第5回 特定商取引法専門調査会 議事録

日時

2015年5月27日(水)15:00~17:25

場所

消費者委員会大会議室1

出席者

【委員】
後藤座長、村座長代理、阿部委員、有山委員、池本委員、河野委員、佐々木委員、鈴木委員、杤原委員、野坂委員、花井委員、増田委員、山本明委員
【オブザーバー】
消費者委員会委員 石戸谷委員長代理、山本隆司委員
経済産業省 伊藤消費経済企画室長
国民生活センター 丹野理事
【消費者庁】
服部審議官、山田取引対策課長、中嶋取引対策課企画官
【事務局】
井内審議官、金児企画官

議事次第

  1. 開会
  2. 執行上の課題に関する検討
  3. 閉会

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

その他

 今回の議事については、公にすることによって特定商取引法による執行事務の適正な遂行に支障を及ぼし、公共の利益を害するおそれがあるため、特定商取引法専門調査会設置・運営規程第6条第2項に基づき非公開とします。

≪1.開会≫

○金児企画官 本日は皆様、お忙しいところお集まりいただき、ありがとうございます。

ただいまから「消費者委員会 第5回特定商取引法専門調査会」を開催いたします。

本日は、所用により沖野委員と高芝委員が御欠席との御連絡をいただいております。

本日の会議につきましては、特定商取引法の執行上の課題の検討を議題としておりますところ、会議を公にすることによって特定商取引法による執行事務の適正な遂行に支障を及ぼし、公共の利益を害するおそれがあるため、特定商取引法専門調査会設置・運営規程第6条第2項に基づいて非公開での開催とさせていだき、随行者を含め国家公務員法等によって守秘義務の課せられる行政職員等を除いては、傍聴を認めないこととさせていただいております。

なお、議事内容につきましては後日、執行事務の適正な遂行に支障を及ぼすおそれのある該当部分を削除した上で、当委員会のホームページ上で公開させていただく予定です。

まず、配付資料の確認をさせていただきます。

資料1-1は消費者庁からの提出資料で、本日御議論いただく執行上の課題の検討に関する資料です。

資料1-2として、執行上の課題の検討に関し、消費者庁提出の非公開資料をお配りさせていただいております。こちらは会議終了後に回収させていただきます。

資料2は、本専門調査会の今後のスケジュール案です。

資料の不足がございましたら、事務局へお声がけをお願いいたします。

それでは、ここからは後藤座長に議事進行をお願いいたします。


≪2.執行上の課題に関する検討≫

(1)消費者庁からの説明

○後藤座長 それでは、本日の議事に入らせていただきます。

本日の会議では、特商法の執行上の課題について検討を行いたいと思います。

初めに、本日の議論のたたき台として、資料1について消費者庁から御説明をいただきたいと思います。では、消費者庁からお願いいたします。

○消費者庁山田取引対策課長 資料1-1と資料1-2を両方使いながら御説明をさせていただきます。

□□□

資料1-1の横長のパワーポイントに移らせていただきます。開いていただきまして「1-1.行政処分の状況」でございます。この縦線のグラフは、特商法に基づく行政処分の件数をまとめているグラフでございます。昔はそれほど執行をやっていなかった時代もあるわけでございますけれども、2004年あたりからふえて、2007年あたりにかなりふえてございます。これは2004年に執行当局がPIO-NETの情報を見られるようにしたというのがまず1点ございます。2007年に電話勧誘販売について都道府県も執行できるようにした。このようなことで数字が上がってきております。ここ5年間ぐらいは少し数字が下がっております。これは私どもの実感としては、何か悪い人が減ってきたということでは全くなくて、むしろ事業者の手口が複雑化、巧妙化しているということと、その一方で被害を受けている人たちが高齢化してきて、なかなか聴取が難しくて違反認定が難しくなっているということで、少し件数が減ってきているということでございまして、だからこそ執行のための武器を今回与えていただきたいということで、今日の議論になっているということでございます。

下のほうに取引類型別の処分件数が書いてございます。直近の年度だけお示ししてございますけれども、国・都道府県が行政処分に至るほどのものというのは訪問販売が一番多くて、その次が電話勧誘販売、マルチが3番目ということになってございます。

1枚めくっていただきまして4ページ、刑事罰の適用状況でございます。刑事罰の適用状況は、特定商取引等事案の検挙件数の推移というのが上のほうで書いてございまして、増減ありますけれども、基本的には横ばいで進んでいるかなと思います。

下のグラフが類型別の検挙件数でございまして、こちらは訪問販売が1番、電話勧誘販売が2番、訪問購入が3番となってございます。

次にその下の5ページをごらんください。近年の特徴的な事例ということでございます。

事例1は、実態上は同じ会社なのだけれども、繰り返し繰り返し法人格を変えて、同じ代表者が違反行為を繰り返すという事例を載せてございます。

下の左のグラフが、このように社名を変えて繰り返し特商法違反を行っていて、処分が行われた事案数が書いてございまして、ここ6年間で46件そのようなものがあるということでございます。

□□□

次に資料1-1の先ほどのページに戻ってきまして、5ページの事例2でございます。去年6月に処分した健康食品の電話勧誘販売の業者がございますけれども、この業者は6月に処分したのですが、実際に立入検査に入ったのはその年の□□月でございました。□□月に立入検査をして、その瞬間に□□□は、恐らくこのままでは業務停止命令を食らうだろうということだったのだと思います。従業員に次々会社を設立させたということで、立入検査後の3月にまず部長が後継の□□□という会社を設立し、4月には課長が□□□という会社を設立し、6月には□□□が□□□という会社を設立。これは個人事業主ですけれども、営業を始めたということで、この3社がまた消費者被害を繰り返していて、27年4月に処分に至ったということでございます。

この流れとはまた別に、□□□というものが出ておりますけれども、この□□□では□□□と書いている方が、立場はそれほど強くはないのですが、電話勧誘販売で健康食品を売りさばくノウハウを持った□□□という人がいまして、□□□自身は□□□で違法行為のノウハウを教え切った後にほかのところにスカウトされて、また□□□で電話勧誘販売のやり方を教えて、ここの会社はここの会社でまた26年7月には処分されているということでございまして、このように人とノウハウが一体化してどんどん消費者被害が拡大していくという構図も見てとれるところでございます。

続きまして、本体資料の6ページ、近年の特徴的な事例マル2をごらんください。この事案は昨年11月に消費者庁が処分を下したものでございますけれども、□□□というCO2排出権取引の会社と、□□□という金地金の訪問販売をやっている会社、この2社が消費者との関係では契約主体になっておりまして、私どもこの2社を追いかけ始めたということなのですけれども、あるビルの7階にこの2社は入っているわけですが、ビルの8階に□□□という会社があって、実際の□□□、□□□のある7階は営業部のみが存在して、この会社の総務とか経理とか人事とか経営方針とか、そういうものはみんな8階で決めていたということでございます。

このケースの場合は、この3社は事実上1社なんだということで1社と見て処分を行いましたけれども、□□□が□□□なければ、恐らく□□□と□□□のみを処分したということになっただろうと思います。そうであれば、この□□□という会社は、そのまま生き残ったということでございまして、また、別の会社を営業部だけ法人格を取らせて、また違法行為を繰り返したのではなかろうかと思っておりまして、こういうような構図のものも最近出てきているということです。

また黒幕の事例でございますが、こちらは卸の形で黒幕が関与しているということでございます。□□□に私ども健康食品の電話勧誘販売の□□□という、会社を処分したわけでございますけれども、この会社で売っていた商品というのは、□□年前、□□□に処分された□□□や□□□が売っていたものと中身は全く同じで、箱だけ詰めかえていたということで、□□年前に処分された会社の□□□を、箱を詰めかえて今度は□□□が売っていたということでございます。

この2社に共通しているのは、□□□というところから健康食品を卸してもらっているということでございまして、製造事業者が□□□円で卸しているものを、□□□では末端では□□□円で売っておりました。□□□の仕入れの値段は□□□円ですので、□□□以上、この卸の□□□が中抜きをしていて、□□□から見ると販社と呼んでいるらしいのですけれども、販社のほうで□□□落ちるようにしていたということでございます。

ただ、この販社のところで利益がたまったものというのは、□□□というのがございますが、□□□と私どもは見ておりますが、現行の特定商取引法では販社に当たる部分しか処分ができないということでございまして、□□□では□□□は手つかずのまま残っているということでございます。

□□□に□□□という連鎖販売取引の業者に業務停止命令をかけましたけれども、この会社は□□□に業務停止命令を食らって、□□□には連鎖勧誘販売を今度は□□□という会社で始めております。その後、□□□と□□□だと名前がよく似ているということで、その次には□□□という会社の名義で連鎖勧誘販売を繰り返しているということでございます。

このほかにも処分の後に別法人に営業譲渡をすることで、処分された本体は抜け殻のような形になって、ほかのところで営業の実態が続くという例もございます。

次に、本体の資料の7ページをごらんください。近年の特徴的な事例マル3ということでございまして、最近は事例マル4にありますように、複数の都道府県が特定の事業者に対して同日の日付で処分を行っている事例がございます。これは下の表に少し書いていますけれども、現在、全国的に被害が及んでいる事案等については国が対処をして、県域レベルの事案については都道府県が執行してくれる。そういうたてつけになっておるわけですが、訪問販売も電話勧誘販売も純粋に1つの県域でおさまり切ることはむしろ実態としてはなかなかなくなってきておりまして、結局、1つの県が処分をしても、また別のところに移動して違反行為をすることは防げないものですから、事例4のように複数の県で協力してやるという事案が出てきております。

事例5は、本当にひどいもので全国的に効果を及ぼすべきものだと思われるものは、物によっては消費者庁と東京都で一緒に組んで処分を下させていただいた事例もございます。ただ、私どもからすると、東京都と消費者庁で一緒にやるというのは非常に重複感もありますので、できることであれば都道府県が処分したものも効果が全国に及ぶように、何かしら手当ができないかなと考えているところでございます。

8ページ、近年の特徴的な事例マル4、インターネットや私設私書箱、電話代行サービス、電話転送サービス、レンタルオフィス、バーチャルオフィス等の発達・普及によって実態把握や処分が難しくなっているということでございます。

事例6は我々うまくやった事例を載せております。こちらは危険ドラッグを通信販売で行っていたサイトの運営事業者に対して、この事業者は名前もわからなければ住所もわからない。海外にサイトを置いて日本国内で販売している事業者だったわけでございますけれども、民法の公示送達の規定を使うことによって処分に持ち込んだということでございます。この案件自体はうまくいった例でございますけれども、民法の手続によると裁判所に申し立てをするということで、時間と非常な労力がかかりますので、少しここのところを何か特別法に規定を置いたりできないかなと考えているところです。

今、我々執行のほうで□□□という□□□通貨を消費者に劇場型勧誘で売っているという事例を追いかけているところでございますけれども、なかなかそういうものを追いかけるときに課題がございます。下の青いところで書いてございますが、□□□は□□□ということを盾にして、□□□ですが、□□□を教えていただけていないという問題がございます。

□□□に関しては、□□□は教えてくださるのですけれども、これは何回か□□□をかけられて、最後のところでは□□□が結局□□□ということで、本人にたどり着けないということでございます。

□□□に関しては現行、□□□ので、□□□は誰が運営していて、そこの□□□は誰が管理しているのかというのがわからないという問題もございます。

本体の9ページにもどっていただきます。まとめと書いてございますけれども、このまとめで書いていることは繰り返しになるので省きますが、下の2行だけごらんください。このように違反行為によって行政処分や警察の処罰を受けているというのは、ほとんどが特商法に基づく自主規制団体である訪販協や通販協の会員となっていないアウトサイダーの事業者だということを申し述べておきたいと思います。

また1枚めくっていただきまして10ページ、11ページ、執行強化に関する論点ということでございます。

国や都道府県における相談・執行体制の強化や罰則の強化をやっていかなくてはいけないのはもちろんでございますけれども、執行に関する権限の抜本的な強化もお願いしたいということで、4つの論点を掲げさせていただいております。

11ページ、論点マル1行政処分の効力の対象・範囲の拡大についてということで、まずマル1でございます。これは法人が処分を受けるときに、法人のみならず、法人の役員、個人に対しても行政処分の効力を及ぼせないかというのがマル1でございます。

マル2は役員を個人としておると、役員の立場につかなければいいのだろうと処分逃れがまた起こりますので、役員とはなっていない個人であっても、事業者に対して実質的に影響力を行使することができるような個人に対しても行政処分の効力を及ぼすことはできないかということで、このマル1、マル2の参考になるのが下の参考1でございまして、例えば建設業法においては法人が処分された場合に、法人の役員等に対しても新たに営業を開始することを禁止しなければならないとなっておりまして、その下の※で書いておりますように、役員等の定義を平成26年の法改正で抜本的に拡充していまして、業務執行社員、取締役、執行役もしくはこれらに準ずる者または相談役、顧問その他いかなる名称を有する者であるかを問わず、役員などと同等の支配力を有すると認められる者というふうに改正してございまして、このような規定が非常に参考になるのではないかと思っています。

それから、上の具体的な事項のマル3でございます。マル3については私どもちょっと類似のよい例を他法令でまだ見つけ出せておりませんが、先ほど5ページ、6ページで出てきたように、違法行為のノウハウを持って実質的には違反行為に深く関与している、会社を転々と歩く従業員などについても同じように行政処分の効力を及ぼすことができないかということを考えていきたいと思っています。

マル4は、先ほどの県の処分の効力の範囲の見直しの話でございます。

2枚めくっていただきまして14ページにまいります。論点2でございます。論点1で行政処分の効力を個人に及ぼすということは論点として提示いたしましたけれども、そもそも現行の特定商取引法という法律は性善説でできていまして、参入自由でペナルティーというのも最長で業務停止命令1年というたてつけの法律になってございますが、こちらの非公開資料で書いてあるような何回も違反行為を繰り返すような人たちとの関係で、そういう性善説のつくりで本当にいいのでしょうかという問題提起がこの論点2でございます。

具体的な事項のマル1で、繰り返し違法行為を行う悪質な事業者を市場から排除するために、そもそも事前の参入規制を導入することについてどのように考えるかということでございます。参考2に建設業法の例として許可制の例、旅行業法の例として登録制の例を書かせていただいておりますけれども、これらの法令では5年ぐらいは市場から退出されるということを仕組みとして持っておるわけでございます。

具体的な事項のマル2でございますけれども、特商法上の位置づけを有する自主規制団体(訪問販売協会、通信販売協会)これは先ほど見たように行政処分や処罰を受けるというようなことはほとんどない人たちの集まりでございまして、今の自主規制という枠組みがきちんと機能しているだろう。そういう人たちもいらっしゃるわけなので、そういう人たちのより一層の活用を図るべきという意見について、どのように考えるかということで問題提起をしてございます。

少し資料に書いていないことを踏み込んで申し上げますと、仮に参入規制を入れる場合であっても、自主規制団体の方々と行政庁が役割分担をして、行政庁はアウトサイダーの繰り返し違法行為を行うような人たちのチェックに特化をして、多くの善良な事業者に対しては自主規制団体に管理を委ねることがあり得るのではないかと思っております。

参考3は参入規制についての諸外国の例でございまして、現在、我々いろいろ調べておりますので、今これは過程の段階の御報告だと御理解いただきたいと思いますけれども、電話勧誘販売はそもそもほとんどの国でDo Not Call Registryがあって、そのレジストリーのリストにアクセスするためには何らかの登録が必要だということになってございますので、登録制のようなものができているということです。

訪問販売については、アメリカは前回も申し上げましたけれども、訪問販売自体はローカルレジデンスの問題だと捉えられていますので、連邦レベルで規制はございませんで、州レベルではデラウエア州の規制がある。その他の州では市役所レベルで規制があるということでございます。イギリスは全国的にPedlars Certificateを求めているということ。オーストラリアはHawker’s Licenceが必要な自治体があるということでございます。

1枚めくっていただきまして16ページ、韓国でございます。韓国は訪問販売も電話勧誘販売も事業者による届出制というものがございまして、事前参入規制なくて事後的な届け出ということでございます。ただ、韓国の場合は事業者は販売員リストというものを作成して、求めに応じて行政庁に提出しなければいけませんので、先ほどの行政処分をした前後にするような場合は、韓国の場合でも販売員リストを照らし合わせればつながりがわかるという仕組みになってございます。

※で書いてございますけれども、ドイツは移動営業に関して移動営業証というものを取らなければいけないということになってございます。

17ページ、論点3、報告徴収・立入検査の実効性の確保でございます。

マル1でございますけれども、最近、報告徴収や立入検査に関して、それを拒むという悪質事業者が非常にふえてございます。21ページに罰則の一覧表というものが載ってございますが、この一覧表の一番下のところにございますものに、現行の特商法の報告徴収や立入検査違反というものは100万円以下の罰金にとどまってございます。これは違法行為を繰り返す事業者は数億稼いでいる人たちばかりですので、そういう人たちからしてみると、この100万円で抑止力になっているのかどうかというのは非常に疑問でございまして、現に100万円やるから帰れよというふうに立入検査の現場で言われることもしばしばございますので、ここはぜひ罰則の強化を考えていきたいと思ってございます。

参考1で書いてございます。例えば景表法では懲役が入ってございますので、ここは懲役を入れると全然変わってくるのではないかと思います。虚偽報告や立入検査拒否を行った事業者名の公表も、ぜひ検討していきたいと思っています。

マル2でございます。事業者の実態解明を容易にするために、あらかじめ従業員名簿や取引関係書類の作成を義務づけるとともに、備えつけ、届け出等を行わせることが必要ではないかということでございます。

マル3でございます。現在も立入検査に関しては、密接関係者であれば立ち入れるという規定がございますけれども、この範囲が残念ながら今、非常に狭く書かれてございますので、先ほど御紹介した例えば□□□とか□□□とか、こういう会社にも立ち入りできるようになれば全貌がわかってくるのではないかというふうに思っております。

マル4はインターネットの世界だけではなくて、リアルの世界でも弁明の機会の付与とか処分書の交付から逃げ回るという悪質事業者がございますので、出口としては同じ公示送達になるのだと思いますけれども、そういうリアルの世界でも逃げ回る悪質事業者との関係で何かしらの検討を行っていきたいと思っております。

19ページ、論点4でございます。新たな技術・サービスの発展・普及への対応をどのように図るべきかということで、まずマル1は先ほど申し上げたインターネットの世界の中での公示送達による処分。これを民法を使って裁判所に申し立てを行ってやるということではなくて、例えば下の参考1に書いておりますように、景表法では行政庁の中で公示送達が完結する仕組みがございますので、こちらのような規定を考えていきたいと思っております。

マル2でございます。公示送達で処分ができるようになれば、事業者に対しては指示処分が下せるようになるわけでございますが、これでもプロバイダー自身が情報をいつまでも載せていたのでは効力がないわけでございますので、プロバイダーに対しても削除要請規定のようなものを置いていきたいと考えております。

マル3はレンタルオフィス、バーチャルオフィス等を悪用しているということがございますので、こういったサービスを提供している事業者への対応について検討していきたいということでございます。

参考4には犯罪収益の移転防止に関する法律の取り扱いというものが出てございまして、この論点については少し特商法で対応というよりかは、関係法令を持っている省庁に対してきちんと執行してくださいというお願いをしていくということかなと思っていまして、この消費者委員会の場を通じて所管省庁にそのようなお願いをしていければと思っているところでございます。

駆け足でしたけれども、私の説明は以上でございます。

(2)意見交換

○後藤座長 どうもありがとうございました。

それでは、ただいまの御説明を踏まえて、執行上の課題について御議論をいただきたいと思います。

全体でボリュームがありますので、分けさせていただきます。まず執行強化に関する論点1~4がありますが、これについては個別的に御意見あるいは御質問を伺いますので、それ以外のところ、特商法の執行状況等についての問題とか、先ほどの資料1-2の非公開資料ですが、それらについてまず何か御質問があればお出しください。よろしくお願いいたします。

○野坂委員 9ページの一番下の※のところですが、違反行為によって処分、処罰を受けているのは、ほとんどが特商法に基づく自主規制団体である訪販協や通販協の会員となっていない事業者。先ほど山田課長はアウトサイダーという表現を使われました。この指摘というのは大変重要だと思っています。要するにいろいろな問題を起こしているのは悪いように言ったらアウトサイダーなんだということだと思うのですが、前のほうに処分の件数が出ていますけれども、この中でいわゆるアウトサイダー、訪販協なり通販協の会員となっていない事業者はどれぐらい含まれているのか、教えていただければと思います。

○消費者庁山田取引対策課長 まず警察のほうで検挙されている人たちの中に訪販協、通販協の会員は、私どもが知る限りではいなかったということでございます。それから、行政処分はたしか去年9月に四国局が処分した□□□というマルチの業者がございまして、この業者は一応訪販協に今でも入っておると思いますが、そういう意味で今、入っているのはその1社だと私どもは理解をしております。

ほかにも何社か処分されたときには訪販協にいたという方はいたようですけれども、その処分をきっかけに退会されたと聞いております。

○野坂委員 それは退会されたのですか、退会させられたのですか、これは訪販協に聞いたほうがいいですか。

○消費者庁山田取引対策課長 済みません、訪販協の事務方が来ておらないので、会長御存じであればあれですけれども、まず私のほうから御説明させていただきますと、訪販協の中ではそういう問題を起こした業者に対しては、倫理審査会のようなところできっちり議論をされるわけでございまして、その過程で自主的に退会されていったと聞いております。

○後藤座長 ほかに何か御質問ございますか。

○村座長代理 □□□が□□□との間で経理、財務等の委託契約を結んでいたということですけれども、こういう場合というのは現行の特商法ですと、□□□には資料を提出してくださいということは言えないという解釈になるのか、報告を求めることについては可能なのか。処分は無理だろうと思うのですけれども、そこのところは現行法だとどうなのか。このケースの場合はどうだったのかお教えいただければと思いました。

○消費者庁山田取引対策課長 66条3項で取引があるということであれば、報告または資料の提出を命じることはできますが、本件についてはやっておりません。

○村座長代理 そうすると、確認なのですが、今の66条3項の調査対象になる事業者と取引がある業者という、その取引は比較的広く読むことができるわけです。こういう委託契約とか、あるいはバーチャルオフィスの契約とか、転送サービスの契約とか私設私書箱とか、そういうようなものも契約を結んで利用しています。そうすると直接事業者と契約している相手であれば、資料を出してくださいということは現行法でも言えるわけですね。

○消費者庁山田取引対策課長 さようでございます。ただ、その先の出口が余りありませんので、何でもかんでも報告を求めたりという執行の運用はしておらないということでございます。

○後藤座長 河野委員、よろしくお願いします。

○河野委員 資料1-1の3ページで御提示いただいた処分件数のところなのですけれども、2014年は95件で、このうち重複しているものといいましょうか、同じ案件で処分されたものがあるのかどうかということと、個人事業者、個人でやっているのと、ある程度会社の体裁を整えてやっているところと、そういったもし区分けがあるのであれば教えていただければと思います。

○消費者庁山田取引対策課長 まず重複というのは2014年に限らず、この表全体で、これは基本的には処分の件数ということですので、1人の事業者に業務停止命令と指示を下した場合には、それは一件一件というふうに数えます。それから、1つの事案の中で3社出てきて、3社に対して業務停止命令と指示をした場合は、1つの事案ではあるのですけれども、処分件数としては6件ということで数えますので、それは重複と言えば重複かもしれませんが、長年こういうカウントの仕方で外にはお示ししているということでございます。

個人かどうかというのは、個人事業主もそこそこ中にも入っておりまして、過去の処分自体、これはホームページに載せたものというのは基本的には処分であれば載っておりますので、追いかけて調べることは可能ではありますので、リクエストがあればよろしいですか。そんなには多くないようには思いますけれども、個人というのもそこそこはございます。ただ、個人事業主だからといって別に1人でやっているかというと、もちろんそれはそんなことはなくて、1人なのだけれども、人は使っているということはございます。

○後藤座長 ほかにございますでしょうか。杤原委員、よろしくお願いします。

○杤原委員 資料1-1の14ページでありますが、下の箱の中の参考2で事前参入規制の枠組みの例ということで、許可制の例と登録制の例とを引き合いに出されておりますけれども、建設業の場合は、私の記憶では一定の工事金額以上の場合に専任技術者を置く義務が課されています。しかしこれは、そもそも違法建築をさせなかったり、生命、身体にかかわる安全管理とか建築基準の遵守という理由があるはずですので、それで許可制になっていると理解をしております。それから、下のほうの旅行業もなぜ登録制かというと、旅行代金は前払いというのが一般的であり、旅行者、消費者保護のために保証金制度というものがたしか設けられていて、1種、2種、3種とか地域限定とか種類があったかと思うのですけれども、必ず保証金を積んで、もし旅行代理店が倒産した場合にはその保証金で償うという仕組みだったと思います。目的と内容の違うこの2つを訪問販売とか通信販売とかの並びで引き合いに出すことは、中身的に制度として違うのではないかという気がいたしておりまして、なぜここにこういうものを引き合いに出したのか、消費者庁の意図を確認しておきたいと思います。

○後藤座長 よろしくお願いします。

○消費者庁山田取引対策課長 おっしゃるとおりでして、私ども許可とか登録とか、そういう例としてお示ししたわけですけれども、何か建設業法で守られるべき法益ですとか、旅行業法で守られるべき法益と今回の制度論というのは、当然それはそれぞれの法律で違うわけでございますので、何かこれがそのままストレートに参考になるということではございませんので、この例がそのような連想をさせるということであれば、そこはこの議事録をもって訂正をさせていただきたいと思います。

せっかくなので少しお話をしますと、建設業法などは結局、町の大工さんみたいなものまで許可制を取らせるのですかという話もあって、杤原委員がおっしゃられた裾切りはございます。ただ、私どものほうで悩ましいのは、繰り返し違法行為を行う人たちというのはむしろ小さいところが多いというのが悩みでございまして、余り裾切りのような話というのは、私どもの世界で事前参入をする場合にはそういうことをすると、そこは穴になってしまうのではないかと思います。

私どももここで事前の参入規制を御提案しているのは、消費者庁のみならず、地方経産局、都道府県、いずれも違法行為を繰り返す事業者の存在には頭を痛めておりまして、今の建前だと原則自由なので業務停止命令3カ月とか6カ月とか、間をあければまたやるということで、本当に消費者被害がどんどん広がってゆくのを指をくわえて待つという状態が続いていますので、これを何とかしたいという中で、こういう仕組みしかなかなかこれを根本的に改めることはできないのだろうということで、我々も行政コストをそんなにかけたいわけでもないですし、事前参入の仕組みを入れられれば国家賠償などで国が訴えられる、県が訴えられるリスクも理解しながら、やむを得ず提案をしているところでありますので、ぜひこういう仕組み以外で違法行為を繰り返す事業者対策として有効な手だてがあれば、ぜひ教えていただきたいと思っております。

○後藤座長 ありがとうございました。

ただいま執行強化に関する論点の論点2に入っておりますけれども、この論点の部分に入ってもよろしいでしょうか。それ以外のところで何か。よろしくお願いします。

○池本委員 池本です。

1点だけ質問をさせていただきます。ネット上のプロバイダー責任制限法で、サイト業者の素性についてなかなか開示してくれないことがあるのですが、行政処分のために行政庁からプロバイダーに照会をかけた場合も、そのプロバイダー責任制限法によって開示しないという姿勢なのか、そこまでではない、行政庁からの要請であれば対応してくれるという実情なのか、そこはいかがでしょうか。

○消費者庁山田取引対策課長 今日は執行の責任者の管理職として中嶋が出席しておりますので、中嶋からお答えします。

○消費者庁中嶋取引対策課企画官 取引対策課の中嶋です。よろしくお願いします。

今、御質問がありましたプロバイダーについては、要請しても個人情報として開示してくれないことになっています。

○後藤座長 ほかにございますか。

○村座長代理 今の関係で伺いたいのですけれども、66条第4項の規定があります。これは電気通信事業法の例外規定ですよというものがあるのですが、66条第4項でできることはどの範囲になるのでしょうか。要するに66条4項でできることと、今、池本委員から質問があったことは、66条4項の射程ではないので対象になりませんというお返事だったかと思うのです。そこのところを教えていただければと思います。

○消費者庁山田取引対策課長 66条4項の規定は、今日の資料の20ページにも書いてございますが、いずれにしても今、御指摘いただいたことは、きちんと整理をしてお示ししたいと思います。

○後藤座長 それでは、論点1~4以外の部分で何か御質問ということはよろしいでしょうか。

それでは、資料1-1の10ページ以下になりますけれども、論点1、2、3、4と論点が掲げられております。これ以外にほかの論点もあるという御指摘もあるかもしれませんが、それについては全体の論点の検討が終わった後に、また御指摘いただくとして、まず論点ごとに御質問とか御意見を伺いたいと思います。

論点1の問題でありますけれども、論点1について何か御質問や御意見、よろしくお願いします。

○阿部委員 質問なのですけれども、マル3の従業員等の中身なのですが、「違法行為のノウハウを持ち」ということなのですけれども、例えばアルバイトか何かで入ってきた人がやり口を覚えて、ほかの事業者に行ってやる。そのときとマル2の実質的影響力を行使するとどう違うのですか。要はマル3とマル2の違いで、単なる従業員等というのはどうやってここから外しているのか。

○後藤座長 お願いします。

○消費者庁山田取引対策課長 法制的には検討を今後深めていくということになろうかと思いますが、ここで私どもが書いている気持ちを申し上げますと、まずマル2というのは実質的には役員と同等の支配力を持っているような個人ということでございまして、これは下の参考1に書いてあるような規定で追いかけていけるのだと思います。

マル3は単なる従業員です。パートタイムのような人とか、そのような人たちは当然そういう人たちは職業選択の自由も保障されるべきでありましょうし、そういう人たちが別にどの会社に行ったところで、何かその会社で悪いことが始まるというわけではなかろうと思います。

私どもが問題にしようと思っているのは、□□□のような存在でございまして、この□□□は□□□に請われるような形で来て、□□□が□□□でそのビジネスノウハウを教え込んで定着させて、□□□自体は決してその会社の中では支配的な地位を持っているというわけではなくて、違法行為のノウハウを持っていて、重宝がられて呼ばれてきて教え込んで、今度は□□□にスカウトされて行ったということで、転々と悪質事業者を渡り歩きながら新たなお金もうけができる違法行為のやり方を教えていっているということでございますので、こういう人たちもそういう活動をとめなければいけないということになると、単に裸の従業員ということではなくて、違法行為のノウハウを持って実質的には違反行為に深く関与しているという限定をつけた従業員についての規定を何か置くということなのかなと思っています。

それは私ども今、類例の用例は調べられておりませんし、そのようなことは余りほかの業界ではないのかもしれませんので、そういうことであれば本邦初のチャレンジを法制的にしていくことになろうかと思います。

○阿部委員 ということは、実際の法の文言になるときのマル2というのは、建設業法の支配力よりもまた違う概念で影響力ということですね。実質的な支配力と実質的な影響力と、それに加えてマル3が入ってきてどう言うかわかりませんけれども、いわゆる違法行為に深く関与している。要は類型としては建設業法の実質支配役員、みなし役員よりはかなり広くなるという理解でいいのですね。

○消費者庁山田取引対策課長 済みません、この資料のつくりが、マル2の具体的な事項の1行目のところで実質的な影響力と書いておりますが、これは法文にあらわす場合には私どもは支配類型だと考えておりましたので、建設業法の支配力というのはまさにマル1、マル2を体現したものが、この建設業法の規定のようになると思いますので、影響力と上で書いているのは支配力という意味だと訂正をさせていただきたいと思います。

そういう意味ではまず建設業法のような実質的支配力類型があって、それはそれでできるようにするということで、その上で建設業法類型にプラスアルファになるのはマル3の類型だということだろうと思います。

○後藤座長 お願いします。

○村座長代理 また複雑になってしまうような意見というか質問をして大変申しわけないと思うのですけれども、布団の訪問販売等の訪問販売のケースで、勧誘団を抱えているケースがあるのです。要するにやくざの集団みたいにボスがいて、若い者、お前たちの面倒を俺が見てやるぞみたいな感じで10人とか20人とか部下を抱えているのです。そのボスは別に会社を立ち上げたり、自分が何か事業をやったりしようとするわけではなくて、例えば訪問販売で布団を売るノウハウを持っている。よくないノウハウなのですけれども、持っている。そういうボスが僕らを雇ってくれると売り上げ上がりますよと言って売り込んで、訪問販売業者に丸ごと就職するわけです。そこですごい悪いことをやって、その会社が問題になっていろいろな形でたたかれるようになると、勧誘団ごとさっとやめて、別のBという会社に移動をしていって、そこでやるみたいなものが実はあったのです。今もあるのかどうかわかりませんけれども、そういうパターンって会社の経営者が、お前はいいノウハウを持っているからうちの従業員にノウハウを伝えてくれとか、営業員の教育をやってくれという形で雇う。私が今、伺ったイメージだとマル3はそんなイメージかなと思うのですけれども、そういうものとも少し違うような、要は職能グループと言ったら変かもしれませんが、そんなものもあったりするのです。そんなものもマル3で読めるというか、あるいはそういうものは余り意識の中に今までなかったのか、そのあたりが今、御説明を聞いていてふと疑問に思いましたので、教えてください。

○消費者庁山田取引対策課長 ありがとうございます。

私ども、この資料をつくった1週間前は、□□□のケースが1つの例だということで書いておりましたけれども、事前説明で各委員のところを回るときに、まさにそういうパターンもあるのではないかというお話を伺っていまして、今お話いただいたように、一旦布団の会社に就職をしてということであれば、その勧誘団のリーダーみたいな人というのは多分このマル3の類型で押さえることができるのではないかと思いますし、そういう実態があるのであれば、そういうものも読めるように書いていかなくてはいけないと思います。

難しいのは、就職しなくてセールスだけお願いされているグループみたいなものがあって、就職するのだったら割と行きやすいのかと思いますけれども、社の外にあるような場合にどういうふうにそれをとらまえていくのかというのは、さらに1段高いハードルかなという気はしますが、そこはそういう実態があるのであればチャレンジしていくということだろうと思います。

○後藤座長 増田委員、よろしくお願いします。

○増田委員 まさしくそういうケースというものはあるかと思います。後出しマルチみたいなケースですと、学生がそういう組織に入りますが、社員ではないわけです。けれども、繰り返し行う。そこで資質のある人たちが次の会社の社長になっていくというケースがここ数年繰り返されていたと思います。ただの学生だったものがそういう組織に入ってアドバイスを受け、結局はプロの社長となり、同じことを繰り返すというケースで、財産的な被害を発生させるとともに、悪い人たちをつくる組織になっていて人材の損失だとも思います。そういう意味で言うと早い段階で従業員まで、及びもともとの指南役みたいな人がいて、育てているので、そういう人が早期の段階で処分対象になるということは賛成したいと思います。

○消費者庁山田取引対策課長 ありがとうございます。

我々もともと今回の執行の話というのは、法人格がものすごく簡単に設立できるようになって、その結果としてこういう問題が出てきていると申し上げてきているわけですけれども、同じような関係というのは雇用の関係でも発生していると思っています。雇用というのは昔はがっちり会社に入るということだったと思いますが、今はパートタイムのようなものから業務請負とかさまざまな関係性の中で悪質事業者もうごめいていますし、もちろん普通の業者もそういうさまざまな雇用形態を使うことが可能になっておりますので、何か社員か社員でないかというところでかっちり線を引いてしまうと、それは法制的にはわかりやすいかもしれないけれども、実質的に悪いやつを取り逃すことにはなってはいけませんので、そういう雇用の形態もさまざまな形態が出てきていることに少しでも追いついていければという気持ちはございます。なかなか私がここで前向きなことばかり言っていると事務的には非常に大変な作業になりますので、このぐらいでとどめたいと思います。

○後藤座長 池本委員、よろしくお願いします。

○池本委員 まず、思いとしてその法人なりの役員がまた別を興す、あるいは取締役ではないけれども、実質的な、正式に言えば支店長に当たるのか何かわかりませんが、その集団の中で実質的な責任者格であるとか、あるいはフリーの委託販売員のような、先ほど勧誘員なる言葉を使われましたが、委託販売員のような形でかかわって、その法人そのものに属さないで例えば屋根工事と外壁と床下等のいろいろな契約のパンフレットと注文書だけ預かって契約をとって回すとか、いろいろな責任の所在が曖昧な形でやっているのがあると思います。そういうものを何とかとらまえる必要があるということの総論的な思いは賛成なのですが、問題は特にこのマル2からマル3に行くあたりのところを、具体的なケースとそれを法の条文としてどういう定義にして、どの範囲のものを押さえるのかというあたりはさらに明確化しておいていただかないと、弁護士会は明確でないもので不利益処分というのはいかがなものかという逆の慎重論もありますので、今の方向はさらに掘り下げて検討していただきたいと思います。

論点1のマル4についてよろしいでしょうか。都道府県による行政処分を全国的に及ぼすべきではないかという議論、これは以前から弁護士会でも問題提起したり議論していたところなのです。私自身も聞き及んでいる中でも静岡でやり、北海道へ行き、東京へ行ってとか、あちこち転々としながら業務停止とか繰り返しているというのをたくさん聞いています。

問題は、現在の法制度はいわゆる自治事務としての行政処分で都道府県が原則である。広域的なものについてどちらかというと例外的に国が関与するというふうになっている。以前は法定受託事務の形で位置づけられていたのが、地方分権の中でこういうふうに現在の制度になったと理解しています。

ただ、問題はだからと言って一律にこれを国の法定受託事務にすればいいのか。そうした場合、それぞれの地域で問題が起きていたのを、そこの自治体で調査し、処分するというのが国全体のための論拠として大丈夫かというふうに逆に慎重になっても困るし、もっと困るのが例えば東京とか埼玉とかちょっと頑張っているところがやってくれればいいから、うちは様子を見ていようというふうに、逆にやらなくなるところがふえてしまっても困るし、あるいは広域的なものは原則として国、消費者庁や経産局がやるべきだという、それも1つのパターンなのかもしれませんけれども、実際の執行体制から見たら都道府県がしっかり全国がそれぞれ地域のことはやってもらわないと追いつかないはずで、その意味で法定受託事務に一律に戻すということにもどうもなかなか踏み切れない。そうすると、今の自治事務と法定受託事務のこの狭間をどういうふうに埋めたらいいのかというのが非常に悩ましいところなのです。

例えば先ほど国と都で共同処分したというものがありましたが、あるいは複数の地域でトラブルが広がっている広域的なものである。例えば東京都が調査をしていく過程でそういうふうに広がりがあることが判明したら、違反行為の存在及び広域性が見えたときには例えば消費者庁へ通告して、東京都が処分するけれども、これは法定受託事務的な性質のものとして選択しやっていくとか、選択的にそこを、あるいは被害の実態、広がりによって選べるとか、何かその2つの中間的な効力の及ぼし方というものがあるのかどうか、そのあたりよくわからず申し上げているのですが、そのあたりについて何か検討されているところがあればお伺いしたいというところがございます。

○後藤座長 よろしくお願いします。

○消費者庁山田取引対策課長 ありがとうございます。

私どもも今、自治事務となっていることとの関係をしっかり整理しなければいけないと思っていまして、今、検討しているところです。総務省、旧自治省の世界の話になりますので、そちらと話をし始めているところで、まだ結論は出ていません。全国的な被害があるものは国の権限となっているものを、法定受託事務という形で整理し直すのかどうかというところはまだわかりません。そういう形にならないかもしれませんけれども、趣旨としては限られたリソースの中で効率的に国と都道府県が手分けをして執行する中で、何か処分の効力だけ足かせがついているというところを見直したという、この趣旨そのものについては理解いただているところなので、何とか知恵を振り絞ってということだと思っています。まだ出口が見えているわけではありませんが、今日そういう方向でよろしいということであれば、さらに検討を加速したいと思っております。

○後藤座長 山本委員、よろしくお願いします。

○山本明委員 今の関係で、東京都はこちらでも紹介していただいていますけれども、5都県で千葉、埼玉、神奈川、静岡県とで合同で指導、処分を行ってきておりますが、ただ、なかなかそれぞれの自治体の都合があって、必ずしも必要なときに連携してちゃんと処分ができるというふうにはならなくて、それぞれの自治体で抱えている案件との関係で今、一緒に処分に入っていけるかどうかとか、消費者聴取ができていないという事情があって、タイミング的に一緒に連携できないこともありますので、理想的には一緒に連携をして広域的な処分で、広域的な被害があるものは対応していこうと思っておりますが、実態としてはなかなかうまくいかないこともあるということです。

そういう実態を考えてくると、今、御提案されているような手法も1つの選択肢としてあれば、広域的な被害をもう少しうまく防いでいくことができるのではないかと思いますが、ただ、実際は今お話があったように、手法としてアイデアがないので、その辺がどういうふうにやっていくのかなというのがあります。

それから、処分元の例えば東京都が処分した効力をほかの自治体に及ぼすという判断をどこがするかというのが少し難しい問題かなと思っておりまして、東京都が例えば埼玉にも被害があるから、そこに効力を及ぼそうという判断は東京都のほうではできないので、それについては国なり地元の埼玉なり自治体が判断するような形でないと、なかなか仕組みをつくっていく上でもできないかなと思っています。

もう一つ、今回別法人を立ち上げて悪質な行為を繰り返していくことが、仮に法改正によってできなくなっていくとすると、余計に東京で処分されたら、ではほかの県でやるか。今だと東京で処分されても別法人を立ち上げればすぐ次の日から仕事ができるような実態なのですけれども、それができなくなると余計ほかでやろうという圧力にもなっていきますので、そういう意味からもここら辺の対応は何か考えておかないといけないのかなと思っています。

以上です。

○後藤座長 ありがとうございました。

野坂委員、よろしくお願いします。

○野坂委員 論点1については、基本的にこの方向で私は賛成いたします。

資料の25ページによると、去年8月の報告書で既にこの問題は指摘されています。にもかかわらず、これまで議論、要するに具体的な検討が進んでいなかったとすれば、むしろ行政の怠慢であると思います。要するに対応が遅過ぎる。悪い連中はいろいろな手を使って、あの手この手でやってくるわけで、いたちごっこになっていくということでありますから、また、被害金額は資料に出ておりませんけれども、恐らく相当な被害が出ているという、その深刻性、悪質性から考えると、この分野についてしっかり行政側が武器を持つという意味では賛成したいと思います。

ただ、制度設計については相当詰めなければいけないし、先ほど東京都の説明を伺っていると、国と都道府県の連携がうまくいかないと、またその隙間を突かれるおそれがあるということであります。国と自治体がしっかり連携できるような、穴のないような仕組みをつくらないと、せっかくの武器も効力がどうなのかという疑問点が出てきます。いずれにしても、論点1については何とか制度設計をしっかりして急いでやるべしと思っています。

ただ、先ほどの支配力あるいは実質的に影響力を行使するところの認定の仕方も論点がありますし、その辺はしっかり詰めていただきたい。

以上です。

○後藤座長 よろしくお願いします。

○村座長代理 私はマル4について意見を申し上げたいと思うのですが、私も本当にこれは何とかしていただきたいということで、ぜひ前向きに御検討いただきたいと思っているのですが、そう常々考えている理由と、制度設計のときに今まで意見に出ていないのですが、私が気にしていることがあるので、それを1つお話したいと思います。

東京都や何かが中心になって、静岡から広域だと栃木県まで一緒に処分しているものがありますね。そういう形で共同で調査をやって、同時処分というのは随分たくさん行われているのです。先日、そういう合同処分のケースをずっと私は分析していましたら、おもしろいことがちょっとわかって、その合同処分である処分は千葉だけ抜けているとか、ある処分は群馬だけ抜けているとか、具体的に言って申しわけないのですけれども、全体の広域で訪問販売等の被害が出ているらしいけれども、その中の1カ所の自治体だけが処分から落ちているというケースがあるのです。多分、事前調査のところで立ち入りまで入るまでの準備が多分できない。今、東京都からお話があったような事情も含めてあって、そこだけすぽっと抜けてしまうのかなと思うのです。

そうすると周辺ではやるなということで業務停止命令が出るわけですけれども、すぽっとそこが抜ければ、そこに被害が集中しますね。そうなることがわかっているわけなのに、結局、同時処分が今の仕組みだと自治事務で自分のところで消費者からの調書も取りというようなことが必要になるので、そういう準備まで至らないと加われないということで、結局、周りが処分すれば自分のところが処分できなければ、悪質業者を呼び込むような結果になっているのが複数あるのです。

それから、別に処分していない周辺に行けばいいだけのことですね。別にそんな遠いところまで行かなくても、そういうようなことがあって、これは処分されているものというのは例えば訪問勧誘とか電話勧誘か、特定継続的役務提供ですごく地域性、一地域だけですごく小規模でやっているような業者は地域性があるのかもしれませんが、今の特商法で処分されているようなケースで見ると、一地域に特化したものは余りないのです。例えば業務提供誘引販売取引なんかの場合もみんなネットですから、北は北海道から南は沖縄までどこで被害が出てもおかしくないというような状態です。ですから、そういうようなことを考えると、完全にかなり被害が出るまで待って、よっこいしょと被害をたくさん出るのを注視していたところでようやく取り組めますみたいなことで調査に入ってというと、一定数、相当犠牲が出るまでは各自治体ができないということになります。

そういうことを考えるとぜひ消費者庁にやっていただきたいと私は思うのですけれども、ただ、これは人手も予算も限りがありますから、今こういうめちゃくちゃな状態になっているときに、どうしても消費者庁だけで全部カバーするのは私は無理だろうと思うのです。だから自治体にもそれなりのことをしていただかないといけないということはそのとおりだろうと思っておりますので、マル4のところは私もいい知恵があるわけではない。自治事務と法定受託をどういうふうにすればいいのかということはよくわからないのですが、ぜひこれは工夫していただきたいと思います。

その関係でこれは行政処分したときは、事業者は不服があれば行政訴訟を起こせるのですね。ですから処分庁は行政訴訟のリスクを負って処分をしていくことになりますので、ある地方自治体が処分したときに全国的に効果が及ぶというような制度設計のときに、行政訴訟の当事者が誰になるのかというのは、かなり各自治体が踏み切るときのリスク計算の対象になるのだろうと思うのです。だからそのあたりも含めてぜひここは詰めて考えていただいて、少しでもみんなが役割分担して、やりやすい制度を導入していただきたいと思います。

○後藤座長 ありがとうございました。

よろしくお願いします。

○河野委員 今の件に関してなのですけれども、論点1に関しては先ほどから皆さん御意見出ているように、できる限り早くこういった形で対策を進めていただきたいというのがまず全体で、マル4なのですけれども、今、村先生からもさまざまなこのことをきちんとやっていく上での問題点等が指摘されているのですが、私は何も全体像がわからないままに単純な質問なのですけれども、調査に入る前に端緒情報を集めて、調査に入ると思うのですけれども、このあたりで、つまり処分後の効力を広域に適用するという話を今していますが、事前に1カ所でしか被害というか端緒がつかめない場合は仕方がないと思いますが、恐らくこういった事例は複数の地域で恐らく端緒が出てくるのではないか。そうすると、この執行ネットの運用の仕方をもう少し変えて、例えば今、3件であるとか、4件であるとか、そこで対象の都道府県で調整し合って、どういうふうにやっていくかという事前で何かコントロールができないのかなと思ったのですが、執行ネットというものが実際どういうふうに運用されているのか教えていただければと思うのです。

○消費者庁山田取引対策課長 詳しくは中嶋から御説明しますけれども、今は基本的には先に登録したところが調査をやることになっていますけれども、そこのところでもちろんPIO-NETを見れば広がりというものもわかるわけでございまして、東京都さんに後で、山本委員にお話いただければと思いますけれども、東京都などでは近隣の県と、そこで見て恐らくお話をされて共同してやるということだと思いますし、先ほど御紹介した消費者庁と東京都が一緒にやった学生相手の後出しマルチのDVDのものは、先に東京都がやられていたものについて消費者庁からお願いをして一緒にやっていただいたということでございます。

何かネットの登録に関して補足はありますか。

○消費者庁中嶋取引対策課企画官 特につけ加える詳しくはないのですけれども、執行ネットは先ほど課長から説明がありましたように、重複して調査しないということが観点ですので、1つのところが調査にとりかかったというところを見ると、ほかのところはやらないで済む。気がつかないうちに立入検査まで一緒に調査まで進んでいって、どちらかが諦めるというロスを減らすために行っています。

あとはPIO-NETを見て広がり、苦情相談の件数を見ていきますので、それは執行ネットとは別にどの自治体、国も同時に見ることができますので、内容については把握することができます。

○後藤座長 論点1につきましてはたくさん御意見が出ていますが、特に基本的な方向として反対だということであれば御意見を出していただきたいのですけれども、よろしいですか。申しわけありません。他の論点もありますので、論点1につきましては制度設計に工夫が必要だということはありますけれども、基本的な方向性としては賛成ということでまとめさせていただくということでよろしいでしょうか。

それでは、論点2に移らせていただきます。資料1-1の14ページ以下になりますけれども、論点2について御質問、御意見をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

阿部委員、よろしくお願いします。

○阿部委員 まず質問ですけれども、マル2の自主規制団体のより一層の活用って、具体的に例えば加入の強制みたいなことはあり得るとお考えなのですか。

○消費者庁山田取引対策課長 これは現状、自主規制団体ということで加入するかしないかは事業者の自由という形になっていて、それで訪問販売協会においてはほとんど執行されるようなまでの悪質な事業者は入っていないということなので、私どもとしては法制的な検討でぶち当たらない限りは、なるべくこの自主規制団体の自主規制というものはできる限り残したいと思っています。

○阿部委員 例えば訪販協、通販協、加盟団体以外は届け出するとか、そういう可能性はあるのですか。

○消費者庁山田取引対策課長 届け出ということだと事前参入規制ではないので、どちらかというと私どものイメージは率直に申し上げると登録とかそういうイメージなのですけれども、登録をする先が訪問販売協会に属していない人たちは行政庁に直接登録をし、行政庁が見るということを考えていまして、訪問販売協会に入っていらっしゃる方は行政庁ではなくて訪問販売協会みずからが直接、間接の形で管理をするということかなというイメージは持っております。

○後藤座長 ありがとうございました。

ほかにございますでしょうか。よろしくお願いします。

○佐々木委員 今のお話ですけれども、通販協、JADMAでは実際には会員の加入希望に対してちょうど先週、理事会があったのですが、そこの中の報告で34%の合格率ということで、参入というか加入についての検討をしておりまして、その加入申請に対して全てOKというわけではなくて、そこの通販事業者が使っている広告等の資料を全部見て実際に適切でないものがあるという場合には、加入を断ったり保留になったりするということで、実際には34%の合格率ということなのです。そういう意味で誤解ないように言えば、加入申請をすれば誰でも入れるということではないということでやっております。

○後藤座長 ありがとうございました。

野坂委員、よろしくお願いします。

○野坂委員 執行強化の手段として、登録制を検討するということは選択肢としてはあり得るのだと思うのですけれども、幾つか疑問点もあります。今、佐々木委員から全て加入するかどうかわからないという話もありましたが、要するに我々が今、問題にしているのは悪いやつら、アウトサイダーなわけでありまして、アウトサイダーが訪販協あるいはどこか行政に登録してくるのかどうかという問題点があるわけです。実際に彼らが行いを改めて登録して真っ当な業者に変わるならいいのだけれども、恐らく懸念されるのは、そういった業者はもともと登録しない恐れが強い。となると、せっかく登録制をつくったところで実効性がどうなのかなという疑問があるわけです。その見通しは現時点でなかなか難しいでしょうけれども、本当につくったところで実効性、悪いやつらをたたいて被害を防止するためにどれだけ効果があるのか、そこはしっかり見ていかなければいけないと思います。

2点目は、役割分担ということで訪販協なり通販協が加入した会員については監視し、それ以外は行政庁でということですが、仮に行政庁にそれなりの数が登録されたという場合に、その管理、マネジメントあるいはそれなりにコストもかかるでしょう。消費者庁は執行に当たる職員がいっぱいいるというわけでもないし、都道府県に頼るのか、あるいは経産局に頼るのかわかりませんが、その辺のマネジメントのイメージがこの説明資料だけではよくわからないです。追加で説明していただければと思います。

また、執行の強化に当たってこの登録制というものが冒頭言いましたようにツールとしては検討し得ると思っていますけれども、この話と不招請勧誘の登録の話とは別の問題であって、こちらの執行強化で登録云々の話はリンクするものではないということは確認しておきたいと思います。

いずれにしましても、悪いやつらをたたくためにどんな効果的な制度ができるのか、工夫が必要だと思っています。

以上です。

○後藤座長 ありがとうございました。

よろしくお願いします。

○消費者庁山田取引対策課長 まず、こういう登録制を入れた場合の実効性についてでございますけれども、無登録業者が営業行為をしたという場合は、これはほかの法律の類例を見ても直罰の規定も置いて、警察がすぐ動けるということにはなるだろうと思いますし、私どもとしても無登録営業の実態があれば、直ちに執行のプロセスに入れるということでございますので、現在ではドアをあけた後の行為規制に頼っているわけでございまして、そこの認定に非常に時間がかかるということなのですけれども、非常に執行にとりかかるスピードが早くなりますので、被害が広がらないうちから執行ないし刑事摘発のプロセスに移行できると思っています。

2番目は管理の話でございますけれども、今日少しこの方向で検討を進めてもいいということであれば、管理のコスト、マネジメントコストについて、次にこれを議論するときまでの間にイメージを膨らませたいと思っています。東京都の山本委員とは意見交換などをしておりまして、これは消費者庁のみでできることではなくて、都道府県にも力を借りなければいけないということではあろうかと思います。

3番目の勧誘の規制の話とこの論点というのは、基本的に独立の関係にあるとは私どもも思っております。

以上でございます。

○後藤座長 ありがとうございます。

村座長代理、よろしくお願いします。

○村座長代理 悪質業者がここまで来てしまったということだと、こういうことを検討せざるを得ないのかなと私も思わざるを得ませんが、こういう参入規制をするときには制度の目的が何なのか。先ほど建設業法とか旅行業法の場合には、それぞれ参入規制をする目的があるという御意見が出たわけですけれども、こういう参入規制をするときにはどういう目的なのかということによって制度設計とかやり方は違ってくるだろうと思うので、そこのところをきちんとするというのが大事かなというふうにまず思います。

それから、いろいろな業法で参入規制をしているのですけれども、参入規制に加わらないアウトサイダーが業法に基づく規制対象になっていないものが大変多いのです。例えば金融商品取引法で無登録業者がやりたい放題やるということで、今、高齢者の被害なんかがとてもふえているわけなのですけれども、金融庁に言わせる登録業者でないからうちは関係ありませんということで、何もしてくれない。これは宅建業法や何かもみんなそうです。ですから、今、課長がおっしゃったのでちょっと私は安心なのですが、要するに無登録でやったときにも特商法では行政処分ができるんだということを明確にしていただかないと、参入規制を入れることによって特商法が尻抜けになっていくと、はっきり申し上げて警察はそう動きませんから、警察はいろいろな刑事事件を山ほど持っていますので、特商法違反だからといって現状で行政処分をやっているみたいにまめには絶対にやってくれませんし、いきなり懲役というわけにはなかなかいかないので罰金から始まるというような、繰り返せば懲役になるかもしれないけれどもというのが刑事事件の世界です。そうすると悪質業者はコスト計算しますから、何十万円の罰金だったら払えばやってもいいよねというコスト計算が十分成り立つこともありますから、アウトサイダーは刑事罰だねということは意味ないと私は思っていますので、ぜひアウトサイダーが出てきたときには行政処分できるんだと。結構重い行政処分がそれだけでもできるんだということは、絶対維持をしていただきたいと要望します。

○後藤座長 ありがとうございました。

よろしくお願いします。

○消費者庁山田取引対策課長 まず制度の目的に関しては、現在の特定商取引法の目的であるところの購入者等の利益の保護というのと、あわせて商品の流通、役務の提供の適正かつ円滑、もって国民経済の健全な発展という中で、登録制を入れるということは健全な事業者だけしかマーケットに入ってこないようにする。悪質なものは市場から退席を命じるという、その登録制を入れることでもこの目的の範囲の中では読めるのではないかと私どもは思っておりますが、なおそれは法制的に検討を深めていきたいと思います。

アウトサイダーに関して、そもそも確かにほかの業法だと登録していないやつらはうちは知らんということではねているわけですけれども、私どもまでそういうことをやると、それは消費者被害が広がるばかりですので、消費者庁は消費者に寄り添う一番最後の官庁で、最後まで寄り添い続けたいと思っています。その悩みは、御指摘のことは私どもも当然認識はしていまして、それをどういうふうにクリアするのかを今、一生懸命考えています。

○後藤座長 池本委員、どうぞ。

○池本委員 今の御発言は本当に議事録にしっかり残していただいて、大事なことでありがたいと思っています。

2点、違った観点のことを申し上げます。

1つは、先ほどの制度導入の目的との関係をどう見るかということと、そもそもこの制度を導入するのがどういう意味を持つかという両面があると思うのですが、平成20年に特商法、割販法同時改正があったときに、当時、事務局からクレジットを利用する訪問販売等の業者について登録制を導入してはどうかということが審議の過程で提案が出たことがあるのです。ただ、そのときには実は私ども弁護士会は反対したのです。それは当時、問題になったのは悪質加盟店がクレジットを利用するときに、クレジット会社が加盟店調査義務を持って排除すべきだ、そういう規定を導入すべきだという議論に対して、クレジット業界でなかなか排除と言っても難しいですよ。そういうものを義務づけられてもという、その導入について反対する議論の文脈で、むしろ行政がそういう業者を登録制の中で入り口でチェックしてもらいたいというような文脈での議論が出てきたので、それは筋が違う。むしろクレジットを利用する提携関係を結ぶときに適正に利用されるかどうか、まさにクレジット会社の責任ではないか。それを問題をすりかえるような形で登録制ということは趣旨が違うということで反対したのです。別に弁護士会が反対したからボツになったということでもないでしょうけれども、いろいろ費用対効果も含めて実現されなかったという経緯があります。今回のこの制度が何を目的とするかということを、その意味ではしっかり絞り込む必要があると思います。

先ほどの御説明の中で、会社法で何でも会社にできてしまうというところが問題だというのは、先ほど論点1で出てきました。実は私もそこが本当に一番問題かなと思っていて、それこそ1円でも会社が設立できるし、代表者というのがそれこそ名前だけ貸して全然どこかへ行ってしまう、あるいはほかの役員は住民票を出さなくても今できてしまうし、あるいはバーチャルオフィスとか、そこへ営業の実態が全くなくても登記だけできてしまう。所在を探しても全くわからない。しかし、それが法人と称してあちこちへ広告を出してやっている。都合が悪くなればまた別会社を興してそちらでやる。それが会社法で、それは経済活性化のための1つの方策で、法務省で会社法を改正してくださいと言ってもなかなかハードルは高いと思うのですが、少なくとも不特定多数の消費者に向けて積極的な営業活動を行うこの特商法の取引分野は、きちんと責任の所在が明らかになるようにしておいてもらわなければいけない。だから会社法全体が改正するのが大変だとすれば、特商法でこの特定商取引の分野の事業者は責任の所在を明らかにする。そして、不適正なことをやった人は一旦数年間市場から退場してもらう。そういうことを把握、管理する制度としてであれば、これは独自の意味があるのかなと思っています。

その意味でどういう制度設計をつくるのかということ、目的と中身ということを考えていく必要があると思います。

問題はその先なのです。先ほど課長は特商法1条の規定にあるのが目的だとおっしゃったのですが、やはり抽象的で、例えば適正な業者を残し、不適正なものは排除するという言葉だけでは、どの程度の登録要件になるかが見えないのです。もう一つ私が申し上げたいというのはここなのですが、以前、貸金業法の経験があります。貸金業法は昔から登録制をとっていたのですが、闇金業者あるいは貸金業者が従業員に登録を2つも3つもそれぞれ1人ずつとらせて、貸金業として登録しておくとスポーツ新聞だとか雑誌とかへ広告が出せるのです。要するにちゃんとこれは自治体や国が認めた業者だと。それで申し込んだら実は闇金だったとか、あるいはそこから闇金に流すとか、そういうふうにいわばお墨つき効果を与えてしまったということがあります。東京都では闇金業者の登録が山ほどあって、私たち弁護士から受任した案件が、これは闇金ですと言って連絡して、また抹消してもらったりとか、本当に収拾がつかない事態から、今は例えば登録するためには資産要件を最終的には現在5,000万円にしたり、取引主任者を置けというものもあったり、あるいは適正な業務体制を整備せよというものがあったり、そういうふうにかなり厳しいものになって、闇金による問題あるいは過剰与信、多重債務の問題が今、一段落してきているという経緯があります。

ただ、それと同じような、いわば取引の適正なものだけに絞るというのをこの訪問販売とかネット販売の世界で導入できるのか。むしろお店を持たない人が新規にこれからやろうということも入っていくとなると、そこまでをそれこそ適正な勧誘をする体制を整備して、法令遵守も全部やってというふうにハードルを高くし過ぎると監視も容易ではないし、参入もハードルが高くて、どちらにとっても余り費用対効果で十分でないということもあり得るのではないか。だとすると先ほど言った責任の所在をきちんと明らかにするということ、そして消費生活センターとか弁護士とか、この業者について契約書とか広告のところにないぞとなったらすぐ連絡をして調べていただく。登録したところと違いがあればすぐに連絡をして、そこはやめさせるとか、官民が連携して不適正なものを排除するという、ある意味では制度目的を絞り込んで、それに必要な登録要件にしていくというふうにすべきではないか。また、そうしたほうがその登録事務をやる国や自治体の業務も少し絞られていくのではないか。こんなことを考えています。

以上です。

○後藤座長 ありがとうございました。

よろしくお願いします。

○石戸谷委員長代理 大事なところだと思いますので、取引の公正の確保ということで課長から大変力強い言葉がありましたので、ぜひその方向でと思います。

金融庁の話が出ましたので、金融庁の肩を持つわけではないですけれども、かつては無登録だと何もできないと、確かにそういうことを言っていたときはありましたが、大分変わっておりまして、無登録業者の未公開株、未公開有価証券の売りつけなんかは民事効を入れたり、あるいは裁判所に対する緊急停止命令192条の規定を活用して、実際に申し立てをやってとめたりしているのです。ですので前と違っていますので、とりわけ消費者庁には頑張っていただきたい。

○後藤座長 どうもありがとうございました。

増田委員、よろしくお願いします。

○増田委員 消費生活センターの交渉の現場で、幾ら何か言われても、どうせあなたは僕たちのいる住所なんてわかるはずがないということを言われた経験がありまして、そういう意味から言うとぜひ導入していただきたいと思います。

あと、一般消費者の方から見て登録業者かどうかということがわかるような仕組みにしていただきたいと思います、例えばネット上で番号が検索できるとか、どこまで効果があるかは別として、最低限登録している。登録していると言いながら登録されていなかった場合、通知できるような仕組み。書面上、法定記載事項に必ず書かなければいけないとか、広告には載せなければいけないとかいうようなところまでやっていただくといいのかなと思いました。

○後藤座長 杤原委員、よろしくお願いします。

○杤原委員 質問も兼ねての意見ですが、先ほど池本先生がおっしゃられましたように、小売業というのは参入自由な業態であり、非常に創業しやすいという一面がございます。今回、参入規制を論点に挙げられた意図を御確認したいのですが、参入規制として、参考1で許可から届け出までが例示がされています。物によっては大量の事務手続が必要なわけでありまして、マル1手続の内容や量をどの程度と想定されておられるのかというのと、マル2登録や届け出の対象企業数をどのくらいのボリュームと想定されているのかが1点目です。事務手続によっては事業者さんにものすごい事務負担が発生するわけでありまして、費用対効果をもちろん考える必要があります。悪質事業者を市場から排除していただいて、特に高齢者の被害を防止するというのは全く異論のないところであります。しかし、何ら今まで問題を起こしていない大多数の事業者に新たな事務負担を発生させて、既存の事業者にも改めて登録を強制するのであれば、登録制度の導入に違和感のある人たちは、それを機会に廃業とか市場から出ていくという逆の作用が働く恐れがあります。なぜこういう懸念を申し上げるかというと、事業者数の約8割5分は従業員が少ない小規模事業者であり、その中で小売業を営んでいる方に全て登録しなさいということになるのであれば、物すごい混乱が起きることが十分想定されます。このため、検討材料として、手続のボリューム感と対象が何万社、あるいは何百万社になるのか、全体のボリューム感を教えていただきたいというのが質問の趣旨であります。

2点目は、経産省さんに関係するのかもしれないのですが、小売業は基本的に参入自由の世界になっていますので、WTOや経済連携協定の枠組みの中で参入規制という話を持ち出しても何ら支障がないのか、あるいは少し支障が出てくるのか、その点についても教えていただきたいということであります。

○後藤座長 よろしくお願いします。

○消費者庁山田取引対策課長 1点目のボリューム感とかそういうあたりは、先ほど野坂委員からも御指摘あったことと共通しておると思いますが、この方向でもう少し検討を進めていいということであれば、そこを検討したことをまた次回、参入規制の議論をする際にお示ししていきたいと思っております。

誤解していただきたくないのは、別に小売の規制をやるということではなくて、私どもは訪問販売と電話勧誘販売について、このような規制を考えていきたいということでございます。

通販協にも言及しておりますので、通信販売についてこのようなことを検討するかということについては、今時点では通信販売ももちろん居場所がわからないとか、そういう問題は先ほど申し上げたようにあるわけですけれども、まずはここのところは公示送達などの規定を整備するところで、かなり実態面は進むと思いますので、通信販売は非常に小規模な人たちがたくさん参入している部分でもありますし、第1回か2回のときに伊藤室長からも御議論があったように、通信販売は苦情相談件数も多いのですけれども、消費者の満足度も高いという実態もあって、そこは訪問販売、電話勧誘販売とは違うのかなと思っています。

もう一点だけ細かい話ですけれども、マルチをどうするのかという問題がございまして、マルチでも法人格を悪用して次々と違法行為を繰り返す存在がございますので、マルチについてもこれは訪問販売や電話勧誘販売の検討をしている中で、少しマルチについては考える余地があるのかなと思っています。

2番目のWTOの話は伊藤室長からお話があると思いますけれども、私どもも別にWTOとは無縁な存在であるわけでもございませんで、諸外国において小売ということではなくて訪問販売ということだと思いますけれども、先ほど申し上げたように全国的に規制をしている国が幾つかございますので、恐らくはWTO上、他国でやって認められている例があるので問題はなかろうかと思っております。

○後藤座長 ありがとうございました。

よろしくお願いします。

○経済産業省伊藤消費経済企画室長 今、山田課長から御説明があったとおりだと思いますが、制度の中身、設計の次第によっては抵触する可能性はゼロではありません。本日は、あくまで執行の強化という観点からの御提示だとは思っておりますが、今後またそのイメージを膨らませる案をお示しいただけるということでありますので、その後、検討したいと思います。

ただ、杤原委員からは単にWTOというお話でしたけれども、例えば電話勧誘などの登録のシステムみたいなことになってくると、より影響は甚大だと思いますし、それはそのまま個人情報保護法との関係がどうなのかとか、他省庁も含めて結構多くの分野で関係してきますので、慎重な制度設計、より繊細な制度設計の議論をしていかなければいけないということで、我々もしっかりと検討していきたいと思います。

○後藤座長 種々有益な御意見をありがとうございました。

慎重に制度設計をしていただくという前提のもとで、基本的に論点2についても導入の方向で御賛同いただけるということでよろしいでしょうか。

○経済産業省伊藤消費経済企画室長 1点だけ確認ですけれども、今、課長から御説明があった不招請の行為規制の話とは、セパレートで検討を深めるという前提でよろしいですか。

○後藤座長 そうですね。そこは課長からお話しいただいたとおりでよろしいと思います。

大変恐縮なのですが、私の進行の不手際で時間が足りないという状況になってきています。申しわけないのですが、15分から20分ぐらい延長してこの会議を続けさせていただくことでよろしいでしょうか。どうもありがとうございます。

それでは、論点3に移らせていただきます。資料の17ページであります。特に御異論があるとか、こういうような点は特に注意しなければいけないという点を中心に御発言いただけたらと思います。よろしくお願いいたします。

○池本委員 資料の17ページで論点3の中に4つ丸がついています。この中で私も地元などで特商法の執行を担当されている職員の方とも多少意見交換をすることがあるのですが、マル1にある立入調査に行っても、そこで責任者がまだ来ていないのでもうちょっと待ってくれとか何とかでドアを開けさせないで引っ張って、その間にいざ入ってみたら、中に行ったらいろいろな大事そうなものがシュレッダーにかかっていたとか、執行を妨害するような行為があることを聞いています。

それとマル3の密接関係者の範囲の拡大というのは、先ほどのいろいろな事例報告の中にもありましたが、1つの会社を興して、そこで全部をやるというよりは、例えば勧誘部門があって、契約書があった経理部門があって、あるいは商品の発送や苦情を受けるところとか、いろいろなものを分社化していたり、複数の会社のそれぞれの関係がわからない、そこの中のとりあえず勧誘を中心的にやっているところを立入調査するけれども、実態はそこだけではわからないということを聞いています。

報告徴収は比較的広い範囲の事業者、関係する事業者でとるけれども、立入調査というのは特に現在の条文の中でも絞られていますので、そこを現在の特定商取引をやっている訪問販売等の業者の実態に合わせて、もう一歩広げていくということは不可欠なのだろうと思います。

2番目にある従業員名簿とか関係資料というのは、登録要件の中で何か入れる話なのかというふうに思うのですけれども、ここはどう考えているのかよくわからないので留保しておきます。

○後藤座長 ほかに御意見ございますか。よろしくお願いします。

○石戸谷委員長代理 マル1なのですけれども、これも他の分野でも起こっていることで、規制緩和で多数の事業者が参入してきて、金融分野においても例えば証券取引等監視委員会が検査に行っても鍵をかけて入れさせないとか、罵声を浴びせて追い返そうとするという、ちょっと前だと信じがたいようなことが検査の過程でずっと起こっているということで、それに対して毅然と対応しなければいけないということでやっているわけでして、非公開の情報がたくさんあると思いますのでかなり参考になるのではないか。

ただ、そちらのほうは金融商品取引法で罰金のほかに懲役刑もありますので、その辺が大分違うのかなと思います。法人については2億円以下の罰金ということで、その辺の違いがあるかと思うので、そこは実態に合わせた罰則の必要があるのではないかと思います。

○後藤座長 ほかに御意見ございますか。よろしくお願いします。

○村座長代理 私も同じ意見でして、マル1については今、罰金刑しかありません。ですから結局、悪質業者から見れば何十万円、最大でも100万円払えばルールを守らなくてもいいのでしょうという話になってしまっているのかなと。ですから懲役刑を導入するとか、抑止力を強くする必要があると思うのですが、ただ、警察はそんな簡単には動けないので、行政的手続で立入検査等の妨害をした場合には事業者名の公表等もできる、行政でできるということもぜひやっていただきたい。罰則強化だけでは足りないと私は思います。

それから、マル3については今、特定継続的役務提供の関連商品の販売業者とか、業務提供誘引販売取引の販売業者とか業務の提供者とか、とても狭い格好になっておりますので、先ほどお話があったような部分、要するに今はいろいろなものをアウトソーシングするとか、分社化するというのは別に悪質業者でなくても行政機関でさえそういうことが肯定的に行われている時代になっておりますので、そういうようなものについて、別にそれが悪だからということではなくて、密接関係者で読めなかったら今、行われているビジネスモデルには対応できなくなってきている。世の中の会社のあり方が変わってきているということを踏まえて、ぜひ実質的な拡大をしていただきたいと思います。

マル4についても、マル1と同じようなことが言えるのではないかと思います。

マル2については別に参入規制とセットしなくても、これは行為規制で義務づけることが十分可能だと私は思いますので、参入規制とは別立てでマル2はぜひ検討していただいたらいいのではないかと思います。

○後藤座長 ありがとうございました。

山本委員、よろしくお願いします。

○山本明委員 先ほど立入調査のお話がありましたが、確かにかなり昨年度は立ち入りで苦労したケースがありまして、なかなか入れてくれないということがありまして、そこをどう入っていくかというのが実際の執行の担当者の腕みたいなところになっていますので、そこが何がしかもう少し仕組みとして入りやすいというか、お話だと例えば懲役刑みたいな話がありましたけれども、それがすぐ実際に執行ということにならないにしても、そういうことをバックに入っていけるようになりやすくなる方法も1つあるのかなということを少しお話を聞いて、感じたところです。

それから、密接関係者では東京都の条例をこの3月に改正いたしまして、都でも条例で行政処分ができるようになっておりますけれども、改正の際の立入調査で密接関係者の規定を入れまして、例えば事業者に対して悪質な勧誘方法を教えるような、教授するような事業者も密接関係者ということで位置づけて、そこでも立入調査ができるような形にしております。特商法もここを拡大することで、先ほど前半のところであった黒幕的な事業者のところに、そこを直接処分するのは難しいとは思うのですけれども、密接関係者の範囲を拡大することで黒幕も含めて全体像、全貌把握、明らかにすることができるようになって、場合によっては一体性が確認できれば一緒に処分ということもあろうかと思うので、この密接関係者の範囲を検討していくというのは意味があるかなと思っております。

○後藤座長 ありがとうございました。

論点3につきましても、基本的に導入に向けて検討していくということで御賛同いただいたということでよろしいでしょうか。

それでは、論点4について御意見をお願いいたします。よろしくお願いします。

○阿部委員 論点4のマル1~マル3で、特商法を超えて法律改正が必要なものとは、どういう関係になりますか。

○消費者庁山田取引対策課長 マル1、マル2は特商法に規定を置ければと思っております。

マル3に関しては特商法というよりは、ほかの法令の運用などをしっかりやってもらうようにお願いするべきことだと考えておりまして、例えばマル3であれば参考4で犯罪による収益の移転防止に関する法律というものがありまして、郵便の受け取りサービスとか、電話受付代行、転送サービス、こういうところについてはきちんと規制がかかっているわけでございますので、これの執行をしっかりやってくれということを総務省にお願いするようなことを当専門調査会の中でやっていければと思っております。

○後藤座長 よろしいですか。

ほかにございますでしょうか。村座長代理、よろしくお願いします。

○村座長代理 全面的に賛成をさせていただきます。

マル1については、今回処分されたものについては民法の公示送達の手続を使われたということですけれども、行政処分をするときに民法の公示送達の手続がマッチするのかということで、疑問に感じておられる裁判官もいないわけではないらしいということもありますし、全部裁判所をかませて、なぜ公示送達の必要性があるのか全部立証しないといけないというのも処分がおくれていくことにもなりますので、これはぜひ特商法に入れ込んでいただいて、迅速に対応していただけるようにお願いしたいと思います。

マル2も処分はしたのにネット上は出たままですということも意味がないので、マル2もぜひこれは必要なことだろうと思いますので、うまく工夫していただいて、特商法に取り込んでいただきたいと思います。

今、わけのわからない事態がいろいろたくさん起こっているのは、マル3の問題が実は背後にある。会社が1円株式会社からできるようになってしまったこともありますけれども、それに加えてマル3のような起業するときのいろいろなシステムというものがあって、それでこれらの業者たちが余りきちっと犯罪収益移転防止法等のルールを守っていない。それについての規制もいわゆる国際的なテロみたいなものはしっかりやっていらっしゃるのかもしれないのですけれども、こういう分野になるとどうも手薄になっている感じがあるので、原理原則をきちんと守っていただくように取り組んでもらいたいし、現行法で不十分なものについては見直していただくように、ぜひ働きかけていただきたいと思います。

○後藤座長 ありがとうございました。

池本委員、よろしくお願いします。

○池本委員 私もこの論点4のマル1、マル2、マル3いずれも必要性が高いという認識でいます。

そもそもマル1で言いますと、訪問販売業者が契約したときには契約書面にはちゃんと所在を書かなければいけないし、あるいは通販であれ他の取引形態であれ広告を出すときにもその事業者の所在、連絡先などが全部表示していなければいけない。そこが連絡がとれないというのはそもそも営業する資格がないわけです。それが例えば弁明の機会付与の通知が届かないから処分ができないというのは全く矛盾でして、基本の義務に違反しているものですから、もっと簡易迅速な公示送達の方法を特商法独自で定める必要性が高いのだろうと思います。

それから、そういう違反している広告が現に出ているものについては、プロバイダー側に削除要請をするという、いわば直接執行できる策ということもなければ、それを見てまた連絡をしてということが続きますから、ここも検討が必要だと思います。

マル3なのですが、先ほどは他の法令ということで、犯罪収益移転防止の観点でバーチャルオフィスの事業者に対して本人確認をちゃんとやってくださいという話がありましたけれども、私はそれだけではなくて、先ほども少し申し上げた問題意識なのですが、訪販業者、通販業者といったいわば不特定多数の者に対して一定の積極的な働きかけを行ったりする事業者というのは、責任の所在が本当にはっきりしていなければいけないわけで、バーチャルオフィスでそこに連絡しても、あるいは行っても全くわからないという状態であることそのものが実は問題なのではないか。むしろ特商法上の例えば広告表示にしろ、契約書面上の表示にしろ、その事業者の住所というものが単に登記簿上の本店所在というだけではなくて、実質的な営業本拠地を登記簿上と違う場合にはそれを表示せよというふうにして、実態が押さえられるような特商法上の表示義務というか実態に合わせるということを含めて検討していただきたいと思います。

以上です。

○後藤座長 ありがとうございました。

花井委員、よろしくお願いします。

○花井委員 論点4のことではなくて、最後にちょっと一言、言いたかったので皆さんの後のほうがいいですかね。適格団体の立場発言でしたかったものですから。

○後藤座長 今の論点のところでしょうか。では、野坂委員、よろしくお願いします。

○野坂委員 論点4について、基本的な方向は私も賛成なのですが、1~4に共通する問題として、要するにこれは執行の武器の強化の話をしているわけでありまして、当然のことながら先ほども議論になった執行体制の強化が伴わないと、幾ら武器をつくったところで看板を掲げたけれども、何もできませんとか、効率的なものができませんということでは狙いが達成されないでしょう。今日は説明されないのかもしれないけれども、今後、執行体制はこういう形でこうやります。各省庁とこういう調整をしている。特に都道府県となると総務省なのでしょうけれども、執行の手足をどう考えていらっしゃるのか。それについて説明していただきたいと思います。

また、論点2でも今後イメージを膨らめるということで、今日は基本的な方向が云々ということなのでしょうが、これでこの問題は議論しないということであるとよろしくないかなと。いわば我々は条件つきでこの方向でいいかなという雰囲気であるわけで、その条件に対する回答をしっかり示していただいて、さらに丁寧に議論をしないといけない。これは大変いろいろな事業者にかかわるところ。先ほど日商の杤原さんの質問に対しての回答を聞いていると、日商の杤原さんの質問に明確に答えていないような印象もありました。というのは、小売業者だって電話をかけたり訪問したりすることがあり得るわけで、全く関係がないわけではなくて、多くの事業者が関係する可能性があるわけです。いろいろな事業者が今どんな影響があるか非常に関心を持っている中で、とんとんと議論をしてしまうのはやや拙速であると思います。丁寧にやらないと。これだけ影響の大きいテーマを議論しているわけですから、執行の強化についても、宿題となったものについては改めて回答いただいて、議論する機会を設けていただきたいと思います。

○後藤座長 よろしくお願いします。

○消費者庁山田取引対策課長 執行の強化が必要だということは、本当に私どもも繰り返しいろいろな場でお願いをしているところでございまして、幸いにして執行体制というのは10年前に比べるとはるかに充実した体制をいただいているということでございます。

ただ、これは若干行政庁の内部のしきたりというか習いについて申し上げますと、なかなか我々体制を整備するのは機構定員要求というものをやるのですけれども、ただ単に執行当局が執行を強化させたいと言っても、ほとんどスクラップ・アンド・ビルドの世界の中では体制はふえません。どういうときに体制がふえるかというと、きちんと法改正をやったときです。そういうタイミングでどんとふえるということでございますので、やはりこれはきちんと真面目に法改正をして、ただ単にやみくもに人をふやすというわけではなくて、武器をたくさん法改正でいただいて、それでもなお必要なところで体制を強化するということで対応していきたいと思っております。

ただ単に残念ながらこの霞が関では執行の強化と叫んでも人は1人もふえないというのが正直なところでございますので、法改正をきっかけに充実させていきたいということです。

それから、先ほどの小売のところはおっしゃるとおり、裾野は広いのだろうと思います。電話勧誘販売と訪問販売と小売というのは密接に関係していると思いますし、裾野も広い話でございますので、今日少し条件つきでということで検討を深めることをお許しいただきましたので、これはこれで終わりということではなくて、登録制を初めとした参入規制について費用対効果といいますか、コストのところについてきっちり検討したものを、後日お示しをさせていただきたいと思います。

以上です。

○後藤座長 ぜひということでしょうか。よろしくお願いします。

○増田委員 相談現場で連絡がとれないとか、話し合いをしないということで、話し合いさえしなければお金を返さなくていいということで事業が進められているという現状がありますので、ぜひこれを進めていただきたいということと、ある地域の特定のビルにそういう業者が集まっているという傾向もありますので、企業の社会的責任ということからも、こういう事業者を入居させないということを進めていただきたいと思います。

たまたま小売事業者さんが電話勧誘した、あるいは訪問販売の形でたまたま被害が発生した、あるいは苦情が発生したということで御相談をいただくことがあります。そうしたときには訪問販売、特商法については十分御理解されていないケースが多いですので、消費生活センターとして法律で規制を行っていて、こうですということを御説明した上で、正常な取引していただくことがあります。たまたまそうなってしまったとしても、訪販であったり電話勧誘販売に該当する場合は御理解いただかなくてはいけないと思いますので、ぜひ消費者庁を活用して勉強していただきたいと切に思います。

○後藤座長 どうもありがとうございました。

論点4につきましても基本的な方向としては、この方向で御賛同いただいているということでよろしいでしょうか。ありがとうございます。

それでは、論点1~4以外のところで特に御発言ございますか。花井委員、よろしくお願いします。

○花井委員 時間も押している中で申しわけないのですが、今日の参考資料、一番最後、27ページに差止請求のことが少し出ておりますので、適格団体の立場から、少しお話をさせてください。

消費生活センターや個人の方からも、消費生活の相談情報というものがかなり適格団体にも入ってくるようになってきました。しかしながら、特商法に関して、差止請求につながるものはそう多くはありせん。その原因の一つとしては申出制度というものがありまして、それで行政処分にもつながっているのだと思います。また、もう一つの原因としては、広告だとか表示に関係するものがあるためではないかと思います。

申出制度のことについて申し上げますと、1つ前のページ、最後の欄の検討結果抜粋のというところに少し載っているのですが、適格団体から申出制度を使って申し出をした場合に、一般消費者からのは申し出の場合は、申し出を受けるか受けないかというのは行政庁が決めるわけなのですが、適格団体からの申し出であれば、こんな風に処分したなど、結果について報告していただく仕組みができれば、より確実に行政処分というのが、行われるのではないかと思います。 表示、広告については、27ページに差止請求の特定商取引法関係では、13件というものが挙がっているのですが、不当条項が11件と、不実告知が2件となっておりまして、誇大表示広告についてはゼロ件になっています。これは立証の問題というのがとても難しくて、なかなか差止請求にはつながっていないのが実情です。景表法4条2項の中に立証ができていないものは不実証広告規制というものがあって、それは不当ですよという条項があるようです。なので特商法の中でもそういう実証できない、合理的根拠が示せないものに対しては、不当だよということがあればうたってあれば、我々適格団体としても差止めができたり、誇大表示がなくなっていけば消費者の権利が守れるということにつながるのではないかと思って発言させていただきました。

以上です。

○後藤座長 ありがとうございました。

ただいまの御意見というのは、発言だけでよろしいということで。

○花井委員 また検討いただければと思います。

○後藤座長 よろしくお願いいたします。

それでは、時間が超過していますので、本日の執行上の課題に関する御議論につきましては、このあたりにさせていただきたいと思います。

本日の検討では、消費者庁から提案のあった執行許可に関する対応策について、基本的な方向性では1~4の全ての論点について御賛同いただいたということであります。これらにつきまして、まだ貴重な御意見がありまして、検討を深める必要があるという部分もありますので、その検討を深めるということも含めて取りまとめに向けた準備を進めていきたいと思います。

続きまして、本専門調査会における次回以降の審議について、スケジュールと論点を整理したものを資料2としてお配りさせていただいております。次回6月10日の第6回会議では、訪問販売、電話勧誘販売等の勧誘に関する問題について、第4回会議での議論を踏まえ、事業者のヒアリング等を行いながら検討を進めてまいりたいと考えております。

なお、ヒアリングを行う具体的な事業者については、現在、経済産業省の協力を得て選定を進めさせていただいております。また、6月24日の第7回会議では、インターネット通販に関する問題及びアポイントメントセールスに関する問題について検討を行いたいと考えております。

8月の取りまとめに向け、7月下旬以降のスケジュールと論点については、検討の進みぐあいも見つつ、後日お諮りさせていただきたいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。

なお、第2回会議でも御説明させていただきましたけれども、ここでお示ししている8月までの日程以外に審議状況によっては追加の審議日程を加えることがあり得ること。状況により9月以降もさらなる検討を行うことがあることを御承知おきください。よろしいでしょうか。

最後に、事務局から事務連絡をお願いいたします。


≪3.閉会≫

○金児企画官 本日も熱心な御議論をどうもありがとうございました。

本日の会議資料のうち、非公開資料については回収させていただきますので、お帰りの際、机の上またはいすの上にお残しください。

また、本日の会議内容のうち、非公開資料に係る内容につきましては、それを漏えいした場合、国家公務員法等に基づく守秘義務違反となる場合がありますので、御留意ください。

次回の会議は6月10日水曜日15時から3時間での開催を予定しておりますので、よろしくお願いいたします。

○後藤座長 時間が超過してしまって申しわけありませんでしたが、本日はこれにて閉会とさせていただきます。お忙しいところお集まりいただきまして、ありがとうございました。

(以上)