第9回 特定商取引法専門調査会 議事録

日時

2015年7月31日(金)13:00~16:00

場所

消費者委員会大会議室1

出席者

【委員】
後藤座長、阿部委員、有山委員、池本委員、沖野委員、河野委員、佐々木委員、鈴木委員、高芝委員、杤原委員、野坂委員、花井委員、増田委員、山本明委員
【オブザーバー】
消費者委員会委員 石戸谷委員長代理、橋本委員、山本隆司委員
経済産業省 伊藤消費経済企画室長
国民生活センター 丹野理事
【消費者庁】
井内審議官、山田取引対策課長
【事務局】
黒木事務局長、小野審議官、丸山参事官

議事次第

  1. 開会
  2. その他の個別論点に関する検討
  3. 販売事業者等によるクレジット・金銭借入・預金引き出しの勧誘に関する問題についての検討
  4. 中間取りまとめに向けた検討(1)
  5. 閉会

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

≪1.開会≫

○丸山参事官 それでは、定刻になりましたので、始めさせていただきます。本日は、皆様、お忙しいところをお集まりいただき、ありがとうございます。

ただいまから「消費者委員会 第9回特定商取引法専門調査会」を開催いたします。

なお、本日は、所用により村委員が御欠席との御連絡をいただいております。

まず、配付資料の確認をさせていただきます。

今回お配りさせていただいております資料は、議事次第の下部のほうに記載した配付資料一覧のとおりです。

資料1は、本日御議論いただくその他の個別論点に関する検討に関する消費者庁からの提出資料です。

また、資料2として、第7回で御議論いただく予定であった販売事業者等によるクレジット・金銭借入・預金引き出しの勧誘に関する問題についての資料を、本日の御議論のために再度配付させていただいております。

最後に、資料3が本調査委員会の中間取りまとめ(案)骨子となっております。

不足の資料はございませんでしょうか。もし不足がございましたら、事務局のほうにお願いいたします。

すみません、追加で配付させていただいております資料として、資料4、委員提出資料、阿部委員、池本委員の提出の資料がございます。

それから、参考資料1といたしまして、「通常、過量には当たらないと考えられる分量の目安」について、消費者庁提出資料が追加でございました。

申しわけございません。

それから、前回、オブザーバーに関して若干御議論があったと伺っております。そこで、改めてでございますけれども、第1回の調査会のほうにお配りしておりました資料で、具体的には、「下部組織の会議運用の在り方に関する申し合わせ」というものがございます。そちらのほうにオブザーバーに関する規定ということで、「オブザーバーは、当該会議に出席して構成員たる委員等による議論及び参考人による説明を聞き、議長の許可を得て、必要に応じてその識見に基づく意見を述べ又は説明を行うものとする」とございますので、再度御紹介させていただきます。

それでは、後藤座長、議事進行のほう、よろしくお願いいたします。


≪2.その他の個別論点に関する検討≫

(1)消費者庁からの説明

○後藤座長 それでは、本日の議事に入らせていただきます。

本日の会議では、まず「その他の個別論点に関する検討」について御議論いただきたいと思います。まず、資料1に基づいて消費者庁から御説明いただき、その後、委員の皆様に御議論を行っていただきたいと思います。それでは、消費者庁からお願いいたします。

○消費者庁山田取引対策課長 資料1、横長のパワーポイントの資料をごらんください。

1枚めくっていただきますと目次がございまして、4つの論点について御説明いたします。

まず、1点目、外国通貨の両替についてでございます。

4ページをごらんください。現状でございます。

本専門調査会の第2回及び第3回におきまして、指定権利制について御議論いただきました。指定権利制を廃止するということ。それから、その場合に「商品」、「役務」、「権利」の3分類は維持することを前提にいたしますと、個別の論点として外国通貨の両替の問題が残るということでして、本日はそちらについて御議論いただくということでございます。

同じページの下に参考ということで、民法における「両替」の位置付けを書いております。我妻先生以来の民法の通説の立場ですと、両替というものは、売買でも交換でもない一種の無名契約という解釈がされておりまして、我々特商法でも、外国通貨の両替については、この民法の通説的な見解に従って、当然には商品の売買には含まれないということで理解してございました。

5ページにまいります。外国通貨の両替に関するトラブルについての推移を書いております。

2009年12月に20年改正特商法が施行され、その後、最初に起こったのはイラクディナールに関するトラブルでございます。その後、スーダンポンド、アフガニスタンアフガニということで、次々と主役となる通貨の種類は変わりますけれども、いずれも日本国内では換金不能な外国通貨をつかまされるという消費者トラブルが起きております。

右側の上のグラフは13年度、14年度を示しておりまして、スケールが左側のものとは違って、より細かくなっております。そういう意味では、総体の件数自体は少し落ち着く傾向を見せておりますが、直近ではウズベキスタンスムの通貨トラブルに巻き込まれる消費者が出てきているということでございます。こうしたことは、件数が落ち着いているからといって放置すると、また、いつぶり返すかもわからないと私どもは理解しているところでございます。

左下は今までの苦情相談の類型を割合で、通貨別に示したものです。

右下のグラフは購入形態別ということでして、電話勧誘販売が最も多くて、通信販売、それから幾つか訪問販売による苦情相談もございます。

ページをめくっていただきまして6ページでございます。

具体的な相談事例ということで、事例1は、今までも他社から投資ファンドを購入して損失を出した経緯がある消費者でございまして、恐らくではありますけれども、そういう名簿が出回っているということが背景にあるだろうと思います。電話勧誘を受けて、今までの損失を取り戻したいという思いで、まずイエメンリアルを60万円、最初の業者に払った。代金は宅配便で送ったということでございます。その1カ月後に別の会社から、また損失を取り戻せるという勧誘を受けて、今度はシリアポンドを45万円払い、さらに1カ月後、3番目の業者から電話勧誘を受けて、シリアポンドを15万円分払ったということで、その3社とも連絡がとれない状態になって、手元には換金不能な外貨が残ったというトラブルでございます。

事例2は、イラクディナールです。150万円分のイラクディナールを買って、担当者とは電話ではつながるのだけれども、どんどんレートが下がっていて、銀行で両替しようと思ってもできないということで、解約したいという相談でございます。

事例3は、アフガニスタン通貨のアフガニに関するパンフレットがまず届いてから、業者から電話がかかってきて、150万円で買ってくれれば280万円で買い取ると言われて断ったというところ、今度はまた別の業者から300万円で買い取るという話があったということで、これはいわゆる劇場型と言われるもののようですけれども、そこで最初の業者から150万円で買って、郵送で写真立てと書いて送るようにということで外貨を入手したけれども、その後、買い取りの話はなかった。さらに、今度はウズベキスタン通貨についても95万円支払ったということで、連絡がとれないという事例でございます。

7ページに参考として、過去、特商法で特商法の商品・役務では読めないものについても、役務性を認定して執行した事例を幾つか挙げております。

最初はC02排出権でして、消費者庁はデリバティブ取引に関して役務性を認定して執行したという事案でございます。東京都は、C02排出権取引受託取次業務という役務を認定して執行されています。

その次は、コンテナファンドの事例です。これはコンテナの10分の1所有権というものを消費者に販売して、それと同時にレンタル保証契約を結んで、そのコンテナを預かった業者が配当のような金銭を渡すというものでございます。これについても、レンタル保証の役務というのを認定して香川県が処分したという事例です。

8ページにまいります。対応の方向性ということでございまして、案1、案2、2つお示ししております。

案1は、「役務提供契約」として対応するということで、両替という有償の役務契約があったということで対応する考え方でございます。

案2は、「商品」又は「商品の売買」の概念を広げることによって対応するということで、「商品の売買」に「外国通貨の両替」が含まれるという解釈でやるか、法律改正までするかは手段論ですけれども、概念を広げるという案でございます。

留意点として2つ書いております。

まず、マル1適用場面の問題ということで、現行の特商法においては「有償の役務提供契約」を規制対象としておりますけれども、外国通貨の場合に「有償」か否かの判断をどのように行うべきかということでございます。これは、手数料みたいなものがきっちり明細として示されていれば有償ということがわかるわけですが、レートの中に溶け込んでいるような場合には、少なくとも事業者の側はレートが悪かっただけだということを言う可能性があるということです。

それから、マル2効果の問題です。外国通貨の両替を「役務提供」ではなく、「売買契約」類似として扱うことで、民事効において、どのような差が生じるのかということでございます。例えば、役務提供とした場合は、クーリング・オフによって、消費者は手数料相当以外に自らが支払った日本円の返還を要求できるか。あるいは、逆にクーリング・オフ後も外貨を返還しないで保有できるかということです。

その下に※を書いておりまして、両者、案1、案2というのは、必ずしも排他的な関係ではないということをお示ししております。

9ページは御参考で、外為法の規定を載せております。外為法では、両替業務を、業として外国通貨の売買を行うことをいうと定義しておりまして、先ほどの民法の通説的な見解とは異なる定義をしているということでございます。これは、法律ごとに概念の相対性はあるということでございまして、このような例を御参考としてお示ししております。

次に、11ページにまいります。2番目の論点、通販におけるFAX広告についてです。

検討の背景でけれども、平成20年の特商法改正において、電子メール広告については規制が強化されたところでございます。近年、FAX広告についても相談件数が増加しており、これに対する対応の必要性をどのように考えるかということを御議論いただきたいと思います。

1枚めくっていただきまして12ページにまいります。御参考として、通信販売等における電子メール広告に関する規定を御紹介しております。

特商法では、規制強化された後には、承諾をしていない者に対する電子メール広告の提供の禁止という行政規制を図りまして、それ自身、行政処分の対象となり得るほか、直罰としての刑事罰も置かれるということになっております。取引類型としては、通販、連鎖販売、業務提供誘引販売取引の3つでございます。

その下にやや細かいですが、※をつけてございまして、特商法でも電子メール広告に関する規制が強化されたわけですけれども、迷惑メールに関しては特電法と言われております、特定電子メールの送信の適正化等に関する法律というものでも規制されておりまして、ここに御紹介しております。特商法と特電法は、規制する対象の行為は同じなのでございますけれども、規制の観点が違うということでございまして、特電法のほうは、送受信の支障の防止の観点からということで、大量のメールが送られるとサーバーがパンクして利用者が不便を感じるということを規制の趣旨としております。現在は、消費者庁ができた後は、いずれの法律も消費者庁との共管になっておりまして、私どもが執行しているところでございます。

下のほうに執行件数を書いてございます。規制強化されるまでは年間数件だった執行件数が、規制強化後は年間10件程度の執行を行っているということでございます。

それで、承諾していない者への電子メール広告自体は、真っ当な事業者であってもそういうことをしてしまう場合はあるのかもしれませんが、執行に至る前に、まず注意喚起を行いますので、その段階で普通の事業者であれば直していただけるようで、執行にまで至るというのは、今では全件、出会い系サイトでございまして、出会い系サイトの執行事例を書いております。

13ページにまいります。通信販売におけるFAX広告のトラブルということで、左側に苦情相談件数の推移を書かせていただいております。2009年度から2014年でおよそ2.5倍に苦情相談件数がふえているということでございます。

内訳を見てみますと、融資サービスが一番多くなっております。これは、貸金業の登録を受けている者がやれば貸金業法の適用ですけれども、いわゆるヤミ金と言われるものであれば、これは特商法の適用の対象になるところでございます。2番目は果物、3番目はパソコン・パソコン関連用品と続いております。

FAXに関して苦情相談がふえている背景として考えられることを、その下に書いております。

まずは、送信コストが低下したということで、1枚当たり4円から広告ができるという状態になっております。

2番目は、新たな技術・サービスが登場したということで、システムの利用によって1時間に数万件のFAX送信が可能ということで、技術の進歩によってふえているということでございます。

3番目は、電子メール広告との比較において、規制が緩いということもFAXに関する苦情相談がふえている背景として考えられます。FAXに関しては代行業者という方がいるわけですけれども、代行業者によっては、電子メール広告は規制があるけれども、FAX広告については規制が存在しないということをPRして、お客さんを集めているような業者がおりまして、そういうことで相談がふえていると考えております。

14ページにまいります。

具体的なトラブル事例ですけれども、事例1、果物のFAX広告が勝手に送られてきた。FAXの紙もインクも減って迷惑だということです。

事例2は、毎日「お金貸します」というFAXが届いて迷惑だということ。

事例3も果物の事例でございます。

FAXに関する問題点といたしまして、受信した消費者の側において費用負担が発生するということでございます。これは、実はメールに関して迷惑メールの規制を強化したときは、パケット代というものがまだ定額でない場合があった時代でございまして、メールを受信するのにもお金がかかるというのが規制を強化したときの理由だったわけですけれども、FAXに関しては、一件一件、受信に費用がかかるという状態がまだ残っているということです。

2番目は、消費者側が受信をとめることが困難ということでございます。規制がありませんので、消費者が送信元に要請しても送信元が要請に従うとは限りませんし、消費者の側からしてみると、相手方に当該FAX番号が使われている番号だということを知らせてしまうという懸念もあって、連絡をなかなかとりにくいということでございます。

15ページにまいります。現在の被害実態を踏まえて、FAX広告に関する規制をどのように考えるべきか。

仮に規制を導入する場合、どのような内容の規制とするべきか。

3番目は、特商法のいずれの取引類型で規定を導入するべきかということを書いてございます。FA広告に関しては、通信販売以外の取引類型における相談はほとんど寄せられておりません。

4番目は、規制を導入した場合に、どのような担保措置を置くのかということでございます。電子メール広告に関しては、現在、行政処分の対象とするとともに、100万円以下の罰金ということで直罰規定も置かれておりますけれども、これをどのようにするかということを御議論いただきたいと思います。

その次、3番目の論点、17ページでございます。電話勧誘販売における過量販売でございます。

平成20年の特商法の改正においては、訪問販売において過量販売解除に関する規定が導入されました。近年、電話勧誘販売においても、相談の現場などからは「過量販売」、「次々販売」に該当するような事例が出てきているという報告を受けておりまして、特に判断力の低下した高齢者が被害を受けている状況にあると聞き及んでおります。

1枚めくっていただきまして18ページにまいります。ここは、訪問販売における過量販売解除の規定を書いておりますが、ここでは御説明は省略させていただきます。

19ページにまいります。電話勧誘販売における「過量販売」のトラブルについてということで、電話勧誘販売の「過量販売」に関する苦情相談件数は左側のグラフでございますけれども、2008年、2009年あたりから増加傾向にあるということが読み取れると思います。

右側の上のグラフでございます。オレンジ色のところが既支払額の平均額でございます。平均額は少し下がってきておりまして、直近の14年度だと平均の額は31万円ということでございます。2009年、11年あたりは平均額が非常に高くなっておりますが、これは1件1億円とか、やや特殊な事案が含まれておりまして全体の平均額が上がっているということで、そういうものを捨象すると数十万円ということになると思います。

品目に関しては、左下でございますけれども、健康商品が上位を占めております。

契約者の年代は、60代以上が緑色、70代が青い色ですけれども、緑色から先のところで約8割ということでございまして、次の次のページに、同じ円グラフで訪問販売における「過量販売」を書いておりますが、それと比較してもお年寄りの被害の割合がかなり多いということでございます。

1枚めくっていただきまして20ページにまいります。

具体的な相談事例、事例1、3年分の煎じ茶24万8,000円の契約をしたということで、認知症ではないということでして、解約を希望するということでございます。

事例2は、きのこのお茶というもので、3年分で35万円ということでございまして、開封していない分だけでも返品できないかという相談です。

事例3は、化粧水と乳液、1箱3本入りを24箱、パウダー1箱90袋を24箱勧められて押し切られて、リボ払いで買ってしまったということでございます。

21ページは、先ほど19ページで御紹介した電話勧誘販売に相当するデータの訪問販売のデータでございまして、2009年、規制が入った以降は、相談件数は減少傾向にあることが見てとれます。

22ページにまいります。検討というところで、現在の特商法の枠組みでは、訪問販売で「過量販売」、「次々販売」を行うと解除の対象となる一方、電話勧誘販売で同様の行為を行うと解除の対象とはならないが、これについてどのように考えるかということでございます。

それから、2番目、現在の被害実態、それから今後の高齢化の進展を見据えて、電話勧誘販売にも過量販売解除を導入する必要性について、どのように考えるか、御議論いただければと思います。

最後、4番目、訪問購入における「交換」でございます。

24ページにまいります。平成24年の特商法改正においては、新たな規制対象として訪問購入が新設されております。現在、施行から2年以上が経過して、悪質な事業者が「売買」でなく「交換」だということを主張して、法の潜脱を図ろうとする事例が出てきておりまして、このような事例の対応について、どのように考えるかということでございます。

25ページには、訪問購入全体の苦情相談件数の推移を示しております。訪問購入は、2012年度、2013年2月21日から施行されておりまして、そこから後の苦情相談件数でございますけれども、2013年度は7,000件超、2014年はそれにさらにもう少しふえてきているということでございます。

品目としては、右上に書いてございますけれども、アクセサリー、被服品、着物、指輪といったところが上位にきております。

契約者は、約半数が70歳以上、それから8割が女性ということでございます。

2013年2月に施行されまして、私ども、その後、執行を2014年度に3件行っておりまして、これはいずれも国による処分ですけれども、今後、執行して、それを周知していくことによって苦情相談件数を減らしていくということを今後もやっていかなくてはいけないと思っております。

26ページにまいります。訪問購入における「交換」に関する具体的な相談事例ということです。

事例1は、「不要の鞄はありませんか」と男性が訪問してきて、商品券と交換になるという説明を受けたということでございます。鞄は300円ぐらいだと言われて、アクセサリーはないかということで、アクセサリーを出したら13万5,000円分の商品券を受け取ったということでございます。ただ、渡した商品の購入価格は合計すると200万円以上になるので、後悔して解約の電話を入れたところ、解約できない、返金しないと言われたということです。

事例2は、「貴金属はありませんか」という電話がかかってきて、業者が自宅に来た。指輪などの貴金属と万年筆を引き取られて、プラチナの指輪を渡されたということで、この相談者は、お金はもらっていないので、後でもらえると思っていたということが、その後、契約書などが届いたということで、不要な契約なので解約したいという御相談でございます。

27ページにまいります。

論点、マル1現在の被害実態等を踏まえ、訪問購入に関する規制の対象を「交換」にまで広げる必要性をどのように考えるかということでございます。下に※がございますけれども、例えば、現行の規定を前提に、一度売買が成立したとした上で、支払手段の選択の問題として処理することが可能な事例や、代物弁済の成立を認めることが可能な事例も存在すると考えられるところ、新たに「交換」という概念を導入する必要性をどのように考えるかということでございます。

それから、マル2が、仮に「交換」まで対象とした場合は、本来、特商法で規制する必要の低い取引に対して悪影響を与える可能性は考えられるか。また、それについて、現行の適用除外規定等で対応することは可能かということを御議論いただければと思っております。

私からの説明は以上です。

(2)意見交換

○後藤座長 どうもありがとうございました。

それでは、ただいまの御説明の内容を受けまして、議論を行いたいと思います。ただいま4つの項目について御説明いただきましたので、この4つに分けて御議論いただきたいと思います。

まず最初は、外国通貨の両替であります。資料の3ページ以下でありますが、この問題に関して御意見等ございましたら、よろしくお願いいたします。阿部委員。

○阿部委員 別に資料を出させていただいておりますので、それをお読みいただければと思うのですが、2つ問題があると思います。

本来、ここで出されているような事案が本当に特商法による救済になじむものなのでしょうか。むしろ投資詐欺的な色彩が強いものであれば、刑事問題だと思いますし、あと外為法がきちんと施行できるのであれば、かなり抑制効果があると思います。そういう意味では、特商法で規制されることに反対はしませんが、ほかの法律の適用場面とどう調整するのでしょうか。

それから、仮に特商法を適用するとしても、8ページにあるとおり、効果にかなり疑問がありますので、あえて言うと、本当にうまく機能するのかなという気はいたします。慎重に検討いただければと思います。

○後藤座長 ありがとうございました。

ほかに御意見ございますでしょうか。池本委員。

○池本委員 池本でございます。資料4-2、レジュメを配付していただきましたので、ごらんいただければと思います。

まず、外国通貨の両替ということについては、最近、少し相談件数が減っているというところはありますが、これは一時期、マスコミでも何度も取り上げていただいたりということで、ちょっとなりをひそめているところですが、誰でもその通貨を持ち込んで、しかも日本とのレートがはっきりしないものを持ち込めば、何でも成り立ち得ることからすれば、またぞろ出てくる可能性は十分にあるし、現在、正面から適用できないということであれば、規制の必要は十分あるのではないかということ。

対応の方向としては、「商品の売買」に含まれるという解釈規定とするのか、あるいは何か文言を一言加えるとするのか、そうやって「商品の売買」の範疇で捉えるのが適切ではないか。

理由としては、1つは、一般消費者の受けとめとしても、外国通貨を国内での決済手段、投資手段として想定することはまず考えていない。そういうものとして考えれば、一種の商品・財貨と受けとめているであろうということと。売買として考えれば、現在の「訪問販売」、「電話勧誘販売」の規定の中で無理なく解決できるし、例えばクーリング・オフの効果も、渡された外貨を返還し、代金の返還を求める。外貨の返還といっても、振り込みではできませんが、その返還の費用は事業者負担と現行法はなっていますので、その中で解決していただくということではないか。

それで、「有償の役務提供」というのは、事案によって、そうとらえられるものもあるというだけで、ここへ取り込んでいくと、逆に著しく不相当な対価だった場合にとか、逆に適用できる、できないという線引きが不明確になるということ。

それから、「交換」としておくとなると、「訪問販売」、「訪問購入」とは別に「訪問交換」という類型を設けるほどの実態があるかというと、そこまではないでしょうし、そもそも外貨の両替を「交換」で読めるかどうかも、一種の解釈規定でも入れないと対応できないというのであれば、「売買」として入れるべきではないか。

それから、今、阿部委員から御指摘のあった、そもそも特商法で適用して規制効果が上がるのかというのは、これはさまざまな詐欺商法全般に言えるところではないかと思うのですが、むしろ特商法の適用対象に入れることで、書面交付とかクーリング・オフという入り口で取引の適正化を図るというところがあるので、そこがなければ、もうそれは詐欺商法だということが消費者の側にも啓発できるし、もちろん行政処分で警察が動くよりも一歩早く動く余地があるという意味では使えるのではないか。

それから、外為法は勧誘して販売することは想定していない分野ですので、外為法の中で対象にするというのは難しいのかな。その意味で、特商法の中で規律するのが適切ではないかと考えます。

以上です。

○後藤座長 どうもありがとうございました。

山田課長、よろしくお願いします。

○消費者庁山田取引対策課長 済みません、阿部委員のことについて、私どもが調べた範囲で少し申し上げます。

まず、外為法ですけれども、外為法の執行に関しては、外為法上は我々の言うところの「調査」に当たるものを「検査」と呼んでいるのですけれども、「検査」をどのぐらいやっているのかということは対外的にはお話しないことになっているということでございます。どのぐらい外為法が実態として行政が動いているのかということは、お示しいただけませんでした。ただ、財務省の者とお話をしますと、外為法自体は、法目的としては消費者を保護する法律ではないということでして、マネーロンダリングといったものに対応するということですので、個別の消費者被害に着目して、そこを抑えていくという趣旨の法律ではないということでございます。

それから、警察に関して言いますと、警察は、詐欺でやったのか何なのか、具体的な法律の条項はわかりませんけれども、警察が動いて摘発した事例というのは数件あるようでございます。ただ、特商法も行政が動く場合といきなり警察が動く場合、両方あるわけでございまして、そういう意味ではぜひ消費者を救うために両方でやらせていただければと思っているところでございます。

○後藤座長 ありがとうございました。

増田委員、よろしくお願いします。

○増田委員 最近の相談件数は減少している傾向にあるとはいっても、被害は繰り返す傾向がありますので、今回の見直しにおいての対応はしておく必要があると考えます。私も池本先生の意見に賛成します。売買契約として扱うこととしていただきたいと思います。クーリング・オフや取消しをした際の原状回復などを考えますと、手数料の返還だけでは足りないわけですし、全く価値がないかというと、そうではないわけですが、70代、80代の方が国内で換金もできないというものであれば、その方にとっては全く価値がないものです。価値のないものを高額な金額で買わされてしまったという考え方ではないかと思います。特商法に取り入れることで抑止効果ということも考えられますので、ぜひそのようにお願いしたいと思います。

○後藤座長 ありがとうございました。

野坂委員、よろしくお願いします。

○野坂委員 私は、仕事柄、外国通貨にかかわることが多いのですが、そういう立場から考えてみても、6ページ、80代のお年寄りなどが、私も聞いたことがないようなと言うとあれですが、こういう見るからに怪しげな外国の通貨にお金を払ってしまう被害が出ている。大変残念だなと思っております。消費者庁、消費者委員会、国セン、さまざまが連携して消費者教育をなさっていると思いますけれども、こういった事例を見ますと、消費者教育、消費者への啓発を改めて徹底して、こういう怪しげなものに引っかからないように、お年寄りだけじゃなくて、中堅あるいは若い人も含めて教育が必要だなという認識をしております。

その上で、教育は大事ですけれども、被害の拡大防止・未然防止をどうするか。そう考えますと、執行の強化は欠かせないと思っております。悪質業者を放置しない、野放しにしないという意味では、厳重な取り締まりこそが最大の防御だと思います。その点では、先ほど来、阿部委員、池本委員の意見を伺いましたけれども、いかに迅速に対応できるかということがポイントだと思いますので、特商法、そして先ほど山田課長からも、警察なりとも連携する趣旨の発言がありました。特商法で手当てできる部分については手当てをするということに、私も賛成いたします。

手段・方法としては、案1と2が出ております。これも機敏に対応する、迅速に対応するのはどちらがやりやすいか、また消費者への利便性を考えると、商品または商品の売買の概念を広げるという方法がわかりやすいのかなという印象を持ちました。いずれにしても、被害を防ぐという観点から、どれが一番効果的なのか、さらに検討していただいて対応を考えていただければと思います。

以上です。

○後藤座長 どうもありがとうございました。

ほかにございますでしょうか。杤原委員、よろしくお願いします。

○杤原委員 私は、阿部委員の意見に賛成でございます。阿部委員も反対しているわけではなく、慎重に検討してほしいという御趣旨だったかと思います。

理由ですけれども、まず詐欺的な話であれば警察が取り締まればいいのではないかと思います。また、通常の換金という行為が世の中で一般的ではないと池本先生は、おっしゃられましたが、今後、一般的になる可能性が高いと考えております。今、インバウンドで多くの観光客が来られておりますが、全国の小売店が消費税免税店になれる制度になっております。ホテルの両替や、あるいはインバウンドで外貨を扱うことになる小売業者が今後、大幅にふえる可能性があります。そのことと、詐欺的な行為の話は分けて対応を考えていただく必要があると思います。

具体的な相談事例における【事例1】の、「よく覚えていない」ということは、認知症の話であると思いますし、換金を期待しているにも係わらず「換金も出来ず」ということは、外為の話だと思います。【事例2】の、「両替できない」ということについても、仮に商品として扱うのであれば、換金性は必要ないわけであります。例えば、商品として壺を買ったり、熊の置物を買ったりということであれば、それは換金性というのは関係ないと思います。「詐欺に遭ったのだろうか」という【事例3】の話もありますが、詐欺に遭ったのであれば当然に被害者でありますので、それは野坂委員がおっしゃられたように取り締まりをきちんとする必要があると思います。

一方で、兌換ということがあるのであれば、それは平成10年の外為法改正で自由化されたことに原因が潜んでいるのかもしれませんので、平成10年の外為法改正の自由化が本当によかったのか、それが原因になっているのか、あるいはいないのか、そこもしっかり検証していただく必要があるのではないかと思います。いろいろなところに波及する可能性があるので、慎重な検討が必要だと思っております。

○後藤座長 どうもありがとうございました。

河野委員。

○河野委員 ありがとうございます。

今回、問題になっている事例は、6ページの事例を拝見しますと業者の訪問や、パンフレット配布の後の電話勧誘ということで、今お話がありましたようなインバウンドによる日常的な適正な商取引における両替の話ではないと、私自身はこの問題を理解しております。ぜひ抑止力を働かせるため、それからなかなか消費者教育が行き届かない一般の消費者にとって、こういった取引は特商法の中でしっかりと禁止されるのだということを社会にアピールするためにも、今回、外貨の両替は商品の売買という形で解釈規定をぜひ置いていただきたいと感じております。

以上です。

○後藤座長 どうもありがとうございました。

ただいま、いろいろ意見を出していただいたのですけれども、阿部委員、それから杤原委員の御発言は、対応の必要性ということについて否定するということではなく、対応は必要なのだけれども、その際に注意すべきことがいろいろあるので、そこについて慎重に検討していただきたいという御趣旨の発言ということでよろしいでしょうか。

対応の方向性につきましては、ただいまの議論の中では商品の売買と考えるという案が複数の委員から出ておりますが、これについてはほかに御意見がありますでしょうか。対応するとすれば、方向性としては、この方向でよろしいということでしょうか。

それでは、この項目について、ほかに何かつけ加えるようなことがありましたら御発言ください。

特にございませんようでしたら、次の項目に移らせていただきます。「通信販売等におけるFAX広告について」、10ページ以下でありますが、この問題について御意見をよろしくお願いいたします。増田委員、よろしくお願いします。

○増田委員 FAX広告に関しては、導入する必要があると考えております。事業者さん側からすると、FAXとが電子メールとの違いが非常に小さくなってきているのではないかと感じます。大量送信するに当たってのコストとか、技術が上がっていることによって労力が少なくなっているということで、電子メールとの差が小さくなっていると思います。反面、消費者サイドからすれば、電子メールによる被害の負担に比べて大きいと感じます。具体的には紙とかインクの費用、それから電話音、FAXを受信している間の占有されている時間など、電子メールよりずっと負担感が大きいと感じます。

規制の方法としては、電子メールと同じような規制の方法、規制の内容にしていただきたいと思います。

○後藤座長 ありがとうございました。

ほかにございますでしょうか。野坂委員、よろしくお願いします。

○野坂委員 FAX広告によるトラブル。事例を見ると、確かに迷惑されている方がいらっしゃるのかなという気はするのですが、幾つか質問があります。

まず、13ページ、相談件数の推移は出ていますけれども、相談で実際に被害がどうなっているのか、被害額の統計というのは出されているのかどうか、もしあるなら教えてほしいと思います。

また、右側の円グラフで果物が26%で2位です。よくわかりませんが、事例でも触れられているのですが、ある特定の産地に集中して果物ということでFAXが来ているのか、あるいは果物のいろいろな種類を次々とセールスしてくるような手口のものなのか、詳しく教えていただければと思います。

いずれにしても、相談件数の推移を見ると、迷惑イコール被害というのは気持ちとしてはわかるのですが、被害金額が出ているものか、出ていないのか。相談件数だけでは、法律を強化するという立法根拠として弱いのかなという印象もある。その点について事務局はどういうお考えか教えていただきたいと思います。

○後藤座長 よろしくお願いします。

○消費者庁山田取引対策課長 被害額ということですけれども、申しわけございませんが、相談件数は把握しておりますが、この先でどのような被害が生じたかということまでは私どもは把握しておりません。

それで、これは迷惑だからということよりは、14ページの問題点のマル1で書いておりますように、わずかではありますけれども、消費者側に費用負担が発生するということが、迷惑メール規制を強化したときにも、規制の理由としてあったわけですし、今回も、わずかではあるけれども、消費者側に費用負担が発生するというところが問題なのではないかと考えております。

それから、果物でございますけれども、これは特定の産地ということではなくて、いろいろな産地のものに関して送られておるようでして、13ページにも少し出ておりますけれども、代行業者の方が農家の方に声をかけて、農家の方が頼んだら代行業者がFAXを送るという実態だろうと思います。産地はばらばらでございます。

○後藤座長 ありがとうございました。

池本委員、よろしくお願いします。

○池本委員 池本です。

これも資料4-2をごらんいただければと思いますが、実はこのペーパーが送られてきた後で、大急ぎでFAX広告の代行業者というものを私もネットでちょっと調べてみたのです。というのは、日常的にも法律事務所や何かで確かにFAX広告、最近ふえたなという印象があって、これは事業者へ向けて送るのは特商法ではないので別ですが、FAXダイレクトメール代行サービスというものが本当にふえています。さらに、その代行業の事業者の比較をするサイトも複数ありますし、1件当たり4円ではなくて、3円から受託するところも出ています。

それから、その送信先名簿を400万件保有というのが何カ所もあります。その意味では、昔ながらの1枚ずつ番号を入力しておくというイメージではなくて、コンピュータに入れておいて一斉送信ボタンで、例えばどういう層の人へ送るとか、設定しておけば、いかようにでも一斉送信ができる時代になっている。その意味では、以前の電子メール広告の送信と同じようなことではないか。

それで、以前の電子メールのころは、今はみんな光ファイバとかで料金が決まっていますが、昔は通信時間やパケット量において金額が高くなる時代には、迷惑メールが入るので受信の時間も長くなり、料金も上がるということが不満にありましたけれども、FAXの場合は受信の時間じゃなくて、紙とトナー代が取られるという意味で、そこへ大きな不満が集中するという意味では、電子メール広告以上の問題が今、あるのかなと思います。その意味では、以前の電子メール広告時代と同様のトラブルであり、なおかつ紙やトナーの一方的な利用を強いられるというところからすると、それ以上に規制の必要性はあるのかな。

以前の電子メール広告のころのメール一斉送信によるトラブルということで、その先の現実の被害、もちろんいろいろな出会い系サイトとか、当時もアダルトサイトとか、問題がありましたが、その分野の被害の実態の問題とは別に送信手段として規律したというのは、ちょっと切り口が被害件数とは直結しないで規制を入れたのではないかと理解しております。

以上です。

○後藤座長 ありがとうございます。

花井委員、よろしくお願いします。

○花井委員 花井です。お願いします。

私も池本委員や増田委員が言われたように、一斉送信するという点では、メールと全く同じようであり、今ではFAXがそういう形態になってきているのではないかと感じます。電子メールの場合は、例えばタイトルだけ見たら内容を見ないで削除してしまえばいいのですが、FAXでは紙に印刷するため、全部内容が読めてしまうのです。特に事例2のようなヤミ金のFAXがどんどん届くと、どうして自分の電話番号がヤミ金業者に漏れているのか。やめてもらいたいけれども、連絡をするわけにもいかないということがあったり、先ほどから何度も挙がっているように、受け取りたくないFAXのために、用紙をどんどん使ったり、インクが減ってしまったりという被害も発生している状況を考えると、メールと同じような規制をしていただきたいと思います。

以上です。

○後藤座長 ありがとうございました。

ほかにございますでしょうか。有山委員、よろしくお願いします。

○有山委員 以前、迷惑メール規制の委員会に参加したときに、私たちのほうは消費者団体として、たくさんメールが送られていることに対して規制を求めました。その当時、電気通信事業者さんも通信の9割がそういう迷惑メールなので設備に対する負担感が強い。規制してほしいという意見だったと思います。早期のうちにFAX広告にある程度の規制をかけるのは必要だと考えております。

○後藤座長 杤原委員、よろしくお願いします。

○杤原委員 質問なのですが、先ほどの野坂委員のご発言にも関連するのですが、2013年度から2014年度に苦情件数がふえていますけれども、何がふえたのか中身を教えて頂きたいと思います。

それから、右側の商材の内訳に融資サービスとあるのですけれども、これは合法的な金融業の方と、いわゆる非合法な金融業に分かれると思うのですが、その非合法の金融業者の名前というのはどこかに記録されているのではないかと思います。それは取り締まれないのかという質問が1つです。

それから、平成14年に施行された特電法によって、電子メール広告への規制が入ったということですが、特電法ができる前の時代からFAXの同報送信というのはあったはずでありまして、特電法制定の議論の中で、FAX広告へも規制をするという議論が国会や審議会などでなかったのか、教えて頂きたいと思います。

○消費者庁山田取引対策課長 御質問、ありがとうございます。

まず、この棒グラフで2013から14年でさらに伸びている部分は、大半が果物、パソコンです。融資サービスも多少伸びておりますが、一番伸びが多いのは果物でございます。

それから、融資サービスで、PI0の中には当然、事業者が書いているものと書いていないものがあります。書いているものに関しては、それが貸金業法の登録を受けているものなのか、そうでないのかということは一見はわからないわけでして、それを一件一件、区分けしてという作業は現在にはいたしておりませんので、現時点ではちょっとお答えすることができません。

そういうところで、ヤミ金がいれば取り締まるべきだということは、一般論としてはもちろんあると思いますけれども、PI0で違法だということがわかって、1件あれば、それが即執行ということで行政庁のリソースは使っておりませんので、そこは従来同様、PI0で目立ったものから執行なりをしていくということではあろうかと思います。

それから、特電法なり特商法の改正なりで迷惑メールを規制されたころに、FAXに関して議論があったのかどうかということについては、私が知る限りは、そのような議論があったとは承知しておりませんが、国会の議事録検索などは少し確認して、もしそういうものがあれば、また後日、この場で御紹介したいと思います。

それで、13ページの一番下に書いておりますのは、メールのほうが規制されたので、FAXでどうでしょうとPRする業者が出てきており、したがって、FAXのほうが近年ふえているのではないかということで理解してございます。

それから、関連してですけれども、FAXはもう既にすたれているのではないかということも御指摘いただくわけでございますけれども、FAXの普及率自体は、直近の調査では世帯当たり46.4%でございまして、今、横ばいという感じでございます。新しい電話機を買えば、割と簡単にFAX機能もついているということもあるようでして、そのぐらいの世帯で普及しているということでありますので、そういう意味では、放っておくと被害はまだふえる可能性があると思っております。

以上です。

○後藤座長 どうもありがとうございました。

佐々木委員、よろしくお願いします。

○佐々木委員 ありがとうございます。

これは、電話勧誘販売のときも同じ議論だったと思うのですけれども、例えば髙島屋さんも参考人で来られたときにおっしゃっていましたけれども、既存顧客、これまで購入されたお客様とかにお知らせする。FAXは比較的高齢の方というか、60以上の方は使っている方が多いものですから、通販事業者として購入された方に季節のお知らせとか、そういうものを流すケースは多々あると思うのです。そういう意味では、これは被害とはちょっと別ですけれども、それをちゃんと分けて取り扱えるようにしていただかないと、全てがだめだというイメージを消費者の方が持つと、FAXが来たことだけで非常にエキセントリックになるようなケースがあるのではないかと非常に危惧しております。

また、今、機器も非常に発達してきておりまして、私自身、FAXを使っておりますけれども、ディスプレイでプリントイメージが見られるので、別に紙に印刷したくないのはそこで削除すればいいわけで、そういうテクノロジーがどんどん進歩しているので、法律をむやみやたらにつくることで規制を強化するより、被害者を救済するいろいろな方法はあるのではないかと思います。

以上です。

○後藤座長 どうもありがとうございました。

ほかにございますでしょうか。河野委員、よろしくお願いします。

○河野委員 今のお話は非常に注意しなければいけない点だと伺っておりました。電子メール広告規制も、承諾していない者に対するという大前提がありますので、FAXに関しても御高齢でパソコンを使えない、インターネットを使えない方にとっての連絡のツールとすると、それはそれで有用だと思いますので、全面的な禁止という規制ではないと思います。

それで、私も今回、この検討ということで改めて考えてみますと、私は旧式のFAXしか持っていないので、受信と同時に紙に全部印刷されてしまうのですが、私の自宅にもそういえばFAX通信がふえているなと思ったのと、私の周りでも、資料に書いてあるように、いわゆる与信が通ったからお金を貸せますみたいなFAXが届いて困っているという話があり、かつてインターネットが普及してきたころに、FAXは旧時代の技術かなと思ったのですが、最近ふえているという実態があります。

それから、もう一つ、FAXはそういうやり方があるのかなと私が思ったのは、電子メールが規制されているから、全ての国会議員にFAXで意見を送ることができるウェブサービスというのが、ついこの間、有名になりました。それは1,000文字以内の送信したい文書を送ると、ウェブで七百何名の国会議員の方に一斉配信する形です。他の手段には、いろいろ規制があって、電子メールは事前承諾がないと一般の御家庭には送れない。それから、郵送でのダイレクトメールは、もともと紙代も、それから通信費もかかりますし、チラシのポストインも当然のことながら紙代とか人件費もかかります。

そうすると、一番、今、何の規制もかかっていなくて、安くて、いろいろ情報を届けられるのがFAXで他の手段が徐々に除外されていって残った手段だと思います。FAXが、朝起きると夜中に送られてきていて、勤めから家に帰ると、またたまっているというのは、一番単純に言えば紙代がもったいないし、私は欲しがっていない広告だということがありますので、先ほどのような事業者さん側の御意見も尊重しつつ、何らかの形でいい対応をしていただければと思っています。

○後藤座長 どうもありがとうございました。

よろしいでしょうか。有山委員、よろしくお願いします。

○有山委員 先ほどFAXが40代後半ということでしたが、考えてみますと相談者の方も高齢の方はFAXをお持ちです。FAXは、受ける専門ですね。御家族が帰ってこないと出せないとか、お嬢さんが来たときにFAX送信できる。高齢の自分は受ける専門ということで、旧式のものをお持ちです。この商品内容から推測するに、果物というのは結構重いものなので、高齢者の方が買う可能性があるということで送られているのではないかと思います。基本的にFAX広告で事業者さんから、「FAX広告、けしからん」というものについては、私たちPI0-NETで問い合わせに入れるのですね。問い合わせは検索できないので、この内容は個人からのものか、もしくは小規模の方で御家族経営の住宅と職場が一緒のようなところからのクレームとして受けていると思います。高齢者を狙ったたくさんの広告を送る手段となってきているのではないかと思うのです。ぜひ何らかの対策を練っていただきたいと思います。

○後藤座長 どうもありがとうございます。

池本委員。

○池本委員 池本です。

先ほど説明漏れが1点だけありました。FAXの広告の代行業者のサイトをいろいろ見ていたら、基本は事業者向け、法人向けのFAX広告の代行をしますという広告です。それをターゲットとする業種や地域や、いろいろ選べますとして、400万件の名簿の中でいかようにも組み合わせて出せますということで、個人も含むというのが小さく載っているところも、もちろん複数あるのですが、業態の中心は法人向けでした。

それから、これはちょっと正確じゃないのですが、自分のサイトの下に使い方のQ&Aがあって、個人向けのFAX広告もできるかというので、できますと。ただし、個人向けは不満が生じやすいので、余りお勧めできませんと、なかなか良心的な事業者もいるのだなというのを感じます。その意味では、今、やっている業態の中心部分を何も抑え込むことではない。個人で不必要なものが一方的に送られてくるというものに対する規制であると整理できるのではないかと思います。

以上です。

○後藤座長 ありがとうございました。

この問題につきましては、FAX広告に関する規制の導入につきまして、導入が必要だという御意見が多いようです。その導入に際して、佐々木委員がおっしゃったような注意すべき点というものはございますけれども、基本的に導入の必要性があるという認識を共有したということでよろしいでしょうか。表の見方について疑問を出された野坂委員や杤原委員は、この辺、どのようにまとめることがふさわしいか、御意見がありましたらお示しください。

○野坂委員 阿部委員は発言されていないのだけれども、阿部委員の意見書を見ましても、普通の健全な業者と悪質業者の区別が消費者側からすると一見わかりにくいところもあるかもしれないし、規制の方向性については、私もある程度検討してもいいかなと思っていますけれども、そこの線引きを含めて、どういう手段が一般の健全な業者の営業活動に過度な負担にならないかどうか、そこも見ていくべきだと思っております。ある点で慎重にその部分は分析した上で、手段、方法を考えるべきだと思います。

阿部委員、何か補足することがあれば。

○阿部委員 紙に書いてあるとおりであります。

○後藤座長 杤原委員は何かございませんでしょうか。

○杤原委員 私も反対しているのではありません。かねて申し上げているとおり、件数の内訳を教えて頂きたいということです。先ほど来、先生方は通信販売におけるFAX広告は、重たいものについての利用が便利なお年寄りのところに来るのですとおっしゃられますので、この件数を年齢層で分けていただくと、その事実が客観的に分かるようになると思います。また、合法な金融業者であれば、金融庁などがFAX広告を控えるような自主規制を求めることもできると思います。通販協や訪販協であれば、自主規制ガイドラインの順守を求める方法もあるでしょう。それから、非合法な事業者は、そもそもやっていること自体が非合法なわけですから、警察のほうで取り締まっていただければよいのではないかと思います。

果物についても、どこの産地が多いのかということがわかれば、農協や果物組合などの産地組合へ対応を求めることも当然考えられるわけです。いつも件数だけで議論されて、中身の内訳がないものですから、原点に帰るのですけれども、高芝先生がおっしゃるように、原因が特定されさえすれば、現行の法規制で対応できるのか、業界への指導で済むのか、あるいは産地が特定されているのであれば、産地の組合に自主規制を求めるなど、いろいろな手段で高齢者などの被害に遭われている方を救えると思います。その分析をもうちょっと丁寧にしていただけないかということを申し上げているわけです。

○後藤座長 どうもありがとうございました。

それでは、野坂委員や杤原委員、それから阿部委員の意見書、そういうものを生かす形で、ここについては基本的には必要性については特に否定しない、その方向だという取りまとめでよろしいでしょうか。

次に、15ページの検討のところでその他の問題もありまして、通信販売以外の取引類型についても、このFAX広告に関する規制が必要なのかどうかという論点、それからFAX広告に関する規制を導入するとすれば、その手法をどう考えるのかということでして、御発言の中では、電子メール広告並みの規制がいいのではないかというお話がありましたが、ここについては、通信販売について、電子メール広告並みの規制ということが考えられるというまとめでよろしいでしょうか。何かこの点について御意見がございましたら、お願いいたします。よろしいですか。

それでは、次の項目に進めさせていただきます。次は、電話勧誘販売における過量販売の問題でありまして、資料の16ページからであります。御意見をお願いいたします。増田委員。

○増田委員 電話勧誘販売における過量販売の被害が発生しているという事実が認められると思っております。訪問販売における過量販売の問題と、電話勧誘販売の過量販売の問題との違いがあるかわかりません。私としては同じだと考えております。かつて、三、四十代のサラリーマンの方に対する電話勧誘販売による教材等の次々販売が行われました。今、それは減少している状況にありますけれども、必ずしも高齢者だけではなく、ある条件が重なれば、そういう状況に陥るのだということのあらわれだと思います。電話勧誘販売においても過量販売というのは行われると思っております。

また、健康食品とか化粧品など、継続的に使用しないと効果が得られませんよという説明をしがちなものが、よく過量販売に取り扱われています。そうした場合、1人で昼間在宅している高齢者、相談ができないで、かわりに断ってくれる人もいないという状況の方をターゲットにしているような勧誘が行われている実態があるかと思いますので、訪問販売と同じように過量販売規制をぜひ取り入れていただきたいと思っております。

○後藤座長 ありがとうございました。

ほかにございますでしょうか。池本委員、よろしくお願いします。

○池本委員 これも発言レジュメをお配りしているので、ごらんいただければと思うのですが、過量販売に対して、どういう規制を加えるかというのは、実は平成20年法改正のときには物すごく重要な論点でした。それは、いわゆるリフォーム詐欺商法、訪問販売で高齢者宅、認知症高齢者のところに行って何千万円もの契約を次々とさせたという、それが法改正の出発点でしたから、それに対してどういう規制を加えるべきかということが議論されました。

私の発言レジュメの3ページに当時の議論の様子をポイントだけ紹介したのですが、どういう規制を設けるかということが、何らかの規制は必要だけれども、どういう枠組みで、どういう要件で、どういう理論的構成にするかということは、本当に迷い迷いやっていた印象です。例えば、日弁連から意見書を出したときには、顧客の判断能力不足に乗じた勧誘をしてはならないという指示対象行為がありますが、それを要件の基本として取消権を付与してはどうかという意見も出しました。ただ、「判断力不足に乗じて」とか「知りながら」という認識を要件にすると、なかなか使えないのではないかという議論がありました。

産構審の特定商取引小委員会では、さまざま議論をした結果、「通常必要とされるもの」を超えることとなる商品や役務、現行法と基本的な枠組み、要件立ては同じですが、取消すことができるという取消権の構成で最終報告書がまとまっています。それが3カ月ほどたって法案が出たときには、過量販売に係る契約を解除することができると、取消権から解除権に変わっています。これは取消権だと、追認し得るときから何カ月間の取消権の行使期間というのがありますが、過量販売という状態に追認し得るときがあるのだろうか。要するに、その状態が消えてから判断するというのがあるのだろうかとか、いろいろ考えていったら、取消権構成もまずいぞということが、どうも最終段階で議論されたようです。

そうやって、法改正の出発点である過量販売、次々販売を何とかしようという議論の中で、やっと訪問販売の部分だけ入って、議論の途中でも、ほかの分野はという話題が出ても、もうそれどころじゃないので、ここだけに絞ってというところで、横を広げる議論をする余裕がなかったというのが本音のところです。

今回は、法的な判断枠組みはもうできているわけですから、被害実態として最近ふえているのであれば、電話勧誘販売にも広げるということは十分に可能ではないか。特に、この要件立ては、通常必要とする分量を著しく超えるものについては解除できるとしながら、ただし書きで、申込者にとって当該契約を締結する特別の事情があったときは、この限りでないという。要するに、販売業者がきちんと事情を把握している分にはいいですよという除外もついていますから、その意味では本当に不適切なものだけを切り取るという線引きになっています。

したがって、特に販売活動一般を規律するということでもない、要請の特に高いところだけを上手に切り取っていくので、特に過量販売をやる事業者をヒアリングというわけにもいきませんし、違法行為の範囲だけを規律するということで、特段、ヒアリングとかもなく導入という方向で決定することは可能ではないかと私は考えます。

以上です。

○後藤座長 ほかに御意見ございますでしょうか。野坂委員、よろしくお願いします。

○野坂委員 平成20年の改正において、訪問販売で過量販売解除に関する規定が導入されたということで、何をもって過量販売なのか、その線引きは非常に重要と思います。本日、参考資料1で訪販協のガイドラインがついております。大変参考になると思っておりますが、下のほうに幾つかの商品・役務ごとに大体の目安がついています。こういう目安があると、事業者にとっても、あるいは消費者にとっても、相談を受ける相談員にとっても、これが目安になるのだなということで判断材料になると思う。本日の資料19ページ、電話勧誘販売で、下に上位5位までの商品・役務別苦情相談件数とあります。この訪販協の目安を当てはめて、電話勧誘販売でも適用して判断しているのかどうか。それは、この資料ではよくわかりません。

また、ガイドラインに出ていない商品、例えば鮮魚とか印刷サービスとかきのこ粉末が表に出てきます。これも何らかの目安なしに相談員が主観的に判断して過量販売とやっているのか、その辺のからくりがこの表だけではわかりません。同様に、21ページの訪問販売の相談件数も、ガイドラインに出ていない商材、家庭教師とか新聞が入っているのですが、これも線引きがよくわからないまま、この過量販売に分類されている恐れがある。どういうルールで主観的に仕分けされているのか、大変疑問だなと思っております。

したがいまして、電話勧誘販売について、同様に規制を導入するということであれば、いろいろな被害が出ていることに対して何らかの対応が必要だと私も思いますけれども、過量販売、何をもって過量なのかというところの目安をもっと明確にしないことには、事業者にとっても消費者にとっても、そしてまた相談員にとってもわかりにくいだろう。しっかりある程度の線引きを明確にしないと、ただ規制を強化するということにならないか、懸念しております。

以上です。

○後藤座長 ありがとうございました。

消費者庁からよろしくお願いします。

○消費者庁山田取引対策課長 ただいまの野坂委員の御指摘についてですけれども、19ページ、それから21ページの左上の棒グラフの下に注1というのをつけております。それで、「『過量販売』とは、商品に限らず、過量な役務についても付与される。どの程度が過量かの取り決めはないため、相談者またはセンターの過量感で付与されるキーワード」と書いてございます。それで、現実には、参考1の訪販協のほうでつくられた目安というものを相談員の方は見て、これに載っている商材に関しては、これに基づいて付与されているように聞いております。

ただ、ここに書いてある商品・役務に限られるものではございませんので、それ以外の部分は、少し主観的・感覚的なものによってしまうということもあるのかなと考えております。また、それは相談の専門の方に補足していただければと思います。

○後藤座長 丹野理事、よろしくお願いします。

○国民生活センター丹野理事 過量販売に関しては、今の19ページより前に、18ページにそもそも過量販売とは何ぞやと、上のところにアンダーラインを引いておりますが、「日常生活において通常必要とされる物量を著しく超える商品等」と、まず、ここがございます。この過量販売の定義のもと、さらに物差しとして、先ほど来お話になっている訪販協様のおつくりになったガイドラインがあって、それらを参考にしつつ、相談者の申し出を、相談の専門家である消費生活相談員という者が聞き取って、過量であるとしているものであります。ですから、恣意ということではなくて、その定義、趣旨に沿って付与するという判断をしております。

○後藤座長 ありがとうございました。

佐々木委員、よろしくお願いします。

○佐々木委員 ありがとうございます。

野坂委員の意見に私も賛成で、過量の判断は非常に難しいなと思うのです。それはなぜかというと、事業者は当然、1つのものを送るコストと梱包資材、それは2個、3個に対しては少なくなるわけです。ということは、ある程度の数量を出すことでバルクディスカウントというか、そういう価格設定を往々にしてします。そういう意味では、例えばここで訪販協さんのガイドラインで、布団が1人1組だとされていますけれども、それは家族構成とかを一々聞かずに、5つ頼まれた方は当然5組の布団を送ると思います。そういう意味では、なぜそれが過量だというのは非常に難しい判断だと思います。

通販事業者の場合、返品制度というものを設けていますから、その返品制度を使えば、悪質な事業者の場合は別かもしれませんけれども、基本的には返品を受けていると思うのです。そういう意味で、むやみやたらに規制を強化するというのは、よく考えなきゃいけないことではないかと思います。

○後藤座長 ありがとうございました。

御意見、ほかにございますでしょうか。増田委員、よろしくお願いします。

○増田委員 基本的に、これはみずから申し込むということではなく、電話勧誘によって契約に至ったり、訪問販売によって契約に至って過量販売になったということが前提だということを御理解いただければと思います。

それと、過量ということが最終的なところで相談員の判断に任されるということはあり得るのですけれども、受け付けた相談カードのチェックをするとか、いろいろなチェック機能がありまして、1人の相談員が過量だからといって、それがそのまま通るわけではないです。例えば二、三カ月分の健康食品を買ったということで、いきなり過量とは私は判断いたしません。一方、初めての健康食品を利用するときには、体に合うとか合わないということもございますので、それを1年分、電話勧誘によって買わされたということであれば過量なのではないかと思います。そこのところはどういう状況で買ったのかということも含めて総体的に考えておりますので、私ども相談員の感覚というのは、勝手なおばさんの感覚ということではないということを、御理解いただきたいなと思っております。

○後藤座長 ほかにございますでしょうか。有山委員、よろしくお願いします。

○有山委員 例で申し上げますと、85歳の人が毎日1錠ずつ飲むような健康食品を10年分買ったら、これは過量販売となると思います。それから、85歳で、ついうっかり3年分、勧められるままに買ってしまったのよ。やはり過量ねと言われると迷います。3年だとどうなのだろうという話をセンター内でして、不意打ち性がどうだったのか、そういうことを加味して過量につけるかどうかということを判断しますので、相談員1人でこれは多いでしょうという話ではありません。

学習教材は、最近はなくなりましたけれども、小学校に入った途端に9年分というのが多発していた時期もございます。子供が9年間、同じ教材を使い続けるなど、考えられない。これは過量販売に典型的なものとして入るような形になると思います。年齢とか使用状況、それから本人がどう考えていたか、不意打ち性があったのかどうかというものを含めて判断しております。

○後藤座長 ありがとうございました。

河野委員、よろしくお願いします。

○河野委員 ありがとうございます。

この論点は、訪問販売では既に導入されている過量販売解除規制を、電話勧誘ではどうするかというところだと思っていますので、既に訪問販売で過量ということに関して言うと、ある程度実績が積まれていて、それなりの対応がされているのかなと思っています。

それで、先ほどからの議論で、私も一番心に残ったのが、御高齢の方にとっての電話、FAX機能もついているかもしれませんが、電話という機器の位置づけというのは、若い世代にとってのスマホと同様に、外部との通信手段とすると非常に重要なものだと思っています。今回、消費者庁さんがお示しくださった20ページの具体的な相談事例でも、お若い方もいらっしゃいますが、御高齢の方が電話口で契約の全体像がわからず購入に至るという状況だと思っています。

ですから、訪問販売で規制されている状況、特に御高齢の方、それから今日の検討の論点で高齢化の進展を見据えという文言もございますけれども、このあたりに対して、これを導入しない理由というのをもう少し知りたいなと思っています。ぜひ訪問販売と同様に、今回、ここに電話勧誘販売における過量販売解除規制というのを入れていただきたいと思います。

○後藤座長 ありがとうございました。

ほかにございますでしょうか。花井委員、よろしくお願いします。

○花井委員 お願いします。

私も消費生活センターで相談を受けています。先ほど皆さんが、過量のことを随分おっしゃいましたが、私も同じような過量というキーワードのつけ方をしています。訪問販売で、過料販売が規制されたことで相談件数がずっと下がっていることを考えますと、電話勧誘でもきちんと過量販売解除権を入れてほしいと思います。

あと、先ほど佐々木委員がおっしゃっていた、例えばお布団を新調したいと思ったときに、1人の人が5組注文したときにはどうなのかというところについてですが、訪問販売で過量販売規制ができたときに、事業者の方が消費生活センターにいらした際、どのように対応するべきか、困っているのですよということを言われており、すごく印象に残っています。確かに事業者の方にとっては、重要な事なんだなあということは感じていました。

今回、この提案を拝見すると、特別の事情についてということで、特別の事情があった場合は、事業者が立証した場合は事業者に抗弁を認めるということです。例えばうち中で、布団が安いから全部交換しようと計画し、5人家族だから5組買うけれども、私の名前で5組を購入する場合などが考えられます。このように、きちんと事情があった場合には、過量販売に当たらないのではないかと思いますので、これも採用していただければと思います。

以上です。

○後藤座長 ありがとうございました。

ほかにございますでしょうか。特にございませんようでしたら、ここの部分の取りまとめとしましては、電話勧誘販売にも過量販売解除を導入するという意見が多数であるけれども、過量の判断というのは難しさを伴うので、その点について慎重にする必要があるという御意見もあったというぐらいのまとめになろうかと思うのですが、何か御異論、御意見ございますでしょうか。よろしいでしょうか。

次の項目に行かせていただきます。次の項目は、「訪問購入における『交換』について」で、23ページ以下であります。御意見ございましたら、よろしくお願いします。阿部委員、よろしくお願いします。

○阿部委員 意見というより質問ですけれども、例えば26ページの事例1のような商品券というのは非常に換金性の高いものですし、通貨と同じような感じなので、これは代物弁済とみなして売買そのものではないかと思いますし、貴金属であっても換金性は比較的明確なので、これも代物弁済と考えれば、新たに交換を議論する必要もないのではないでしょうか。本当に物と物との物々交換みたいなものを特商法の仕切りに入れられるかどうか。これは、消費者庁のほうに見解を伺いたいのですけれども、特商法のターゲットとして、本当の物と物との交換みたいなものは入ってくるのですか。

○消費者庁山田取引対策課長 現行の特商法ではもちろん入っていないわけですけれども、これを交換というところまで入れると、随分いろいろなものが入ってくるかもしれないなという気はしておりまして、それを今日御議論いただきたいということで、私どものほうからお願いさせていただいております。

○後藤座長 阿部委員、よろしくお願いします。

○阿部委員 卑俗な例ですけれども、ちり紙交換みたいなものは何なのですかね。

○消費者庁山田取引対策課長 ちり紙交換も物々交換ですので、概念としては入ってきてしまいます。それが規制の必要の低い取引だということであれば、概念として交換を入れた場合には、当然適用除外などで判断することになるのではないかと思います。

○後藤座長 よろしいでしょうか。

ほかにございますでしょうか。池本委員、よろしくお願いします。

○池本委員 発言レジュメにコメントを書いておりますが、まず私の意見は、訪問販売、訪問購入、そして訪問交換という次の類型を設けよという意見ではありません。訪問購入の中で代金を支払う。その支払い手段の中で、先ほどから話題に出ていた商品券とかプリペイドカードのような換金性の高いものを利用するということについて、代金を支払うというところへ少し定義規定を置くのか、解釈になるのか、そこはわかりませんが、それで取り込めるものは最大限取り込むことを明確化しておくべきだという意見です。

と申しますのが、交換そのものを販売、購入、交換という第3類型を設けるところまでの被害実態があるとまでは、私も承知しておりませんし、入れるとなれば、それぞれの規定をどういうふうに設けるのかと、一から議論しなければなりませんが、現実に聞いている、あるいは今日出ているような事例も、どちらかというとやや脱法的に商品券であったり、プリペイドの支払い手段を利用するということのようですから、だとすると定義規定を少し触るということでよいのではないか。その意味では、有価証券や前払い式の支払い手段により支払うものを含む。これは、解釈規定を置くのか、解釈を明確化するのか、法制的なところはわかりませんが、そういう対応でとりあえず現在、出ているものについては対処可能ではないかと考えます。

○後藤座長 ありがとうございました。

池本委員からは具体的な提案も出ておりますが、いかがでしょうか。増田委員、よろしくお願いします。

○増田委員 商品券で交換されたという事例を聞いたときにやはりと思いました。金券ショップで交換できるようなもの、池本先生がおっしゃったようなものについては、消費者としてはそれはお金と同じように使えると思って交換するわけですので、交換という認識ではないと思います。ですから、解釈としてはそのように広げていただきたいなと思います。

○後藤座長 わかりました。

ほかに御意見ございますでしょうか。それでは、ここについては交換というものを正面から取り入れるというわけではないけれども、何らかの規制が必要であって、例えば、池本委員のような文言になるのかもしれませんけれども、交換行為の一定のものについては対応を考えるという方向でよろしいでしょうか。それとも、ほかに具体的な提案がありましたら出していただけたらありがたいのですが。

杤原委員。

○杤原委員 質問なのですけれども、【論点】に「法の潜脱」ということが検討の背景に書かれているのですけれども、法の潜脱というのは、法規制のすき間だからだめだということなのか、法のすき間を狙って違法行為をしているという意味なのか、ここの定義を教えていただきたいと思います。

もう一つ、先ほどの阿部委員の意見にも関係するのですけれども、田舎へ行きますと、換金性が相当高い農作物を農家の方々が物々交換で交換しているケースがあります。そういったものも広くは規制の対象になるということなのか、2点御質問でございます。

○後藤座長 よろしくお願いします。

○消費者庁山田取引対策課長 ありがとうございます。

1点目の、27ページのマル1の※の2つ目の「行為規制の潜脱」と書かれている部分については、まさしく訪問購入業者が消費者の御自宅を訪問して、現金ではなくて、プリペイドカードや商品券を使って取引をして、あれは購入ではなくて交換契約なのだといって、訪問購入の規制を逃れようとするということ。実際、そういうことが起きているということは、全相協さんの要望書でも出ておりましたし、なら消費者ネットからの要望書にも出ておりまして、そういう言い逃れを許さないということを考えて、そういう言い逃れのことを「行為規制の潜脱」ということで書いております。

それから、2番目の御指摘で、田舎で換金性の高い農作物を使って、それとの交換ということであれば、それは本当に物々交換のようなものでしょうし、そういったところまでとらまえる必要があるということであれば、交換を正面から入れなければいけないと思いますけれども、そこまでとらまえる必要はないということであれば、交換ではなくて、今の訪問購入の解釈を明確化する、あるいは、何かしら解釈的な文言が必要であれば、少し入れるということになろうかと思います。

○後藤座長 ありがとうございました。

杤原委員、よろしいでしょうか。

それでは、ほかにございますでしょうか。ございませんようでしたら、「その他の個別論点に関する検討について」の御議論はこのあたりにさせていただきたいと思います。

ここで5分間休憩をとりたいと思います。2時45分から再開したいと思いますので、それまで休憩にいたします。

(休憩)

≪3.販売事業者等によるクレジット・金銭借入・預金引き出しの勧誘に関する問題についての検討≫

(1)消費者庁からの説明

○後藤座長 よろしいでしょうか。

それでは、続きまして、「販売事業者等によるクレジット・金銭借入・預金引き出しの勧誘に関する問題についての検討」について御議論いただきたいと思います。では、まず消費者庁からの御説明をお願いいたします。

○消費者庁山田取引対策課長 資料2をごらんください。

めくっていただきまして4ページから、まず相談事例を御紹介しております。

まず最初の箱は、訪問販売の例でございます。

「水道を見せてほしい」と言うので、家に上げたということで、水道管に黒い装置を取りつけて値段は45万円と言われた。手元にお金がないと言うと、車に乗せられて銀行に連れていかれて、お金をそのまま渡したというのが最初の事例でございます。

次の事例は、知らない業者が大きな車で家にやってきて、結局のところ、毛布を18万円でということで、お金をおろして払えと言われて、家に寄って通帳と印鑑を持って郵便局に行って、車の中で払ったというのが2番目。

3番目は、布団、26万4,000円をクレジットカードで払うように勧められてカードを契約して、それで布団の代金を決済したということです。

その次は、連鎖販売取引でございます。車の燃費が向上するというセラミックボールについての支払いで、深夜に車で無人契約機に連れていかれて50万円借りるように言われて、借りたお金をそのまま渡したという例。

その次は、「ゲーム会社の利益が分配されるパッケージの購入」ということで、月収10万円のバイトでお金がないと言ったら、年収は300万円にして車を買うことにすれば貸してくれると言われて、サラ金に連行されて借りたということです。

その次は、PCソフト。73万5,000円と高額なため渋っていると、消費者金融2社に連れていかれて90万円借りたということで、借りるときには身分を偽ること、年収も偽ることを指示されて従ったという事例でございます。

その次は、特定継続的役務提供、エステでございます。

近くのデパートに連れていかれて、デパートのカードをつくって契約した事例。

その次もエステでございまして、支払いが大変なのでバイトをすると伝えると、その分の収入を上乗せして信販申込書に記入したほうが審査を通りやすいと言われて支払った例です。

その次は、業務提供誘引販売取引の事例でございます。モデルにならないかと言われて、DVDとCD-Rの写真集を出すのに最低80万円が必要と言われた。お金がないと言うと、銀行のATMに連れていかれてローンカードをつくらされた。ただ、夜遅かったので当日融資は受けられず、クレジットカードでキャッシングしてお金を渡した、このような事例でございます。

6ページにまいります。全体の数字でございます。

契約に関する支払いのため、サラ金等の貸金業者から借金をさせたり、クレジット契約を組ませる行為、これはクレ・サラ強要商法ということで、こういうキーワードがPI0の中にございますので、件数を拾ってございます。2009年度からは、直近の年度で1.6倍ということでございます。件数として最も多いのは連鎖販売取引、その次は訪問販売ということでございますが、電話勧誘販売、特定継続的役務提供、業務提供誘引販売でも見られる手法でございます。

クレ・サラ強要商法の中から、特に金融機関等に同行する場合の苦情相談件数を抜き出してみますと、2009年から2.5倍ということでございます。

その右側のほうは、金融機関への借り入れに関して虚偽申告の強要教唆があったものは、2009年度からは6.3倍にふえております。

この両方、同行もするし、虚偽申告の強要教唆もやるというのも、その下の真ん中にグラフが載っております。こちらもふえているということでございます。

8ページにまいります。どういったことで虚偽の申告をさせるのかということですけれども、連鎖、その次に多いのが訪問販売でございますけれども、一番多いのは、借入目的、使途を偽らせる。その次が収入を偽らせる、職業を偽らせるという内容でございます。

9ページにまいります。現行の特商法でも、こういうものを全く押さえていないかというと、規定がいくつかございます。

1つ目のブルーのところをごらんいただきますと、適合性の原則というものはございます。しかしながら、適合性の原則は学生とか、そういうところは使えるわけですけれども、固定資産のある高齢者の場合については、適合性の原則ではなかなか拾うことはできません。

それから、書面虚偽記載禁止という規定もあるわけでございますけれども、これは契約に係る書面に虚偽の記載をさせた場合に適合されるということでございまして、個品割賦まではこれで救えるわけでございますけれども、消費者金融の借り入れというのは個別の商契約とはまた別の契約になりますので、そうだと契約に係る書面にはならないということで、対象とはなりません。

次に、10ページにまいります。では、ほかの法律ではどのような規制があるのかということでございます。

まず、貸金業法には総量規制というものがありまして、自社からの借り入れが50万円超となる貸し付けでありますとか、総借入残高が100万円超となるものについては、年収等を称する資料の取得が業者のほうに義務づけられておるわけでございます。したがいまして、現在起きていることはどういうことかというと、サラ金A社から30万円、サラ金B社から30万円、C社からは20万円という形で、50万円を超えない範囲で複数の社からつまませるということで、この総量規制を逃れている事例があるわけでございます。

その次、割販法の過剰与信防止規定というものもございます。クレジット業者は、支払可能見込額を算定するということですけれども、収入そのものを偽っているような場合には、当然、支払可能見込額が変わってくるわけですので、こちらもこの規定だけでは問題となる行動を抑えることはなかなかできないということでございます。

その次に、具体的な論点ということでお示ししております。12ページでございます。契約に関する支払いのため、サラ金等の貸金業者から借金をさせたり、クレジット契約を組ませる行為、銀行から預金を引き下ろさせる行為については、消費者が契約締結を断り切れずに支払いを行ってしまうというトラブルを引き起こしやすいのではないかということでございます。

それで、私ども、ここのブレットの2番目に書いておりますけれども、指示対象行為として省令に追加するということを考えております。

では、具体的にどのような行為を追加するべきかということで、1、2、3と書いておりまして、これは数字が進むほど悪質性が高いのかなと思っております。

まず、1、契約に係る支払いのために、金融機関からの借り入れやクレジット契約締結や預金の引き下ろしを勧める、あるいは強く勧める行為というもの。

それから、2番目、契約に係る支払いのために、金融機関からの借り入れやクレジット契約締結や預金の引き下ろしを勧めた上で、事業者が金融機関やATMなどに連れていく、同行する行為。

3番目が、代金支払いのために、消費者が金融機関から借り入れを勧めた上で、虚偽の申告をするよう唆す行為ということでございます。

下に論点メモということで、4点記載しております。

論点メモの1でございます。金融機関からの借り入れやクレジット契約締結や預金の引き下ろしを勧める行為そのものを禁止する規制は、産業界に対する影響が大きいのではないか。消費者の利便性を阻害する懸念はないかということを書いております。

2番目のポツですけれども、金融機関へ事業者が同行した場合、消費者としては離脱することができず、勧誘のみの場合に比べて消費者の意に反した借り入れなどにつながりやすいのではないかということを指摘しております。一方で、消費者みずからが借り入れを望んでいる場合の道案内など、悪質とは言えないケースについてまでも捉えてしまうのではないかということで、例えばですけれども、消費者みずからが望んで行くような場合でありますとか、消費者が駅まで送ってくれと頼んだような場合など、何か限定する要件を追加すべきかということを書いております。

3番目のポツは、業者が消費者に不実の申告を行わせることは、契約締結が断りにくくなるだけでなく、金融機関を害する行為でもあり、問題ではないか。また、用途に真実の用途ではなく、パソコン購入費100万円と書かせる例など、悪質商法対策を行う金融機関がトラブルの可能性に気づくことができない点でも問題ではないかということを御指摘しております。

それから、最後のポツは、将来的に借金をさせるという行為と、単なる預金の引き下ろしについては、問題性に差はないかということを指摘しております。

私からの説明は以上でございます。

(2)意見交換

○後藤座長 どうもありがとうございました。

それでは、ただいまの御説明の内容を受けまして議論を行いたいと思います。御意見、御質問のある方はよろしくお願いいたします。阿部委員。

○阿部委員 以前、同じ資料が出てきたので、同じことを言うだけなのですけれども、12ページにあります具体的な指示対象行為の追加として、3番目は特段異論ございません。問題はないと思いますが、1は、「勧める」とか「強く勧める」という程度問題かもしれないけれども、これは当たり前の営業行為でありまして、買い物をするときにリボ払いにしますかみたいに当たり前に聞かれている話でありますし、自動車や高額家電みたいにそれが予定されているようなこともあります。これらの点から、1は絶対に反対であります。

2は問題かなと思うのですが、下のほうの論点メモにもありますとおり、事業者の強要ではなくて、消費者みずからが望んだということについて明確に切り分けていただければ、ここまでは検討対象であると思います。

以上です。

○後藤座長 ありがとうございました。

ほかにいかがでしょうか。増田委員、よろしくお願いします。

○増田委員 後で池本先生にまとめていただければと思うのですけれども、基本的に特商法適用対象の取引によって、こういう場面になったときにどうするかということですので、多くの取引がこれに該当するということではないと思います。いきなり訪問されたり、あるいはもうかりますよと言って連鎖販売取引のような形になっていくときに、その金融機関からの借り入れを強要したり、あるいは連れていくということについては、非常に悪質性が高いと思っております。1番も私は対象としていただきたいのですけれども、この場合に、金融機関からの借り入れと、それからクレジット契約というのはちょっと違うのではないかと思います。

クレジットというものであれば、加盟店管理もありますし、事後的に抗弁権もありますが、消費者金融などからの借り入れや預金からの引き下ろしで払ってしまったときには、およそ被害の回復ができないということもよくあることですので、1番の中でもちょっとレベルが違うのかなという感じを受けております。

○後藤座長 ありがとうございました。

では、池本委員、よろしくお願いします。

○池本委員 資料4-2のレジュメの最後のあたりに、少し問題提起してあります。

議論するときに、訪問販売・電話勧誘販売という不意打ち型の勧誘であるものと、それから連鎖販売取引、業務提供誘引販売取引という利益誘引で勧誘をするものという2つのパターンがあると思います。

対応の方向性、恐らくはそれほど異論がないであろうと思われる3、2、1と、逆に組み立ててみたのですが、先ほど阿部委員からの御指摘があったように、第3の虚偽の記載をさせるというのは、これは与信判断を偽らせることを教唆することで、もちろんやってはならないこと。それから、現在の省令7条4号に「訪問販売契約に係る書面」となっているために、売買契約書、あと個別信用購入あっせんは売買契約の中身も記載することになっているので、ぎりぎりここまでは適用できるけれども、貸し金の契約には及ばないというところで、まさに脱法的になっているということ。

ですから、そこにはきちんと適用すべきであると思いますし、特に現在の省令では、「年齢、職業その他の事項」とありますが、そこへ利用目的である使途ということが、先ほどのトラブルの例では一番多いので、それも明示的に書いておいたほうがいいのではないかと、まず思います。

ただ、この部分だけでは全体のトラブルの中の一部分しかカバーできないので、次に第2案の「同行し」ということです。これを考えていくときに、金融機関に同行する。金融機関というのは、借り入れのために消費者金融に同行するのもあるし、預金を引き出すために銀行に同行するという両面があると思うのですが、それがためらっている者に対して断る機会もなく、そのまま支払い決済まで一気に進んでしまうというトラブルとして現実化しているという意味で、不意打ち勧誘、利益誘引勧誘と組み合わせて一気に契約し、支払わせるというところにつながっているのだということで受けとめていただく必要があるのかな。

実はここへクレジットと書いたのですが、個別信用購入あっせんのクレジットというのは、その場で申込書を出して、これにサインしてくださいということだから、これについてはどこかへ連れていって契約させるということはないのではないか。ただ、先ほど事例を紹介していただいた中には、店に行ってカードを新規につくらせるというのがありましたから、これはパターンとしては確かにちょっと違うので、カードをつくらせるパターンと、個別信用購入あっせんで契約場所でそのまま作成するというのを言葉を書き分けないと混乱が出てしまうのかな。

それから、先ほどもちょっと話題が出た、消費者が同行を希望した場合、適用除外とするかどうかという、これは確かに微妙な案件がもしかしたら入るのかもしれませんが、どうも入り口で訪問・不意打ち勧誘あるいは利益誘引の取引で契約締結の延長上で、借り入れ、預金引き出しを勧め、かつ同行と要件が連なっているわけですから、そこへ本人の希望があった場合を除くと書けば、希望しますねと紙に書かせれば外れるのかなということを招くことになるのではないかと感じて、そこは危惧を感じております。

いずれにしても、第2案と3案は併存的に導入する必要があるかな。2案プラス3案、両方となると、もうほとんどごく一部分にしか対象がならなくなってしまいますので、2案、3案は併存的な位置づけかと感じています。

それから、第1案ですが、ここでは検討が必要ではないかと書いたのですが、出した後、またいろいろ考えて、特に利益誘引型の取引、連鎖販売取引とか業務提供誘引販売取引という、もうかりますよというセールストークで契約させるもので、借り入れを勧めて契約させるとなると、その借入返済を超える収入があるという話が本当にセットでなければ成り立たない話になってしまいます。だから、場合によっては、そこは切り分けて踏み込んだ規律が必要なのかなということを感じています。

以上です。

○後藤座長 ありがとうございました。

ほかにございますでしょうか。山本委員、よろしくお願いします。

○山本(明)委員 我々、処分をやっている中で、こういうクレジットを強要するケースがよくあるのですけれども、特に若者が被害に遭っている場合は、こういうケースがよく出てきます。消費者からいろいろ話を聞いていますと、やりとりの中で商品とか役務の必要性について否定しにくいような状況をつくられて、かつ断りにくいような状況をつくっておいて、消費者として最後の手段という感じで、お金がないからとか高額で払えない。だから、もう契約できないと言うのですけれども、結局、クレジットを使えばいい、あと消費者金融を使えばいいと言って契約させられているケースが多くあります。

消費者が学生であれば適合性原則違反ということで認定することができるのですけれども、20代ぐらいの社会人の方も被害に遭っているケースで、その認定ができないということがよくありますので、適合性原則だけでは不十分なので、今回、提案されているような措置が必要じゃないかと思っております。

あと、法第7条の指示のところで規定を設けていったらどうかということになっていると思うのですけれども、ここについては、前提として取引の公正とか購入者の利益が害されるおそれがあると認められるときとなっておりますので、そういう指示対象行為の中に規定していくということであれば、何らかの悪質性が伴ってということになるので、一律に一般の借り入れとかクレジットを勧める、あるいは同行して借り入れをするというのとは違ってくると思いますので、その辺の切り分けはできるだろうと感じております。

先ほど申し上げたような特に悪質な行為に焦点を絞って規制するという考え方だと思うので、そういうことでいけば、全体に対象を広げるということなく、必要なところに規制ができるという形にしていくことができるのではないかと思います。

以上です。

○後藤座長 ありがとうございました。

野坂委員、よろしくお願いします。

○野坂委員 相談事例が大変増えているということも深刻だと思うのですが、質問と意見があります。

まず、相談事例が増えている中で、実際、解決に至ったものがその中にあるのかないのか。要するに、相談イコール被害という位置づけで見たほうがいいのか、この数字の見方を教えていただきたい。

また、意見としては、それだけ被害が本当に増えているということであれば、12ページですか、何らかの規制のあり方が求められるということについては賛成したいと思います。ただ、これまで意見が出ておりますように、1、2、3を見た場合に、3番は池本委員もおっしゃっていたし、阿部委員もおっしゃっていたように、これは虚偽の申告をさせるように促すという犯罪行為に等しいものでありますし、これは当然、行為として加えるのは妥当だろうと思っています。

2番については、確かにキャッチーな部分がありますけれども、同行させて金融機関から借りさせるという行為については、具体例を見るとかなり強く規制しておいたほうがいいのかなと思います。一方で、先ほど線引きの問題、本人、消費者側が求めている場合、どうするかという悩ましいところがありますので、制度設計はしっかり考えなければいけない、わかりやすくしなければいけないなと思います。

1番については、普通の借り入れあるいはクレジット契約、預金の引き下ろしを勧めるものとどういうふうに違うのか。要するに、悪質なものと普通の商行為とどういうふうに違うか、よく理解しにくいところがある。また、この勧める、強く勧める。強くというのは、また非常に曖昧な表現でありますので、余り明確に対象としてしまうと、弊害のほうがかえって大きいのではないか。1番については、慎重であるべきだと思っております。

以上、質問と意見でした。

○後藤座長 ありがとうございます。

よろしくお願いします。

○消費者庁山田取引対策課長 ただいまの野坂委員の御質問に対して、お答え申し上げます。

今、御質問いただいた点は、別の回でも同様の御質問をいただいておると思っております。PI0に関して苦情相談を受け付けた後、どういうふうになっているのかということでございまして、この点については、今回に限らずということで、私どもとしては宿題として認識しておりますので、示せるだけのことは後日お示ししたいと思います。

1点申し上げたいのは、苦情相談が持ち込まれるわけですけれども、消費生活センターでは、そこに来たものについては、どのような処理をしたのかということについてはきちんとまとめておりますけれども、そこで全てその後のてんまつとして、どうなったかというところまで追跡調査をしてまとめるというところまではしておりませんので、おのずからわかることに関しては限界がございます。そのようなことを済みません、留保させていただきつつ、ほかの回で御指摘のあったところも含めて、後日、また御説明したいと思います。

○後藤座長 ありがとうございました。

ほかにいかがでしょうか。花井委員、よろしくお願いします。

○花井委員 お願いします。

今、話題になっているのは自分から購入したいと言っていないケースだと思われます。その上で、お金の支払いを急がせるというところが重要な問題かと思います。実際に私も消費生活センターで同じ様な事例を受けたことがあります。銀行などの金融機関に連れていったのが、問題じゃないかと相手の業者に交渉しますが、いや、それは消費者の方が望んで、自分は行けないから行ってくださいと言われたから行っただけですという言い方をされた事もあります。なので、「望んでいる場合を除く」という書きぶりは、どのような基準で判断するのかなと感じました。

消費者としては、お金を払ってしまうと被害の回復が困難であったり、既に払ってしまったから、今回はもうあきらめてしまおうと考えるケースが多いものですから、同行させるとか、そのお金を回収してしまうという行為に対しては、きちんと規定を設けて規制していただきたいなと思います。

以上です。

○後藤座長 ありがとうございました。

有山委員、よろしくお願いします。

○有山委員 同行のところですけれども、今、金融機関は高齢者の預金引き下ろしには非常に気をつけています。私どもに電話がかかってくる場合も増えています。金融機関から消費生活センターに、高齢の方がどうしても100万円、200万円おろしたいと言っています。おうちを改良すると言っているのですけれども大丈夫か心配です。金融機関はかなり気にされているので、販売員の同行と言っても、大体、金融機関の外で待っています。だから、中に入るのだったら、来てね、一緒に付き添ってねという話だと思うのです。外でお待ちになっているということは問題があります。その辺の切り分けが必要なのかなと思います。金融機関の中に入って、販売員の方が消費者の方の引き下ろしを手伝うということはほとんどない状況かなと思います。

それから、1番の「強く勧める」のところですが、前の表でもありますように、連鎖販売とか業務提供誘引販売というものが例に挙げられておりますので、これを契約すれば借りた以上の収入が入るから、ぜひという形で金融機関に連れていくような形が多いと思われます。その辺をちょっと加味して考えれば、一般の自動車のセールスの「強く勧める」と区別できます。

ただ、1点だけですが、私の経験では、呉服の販売店で、収入のない主婦だったのですが、500万円か600万円の着物の契約をしたときに、セールスマンの方が、この方が欲しいものを手に入れさせるのが私の義務です。販売員としての底力なのですと言われたときには、ちょっと唖然としましたけれども、そういう「強く勧める」販売は望んでいないという状況だと思います。

○後藤座長 ありがとうございました。

ほかにいかがでしょうか。河野委員、お願いします。

○河野委員 この問題も非常に事例もふえておりますし、12ページで言えば、3番は当然のことで、悪質性が非常に高い。2番も、今の有山委員のお話だと、同行というのをどう考えるかというのもありますが、ここまでは非常に問題が顕在化していると思いますので、ぜひ対処していただきたいと思っています。

1番は、恐らく書きぶりといいましょうか、その問題もあるのかなと感じているところです。それで、そもそもこの問題の一番大きな根底にあるものというのは、4ページの相談事例の上の箱の中に書かれていますけれども、高額な契約に対して、「お金がない」という消費者に対し、つまり、このお金がないということは、消費者から見ると、これは明確に要りませんという意思表示をできない、奥ゆかしい常識のある人が断っている表現だとこの言葉を受け取らないと、こういったことでどんどん被害が広がると思います。

お金がないという以外に、要りません、不要ですというのと同義語で、忙しいとか、考えさせてほしいとか、家の人が今、出ているから後で相談するとか、本当は要らない、この契約は結びたくないという意思表示をしているのに、そこでお金がないという一言を捉えて強引に契約を完結させてしまうという手法が一番の問題だと思います。消費者側からすると、一旦お金を払ってしまったという事実は、もう拭いようがなく、本当にどうしようということになります。

ですから、この問題に関して言いますと、12ページにある1番、契約に係る支払いのために、金融機関からの借り入れや預金の引き下ろしを勧める、強く勧める行為の大前提にどんな状況があるのかということを考えれば、私自身も1番は条件つきで、当然対応していただきたい中身だと感じているところです。

それから、ちょっと知識の不足で申しわけないのですけれども、先ほど山本委員が若年層も非常にこういう被害に遭っているというお話をされていました。決済のあり方が、クレジットとかサラ金とか、実際に現金をやりとりするだけではなくて、例えば新しい方式のSNSを使ったキャッシュレスのやりとり等がいろいろ出てきておりますので、ここに書かれている、こういう決済手段以外でも消費者がお金を払わされてしまう場合もあるかもしれませんので、この検討を加える際は、そのあたりも考慮していただければと思います。

○後藤座長 どうもありがとうございました。

ほかにございませんでしょうか。

それでは、この問題につきましては少しまとめが難しいのですけれども、12ページの1、2、3と書いてあります3の部分については、悪質性が強いので規制の対象にすべきであるということで、そこの部分は特に御異論ないということでよろしいでしょうか。

2につきましては、意見が分かれていると思います。

それから、1につきましても、対応すべきだという意見と対応は必要でないという意見が出ていまして、3以外のところで意見が一致しているということがないわけでありますが、ここでまとめてしまうというよりは、こういう種々の意見が出ているという程度のまとめでよろしいでしょうか。

特にこの点で再度の御発言ということで、注意して考えていただきたいということがあれば御発言いただきたいと思いますが。杤原委員、よろしくお願いします。

○杤原委員 質問なのですけれども、検討の方向の2で、契約に係る支払いのために、事業者が金融機関やATM等に連れて行く(同行する行為)となっていまして、下の論点メモのところで、悪質とは言えないケースまで捉えてしまうのではないかと書いてあります。

翻って、5ページ一番下の業務提供誘引販売取引の相談事例に、エキストラの面接に行って、お金がないのでATMまで行ってキャッシングをして渡したということが載っております。規制の議論をするのであれば、そもそもこれは合法なのか、違法なのか、我々素人には判断できませんので、教えて頂きたいと思います。例えば、本人納得の上で、きちんとした芸能事務所であれば、必ずしも違法ではないのかと思っておりますが、仮に違法でないとすると、これを立法根拠として、同行する行為に規制をかける議論を行うことがはたして適切なのかどうか疑問です。関係性がよくわからないので、念のために御質問しておきます。

○後藤座長 どうもありがとうございます。

よろしくお願いします。

○消費者庁山田取引対策課長 5ページの一番下の業務提供誘引販売取引の事例は、消費者からは苦情として上がってきているわけですけれども、これ自体は、現行の特商法では、済みません、私の理解が間違っていれば、ほかの方から直していただきたいのですけれども、私の理解では、これ自体は現在は法律には引っかからないということでございます。

ですけれども、このままでいいのでしょうかというのが問題提起でございまして、12ページの2で、連れていくという行為について、自分から頼んだような場合はどうするのかというのは議論が分かれていたかと思いますけれども、少なくとも消費者がみずから望んでいないような場合について、仮に指示対象行為ということで規定すると7条の中で位置づけられるということになりますので、違法になるということだと思います。現在は合法ですけれども、こういった行為を7条違反にしようという御提案でございます。

それで、7条に関して言いますと、お手元に条文が配られていないので申しわけないですけれども、先ほど山本委員が言ったように、これに当たれば、即、指示対象行為になるというわけではございませんで、7条の指示対象行為というのは柱書きがございまして、取引の公正とか、購入者若しくは役務の提供を受ける者の利益が害されるおそれがあると認めるときには指示することができるということでして、ここの1、2、3に当たると、即アウトということではございません。

以上でございます。

○後藤座長 よろしいでしょうか。

1、2、3とありまして、2について、再度確認したいのですけれども、論点メモのところで、「消費者が自ら望んでいる場合を除く」と限定する要件を追加すべきか、とあるのですけれども、「消費者が自ら望んでいる場合を除く」ということがどれだけ意味があるか、余り意味がないのではないかという御意見もありますけれども、仮にこれを入れるということであれば、2の部分も指示対象行為で規制の対象になると考えてよろしいでしょうか。そこは、ここで共通認識にしていただいているということなのでしょうか。そこはよろしいでしょうか。

では、そこまでは共通認識ということで、あとは意見が分かれているということでよろしいでしょうか。では、そういうまとめにさせていただきます。

≪4.中間取りまとめに向けた検討(1)≫

(1)事務局からの説明

○後藤座長 次の項目に移らせていただきます。本日は、中間取りまとめに向けた検討として、資料3「中間取りまとめ(案)骨子」につき、事務局から説明いただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

○事務局 それでは、資料3をごらんください。こちらが消費者委員会特定商取引法専門調査会中間取りまとめ(案)の骨子でございます。

こちらに記載してございますのは、今後、御議論いただくべき中間取りまとめ(案)について、その内容としては、これまで3月からこの専門調査会の場で御議論いただいた内容を踏まえて、それを整理するものを想定してございますけれども、そこでこれまで取り扱いました種々のテーマを整理する、中間取りまとめ(案)のイメージということでお示ししているものでございます。

想定しております構成としては、「はじめに」の後に横断的な事項ということで記載してございますけれども、特定商取引法は、特定の取引ごと、類型ごとに規定を設けているわけですけれども、その複数の類型にわたって関連する論点ということで、(1)で指定権利性について、(2)で勧誘に関する規制について、(3)で本日取り扱いましたクレジット等の行為を勧めるということについての規制についてということを記載してございます。

2では、個別取引類型における規律の在り方についてということで、取引類型ごとに論点を整理してございます。

基本的には、条文の記載に従って、(1)で訪問販売、(2)で通信販売、(3)が電話勧誘販売、(4)が特定継続的役務提供における規律、(5)が訪問購入ということで記載しております。

それから、3ポツ目が執行上の課題ということで、基本的には第5回の御議論でいただいたところだと思いますけれども、そこで取り扱いました執行上の論点について、(1)から(4)で記載してございます。なお、(2)の事前参入規制については、他の論点とも少しかかわる部分がございますけれども、ここは第5回の議論を踏まえた形で記載するということを想定して記載しているものでございます。

細かな文言の表現等については、中間取りまとめ(案)を作成するに当たって変更することがございますけれども、その点を御留意いただいた上で、全体のイメージについて、取り扱うべき論点あるいは中間取りまとめ(案)を策定するに当たって留意すべき事項などございましたら、御意見いただければと思います。

よろしくお願いいたします。

(2)意見交換

○後藤座長 それでは、御意見、御質問がある方、よろしくお願いいたします。池本委員、よろしくお願いします。

○池本委員 池本です。

中間取りまとめですから、そして今日は特に座長のほうで、個々の論点について、この部分はほぼ一致、この部分はまだ意見が分かれているというのを確認的にまとめていただいたので、クリアになりますが、これまでやっていた論点についても、例えば何らかの規制が必要な実態がありそうだけれども、こういう形の規制にするか、別の形かで分かれるものと、あるいはそもそも規制の必要性があるかないかで意見が分かれるもの。その場合も、規制が必要だとした場合はこうすべきだとか、それぞれのレベルの中でおおむね一致しているものと賛成・反対が分かれるもの、あるいは具体的制度設計についても複数の意見が出ているものと、バラエティがあっただろうと思います。

中間取りまとめで、今後、それをまとめた上で、あるいは広く社会の意見も聞いた上で、さらに後半、詰めていくのだとすると、そういった議論の中身ができるだけクリアに出るように両論を整理していただくということが望ましいかなと考えます。一般的な注文になります。

○後藤座長 ありがとうございました。

この点については、事務局から何かございますか。

○事務局 御意見を踏まえて策定したいと思いますが、先ほど御案内が少し漏れておりました。最後にいつも次回の御案内を差し上げているところですけれども、今後のスケジュールとしては、座長とも御相談いたしまして、当初は8月25日を次回、想定してございましたけれども、予備日を使用して、8月18日で次回を検討いただきたいと思っております。それまでに案を策定して、委員の皆様の御意見を踏まえて御検討いただくということを想定してございます。その中では、基本的にはこれまでの議論をきっちりと整理して記載するということで想定してございます。

○後藤座長 どうもありがとうございました。

ほかにございますでしょうか。野坂委員、よろしくお願いします。

○野坂委員 今、事務局から、これまでの議論を整理してというお話でした。確認ですけれども、今日の骨子にはそれぞれ、例えば指定権利制については第2回及び第3回の議論を踏まえ記述。各項目とも「踏まえ記述」と書いてあるのですが、これについては先ほど池本委員も指摘されたように、いろいろなレベル感がありますね。今日の議論でも、先ほど後藤座長は、ここでまとめるよりも、こういう趣旨の意見が出ているということを記入するという趣旨の発言がありました。項目によっていろいろなレベルがあるということを踏まえて、あくまで中間取りまとめであって、中間ですから最終ではありませんし、議論の進んでいる途上のものも多々あるわけです。要するに、進行形、ingのものがある。

それを、ここでよく議論になる、強引な形でまとめるのでは大変不適切な場合もあるかと思うので、そこはingで進んでいるものについては、現状を素直に、こういう意見が出ているというまとめ方をするのが妥当だと思っております。今後、文案をつくるといっても、もう約半月しかない、非常に短い時間なので、どういう作業をするのかわかりませんけれども、ぜひその点については配慮いただきたいと思います。要するに、そもそも論で意見がなかなかかみ合っていない部分もあるわけであります。また、統計の見方についてもいろいろな意見があったと記憶しております。

そういうことも踏まえて、ありのままを書くというスタンスで臨んでいただきたい。事務局に基本的なスタンスを改めて説明いただければと思います。

○後藤座長 よろしくお願いいたします。

○事務局 先ほど池本委員からもいただきました。野坂委員からもいただいたところでございますけれども、確かに項目ごとに議論の詰まりぐあいはレベル感があると思っております。

今後の議論につなげるというのは、この中間取りまとめの一つの趣旨かと思いますので、合意、ある程度の意見の一致が見られた点について、これを明らかにするということが1つだと思います。

それから、合意が見られていないところについて、さらに検討すべきとされているところについても、どういった点を検討すべきかというところについて意見が出されていたところも、お示しすべきだと思っております。

また、そもそも多様な意見が出ていて、御議論の一致が見られていない点については、そういった意見が種々出ているという現状について記載するということも重要かと思っております。今、野坂委員がおっしゃったように、ありのままというところで整理させていただくということで考えてございます。

○後藤座長 ありがとうございました。

野坂委員、よろしいでしょうか。

○野坂委員 はい。

○後藤座長 ほかにございますでしょうか。増田委員、よろしくお願いします。

○増田委員 中間取りまとめとは少し違うのですけれども、こういう形で発言する立場をいただきまして、私ども、全国の消費生活相談員の会でございますので、会員のほうから意見があったことを2つほどお伝えしたいと思っております。

1つは、通常、訪問購入の場合、品物を渡して、その場で現金を受け取るということが多いのですけれども、その際の引き渡し拒絶に関する書面記載事項は法定書面に記載しなくてもよく、口頭で伝えればいいということになっているので、引き渡し拒絶ができるということを消費者によく理解してもらうようにしていただきたいと思います。どんなケースでも法定記載事項にするように、ぜひ改正していただきたいと思います。

もう一つ、連鎖販売取引に関してです。先ほどの訪問購入もそうですけれども、私ども相談員が現場で交渉するに当たって有益だと思う点についての改正の要望なので、こういう場での議論に出てきにくいのだろうと思います。例えば連鎖販売取引の事業者さんは、こういう活動をすると、これだけの利益がありますよという説明をすることが多いわけですけれども、会員が何人で、ビジネス活動をしているのが何人で、利益の分布図がどの程度だということは、事業者さんのほうで把握している情報であって、そういうものを開示請求されたら必ず出すとか、あるいは書面記載事項とかによって、実態を外から判断ができる可能性があると思います。うそが言いにくくなるのではないかと思いますので、そのように改正していただきたいと思います。

あと、後出しマルチに関しまして、今、アポとか店舗外販売などで行政処分が行われていますけれども、一連の取引として連鎖販売取引と捉えることができるようであれば、クーリング・オフも20日になりますし、連鎖のほうが重い処分ということもありますので、相談の現場から要望したいと思います。

○後藤座長 ありがとうございました。

よろしくお願いします。

○事務局 増田委員、貴重な御意見、ありがとうございます。

今の御指摘の点を中間取りまとめに当たって、どう考えるかというところについては、基本的なスタンスとしましては、この中間取りまとめ(案)はこれまでの御議論を整理するということでございますので、新たな論点を新しく項目を立ててということは考えていないところでございます。ただし、第1回にいろいろな御要望、御意見というものを出していただいて、第2回に整理していたかと思います。その中で、全ての論点を取り扱っているわけではなく、見直しの要望が強いものとか消費者被害が大きいというところで論点を相談した上で取り上げているところでございますので、そういったその他の論点があるというところを、「はじめに」になるのか、「おわりに」になるのか、少し記載するということは検討したいと思います。

○後藤座長 ありがとうございました。

花井委員、よろしくお願いします。

○花井委員 花井です。お願いします。

私も同じようですが、最初にきちんとお伝えできず、いろいろ検討する中で気がついた点があるので、報告させていただきたいと思います。

まず、通信販売のところですが、消費生活センターでは、サクラサイトのポイント乱売が物すごく多くあります。これについては、法律で何かできることがないのかなと思います。

次に、特定継続的役務提供の中に美容医療が入るということでしたが、特役という事ですので、1カ月、5万円以上という条件があるかと思うのですが、それをもう少し短くすることで救済できるものがあるのか、ないのかというところが今後検討していきたい点です。

また、自由診療の歯科治療についてもどうなのかということが気になっています。

最後に、執行上のところで登録制の問題が出ていたかと思いますが、貸金業者などは登録業者の金融庁の検索サイトというものがあるので、そういうもので検索できるようになるといいなという意見もありましたので、今後検討いただければと思います。

以上です。

○後藤座長 ありがとうございました。

○事務局 新しい論点については、先ほど申し上げたとおりですが、若干、美容医療等の関連する部分で、会議の場でも議論、御発言があった面もあるかと思います。そこは、当時の議論を確認して少し整理します。

○後藤座長 ほかにございますでしょうか。杤原委員、よろしくお願いします。

○杤原委員 質問が1つと意見が1つであります。

1つ質問は、中間取りまとめの骨子をお出しいただいているのですけれども、先般来、問題にしております、「立法事実の分析」を、この中にしっかりと書いていただきたいと思っております。議論の中でいろいろな被害者がいるというのをお伺いしていますし、その被害者の救済はしないといけないと思っております。それは、延べ件数や総件数で議論すべきではなくて、消費者団体の皆様が御苦労されて解決されている原因と処置の実態にあわせて、それぞれ手段を手当てすべきだと思っております。立法事実の分析がどこかにきちんと書かれていないと、いきなり対処だけ書かれても困るのではないかということで、立法事実の分析をどう取り扱うかというのを事務局のほうに1つ御質問でございます。

それから、これからは意見でございます。先ほど、増田委員も契約のあり方をおっしゃっておりましたが、事務局のほうからは、契約の問題についての議論は、この専門調査会では余り取り扱わないということを言われていました。しかし、前回の専門調査会でも花井委員、増田委員から、消費者相談の中で悪質な事業者の名前は、おおよそ特定されていて、消費者庁や警察もそこそこ対応してくれているのだという御発言がございました。望まれるのは、不合理な契約をしてしまったときのクーリング・オフの手間暇であったり、円滑に契約解除ができないことだと思います。また、自主的な判断能力が欠けてしまっているような高齢者の方については、事情聴取するだけでは事実が判明せず、解決に何カ月もかかるので、結果的に未然防止を希望しているということだったと思います。

かねて分析をお願いしてきました特商法の相談内容も、恐らく延べ件数で入っていると思いますし、多くは現行法で処理できているのかなと推測しております。後日、御報告いただけるということを先ほど御説明いただいたところでございます。といたしますと、高齢者を中心とした被害者は必ずおりますし、救済しなければいけないと思いますけれども、新たな法規制の立法事実というのは、今まで私どもとして確認できておりません。もしかしたら極めて少なかったり、もしくは弱いのではないかと感じておりまして、少なくとも消費を縮小させたり、あるいは健全な事業者の事業活動を萎縮させるような過剰規制にはならないように、ぜひ前向きな御検討をお願いします。

そういったことをもろもろ考えますと、多くは一度成立してしまった不合理な契約の解除の仕方の問題でありますので、かねて阿部委員がおっしゃられていますように、消費者契約法見直しの動向をきちんと注視しなければいけないという御発言は、私は正しいと思っております。

結論ですけれども、1点目は、前回、また今回の具体的な相談事例、御議論を拝聴しておりまして感じておりますのは、そもそも違法行為であれば、各法律でまずは取り締まり、処罰すれば少しは解決できる余地が多いのではないかということです。

2点目は、特に認知症の高齢者の方を中心とした不合理な契約が多いという事例をたくさんお出しいただいておりますので、例えば民法とか消費者契約法の中で、そこにターゲットを絞った仕組みを検討してあげるということも解決策の一つではないかと思います。

3点目は、被害を未然防止するのであれば、法執行の厳正化とともに、見守りネットワークの構築や消費者団体の皆様の相談体制をしっかりつくってサポートするということも必要であって、そういった趣旨のこともこの中に盛り込むべきではないかと考えております。

以上でございます。

○後藤座長 どうもありがとうございました。

○事務局 1つは、今の御指摘の点。この各項目については、基本的に結論だけを記載するということは想定しておりませんで、議論状況を記載するということです。先ほど杤原委員が御指摘いただいたようなところも含まれるという想定でございますけれども、全論点に共通して、今、杤原委員がおっしゃったようなところをどう書くのかというのは、ほかの委員の御意見もお伺いした上で検討させていただければと思いますけれども、いかがでしょうか。

○後藤座長 いかがですか。池本委員、よろしくお願いします。

○池本委員 これまでの各回の議論のペーパーで、今日の個別論点についてもそうですが、まず現状がこうである。それに対する現行法はこうなっている。どこが不十分で、それに対してどういう対処が考えられるかというので、選択肢が幾つか出されるというパターンで、これまでも大体同じような現状編、それに対する現行法の理解、そして今後の課題となっていたと思うのですが、それは恐らくそれぞれの論点ごとで立法事実と現行法の問題点、そして検討の方向性というパターンになるのかなと私は理解していたのですが、そういう意味での立法事実の記述ということを杤原委員のほうでおっしゃっているのか、あるいはさらに全体を通じた総論的なものをとおっしゃっているのか、そこはいかがでしょうか。

個別論点であれば、恐らくその議論を踏まえ、記述ということに含まれるし、今、事務局からおっしゃったのも、その意味で私は受けとめました。

○後藤座長 お願いします。

○杤原委員 本当に法規制、立法措置が必要なのか、立法措置までは必要でなくて、行政の適正な執行で処理できるのか、前段にまとめて書くのか、各項目で書くのかは、各委員の合意のもとで処理されることだと思います。しかし、今日の回にしても、中身がまだ示されていないため、判断材料として中身が分析されていないとの御質問が出ていたと思います。また前回、前々回に出された電話勧誘・訪問販売の特商法に関する件数は、恐らく述べ件数で数万件あったと思いますけれども、事業所数で何件なのかは示されておりません。

消費者団体と行政庁の努力で処理できているものがその中に含まれているのであれば、それを除いて規制や対処の議論をしないと、総論で2万5,000件あるので規制する必要がありますと言われても、そうですかということには、恐らく事業者側としてならないと思います。

一例を申し上げて申しわけないですけれども、先ほど資料2のクレジット・金銭借入・引き出しの5ページの一番下のところをなぜお尋ねしたかといいますと、インターネットのアルバイト探しサイトで見つけたエキストラの面接に行きというのは、御自分で見て、御自分で探して、みずからの意思で面接に行ったわけであります。相談としては苦情相談のほうに分類されているかもしれませんけれども、30代の社会人が自分の意思で探して、自分の意思で面接に行ったものであります。苦情といえば苦情になりますが、同じ行為をしている人が世の中に必ずいるはずです。その人は納得して芸能事務所にまだ所属してレッスンしているかもしれません。そういう意味で、これは法律的に違法なのか、違法じゃないのかとお尋ねしたわけであります。

もし、これと同じ行為をされている方で違法じゃない方がいたときに、ここに規制をかけたときに、違法じゃないと思ってずっと所属している人まで違法行為になってしまうということで、立法事実の分析が足りないのではないですかということでお尋ねしたわけであります。得てして、違法とは思えない事例を根拠に議論しているものですから、立法事実の確認をきちんとしないといけないのではないかと思っています。

○後藤座長 よろしくお願いします。

○池本委員 池本です。

今、御指摘の点、2点あると思います。

1つは、立法事実として、これまで議論された事務局資料や、あるいはここでの議論の中で、こういう実態があるから法規制が必要だという議論がある。その立法事実の評価に対して、これでは不十分であるとか、これは必ずしも法規制の必要性があるとまで言えないのではないかという、その立法事実に対する評価もいろいろ意見が出ていましたので、それはそれで記載していただく。まさに、その段階での両論併記。それから、規制のあり方も両論併記という意味では、おっしゃるところはよろしいかと思います。

後段部分で言いますと、確かに本人がインターネットのサイトを見て、自分から出向いていっていますが、業務提供誘引販売取引というのは、この仕事をすれば収入が得られますよ。ただし、そのためにはこういう契約を前提にしなければいけませんよというのが、店舗取引の形態であっても特商法の規制対象ですから、違法かどうかというよりは、その取引をすることがいけないのではないけれども、書面交付とかクーリング・オフの規律を受けるという意味では、特商法の適用対象にはなっているということでは、後段部分については、そういう意味でこれは掲載されていると理解すればよろしいと思います。

○後藤座長 野坂委員、よろしくお願いします。

○野坂委員 今、全体的な立法事実なのか、個別論点ごとの立法事実なのかという話でしたけれども、もう二、三週間後にペーパーをまとめるという段階で、物理的に全体的に正確なものが出てくればよろしいですけれども、現段階で言えば、個別論点ごとの立法事実めいたものをまず出してもらって、それに対するさまざまな意見を指摘するというほうが、時間がない中ではそれしか方法がないのかなと思います。それすらもできないということであれば、9月以降も議論を続けるわけですから、あえて中間取りまとめにこだわらなくてもいいという論点になっているのではないかと思います。

それから、先ほど池本委員がおっしゃられたことに関連します。これは何を言っているかわかりませんけれども、両論併記という言葉が使われました。しかし、論点によっては、まだとても収れんせず、いろいろな意見が出て、両論でも書き切れないようなものがいっぱいあったと思います。いろいろな意見があった中で、また強引という言葉を使いますけれども、強引に両論併記みたいにまとめるのではなくて、ありのままに、こんな意見もあった、あんな意見もあったということで、いろいろな意見が出て、今後、9月以降に継続するのですよという形にするのが素直だと思います。要するに、9月以降、さらに深掘りして議論していくことの支障になるような中間取りまとめであってはならないと思っております。

以上です。

○後藤座長 事務局、よろしくお願いします。

○事務局 今、御議論を拝聴いたしまして、基本的にはこれまでの議論を素直に反映させるということかと思っております。先ほどの立法事実の分析の点も含めて、これまで出た意見というところ、書きぶりについてはちょっと御相談だと思いますけれども、これまでの議論を反映した形で案をお示ししたいと思います。

○後藤座長 ありがとうございました。

よろしいでしょうか。はい、よろしくお願いします。

○杤原委員 事務局にもう一つ質問なのですが、3.執行上の課題についての(2)の1ポツに事前参入規制と入っているのですけれども、小売業について事前参入規制というのは、本当に立法上、問題ないのかどうか、そこだけ御確認しておきたいと思います。

○事務局 まず、中間取りまとめの整理としては、第5回で御議論いただいた内容を記載しようと思っていますけれども、今の話、今後の検討のところでということで、消費者庁のほうでもし検討していることがあれば。

○消費者庁山田取引対策課長 事前参入規制については、第5回の中で、繰り返し法人格を変えて違法行為を行う事業者たちがいるということを前提にして、そういう人たちを一定期間、マーケットから退出してもらう必要があるのではないかということで、そういうことを実現する方法論として、例えば登録制などの事前参入規制を導入することについて御議論いただいたわけでございます。それで、そういったことが本当に法制的に実現可能なのかというのは、別途詰めているところでして、そこの検討の熟度に応じて記載するということだろうと思っています。

○後藤座長 よろしいですか。

山本委員、よろしくお願いします。

○山本(明)委員 これからの作業について、自分なりの認識なのですけれども、中間取りまとめというのは専門調査会のミッションだと理解しているのですけれども、作業としては、さらに深めるとか、展開することをやるのではなくて、今までの議論を整理して、クリアじゃなかったところはクリアにするという作業はあると思うのですけれども、そういう作業を今度の予備日と次の回を使ってするという理解でよろしいのでしょうか。

○事務局 おっしゃるとおりでございます。基本的に事務局のほうで勝手に議論を進めるということではなくて、これまでの議論を整理したもので確認いただくということでございます。

○後藤座長 中間取りまとめのスタンスについては、御理解いただけたということでよろしいでしょうか。では、そのようにさせていただきます。

それでは、そろそろ時間もまいりましたので、本日の議論はこのあたりにさせていただきたいと思います。

次回につきましては、以前お配りしたスケジュール日程を追加しまして、8月18日に会議を開催し、本日の御議論も踏まえた中間取りまとめ(案)について御議論いただくことにしたいと思います。引き続きよろしくお願いいたします。

最後に、事務局から事務連絡をお願いいたします。


≪5.閉会≫

○丸山参事官 本日も熱心な御議論をどうもありがとうございました。

次回は8月18日火曜日午前10時から開催を予定しております。よろしくお願いいたします。

○後藤座長 それでは、本日はこれにて閉会とさせていただきます。お忙しいところをお集まりいただきまして、ありがとうございました。

(以上)