評価というか、主な取組内容が違っているので、そこら辺の取組内容についてそれぞれ御説明いただき、それに対する委員会さんの評価もあわせてお答えいただければと思います。

具体的に申しますと、監視等委員会さんの資料4の経営効率化の取組状況というところで、東北電力さんが10ページ、四国電力さんが17ページ、九州電力さんが29ページになっています。東北電力さんの場合は、この購入電力料の料金の引下げ交渉ということをしていらっしゃるのですが、これは具体的にはどういう形でされているのかということを例を挙げて説明していただきたいです。

四国電力さんの場合は17ページのところで、燃料費、購入電力料で同じく購入電力料の削減と卸取引所の活用という2つ点があるので、これは具体的にどういうことをしていらっしゃったかということを説明いただきたいと思います。

九州電力さんの場合は29ページで、こちらは電力取引市場の活用拡大による燃料費抑制と書いてあるので、それの内容をそれぞれ簡単に御説明いただけたらと思います。

○井手座長代理 今の質問で、東北電力は原価と実積で実積が下回っている。これはよろしいのですけれども、各社置かれている状況は全体として需要が減なのに、他社購入料が九州と四国で大幅にアップしている。それは東北と比べると何が違うのかを教えていただきたいということです。

○九州電力株式会社池辺執行役員経営企画本部副本部長 九州電力でございます。

端的に申し上げて、原子力利用率が違ったということでございます。本来は原価の計画では原子力で発電するつもりだった電気が、原子力の再稼働が遅れたために、その分を他社購入で賄ったという状況でございます。

この購入電力料、効率化の取組という意味では、どうしても原子力の再稼働は遅れておりますので、買わなければいけない量も増えるのですけれども、社内で考えましても、例えば石油火力で電気を作る場合と取引所で電気を買ってくる、どちらが安いかを30分ごとにきちんと見ておりまして、スポット取引市場のほうが安ければ取引市場で買ってくる、自分のほうで発電するほうが安ければ自分のほうで発電するというのをきめ細かく積み重ねてきた結果でございます。規模で申し上げますと、電力取引市場の活用拡大による燃料費抑制が76億円あったと思っております。

以上でございます。

○井手座長代理 四国電力さん、どうぞ。

○四国電力株式会社小林常務執行役員経営企画部長 四国電力です。

購入電力料が増えている理由は、先ほどの九州さんと同じでございます。

購入電力料の削減という意味では、購入電力料、我々も電源開発さんから石炭電源を購入しておりますし、IPPということでIPPからも購入しております。それから、公営水力からも購入しております。自家発からも購入しているということで、四国は自家発も多いのでありますので、安いものを調達するということで、購入電力料が増えているということなのですけれども、この効率化というのはひとえに料金交渉ということで、交渉によってできるだけコスト削減を図っていくということでございます。

卸取引所の活用につきましては1億円ということで少ないではないかというような御認識かと思われますが、その説明をさせていただきますと、弊社の資料の13ページをお開けいただけますでしょうか。これは当社のメリットオーダーの実積でございます。平日昼間は石油原資ということになりますので、増分の電力量については卸取引所から買うのがいいのか、自社で石油を焚き増すのがいいのかという選択肢におきまして、ここは大体14円程度で自社の石油の単価が出てございますけれども、卸取引所は、概してこの原価算定期間中これよりも高かったということでありますので、その分、卸取引所を活用する機会がなかったということでかなり卸取引所の額としては小さい値ということでございます。

以上です。

○井手座長代理 東北電力さん、どうぞ。

○東北電力株式会社下井田企画部副部長 東北電力でございます。

弊社の資料では、10ページの中ほどに購入電力料ということで、購入電力料全体では合計で57億円の減ということではございますが、こちらの主な要因は、他社から受電を予定しておりました電源が受電減になったことによる要因が大きゅうございます。規制委員会様のほうの資料での弊社の購入電力料の料金引下げ交渉は、今ほどの四国様と同じように、例えば当社が受けた査定と同じようなレベルを受電会社様のほうにもお願いするような形で基本料金の削減を交渉で抑えていただくということでございます。

○古賀委員 ありがとうございます。

○井手座長代理 よろしいでしょうか。

白山委員、どうぞ。

○白山委員 これは御質問ではなく、各社さんへのコメントでございますが、前回の専門調査会でも北海道電力さん等に申し上げましたので、同じことを申し上げたいと思います。

監視等委員会の資料の34ページの総評のところに書いてあることと実質的な内容は同じではないかと思われますが、3ポツ目の一番下の「当然のことながら」というところなのでございますが、繰り返し繰り返し消費者委員会側からも質問をさせていただいたように、今、経営効率化というのはなかなか人件費の削減を含めて必ずしも予定どおり進んでいない。そうなりますと、経営効率化目標を達成するためには、修繕費関係、緊急的な繰延べというところにどうしても圧力がかかってくるという、内部統制的には統制環境下が非常にそこに圧力がかかるという環境下にあるということではないかと理解しております。

したがいまして、その観点から、リスクマネジメント的な観点からリスク評価と対応ということで、リスクマップ等をお使いになられてやられていらっしゃると思いますが、そのリスク判断自体に圧力がかかる可能性がございますので、そこは慎重に行わなければいけません。

それから、本当にそのリスク判断が適切であったのかというところを独立的な立場からモニタリングをする必要性も何らかのタイミングであるのではないかと考えております。ここがきちんとなされて内部統制がうまく機能しないと、電力の安定供給というところにダイレクトに影響する問題でございますので、リスク評価自体をおやりになられることは非常に重要なことでよいことだと私は思いますが、そのリスク評価自体がゆがむ可能性があるので、ゆがむと言うと語弊がございますが、経営効率化達成のためにということで、安定供給の観点とのバランスが崩れる可能性がございますので、そこら辺のモニタリングというものを各社さんで十分御留意をいただければというところを申し上げておきたいと思います。

○井手座長代理 ありがとうございました。

予定した時間が参りましたけれども、私から1点だけ、監視等委員会から出された39ページですけれども、これは前回にも申し上げましたが、北海道から東北、北陸、関西と3年度平均で利益率が出ております。これが料金改定のときの一つのステップだというと、電力会社は、当初需要予測を多目に見て値上げ率を下げる、実際には需要がそこまで到達しない、したがって、需要がこんなに減っているのだということで、需要が当初の予測よりも増えれば過回収になって利益がものすごく出るわけですけれども、その分、需要を低く見積もれば値上げ率が高くなりますので、値上げ率を抑えるために需要予測を過大に見積もっている。それで、結果的に横並びでやろうとすると、この低い利益率であると、料金改定はなかなか起きないですね。東北電力さんは6%という他社に比べると圧倒的な利益率を出しているわけで、これが何でこんなにたくさん利益率が出てきたのかを、ぜひお聞きしたいです。

先ほど古賀委員が言われましたけれども、原価というものを厳しく見積もって料金改定をしました、たくさん利益率が出そうだと、いろいろな経費を積み上げてこんなに低い利益率になりました、私が経営者だと多分そうやるのです。横並び意識でやると当分この料金の引下げは起こらない。そういう感じを持っていますので、ぜひ検討していただきたい。東北電力さんになぜこんなに高い利益率が出たのかということについて、ぜひ御説明をお願いします。

○東北電力株式会社千釜執行役員企画部長 東北電力でございます。

まず、料金の利益の高かった理由については、先ほど申しましたとおり、一つには修繕費、委託費を初めとして、全社大での緊急的な支出抑制・繰延べを行ったこと。一時的なものですが、退職金の数理計算上の差異あるいは燃調のタイムラグといった一時的要因があるということで、それを補正すると1.7%程度までになるということは、先ほど御説明したとおりです。

なお、他社様との比較については、それぞれ特徴があることとは思いますけれども、我々から見ると2点の特徴が東北の場合あるのかなということです。

1つ目は、販売電力量の実績と原価の乖離差ということでございますけれども、東北の場合には実績の販売電力量も下がっておりますけれども、下がり方が他社様よりもややモデレートになっているところがございました。

2点目は、先ほども議論がございましたけれども、原子力の利用率ということで、当社の場合は原価の中に8.1%という原子力の利用率を当初計上していたわけでございますけれども、ここが他社さんに比べて非常に数字が少ないというようなことから、ここが動かなかった場合の影響がやや緩和されて他社様とそのような差になったのかなというようなことを現在考えております。

○井手座長代理 ありがとうございました。

予定した時間が参りましたので、もし御質問がなければ、これで議論を終わりにしたいと思いますけれども、よろしいでしょうか。

それでは、電力3社につきまして、大変お忙しい中審議に御協力をいただきまして、ありがとうございました。

引き続き、電力・ガス取引監視等委員会の事務局の方々におかれましては、次の議題についても御協力をお願いしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

それでは、電力会社様、どうもありがとうございました。

(九州電力株式会社池辺執行役員経営企画本部副本部長、成清経営企画本部原価企画グループ長 退室)

(四国電力株式会社小林常務執行役員経営企画部長、山崎総合企画調査役 退室)

(東北電力株式会社千釜執行役員企画部長、下井田企画部副部長 退室)

≪3.電力・ガス小売自由化の現状に関するヒアリング≫

○井手座長代理 時間も押しておりますので、2番目の議題に入りたいと思います。

前々回までの専門調査会に引き続き、電気及びガスの自由化に関する審議を行ってまいりたいと思います。今回は「電力・ガス小売自由化の現状に関するヒアリング」ということで監視等委員会の事務局から御説明をお願いしたいと思います。

それでは、20分程度でお願いいたします。

○電力・ガス取引監視等委員会事務局佐合取引監視課長 資料5に基づいて御説明をいたします。電力・ガスの全面自由化についてでございます。

1ページ、システム改革の目的ということで、大きく3つ書かせていただいております。

1つ目、需要家の選択肢あるいは事業者の事業機会を拡大するということでございます。

それから、市場での競争を通じてということでありますが、2つ目、料金を最大限抑制するということでございます。

それから、市場競争を促しながらも安定供給は確保するということが、電力・ガスのシステム改革ともに、その大きな目的となってございます。昨年4月から電力については小売の全面自由化と、ガスについてはこの4月からということになります。

最初に、電力自由化の状況ということで、2ページ目以降でございます。

3ページ目、4ページ目はもう既によく御承知かと思いますので申し上げませんけれども、日本の電気の供給の仕組みでございます。発電から送配電、小売ということで、需要家に届けられるということで、イメージ化しているものでございます。

4ページ目、こちらが電力の自由化の経緯について参考までに御説明をつけさせていただいている資料でございます。平成12年以降、電力の小売については段階的に自由化をしてきたということでありまして、最初、自由化部門はこの図で言いますところの電力量で言うと約26%ということで、大規模な工場、特別高圧のところから自由化を始めまして、10年超をかけて、昨年の4月から一般家庭あるいは小口需要家への電力の小売の自由化を実現したということでございます。

では、その制度改革によって実際に市場でどういう動きが出てきているのかというのを5ページ目以降に書かせていただいてございます。

まず、電力の小売が、これも御承知のとおり、従前は地域独占で電気事業者許可制度ということではあったわけですけれども、小売については登録制度ということで、一定の条件を満たしていただいて、需要家保護に問題がない事業者であれば登録をさせていただくということになっておりまして、申請で言うと、現時点で440件の小売登録の申請がございまして、3月22日時点で申し上げますと、382社の事業者の登録が行われているということであります。この棒グラフが申請と登録の件数の推移をあらわしていますけれども、当然のことながら、昨年の4月の自由化前後、特に申請登録が多くなっております。ただ、最近でも継続的に申請は行われておりまして、伸びは少なくなっておりますけれども、申請、登録とも着実に行われている状況でございます。

どういう事業者の方が多いかという事業者の特徴でございますけれども、6ページ目、7ページ目に書いてございます。新電力の方には、登録のときに、自分の最大需要電力の見込みですね。需要の規模がどの程度かというのを登録のときに申請をしていただいております。大体1,000キロワットから1万キロワットの需要家をつかまえるというところが半数ちょっとというところであります。

本社所在地で言うと、東京を初め大都市圏、3大都市圏に本社を置いている事業者が多いということで、これは地域電力もたくさん増えてきてはおりますけれども、大手企業あるいは東京に本社を置く企業が多くて、新たなビジネスの多様化の一環として小売登録などをやられる方がいらっしゃるということもあって、こういう構造になっているのかなと思います。

7ページ目、小売電気事業に対する他業種からの参入状況でございます。多いところはLPとか都市ガスというガス事業者系からの参入が15%程度ということで、発電設備も持っておられたりするというところで参入しやすいのかなというところでございます。生活総合サービスではないですけれども、通信など鉄道沿線で電気を供給するといったところで、通信・放送・鉄道関係の事業者も参入がそこそこ見られる状況であります。

新電力の市場でのマーケットでのシェアがどうなっているのかというところが、8ページ目以降でございます。全国で見ますと、自由化に関しては先ほど申し上げたとおり昨年の4月以前は大口需要家に対する参入が認められていた状況でございますけれども、特高・高圧分野に占める新電力のシェアが、この右端に書いてございます11.8%、それから、新たに開放された低圧分野に占める新電力のシェアが3.5%ということになります。総需要に占める新電力のシェア全体で見ると9%弱という状況でございます。ここにございませんけれども、4月から小口の分野の自由化が始まって、3.5%と販売電力量ベースで見ております。この裏側には既存の電力会社の中で規制メニューから自由料金メニューに変わった方というのも、後ほど出てきますけれども、同程度いらっしゃるということでございます。このスイッチングなり、新電力のシェアをどう評価するというのはなかなか難しいかと思いますけれども、自由化が始まった1年間の成果としては相応のものではないかと我々としては考えているところでございます。

地域別の新電力のシェアというのが、9ページ目以降にございます。特徴的なところを申し上げますと、東京と関西で新規参入者のシェアが高い。これは大消費地であるということと、ガス会社さんを初めとして潜在的な新規参入者が従来での本業での営業基盤、事業基盤を持っている地域であったというところが一つあるのかなと考えております。

北海道でも比較的新規参入者のシェアが高い。これは前回の消費者委員会で関西電力さん、北海道電力さん、御説明がありましたけれども、料金を2度上げる状況にもなっていますので、比較的料金水準が全般的に高い地域であり、参入もしやすかったということかと思っております。

10ページ、電力の自由化の関係では、消費者にどのように実質的に選択肢が増えているかというのが非常に大事なポイントだとは思っておりまして、都道府県ベースで見たときに、小売電気事業者がどのような供給実積があるかというところで、供給実積のある事業者数を都道府県別に整理しております。残念ながら、沖縄は小口の分野での新規参入が実はまだ出現しておりませんけれども、それ以外の地域では数の多い少ないはございますけれども、複数の供給事業者が供給実積を持っているということでありまして、従来の地域独占の時代から比べると、消費者の選択は広がっていると言っていいのではないかと思っております。

11ページ目以降が、料金の水準の推移みたいなものでございますけれども、料金のところというのはなかなか難しいものがありまして、自由化の成果としてこの数字があらわれているかどうかというのは、なかなか判断が我々としてもまだしにくいところでございます。燃料費調整制度などの影響なども受けながら低下しているところ、あるいは、夏場だと逆に、これは全体の低圧の平均単価なので、3段階規制料金の中で使用量が多くなってくると単価が高いものですから、そういう影響が出ているところといろいろあろうかと思います。価格水準についても重要な指標だと思っておりますので、引き続きウォッチをしていきたいと思っております。

12ページ目、新電力と既存の電力会社の方々がどのようなお客様をつかまえているかというあたりでございます。これは1契約当たりの販売電力量ということで、低圧で見ております。新電力の方は経過措置料金、規制料金に比べて、使用量の多い方を平均的にはつかまえておられる。ただ、一方で、電力会社は、自由料金と書いていますけれども、かなり大口のユーザーをつかまえている。ただ、この中には従来の選択約款がかなり入っておりまして、オール電化のお客さんも一緒になっておる状況でして、そこは差し引いて見る必要があるのかなとは思っております。実積としては、そのような状況になっております。

13ページ目以降が、消費者の選択肢が拡大する中身の質的なものの一つだと思っておりまして、料金プランにどのような多様なものが出てきているかというところであります。

13ページ目に、これだけではないのですけれども、代表的な類型みたいなもの、段階別料金は従来と一緒でございますが、セット割なり時間帯別料金、節電割引などと書いてございます。

14ページ目以降、料金メニューの実際に多様化されているものがどのようなものがあるかを参考までに具体例として提示させていただいております。

14ページ目は、完全従量料金制ということで、基本料金のないある意味では使用した分だけ払っていただくということで、消費者にとって分かりやすい部分もあろうかなという電気のメニュー。それから、地産地消ということで、その地域で発電した電気であるということを消費者に対して訴求をするという形でメニューを作っている。さらに、地元のひいきのスポーツチームなり防災・環境なりのNPO活動をやっているところに電気料金の一部が寄附されるような、消費者の趣向に合ったオプションがついたメニューが提示されているということでございます。

15ページ目以降もございます。

15ページ目、左側はソフトバンクのSBパワーでございますけれども、再生エネルギー、電源特性に訴求をしたメニュー、右側もこれはおもしろい取組でありまして、じぶん電力、これも再生エネルギーなのですけれども、契約者の屋根に太陽光発電設備を設置いたしまして、その設置費用は事業者が持つわけですが、そこで発電されて使われた部分についての電気代を需要家が支払うという仕組みのメニューでございます。

16ページ目、電気の「見える化」ということで、各家庭でどのように電気を使用しているのかというのをスマートフォンのアプリで確認ができて、節電意識が高まるような取組をつけているメニュー。それから、見守りサービス、これは九州電力でございますけれども、親元を離れて東京に出てきている方が九州電力と契約をするということで、オプションをその契約の中につけると、地元に残してきた御家族の見守りサポートをしていただけるというサービスも出てきております。従来の規制料金の中ではかなり画一的なメニューしかございませんでしたので、いろいろな消費者ニーズを捉えるような工夫がなされているということだと思います。

17ページ、料金メニュー、最後でございますけれども、スポーツ応援ということで、昨年広島ではカープが非常に盛り上がった状況ではございましたが、中国電力とカープが連携をしまして、カープの成績によってポイントが付与されるというのと、右側は環境保全の取組です。電気料金の一部を環境保全の中に使われるというメニューでございます。消費者の方、御自身の好みの中に応じて料金だけではなくいろいろなこういう付加的な価値を評価していただいて選んでいただくというのが、自由化の一つの方向だと思いますので、メニューの多様化というのは評価したいと思っております。

18ページ目、19ページ目が、自由化の中で我々も新規参入者の方も含めて需要家に対してどのような情報提供をされているのか。これは半年に1度、去年の4月、9月にアンケート票を配りまして、5月、10月にそれぞれ公表してございます。よく御関心が高いのが、電源構成を開示している状況、それから、CO2排出状況を開示している状況でございますけれども、昨年の5月時点と10月時点を比べていただくと、開示済みの事業者がそれぞれ半数を超える状況で増えてきていて、開示予定ありという企業も25社、27社、それぞれございます。こうした結果を、我々としては、アンケートに協力いただいた全小売事業者に対してフィードバックをしつつ、電源構成の開示なり、こうしたCO2排出係数の開示、我々のガイドラインの中では望ましい行為ということで事業者の方に奨励をしているものでございますから、引き続きそういった取組を促していきたいと思っております。

契約口数ベースで見ますと、というのを「なお」で書いてございますけれども、新電力の需要家のうち90%が電源構成を開示済み、あるいは開示予定ありの事業者と契約している状況でございます。こちら全ての家庭向けの電気販売をしている小売事業者がこういったものを開示している状況にはございませんけれども、実際に電気の消費者で、相当程度は開示をしている事業者から選択している、あるいは選択し得る状況にはなってきているということかと思っております。

19ページ目、標準メニューの開示状況でございます。これは全回答事業者と(2)が、下のほうが一般家庭に供給を行っている事業者のみということでございますけれども、大口の需要家のところには、標準メニューも何も、そこはある意味で競争のところもございます。特に重要なのは家庭の方に対して標準メニューが公表されているかということかと思います。これもガイドラインの中では望ましい行為と整理させていただいておりまして、9割超の事業者が標準メニューを公表しているということでございます。引き続きこういった取組を促していきたいと思っております。

20ページ目が、自由化部門での競争状況でございまして、先ほど申し上げたスイッチングなりインターナルスイッチングがどの程度あるかということであります。事業者を切り替えたということが約3.6%、旧一般電気事業者の中で自由料金メニューに切りかえましたというのが3.6%ということで、自由化によって7.2%程度の需要家は何がしかのメニューを変えている。

これ以外に、選択約款というものは先ほど申し上げましたけれども、幾つかあって、そこの需要家はかなり従来料金が政策的にも原価割れではないですけれども、しっかり安く整理されていたこともあって、なかなかスイッチングが起こらない領域なのかなと思っておりますけれども、それ以外でもかなり進んでいる状況でございます。

21ページ目以降が、自由化の認知度でございます。電力の自由化に関する認知度で、全国では90%以上が電力自由化に関しては御存じ、もちろんそのレベルとしては、内容を詳しく知っているというところから、聞いたことあるといったようなレベルまでまちまちではございますけれども、一定程度の認知度は確保できているのかなということでございます。我々も後ほど申し上げますけれども、全国各地で電力、それから、ガスに関しても自由化の説明会、広報をやらせていただいていますので、そういった成果も一部あらわれているのかなと思っております。

22ページ、電気の購入先の供給事業者を変更した方の理由というか、決め手になったこと、きっかけになったことを確認しております。電気料金が高いとか、今よりも安い料金プランが出たということで、価格に比較的関心がどうしても寄ってくるというところが見てとれるかなと思っております。

23ページ、スイッチングに関してどの程度手間がかかったのかということで確認をしておりまして、8割以上の方が、ある意味では、そんなに苦労なく供給事業者の変更ができたと答えております。我々としても、スイッチング支援システムなどを使って、事業者を変える時には、新たに供給先となる事業者に手続をすれば、今までの供給事業者に連絡をして廃止取次をするところで、需要家はワンストップで事業者の選択を変えることができる仕組みにしておりますけれども、そういうスイッチングのしやすさみたいなものも、実際変えた方から評価をいただくと、それなりに難しくなくスイッチングができたという状況になっているのではないかと思っております。

26ページ目以降に、我々のほうで制定をいたしました小売営業ガイドラインというB to Cにおいて電気の小売事業者が留意すべき事項、あるいは、こういったことをすると電気事業法上問題となる行為ですよというガイドラインを制定いたしましたので、その概略を載せさせていただいております。説明は割愛をさせていただきたいと思います。

27ページ目、消費者の皆様からの相談の状況ということで、国民生活センターさんとも、我々協定を、MoUを結んでおりまして、電力、それから、ガスに関してもですけれども、苦情の内容を共有するなり、あるいはその中で問題となり得るような一般性があるというか、普遍性があるような問題事例で多くの方に注意をいただきたいという案件に関しては、不定期ではありますけれども、その事案を公表するということもやっております。

そのような中で、国民生活センター、また、当方でも相談窓口を設置しておりまして、その相談件数の推移を書かせていただいております。昨年の4月の前後に相談件数がかなり多かったという状況かと思っております。それがある程度電気に関しては認知度も高まってきたということで、落ち着きつつあるのかなと。特に4月前後、これはいろいろなものが中身にあるのですけれども、電力自由化に直接関係するものだけではなくて、原子力の扱いに関する原子力政策に関する御批判みたいなものも含めてあったり、電力自由化と関係ないわけではないですけれども、東京電力のパワーグリッドのシステムの不具合があったものですから、あそこに関する問い合わせなどもあるということでございます。相談事例がこの右側に書いてございますけれども、我々としては、毎日この相談事例を集計いたしまして、特に問題がありそうな事業者に、電気事業法上の何がしかの問題となり得る行為があるのではないかと疑われるような事例に関しては、個別に事業者に問い合わせるなどして、その是正を日々図っているところでございます。

次のページ以降が、ガスの小売自由化でございます。ガスの自由化に関しては、今年の4月から全面的に自由化をするということでございますけれども、ガスの供給の仕組み、29ページに書かせていただいております。大まかなことはもうよく御存じかとは思いますけれども、LNGで外部からガスを調達してきてLNG基地の中で貯蔵しつつ、必要に応じて気化をして、そこに熱量調整をするためにLPを添加しながら、また、安全のために臭いをつけながら、導管に通して各家庭に供給していくというのが都市ガスの仕組みでございます。右側に都市ガス、簡易ガス、LPガスの需要家件数を書いてございますけれども、大体ガスの需要家の半数程度が都市ガス、残りがLPガスといったようなイメージでございます。

ガスに関して、30ページ目が自由化の経緯ということで、これも段階的に自由化の対象需要家を拡大してきているということでございます。実はガスの自由化のほうが電力の自由化に先立って行われたものでございまして、平成7年に大口需要家に対する供給の自由化を始めた。この時点で、既にガスの販売量ベースで言うと、約半分の市場が開放されていたということでございます。それから20年強をかけて全面自由化を今年の4月から行うということでございます。

では、全面自由化によってどの程度の市場が開放されるのかというのが、31ページ目でございます。需要家件数は先ほど申し上げた2,600万件程度ということでございますが、金額ベースに直しますと、おおむね2.2兆円の市場が開放されるということでございます。

ガス市場、都市ガス市場全体では5兆円程度でございまして、東京、大阪、東邦ガス、3大ガス会社の市場規模がそれぞれ書いてございますけれども、この中で開放されていくということでございます。

32ページ目以降ですけれども、我々が今年の4月に向けて、もう来月でございますが、来月の4月1日からの完全自由化に向けて取り組んできている中身を御説明いたします。マル1からマル5までございます。まず、小売事業者の登録の審査でございます。これまでに45社の申請がございまして、36社の登録がなされたというところでございます。

マル2といたしまして、ガスに関しては電気と異なりまして、これももう御承知かと思いますけれども、今年の4月から経過措置料金が課される事業者と、経過措置料金規制料金がなくなる事業者とございます。その指定の審査基準、これは資源エネルギー庁のほうで、ガスシステム改革小委員会等で議論をして制定されたものでございますけれども、それに基づいて、昨年の11月でございますが、経過措置料金が課される事業者の指定ということで、一般ガス事業者として12事業者、簡易ガス432事業者ということで指定をさせていただいております。

それから、我々のほうで今度は電気のほうでも先ほど申し上げましたけれども、小売営業、B to Cのガイドライン、それから、適正取引に関するルールの整備ということで、これはB to Bの取引に関する公正取引を確保するためのガイドラインを制定いたしました。これが昨年審議をいただきまして、今年の1月から2月にかけて、このガイドラインの整備を行ったというところでございます。

マル4としまして、託送供給約款・託送料金の審査ということをさせていただいております。

また、自由化の広報については鋭意利尻組んできている状況でございます。

33ページ目、34ページ目、35ページ目が先ほど申し上げた小売の登録申請等の状況でございます。申請が45社、36社が登録済みということであります。ただ、ここに書いてございますけれども、一般家庭の供給予定「あり」というところと、従来の大口供給をやっていた事業者が免許の書きかえではないですけれども、従来、届け出でできたものが、大口供給も登録が必要になりますので、そのための登録ということで一般家庭の供給の予定がない事業者と分かれております。どうしてもなるべく多くの事業者に小口分野にも入っていただいて、競争いただくのが大事かと思っております。

36ページ目、これが先ほど申し上げた経過措置料金の指定に関する基準でございます。指定基準として、これは左側に書いてございますけれども、その域内の都市ガス利用率、まず、そのストックに関する判断基準ということで、域内の都市ガス利用率を見まして、それが50%未満ということであるならば自由料金、50%超ということであるならば、直近のフローで他のエネルギー事業者と都市ガス事業者が需要家をどのように獲得し合っているかということで、一定比率以上であるならば規制料金が必要ということで、経過措置料金が必要な地域として指定されるということでございます。どういう事業者が指定されたかというのは、右側にある12社ということであります。

37ページ目が、これも先ほど申し上げましたガイドラインです。ガスの小売営業に関する指針、適切なガス取引に関する指針ということで、対消費者との関係では、小売営業に関する指針が特に重要かなと思っております。

38ページ目から40ページにかけて、小売営業に関する指針が書いてございます。大きく5つの柱で需要家への適切な情報提供というのと、営業・契約形態の適正化、39ページ目、契約内容の適正化、それから、苦情・問い合わせ対応への適正化、最後に契約の解除手続の適正化、これが小売営業ガイドラインです。

その後の40ページが適正取引ガイドラインでございます。ガスの小売事業者には、標準メニューを公表するのを望ましい行為とするとか、あるいは、契約を締結するに当たっては、書面交付、説明義務、これが課されていて、しっかりと需要家が何を負担するのかは契約段階で説明をすることといったものが事細かに書かれている状況でございます。こういったガイドラインの説明会も全国各地でやっておりまして、事業者に関しては、この実態をしっかり遵守していただく。特に既に始まっていてやっていますし、各家庭にも届いているかと思いますけれども、4月から規制料金が外れるところというのは契約の性格が変わりますので、その規制料金ではなく、自由料金になるということは、需要家にちゃんと4月1日前にガス小売事業者が説明をすることとなっております。この辺についても業界団体あるいは直接事業者に我々は注意をして、これは守られないと法令違反でございますので、しっかり対応いただくということで指導させていただいているというところでございます。

41ページ目、先ほど申し上げた託送約款の認可のところでございます。これは料金審査専門会合で本省所管のこの3事業者に関して審査させていただいていて、それぞれの申請額から一定程度の減額ということで査定をさせていただいている状況でございます。

42ページ目、43ページ目が、ガスの小売営業の小売事業の競争の本格化ということで、なかなか電力と比べると、どうしても新規参入の数が少ない状況ではございますけれども、幾つかの事業者の登録がございます。また、関西地域などでは、相当程度しのぎを削るようなメニューの提示のし合いが見られ出しているというところでございます。こういった競争環境を引き続き整備できるように、我々としても市場をしっかり監視していきながら、必要な措置等があれば検討していきたいと思っております。

43ページ目が、小売の自由化がこの4月からではございますけれども、現時点で登録をされている事業者に関して、営業活動をやって契約の申し込みは受け付けておられますので、その内容をヒアリングして確認したところでございます。全国で約6万件の申し込みがあったということでございます。これは、関東に関しては、最近はニチガスがかなりCMなどもやりながらやっておりますが、東京電力EPさんも7月には参入をという話も漏れ聞こえてくるところでございます。関東での競争もそれなりに今後進展してくるかなと思いますし、ニチガスは、先ほどの1ページ前の資料を見ていただくと、子会社あるいは提携会社と組みまして、東京ガスの管内で、相当程度ガスの販売をしていこうという計画は持っておられます。従来、東京ガスから卸を受けていたガスを、東京電力からに全て切り替えるという形で、東ガス管内あるいは東ガスとネットワーク、導管がつながっている都市ガス事業者のところに参入して、需要家を獲得していく努力をしていくということでございました。

その他ということで、45ページ目、46ページ目、我々が対消費者との関係での自由化説明会なりあるいは専用のコールセンターの設置などに取り組んできたことを概括的に書かせていただいております。各種説明会の開催だけ申し上げますと、上に書いてございますけれども、これは電気のときからそうですが、ガスに関しても昨年の10月以降、全国10カ所で消費者向けの説明会、それから、事業者向け説明会、さらには先ほど申し上げたガイドラインの説明会を開催してきているところでございます。

46ページ目、これは自由化広報の、今、申し上げたような中身が書いてございます。電気に比べてガスのところがまだ認知度が十分ではないのではないかなどという声も一部には聞こえてきますので、我々としてはしっかりと広報にも取り組んで、認知度を高めていきたいと思っております。

以上でございます。

○井手座長代理 ありがとうございました。

それでは、残された時間で御質問あるいは御意見のある方はお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

私から、旧電力会社の電力会社が域外の家庭用にどのぐらい出ているかという数字はどこかにありましたでしょうか。

○電力・ガス取引監視等委員会事務局佐合取引監視課長 今、手元にはないのですけれども、ございますので、後ほど事務局経由でお渡ししたいと思います。正確ではないのですけれども、概略を申し上げますと、域外の家庭部門に対する出方というのは、かなりまだ限定的でございまして、その中でも比較的東京電力EPが各地域に出つつあるかなという状況でございます。出ている地域としては、東京、それから関西がメーンという状況でございます。

○井手座長代理 白山委員、どうぞ。

○白山委員 非常に素朴な疑問なのですが、この23ページで、スイッチングした人の手続はどうでしたかというアンケート調査、委託事業でやられているのですかね。スイッチングをしない弊害とか、何が弊害になっているのかみたいな、そういうものは調査したりしたものはあるのでしょうか。

○電力・ガス取引監視等委員会事務局佐合取引監視課長 なぜ事業者を変えないのですかということですか。

○白山委員 母集団をどうとるのかは難しいのですけれども。

○電力・ガス取引監視等委員会事務局佐合取引監視課長 今回の調査でスイッチングをした人、スイッチングをしなかった人にも確認はしておりまして、お手元にはないのですけれども、スイッチングをしなかった方の中では、思ったよりも自分の使い方からするとメリットが感じられなかったとか、そういう答えがあったと記憶しております。

○白山委員 いずれにしても、そういうアンケートをこの委託事業の中でとられているということですね。

○電力・ガス取引監視等委員会事務局佐合取引監視課長 おっしゃるとおりで、スイッチングした人よりもスイッチングしなかった人がなぜスイッチングをしなかったのかというほうが、多分、スイッチングを促すという意味ではポイントになってくるというのは御指摘のとおりだと思います。

○井手座長代理 矢野委員、どうぞ。

○矢野委員 御説明ありがとうございます。

27ページの相談の状況について説明がされていますけれども、相談事例は指針の変更につながったことがあるのかどうか、それをお聞かせいただきたいです。それが1点目です。

比較サイトについては調査をされているのかどうか。なかなか比較サイトのことがそんなにまだ活用もされていないし、比較サイトのそれぞれの業者にもそれぞれに問題はあると思うのですけれども、それが2点目です。ひとまずその2点でお願いします。

○井手座長代理 では、2点、どうぞ。

○電力・ガス取引監視等委員会事務局佐合取引監視課長 この苦情相談で来た中身によってガイドラインを改定した事実はございません。ガイドラインに沿って問題がありそうな事例があるかどうかというのは、これに基づいて問題がありそうであれば、先ほど申し上げたように、個別に連絡をするなりしておりますけれども、ここに新しく出てきたもので、ガイドラインの改定まで考えなければいけないなという事案までは、まだ当たっておりませんので、そういったこともあって、ガイドラインの改定に直接つながったものはございません。

比較サイトに関しても、現時点で我々のほうでヒアリングをすることは何回かございましたけれども、それはどういう事業をやっているのかとか、どういうような考え方で料金メニューが出てくるのかということを任意ベースで確認はしております。ただ、御承知のとおり、我々のある意味では所管業種でもないものですから、我々の法規制が及ぶところでもないものでございますから、とりあえず彼らの取組をヒアリングベースで聞いたことはございますけれども、それ以上のことは現時点ではしておりません。

○矢野委員 追加で、スイッチングの目標値のようなものはありますか。

○電力・ガス取引監視等委員会事務局佐合取引監視課長 それは自由化のマーケットシェアをどうすべきかなどという御指摘をよくいただくのですけれども、我々として何%スイッチングが行ったらいいとか、何%シェアをとったらいいとか、そういう目標は、資源エネルギー庁も含めて定量的なものとして持っているものはございません。

○井手座長代理 古賀委員、どうぞ。

○古賀委員 どうも御丁寧にありがとうございました。

40ページのところに、適正なガス取引の指針の改正ポイントというものがあって、ガスの自由化を踏まえて、託送分野での導管事業者が導管網への接続の検討に関する情報提供を行うことを、望ましい行為と位置づけるとあるのですけれども、B to Bの関係になってしまうのですが、電力の場合の小売指針にもこのような規定があったのかどうかということです。

それから、託送を受ける、系統接続をする関係で、これまで監視等委員会にうまく接続させてくれないとか、そういう嫌がらせがあったとか、そういう苦情はこの間あるかどうかを教えてください。

○井手座長代理 いかがですか。

お答えできる範囲で、どうぞ。

○電力・ガス取引監視等委員会事務局佐合取引監視課長 電力のほうにも恐らくあったと思いますけれども、今、記憶が定かではないので確認をしたいと思います。それは事務局にお答えをしたいと思います。

託送の分野も、これはネットワーク事業監視課という別の課が所管をしておるものですから、そこにどういう形で相談が来ているかというのが正確ではない、私にはちょっと分からないところがあるのですが、恐らく正規の手続として何か苦情があるというよりも、相談的なことで、うまく話し合いが進まないとかという、そういうようなものは恐らく何件かは来ているのではないかとは思いますけれども、それはいわゆる行政の相談ベースというか、サービスベースの話で、そういったものが恐らく事実行為としてあるのではないかと思います。

○井手座長代理 古賀委員、どうぞ。

○古賀委員 例えば託送料金の中身とか、今後託送に政策コストを乗せるとか、そういうことについての相談というか、問い合わせの窓口はどちらか設けていらっしゃるのですか。

○電力・ガス取引監視等委員会事務局佐合取引監視課長 託送料に政策コストを乗せるというところは、資源エネルギー庁の審議会で議論されている話だと思いますので、そこは、そのための窓口を設けているわけではないと思いますけれども、資源エネルギー庁でもコールセンターのようなものはありますので、そこに何がしかのそういう問い合わせは入っていると思いますし、そこにしていただくというのが一つかなとは思います。

○井手座長代理 電気についても、多分適正取引ガイドラインで指摘があったと思います。

託送などについては、電気通信などでNTTの接続問題というのはいろいろなトラブルがあって、ただ、技術的な問題と言われるとなかなか解消できないところがあって、公取なのか、監視等委員会なのかという、その辺の対応がしっかりすみ分けではないですけれども、どちらでも窓口として機能するようにされたらいいかと思います。

陶山委員、どうぞ。

○陶山委員 ガイドラインや指針の中で問題になる行為が書かれているわけですけれども、そのとき、問題であると認定したときの、その後の動きをもう一度教えていただいていいでしょうか。

もう一点は、井手座長代理からもあったのですが、国民生活センターとは組織連携をしていきますよということですが、今後、公取などの情報共有あるいは意見交換等はどのように考えていらっしゃいますでしょうか。

○電力・ガス取引監視等委員会事務局佐合取引監視課長 公取との意見交換は、何か組織的に仕組みを作ってやるというところまでは別に議論はしておりません。必要に応じてやっていくということかとは思っております。

もう一つ、違反事例があったときというか、問題となる行為でございますけれども、それは中身次第でありまして、問題となるといって、ただ、問題になり得るだろうということですぐ分かれば、それは直ちに指導するとかということが一つございます。

それから、違法性が極めて強くて、法律上の業務改善勧告なり、そういった措置をとるべきということであるならば、それは報告徴収などをしながら必要な法律への措置をしていく。最終的には、これは資源エネルギー庁から業務改善命令というような法律上の措置を講じるということまであり得ます。ただ、ここで我々が日々監督、監視をしている中で出てきた事例では、消費者に対してこのホームページの書き方だと誤認が生じるではないかなどというようなものを、すぐ連絡して直ちに直してもらっているというような感じです。

○井手座長代理 陶山委員、どうぞ。

○陶山委員 先ほど電力の比較サイトについては特になかったというようなお話だったのですけれども、ガスの自由化に向けて消費者団体からのヒアリングの中で適正な比較サイトの必要性ということがいろいろな方から挙がってきています。そのときに、あくまでも指針の中では比較サイトにおけるガス小売事業者等以外の者による需要家の誤解を招く情報提供の訂正のような形で書かれているのですが、こういうところをしっかり、今の段階ではどこかが比較サイトを認証してというところまでは行っていませんので、ここに問題となる行為として挙げられていますので、ガスの自由化に対しては比較サイトの要望が高くて、このあたりは特に監視を強めていただけたらとは思っています。

○電力・ガス取引監視等委員会事務局佐合取引監視課長 ただ、先ほど申し上げたとおり、比較サイト自体は電気事業法でもガス事業法でも直接の対象事業者ではなくて、御承知のように、ここで書いてあるのは、そういったところに出ている情報、自社の情報で消費者に誤認を与えるようなものを放置してはいけませんと。放置してはいけないのは、ガス小売事業者であり、電気小売事業者なのです。その方たちのことを書かせていただいている状況でございます。

比較サイトの認証の仕組みとかというのは、これはこれで、なかなかしっかりと議論しないと軽々には判断できないと思っておりまして、どういう情報提供を比較サイト運営事業者がやるのかというのは、それはまさに民間事業者の方の努力でもあろうかと思っております。

また、電気・ガスの話でもありますけれども、一方で、消費者庁の中でもそういう一般的な価格比較サイトに関してどのような考え方でおられるのか。そういったところも議論させていただきながら考えていくべき問題だと思っております。

○陶山委員 承知しているつもりですが、今、問題となる行為を見たときにはどうされるのですかとお聞きしたときにそれなりの対応をしていくということでしたので、このガスに関しては価格比較サイト等についての監視を強めていただければと思います。

○電力・ガス取引監視等委員会事務局佐合取引監視課長 私が言ったのは、小売事業者のホームページなどでということなので、ここに関して事実行為として何かすることはできるかもしれませんけれども、ガイドラインに基づいて我々がそこに何かするということではないですね。

○井手座長代理 古賀委員、どうぞ。

○古賀委員 ちょっと抽象的な質問で、もしお答えをいただければと思っているのですけれども、例えば自然独占状態が沖縄電力みたいな場合ずっと続いて、全く競争が起きなかったような場合とか、そういう場合、独禁法との関係ではどう考えていらっしゃるのかということ。

それから、例えばこれからいろいろなエネルギーが一緒になったりしていくと思うのですけれども、その地域における独占の独禁法上問題になるようなことという、そういう基準のようなものは考えていらっしゃるのかということと、抱き合わせ販売に関してなのですけれども、ああいったものについて今後ガイドラインのようなものを具体的に作る御予定があるのかどうかということを教えてください。

○電力・ガス取引監視等委員会事務局佐合取引監視課長 多分、今、御指摘いただいたのは、ある意味ではほとんど公正取引委員会さんのほうの御判断の話かと思います。例えば沖縄の話で言うと、我々のところですと、確かに新規参入がまだない状況でありまして、市場もない状況なのですけれども、そういう状況で電源を沖縄電力が所有していて、新規参入者が入ろうとしたときに、なかなか自分の玉(ぎょく)が確保できないということであります。これは自主的取組という形ではあるのですけれども、従前から電源開発、J-POWERと沖縄電力が契約をしている卸電力契約に関して、一部切り出しというか開放して新規参入者に提供するようにとか、あるいは先ほど電力会社の方も言っていましたけれども、常時バックアップです。こういったもので、新規参入者になるべく玉(ぎょく)が手に入りやすいようにするとかということで、我々としては、彼らの自主的な取組のところをしっかり促していくということだと思っております。

そういう地域独占性みたいなところで、今まで規制の事業体系の中で地域独占が認められてきていて、この自由化の中で、今、こういう制度になっているわけです。そこに関して公取さんがどういう判断をされるのかというのは私のほうでは直ちに分からないですけれども、公取と適正取引ガイドラインを一緒に作っていますので、卸電力取引所に対して電力会社が余剰電力を持っているにもかかわらず、それを正当な理由なく提供しないで、それが新規参入を阻害するような効果がある場合には独禁法上問題となり得るということになっております。そういう意味では、電力の関係で独禁法的な考え方で整理がされているものは、今、申し上げたような適正取引ガイドラインの対卸市場との関係での中身に規制をされているというか、整理をされているということだと思っております。

ただ、幾つかのサービスと一緒に提携をして供給をするということは、電気の小売営業ガイドラインの中でも、例えば電気と通信をセットとしたときに、それを割引料金で提供する場合には、消費者に対して幾ら、どういう条件だと割り引くのかというのをしっかり説明しなくてはいかぬというような、消費者保護の説明責任は確保させていただいております。

でも、多分、御懸念は、そういうバンドリングでディスカウントをしたときに、そのディスカウントされた市場で公正競争が保てるかみたいな、そういう御懸念なのかと思うので、そこについての整理は我々のガイドラインではありません。多分、公取さんもそういうガイドラインはまだ持っておられないと思います。

○古賀委員 現実に判断するのは公取の判断ということになるわけですか。

○電力・ガス取引監視等委員会事務局佐合取引監視課長 事案によってだと思います。

○井手座長代理 一応、公正取引委員会はセット販売について考え方というものをまとめておりますし、セット販売についても日本の考え方とアメリカの考え方というのは、アメリカの帰属説という考え方もありますから、その辺はセット販売によっていろいろな競争が起きてくるので、多分今後の問題だろうと思います。

比較サイトについても、私の聞くところによると非常に小さな電気の小売事業者が、比較サイトに載せてくれと言ったら拒否されたという事例もあるようですので、本当に比較サイトが公正なものかどうかというのは、また、消費者委員会、消費者庁で対応すべき問題かもしれませんけれども、これも今後の課題だと思います。

もう一点は、私からですけれども、経過措置料金でありましたけれども、最近の新聞であった西部ガスで九州電力に対応して自由料金を下げるという、そのときに西部ガスは規制料金も残しているのですか。

○電力・ガス取引監視等委員会事務局佐合取引監視課長 経過措置料金はかからないですけれども、それは今までと同じメニューを残しているかということですか。

○井手座長代理 だから、原則規制料金は残してもいいという考え方なのでしょうか。そこのところを、絶対全部自由料金にするのか、事業者の判断で規制料金を残したままで自由料金を、そのときに自由料金を値下げするときに、だったら規制料金も下げたらいいのではないかという、そういう考え方も当然出てくるので、その辺の考え方も整理していただきたいということがあります。

○電力・ガス取引監視等委員会事務局佐合取引監視課長 御指摘のとおり、経過措置料金は規制料金が外れるというだけで、恐らく多くの事業者は今までの規制料金を標準メニュー的に提供されるのであろうと思っております。プラスして、そういう意味では、経営戦略にもよると思いますけれども、使用量の多い需要家のところは少し安目の料金を出すとか、いろいろな戦略をされると思うのですけれども、御指摘のとおり、そこは全体で、こちらを下げられるのだったらこちらも下げられるのだというところだと思うのですが、何分、そこは規制から外れてしまったところでもありまして、我々としては、この自由化された後、市場で実際に価格がどうなっていくのかは、一般的な市場監視と、特に市場シェアの50%以上をとっているような都市ガス会社は、特別な事後監視というところで、彼らの標準メニューがどのような値動きをしているかというのは、しっかり監視をさせていただくということになっていますので、その中で不当な値上げみたいなものが行われていないかは監視をしていきたいと思います。

○井手座長代理 もう一点だけ、少量需要家に今のところ全くメリットがない、これをどう考えているのか。選択肢もないという中で自由化が実施されているわけで、その辺を無視してもいいというのであればですけれども、どう考えているのかをお聞きしたいと思います。

○電力・ガス取引監視等委員会事務局佐合取引監視課長 もちろん、少量の需要家の方にもメリットが行くようにということで考えております。なかなか数は少ないかもしれませんけれども、かなり使用量の少ないお客さんでも、規制料金よりもメリットが出るメニューを提供している電力会社の新電力の方も、数は多いわけではないですけれども、いらっしゃるという状況でございます。そういった方たちの競争の中で下がっていくのが一つかなと思うのですけれども、すごく難しいところは、電気の3段階料金制で使用量の少ない方というところが、ある意味で、政策的にすごく料金が安く設定されているというところでございますので、そこの参入が、そこの需要家の方の選択肢も実質的に増えていく状況になっていくというのが、一つ、今後、電気の場合は経過措置料金を外すか外さないかということの判断の一つの要素にはなってくるのではないかと思っております。

○井手座長代理 ありがとうございます。

古賀委員、どうぞ。

○古賀委員 経過料金を外すときの判断なのですけれども、例えば今、経過措置の間は3段階料金で少量使用の方が価格的に保護されている側面があると思うのですが、外す段階において余りにも少量使用の方が、そういう3段階料金をとるような、標準メニューをとるような業者が想定できないような場合には、3段階メニューを推奨するようなことを行政としてするとか、考え方としてそういうことはあり得ないですか。

○電力・ガス取引監視等委員会事務局佐合取引監視課長 経過措置料金をどういう要件で外すか外さないかというのは、今後まさに議論していくところでございますので、その中で検討させていただきたいと思います。

○井手座長代理 矢野委員、どうぞ。

○矢野委員 経過措置料金を外すのは、一応2020年を予定されていますけれども、準備はいつごろから始まるのか、それを検討する委員会はどこなのか、所管するところはどこなのか、教えてください。

○電力・ガス取引監視等委員会事務局佐合取引監視課長 大変申しわけないですけれども、それもまだこれからでございます。

○矢野委員 どこでやるかもですか。

○電力・ガス取引監視等委員会事務局佐合取引監視課長 はい。

○矢野委員 でも、監視等委員会では。

○電力・ガス取引監視等委員会事務局佐合取引監視課長 それか、資源エネルギー庁もございますので。

○矢野委員 それさえもまだここでは言えない。

○電力・ガス取引監視等委員会事務局佐合取引監視課長 はい。

○井手座長代理 ありがとうございました。

予定した時間を超過してしまいましたけれども、議論は以上としたいと思います。電力・ガス取引監視等委員会の事務局の方々におかれましては、本日、大変お忙しい中、また、長時間にわたって審議に御協力いただきまして、大変ありがとうございます。感謝いたします。

≪4.閉会≫

○井手座長代理 それでは、事務局から連絡事項はございますでしょうか。

○丸山参事官 本日も御熱心な御議論のほう、どうもありがとうございました。

次回の会合につきましては、確定次第、御連絡をさせていただきます。

○井手座長代理 それでは、本日はこれにて閉会とさせていただきます。

お忙しいところを大変ありがとうございました。

(以上)