第33回 消費者安全専門調査会 議事録

日時

2017年7月31日(月)14:00から15:44

場所

共用第3特別会議室

出席者

【委員】
山本座長、藤田座長代理、市瀬専門委員、西田専門委員、村田専門委員
【消費者委員会担当委員】
河上委員長、大森委員、中原委員、樋口委員
【事務局】
黒木事務局長、友行企画官

議事次第

  1. 開会
  2. 第32回消費者安全専門調査会における議論の整理
  3. 報告書案について
  4. その他
  5. 閉会

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

≪1.開会≫

○山本座長 定刻になりましたので、ただ今から第33回「消費者安全専門調査会」を開催いたします。

本調査会を始める前に、配付資料のy確認を事務局からお願いします。

○友行企画官 議事次第の下のところにあります配付資料を御確認いただけますでしょうか。資料1から3となっております。不足がありましたら事務局までお願いいたします。


≪2.第32回消費者安全専門調査会における議論の整理≫

○山本座長 それでは、最初の議題は「第32回消費者安全専門調査会における議論の整理」です。事務局から説明を10分程度でお願いします。

○友行企画官 資料1を御覧いただけますでしょうか。裏表になっていると思いますけれども、前回の安全専門調査会における議論の整理でございます。

まず項目に第2とありますのは、報告書に対応している形で整理をしておりまして、最初のところの1番でございますが、事故情報を通知する参画機関が消費者庁に情報を通知するインセンティブについて考えることが重要ではないかといったような意見がございました。

2番目のところでは、技術を活用した分析により手掛かりはつかめるが、そこから先は人が分析することが必要ではないかといったような意見がございました。

3つ目のところでございますが、機関単位で見ると収集した情報の分析は行っていると思う。参画機関の人が集まって専門的な立場から事故情報データバンクに登録されている19万件のデータをどのように分析できるか、明らかにすべきではないかといった意見がございました。

次のところの1つ目でございますが、事故情報のオープン化の意義のところについては、消費者にとっての意義、事業者にとっての意義、行政にとっての意義もあるのではないかといった意見がございました。

第4の1つ目でございますが、将来的な課題と思うが、英語での公開などもできるようになるとよいのではないかといったような意見もございました。

2つ目のところでは、国際的なコード化を図ることができないか。日本の行政機関もしっかりと取り組んでいただいていると思うが、日本国内に閉じてしまっているのではないか。英語による事故情報の公開に取り組んではどうかといったようなことで、コード化について我が国がイニシアチブをとってはどうかといったような意見がございました。

次のところでございますけれども、おめくりいただきまして裏になりますが、第5の1つ目でございますが、事故情報の分析結果は、消費者教育機関とも連携をとって消費者に伝えることが重要ではないかといった意見がございました。

1つ飛ばしまして3つ目でございますが、事故に関する対策の効果について検証することが重要ではないか。例えば事故に関するキャンペーンを行うことで、どれだけ事故が減ったか把握することが重要ではないかといったことがございました。

4つ目でございますが、今回の分析結果は各委員から指摘が出ているが、その解決策についても明確に示せればよいといったような意見もございました。

全体を通してでございますけれども、消費者も事業者も事故情報を報告することで社会をよくすることができるのではないかといった意見がございました。

それから、この報告書の名宛人である消費者庁の取組について、しっかりとフォローアップすることが必要ではないかといったような御意見がございまして、消費者庁において報告書を受けた対応について、検討体制を整えることなどが重要ではないかといったような意見もございました。

3つ目のところにつきましては、報告書で対象とする事故情報について、その定義を明確にすべきであるといったような意見がございました。

最後のところでございますが、事故調等既存の機関とも連携して、事故情報の集め方を検討するとよいのではないかといったような意見がございました。

以上でございます。

○山本座長 ありがとうございました。

それでは、ただ今の説明の内容につきまして御質問、御意見のある方はお願いします。この件はよろしいでしょうか。

≪3.報告書案について≫

○山本座長 それでは、報告書(案)の議論に移りたいと思います。前回の専門調査会におきまして、報告書の骨子の案について議論をいただきました。その後、委員の皆様からそのときにいただいた御意見を基にいたしまして、事務局において骨子を見直すとともに、報告書の案を作成し、委員の皆様とも本日の専門調査会までの間、意見交換等をさせていただきました。

本日は、事務局から皆様の御意見を踏まえて、修正した報告書(案)について説明をしていただき、その後、審議をいただきたいと思います。

それでは、20分程度でお願いいたします。

○友行企画官 それでは、資料3を中心に御説明していこうかと思いますので、資料3を御覧いただけますでしょうか。報告書(案)になります。資料3は本体と、後ろに参考資料が付いておりますが、今日は本体の最初のところで御説明したいと思います。

まずめくっていただきますと、最初に目次がありまして、「はじめに」から始まりまして第1、第2、第3、第4、それから、第5が提言となっております。

めくっていただきまして1ページ目「はじめに」でございます。こちらでございますが、消費者庁においては事故情報については一元的に集約されております。平成29年3月末時点で、約20万件の事故に関するデータが蓄積されているというのが現状でございます。消費者庁では、これらのデータを踏まえまして、消費者に対する注意喚起を行う等、一定の取組を行っております。

今般、消費者委員会は、事故の未然防止等につなげていくため、データの一層の活用を図ることが可能ではないかとの問題意識に立ち、分析手法の充実の観点からテキストマイニング、人工知能、AI、統計的処理の活用の可能性に着目したわけでございます。

このため、消費者安全専門調査会において、データ分析の専門家である専門委員の方に御参画いただきまして、具体的に分析手法の検討を行ったものでございます。

本報告書は、これらの検討結果を中心に取りまとめたものでございます。

中身につきましてですが、第1では消費者庁が行っている収集、公表・注意喚起、事故原因の調査について整理しております。

第2では、まず安全専門調査会の専門委員による、実際に事故情報データバンクのデータを精査して行った検討分析結果をまとめております。それから、事業者による分析結果も紹介しております。

第3では、事故情報の公開の考え方について整理しております。

第4では、海外における事故情報の分析・活用の方策について、アメリカを中心に紹介しております。

第5では、事故情報の更なる活用に向けた消費者安全専門調査会のとしての提言をまとめております。

1ページおめくりいただきまして2ページでございますが、第1の「行政機関等における事故情報の活用等」でございます。

1は「事故情報の収集」でございまして、図表1-1にありますように、消費者庁に事故情報が一元的に集められているというような現状を紹介しております。

4ページ目でございますが、(4)に「医療機関ネットワークにおける事故情報の収集」がございます。こちら今回は分析の対象とはしておりませんが、庁ではこういった情報も集めているところでございます。

5ページ目でございますが、2の「事故情報の公表及び注意喚起」というところでございまして、消費者庁などに一元的に集まってきたデータに基づきまして、安全法に基づく公表ですとか、消費生活用製品安全法に基づく公表などを行っているという現状でございます。

おめくりいただきまして6ページ目の3でございますが、「事故原因の調査等」というところでございまして、例えば(1)にありますように、消費者安全調査委員会による事故等原因調査を行っていたり、(2)では独立行政法人製品評価技術基盤機構(NITE)による分析なども行われていたり、7ページのところでございますが、国民生活センターにおいても商品テストなどを実施するといった形で、事故原因の調査等が行われていることを紹介しております。

以上が現状でございまして、8ページ、9ページを見ていただきますとコラムといたしまして、独立行政法人日本スポーツ振興センターにおける事故情報活用の取組を紹介しております。

こちらの日本スポーツ振興センターの業務としては、(1)として災害共済給付に関する業務として事故情報を集めているのが1つと、あとは集まってきたデータを基に学校安全支援に関する業務ということで行っております。この図表1-4にありますように、全国約7万3,000の学校等から年間100万件以上の事故情報が、ここの災害共済給付業務の災害事例データに集まってきておりまして、日本スポーツ振興センターでは、それを調査研究したりですとか、情報提供するような形で活用してございます。

こちらの情報の収集ですとか、活用といったことにつきましては、後ほど出てまいります西田専門委員の分析の元データになっているところでございます。

11ページは、事業者における事故情報に関する取組ということで御紹介しております。事故情報について事業者においても事故の再発防止などに活用する取組が見られるということでございまして、ここでは3社ほど御紹介しております。コラムという形で1つ目がTOTO株式会社の取組を紹介しておりまして、12ページではアイリスオーヤマ株式会社における取組、13ページでは株式会社バンダイの取組でございます。3社とも扱っている商品がそれぞれ違いまして、特徴的な情報の集め方ですとか、活用の仕方ですとか、分析の仕方をしてございまして、こちらは参考にということでコラムとして掲載しております。

14ページから第2に入りますが、「事故の未然防止等のための事故情報の更なる活用に向けた分析」でございまして、1の「専門委員における分析」で、こちらは前々回に委員の皆様方からそれぞれ御発表いただきましたけれども、それをまた委員の先生方に文章としてまとめていただいたところを整理してまとめております。

最初のところは「事故情報の流れから見た効果的な仕組みの構築」というところで、藤田専門委員に御発表いただいたことと、新たに執筆いただいたところを整理しております。アの「検討方法」から始まっておりますけれども、図表2-1でシステム全体の流れを押さえていただきまして、思考展開法というような方法で分析したということが御発表にありました。藤田座長代理は15ページの下のところにありますように、「課題の抽出と解決策」で大きなテーマとして活用できる事故情報を作るということと、事故情報の活用のシステム化という、この2つのテーマを掲げていただきまして、それぞれについて整理していただきました。

16ページを見ていただきますと、まず1つ目の活用できる事故情報を作るというところで、ここの課題と解決策を表のところに簡潔にまとめていただいております。企画テーマというものが、一番左側にあります活用できる事故情報を作るというところですが、それについての解決策として幾つか並べて書いていただいておりまして、例えば事故の簡潔表現モデルですとか、真ん中辺りの対象者別フォーラムといったところは掲げていただいておりまして、こちらについては後ろの方に具体的なものを掲載していただいております。

もう一つのテーマであります事故情報の活用のシステム化につきましては、18ページの表にまとめていただいておりまして、こちらにつきましても企画テーマは事故情報活用のシステム化。解決策としてポイント制や表彰制、体験型テーマパークというものも具体的に挙げていただいております。こういったテーマに沿った解決策を掲げていただいておりまして、全てをここでは御紹介していただいておりませんが、その中で例えば事故の簡潔表現モデルというところにつきましては、19ページの下のところから先生の御説明が始まっておりまして、簡潔表現モデルはこういう考え方でございますということで、特性と制約、要因、結果に分けるという書き方でございまして、具体的には20ページを見ていただきますと、こちら御発表にもありましたけれども、例えば子供が自転車に乗っていて坂道を下っていたら、前方に壁があるのでブレーキをかけたが十分に効かず、壁に激突して負傷したといった事故があったときに、特性に注目した発表の仕方も1つありますねということで、この場合の特性は「ブレーキをかけたが、十分に効かず」であって、そこを深掘りすることによっていろいろ対策が深まっていったり、予防の知識が深まっていくというような御発表でありました。

その後、そのほかに藤田座長代理の御発表としては、21ページから仮想カタログを利用した具体化というような御説明がありまして、このカタログというのはチラシですとか、説明書といったような意味でございますけれども、具体的にここのページで藤田座長代理の御発表のところで御紹介していただいていますカタログにつきましては、27ページから始まっておりますが、消費者事故フォーラムといったことを御紹介していただくというところと、29ページでは消費者事故の体験型テーマパークというところで、くらしの事故をわかりやすくお伝えしますといった題名がついていたりですとか、31ページのところでくらしの安全掲示板と安全情報マイスターということで、情報を蓄積するやり方と、情報をより集めるといった仕組みを考えることで、安全情報マイスターというものを考えてはどうかということで御提案いただいておりまして、藤田座長代理には情報を全体的に見ていただきまして、こういった具体的な提案をいただいてございます。

33ページからは村田専門委員の御発表のところでございまして、「事故情報データの品質向上に向けて」でございます。村田専門委員は統計の御専門家でございまして、この統計的に処理するといったことを考えるに当たって見ていただいたのですけれども、まず目的のところでございますが、データの品質を検証していただいて、検証結果からデータの有用性を高める方策を検討するといったことでやっていただいております。こういったことをすることによって、適切に分類して検索・集計を可能とすることができる。利用者ニーズの適合性が向上して、利用の拡大が期待されるといったようなことで、目的のところにデータ品質の向上に向けるとこういったことが可能となりますといったことをたくさん御紹介していただいております。

具体的な提案といたしましては33ページの(ア)から始まりますが、「項目の収録状況」を見ていただいておりまして、事故情報データバンクは各機関で持っているデータベースの項目に基づいて、事故情報入力することを基本としているため、参加機関ごとに医療項目に差異が生じている。このため、参画機関を通して共通して入力することとされている項目は限定されている。そこで研究者、行政機関等利用者、一般利用者などのニーズを把握して、入力を推奨する項目を明確にすべきではないかという御提案をいただいております。

34ページを見ていただきますと、(イ)の「収録の形式」などにつきましては、発生日についてのことでございますけれども、御発表でもございましたが、今いろいろな書き方になっているところを例えば改善してはどうかというような御提案もあったところでございます。

ずっと先に進みまして36ページでは「クロス集計」ということで、統計の御専門家でございますので、1つクロス集計というものを具体的に示していただいたところでございます。そのような御発表がございまして、38ページの下の(カ)は「データ収録内容に関するその他の課題」でございまして、統計の専門家としてデータを見ていただきまして、幾つかの課題があるということで御指摘をいただいております。例えば商品などの分類に関することでございますとか、39ページは被害者の年代に関することでございますとか、具体的に御提案をいただいているところでございます。

40ページにまいりまして、次は事故情報の活用等のあり方について言語解析技術ということで、相澤専門委員からいただいた発表を基に整理しているところでございますけれども、相澤専門委員は言語解析技術の御専門家ということで、言語解析技術を活用した分析を行うということで、分類項目の網羅性や整合性を調べたり、実際にデータを見ていただいていろいろな御提案をいただきました。

41ページの図表2-9を見ていただきますと、分類項目ごとのデータの登録比較状況とございまして、字が小さいのですけれども、まず全体というところが一番左側のところにありまして、それから参画機関ごとに、ここでは5つぐらい紹介されておりますが、辞書サイズと網羅率と平均バイト数となっております。辞書サイズというのは項目の数となっておりまして、網羅率というのはネタがそこに入っているか入っていないかということの割合を示すものでありまして、1というのは全部入っているということで、1以外のものはデータが何らかしか入っていない、空白があるというところでございます。平均バイト数というのは文字数の多さを表しているところでございます。

ということで、まず全体的に事故情報データバンクに入っているデータを見ていただきまして、その上で言語解析技術を使って見ていただいたのですが、先生の分析のそこの部分の目的は、子供において頻度が高くて注目度が高いと考えられる事故情報を抽出していただきました。

具体的な抽出方法につきましては43ページからずっと細かく書いてございますけれども、その結果につきましては47ページの図表2-13を見ていただきますと、本調査における分析手法で得られた事故グループの例ということで、こちらは事故発生件数が高かったグループでございまして、発生場所としては店舗や商業施設、傷病内容としては骨折というものが挙がっております。真ん中辺りの事故概要とかを見ますと遊具ですとか、施設内遊園地のエアー滑り台ですとか、そういった単語が挙がってきておりまして、一番下のところの事故内容詳細とかを見てみますと、けがをする、骨折、左肘を骨折するとか、ボールプールに飛び込むといったような事故の中には盛り込まれていることが分かるかと思います。

そのほか先生は特徴的なグループの上位3件を示していただいておりまして、46ページの「また」以下からございますが、中学生の化粧石鹸による皮膚障害ですとか、住宅におけるウォータークーラーによる熱傷、住宅における化学物質による危険による呼吸器障害といったようなものが、子供において頻度が高くて注目度が高いと考えられる重大事故のグループだというのが先生の分析結果でございます。

49ページにまいりまして、次は(4)でございますが、「事故情報データの分析」ということで市瀬専門委員の分析結果でございます。市瀬委員は分析の目的としまして事故情報については起きる事故には一定のパターンが存在するという御指摘をいただきまして、そのパターンを発見することで、頻繁に起こる事故の特徴を抽出することを目的とするということで、分析を行っていただきました。分析手法といたしましては、頻出パターンマイニングというものを使っていただきまして、事例同士で頻繁に共起する事象を抽出するという方法でございまして、事故の概要ですとか商品などの分類ですとか、事故内容詳細というところを特に見ていただきました。

50ページでございますけれども、図表2-15にありますように分析の軸を14置いていただきまして、その14の軸ごとにどのような事故が多いかというところを見ていただいております。

1つ例をまた改めて拾ってみますと、52ページでございますが、例えば(エ)でカテゴリ4では、9歳以下の重傷・死亡の例でございますけれども、例えばこういう場合は娯楽、遊具ですとか、テーマパーク、滑り台、あとは乗り物ですとか車両、車、指といったような単語が一緒に出てくることが分かりまして、乗り物ですとか、遊んでいる最中での事故が多いということが分かるということでございます。

53ページに行きますと、今度は高齢者のところでございまして、70歳代の重傷・死亡のグループの例でございますが、ここですと乗り合いバス、バス停、停車中、転倒、骨折というような単語ですとか、あとはインプラント、歯科というような単語が出てきておりまして、医療とか保健のサービス、バスに関する事例などが多く見られることが分かってきております。

次の分析のところにまいりまして、56ページからでございますが、(5)で「テキストマイニングを用いた事故データ分析の試行と考察」で西田専門委員から分析をいただいております。

西田専門委員からは、事故情報データバンクに登録されている事故情報に関して、テキストマイニングを使って事故対策を行うべき対策の明確化や事故対策の効果、評価に対してデータを活用する可能性を検証する、検討するということで分析をしていただいております。

具体的な分析結果でございますけれども、57ページのところに図表2-17でございますが、9歳以下の事故データの分析結果というところでございまして、全体件数と重症以上の数とその比率が表のところにございます。棒グラフは、その比率が高いものから並べておりまして、件数は多くないかもしれないけれども、事故が起きると重症化するものにはどのような製品があるかということで抽出していただいております。

58ページでは、今度は60歳以上に注目したものでございまして、同じようにデータを拾っていきますと、バス、はしご、手すりといったものが上位に来ていることが分かるかと思います。

もう一つ、西田委員にやっていただきましたのは59ページのウでございますが、他のデータを用いたスポーツ外傷のトレンド分析というところでございまして、先ほど少し御紹介しました日本スポーツ振興センターの保有するデータを使って経年変化分析をしたものを御紹介いただきました。グラフで見てみますと60ページの図表2-19のところでございまして、柔道の技と事故の関係の分析というところで、一番上に目立っているのが背負い投げという技でございますけれども、この部分について非常に事故が多いということで注意喚起した結果、この件数が減ってきていることも、経年的にこのように見ることも可能であるという御指摘があったところでございます。

今、駆け足で5人の先生方の分析結果を御紹介いたしましたけれども、いずれの先生方も非常に細かく具体的にいろいろ御提案をいただいておりまして、そして、相澤専門委員以下のテキストマイニングなどを使った非常に難しい分析のところにつきましても、必ずそれぞれの先生方の項目のところで分析の目的ですとか、手法ですとか、分析の結果もきっちりと書いていただいております。

最後のところでは、いずれの先生におきましても分析を通して課題と感じられた点ですとか、その分析を使うに当たっての留意点なども述べていただいておりますので、実際に参考にするときにはそういったところもきちんと読み込んでいくと、今後、活用していく上で有用な点ではないかと思いますのが、今日今ここで全てを御紹介することはできませんけれども、先生方の分析はそういうところもきっちりと書き込んでいただいているような内容になっております。

先に行きまして62ページのところでございますが、こちらは事業者による分析でございまして、会議でも発表いただきました株式会社プラスアルファ・コンサルティングという事業者に、非常に限定的なデータでございますけれども、公開されているデータでございまして、かつ、1年分のデータという少ない量のデータをこの会社にお渡ししまして、分析をしていただきました。

まず最初にやっていただきましたことが、テキストマイニングによる事故内容詳細の分析というところで、例えば名詞ランキングを示したり、動詞ランキングを示すということをやっていただきまして、名詞ランキングを示すことによって事故、トラブルとなる対象を把握することができる。動詞ランキングですと事故、トラブルの原因となる行動を把握することができ、簡単に分かるということが分かったところでございます。

63ページは係り受けを可視化するというところをやっていただきまして、事故の内容をより詳細に把握するために、ここでは例えば「買う」を中心に置いていただきまして、購入製品とか購入場所、そのほかの関係事項をつなげるというところの係り受けをマップ化していただくということで、事故情報を可視化するというところを試して、試行していただいたところでございます。

次のページに行きますと、共起の関係にある単語同士を線で結んでみるというところでございまして、図表2-22でございますが、少し字が小さいところでございますけれども、事故情報をこのような形で分類していただいておりまして、そして青いところはラベルを張っていただきまして、細かい字だけではなくてこのラベルを見ることによって、この期間にどのような事故が起きていたかというのを目で見ることができるということの一例でございます。

ただ、このラベルのところは、実際に分析者がそれぞれの事故情報に当たってラベルを付けておりますので、分析者によって少しバイアスがかかる可能性もあるとったことには留意が必要というところでございます。

図表2-22は事故情報全体を眺めて可視化していただいたものですけれども、例えば66ページですとか67ページに行きますと、60歳以上の事故情報マップということで、1つ軸を置いて分類することができまして、そうすると例えば60歳以上ですと、一番左の丸で囲んであるところですと、「体調」とか「臭い」が一緒に情報として出てきておりまして、高齢者の場合、臭いによって体調が悪化するという事故があるんだなということが分かったりですとか、あと、67ページのところでは10代男性の事故情報マップとなっておりまして、例えば真ん中の丸ですと友達と児童が教室で練習をしているときに事故が起きたというような、学校での事故が多いといったことが目で見てとれるかと思います。

68ページからは、同じく同じ会社にSNSの活用の可能性ということで分析していただきました。インターネット上のSNSに書き込まれる情報を事故情報の端緒情報として収集して、注意喚起や分析等に活用することの可能性を探っていただくという観点から、Twitterへの投稿を対象に検討を行っていただきました。

具体的な分析の方法はアに書いてございますが、自転車というものをキーワードにしまして、ここに書いてあるようなことを検索ワードとして分析していただいておりまして、それから、68ページの注にありますが、Twitterの検索期間は1か月間になっておりまして、この間のTwitterの件数は4万9,000件ほどあったということになっています。

関連するTwitterを拾ってきたものの結果が図表2-25になっておりまして、例えば2月20日ごろに1つ山があったりですとか、3月に入ってからも若干増加しているような状況がございまして、こちら消費者庁の事故情報に直接反応してこのようなTwitterが上げられたというよりは、ニュースに反応して件数が高まったというような結果が出ております。

このような結果を踏まえまして、この会社なりのテキストマイニングや事故情報を、SNSを事故情報分析に活用する際の留意点を68ページの下のところからアと始まりまして、69ページのイということで、それぞれメリットと留意点ということで整理していだいています。例えばSNSを事故情報分析に活用する際のメリット、留意点というのは69ページのイにありますが、データが豊富であったり、写真や動画による投稿があるという部分ではメリットであるけれども、留意点としても幾つか指摘されております。

以上が第2のところでございまして、おめくりいただきますと70ページのところでは、SNSの特徴をコラムでまとめております。

72ページでは、そのSNSにつきまして3番はSNSから事故情報を収集する際の留意点としてまとめております。こちら先ほどの民間事業者とはまた別の視点でまとめておりまして、例えばSNSには極端な書き込みや事実と異なる情報、風評被害のおそれがある情報が流れている場合があるので、留意を要するといったことですとか、4番のところでは発信することの有益性の啓発ということでございまして、現時点ではSNSに余り事故情報がとれないという部分もあるのですけれども、そういうことについては事故情報を発信しようと思うためのきっかけを考えていくことも、今後重要なのではないかという指摘をしております。

73ページからは「事故情報の公開について」というところで整理しております。

一番最初のところが「行政機関における情報の公開の流れ」でございまして、個人情報保護法制の改正というところでございますが、個人情報の保護には十分留意しつつ、利活用することを目指す取組が大きな流れとなっておりますというところを紹介しております。

74ページからは「事故情報の公開の意義」でございまして、こちらはまず事故情報の公開の意義は、同種の事故の未然防止に資することが期待されるということと、2段落目のところでは、消費者団体、研究者が分析することによって消費者保護に資することができる。さらに、消費者行政それ自体の透明性を高めるといったことにも資するのではないかということを指摘しております。

75ページからは「事故情報の公開における留意点」でございまして、7つほど整理してございます。(1)では行政機関の保有する個人情報の保護にのっとって公開していく必要があるといった視点ですとか、76ページからは消費者に関する情報を公開するのがあるので、プライバシーの保護が十分必要であるといったことや、参照リスクにも留意する必要があるといったことですとか、77ページでは(4)ローデータの公開でございますが、ローデータを公開することによって、結果として情報が集まらなくなる可能性もあるといった指摘もございました。

78ページ(5)の情報の収集・集約の段階というところでは、情報が公開されることを見据えた入力項目、入力方法を含めたデータの収集・集約の在り方、オープンデータ・バイデザインについての考え方も検討すべきではないかという御指摘もあったところでございます。

(6)ではあらかじめ利用に際しての要件を定める、あるいは個別事例ごとの判断により、一定の範囲の人に一定の目的で事故情報を見せるといった方法も考えられるのではないかといったような、事故情報や利用に関するルールについての論点を整理しております。

(7)では事故情報の公開による責任等の考え方でございますけれども、何のために事故情報を公開するのか、そして、それによってどのような公益が実現されるのかといった観点からの議論も重要であるといったことを指摘しております。

80ページにまいりまして、「海外における事故に関する情報の活用等」でございます。こちらはアメリカの例を中心にまとめておりまして、アメリカでは消費者製品安全委員会(CPSC)というところが、全国の病院から約100施設を抽出していてデータを集めているということを紹介しております。そのデータはNEISSというシステムにまとめられて公開されているところでございまして、(1)アの収集のところでございますが、抽出された病院では傷害事故を把握すると直ちにNEISSに情報を入力するということと、実際の入力作業はCPSCから訓練を受けた病院スタッフが行っているということでございました。

自由記述文以外のところはコード化されているということで、入力する者によって差異が生じないような工夫があるといったような指摘もございました。このデータは81ページでございますけれども、行政機関ですとか、ウにありますような民間機関等において活用されているということで、基本的には公開されていて、そこは行政機関や民間などが自由に分析して活用しているというお話でございました。

82ページの図表4-2は、研究論文の一例を御紹介しております。

NEISSでは、それ以外のシステムもございまして、83ページの図表4-3でございますが、死亡診断書ですとか現場詳細調査といったデータベースもあるという御紹介もございました。

2はヨーロッパの例でございますが、こちらはIDBというデータベースがあって、基本的には医療機関から収集したデータを集約していて、それも公表している。そして、またそれも分析されてインターネット上で公開されているということでございました。

84ページでございますけれども、小括を1つ置いておりまして、まず「日本と欧米の比較」でございますが、アメリカとヨーロッパという限られたところを見たところでございますけれども、海外では病院から直接事故情報を入手しているところで、我が国においては事故情報データバンクに登録される事故情報は、国の行政機関、地方公共団体が把握した報告された情報であるといったところが違うのかなというところですとか、あと、アメリカの例では、全国ベースの事故発生総数の推計が可能となるような統計的標本抽出が行われているところが1つ指摘としてございました。

(2)では入力事項のコード化がされたことによって、分析の数が高まったという指摘もございましたので、そういったことをここで整理しております。

85ページの(3)では、海外の事故に関する情報の共有のためには、将来的な話だと思いますけれども、最後の段落のところでございますが、将来的には事故情報データバンクについても、英語等の多言語による情報発信を検討することが望ましいと考えられるというふうに整理しております。

86ページから第5の「事故情報の更なる活用に向けた提言」でございます。こちらの最初のところでございますが、まず事故情報は様々な機関において収集、分析、現在でもされておりますけれども、そして消費者庁は消費者の立場に立って一元的に収集し、分析、注意喚起を行うことは大きな意義がある。

事故情報データバンクは、平成22年4月から消費者庁と国センが連携して運営されておりまして、現在でも20万件の情報が登録されているところでございます。20万件の事故情報は人の目で一つ一つ詳細に見ていくことは困難と考えられるが、事故の未然防止につなげていくため、一層の事故情報の活用を図ることは重要なテーマである。本専門調査会はテキストマイニング、AI、新たなデータ分析技術の活用の可能性に着目しております。具体的には事故情報における分析対象の絞り込み、事故のパターンの発見、重要トピックの抽出等を試みたところでございます。

分析の1つの形態として、事故情報を統計的処理の対象と捉えて活用することについての可能性にも着目いたしました。さらにやや俯瞰的な視点で事故情報データバンクと、それに関わるおよそ全ての主体をシステムと捉え、システム全体における情報の流れについて検討したところでございます。

加えて、事故情報データの可視化、事故情報の分析におけるSNS上の事故情報の活用の可能性、それから、事故情報を公開する際の留意点、海外における事故に関する情報の活用等の状況についても検討を行っております。

本調査会は、こうした視点に立って検討を行って、提言するものでございます。

提言の内容の実現に当たっては、事故情報データバンクに関与する様々な関係者、例えば消費者、事業者、行政機関等、多くの主体が連携して取組を推進していくことが重要でと考えられるというところでございます。

一番最初の事故情報データの品質の向上というところでございますが、以下、幾つか述べておりますけれども、それぞれについて検討する際には、常に事故情報データバンクの整備目的や利用者のニーズに沿ったものであるかを念頭に置くことが不可欠であると考えるところであります。

一番最初のところは(1)入力方法の整理でございますが、アは入力項目の検討というところでございまして、事故情報データバンクはそもそも運用開始時に統一入力フォーマットとして必須入力項目を決定しております。各機関で持っているデータベースの項目に基づいて入力することを基本としているため、参画機関ごとに入力項目に差異が生じていることや、入力項目であっても情報が得られないことにより登録されない項目が数多く存在しております。そのため事故情報データバンクの目的、利用者のニーズを踏まえ、入力を推奨する項目を明確化することが望ましいというのが1点目でございます。

データ分析技術を利用した入力項目の補完というところでございまして、自由記述文を分析することによってデータを補完する仕組みが可能でございますので、そういったことを検討することも考えられると指摘しております。

ウでは入力項目の定義の明確化でございまして、参画機関ごとには入力項目の定義は定められていると思いますが、事故情報データバンク全体として見た場合は、分類の揺らぎが見られると考えてございます。このため、より効果的な事故情報データバンクの利用に資するよう、入力項目の定義や分類方法を明確化して、例えばガイドライン等を示すことが望ましいのではないかということでございます。

入力項目の精査ということでございまして、現時点で入力項目がございますけれども、事故対策の検討や未然防止等に資するよう、入力項目を適宜検証し、必要に応じて見直し、更新することが望ましいと考えます。事故内容については現時点、「その他」が4割を超えておりまして、こうした項目については利用者のニーズを踏まえて細分化を検討することが望ましいということでございます。

(2)でございますが、データ入力者のスキルの向上と入力フォーマットの技術的支援でございまして、データ入力者のスキルの向上、それから、入力フォーマットに関する技術的な支援も重要ではないかということでございます。

(3)でございますが、把握が困難と考えられる事故情報の収集でございまして、ここでは具体的に家庭における子供の事故ですとか、被介護者の事故は、保護者あるいは介護者が自らの不注意とのみ捉えることによって、どこにも連絡しない場合があるのではないか。また、製品の誤使用と思われる事故についても同様なことがあるのではないかと想定しておりまして、これらの事故に関する情報も事故の再発防止には重要であることから、現時点でもある程度集まってきているとは思いますけれども、より一層、収集できることが望ましいのではないかという指摘でございます。

(4)でございますか。事故情報データバンク参画機関の連携・情報交換というところでございまして、こういったことを考えていただくに当たり、入力参画機関においてデータ品質向上の目的やその重要性を共有して、具体的な方策の検討に当たっては連携・情報交換を行っていただくことが望ましいと考えているところでございます。

2の新たなデータ分析の活用でございますが、(1)新たなデータ分析技術の活用というところでございまして、まず現時点20万件の事故情報が登録されておりまして、自由記述を含むこれらの情報を限られた人員において網羅的に分析することは困難な場合もあると思われます。このため、この報告書の第2の専門委員の分析のところで示したような言語解析技術のデータ分析技術を用いて、事故の傾向の把握や分析対象とすべき事故の絞り込み等に活用することは、より深い分析を支援するための方策として有用と思うところでございます。

なお、事故情報データバンクの参画機関は、参画機関ごとにそれぞれ分析に取り組んでいると考えられますけれども、それが消費者庁に一元的に集められていて、庁が分析することについては非常に有意義だということがございますので、その有用性を高めることを目的に、参画機関が連携してデータ分析技術の活用について検討していくことも重要である。

あわせてデータ分析技術には分析の限界があることも踏まえるべきであるということもございまして、こちらはいろいろな先生から御指摘がございました。一定程度に絞り込んだ後は、人手により丁寧に見ていくことが必要である。また、実際の分析に当たっては分析の専門家だけでなく、事故についての知見を有する者が行うことが重要だということでございます。

(2)はSNS上の事故情報の分析というところでございまして、アンケート調査をこの専門調査会で行いましたが、10代、20代については事故に遭った場合、あるいは事故に遭いそうになった場合に、SNSに事故情報をアップするという回答が一定定数ございましたので、SNS上の事故情報について分析の対象とすることも、一定程度有効であると考えられるということでございます。その場合には先ほど紹介しましたような留意点について、十分考慮することが重要であると考えているところでございます。

(3)では専門調査会の専門委員の先生方が提示してくださいました分析結果について、更に検討、調査分析を行っていただきたいというところでございます。調査分析の具体的な内容としては、例えばこれまで注意喚起を行っているかいないかといったことですとか、関連製品の調査、それから、対策がとられているかどうかということですとか、今後の事故の広がりの可能性などについて、検討していただいたらどうかということでございます。

3は事故情報を伝達する新たな仕組みの構築でございまして、新しい事故情報の公表というところでございますが、事故を分かりやすく表現する方策というところでございまして、事故の簡潔表現モデルというものが1つの例としてございました。事故の特性に注目した公表を行うことも、1つの例としてあるのではないかというところでございます。

90ページでございますが、イの消費者に届きやすい方策といたしまして、情報提供の媒体の工夫ですとか、情報提供の内容ですとか、情報提供のルート、継続的な情報提供ということで、(ア)から(エ)まで4つほど項目を挙げております。媒体につきましてはテレビで取り上げられることが多かったので、引き続き取り上げられるように考慮することが望ましいということですとか、情報提供の内容につきましては、事故の予防策、対応策も含めて提供することが望ましいといったことですとか、情報提供のルート、子供については学校などを利用する。高齢者については高齢者の立ち入る場所などを利用するといったことでございます。

継続的に情報提供することも重要だという御指摘もございまして、こういったことに取り組んでいくことが望ましいということがございます。

91ページの(2)は体験と促進する仕組みというところでございまして、先ほど紹介したところにもございましたような体験型テーマパークの話ですとか、掲示板ですとか、マイスター制度ですとか、そういったことを取り組んでいくこともどうかという御提案でございます。

4は事故に対して講じた施策の効果の評価でございまして、事故に対して施策を講じた場合、例えば施策を講じた前後における事故の件数の推移等を継続的に把握するなど、その効果を検証し、必要に応じ施策の見直しを行うことが望ましいといったような提案がございます。

5は事故情報の公開の促進でございまして、事故情報については社会で広く共有するものとの認識に立って、十分留意点を踏まえた上で可能な範囲で公開していく。公開の方策としては、直ちに全部公開するのではなくて、段階的に公開していくやり方もあるということと、そういった流れの中で医療機関ネットワークの情報は、現在では一般には公開されておりませんけれども、個人情報の取り扱い等に十分留意した上で、研究目的等に応じて情報を提供する可能性について検討していくことが望ましいといったようなことでございます。

長くなりましたけれども、以上でございます。

○山本座長 ありがとうございました。

それでは、ただ今の説明の内容につきまして御質問、御意見のある方はお願いします。いかがでしょうか。それでは、西田専門委員、お願いします。

○西田専門委員 大変な作業ありがとうございました。すごく画期的な内容になっているのではないかと思っています。第5の提言の部分は結論的なところなので、大事なところかなと思っていまして、この中で2点ほどあるのですが、1つは1のデータの品質の向上というところなのですが、これはどなたかの委員がそういう入力方法に関して啓発というか、教育みたいなことをされたらいいのではないかということを言われていたと思ったのですけれども、これはどこかで書かれていたらよかったかなと思うのです。見落としたかもしれないのですが、明示的にもし。2で書いてありますか。

○友行企画官 はい。

○西田専門委員 失礼しました。これは書いてありますね。済みません。

2つ目なのですけれども、88ページの(3)の事故状況の把握が困難な情報の収集というところはすごく大事だなと思うのですが、これはなかなか保護者など当事者から言いづらいので、何かの方法で集めなければいけないというところで、少しここが具体的なことも書けるといいのかなと思いました。具体的なことがないと、なかなか難しいなと思ったのです。

過去の議論でも、ひょっとして議論になっていなかったかもしれないのですが、1つは極めて重傷が高くて表に出てこないデータとして、警察のデータが大切だと思っています。死亡してしまったりして、現場検証なんかされて相当リッチなデータがとられるのですけれども、なかなかそれが予防というか再発防止のところに出てこなくて、非常にもったいないという話があるのですが、ここはそれを言っているものではないと思うのですが、そういう把握が困難なものの1つとして、警察データのようなものが利用できるといいのかなとは思いました。この項目への入れ方は難しいかなと思うのですが、これが具体的にするものの1つとして入れられると良いかなと思いました。医療機関も、事故状況の把握を促進する1つの試みだと思いますが、そちらは既に取り組まれているものだと思います。

あと、90ページの一番上の行なのですけれども、すごく細かいのですが、「ライターによる火傷は、ライターの残り火によるものという特性があるが」と書いてあるのが、正確にはいろいろな要因があると思うので、「ライターによる火傷の一因は」ぐらいがいいかなと思ったのです。言葉尻の問題ですが、残り火ってどういうものですか。ライターそのものでも火傷することがあるので、一因ぐらいがいいかなと。日本語の表現です。その方が正確かなということで。

以上、2点コメントさせていただきました。

○山本座長 事務局から何かございますか。あとの方は表現の問題なので改めていただくとして。

○友行企画官 把握が困難と考えられる事故情報の収集のところなのですけれども、例えばおっしゃったように医療機関のデータなんかもそれかもしれませんし、あるいはこれは消費者の方がそういう自分の不注意と思うことで事故が起きた場合も、言っていくことが事故の未然防止につながるということなので、例えばそういうことを消費者教育の場面で言っていくとか、あと、この中で今回、藤田座長代理などの御提案でフォーラムとか、事故のマイスター制度で積極的に事故情報について情報提供するというような仕組みの御提案があったのですけれども、例えばそういうテーマでフォーラムをやってみるとか、あと、マイスター制度で事故情報を集めるといったときに、そういう事故もあれば積極的に連絡してくださいということを呼び掛けるとか、そういうやり方もあるかなということで、ここには直接は書いていないのですけれども、消費者教育というのは絶えず永遠のテーマであって、あと、西田専門委員の御提案の中で、こういったことをテーマにすることもありかなと思いまして、そのように感じています。

○西田専門委員 ありがとうございます。この項目の意味するところが若干具体的ではなかったので、今の友行さんのおっしゃった内容がもう少し伝わると良いと思いました。提言以外の部分には書いてあるとは思うのですが。

○山本座長 ありがとうございます。

そのほかにいかがでしょうか。あるいは今の点でも結構ですけれども、いかがでしょう。

今の点は、情報の集め方としては、1つは一般の消費者から情報を出しやすいような環境を作って、それでなるべく情報を集められるようにするということが1つあると思いますので、あるいは藤田座長代理の前の御報告の中で具体的な方策を幾つか書かれていますので、書き加えるとすれば消費者から情報を積極的に出してもらえるような工夫をしてと一言入れることが考えられるかと思います。

あと警察、特定の行政機関をここに挙げるのは難しいところがあるのですけれども、1つあるとすれば、1つ下のところが事故情報データバンク参画機関の間で連携をするという話なのですけれども、もう少し広く言えばいろいろ事故情報を持っていたり、事故原因の分析等をやっているいろいろな機関の間で連携、協力をしていく。例えば、学校事故についてはここでお話をしていただいて、実はここで議論していることと問題意識は非常に共通した部分があって、そうするといろいろ情報交換等をしていくと、お互いに有益な視座が得られるのではないかという感覚を持ったのですけれども、例えば、事故情報を保有している、あるいはそれを分析している機関相互で連携、情報共有をしていくようなことがあるのかもしれないですね。

お願いします。

○河上委員長 今の話ですけれども、実は消費者委員会でも昔、こんにゃくゼリーの誤嚥の事故があって、あの事故についてこれはどうなのかということだったのですが、ただ、事故を被害者のお母様が、これは公にしないでくれと消費者庁にかなり頼み込んだらしいのです。それで消費者庁でも、その事故に関してあまりはっきりとした公表の仕方をしなかったということがあったようです。

ただ、消費者委員会としてはこんにゃくゼリーの物性、形状が子供の喉の大きさにあったときには、そういう事故が一般的に起こり得るんだという前提で、そうした物性、形状に対して注意喚起をすることが必要なんだということで、逆に物性、形状の方に原因があって、それを食べさせたお母さんが悪いのではなくて、そういうふうに原因がはっきり分かってくると、逆に御本人からもこういうことがあったということを言いやすくなるということなのだろうと思いますから、その辺は分析結果と情報をうまく被害者にも伝わるようにしていくと、漏れていた情報が出やすくなる可能性があるのかなという気がいたします。

○山本座長 ありがとうございます。

今の点は何かございますか。

○友行企画官 そうですね。事故情報を分析して、その結果もきちんと消費者にフィードバックしていくことが大事なんだということなのだと思います。

○山本座長 特に第3の事故情報の公開についてというところで、消費者自身のプライバシーの保護ということも書かれていますし、特に原因が不明確な場合に、どのようにデータを出していくかということについても留意が必要だということは書かれていますので、おそらく第3の部分に書かれている部分を具体的に方策として打ち出していくことによって、ある程度消費者の個人情報の保護といいますか、あるいはあまり表沙汰にしたくないという感情と、一方でしかし情報を社会的に活用していかなくてはいけない要請等との間でうまくバランスをとることを考えていかなくてはいけないということかと思いますので、今の報告書の中でいくと第3のところに触れられているところかなと思いますけれども、そのほかにいかがでしょうか。

それでは、藤田座長代理、お願いします。

○藤田座長代理 私の見落としがあるかもしれないのですけれども、今の事故情報データバンクの特性として、事故が起きたときにその現象を正しく、あるいは詳しく記述するという方向性は当然やられているのですが、その原因、対策、その後どうなっていったのかというような時系列を蓄積していく必要性があると思うのです。それはデータベース自身の品質とか重要性というものを上げていくためにも必要だと思います。その点はどこかに記述されていましたか。もしなければそういう観点を入れておいた方がいいのではないかと思いました。

○山本座長 いかがでしょうか。

○友行企画官 この提言の中にということですか。

○藤田座長代理 そうですね。できれば時間軸で見ていくという視点を提言の中で見られるようにしておくといいかなと思いました。

○友行企画官 時間軸という意味では、事故に対して講じた施策の効果の評価というところがあるのですけれども、これは施策を講じた場合に、それによって事故の件数がどのように変化したかというところに焦点を当てて書いている感じでありまして。

○山本座長 少し書かれているのは、限定されていますが、例えば77ページに事業者に関する情報という部分で対策を講じたというような情報提供があった場合には、情報の更新を行うということは少し書かれておりますけれども、今の御指摘は、91ページの4の部分というのはマクロの話なのだけれども、個別の案件ごとに情報を更新していくことが有効なのではないかという御指摘で、確かに77ページの部分には、部分的にはそういう記述があるのですが、まとまった記述は他になかったですかね。

○友行企画官 それはないです。

○藤田座長代理 多分、場所的には91ページの4のところなのかなと思います。

○友行企画官 それはあれですか。藤田座長代理の御指摘は、事故が発生しているというような注意喚起をして、その結果、どのような措置がとられて、事故件数はどのように減ったというのがどこかに蓄積されることが大事だという視点ですか。

○藤田座長代理 はい、そうです。結局、事故が少なくなっていったことがデータベースを見たり、あるいは分析することで分かるということですね。ある種類の事故について。そういうことを追っていこうとすると、データとしてそういうものが自由記述であれ項目であれ、蓄積されていないとなかなか難しいかなと思ったからです。

○友行企画官 それは事故情報データバンクが今、事故がありましたということで消費者から情報を受け付けて、それで発生日とか商品名などを登録していくような形になっているのですけれども、その事故が起きた後もずっと追いかけ続けて、同じ事故情報データバンクに結果とかそういうものも入れていくということですか。

○藤田座長代理 同じデータベースである必要はないかもしれません。事故が起きたものが時系列で見ていったときにどうなっていったのかということが結果的に知れればいいと考えます。

○友行企画官 それですと、例えば91ページの4のところを少し膨らませる感じですか。

○藤田座長代理 はい、思ったのは4番のところでそういう最終目的、その事故の経緯が時間軸で見たときにどうなっていったのかということが知れることが重要だと思うので、目的が書いてあればいいのかなと。手段はいろいろあると思います。今のデータバンクの項目を拡張して、そこに入れようとかいう話ではなくて、別のデータベースになっていても構いませんし、別の経緯を示した文書なり何なりから検索できる形でも別に構わないと思います。

○山本座長 どうぞ。

○河上委員長 藤田座長代理のおっしゃる趣旨は私ももっともだと思いますので、例えば4のところの「事故の件数の推移を継続的に把握するなど、その効果を検証し」という、これは一例だという前提にして、「その効果を検証するなど時間軸を意識した事故情報の蓄積、分析を行うことによって」という文章をそこに入れたらいかがでしょうか。「するなど」が2回入りますので、前の「するなど」は「把握し」ぐらいにとめておいて、「その効果を検証するなど、時間軸を意識した事故情報の蓄積、分析を行って、必要に応じ施策の見直しを行うことが望ましい」というぐらいであればいいのではないかと思いますが。

○山本座長 いかがですか。

○友行企画官 はい、委員の方々がよろしければ。

○山本座長 具体的な文案まで今、委員長から御提案をいただいて、そのとおりにいくかどうかは分かりませんが、ただ、第3の項目のところでは事業者との関係においては、どういう対策をとったとか、あるいは一定期間が経過したらそれは匿名化するというか、基本的にそのままの形で残さないことにするとかいったような形で、時間軸的なことが書かれているので、それを受けるような形で時間軸に沿って事故情報を管理していくというような、あるいは継続的にそれを管理していくというようなことを4に少し入れていく。それ以上細かい具体的な話になると、あまりここでもそれほど突っ込んだ議論はしていないということがありますので、あまりそれ以上具体的には書けないかと思いますけれども、3のところで少し出ていることを受けるくらいの形では書けるかなと思いますが、いかがでしょう。

○友行企画官 わかりました。検討して、御相談させていただければと思います。

○山本座長 そのほかにいかがでしょうか。大森委員、お願いします。

○大森委員 最後の91ページの5に事故情報の公開の促進としてまとめられているのですけれども、消費者に対するフィードバックという点があまり書かれていないと思うので、事故情報そのものは消費者からもらわないといけないので、それはまた消費者にもフィードバックされるよというところをどこかに入れていただきたいと思うのです。可能な範囲で公開を促進することが望ましいとか、直ちに情報を全ての人に公開するのではなくとかいう形で述べられていて、個人情報だとか先ほどのこんにゃくゼリーのお話を聞いてもそうかなと思うのですけれども、消費者自身、情報を提供することによって自分たちにもこういうフィードバックがあって、メリットがあるよというところを入れてもらえるといいかなと思ったのです。

○山本座長 その点はいかがでしょうか。

○友行企画官 それは公開することの意義みたいなところの話の関連でしょうか。例えばオープン化のメリットというところを書いておりまして、公開することによって消費者にとっても事故の未然防止に役立つしというような、それぞれのメリットを74ページに書いているのですけれども、それとの関連ということでよろしいでしょうか。

○大森委員 メリットのところに書かれているけれども、まとめのところでは全然ないのだという気がして、参考資料でもすごく消費者はテレビから情報を得ているという人がすごく多かったりして、例えば地震なんかのときは津波の情報などもずっとテレビに張りついて出ているわけですね。私みたいな一般消費者が考えると、死亡事故なんかあった場合は即テレビに張りついて出るぐらいの感じであれば、事故の未然防止にものすごく即効があるのではないかと思うのです。これはいろいろ専門家が分析してくださるけれども、一般消費者にどのような形で情報は下りてくるのというところが見えにくいかなと思ったのです。

○山本座長 このまとめの部分でいくと、89ページ以下の3の部分が情報を伝達するという話で、これが消費者に対してできるだけ分かりやすく、多くの消費者の興味を引くような形で情報を伝達するべきだということが書かれています。ですから5が最後に来ていて、しかも割と公開の範囲を限定するのが現実的だという書き方が最後にされているので、それで3の部分が書かれているのだけれども、5が最後にあると隠れてしまうのではないかという印象があるとすれば、5のところで消費者に事故情報を広くフィードバックするためにとかいうような形で、1つ消費者に情報を届けるという目的で公開を行う。ここでも「社会で広く共有するものとの認識に立ち」と書かれていますけれども、もう少し具体的に消費者に事故情報を広く、書き方が難しいですかね。具体的な文案がすぐには出てきませんけれども、消費者に事故情報をフィードバックするためにという趣旨の目的を1つ入れますか。そうすると今の委員の御指摘に答えられるのではないかと思いますので。

そのほかにいかがでしょうか。市瀬専門委員、お願いします。

○市瀬専門委員 この報告書ですが、最後の5の提言が、今後の取組になるかと思うのですが、第4の3(2)と(3)の84ページ、85ページ辺りに書かれているコード化の必要性と情報の共有の部分も、第5の提言に書いた方がいいように思うのですが、いかがでしょうか。

○山本座長 いかがでしょうか。

○友行企画官 第4の3(2)も(3)非常に重要なことでありまして、アメリカやヨーロッパではこのような形になっているのですけれども、我々の提言はその一歩前段階からと思うところもありまして、入力方法、入力項目をまず整理してくださいというところから始まっていまして、その上で次はコード化だったり、あとは多言語化への対応というものがあるのかなというところもあって、今、海外の事例を聞いたときに非常に重要な論点だと思いましたので、小括には入れていなかったのですけれども、直ちに対応を求めるような形で提言の中に入れるのは少し将来的な話かなと思いまして、提言には入れていないです。

海外の事例を見ると、海外は医療機関からも情報をとってくるというのが、アメリカでもヨーロッパでもそのようになっていて、せっかくの情報をという形で、そこを基に、しかも統計的にも活用できるような形で集めてきたりということで、日本よりも大分進んでいる感じがありましたので、それを直ちにそのまま持ってくるときついかなというところもあって、ただ、重要なので小括のところにはきちんと書くべきという形で整理はしているのですけれども、そのまま提言のところに持ってくるのは次の段階の話かなと思って、今の段階では入れていないという整理にしております。

○市瀬専門委員 今後長期的な課題になるのかもしれないですが、入力項目の検討をする際にある程度整理をして、コードを振ることは考えられるかと思いますし、海外との情報の共有に関しても、参画機関の情報交換という形で提言に入っていますので、何らかの形で提言のところに触れるような形であったほうが全体としてはしっかりした提言になるのかなと思います。

○山本座長 今の御指摘ですね。84ページ、85ページの(2)(3)の部分は、重要性が低いという意味でここにしか書かれていないわけではなくて、かなり将来的な、長期的な課題になるだろう。つまり今、御説明がございましたように、(2)に関しては日本の場合にはまだ、このもっと前の段階にあるということと、(3)に関しては更に国際的に見てもなかなかまだここまで現実には動いていないという状況があるので、ここに書かれているということだと思います。

ですからもし入れるとすれば、更に将来的な課題としては84ページとか85ページに書かれているようなことがあるというぐらいの書き方ですかね。あまりこの提言のところで具体的に書くのではなく、84ページ、85ページの小括を受けるような形で、なおさらに長期的な課題としてはとか、あるいは更に将来的な課題としてはこういう問題がある。入れるとすれば今、市瀬専門委員から具体的に御提案いただきましたけれども、84ページの(2)に関しては87ページから88ページにかけての入力の部分ですかね。それから、海外との情報共有という85ページの部分に関しては、先ほど88ページの(4)をもう少し膨らませてという話がございましたので、そこを更に膨らませるといいますか、一言更に将来的な課題としてこういうことがあるという形で入れておくというぐらいかと思いますけれども、いかがでしょうか。

○友行企画官 はい、また御相談したいと思います。

○河上委員長 87ページ(1)のウというのは、分類の揺らぎなんか見えるので、その分類項目の定義付けとか、分類方法を明確化する。これはコード化へあと一歩ですよね。だからその意味では、このところに例えばガイドラインやコード化といったようなことを書き込んでも、そんなに飛躍はしていないような気はします。

○山本座長 いかがですか。

○友行企画官 分かりました。

○山本座長 自由記述だからですよね。87ページから88ページに書かれている部分は、もっと定型的な入力項目に関して現在は書かれてあったり書かれていなかったりという状況になっているから、まずそこから何とかしましょうという話で、そういう意味で84ページに書かれている部分は、更にもう一歩先の話であるという位置付けだったのではないかと思いますが、今、御指摘もございましたし、確かにこれは将来的には非常に重要な問題だと思いますので、それこそ時間軸を考えて、同時にできることではないかもしれないけれども、将来的にはこういうことも考えなくてはいけないという形で記述することはできるかと思います。

○友行企画官 またちょっと御相談したいと思います。

○山本座長 そのほかにいかがでしょうか。お願いします。

○村田専門委員 多くの観点からの提言をまとめていただいて、ありがとうございます。

見落としているのかもしれないのですが、最後91ページの5の事故情報の公開の促進のところの一番最後の段落なのですけれども、現在、医療機関ネットワークの情報は一般には公開されていないがということが、ここに来て突然出てきたように感じたのです。最初の方の3ページ、4ページ、5ページの事故情報データバンクの収集と公開のところで、余りその辺りを触れられていないのではないかということで、もちろん事故情報データバンクに関係の方はその辺のことをとてもよく御存じなので、最後まで読んでも特に唐突に感じないと思うのですけれども、この報告書はたぶん公開されるものですよね。その場合、第三者的な目で見ると少しそこが一体、今、医療機関ネットワークにおける事故情報の収集というものが、事故情報データバンクの中に含まれているようにも見えるし、分かれているようにも見えるし、一般が使えるようにも見えるけれども、最後、一般には公開されていないというのはちょっと難しいかなというか、誤った解釈をしてしまうのではないかというのが気になりました。

あと、似たようなことなのですけれども、8ページからのコラムで独立行政法人日本スポーツ振興センターにおける取組というものがあるのですが、ここの事故情報は、今、事故情報データバンクにも提供されているのではないかと思うのですが、そこが全く別の独立なものという形で読めてしまうところも、もう一言あってもいいかなと思いました。

特に事故情報データバンクの公表なのですけれども、一般利用者向けのウエブサイトと参画機関向けてのウエブサイトは違う形で運用もされていますが、その点に関しても何も記載されていない点も気になると言えば、全部一般の利用者が見えるようなものなのではないかと少し誤解を招くのではないか。その辺は第3の事故情報の公開のところでも、こういった点に気を付けてということで、今でもそういった点は踏まえて公開していると思いますので、その辺りの関係を一言でいいので付け加えていただけると分かりやすいのではないかと思いました。

○山本座長 いかがでしょうか。

○友行企画官 医療機関ネットワークについては一般には公開されていなくて、ただ、一部のところに対しては何らか限定的には出していると思いますが、一般的には公開されていないことを前のところでどこかで書くことにしたいと思います。

それと、JSCの事故情報データバンクと事故情報データバンクの関係が分かるようなことを全く別のデータベースというか、事故情報の扱いが全く別のように見えてしまうところを整理して書くということですね。

最後の一般向けと参画機関向けというところなのですけれども、先生方にお渡ししたのは参画機関向けということで、割とデータが詰まったものをお出ししておりまして、そこのデータバンクの作りを、その辺りはもう少し細かく書いたほうがいいという。

○村田専門委員 細かくまでは必要ないと思うのですけれども、5ページのところで「インターネット上で公表されており、利用者は情報を検索・閲覧することが可能である」と書いてあって、全てが可能とこれだけだと思ってしまうのではないかという点で、行政機関向けと一般向けのサイトがあるみたいな単純な一文でもいいのではないかと思います。

○山本座長 いかがでしょう。

○友行企画官 検討して、考えたいと思います。

○山本座長 今の御指摘は、内容に関わる問題というよりは、表現と申しますか、分かりやすさという面で確かにそうですね。5ページの一番最後の記述を見ると「情報はインターネット上で公表されており」とだけ書かれているので、これだと公表されているのか、全部公表されているのかというふうに見られる可能性があるということかと思いますし、8ページ以下の取組というのが事故情報データバンクとどういう関係にあるのかということもあまり明確でないのではないかということですので、第1の現在の制度がどうなっているというところを、もう少し基本的なところから分かりやすく記述するなり、あるいは何か表にしたほうが分かりやすければ、表を出して見るとか、そのような形で第1のところの制度の説明の部分をもう少し分かりやすく書くということでいかがでしょうか。

○友行企画官 そうですね。事故情報データバンク参画機関の中に何が入っているかというのを書いてはいないと思いますので、そういうものを書くとJSCもそこに入っていますので、それは分かるかなと思います。

○山本座長 ではそこのところは工夫してといいますか、記述を若干足す形で修正をしてください。

そのほかいかがでしょうか。よろしいでしょうか。そういたしましたら、ただ今幾つか御指摘をいただきました。1つは第1の制度の概要の部分に関して、それぞれの制度なり仕組みなりの間の関係が読んだだけではっきりしないところがあるという御指摘ですので、その点はそれぞれの制度ないしは仕組みの間の関係を明確にするような記述を若干足すという形にしたいと思います。

それから、第5の提言の部分に関しては幾つか御指摘がございまして、87ページから88ページにかけての1のデータの品質の向上の部分に関して、1つは84ページから85ページにかけて書かれている小括(2)(3)の部分についても将来的な長期的な課題として一言触れる。それから、(3)の部分について、消費者から情報を集めるような工夫をしてということをもう一歩具体的に記述をする。それから、(4)の部分をもう少し膨らませる。いろいろ事故情報の分析等をしている機関との連携であるとか、あるいは更に将来的な課題としては海外との連携といったことを加える。それから、91ページの4の部分が、現在はマクロの話だけを入れているわけですけれども、個別の事案に関しても時系列に沿って情報を管理していくということを、これはそれほど具体的には書けないかなと思いますが、一言その点に触れる。

それから、5の部分に関して消費者のためにということを一言、目的として入れる。こんなところだったかと思いますが、よろしいでしょうか。これで私が言ったことが入っていないということはありませんでしょうか。大丈夫ですか。それでは、そのような形で修正をすることにいたします。

ただ、修正の内容に関してはそれほど大きな根本的な修正ではないかと思いますので、修正の具体的な方法、文案については私に御一任をいただけますでしょうか。ありがとうございます。それでは、私と事務局で相談をいたしまして、ただ今の御意見を反映させる形で修文をして、報告書としたいと思います。

≪4.その他≫

○山本座長 それでは、本日は河上委員長に御出席いただいておりますので、最後に一言、御挨拶をお願いしたいと思います。

○河上委員長 皆様の御協力によりまして、大変に充実した報告書をまとめていただきまして、誠にありがとうございます。この間、事務局も一生懸命だったようでして、手前みそながら事務局もよく頑張ったということで褒めてあげたいと思います。

一元的に消費者情報が収集される体制になって、その事故情報をどのように注意喚起などに生かしていくかというようなことは、一般的には問題意識としては私どももずっと持っておりましたし、恐らく消費者庁もそういうことを考えてきたのだろうと思いますけれども、今回のように専門調査会で現れた事故情報の新しい分析の仕方というものについての御紹介を伺いながら、実は大森委員とよく顔を見合わせて、目からうろこのような発見がたくさんありまして、問題を考えていく際の新たな視点を数多く頂戴したと思います。

データ利用ということになると、どうしてもそれがオープン化されていく。一方で大事なのですけれども、個人情報との関わりということもございまして、その点についても更に検討していくべき問題がありそうだという感触を持つことになりましたが、それだけに情報の扱いには今後とも慎重でなければならないと改めて考えた次第でございます。

また、今後は対策としてとられた施策とか実行というものと、消費者事故との相関について分析して、先ほど時系列的にという話が出ましたけれども、対策の効果を測ることも重要であるということに気づかされました。

言うまでもなく、雑多な情報を読み取る人の感性を磨くのが一番大事だということも考えたところでして、今回、皆様のパフォーマンスといいますか、プレゼンを聞きながら、余計に実際に情報を読み取っていく人の能力がいかに大事かということを痛感させられました。必要な要素を見付け出して、消費者問題にそれを翻訳する力が、結果として情報の質も高めていくことになるのだということを痛感させられたところでございます。

いずれにいたしましても、今後この報告書を十分に活用して、事故情報の収集の在り方についての見直し、更に事故情報を有効に活用して、消費者被害の未然防止につなげていくことのために大いに努力したいと思います。

この調査委員会は、一応これで一旦締めではございますけれども、掲げられた課題は幾つかございましたので、また場を改めて調査分析を継続できればと考えているところでございます。

どうも本当にありがとうございました。

○山本座長 ありがとうございました。

それでは、事務局から連絡事項がございましたらお願いいたします。

○友行企画官 安全専門調査会は今回で一旦、終了になりますけれども、この後、消費者委員会の本会議におきまして、座長から報告書について報告していただくような予定になっておりますので、御連絡いたします。

○山本座長 それでは、私から本会議に報告をさせていただきます。

私からも委員の皆様にお礼を申し上げたいと思います。

消費者行政のために、情報技術をもっと使えるのではないかという抽象的なことですと私ぐらいでも申し上げることはできるのですけれども、では具体的に本当にどれだけ使えるのかということが本格的に検討された場は、それほど多くはなかったのではないかと思うのですが、委員の先生方それぞれの御尽力によりまして非常に具体的に活用できる場面であるとか、あるいはその際の問題点が浮かび上がったのではないかと思います。これも委員の先生方のお力のお陰と思います。本当にありがとうございました。


≪5.閉会≫

○山本座長 それでは、これで閉会させていただきます。皆様のお陰をもちまして、報告書を取りまとめることができました。心よりお礼を申し上げます。

それでは、終わります。

(以上)