第24回 公共料金等専門調査会 議事録

日時

2016年11月30日(水)14:00から15:07

場所

消費者委員会会議室

出席者

【委員】
古城座長、井手座長代理、古賀委員、白山委員、陶山委員、松村委員、矢野委員
【消費者委員会担当委員】
蟹瀬委員、長田委員
【事務局】
消費者委員会 黒木事務局長、福島審議官、丸山参事官
消費者庁 福岡審議官、澤井消費者調査課長

議事次第

  1. 開会
  2. 東京のタクシー運賃組替え案に関する調査会の取りまとめについて
  3. 閉会

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

≪1.開会≫

○丸山参事官 それでは、時間になりましたので、会議を始めさせていただきたいと思います。

本日は、皆様、お忙しい中、お集まりいただき、ありがとうございます。

ただいまから「消費者委員会第24回公共料金等専門調査会」を開催いたします。

本日は、所用によりまして、山内委員が御欠席との連絡をいただいております。

また、白山委員が追って御到着ということで御連絡を受けております。

まず、議事に入ります前に、配付資料の確認をさせていただきます。

本日配付の資料につきましては、公共料金等専門調査会意見案のみとなっております。

お手元の資料でもし不足がございましたら、事務局までお申し出いただきますようよろしくお願いいたします。

なお、本日の会議につきましては、公開で行います。

議事録につきましても、後日、公開することといたします。

それでは、古城座長、以後の議事進行のほう、よろしくお願いいたします。


≪2.東京のタクシー運賃組替えに関する調査会の取りまとめについて≫

○古城座長 それでは、議事に入らせていただきます。

本日の議題は、前回に引き続き「東京のタクシー運賃組替え案に関する調査会の取りまとめについて」です。

前回の専門調査会では、取りまとめの意見案について、様々な議論が行われました。今回は前回の議論を踏まえた意見案の修正案について、改めて議論をしたいと思います。

まずは、事務局から修正案について説明をお願いいたします。

○丸山参事官 事務局でございます。

お手元の資料、こちらの「一般乗用旅客自動車運送事業(東京都特別区・武三地区)の運賃組替え案に関する公共料金等専門調査会意見(案)」を御覧になっていただければと思います。

こちらの修正点でございますけれども、まず、枠組みにつきましては、大きな修正はございません。以下、追って主な修正点のみ私のほうで御説明をさせていただきます。

まず、最初の固まりですけれども、前文のところ、「公共料金等専門調査会は」ということで、組替え案の内容ですとか審議の経過につきまして、ここの部分について変更はございません。

続きまして、「1.結論」でございます。

まず、こちらですけれども、前回お示しした資料につきましては、こちらの組替え案について「2.の中で示す理由により評価したい」という表現でありましたけれども、委員の皆様、多数からそのような表現ではなく、理解できるぐらいでというお話がございましたので、こちらにつきましては、組替え案について「方向性としては理解出来るものの」という形にさせていただきました。

それから、委員の皆様方から、やはり中長距離の運賃の値上げの必要性について、必ずしも明白ではないということで多数の意見がございましたので、そこの部分について「必要性については必ずしも明白ではないため」という形で加えさせていただきました。

こちら、続いて「丁寧な事後の検証や」の後のところですけれども、委員の皆様方から、中長距離の利用者の負担が増加するという、そこの対応の広報の重要性についてということで御指摘がございましたので、後のほうの理由のほうでも説明はさせていただきますけれども、そこで述べたことについて要約ということで、こちらについても「中長距離利用者への対応等を行うことが」とさせていただきました。

こちらのほうの「実施されたい」という文末にはなっていたのですけれども、そういうニュアンスではなくて、もう少し強目にという御指摘がございましたので、こちらについては「行うことが必要である」ということ。その次のところについても「検討をされたい」ということで、従前のものはなっておりましたけれども、「実施すべきである」という形で、文末の表現をさせていただきました。

2つ目の丸のところ、こちらのほうは従前、「しかるべき時期」にこちらについて状況の検証を行うこととしたいということになっておりましたけれども、古賀委員から、「しかるべき時期」ということについて、もう少し明確にという御指摘もございましたので、今回の案につきましては、「しかるべき時期」というところを「検証に必要なデータ等が整った段階で」という形で明示させていただきました。

続きまして「2.結論に至る理由及び課題」のところです。

初めのところの丸、従前の丸に「国土交通省の説明によれば」というようなことで、人口高齢化、訪日外国人の増加等に伴い、短距離でのタクシー利用の需要拡大が見込まれる云々ということで記載をしておりましたけれども、こちらにつきまして、少しコンパクトにということで、今回御提示させていただいたものにつきましては、この2.のところの2つ目の丸ということで、こちらの部分について説明をさせていただくことにさせていただきました。

同じく2つ目の丸のところですけれども、こちらは「長い間の慣行に基づくもので必ずしも合理的な運賃体系ではないとの指摘もなされており」ということで、従前はなっておりましたけれども、その後の「現行の初乗り運賃は国際的に見ても標準的とは言えないとの指摘もなされている」という形で移させていただきました。

それから、文末ですけれども、最初に述べさせていただきました「1.結論」のところで、「理解出来る」という表現でというお話をさせていただきましたけれども、こちらについても合わせるような形で「理解出来る」ということで表現をさせていただくとともに、従前については「変更は基本的には推進すべき取組と考えられる」というようなことになっておりましたけれども、そこまでの表現をするのはどうかということで矢野委員等々から御指摘がありましたので、こちらについても改めさせていただいたということになっております。

その次以下の丸ですけれども、こちらについては新たに書き起こしをさせていただいております。こちらのほうを読ませていただきます。

「しかしながら、本件タクシー運賃組替え案は、初乗り運賃を値下げする一方で、中長距離(概ね4km以上)運賃の値上げを伴う内容である。初乗り運賃の値下げは、上記の観点から望ましいものの、他方で、中長距離運賃値上げの必要性は必ずしも明白ではない。まず、値上げが妥当であるためには、総括原価方式の考え方に基づき、事業コストに適正利潤を加えた額の範囲内で値上げがなされることが必要である」ということで書いております。こちらについては、先ほど申し上げましたように、中長距離のほうのところの値上げのところについて、必ずしも明白ではないということと、必ずしも事業コストに適正利潤を加えた範囲内のところで値上げがなされることが必要であるということについて、今回、そういう形でなされていないということがあります。

下のほうの注のところで書いてありますけれども、今回につきましては、いわゆる総括原価方式という形ではなくて、今回は、収入増加を目的としない運賃組替え案であるということになっているということで、本来の考え方であれば、総括原価方式に基づいて公共料金ということで決める必要があるのではあるがというものについて、こちらのほうで示させていただいているということです。

その次の丸でございますけれども、こちらのほうも新たな文章でございますので、読み上げさせていただきます。

「仮に組替えにおける値下げが運送収入の減収をもたらす場合でも、これを相殺する限度の値上げ(運送収入増減中立運賃変更)が無条件に許されるわけではない。なぜなら、前回のタクシー運賃改定時(平成19年)から相当な期間が経過しているため、この間に事業コストが低下している可能性があり、この場合には、コストの減少によって運送収入の減少を相殺出来るので、値上げの必要がないからである」ということでございます。こちらにつきましては、古城座長からこういった形で必ずしも値上げという形については無条件で許されるわけではなくて、コストの低下の可能性があるということについて改めてということで指摘をするべきであるということでお話があったことを受けて修正したものです。

次の丸でございます。こちらも新しい文章でございます。

本件運賃組替え案においては、簡略な方法で、運送収入の増加がないことが推定されている。他方、前回改定時からのコスト低下がないことは、厳密には検証されていない。このため、不必要な値上げがなされるおそれもあるので、国土交通省は以下の措置を講じる必要がある。

マル1、運賃変更に伴う運送収入の増減に関する試算の手法の向上を図ること。

マル2、運賃組替え後、適切な時期に、運賃組替えの収入増減への影響を調査し適切な措置をとること。

マル3、併せて、前回改定時からのコストの低下がないことを確認し、説明すること。

なお、これらの措置を行った上で、国土交通省は、初乗り運賃や加算運賃の妥当性の再検討を行うとともに、併せて時間距離併用制運賃等の付随する運賃制度についても、現代の交通事情に適合したものであるかという観点から、必要に応じて見直すべきである。また、事業者による原価計算書の提出を省略した今回の手続きが妥当なものであったかについても検証する必要がある。

としております。

こちらにつきましては、従前から書いております例えば試算の手法の向上を図ること、それから、運賃組替えの収入増減への影響を調査し、適切な措置をとることということに加えまして、前の丸のほうでコスト低下ということについて明白でないということに言及していることから、コスト低下がないことを確認し、説明するこという形で加えさせていただいております。

「なお」以下については、従前のものについて、引き続き、こちらに記載させていただいているということです。

その次の丸でございます。

「中長距離運賃の値上げは、高齢者や病院通院者など、必需性が高い一方、経済的負担能力の乏しい利用者に不利益を与えることになる。その影響に配慮し必要な措置を検討すべきである」ということで記載しております。こちらについては、従前「1.結論」のところで申し上げましたけれども、中長距離の値上げを伴うということで、こちらの利用者に不利益を与えることになるということがございますので、その影響に配慮し、必要な措置を検討するべきであるという旨、記載しているというものでございます。

続きまして「3.留意事項」のところでございます。

初めの(運賃組替えに関する丁寧な周知)というところでございますけれども、変更点は、そちらの2つ目の丸のところの文末でございます。「また、幅運賃制度等、タクシーの運賃設定に係る制度全般についても、消費者の更なる理解向上を図るべきである」という形で記載しております。こちらについては、矢野委員から、消費者については幅運賃制度自体について知らない可能性もあるということで、そうしたことについての理解向上を図るべきという御指摘もあったことを踏まえて修正しているものでございます。

その次の丸で、こちらのほうは後でいわゆる長距離利用者についての留意事項という形で記載している関係で、それと、対比させるという意味で、見出しを(短距離利用者への適切なサービスの確保)という形でさせております。こちらの中身については、従前から変わっておりません。

2つ目の丸についても、内容については変わっておりません。

その次の(長距離利用者の負担抑制)というところでございますけれども、こちらについては、読ませていただきますと「長距離利用者の負担額の増加を抑制出来るよう、事業者間の競争等を通じて、迎車料金の割引や、配車サービス利用者への長距離割引等のサービスが充実することが望ましい」ということで、こちらのほうについては、陶山委員から同じような趣旨のことについては、従前のところについても記載があったのですが、長距離利用者についても、負担の何らかの抑制ということで、例えば配車サービスの利用者への長距離割引ということで、バーターのような形でサービス充実といったことで、こちらの配慮が必要なのではないかということで記載をしているということでございます。

その次の丸につきまして、こちらは矢野委員から指摘があったものでございます。「タクシーの利便性向上に向けて、例えば地域協議会等の場において、消費者の意見を聴取し、反映させる仕組みを更に充実させるべきである」ということで、(消費者の意見の反映)という形で記載の必要があるのではないかということで記しているものでございます。

その次につきましては、従前から修正点はございませんが、こちらの(サービス利便性の向上)のところの最後の丸のところでございますけれども、こちらを新たに加えております。

「深夜や早朝等、他の交通機関を利用出来ない時間帯において、運転手のシフト体系等に起因するタクシーの供給不足か顕著とならないよう、必要な対策を講じるべきである」ということで、矢野委員の御指摘を踏まえて、こちらのほうを加えさせていただきました。

最後でございますけれども、(持続可能な経営環境のための取組)のところでございます。まず、従前は賃金水準の低下ということで、運転手さんの部分について、懸念ということで記しておったのですけれども、必ずしも賃金水準だけではなくということで御指摘がありましたので、こちらはよりその賃金水準を含むような表現で「運転手の労働環境が悪化し」という形で修正をさせていただいたところでございます。

その後でございますけれども、「事業者の経営状況や」ということで、従前については、こちらのほう、「事後的な監視を十分に行う必要がある」という形で記しておりましたが、こちらについて、事後検証をということで行うべきであるという御指摘があったことも踏まえまして、こちらの部分については「事業者の経営状況や、運転手の労働環境にどのような影響があるか監視しつつ、一定の期間の後に事後検証を行うべきである」という形で記してございます。

ただ、その後でございますけれども、「ただし」以下ということで、「非効率な経営を行っている事業者や、サービスの質が十分でない事業者が市場からの退出を余儀なくされることは避けられないことであり、需給バランスの適正化にもつながることなので、これを妨げるべきではない」ということで、こちらのほうは古城座長、井手座長代理から、こういったことについても言及すべきであるという御指摘を踏まえたということで記しているというものでございます。

以上、主な変更点ということで、今回、修正させていただいたものについては私から説明をさせていただきました。

以上でございます。

○古城座長 ありがとうございました。

それでは、修正案について、御質問や御意見のある方は御発言をお願いいたします。

矢野委員、どうぞ。

○矢野委員 いろいろと意見を取り入れた取りまとめをありがとうございました。

1ページ目の「1.結論」のところの2つ目の丸なのですが、公共料金等専門調査会でヒアリングを含めて検証を行うこととしたいということなのですが、前回のときよりもより具体的にということで「検証に必要なデータ等が整った段階で」というようには訂正されましたが、これでもまだなかなか、検証に必要なデータはいつごろ整うのだろうかということが分からないので、もしめどとしてどう捉えたらいいか、あれば教えてください。

○丸山参事官 事務局でございます。

こちらについては、実際にこちらについて推進をしていただく国土交通省と御相談が必要になるかと思っておりますけれども、事務局の腹案といたしましては、当面ではございますが、少なくともということでの話でありますが、2019年の10月に、いわゆる消費税の引上げも予定されているということで承知をしております。その時期に少なくともということで、公共料金の消費税に伴う引上げということも予想され、当専門調査会でも公共料金の引上げについて、過去の類例を見れば、こちらで審議ということもやっておるということも踏まえまして、その時期には少なくともという形で考えております。ただ、状況によりましては、それよりも前にこちらについて検証ということもあり得るということで考えておりますので、ここの部分については、具体的な時期については国土交通省と御相談という形にさせていただければと考えております。

○矢野委員 2019年といいますと、あと3年後ということで、しかし、これが実施されてからの状況は非常に気になるところでありますので、一つには、今回のこの意見案が整った上で、消費者基本計画に恐らくこの公共料金としてのタクシー運賃の組替えのことが記載されると思いますので、消費者庁でもぜひ改めて消費者基本計画に追加で記載をしてチェックしていただきたいのと、消費者委員会では、基本経過のフォローを毎年行っていらっしゃると思いますので、ぜひ来年のところでまたフォローのときに国交省から何かデータがもらえるようであったら、そういったことも含めて、来年度以降の状況をつかんでいただきたいと思っております。要望です。

○古城座長 陶山委員、どうぞ。

○陶山委員 様々な意見の反映、ありがとうございました。

前回、今から申し上げることについてはお話をしていなかったのですが、もう一度資料としていただいたアンケート調査を読み返しておりまして気がつきまして、入れていただけたらと思います。

最後の「3.留意事項」のところの項目に、今日の資料ですと、4ページの一番上に(消費者の意見の反映)という項目がございますが、それと同じような形で(消費者が選択をするための情報提供)というようなタイトルにしていただいて、優良タクシーあるいは非常にサービスのよい会社については分かるような形で何らか評価とその情報提供というものが工夫できないかということです。これは第1回目に蟹瀬委員が、ハイタク協会から車体へのラッピング広告という提案がされたときに、会社を選んでいますからなかなかそういうことをしていただくと選択に困りますとおっしゃっていたことともつながってきますが、優良ドライバーは乗ってみてから分かるのですが、乗る前に選択のために何かそういう情報提供ができないだろうかということです。

もう一つ、(サービス利便性の向上)というところに迎車料金のことについて書き加えることができないだろうかという、これも御相談です。迎車料金というのはそもそも流してお客さんを拾ったり、タクシー乗り場で待ってお客さんを乗せていくということより効率的なのではないかと考えられるのですが、もし違っていたら教えていただきたいのですけれども、もしそうであれば、経営的にも効率的な配車の仕組みに対して、消費者も確かに利便性はありますが、この迎車料金をそもそも構える必要があるのだろうかという疑問で、この調査会の中でもしまとまれば、この迎車料金のあり方、それから、将来的にはなくす方向での検討といったことについて言及できないだろうかという、これは私からの意見で、少し意見交換をしていただいて、まとめられるならば、ここの(サービス利便性の向上)のところに入れられないか。

以上2点です。

○古城座長 関連して、古賀委員、どうぞ。

○古賀委員 別のことを言おうと思ったのですが、私も昨日見ていて、迎車料金のところが前回の資料にあったのが抜けていたことに気付いたものですから、前回「通院に利用する高齢者等、現行より運賃が高くなる場合でも引き続きタクシーを利用する必要のある利用者にとって、負担額の増加を抑制出来るよう、事業者間の競争等を通じて、迎車料金の割引等のサービスが充実することが望ましい」と、これがすぽっと抜けておりまして、やはり迎車料金については、高いか低いかとか、必要かどうかという議論はもちろんあると思うのですけれども、今回の(サービス利便性の向上)の中に2つ目の丸あたりですか、もし入れられるとすれば「高齢者、障がい者」というところがありますので、タクシー車両の改善を進めることということ、もう一つ、その後に「また、迎車料金の割引などについての取り組みを促進すべきである」という一文を入れていただくと、迎車料金について今後検討していただけるという形の提言になるのではないかと思いましたので、御検討いただければと思います。

○古城座長 よろしいでしょうか。

続けて、どうぞ。

○古賀委員 それから、いろいろ意見を取り入れていただき、ありがとうございました。

1ページの下から2行目、「1.結論」のところの2つ目のところの事後検証のような文章のところなのですが、このままでいいと思うのですけれども、「国土交通省による対応状況等のヒアリング」というところなのですが、国土交通省と、それから、タクシーの事業者からもぜひいろいろな意見をまた教えていただきたいと思いますので、「国土交通省等」と「等」を一つ入れていただけたらと思います。

○古城座長 でも、これは国土交通省にフォローアップしてもらって、それをこちらで十分かどうか見たいという考えなのですけれども、タクシーの事業者からは。

○古賀委員 タクシーの事業者からはしないということでしょうか。

○古城座長 はい。フォローアップするのはタクシー事業者ではないと。

○古賀委員 そういう考え方なのですね。

○古城座長 事務局、そういう趣旨ですね。

○丸山参事官 座長の御指摘のとおりです。

○古賀委員 分かりました。ありがとうございます。

「2.結論に至る理由及び課題」の2つ目のところなのですけれども、これは字句の問題で、大したあれではないと言われてしまえばそれまでなのですが、2つ目の丸のところの下から2行目、「これを正していく方向性」とこの正しいという字があるのですが、この正しいというのは間違いを正すとかそういう意味になってしまうので、「合理的な運賃体系ではなく」と言い切ってしまうのはどうなのかは私も自信がありませんので、この「正す」はむしろ質問の質の「質す」のほうが正しいのではないかと思いました。

それから、4つ目の丸のところで、ここにコスト減少で運送収入の減少を相殺できるから値上げの必要がないからだよというところの文章が私はちょっと理解できないというよりも、ここの「なぜなら」の前の文章との理由になっているのかどうかは疑問でして、むしろ事業コストが低下していることの検証については、私たちは実際にはしていないし、これからできる方策について、次の丸のところで要望としてまとめているわけですので、ここの「なぜなら」のところは字句として削ってしまって、その次のところで、もし、「なぜなら」というところをどうしても入れたいのであれば、なぜならではなくて、「次で述べるように」という形にしていただくと、文章として非常にすんなり入るように思いました。

○古城座長 これは初乗り運賃の値下げで収入が減っているから、それを相殺するために中長距離を値上げして収入を上げてほしいと、こういうお話ですね。でも、コストが下がっているのだったら収入が下がっても問題ないではないかと。これがここの「なぜなら」のところの説明です。収入が減ったら困るから収入を中立的にしてくれという話でしょう。そうではなくて、収入が減ってもコストが下がっているのだったら収支の点では問題ないではないかということがここの説明です。

○古賀委員 では、これは今回の組替えについての、もしコストが減少しているのであれば、そこのところについては、議論はした上でこういうことを言っているということでいいのでしょうか。

○古城座長 収入中立という立場を消費者委員会はとっていない、コストが下がっていれば収入が下がっていても値上げの必要はないと、こういう理由です。

○古賀委員 分かりました。「なぜなら」というところがちょっと引っ掛かりました。

○古城座長 丸山参事官、どうぞ。

○丸山参事官 古賀委員から御指摘のありました「2.結論に至る理由及び課題」の2つ目の丸については「これを正していく方向性については」という正しくという漢字について、質問の質という形でというお話がありましたけれども、それですと、後ろのほうの「理解出来る」ということと結びつきが理解できなくなってしまうということもあります。あるいはこちらについては、いわゆる標準的とは言えないということで指摘もなされているということで、必ずしもこちらについて、コンセンサスを持ってこういう形で標準的ではないという形で言及はしておりますけれども、それについて、そういったものについて改めていくということについては、こちらの専門調査会で「理解出来る」というぐらいでよろしいのではないかということで、今までの議論の経過を踏まえてこういう形で考えております。

○古城座長 あと、いかがでしょうか。

蟹瀬委員、どうぞ。

○蟹瀬委員 ありがとうございます。

3ページの中距離運賃の値上げの部分なのですけれども、中距離とその下に(長距離利用者の負担抑制)という部分が、一番下に留意する事項の中に書かれているのですが、この前の説明の中に、中距離よりも長距離の方は法人が多いという発言が、事業者のほうからあったかと思います。だから、高くなっていいのだということにはならないと私は考えていますので、基本的に法人だけをターゲットにして中距離を選んでいくのではなくて、中距離も一般の方が、特に地方の方などはお使いになるケースがたくさんありますので、そういう意味では、法人以外の利用者をターゲットにしたサービスを考えて提案をしていただくところに少し留意しておいていただければいいかと思います。

もう一つ、この前の説明の中に、定期券という考え方があったかと思うのですが、例えば迎車料金定期券的な新しいサービスがもし考えられるのであれば、そういった方向性でも何か考えていただけないかということが、ここに実際には足せないとしても、迎車料金について、もちろん値下げゼロということもあれば、それに対して、含めて定期券的な考え方があるのかどうか、サービスがあるのかどうか。それはその発言の中に入っていましたので、その辺のところもきちんと何かお答えがいただけるといいかなと思います。

○古城座長 あと、いかがでしょうか。

松村委員、どうですか。

○松村委員 前回休んだのに今さら言うのはなんなのですが。

○古城座長 抜本的なことは余り言わないでほしいのだけれども。

○松村委員 文章を変えてくれは言わないのですが、コストが下がっていればという議論は何を意図したものなのかが今一つよく分からないのです。まず考え方として、いろいろな業界で値下げ届出制が採られているときに、値上げのときには当然コストも含めて厳格に審査するけれども、値下げのときにはしない。しかし、何年も何年もずっと改定していないときに、コストが下がっているにもかかわらず、値下げ届出制にあぐらをかいて全然下げていないではないかと批判する。この発想が色濃く出ているのか。あるいは今回、申請が出ているけれども、これは値上げ値下げセットでレベニューニュートラル。したがって、これは値上げ申請ではないという格好で一応出てきているわけです。でも、値上げの部分があるのだから、値下げの部分はいいけれども、値上げの部分はコストが下がっているのだったらしなくてもいいではないかということが言いたいのか。もし後者だとすると、今後、同じような申請が出てきたときに、値下げはいいけれども、値上げのところはだめと言われたら、最初から改訂の申請を出さないということになりかねない。もし料金改定が合理的な変更だとすると、そういうことになったらとても困る。これはどちらを意図しているのですか。

○古城座長 両方です。だから、国土交通省の運賃切り上げという話は多分、運賃値上げのときは総括原価で査定するというのだけれども、これは料金水準が上がったときにはそれに引っ掛かるけれども、これは料金水準が変わっていないのだからオーケーではないかと、こういう考え方ですね。そういう考え方なのですけれども、一応それは認める。だけれども、これだけ大きく原価が変わっている可能性、非常に長い間見直していないときは、必要だったらそのときに値上げ部分を捕まえて総括原価でやってもらう必要があるなという考え方です。

○松村委員 これだけ長く改定されていないことが前提でこういう表現になったということですね。分かりました。

○古城座長 そうです。だから、ここの検討も、国土交通省に話して、国土交通省は簡単に言えば原価は下がっていないよという資料を出してきているのです。非常に簡略な資料で、いろいろ不思議なところがあって、それは必ずしも納得できていないということで今度の結論に至っているわけです。だから、値上げ申請を認めた直後に組替え申請が出たときは、それはうるさくは言わないということですね。

○松村委員 分かりました。

○古城座長 陶山委員、どうぞ。

○陶山委員 細かいところになってしまいますが、3ページの上の最初の丸のところで、中長距離運賃の値上げはその影響に配慮し必要な措置を検討するべきであるという課題に対して、3ページの一番下の(長距離利用者の負担抑制)のところを書いたという御説明をされたと思うのですけれども、上のほうは中長距離の運賃の値上げに対して配慮を検討ということなのですが、下のほうは長距離だけになっている。「中」は削除されているのですが、これは、中距離は我慢できる程度という判断で、「中」は削除されているのでしょうか。

○古城座長 これは「中」も入れたほうがいいですね。

○陶山委員 はい。入れたほうがいいと思います。

○古城座長 あと、いかがでしょうか。

井手座長代理、どうぞ。

○井手座長代理 全般的に今回の意見案については、異論はありません。あえて言うならば、4ページのところの一番最後の「さらに運賃規制全般について、消費者の利益となるような柔軟な運賃設定を事業者が工夫して行うことを必要以上に妨げるような硬直的な仕組み」と。タクシーは硬直的な仕組みなのだと思いますので、必要以上に妨げていると私は理解しているので、事業者が創意工夫して柔軟な運賃設定ができるような状況を作らないといけないと思うので、「必要以上に妨げるような硬直的な仕組みとなっていないか」という問いかけではなくて、できればもう「創意工夫して柔軟な運賃設定ができるように運賃全般について更に検証していく必要がある」、こうしていただけるとありがたいです。

以上です。

○古城座長 すべきであるということですね。

あと、いかがでしょうか。

蟹瀬委員、どうぞ。

○蟹瀬委員 (持続可能な経営環境のための取組)の中の、運転手の労働環境が悪化するというのは、どの辺までおっしゃっているのですか。「仮に」というところから経営が圧迫されたら運転手の労働環境が悪化すると書いてありますが、仮説ですが、短距離輸送によって、運転手の労働は過剰にはなりますね。結局、同じ距離で730円取れていたのが、410円しか取れなくなると、730円取ろうとすると、2回乗客を乗せなければいけない。運送人数は増えますね。そうしたら、悪化するという意味は、止めてお金を払ってもらって、また拾えるまで走るというような話がやってくると、今よりも初乗りが安くなるわけですから、消費者にとってはすごくいいけれども、労働する運転手さんのほうにとっては、過剰な労働が入ってくると書いていらっしゃるのか。私は運転手さんたちのお話を聞いたときに、もうからなかった、要するにやったけれども利益が上がらなかったら悪化するということではなくて、この変化によって運転手さんの負担が増えてくる。それに対して健康管理とか彼らに対するきちんとしたギャランティーがされていないと、サービスは悪化しますというように書いていらっしゃるのですか。

○古城座長 丸山参事官、どうぞ。

○丸山参事官 修正の意図を申し上げますと、従前の前回お示しさせていただいた意見案のところでは「賃金水準が低下」という形で書かれておったわけですけれども、それ以外にも例えば運転手さんの働く時間などについても考えられるということで、より包括的な形で表現をということで、こちらを「労働環境が悪化」という形で修正させていただいたという趣旨です。

○古城座長 運転手さんもタクシー業界もいろいろなことを言うのですけれども、台数削減のときは結局お客さんがいないから暇で走っていて無駄なことばかりやっているから過剰だと言って、暇だ暇だと言って、初乗りを下げるとどんどん乗っかってきて、忙しくなって、過剰になると言うのですけれども、暇だったら、今より適正に忙しくなってとても刺激があって良くなるので、次から次へとお客さんを乗せなければいけなくて大変だという状況からは、今はほど遠いと私は考えているのです。もうちょっと実車率が上がってきて、それでも初乗り運賃を下げろと言われたらそういう話も出てきますが、今はそういう状態とほど遠い状態で、車が余って余ってしようがないのだから、初乗り運賃を下げて少し実際働いてくださいと、こういう状態ではないのでしょうか。そういうようにタクシー業界の方は、普段はおっしゃっているはずですよ。

あと、いかがでしょうか。

長田委員、どうぞ。

○長田委員 先ほども御指摘があった迎車のところが、長距離のところに迎車料金のところが書かれていますね。それをその後の(サービス利便性の向上)のほうへというお話がありましたけれども、全体に(短距離利用者への適切なサービスの確保)のところにあるタクシーが捕まりにくいとかというのは、中長距離の人にとっても、そこはもしそういう状況になるのだとしたら、変わらないのではないかと思うのです。そこをわざわざここで書き分ける必要があるのかどうかが、短距離利用者にとってタクシーが捕まりにくい状況がもし起きたら、それは乗車拒否という場合は別として、乗り場の待ち時間が増加というのは、短距離であろうと中長距離であろうと、同じなのではないかと思うので、そこは配車や迎車のところと同じように、一緒に書いてもいいのではないかと思いました。

○古城座長 それは整理します。

あと、いかがでしょうか。

井手座長代理、どうぞ。

○井手座長代理 もう一点だけ、4ページのところですけれども、一番最後のところで(持続可能な経営環境のための取組)ということで、せっかく書いていただいているのですけれども、「運賃組替えの結果、仮に」と、私はここの文章は要らないのではないかと。というのは、国交省は収入中立的だと言っているので、組み替えてあえて運賃収入が減少したり、中距離で減少したりとかと、そのような心配をしてあげる必要はなくて、むしろ、将来的に値上げする言い訳を提供するだけの話なので、私は「このため」のところからの「今回の運賃変更について、国土交通省は、事業者の経営状況や、運転手の労働環境にどのような影響があるか監視しつつ」、これだけで私はいいのではないかと。せっかく作っていただいた文章ですけれども、値上げする根拠というか、理由を与えるような文言なので、ぜひこれは。

○古城座長 ここの部分をぜひ残したいという方はいらっしゃいますか。

矢野委員、どうぞ。

○矢野委員 消費者委員会で取りまとめる報告書というものは、消費者にとっても分かりやすい内容というのは大切なことだと思うのです。今、井手座長代理が言われた「このため」以降のところでは、非常にシンプルにまとまっているので、確かに運転手の労働環境にどのような影響があるか監視して検証を行うということですが、では、具体的にどういうことを想起すればいいのかというのはなかなか普通の消費者には分かりにくいのではないか。これがこの間、私もですけれども、予期されそうな収入減による労働環境の悪化の可能性もひょっとしたらあるのではないか。

それから、先ほど蟹瀬委員が言われた運転手の負担増による労働環境の悪化ということも、実際に動いてみないと分からないのですけれども、いろいろ想起される可能性はあるので、前半があれば報告書としては分かりやすいかと思います。私は、シンプルはシンプルなほうがいいのですけれども、分かりやすさという点では前半があってもいいかなとは思っています。

○井手座長代理 私はあえてするわけではないですけれども、常にタクシー運賃値上げのときに、ドライバーさんの収入が減少して労働環境が悪化した、それから、台数が増えたことによって重大事故が増えた、この2つがいつも出てくる理由なので、労働環境が悪化するというと、すぐ値上げという正当性というか、そういうことがあるので、収入が悪化しないと言っているのだから、別に事業者の収入というところまでこの消費者委員会で書く必要がないのではないかというのが私の意見です。

○古城座長 陶山委員、どうぞ。

○陶山委員 私は矢野委員に賛同する立場からお話ししたいと思いますが、最初の5行までのところ、ここでとどめると井手座長代理がおっしゃるような懸念もあるのですが、この労働環境の悪化、それはもう少し説明をしてもいいと思うのです。長時間労働あるいは賃金の低下ということを、労働環境ということ自体をもう少し説明をして、そのことが消費者の安全性あるいは利便性に密接に影響するのだというところに、消費者の利益のところに収れんをさせた書き方をしていく。そして、つなげていけば、少しは井手座長代理の御懸念を解消することになるかもしれない。

それから、ここの文章の最後のところには、需給バランスの適正化にもつながるということで、非効率的な事業者を市場から退出するということまでここで書かれているので、できれば分かりやすさから言えば、矢野委員の御意見のほうがいいのではないかと思います。

○古城座長 これはなかなか難しい話で、前回は需要が減って供給過剰になったから、実車率が下がったから値上げするという話ですね。確か収入が減っているから収入を増やしてやらなければいけないという話で値上げしたのですけれども、もう一つの考え方は、需要が減ったのだったら供給能力を減らしてくれ、ということ。コストを減らせば値上げの必要もなくて収支は均衡するのだからいいではないかと言うのですけれども、事業者は供給を減らさないでしょう。そうすると、コストは今まで通りで収入が減ったら値上げするしかないということで値上げを認めてしまったのですけれども、それが嫌だということなのです。だから、供給が過剰になっているのだったら、減らさなかったら当然、収入、経営状態も悪くなるし、労働者へ払うための余力もなくなる。それは自分の責任でしょうという考え方を採ると、消費者はお気の毒ですねと言って、高い運賃を引き受ける必要もないと。だから、役所のやることは、労働条件が悪いところを直接規制してそういうことがないようにする。安全性が損なわれたら、それを直接規制で規制してやらせないようにするということで、供給能力を削減しないのに、では、分かりましたよと過剰供給力のために収入を増やしてやる、収入単価を上げるというのはどうでしょうかという根本的な考え方があるのですね。だから、業界とか国土交通省の言うロジックに乗っかってしまうのはどうでしょうかと、こういう問題があるわけです。

長田委員、どうぞ。

○長田委員 この意見を最初から読むと、最初のところで、「初乗りは安くするけれども中長距離は値上げだよね」と言っているわけです。「場合によっては、コストは削減しているかもしれないね」ということも言っているのです。「だから、そんなに値上げしなくてもいいかもしれないことだってあり得ます」という論調で来ているのに、最後に突然ここで「仮に収入が減少するとか利用者が減少する」と書いていること自体は、私としてはすごく違和感がありますので、井手座長代理がここを削除というのは、私としては納得いたしました。そのほうが最初からの流れで、どこにもこういう心配事が書いていなかったのに、突然ここに現れるのはどうなのかなと思っていたので、私は井手座長代理に賛成です。

○古城座長 古賀委員、どうぞ。

○古賀委員 私は、ここは残していただきたいと思っているのです。やはり、私たちがタクシーに乗車するときには、先ほど古城座長が業界のロジックや国交省の、とおっしゃったのですけれども、非常にタクシー業界というのは公共料金としてはある意味特殊なところだと思いますので、消費者としても、そういう今、タクシー業界がどうかということについて、ある程度理解というのもおかしいのですけれども、健全化のための理解というか、その前提としての状況はある程度把握した上で、今回の意見を出したほうがいいように思っています。つまり、最初にこの初乗り運賃を下げることの本来的な目的を、今一つ、私も理解を完全にしているとは思えないのですが、初乗り運賃が下がることによってお客さんが増えるというか、乗りやすくなるということは一面真実だと思いますので、そういったことによって、そこのところで全体の収支バランスが健全にいけるかどうかは、これはやってみないとある程度分からないと思いますけれども、そういう一つのアイテムがつけ加わるというのは非常に消費者にとってはいいことです。逆に消費者が乗った場合に、実際に乗ると運転手さんとの一つ一つの運行の契約になるわけですけれども、気持ちよく乗るためには運転手さんの労働環境も含めて、業界の全体が健全化しているということが消費者にとって非常に安心になる。その意味では料金が明確であるとか、サービスしていただける環境があるとかもそうなのですけれども、その前提としては、労働環境が悪化しているというのは消費者にとっても逆にいろいろな不利益が起きる可能性があることです。

特にここで入れていただいていないのですけれども、運転者負担というもの、高速料金やクレジットを使った場合の手数料などが運転手さんの負担になっているという率が非常に高いというアンケートの結果もあるのです。そこのところは、ここまでいろいろ入れ込むことは難しいのですけれども、今回組替えという形で出てきて、そこまで話を広げるのはどうかということはもちろんありますが、前提としては、そういう労働環境の悪化やサービス改善については投資を、業界も含めてしてほしいということをここに入れることは意味があるようには思っています。

まとまりがなくて済みません。

○古城座長 蟹瀬委員、どうぞ。

○蟹瀬委員 最初から井手座長代理がおっしゃったように、私も「仮に」という言葉が非常に気になっていて、ここまで言わなければいけないのですかというところがとてもあるのです。総括原価で私たちはタクシー業界を見ているわけですから、経営状態とか運転手さんの労働環境というのは、基本的に業界がしっかり見るべきであって、「仮に」は収入が減ったからとか、これは全部収入が減ったらこんなにひどいことが起こるからという前提なのですが、そうではないでしょう。収入が減っても経費を減らせばどうにかなるでしょう。そういうことが経営なので、これを入れることによって値上げを容認してしまうという、何かそういう懸念がずっとあって、要るのかなとずっと考えていました。どちらかというと、後から「消費者委員会が意見に書いてくれたじゃないか」と言われそうな気がするので、要らないかなという気はするのです。

もし、消費者が分かっていないとするならば、総括原価というものがどういうものなのかを、多分消費者は全く分かっていないので、どういうときに消費者が不利益を被るのかということは書かれてもいいのかもしれないですけれども、必ずしも運賃を値上げして、利益が上がれば消費者にはいいことをしてあげるけれども、もし利益が上がらなかった場合は、もう一回値上げさせていただきますということを後押しする必要はないような気がするのです。総括原価方式が崩れない限りは、こういう言い方にならざるを得ないというところがあるので、どちらかというと、ここは外しておいたほうが将来のためにはいいかと思います。

○古城座長 井手座長代理、どうぞ。

○井手座長代理 問題提起してあれなのですけれども、運転手の労働環境というのは、多分先ほど座長が言われたように、需要が減っているときに供給も減らさない。つまり、タクシー会社としては、たくさん流しておくほうが一人一人の運転手の収入は少ないかもしれないけれども、会社としてはもうかる。駅のタクシー乗り場でも、会社としてたくさん車があればいい場所を取れるというところで台数を減らさない。それが全部運転手にしわ寄せが来るわけで、それは本来、会社のあり方の問題で、クレジットや高速料金を全部運転手に負担させる場合もあるし、そうでない場合もあるわけです。これは会社のあり方ということで、これまでの経験からすると、労働環境が運賃の上げ下げで非常に悪くなった、では、値上げしたときに労働環境が非常に良くなったかというと、そんなこともないわけです。それをちゃんと検証するのが国交省の役割だと私は思っているので、あえて言うと外したほうがといいということなので、全体のところで残したほうがいいというのであれば、それに対して異論は特にございません。

○古城座長 松村委員、どうぞ。

○松村委員 もうほぼ全ての委員が意見を表明しているので、私も申し上げます。私は長田委員がおっしゃっていることが論理的に正しいと思います。ここの文章はどう考えても前までのところと論理が一貫していない。消費者が安全性のこともとても大事に思っている、価格以上に大事に思っているということは事実だと思います。しかし労働環境が悪化したから事故が頻発するのだとかということは、可能性はあるけれども、やはり論理の飛躍がある。更にそれを消費者委員会が指摘しなければならないのか。これが厚生労働省の審議会ならば、それを真っ先に考えるのは自然なことだと思いますが、消費者委員会の報告書として、そのようなことを書かなければいけないのか。

更にそういうことを言い出すと、例えば電力料金の審査時に、労働者の環境が悪化したら、送電線の工事などで手抜きして、その結果として安定供給を損ねたら困るので、賃金は下がっては困りますと、そういうことを消費者委員会はずっと言ってきたのか。もちろん、消費者が電力の安定供給に関心を持っていることは間違いないことではあるけれども、そこまで因果関係の怪しい議論を今まで言ってきたのかということまで考えれば、どうしてここだけ突出して非論理的な構成にしてまで入れなければいけないのか。私には理解しかねる。井手座長代理と長田委員のおっしゃったことが正しいと思います。

以上です。

○古城座長 いかがでしょうか。

矢野委員、陶山委員、古賀委員、それぞれもう一回御意見を伺いたいと思うのですが。

○矢野委員 「仮に」以降のところは、突出して収入減がそのまま労働環境の悪化につながるというようにとられかねないような文脈になっているので、それが短絡的にそういう構成になってしまっているのですけれども、必ずしもそういうようには私も捉えていません。先ほども言いましたけれども、井手座長代理から提案のあった「今回の」以降のところの2行目のところには、労働環境にどのような影響があるかについても監視をすべきだということは明記をしているので、その前の「サービスの質や安全性に悪影響を及ぼすおそれもある」というのは、想定として懸念している部分もあるのですが。

○古城座長 これは、タクシーの事業が厳しいから労働環境が悪化するということを言うのですけれども、料金査定のときは十分な人件費単価を見込んで査定しているのですよ。それで、実際に事業者が運転手さんに払っている給料は、査定のときに見込んでいる料金よりも低いのです。どうしてかというと、査定された人件費を払わなくても運転手さんが集まるから、事業者は払わないのです。数字的には、それが実態です。

○矢野委員 多分、消費者の目に見えている部分が、タクシー労働者の一部の、劣悪といったらおかしいですけれども、ひどい状況があるということを間々耳にしたりするので、そういったことが結局はここへの心配の言葉になってしまって、要望としてなってしまっているのだと思うのですけれども、しかし、全体的なところが全て見えているわけではないので、私はここに「労働環境に」という言葉自体は残してあるので、そこでいいかなと思います。

○古城座長 それでは、これは妥協案ですけれども、運賃組替えの結果、収入が悪化して労働者の労働環境が悪化すると、私はそういう心配はないと思うのですが、そう書くと流れがおかしいので、ここは一応削除してもらって、別の項目を空けて、タクシー運転手の環境などというものには十分配慮されたいと。連関を切った上で消費者としての配慮というか、そういうものを一応入れるということで調整できませんか。それでいかがでしょうか。

○陶山委員 私も座長並びに井手座長代理がおっしゃることについて了解いたしました。今、座長がおっしゃったこととも関連してくるかもしれませんが、「このため」は削除して「今回の運賃変更について、国土交通省は、事業者の経営状況や」その次に「消費者の安全性の確保を考慮して、運転手の労働環境にどのような影響があるか監視しつつ」という、そこに「消費者の安全性の確保」という言葉を入れ込むということでいかがでしょうか。私はそういう変更で結構かと思います。

○古城座長 私の提案は、今回の運賃改定の結果、いろいろな労働環境の変化が起きるということをすごく懸念しているというニュアンスは取り除きたい。それで、消費者団体は運転手さんの労働環境のことは関心を持ったから、それは、もう一度繰り返しですが、別個に一般論として述べる。こういう格好で調整するということでいかがでしょうか。

○陶山委員 結構です。

○古城座長 そうしたいということが提案ですけれども、よろしいでしょうか。

○古賀委員 結構です。

○古城座長 ほかにいかがでしょうか。

それでは、全体的には意見案について賛成をいただいたと理解いたします。幾つか細かい点について、いろいろな注文がつきましたので、この部分について盛り込んで全体を良くするように修正いたしたいと思いますが、修正の仕方については、私に御一存をいただいてよろしいでしょうか。

(「はい」と声あり)

○古城座長 それでは、時間が早目になりましたけれども、本日の議論は以上といたします。

御協力どうもありがとうございました。


≪3.閉会≫

○古城座長 事務局から連絡事項はございますか。

○丸山参事官 本日は熱心な御議論、どうもありがとうございました。

今後の専門調査会の日程につきましては、確定次第、御連絡をさせていただきます。

○古城座長 それでは、本日はこれにて閉会とさせていただきます。

どうもありがとうございました。

(以上)