第4回 特定商取引法専門調査会 議事録

日時

2015年4月28日(火)10:00~12:00

場所

消費者委員会大会議室1

出席者

【委員】
後藤座長、阿部委員、有山委員、池本委員、沖野委員、佐々木委員、鈴木委員、杤原委員、野坂委員、花井委員、増田委員、山本(明)委員
【オブザーバー】
消費者委員会委員 石戸谷委員長代理、橋本委員
経済産業省 伊藤消費経済企画室長
国民生活センター 丹野理事
【消費者庁】
服部審議官、山田取引対策課長、加納消費者制度課長
【事務局】
黒木事務局長、井内審議官、金児企画官

議事次第

  1. 開会
  2. 訪問販売・電話勧誘販売等の勧誘に関する問題についての検討(1)
  3. 閉会

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

≪1.開会≫

○金児企画官 本日は、皆様、お忙しいところをお集まりいただき、ありがとうございます。

ただいまから「消費者委員会 第4回特定商取引法専門調査会」を開催いたします。

本日は、所用により、村座長代理、河野委員、高芝委員が御欠席との御連絡をいただいております。

配付資料の確認をさせていただきます。

資料1は消費者庁からの提出資料で、本日御議論いただく訪問販売・電話勧誘販売等の勧誘に関する問題についての資料です。

資料2は各委員からの御提出資料です。資料2-1から2-4までございます。口頭での御意見を補足する書面のほか、本日御欠席の村座長代理及び河野委員からも、その御意見を記載した書面を御提出いただいております。

資料の不足がございましたら、事務局へお願いいたします。

それでは、ここからは後藤座長に議事進行をお願いいたします。


≪2.訪問販売・電話勧誘販売等の勧誘に関する問題についての検討(1)≫

(1)消費者庁からの説明

○後藤座長 それでは、本日の議事に入らせていただきます。

本日の会議では、「訪問販売・電話勧誘販売等の勧誘に関する問題についての検討」を行いたいと思います。

まず初めに、本日の議論のたたき台として、資料1について消費者庁から御説明をいただきたいと思います。では、消費者庁からお願いいたします。

○消費者庁山田取引対策課長 資料1、横長のパワーポイントの紙をごらんください。

まず第1に、「訪問販売・電話勧誘販売に関する近年の状況」ということで、4ページをお開きください。

4ページの折れ線のグラフは、第1回の専門調査会の資料で私から御説明いたしました特定商取引に関する相談件数を示したグラフでございます。第1回目のときに、青い線の訪問販売について、近年は相談件数は横ばいないし微減であると私から御説明したところでございますが、今回、この訪問販売の内訳について詳細に分析いたしましたところ、このグラフの右側にあるように、アポイントメントセールス、キャッチセールス、SF商法と言われるものは減っているということですが、家庭訪販については、むしろこの5年でトラブルは増加傾向にあるということがわかりました。電話勧誘販売については、この5年で増加傾向ということでございます。

次に、5ページに参ります。

どういう年代の人がどれだけの金額、トラブルに巻き込まれているのかということでございまして、まず左側ですけれども、訪問販売・電話勧誘販売は、いずれも60歳以上の割合が5割を超えておりまして、ほかの類型と比べて非常に高い割合となっているということでございます。

右側の表は、訪問販売では65歳以上の既支払い額が平均金額と比べて高くなる傾向にあるというものが右側の上のグラフでございまして、2014年度では契約金額は170万円、既払い額は80万円ということです。

右下の電話勧誘販売でも、契約金額、既支払い額ともに、全体平均に比べて高齢者は高くなる傾向にございまして、2014年では契約金額は312万円、既払い額は73万円となってございます。

6ページからは、高齢者を取り巻く状況ということで、少し傍論でありますけれども、左側のグラフは、独居老人の数が今までも増えていて、今後も増えるというグラフ。

右側は、高齢者の夫婦のみの世帯というのも今後増えていくということをお示ししております。

7ページに参ります。

左側のグラフは、認知症の高齢者の数が増えていくという予想のグラフ。

右側のほうは、高齢者の世帯というのは、貯蓄が非常に多くて負債が少ないということでございます。

6ページ、7ページ、あわせて言えることは、独居の老人あるいは高齢者の夫婦のみとか、独り暮らし、2人暮らしの老人にお金がたくさんあるということでございますので、ここがターゲットになっているのではないかということをお示ししております。

8ページは、消費者の生活の平穏やプライバシーに対する意識の高まりについて、アンケート調査で示したものでございます。

これは、古くは1988年から断続的にいろいろな主体が調べておりますけれども、1988年、一番左側のグラフでは、訪問販売について「必要ない・来てほしくない」と答えた人は88.1%で、当時は訪問販売については、「便利である・来てもよい」と答えた人も7.3%いたわけでございますけれども、時代の流れに応じて、「必要ない・来てほしくない」と答える人の比率がだんだん上がってきているということでございます。

第1回目に河野委員が右から2番目の調査を消団連としてやられたものを御発表されましたけれども、消費者庁自らも3月に調査を行いました。数字としては、消団連の数字と極めて近い数字が出ておりまして、訪問販売・電話勧誘販売、それぞれ96.2%、96.4%の消費者が「必要ない・来てほしくない」ということがわかりました。

備考に書いてございますが、消団連の数字は性別の偏りが少しあるのではないかという御指摘がございましたけれども、消費者庁のほうは、性別についても補正を行いまして、年代についても補正を行いまして、地域的なところについてもバランスをとって、それで結果としてはこの数字になっているということでございます。

次に、「第2.平成20年改正の効果の検証」ということでございます。

10ページに、まず平成20年改正でどのような改正を行ったかというのが書かれておりまして、規制対象の拡大ということで、指定商品・役務制の撤廃をしました。

それから、訪問販売について、過量販売における解除権の付与というものを行いました。

それから、勧誘規制の強化ということで、勧誘応諾意思確認の努力義務と再勧誘の禁止規定の追加を行いました。

その他というところで、訪問販売協会による会員管理の強化というものをやっております。最後の点は、恐らく訪問販売協会におかれましては、その効果についてお考えがあろうかと思いますので、前者3点について、その改正の効果があったのかということを見てみました。

11ページは、指定商品・役務制の撤廃でございます。従来は執行の対象でなかった指定商品・指定役務以外の商品や役務についても、速やかな執行が行われているということでございまして、ここに挙げたのは国の執行事例でございますけれども、従来であれば被害が積み上がって、それを指定した後に初めて執行ということになっていたわけですけれども、速やかな執行ができるようになったということでございます。

12ページへ参ります。過量販売についての相談件数が平成20年改正後は減少しておりまして、こちらも一定の効果を上げているということがうかがわれるところでございます。

13ページに参ります。再勧誘禁止規定の効果というものについて、ここで分析したものでございまして、先ほど御紹介した、3月に消費者庁が行った意識調査。これ自体は、近日中には公表しようと思っております。

今日は間に合わなかったのですけれども、こちらの中で、過去5年間で訪問販売や電話勧誘販売を受けた経験があると回答した消費者に対して、その勧誘の対応について質問したところ、後日、また勧誘を受けた、勧誘を断っても勧誘を続けられたなど、再勧誘に当たると思われる行為を受けた消費者は、訪問販売では558人中238人、43%、電話勧誘販売では1,403人中522人、37%ということでございまして、再勧誘禁止の趣旨が守られているとはなかなか言いがたい実態が明らかになったのかなと思っています。

その下が販売方法と契約の帰趨に関する傾向ということでございまして、「勧誘を受けて契約をしたことがある」と回答した消費者に、その契約を振り返るとどう思うかを問うたところ、特に訪問販売に関して、再勧誘に当たる行為を受けた消費者は、全体値と比べて「契約しなければよかった」と感じる割合が高い傾向にあったということでございます。

14ページは、訪問販売の相談内容別の分類というのを見てみますと、表2-2でありますけれども、「販売方法」と「契約・解約」に分類される相談が多いということでございます。それで、訪問販売のうち、「販売方法」に関する相談に付されたキーワードは、勧誘に関する問題行為の中では「強引」というものが最も多いということでございます。それで、私ども、「強引」というキーワードに着目してみますと、平成20年改正において再勧誘禁止規制を設けたものの、その施行後も強引な勧誘の相談件数は減少していないということでございます。

最後に、図2-4のグラフは、「契約・解約」に関する相談の中でも、「販売方法」に関する相談が同時に寄せられているケースというのが大部分を占めておりまして、販売方法に問題があった場合に事後的に解約したいとの相談につながっているということがうかがわれる資料かなと思っております。

15ページは、同じことを電話勧誘販売でやったものでございまして、同じような数字が出ておりますので、説明は省略いたします。

次に、「第3.検討」ということでございます。

17ページ、1.対応の必要性、勧誘規制のあり方について。

マル1訪問販売・電話勧誘販売のいずれについても、再勧誘が多く行われている実態がうかがわれる。また、執拗な勧誘や、求められても退去しないなど、「強引」と評価される勧誘方法は相談内容の多くを占めています。

再勧誘禁止の導入趣旨は、消費者が「意に反した勧誘」を受けることを防止することにあるということですが、その目的が十分に達成されているとは言いがたいのではないかということでございます。

マル2販売方法の問題は、契約や解約に関する事後的トラブルに発展する傾向がうかがわれる。また、次のページに出てきますけれども、PI0‐NETに寄せられる相談内容の大半は、消費者自身の招請によらない飛び込み的勧誘行為や、そうした勧誘に起因する取引行為であるということでございます。

マル3勧誘を規制することによって、生活の平穏やプライバシーという利益も保護するべきなのではないかという委員意見が19ページにございます。

マル4消費者の自主的・合理的な選択の機会や消費者の自己決定権への配慮も必要なのではないかということでございまして、こうした現状に鑑みれば、勧誘の方法について、さらなる見直しをする必要があるのではないかということでございます。

18ページは、2つ数字を載せておりますけれども、上の段は国民生活センターが2007年に行った調査研究でございまして、国民生活センター相談調査部に寄せられた相談事例のうち、98.5%は不招請勧誘であったという調査研究でございます。

私どもも、東京都さんの御協力をいただきまして、3月、一月間に東京都に寄せられた相談について、招請・不招請の別の調査をお願いいたしました。そういうタグがついたものの中では、訪問販売は95.8%、電話勧誘販売は98.8%が持ち込まれた相談の中で不招請勧誘であったということでございます。

19ページは、第1回目の専門調査会で、委員から生活の平穏について言及があったものを抜き書きしてございます。

20ページは、(1)消費者基本法の理念の条文に、商品及び役務について「消費者の自主的かつ合理的な選択の機会が確保され」という表現が入っているということでございます。

この消費者基本法を受けてできているのが消費者基本計画でございまして、今年3月に閣議決定された消費者基本計画では、勧誘を受けるかどうかについては、「消費者の自己決定権の下に位置付けられるものと考えられる」という記載が盛り込まれたところでございます。

(3)は消費者の自主性でございまして、先ほど来御紹介している消費者庁の調査で自由記載欄を設けていたのですが、消費者の中には、必要なものは自ら情報を収集して買うといった意見が多く寄せられているところでございます。

21ページに参ります。2.検討の方向性ということで、採り得る選択肢を複数並べております。

最初は、(1)罰則等の強化ということでございます。現行の行為規制は見直すことをせずに、その違反に対する執行の強化や罰則の強化で対応したらどうかということでございます。

下の参考のところに書いてありますけれども、再勧誘の禁止が盛られていないということであれば、再勧誘の禁止について、現在、直罰はございませんので、そこのところを強化するとか、あるいは執行をもう少し強めたらどうかということも、採り得る選択肢としてはあり得るだろうと思っています。

22ページに参ります。(2)行為規制の拡充でございます。

現在、再勧誘禁止が守られていないのだということであれば、そこの行為規制を拡充するということでございます。現行の再勧誘禁止規制の内容というのは、「訪問販売・電話勧誘販売に係る契約の締結」を拒絶する意思表示ということで、「当該契約に関する勧誘行為」を継続し、または再度行うことを禁止するというものでございますので、マル1で、まず禁止される行為の対象について見直すということがあろうかと思います。

現行の再勧誘禁止規定は、「当該契約に関する勧誘行為」を制限するにすぎません。広く「当該事業者による全ての勧誘行為」とか、「事業者一般による全ての勧誘行為」を拒絶することまで可能にするものではございませんので、この禁止の対象を契約単位というところから事業者単位あるいは事業者一般ということで拡大する必要があるのではないかということで、規制範囲の問題でございます。

次に、マル2消費者の意思表示の方法についてということでございますが、「訪問販売・電話勧誘販売に係る契約の締結を拒絶する意思表示」をする前提として、「訪問販売・電話勧誘販売に係る契約」の内容を消費者が認識していることが必要だというのが現行の理解でございます。したがいまして、契約締結プロセスの意思表示の前提として、事業者から勧誘内容の告知を受けることが必要だということで、現行の再勧誘禁止規定は、事業者からの接触そのものを拒絶することを可能にするものとはなっておりません。

ここのところで2つ議論があると思っています。

1つ目は、生活の平穏やプライバシーを保護するためには、そもそも事業者に接触することなく勧誘に関する意思表示を認める可能性を検討する必要があるのではないか。意思表示の時点の問題と書いてございます。

それから、事業者との接触以前に意思表示をすることができず、消費者が事業者に対して、その場で直接拒絶の意思を伝える必要があるということでございますので、この問題としては、事業者に対して、直接、拒絶意思を明確に表現することが困難な消費者への対応が必要ではないかということで、拒絶意思の表示の問題がある。この点は、少し後で出てまいります。

次に、23ページ、(3)事業者の事前参入規制ということで、主体から事前チェックを行って規制遵守の蓋然性を高める可能性もあるのではないかということで、具体的な対策として、マル1事業者の参入規制、これは参入規制で許可と言っても、法文上は許可とか免許とか登録とか認定という表現があり得ると思いますけれども、そういう一般的な禁止で事前チェックをすれば解除するというやり方と、(ii)の届出制ということで、事前チェックはしないのだけれども、事後的なチェックをする場合があるという参入規制というやり方。

それから、マル2勧誘員を対象とする規制ということで、個人への許可制ないし資格制とか、研修制度の導入というものがあり得ると思いますし、マル1とマル2は独立の関係にあるわけでございますので、両方やるということも多くの業法では見られるところでございます。

次に、24ページでございます。これは、先ほど少し申し上げましたけれども、3割前後の消費者は、「なかなか断ることができない」、「全く断ることができない」という方がいらっしゃるということで、こういう方々が拒絶の意思を表明するのが困難な方々だろうと思います。先ほど来、御紹介している消費者庁の調査の中で、そういう御性格の人が実際契約した場合に、契約してよかったと思うかどうかというのをクロスで示しているものが下のところでございます。そういう御性格の人は、「契約しなければよかった」と思う比率が高いということでございます。

25ページに参ります。お示しした3つの選択肢のメリット・デメリットということでございます。

まず、(1)罰則強化ということで、メリットとしては、現行法を遵守する健全な事業者への追加負担が生じないということでございますけれども、デメリットとしては、現行法だと玄関のドアがあいた後の行為規制ということでございますので、被害者が高齢化している中では、執行の面からは違反行為の認定がなかなか難しいという問題を抱えているということでございます。それから、消費者が明確に契約拒絶の意思表示できないような場合は、ほぼできませんし、生活の平穏やプライバシーを保護することはできないという点はあろうかと思います。

(2)の行為規制の拡充は、メリットは先ほどのデメリットの裏返しですけれども、デメリットとしては、事業者の営業行為に大きな影響を与え得るということかと思います。

(3)の事前参入規制は、勧誘の問題のみならず、事業者活動を広く適正化することにはつながるというメリットはあろうかと思いますが、事業者にとっても、行政にとってもコストがかかるという問題があろうかと思います。

次に、26ページに参ります。参考ではあるのですけれども、先ほどの(2)行為規制の拡充といった場合に、具体的にどのような行為規制の枠組みがあるのだろうかということをグラデーションをつけて示しております。

(1)規制の範囲についてでございます。

マル1原則勧誘禁止、招請をされた場合は例外とするという全面禁止というやり方もあろうかと思います。これは、訪問購入とか金融商品取引法などで用いられているものでございまして、ちまたでいわゆる不招請勧誘という表現が使われた場合に、多くの事業者の方が連想されるのはこのマル1のスタイルかと思います。

マル2は、原則禁止は変わらないのだけれども、招請の場合及び勧誘を受けてもよい意思表示をした者のみを例外とするということでございます。

マル3は、原則禁止の部分が原則自由になるということでございまして、営業は原則自由に行っていいのですが、勧誘一般を受けない意思表示した者に対しては勧誘を禁止するというのがマル3のオプトアウト。

マル4のオプトアウトは、勧誘一般ではなくて、事業者ごとの具体的な拒絶が必要だという考え方で、原則自由で、特定の事業者から勧誘を受けない意思表示をした者に対して、当該事業者に対する勧誘を禁止するというもの。

マル5が当該契約ごとについての勧誘を受けない意思表示に法的効力を認めるというもので、現行の特商法の再勧誘の禁止というのはこのマル5に当たるということでございまして、マル5では、現在、意に反した勧誘を受けてしまっているという実態がありますので、このマル5をどこまで上に持っていけるのかを御議論いただきたいということでございます。

それから、(2)で意思表示の方法・時点についてということでございまして、マル1訪問販売については、ステッカーやその他の掲示による意思表示というやり方もございますし、アメリカの幾つかの自治体ではDo Not knock Registryということで、ステッカーと併用する形で消費者の意思を行政庁に登録するという仕組みもございます。

マル2電話勧誘販売は、海外では既にDo Not call Registryというのが広く行われておりますし、日本では今、民間で既に望まない電話からの着信を拒否する技術を活用した端末などが用いられておりますので、そういったものを活用する可能性があるのではないかということを書いてございます。

27ページは、営業の自由と生活の平穏・プライバシーの調整と書いてございますが、訪問販売や電話勧誘販売と生活の平穏・プライバシーの調整について示した判例というものはございません。ここに書いてあるのは、幾つか参考となり得る判例を列挙しているだけのことでございます。

28ページに参ります。「お断りステッカー」の消費者庁の解釈。これは、現行の条文に基づいて消費者庁が示した解釈ということで、ステッカーは意思表示の対象や内容、表示の主体や表示時期が必ずしも明瞭ではないため、「契約を締結しない旨」の表示には当たらないという解釈を平成21年に示しております。

留意点の最初のポツで書いてございますけれども、「ただし、消費者庁は、自治体が条例でステッカー等を用いた勧誘規制を独自に置くことを排除するものではないという立場」も示しております。

次、29ページに参ります。訪問販売においてオプトアウトを導入する条例の例ということで、熊本市と堺市の例を具体的に書いてございます。

30ページは、都道府県の条例の規定の内容ということで、47都道府県の例を書いてございます。

31ページは、外国における訪問販売規制の例ということで、アメリカ、オーストラリア、ルクセンブルクの例を挙げております。

アメリカは、連邦レベル、州レベルでは勧誘に関する規制は行っておりませんが、州の下の市役所レベルでは、かなり広くDo Not knock Registryと言われるものが用いられておりまして、確認できただけでも備考のところにある州の中にそういう自治体があるということでございます。

オーストラリアでは、消費者法の中で、勧誘員は、退去の要請があった場合は、直ちにその住居から立ち去らなければならないという規範ができていて、備考にありますように、連邦裁判所は、Do Not knockという掲示も「退去の要請」に当たるという判断を示している。結果としては、ステッカーに法的な効力が備わっているということでございます。

ルクセンブルクは、もともと訪問販売は禁止だったのですが、EU指令に国内法を合わせる形でレジストリの仕組みができておりまして、オプトアウトだということでございます。ルクセンブルクは、民事効と刑事罰の両方が課されているということでございます。

32ページに参ります。電話勧誘販売規制の例。

電話勧誘販売規制は、Do Not Call Registryが本当に広く諸外国では普及しておりまして、1ポツのようにオプトアウトでやっているところもありますけれども、2ポツのようにオプトインというところで、勧誘の同意の意思を登録した者だけに電話をかけていいという国も、ドイツ、オーストリア、デンマークという3カ国がございます。

済みません、少し長くなりましたけれども、私からの説明は以上です。

(2)意見交換

○後藤座長 ありがとうございました。

それでは、ただいまの御説明を踏まえまして、訪問販売・電話勧誘販売等の勧誘に関する問題について、特定商取引法の規制のあり方をどのように考えるか、御議論いただきたいと思います。時間としましては、1時間半程度をめどとしたいと思います。

御意見、御質問のある方は御発言をお願いいたします。阿部委員、よろしくお願いします。

○阿部委員 まず最初に1点質問なのですが、13ページの右下の電話勧誘販売のところを見ますと、訪販と比べてかなり違った調査結果となっているのではないかと思います。具体的には、「契約してよかった」と「良かったと思う場合の方が多い」のところに「断ったが」という比率が結構高い。要は、訪販に比べて、電話勧誘については、販売方法、再勧誘等々に優位的な結果が出ていないのではないでしょうか。ここはなぜこういうことになったか、後で教えてください。

あと、意見が3点でありますが、1つは、一般的な話として、高齢者、特に認知症の方に対する問題が大きいと思うのですが、成年後見制度と強力なオプトアウトを組み合わせる仕組みができるのではないかと思います。例えば成年後見ということであれば、後見人がそれに同意しないと無効になるということが可能なので、これとオプトアウトと組み合わせるような仕組みが必要ではないでしょうか。

それから、2つ目として、生活の平穏という議論になっていますけれども、実は日常生活で一番平和を乱されるのは、営業活動もありますけれども、宗教とか政治に関する勧誘みたいな話が多いわけです。こういうものを含めて、一般的にお断りという規制ができるか。これは、消費者法の話を超える議論だと思いますけれども、生活の平穏一般を守るための法律というのはあり得るかどうか。これは、学者の先生にも御意見いただきたいと思います。

また、3つ目として、中身のところでありますが、実際の消費者法対応、特商法対応に関し、20年改正の効果があったか、なかったかというのは、しっかり検証していただきたい。また、罰則は、直罰規定も含めてやればいいと思います。特に、一般的な印象ですけれども、日本の場合、経済事犯に対する制裁金とか罰金の額がかなり低いので、ここは議論の余地があるかと思います。

それから、行為規制に関し、確かにいろいろなやり方があると思うのですが、例えばお断りの意思表示について、条例のステッカーあるいは上乗せとか、海外のDo Not knock Registryが実際に効果があるのかどうか。効果がない仕組みを導入されても、真面目な事業者は守るけれども、そうでないところは今までどおりで、かえっておかしくなるということになります。実際に各条例とか外国の事案について、どこまでの効果があるのか、これは何か検証したものがあるのか、教えてください。

それから、いわゆる事前の参入規制でありますが、これは一般論として営業の自由を非常に妨げる重要な問題だと思っており、基本的には反対したいと思います。ただし、勧誘員に対する研修の義務づけみたいなことは、業界の努力として当然あるべきだと思いますし、これをもう少し広げていくということではないかと思います。そういう意味では、実際の選択肢として罰則は強化すればいいと考えます。行為規制については、本当に効果があるものは何かということをまず見きわめるところから議論していきたいということと、事前の参入規制については慎重に考えていただきたい。

以上であります。

○後藤座長 どうもありがとうございました。

今、御質問も出ておりますけれども、場合によっては意見の部分も含めて、何かありましたらよろしくお願いいたします。

○消費者庁山田取引対策課長 13ページで電話勧誘販売のところは、訪問販売と比べるときれいに出ていないというのは、おっしゃるとおりでございます。その原因は、私どももはっきりしたことはわかりません。結んでしまった契約を後から正当化するような心理が働いているのかなと思いますけれども、訪問販売のほうは正当化し得ないほどのダメージを受けた、電話勧誘販売はそれほどではなかったということではなかろうかと思います。

ほかの点については、私のほうから、成年後見との組み合わせというものはもちろんあり得る話だと思いますが、検討はまだ進んでおりません。

それから、特定商取引法はもともと訪問販売からスタートしておりますので、販売に着目した法律でございます。この射程を宗教や政治まで及ぼすということは、私どもとしては考えておりませんが、それは別途の役所なりが別の御提案をするということは、論理的にはないわけではなかろうと思いますが、その場合は信教の自由とか表現の自由に対する制約をどこまで立法で科せるのかという難しい議論があろうかと思います。

それから、条例の効果というのは、私どもも非常に知りたくて、条例でやっているところに幾つかお尋ねしたのですけれども、これは結論から言うとよくわからないという部分はあります。アメリカのように地方分権が進んだ国と比べて、日本の場合、条例でやっても警察当局はそれほど真面目に対応しないとか、執行能力の問題とか、むしろ日本で地方分権が根づいていないことによる問題なのではないかという印象を私個人としては持っております。

○後藤座長 どうもありがとうございました。

ただいま、阿部委員から多岐にわたる御意見も出ておりますので、阿部委員に対する御意見も含めて、何かございましたらお出しください。よろしくお願いいたします。池本委員、よろしくお願いします。

○池本委員 個別論点についての意見は、後でまた申し上げることとして、議論の方向性あるいは概念について、少し意見を申し上げたいと思います。資料2-2を配付していただいていますが、私は平成20年特商法改正のときの議論にも加わった者として、当時の資料を少し見直してみました。

平成19年4月3日の特定商取引小委員会の配付資料の中では、これは事務局資料ですが、不招請勧誘という言葉が非常に多義的に使われている。不招請勧誘以外を禁止するという、これが本来的な意味のオプトインだと思うのですが、そういう概念と、それから一般的拒絶者勧誘の禁止というものと個別的拒絶者勧誘の禁止。オプトアウト、断る者への勧誘禁止と言うと、この2つを含む。ところが、再勧誘の禁止と言うと、初回はオーケーということですから、接触があって個別に拒絶して勧誘禁止という3段建ての違いがあります。

それから、最近言われているDo Not CallとかDo Not knockというのは、事前に一般的に拒否する、接触する以前に拒否するという意味では、個別的拒絶者と一般的拒絶者ということを分けて議論する必要があるのだろうと思います。

そして、せっかくそういう3段階の分類があったのですが、すぐその後の4月26日の小委員会の配付資料を見ますと、不招請勧誘以外の禁止や一般的拒絶者勧誘の禁止というものの問題点と、それから個別的拒絶者勧誘の禁止という、いわゆる再勧誘の禁止、この2つを分けたレジュメになっておりまして、最後、議論の後の方向性というところでは、一般的に不招請勧誘を禁止することには問題があるが、個別的拒絶者への勧誘の禁止を導入する方向で進めるという取りまとめでした。

ということは、どうも一般的拒絶者勧誘の禁止をどうするかということが十分議論されていないで、当時の議事録も駆け足で目を通したのですが、当時は指定商品・役務制を廃止する場合に適用除外をどうするのか、範囲はどうなるのかが十分詰め切れない。そこは政令等によって対処する問題でというので、まだ前が見えないところがあったので、このオプトアウトを賛成する人もとりあえずは個別的拒絶者勧誘の禁止で推移を見守るという発言が多かったようでした。

そうであるとすれば、平成20年改正以降の実績・実態がどうなのかということを見ていって、規制効果が上がっていないとすれば、その一歩先、つまり一般的拒絶者勧誘の禁止か、あるいはさらにオプトイン、不招請勧誘以外は禁止するというところまで進むかという、不招請勧誘一般という議論ではなくて、ちゃんと段階を区別して議論すべきだと思います。

そして、先ほど事務局の説明にもありましたが、家庭訪問販売や電話勧誘販売については、減っていない、あるいは若干ふえているというところがありますし、特に断る力が低下している高齢者の高額の被害が目立つ。

後ろに別紙1として、消費生活年報、全国の消費生活センターに寄せられる苦情相談の集計ですが、その中でアンダーラインを引いてあるのが、電話勧誘販売や訪問販売を主たる勧誘手段とするものの幾つかの分野がこれだけ出ているのですが、いずれも横ばいか、あるいは若干ふえているということで、このあたりは幅広く、現在の法制度、個別的拒絶者への勧誘禁止から一歩踏み込む必要性が実態としてもあるのではないか。

あるいは、別紙2、別紙3は、個別分野について国民生活センターから注意喚起が出ているのですが、ちょっと細かい紹介をする時間はありませんが、いずれも断る力の弱い高齢者をターゲットにして被害が繰り返されているということが指摘されています。

なぜそうなのかということで、レジュメの2ページ、(3)ですが、その原因分析に関連して、国民生活センターの「不招請勧誘の規制に関する調査研究」という2007年の報告書がございました。その中では、訪問販売とか電話勧誘販売というのは、個別に接触して勧誘するという意味で販売コストが非常に高い方法である。何軒も回って、その中で勧誘開始にこぎ着けるのもなかなか限られますから、勧誘員としては、判断力が不十分で明確に拒否できなかったとか、要するに契約をさせやすい人のところへ集中することになりがちである。つまり、不招請勧誘というのは、たまたま販売員個人の属性によって生ずるというよりは、この販売方法に内在する性格、危険性があるのだという分析をされております。

だとすれば、個別的拒絶者勧誘禁止というのは、拒否できる人はよいけれども、そうでない人にとってはなかなか拒否できない。しかし、もっと翻って考えると、つい昨日も経験したのですが、事務所で仕事中に電話がかかってきて、会話が始まってしまうとなかなか切れない。何か言うと、ああ言えばこう言うで、なかなか切らせてくれない。それを訓練している人たちですから、通常人でもなかなか断り切れなくて不本意な契約に至りやすいのではないかと思っています。その意味で、大きな方向性としては、これまでの個別的な拒絶者への勧誘禁止というところから、もう一段規制を強化する方向で進めていくことが必要ではないかと考えます。

個別論点については、また後ほど。

○後藤座長 どうもありがとうございました。

沖野委員、よろしくお願いします。

○沖野委員 阿部委員が御指摘くださった生活の平穏の点について、述べたいと思います。

私は、この訪問による勧誘や電話勧誘というのは、基本的な視点は私的な生活の領域への侵襲だということを基本にすべきじゃないかと思います。それが許されるというか、許容されるというのは、確かに一方で営業の自由ということがありますけれども、非常に重要な価値ですので、営業の自由だけでは正当化されないという点は、むしろ基本だと思います。

営業の自由以外では、それを相当とする社会の意識があったということがあったり、あるいは社会的な有用性というものも無視できないということがあったと思いますけれども、それらが今や変化しているということがありまして、生活の領域というものの平穏ということが非常に重視されてきているということがありますし、社会的な有用性という点も、さまざまな取引の手法というのが確立していますので、従前とはむしろ変わっていて低下している。そこに加えてトラブルが非常に増加しており、その温床という形にもなっているという点からしますと、この基本の部分は非常に重要だと思います。

これにつきまして、阿部委員からのご指摘は、生活の平穏ということを考えるならば、販売だけではなくて、宗教とか政治等によるものにまで波及しないか、そういったことも考えなければいけないのではないかという御指摘なのではないかと思います。

しかし、それは既に山田課長から御指摘があったと思いますけれども、そもそも2つの価値の考量というときに、営業とか経済的な価値の問題と、宗教、信教関係、あるいは政治ということになりますと、国のあり方とか表現の自由の問題という価値になってきますので、それと全く同じようには論じられないというのは前提だと思いますので、ここではそういった問題もあり得るかもしれないけれども、当然にそちらに波及するものでもなく、ましてや現在の特商法の問題としては別の問題であるということで、切り離して考えていくということでいいのではないか。そのように考えられると思います。

まずは、その点について申し上げます。

○後藤座長 どうもありがとうございました。

ほかにございますでしょうか。有山委員、よろしくお願いします。

○有山委員 阿部委員への答えになっているかどうかわからないのですが、長い経験の中から言うと、訪問販売というのは、高齢者に集中的に販売されることが多いと認識しております。電話勧誘販売については、ここ数年ですが、健康食品を契約したはずでしょう、予約したはずでしょうということで高齢者に販売する電話勧誘が頻発しました。従来は、電話勧誘販売は男性に対して行われるものが多かったように記憶しております。男性は、「断らなかった自分が悪い」ということで、消費生活センターに相談に来られる時には、被害がひどい状況になってから来る方が多いです。

電話勧誘販売の多くの場合、資格講座というものが以前、横行したことがございます。職場にかかってきて、なかなか断れない。職場の周りの人からは、会社であんなに電話を長々としているのだと叱責する目を感じながら、お昼休みが終わる直前に電話がかかってきて、1時間、1時間半という中で、困って、「資料を送ってください」と言った途端に契約が成立したといわれるのが典型例なのです。

最近の御相談でも、そういう資格講座の販売業者の名簿から削除してあげる。これはよくあるパターンで、この名簿の削除ということでお金を支払ったり、それから参考書の教材を提供しますと言って、教材が一切提供されず、何度も二、三十万円のものを定期的に購入させられているという被害がひどいものがあるので、これについて、こういう問題を抱えている人を見つけて統計をとるというのは非常に難しいのではないかと思っています。

ですから、電話勧誘と訪問販売ですと、訪問販売のほうが高齢者なので、見守りする周りの介護者とか娘とか子供とか、そういう者が見ているので問題が発覚しやすいのです。電話勧誘販売については、その被害者の名簿が多分売り買いされているのだと思いますが、そういう被害者を見つけて統計をとるのはかなり困難なのではないかと思っています。

成年後見制度との組み合わせですが、私も高齢者に関しては、これを入れていく方向のほうがいいのかなと思いますけれども、現在のところ、成年後見になるまでではない高齢者、記憶力が落ちている、判断力が家族から見たら落ちているそういう高齢者を家族が見つけて被害から救済を求めるということはあると思います。ただ、制度として運用していくのがなかなか難しいので、シンプルな形でDo Not Call RegistryとかDo Not knock Registryというものを入れていっていただくほうが、効果があるのではないかと思います。

以上です。

○後藤座長 よろしくお願いします。

○佐々木委員 日本通信販売協会の佐々木です。

今、有山委員がおっしゃった内容というのは、まさに犯罪だなと私、思います。ただ、この5ページの資料を見ていただくと、電話勧誘販売における平均契約額、60代以上の場合は2014年が312万円、既契約が72万9,000円と、これは非常に大きな金額ですね。我々、一般通信販売で行っている平均単価というのは、5,000円前後です。ということは、これは例えば不動産とか金融商品というものが主体であって、いわゆる一般の通販の商品とは違うと思うのです。この中に内容が全然区別されていませんので、不動産とか金融商品というものが一緒くたに入っているように思います。

サービスもあるかもしれませんし、そういうものが含まれている中で、通販というのは1回買われた方に対する電話勧誘というのを営業行為として行っているわけですね。ただ、現行法ですと、1年以内に2回以上買った者に対する電話勧誘は適用除外ですが、過去に買った人、例えば家具とか大きなものであれば、毎年買うわけではありませんので、そういう方に営業活動として勧誘することができなくなるということは、非常に大きな制限だと思っています。そういう意味で、例えば資料請求したお客様等に対しての規制というのは、適用外にすべきではないかと思っています。

また、今、高齢者の問題、独居老人、あと、高齢夫婦の高齢者のみの世帯数がふえているということですけれども、むしろ買い物難民とか介護をしている方、介護されている方、子育ての方を含めて、通販というのは非常に大きく利用されております。そういう意味で、電話勧誘、特に高齢者の場合はインターネットのPCリテラシーが低い方もいらっしゃるので、電話が非常に重要なツールになっているわけです。例えばネットスーパーとか御用聞きとか、今、毎日来ることはないですから、電話で頼んだりするわけですね。そういうときに電話勧誘が一切できないということになると、そういう方たちの買い物が非常に大きく制限されるのではないかと思っています。

そういう意味で、少なくとも1回購入した方、もしくは資料請求した方への電話勧誘というのは認められるべきだと思いますし、この内容自身がむしろ特殊な例をあらわしているのではないかと思います。

以上です。

○後藤座長 どうもありがとうございました。

今、金額のことが出ておりまして、5ページの2014年では契約金額は約312万円、既払い額は約73万円ということですが、何か補うような御説明があればお願いしたいのですが。よろしくお願いします。

○国民生活センター丹野理事 私、手元に「消費生活年報2014」を持ってまいりました。先ほどの金額のお話を申し上げれば、金額のお話が明瞭に出ているというよりは、まずどんなものが電話勧誘販売で売られているかというお話がございました。そちらを先に申し上げれば、電話勧誘販売は、2013年度ですが、健康食品が第1位でございまして、それからインターネット接続回線、3番目に先ほどおっしゃった金融ですが、ファンド型投資商品が出てまいります。それから、4番目に商品一般と言っておりますが、身に覚えのない料金の請求や不審な電話勧誘というものが挙げられる。その次に、公社債、株です。公社債と称する勧誘をするとか、未公開株と称する取引を勧誘するというのが電話勧誘のベスト5になります。

それから、訪問販売について申し上げれば、1番目は新聞、2番目は放送サービス、3番目はインターネット接続回線、それから修理、布団、ソーラーシステム、屋根工事、塗装工事というものが続くということになります。そこをまずお話させていただきたいと思います。

○後藤座長 よろしくお願いします。

○消費者庁山田取引対策課長 そういう品目ごとの額みたいなものが簡単に調べられるかどうかということは、少し国センと相談して、できるようであればお示ししたいと思います。

○後藤座長 よろしくお願いいたします。

○鈴木委員 訪販協会の鈴木でございます。

今の点と関連するが、訪販の中の金額の大きさ等々もあるのですけれども、かなり悪質な、有山委員からもお話いただいた犯罪的な行為もあります。そもそも特商法の定義、特商法の対象外の商品・サービスなどもここに、これは除外されたことなのか。先ほど布団とか、いろいろな話がありましたけれども、ほかのもの、いわゆる特商法の定義から外れているものも、もうここに入っているのではないかという気もするのです。商材別ということになると思うのですが、それが知りたいということが1つあります。

それと、意見もよろしいですか。

○後藤座長 はい。

○鈴木委員 先ほど、いろいろなところで96%ぐらいの方が訪問販売は不要だということをおっしゃっていると思いますけれども、例えば通常、いろいろなアンケートをやりますと、訪問販売、訪問してもいいですか、されたいですか、なければいいですかと言うと、ないほうがいいと答えると我々も思うのです。例えば私たち訪販協会の会員の訪問販売、これは新聞とか車とか保険は入っておりませんけれども、年間900万件以上の御契約があるのです。そうすると、実際に96%の方が市場の訪問販売は不要とか拒絶感があるという話と、実際に制約されている件数とかなり違ってきて、これもアンケートのとり方によるものがあるのではないか。

つまり、96%の方が、確かに訪問されたくないと答えるかもしれませんけれども、それと訪問販売がだめというのとは、ちょっと違うのではないかということを思います。感情的なことじゃなくて、実際に1,000万件近いお客様が現実にいらっしゃるわけで、ある意味では非常に好感を持って継続されているお客さんも多々いらっしゃるわけなので、この結果を受けて、だから訪問販売そのもの自体が問題である、電話勧誘そのものが根本的にだめだというのとは、ちょっと違うかな。悪質な、本当に犯罪的な行為はあり得ない話なので、これと全く違うことだと思います。そういうことがあるので、全部だめだという話では全くないと思いますし、短絡なことになるのはとても困りますという感じは持ちました。

○後藤座長 野坂委員、よろしくお願いします。

○野坂委員 先ほど佐々木委員あるいは鈴木委員が指摘されたことに関連しますけれども、統計・数字をしっかり見なければいけないと思っております。私も悪質な消費者被害を防ぐためにしっかり取り組まなきゃいけないという点では、賛成しております。そのためにも、20年改正の効果をしっかり、正確に検証する必要がある。先ほど金額の話が出ました。その中にも、特商法以外のものが含まれているということ。

そして、13ページを見ていただけますか。再勧誘禁止規定の効果についてのグラフですけれども、注の説明のところに「特商法の適用除外に係るもの」が含まれていると書いてございます。要するに、特商法の適用除外のものが含まれたデータが示されていて、いわば数字がかさ上げされているデータをもとに特商法の見直しを考える。これは、論理の組み立て方に飛躍があると思います。この13ページの表で言えば、では適用除外になっているものがどれぐらい含まれているのか、示していただきたいと思います。

また、上のグラフでは赤いラインで囲ってあって、例えば訪問販売では、「そのときは帰ったが、後日また勧誘を受けた」などが238人になっていますが、一番上の「断ったらすぐに帰った」が342人で、こちらのほうが多いわけです。電話勧誘販売についても同様に、522人と囲ってありますけれども、「すぐに断った、又はすぐに電話を切った」が1,006人と、倍あるわけです。これを見ると、再勧誘禁止などの規制の強化、あるいは消費者への啓発、あるいは事業者への厳しい対応というものがそれなりに効果が出てきているとも読めるわけです。事務局、どういうふうに見ていらっしゃるのか。

また、これは単年度だけの統計です。検証ということであれば、年ごとの数字がどうなって変化してきたのか、見なければいけないと思うのです。安倍政権が最近まとめた消費者基本計画の工程表には、消費者庁の重要な政策目標として特商法の処分件数をKPIとして掲げています。これはどういうことかというと、重要業績評価指標に掲げているわけですね。まさに、本来、改正の効果を検証するならば、処分の件数がどういうふうに推移してきたのかを示すことが本丸の検証だと思うのです。

ところが、ややわかりにくい数字がいっぱい出ているわけで、肝心の処分件数の提示がない。KPIで掲げるということは、要するに現状分析があって、問題設定をして政策目標をいかに設定し、それを検証して、政策のPDCAを回すということだと思うのですが、処分件数の現状も示されていない中で、どうやって検証して新しい政策を考えるのか。特に、再勧誘禁止については直罰がないわけですね。直罰がない中で、ほかの違反とセットで処分しているのだと思うけれども、その処分の実態、どういう形で処分しているのか、有効に処分を打てているのか、打てていないのか。その執行の問題について提示していただかないと、改正の効果と言ってもなかなかわかりにくいというか、全くわからないのではないかと思うのです。

先ほど冒頭言いましたように、数字の問題、ほかの特商法の適用除外の数字も混ぜた数字をベースに、規制の強化なり、対応については特商法だけで考えるというと、なぜか非常に不均衡な感じを受けております。その点について、事務局はどう考えているのか、後で説明をいただきたいと思います。

○後藤座長 よろしくお願いします。

○消費者庁山田取引対策課長 御質問、ありがとうございます。

先ほど来、出ている件で、特商法の適用を受けているか、受けていないかによってデータを区分して示してほしいという御趣旨だったかと思います。これは、消費者の側からすると、何が特商法適用で、何が適用除外なのかということは、別にそういう意識を持って生活しているわけではございませんので、相談の契約金額のほうできちんとそういう区分けができるのかどうかというのは、済みません、少し国センなどとも相談してお示ししたいと思います。

それから、アンケート調査のほうは、なお一層、そうでございまして、相談の現場であれば相談員さんはいろいろな知識がありますけれども、アンケート調査の場合は、そのアンケート調査の回答者に適用除外かどうかというのを理解させて回答させるというのは非常に厳しゅうございますので、そういう聞き方はしていないのですが、この5年間に訪問勧誘を受けた商品・サービスの内容は何でしたかということは一応聞いておりまして、一番多いのは新聞55.2%、次がインターネット接続回線39.2%、その次が塗装工事30.5%という感じになってございます。いずれにしても、細かくは近日中にその意識調査を発表したいと思いますので、そちらで明らかになろうかと思います。

それから、執行のお話がございまして、これは第1回のときに執行の数字はお出ししているところでございます。それで、執行の数字自体はここ数年落ちておりますけれども、それは私どもの理解としては、悪質事業者の手口が巧妙化・複雑化していて、彼らとの関係で法律が対応できていないというところに問題があると思っております。このたびの改正できっちり執行できるように法律のほうの手直しをさせていただいて、その結果としてKPIでも満足な数字が今後上がるようにということを目指しております。

○後藤座長 ありがとうございます。

増田委員、よろしくお願いします。

○増田委員 資料2-1として、私どもが週末電話相談室を行っております中から事例を御紹介させていただいております。

平成20年改正後の訪問販売、特に家庭訪販に関する事例は少なくありません。消費者庁アンケートの不招請勧誘に関する回答割合とか自由意見のところからすれば、オプトイン規制をすべきであると思っております。

成年後見制度との組み合わせという御意見をいただきましたけれども、実際に一般の方が成年後見制度を利用するためには費用がかかるということから、そこのハードルがなかなか超えられなく、利用が広く行われていないというのが現状だと思います。

それから、通信販売に関しましては、1回通信販売を経験したときに、今後のメルマガとか電話勧誘などを了解しますかという確認を多くの事業者さんが行っていると思います。そこで確認がとれると思いますので、問題は余りないのではないかと思っております。

この事例を御確認いただければわかりますように、家庭訪販に関しましては、住宅リフォーム、羽毛布団、新聞、土地、これは原野商法です。それからWi‐Fiルーター等、生活に密着した商品・サービスであって、決して詐欺的なものではないものではありません。電話勧誘販売におきましても、生活に密着したものだと思います。プロバイダーとか光回線に関しましては、電気通信事業法の改正で初期契約解除が導入されるかと思いますけれども、適用除外であっても、例えば特商法の中で、氏名等の明示義務とか不招請勧誘の部分だけ適用するようなことが工夫としてできないかと、相談の現場にいて強く感じているところです。

以上です。

○後藤座長 ありがとうございました。

池本委員、よろしくお願いします。

○池本委員 池本です。

先ほど適用除外の業種・商品・役務が含まれているのではないかという指摘がありました。私の資料2-2の別紙1に引用してある消費生活年報をごらんいただきますと、電話勧誘販売・訪問販売が主たる勧誘方法でアンダーラインをつけておいたのですが、確かに御指摘のとおり、例えば7番のインターネット接続回線というと情報通信の分野、それから9番の投資商品、あるいは12番放送サービス、18番生命保険などは、それぞれの業種の適用除外に当たる可能性があると思います。

もちろん、それを語って適用除外にならないものも含まれてはいるのですが。だからといって、こういうものが含まれているから特商法で拒絶者への勧誘禁止が十分でない、一歩先へ進める、そうではないという、この結論を下す根拠にはならないのではないかということを申し上げたいと思います。

と申しますのが、特商法の26条1項8号に適用除外業種、50業種ほどありますが、これは他の法令によって購入者等の利益保護ができると認められる業種。つまり、それぞれの特別法で一定の措置を講ずることができるのだから適用除外にするという考え方です。現に平成20年改正で再勧誘の禁止が特商法に入ったのを受け、個別の業種の中にも再勧誘規制が、一挙にではないですが、順次入ってきた経緯があります。だとすれば、この特商法でまず一歩先へ進んだ規制を整備して、それを受けて、他の業種についても同等の規制を入れるべきであるというふうに議論を進めるべきではないかと思います。

以上です。

○後藤座長 野坂委員、よろしくお願いします。

○野坂委員 今の発言について確認します。

先ほど山田課長からは正確に御回答いただけなかったのですけれども、13ページなどのその他の中に、金融とか保険とか不動産とか、あるいは放送で言うとNHKとかが入っているのでしょう。入っているのかどうか確認するとともに、今、池本委員がおっしゃった資料でも、インターネット、ファンド、放送サービス、よくわかりませんけれども、ケーブルテレビとかNHKが入っていると思います。要するに、事務局としては、仮に特商法の何らかの規制の水準を上げた場合には、現在、適用除外になっているものについては同様に上げていくことになるのかどうか、そこの見解を伺いたい。

というのは、同じ消費者基本計画の工程表には、適用除外の関連法の必要な制度改正を明記しています。既にこれは3月に決めた計画ですから、消費者庁が関連省庁と特商法に関連した、現在、適用除外になっているものの見直しを含めて調整に入っていらっしゃるのか、あるいはこれからどういう方針で、今、池本委員がまさに指摘されたような51の関連のものについて、どういう対応を消費者庁として目指されていくのか、それについて説明いただかないといけないと思う。なぜなら、これはバランスがあるわけです。特商法だけずっと厳しくして、ほかはそうでないということであれば余りにも均衡を欠くわけで、そのバランスをどうとるかということの観点からいっても、ほかの適用除外の扱いについての今後の協議の方針について説明いただきたいと思います。

○後藤座長 山田課長、お願いいたします。

○消費者庁山田取引対策課長 それは、まさに消費者政策のやり方ということなので、この場でぜひ御議論いただければと思っています。やり方としては、先ほど池本先生がおっしゃられたように特商法の水準を上げるということで、それで適用除外になっているところをそれぞれの所管省庁と相談して、増田委員がおっしゃられたように、同時に上乗せ部分については適用除外から外すという方法論もあると思いますし、そこは外さずに特商法の適用の水準を上げた上で、今の26条というのは特商法と同程度の水準がほかの法律によって担保される場合ということなので、タイムラグはあるでしょうけれども、それぞれの所管の省庁において御検討いただいて措置していただくというやり方もあると思うし、両方のやり方があると思います。

○後藤座長 ありがとうございました。

沖野委員、よろしくお願いします。

○沖野委員 申しわけありません。若干時宜におくれているのですけれども、先ほど来御指摘のありました5ページの下の表の契約購入金額についてです。これが、それぞれの相談について、1件当たりの契約の金額がこのような契約なのかということでして、例えば健康食品などで1契約で312万円ということがあるのかというと想像しにくい感じですので、そのあたりも適宜補足していただければと思います。

それから、今、御指摘のあった、他の法律によって規律されているものについての適用除外の話ですけれども、なぜ適用除外になっているかというのは、池本委員がおっしゃったように、それぞれの法律によって特有の事情を勘案しながら、同等の保護が与えられているということが適用除外の根拠です。そうしますと、現行法の適用除外自体も果たして適切なのか疑問が生じます。すなわち、他法によって十分な保護が実は与えられないところもかなりあって、既に年数がたっている中で与えられていないということであるならば、適用除外自体も見直しの必要があるのではないかという問題意識もあると思います。ですの。ですので、発想として、アンバランスを放置するという話ではなくて、同等の保護というものをそれぞれの特殊性に応じながら図るというのがその考え方だと思います。

○後藤座長 ありがとうございました。

今の御質問の中の1件あたりの金額なのかという点については、何かございますでしょうか。よろしくお願いします。

○消費者庁山田取引対策課長 これは、相談が持ち込まれた、その相談ごとなので、例えば健康食品で次々送られてきたという場合は、契約自体は複数になりますけれども、額としては大きく膨らむということがあるかなと思います。

○後藤座長 ありがとうございました。

種々御意見いただいていますけれども、杤原委員、よろしくお願いします。

○杤原委員 前回、高芝先生が議論の方向性について御確認されておりましたけれども、特商法の目的と本専門委員会の議論する方向が一緒でなければならないということです。私どもの理解は、経済法規であり、刑法ではありませんので、これは法律に書いてあるとおりだと理解しております。基本的には消費者の被損害防止、購入者等の利益の保護、商品や役務の提供を適正にしようということです。消費者の保護、プラス事業の適正化ということで、当然ながら、その中には訪問販売や通信販売が含まれてくると思いますけれども、結果的には国民経済の健全な発展というのが法目的になっておりますので、そこにかなう方向で議論すべきだと思っております。

したがいまして、過度な規制の議論を先行して行うことには実は違和感を持っております。不適切な事業者や犯罪的な行為を行う事業者は、当然ながら、阿部委員がおっしゃられたように罰則を強化してでも市場から排除すべきだと思っておりますけれども、過度な規制によって排除し過ぎては法律の目的にかなわないと思っております。こういった認識のもとに立ちまして、3点ほど御質問と意見を申し上げたいと思っております。

1点目は、14ページ、15ページにPI0‐NETから引用してきた相談事例の分析が書いてありますけれども、これを都道府県別に分解していただけないかというのがお願いであります。産業界のほうも新しいビジネスモデルがどんどん出てきておりますし、百貨店でも外商等で売り上げを改めて伸ばしているところもあります。また佐々木委員や鈴木委員がおっしゃられたように、高齢者からの要請で出向いていって販売するという新しいビジネスモデルも出てきております。特に地方の疲弊した地域における買い回り品の販売。奢侈品は別ですけれども、米、みそ、しょうゆといった生活必需品を届けてほしいという御意見も当然あって、自治体の要請もあって販売に出向いている、あるいは注文や御用聞きに行く、行商に行くというビジネスモデルも出てきています。

ただ、地方にいる高齢者というのは、都会から比べて一段と高齢化が進んでおりますので、いずれお亡くなりになる時期が来ます。逆に都市部の独居老人・高齢者の比率がこれから5年後、10年後、高まっていくわけでありまして、その人たちの生活をどう支えていくのかということが課題として出てくると思います。地域特性というものが必ずビジネスモデルの裏側に隠れておりますので、都道府県別に見て、どういう状況にあるのか、新しいビジネスモデルの芽を摘まないように、来てほしいという消費者の方のニーズを摘まないような形でのデータの分析が必要なのではないかというのがまず1点目であります。

それから、2点目は、PI0‐NETの話です。先ほど来、特商法の対象外の相談が入っているのではないかという、これは第1回のときからの問題提起かと思っておりますが、PI0‐NETに蓄積されている相談の中身が、解決できているのか、結果的に法律のすき間があって解決できないのかというところを教えてほしいということです。第1回目のときからお願いしていますけれども、なかなか出てきません。先ほど来、ほかの法律で処理されているものであれば特商法の対象にしないという、委員の御発言がありますけれども、そもそもPI0‐NETの相談の最終的に行き着いたところに法律のすき間があるのかないのかというのをきちんと教えていただかないと、法改正への議論には進まないのではないかと思います。

実は、この裏側に業界団体さんの対応がございまして、PI0‐NETの相談の中で、例えば訪販協さんや通販協さんの会員の方が相談対象になっている事実があるのではないかと思っております。非公開かもしれませんけれども、もし業界の会員さんの中であれば、適正な指導とかガイドラインを徹底していただくことで解決できる問題が、法規制を強化する前にあるのではないかと思っております。それから、都道府県さん、市町村さん、消費生活センターさん等の相談体制を強化することで解決できる問題もあるのではないかと理解しておりまして、相談を受けた後の処理の実態を教えていただきたいということであります。

それから、3点目ですけれども、規制強化の対象となる当事者から、私どもは御意見を聞いておりません。訪問販売や通信販売のほかにも、電話や訪問で販売されている業界の方がおられると思いますし、それから高齢者の方の被害を防止するのは是とするところでありますけれども、高齢者の中にも、認知症の方ときちんと御判断できる方と二通りありますので、高齢者だからと一括りにして被害防止という御意見は、ちょっと乱暴ではないかと思っております。

基本計画の中にもありますけれども、自立できている消費者の高齢者なのか、認知症の方等で自立できない高齢者を救ってあげるのか、高齢者の中でも2種類あるということで、この辺は医師会さん等が深く研究されておられますので、認知症の方の消費行動のパターンみたいなものをヒアリングのときにぜひ聞いていただければいいのではないかと思っております。
いずれにしても、規制対象となる当事者からきちんと意見を聞くべきであるというのが意見でございます。

以上でございます。

○後藤座長 ありがとうございました。

花井委員、よろしくお願いいたします。

○花井委員 お願いします。先ほど地域柄ということが話題となりました、私は岐阜で消費生活センターの相談員をしておりますので、少しお話しさせていただきたいと思います。

先ほど杤原委員が言われたように、岐阜県でも、高齢者あるいは御身体の不自由な方がコンビニなどで注文して配達してもらっているという実態はあります。しかし、一方で、岐阜県は持ち家率が県別で全国5位、73.9%ということで、家に対する愛着といいますか、思いがすごく強いようです。その上に、今までは大手企業の下請などで事業展開していた零細事業者が、仕事の発注が減ってきたため、これまでやっていなかった飛び込み営業をやるようになってしまったようです。そういう状況にも拘らず、その方々に、法律の主旨がうまく行き渡っていないため、契約書面の交付やクーリングオフの記載などが守られておらず、トラブルになっているという事例がすごくたくさんあります。

一例を紹介しますと、民生委員から突然電話がかかってきて、「担当のおばあちゃんのところに壁を塗っている業者がいるので帰ってもらった。その業者は、もうお金はいいよと帰ったけれども、これでいいですか」という相談でした。消費生活センターとしては、契約当事者のおばあちゃんの意思がわからないので、電話をかわってもらってお話を伺ったところ、最初に床下の工事をやってもらい、それは自分として満足している。ただ、次に塗装もどうですかと言われて断れなかった。どうして断れなかった。怖かった。今日も民生委員の方が断ってくれたけれども、また電話で何か言われたり、勝手に工事をされてしまうと困る」と、すごく不安におびえて話されたのです。

消費生活センターで相談を受けていると、認知とかの症状がある方でなくても、一般の高齢者の方でも、断りたくても、うまく断れず困っている実態があることを、しっかり認識していただきたいと思います。また、電話勧誘に関しても、断り切れずに返事をしてしまったり、これで終わりだからと言われて次々に契約してしまう実態があります。消費生活センターとしては、電話で断れないなら電話線を抜いてくださいと言うしかないのです。高齢者の方だけでなく、成人男性の方でも、先ほど有山委員が言われたような資格商法で断り切れず、次々と契約してしまうという事例が多々あります。そういうことも考えると、営業の自由ももちろんあるとは思いますが、不招請勧誘を禁止するという方向で、考えていただきたいなと思います。

少し弁護士から聞いたことですが、営業の自由に対しては、憲法22条に公共の福祉に反しない限りということがうたってあるそうです。その事を考慮すると、不招請勧誘を禁止することは、とても重要な事であり、十分議論する必要があると思います。

○後藤座長 有山委員、よろしくお願いします。

○有山委員 私は、来訪要請、訪問販売してくださいと言って、みずからお電話をかけて訪問することについてとか、通信販売についても、日常品を御購入なさるような方については、別に規制を加えようとは考えておりません。ただ、電話勧誘販売でも、私どものほうに相談を寄せられているもので、羽毛布団が148万円とか、肌かけ布団が93万円とか、1回の契約が400万円で、これを払うために生命保険を解約しようと考えているというものがあります。こういうひどいですねと誰でも感じるようなものについて、それを繰り返し断れずにいる方に対して、勧誘されないで済むような何らかの簡単なシステムをつくっていただきたいと思っています。

先ほどのリフォームもそうですし、私どもの中では改築工事とか、そういうものの飛び込みの現場に行ってみたこともあります。小さなお家の塗装工事だというのにマスキングもせず、全てのものをただ吹きつけて終わりみたいな工事に300万円もする。そういうものについて、相談者が警察に相談をしても、ひどいねと言っても取り締まってくれないという事実はあります。確かに警察のほうも民事のものは入りにくいと思うのですね。センターに寄せられる御相談というのは、ごく一部のものなのですけれども、それでも断りたいという意思がある方の意思を何とか尊重するような不招請勧誘というものを考えていただきたいと思います。

真っ当な事業者さんが営業利益を生むことについて、私たちは何を言っているわけでもなく、境界のぎりぎりの非常にひどい販売について、特商法は有効な法律なので、何とか勧誘を断るシステムをつくっていただきたいと思っています。

○後藤座長 ありがとうございました。

議論がたくさん出ておりまして、事実に関する問題について種々御意見いただいている状況だと思います。事実の問題は非常に重要ですが、本日の進行として、今までの議論を反映させる形で具体的に対応するとしたら、どのような対応があり得るのかというところを議論しておかないと、次の議論につながらないということになるのではないかと思います。

ですので、今までの御議論を踏まえていただいた上で、対応するとすれば、こういう対応があり得るということについて、先ほど消費者庁のほうから種々御説明いただきましたので、そのことについての御質問や御意見をいただきたいと思います。資料で言いますと17ページ以下の問題でありますけれども、皆様の問題意識をそこに反映させる形で議論していただいたほうが、本日の進め方としては生産的だろうと考えますので、そういう方向でお願いできたらと思います。

野坂委員、よろしくお願いします。

○野坂委員 座長からそういう指示でありますが、前段の効果の検証が十分な回答をいただいていないということ。また、杤原委員がおっしゃったように、関連する業界のヒアリングなり、さまざまな関連するヒアリングが終わっていない段階で対応云々というのは、本来、順番が逆だろうと思っております。ただ、御指示ですから、本来は正確なことが言いにくい、条件がそろっていないけれども、意見を申したいと思います。

○後藤座長 ぜひお願いします。

○野坂委員 まず、17ページの先ほども出ていた生活の平穏権であります。これは山田課長がおっしゃったように、生活の平穏権と特商法を結びつけた判例はないわけであります。その関係で、資料では27ページに参考がついております。反戦ビラ配りの最高裁判決。この判決で有罪とされた事案というのは、共産党のビラを配るために自衛隊、防衛庁の管理する集合住宅に立ち入って、ドアのポストに入れていた男が住民に110番通報されて逮捕されたというものであります。政治ビラの配布行為に刑事罰を科すことが表現の自由を保障した憲法に違反するかどうかが裁判の焦点になったわけであります。

したがって、普通の事業者が営業活動として普通の家を訪ねる訪問販売と、どこが関連するのでしょうか。この最高裁判決の事案というのは、非常に政治的で特殊なものです。これを特商法の論議に結びつけるのは、いささか論理に飛躍があると思います。

また、2番目についている最高裁の裁判官補足意見は、地下鉄の列車内における商業宣伝の放送についての話でありまして、これも訪問販売と直接リンクするものではないと思うのです。しかもこれは判決そのものではなくて、一裁判官の補足意見であります。つまり、国民にとって平穏権がどうだということは、まだ確立されたものではないわけであります。

先ほど判例がないと山田課長も繰り返しおっしゃっていましたけれども、要するに平穏権というのは憲法で考える大きな大きなテーマだと思っております。その議論が決着して、国民の間に平穏権をどう考えるか、国民的な合意が形成された後であれば、特商法の俎上に乗せて議論するのは妥当だと思っておりますけれども、個別業法である特商法が憲法の議論に先立って、大きなテーマである平穏権を議論するのは、いささかハードルが高過ぎるし、皆さん、専門家なのでしょうけれども、ちょっと荷が重過ぎる。我々特商法の世界で議論するには、荷が重過ぎるテーマだと思っております。しかも、口頭では山田課長、説明されましたけれども、訪問販売なりと平穏権を結びつけた判決がないということをこの資料には書いていないわけです。大変不親切な資料だと思っております。

それで、選択肢ですが、前提がそろっていない中で選択肢を論評するのはちょっと早いと思うのですが、今の段階で言えることを言いたいと思います。先ほど阿部委員がおっしゃったように、まず第1の罰則強化は大変重要な視点です。悪い業者に厳罰を科す。これは当然であります。今、再勧誘禁止に刑事罰がないわけですが、ここに刑事罰を入れる。あるいは、威迫・困惑などのほかの違反の刑事罰の強化、罰金の大幅引き上げといったことで悪質業者を封じ込める、あるいは市場から退場させるということは大変重要な視点だと思うので、これはぜひ検討すべきと考えております。

続いて、2番目の行為規制の拡充。これを検討する際に大事なのは、悪質業者をピンポイントでたたくことだと思います。悪質業者と健全業者を一網打尽に過剰規制すべきではありません。当然、消費者保護と営業の自由のバランスが大前提になる。先ほど杤原委員が言ったことに私は賛成します。そう考えると、事務局の説明はまだよくわかりませんが、ほぼ一律に訪問販売ができなくなるようなステッカー方式などのオプトアウト型の不招請勧誘禁止には反対です。訪問販売協会の説明、以前、1回目だったと思いますけれども、地方では特に女性たちが販売員として活躍して地域コミュニティを支えている。いわばお年寄りたちを地域で見守る役割を担っている。

安倍政権は、経済政策、アベノミクスで経済再生とか地方創生、雇用拡大、女性重視、中小・ベンチャー企業の育成を大きな柱に掲げて推進しています。ところが、このオプトアウト型の不招請勧誘禁止は、多くの健全事業者の営業に悪影響を与えて経済が萎縮してしまいます。ベンチャー企業の育成を図ろうという旗印を掲げている一方で、新規事業を立ち上げたベンチャー企業が訪問販売もできなければ電話もかけられない。それでは、B to Cビジネスの道を閉ざされてしまう、断ち切られてしまうのではないかと懸念しております。

この資料にもありましたけれども、消費者基本計画は、事業者の営業活動の機会を確保しつつと書いてあります。また、昨年決めた成長戦略、日本再興戦略では、「活力ある日本の復活」に向けて「挑戦する心」を取り戻し、国はこれをサポートするためにビジネス環境を整備すると明示しています。また、地域に根ざした中堅・中小企業・小規模事業者の挑戦によって、特色ある産業が全国津々浦々に育成されて地域経済を引っ張るとも言っています。

政府一丸となって取り組んでいる成長戦略、雇用拡大あるいはベンチャー育成といった政策に対して、消費者庁は正反対、矛盾する政策を目指すのでしょうか。安倍首相も驚くのではないかと思いますけれども、成長戦略との整合性をどう考えて、今、臨まれているのか、基本的なポジションを説明していただかないと、この議論は進まないと思います。

また、最後についている外国の事例です。これにも大変疑問点があります。私は、アメリカにかつて長く滞在したことがあって、生活経験がありますけれども、アメリカでは国土が広いし、拳銃の所持などの治安の問題もあって、訪問販売はそんなに普及しておりません。国土が狭くて安全で、昔から訪問販売などが定着している日本とは国柄が全く違うわけです。そういう国柄が違うことを全く考慮せずに、海外事例をあたかもグローバルスタンダードであるかのように取り上げるのではなくて、日本の国情に合わせた検討が必要だと思っています。

しかも、この資料にはうまく書いてあるのですが、不備があります。先ほど口頭では、山田課長、言っていましたけれども、例えばアメリカでは、連邦レベルではなくて州レベルではない。要するに、州の一部の市で導入されているということですけれども、先ほどかなり広くというアバウトな表現でした。これはどれぐらいの市で、いつから導入されて、どういう効果があるのか、しっかり示すべきだと思います。

また、電話勧誘の電話の登録については、イギリスでは電話を登録した家庭に対して、かえっていろいろなセールスの電話がかかっているという話を聞いております。情報の管理の不備があったのでしょう。悪質業者をむしろ呼び込んで、逆効果だったということも聞いております。諸外国の漏えい防止策の実態と限界を示していただかないと、この制度がよいのか悪いのか検討できないでしょう。日本では今、個人情報の保護が非常に厳格になっています。その中で、こういった登録制度で情報管理が果たしてしっかりできるのかどうか、現時点では全くわかりません。外国で導入されているからというだけの説明では、説得力を欠いていると思います。

選択肢の(3)、これはちょっと様子がわかりませんけれども、事前の参入規制。アウトサイダーを排除するということで、効果があるならば検討の余地があるかなと私は思っています。

いずれにしても、前段の効果の検証ができていない、ヒアリングも終わっていない段階で対応云々を細かに考えるのは、時期尚早だと思います。

以上です。

○後藤座長 どうもありがとうございました。

今、私の進行に若干誤解があるのではないかと思いますので、少し申し上げさせていただきますけれども、勧誘の問題については、今日で完結するということではなくて、まだこれに引き続いて議論することがもちろん可能であるわけですし、本日の議論を踏まえて、再度議論するということでありますが、本日配付していただいた資料の中の前半にのみ本日の議論が偏ると、次に取り扱うところの資料の準備とか、あるいは皆様の御議論の予定とか、そういうことに資料の半分が反映されないことになりますので、そういう意味で進行をこちらで整えさせていただいたということでありまして、御意見いただいたところを無視して後半に入っているということではありません。

そういう意味で、先ほど来議論していただいたことは、次の何回目かの勧誘についての議論でそれを踏まえて議論していくということでありまして、今、野坂委員からも、例えば議論するとするならば、先ほどの26ページのマル3のオプトアウトの仕方であれば検討の余地ありというお話もありましたが、その辺のところの手がかりが全くないと、今度扱うときに議論する手がかりがつかめないということもあって、こういう進行をとらせていただいております。どうも不手際で申しわけないと思っておりますが、御理解いただけたらありがたいと思います。そういうことでよろしいでしょうか。

阿部委員、よろしくお願いします。

○阿部委員 さらに議論があるという前提で、26ページの行為規制の枠組みについては、先ほど申しましたけれども、具体的に何をすれば効果があるのか、この検証がないままに規制を強化することについて反対です。そのあたりが定かでないのであれば、禁止の範囲についても、現状から出発して、少しずつ進んでいくしかないのかなと思っております。上のほうで現状はマル5だということで書いてあるとすれば、いきなりマル3とかマル2とかマル1という話はないので、効果がはっきりしないことについて、さらに何かしなければいけないというときには、少しずつ広げていくことしかできないと思います。そういう意味では、何をすれば実効的な措置となるのかということについては、国内外を含めてきちんと整理していただきたいと思います。

以上であります。

○後藤座長 ありがとうございました。

増田委員、先によろしくお願いします。

○増田委員 申しわけありません。不招請勧誘に関しまして、事業者さんのほうからも、来てほしいと言われた場合には、当然販売するという御意見も幾つか聞こえてきたと思いますのでお伝えしますが、そういう要請があった場合については、当然訪問していいと考えます。私は少なくともマル2にしていただきたいと思います。

それから、今、野坂委員のほうからの御意見の中で、地方の女性の活躍ということから、あるいは安倍政権というお話もありましたけれども、見守りということからすれば、信頼関係が構築された上で初めて見守りということが実現されるわけなので、消費者契約法の会議でも申し上げましたけれども、いきなり訪問してきた方に見守っていただきたくないと一般の国民は思っております。地域に密着した方々、既に契約関係があって信頼関係が構築されている事業者さんに見守りの活動を手伝っていただきたいということが基本だと思いますので、その辺の取り違えということがないようにお願いしたいと思います。

○後藤座長 ありがとうございました。

沖野委員、よろしくお願いします。

○沖野委員 余り抽象論をやってもいけないと思うのですけれども、野坂委員から御指摘がありましたので、27ページの平穏の問題について、一言だけまずは申し上げたいと思います。

憲法の問題ですし、これ以上どうこうという議論をさらに展開してもらいたいということではないのですけれども、この判例を見ますと、1つ目の判例は政治ビラの配布の話です。政治的な活動の話は、表現の自由という非常に重いと考えられているものに関わります。ですので、そのような重いと評価されるものであってさえもということがあろうかと思います。また、行為としてはビラの配布というものです。ですから、もし訪問販売等に引き直して捉えていくならば、チラシを配布するとか郵便受けに入れるというタイプのものです。これに対して、現在この検討において問題となっているのはそうではなく、電話勧誘も含めて、直接の対人的なものであって、応対を余儀なくされるようものですね。そういった点では、ビラを配布するという行為よりもずっとより問題の多い取引というか、方法だと考えております。

それから、「とらわれの聴衆」という話も、意に反してそれを聞かされるということですが、この例は地下鉄ということで、公共の場ですね。しかし、この現在の検討で問題となっているのは、生活とか職場とかの空間です。それ以上逃げられないという場に侵入的な対応を迫る形で勧誘が行われ、それに応対を余儀なくされる。その応対の中で断り切れないという状態が出てくるという問題ですので、むしろ一層問題は多いと考えております。

それが補足ですけれども、それ以外に3点、申し上げたいことがあります。

阿部委員がご指摘になった、十分効果はあるのか、その検証が必要という点です。検証の手がかりとしては、条例の話とか外国の話がありますけれども、その一方で、今回問題になっている事項についてはやってみないとわからないということがあります。これから新しいものを入れるときに効果の検証は必要ですけれども、一方では、実際やってみて、どんな効果があるのかということは、これは社会実験がなかなかできないようなタイプのものですので、その点を勘案する必要があると思います。

それから、26ページのマル1からマル5で、現行法がマル5だから、せいぜいマル4ですという御指摘もあって、これも阿部委員の御指摘だったのですけれども、マル4などは、むしろ私はこれをどのように実効性がある形でできるのかということを疑問に思っております。特定の事業者からの勧誘を受けない意思表示をするというのは、特定の事業者というのを選別できて、ここだけはやめてほしいという情報を十分持っていて、そして、それを選択するという消費者像ですけれども、そういうことが実効性があるのだろうかということを考えますと、むしろマル3より上が実効性のあるような規律として検討対象になってくるのではないかと考えております。

そういたしますと、例えばマル3で勧誘一般を受けない意思表示をした者に対して、この意思表示をいかに確実に明らかな形でできるかというのは、具体的な方法等の問題なのですけれども、そういうやり方での勧誘方法はもうやめてもらいたいということを明確にしている消費者に対して、なお、嫌だと言われている方法で勧誘することが、本当に新しいビジネスモデルにとって必要なのでしょうか。先ほどから出ている話では、むしろ要請があるような場合については、もちろん要請があって行くということは問題視していないわけです。それに対して、明らかに拒絶する旨の意思を表示されているのに、なお、そこに一歩突っ込んでいくということが本当に必要なのでしょうか。その点について補足していただければと思いますが。

○後藤座長 はい。

○鈴木委員 要請があればという話ですけれども、要請をする人たち、訪問販売なり電話勧誘で既存のお客様になった方の最初の段階では当然初めてなわけで、そういう出会いがあってのことなのです。例えば、それがそこからだめだといったら、そもそも訪問販売なり電話勧誘がスタートできなくなるわけで、要請がある方はそれこそ大勢いらっしゃいます。でも、その方たちも最初は要請がなかったわけで、そういう出会いがあるわけです。

先ほど来、特に増田委員のお話、とても私、よくわかります。事例もよくわかって、大変問題だし、皆さんのおっしゃることは全く問題なのですけれども、それは悪質な勧誘方法に問題があるわけであって、訪問販売とか電話勧誘そのものの問題ではないように思うのです。店舗だって、同じようにしつこい販売もあれば、高額の販売もあるわけだから、勧誘の方法に問題がある。特に高齢者に対してあるのであれば、そこの部分をしっかりとシャットアウトしていくために何をするかという議論が中心だと思います。

あと、生活のプライバシー云々と、またちょっと違う。一番はそこにあるだろうと思うのですけれども、そのときにそもそも最初の段階から入れなくなればいいのではないかということ自体が、そうすると、もともと要請する人たちだって最初の出会いはもちろんあるわけなので、それが営業の活動であるということ以前に、消費者にとっても情報を取ったり、商品を購入する権利といった選択肢であるわけですね。だから、悪質なものがあるから、そこと一緒にしていくということは、ちょっと違うと私は思います。

○後藤座長 よろしくお願いします。

○沖野委員 申しわけございません。要請があればという話なのですけれども、私がお伺いしたかったのは、むしろそういう方法はやめていただきたいということを一般的にも表示している場合にあっても、そこに一歩踏み込んでいく場合です。

○鈴木委員 そういう方法というのは、例えばどういうことですか。悪質なやり方ということですか。訪問そのものということ。

○沖野委員 訪問とか電話の勧誘に対しては、私に対しては一切していただきたくないということを明確に意思表示している。まだ1回も取引がない中で、それが事業者の方にわかる。そういう家庭に例えば訪問するとか電話するということを、ビジネスモデルとして推進していかなければいけないのでしょうか。

○鈴木委員 とても明確な理由と意思表示がしっかりできるかどうかということがあると思います。例えばステッカー的なもので個々の人たちの意思表示が本当に明確にできるか、できているのかということに対しては、ちょっと私、疑問を持つのです。完全にそれが伝わるような内容で、こういうやり方は困ります。それに対して、明らかに拒否しますということであれば、ステッカーを張るとか何とかじゃなしに、そういう意思を表示されたらどうなのか。そういうものでしないで、対面できるわけで、そこでしっかり意思表示をすればよろしいのではないか。そういう方に対して失礼なことがあっては絶対にいけないと思いますし、何もステッカーとか何とかという表示を前面に出す必要はなくて、意思表示をしっかりしていただければ、それでよろしいのではないかと思います。

○後藤座長 よろしくお願いします。

○池本委員 池本です。

26ページの選択肢を前提に少し意見を述べたいのですが、私自身もこれでと決め打ちできているわけではないのですが、先ほど来の議論の中で、営業の自由か住居の平穏かという、いずれか一方の選択、100かゼロかという話というのは、どうもマル1の全面禁止とマル5の現行法どおりという議論のように聞こえてしまいます。例えば、このマル3あたりになっていくと、住居の平穏という全ての者が持っている利益と、私は勧誘は受けたくないということを何らかの方法で、しかも現行法の個別事業者に対して、個別に意思表示を対面でしたとか、電話がかかってきて拒絶したというのではなくて、もっと一般的に、意思表示をした場合には、もうそれ以上接触しないでくれということだから、まさに意思の尊重という、もっと大きな価値が含まれているものではないか。

先ほど諸外国の法制度の話がありました。これは、何もグローバルスタンダードだから入れろという意味ではなくて、制度設計のヒントとして貴重だと思うのですね。例えばDo Not Call制度というのも、拒否している人の一覧表を事業者に渡して、ここにはかけないようにとやったら、それこそカモリストを渡すようなことになってしまいますから、とんでもない。国によっては、電話をかけたい名簿を機関へ提出すると、拒否者分が自動的にはじかれて返される。つまり、拒否登録した人の電話番号は誰だというのを特定しない形で返送するというやり方があると聞いています。

その意味では、具体的にもしこれをやるとすれば、こういう制度設計が考えられるというのを諸外国の例をヒントに事務局から提示していただいて、その上で、先ほどもとの基本の価値判断と今のトラブルの実態の中で、どこまで踏み込むかという議論が必要ではないかと思います。

同じように、地域社会の中で平穏に営まれているもので、消費者の利益を損なわないと認められるものについての適用除外というのも、現行法にもヒントはあるのですね。その意味では、それが取引態様になるのか、金額になるのか、どういう線引きによって枠づけをすれば、その地域で問題なく行われているものは除外しつつ、問題が起きそうなところについては、きちんと新しい分類の中に置くことになるのか。具体案の知恵出しをしながら、基本の価値判断とのバランスを考えていくというふうに議論を進めるべきであろうと思います。その意味で、私はマル3かマル2か。マル2とマル1の違いがよく見えないのですが、具体的な制度設計論の中で最後は見きわめていくことになるのかもしれません。

以上です。

○後藤座長 よろしくお願いします。

○佐々木委員 平成20年の改正のときに電子広告メール、メール広告のオプトイン規制をしましたけれども、実際には海外のサーバーを介したメールというのは一向に減っていないわけです。だから、そういう意味では悪質な事業者はある方法を持ってきてやってしまうのが実際だと思います。だから、そのために通常の事業者の営業活動をかなり制限するというのは、一般の経済活動に大きな影響を与えるのではないかと思います。特に先ほど申し上げました、例えば過去に購入した方への勧誘、はっきりした意思表示をしていないかもしれませんけれども、明らかに購入の興味がおありになる方に対しての電話も原則禁止ということになってしまいますから、資料請求を含めて、そういうこともできなくなってしまうのではないかと思います。

実は、私の母は92歳で東京の郊外の一戸建てに住んでいまして、そういう意味では電話勧誘とか、いろいろあるのですけれども、市が実施している電話設備がありまして、システムとして、電話がかかってくると音声自動応答で、これはオレオレ詐欺を防止するということだと思うのですけれども、この電話は録音されますと言って、それからつながるようになっているのです。仕組みとしての方法というのは幾らでもあると思うのです。そういう意味では、例えば電話勧誘をお断りしますとか、そこで入れておけば、はっきりした意思表示になるわけであって、仕組みとしてもうちょっといろいろなことを考えられるのではないかと思います。

○後藤座長 どうもありがとうございました。

具体的に、マル1からマル5までのうちですと、どれがよいというお考えというのはございますでしょうか。

○佐々木委員 規制という意味では、オプトインであれ、オプトアウトであれ、私は同じだと思っているのです。そういう意味では、通常の営業活動の中で活動できるのであれば、強いて言えばマル4からマル5と思っておりますけれども、原則、通常の事業者が営業活動できないような仕組みはつくるべきではないと思っております。

○後藤座長 ありがとうございました。

増田委員、よろしくお願いします。

○増田委員 特定の事業者からの勧誘のみを拒否するということになると、その事業者と過去に接触したという経験がない限りは難しいかと思います。まさに断り切れない方のトラブルが多いということもありますので、そういう意味から言えば、少なくとも私はマル2だと考えております。お断りステッカーというものが明確な意思表示以外の何物でもないと思います。それをかいくぐって訪問するにはどれだけの理由があるのかということが問題だと思いますし、それから実際に契約した後、満足したというケースの中でも、契約したことで悪いことはなかったというだけのことであって、実際にそれが本当の意味で効果のある商品・サービスだったのか、真実、適切な価格あるいは適切な工事内容だったのかというところとは、また別の問題があるかと思います。

もう一つ、私どもの提供した事例の中で、悪質な行為がある販売方法のほうが問題ではないかという御指摘がありました。まさしくそのとおりなのですけれども、それが起こりがちな勧誘方法として、家庭訪販及び電話勧誘があるということをお示ししたということです。店舗販売においてもそういうことがありますけれども、割合としては少ないと考えております。

○後藤座長 どうもありがとうございました。

そろそろ時間になりますので、手短に花井委員、よろしくお願いいたします。

○花井委員 意思表示がきちんとできない点は、確かに消費者自身にも問題があると思います。しかし、そのことですごくトラブルになっていることも考えると、5番までの中で、会わないといけないところは困ると思いますし、事業者ごとということであれば事業者の名前が変わってしまうと、もう対応できなくなってしまいます。それから、ステッカーとか登録ということになると、それなりにハードルが高いと思いますので、私たちとしてはオプトイン、マル2で何とか検討していただけるとうれしいなと思います。

○後藤座長 ありがとうございました。

有山委員、手短によろしくお願いいたします。

○有山委員 私としてはマル2かマル3ということで考えております。マル4においては、先ほど花井委員がおっしゃったように、同じメンバーが会社名を変えて販売するというのがふえておりますので、そういう悪質業者の方を排除するという法律構成にしていただきたいと思います。

以上です。

○後藤座長 では、手短にお願いします。

○野坂委員 今、まさに事業者の名前が変わって、次々と出てくる悪質業者。これを罰則の強化で新たにカバーする案が考えられないのかどうか、ぜひ検討していただきたいと思います。要するに、日本国民は消費者であり、多くが働き手なのです。家庭や地域を守っているわけです。

消費者庁は強引な勧誘を大変問題にされています。それは当然だと思いますが、強引な議事運営もこれまた大変恥ずかしいことであります。前段の効果の検証について、山田課長からは、今日、回答が十分いただけていないし、私だけじゃなくて、いろいろな質問に対して回答がいただけていないということであります。これは、次回、次々回かわかりませんけれども、継続協議でしっかり回答いただいて、ベースをみんなで議論した上で、一歩一歩、ステップ・バイ・ステップで行くのが筋だと思います。ともかく座長には拙速を避けていただいて、慎重に、強引な運営は避けていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

○後藤座長 貴重な御指摘をどうもありがとうございました。

それでは、そろそろ時間も参りましたので、本日の訪問販売・電話勧誘販売等の勧誘に関する問題についての御議論はこの辺にさせていただきます。訪問販売・電話勧誘販売等の勧誘については、さらなる規制の必要性があるかどうかについて、本日の御議論を踏まえ、さらに資料を補足していただいた上で、再度御議論いただきたいと思います。

また、本日は具体的な対応の点についても御意見をいただき、具体的な制度設計を示してほしいとの御意見もございましたので、そのような意見も踏まえて、次に勧誘に関する問題を議論する際には、各委員がそれぞれの手法の具体的な制度設計をイメージできるように、できるだけ詳細な資料を消費者庁から御提出いただき、事業者からのヒアリングも交え、その手法の是非について議論を深めてまいりたいと思います。

次回は、執行上の問題について御検討いただきたいと思います。検討を行うに当たり、特定商取引法の執行のノウハウ等について、公開の場で議論することが望ましくない場合は、必要に応じて特定商取引法専門調査会設置・運営規程第6条第2項に基づき、議事の一部または全部を非公開とし、かわりに議事要旨を公表する形にすることを考えたいと思います。詳細が決まり次第、御連絡させていただきますが、あらかじめ御承知おきいただきたいと存じます。


≪3.閉会≫

○後藤座長 最後に、事務局から連絡事項をお願いいたします。

○金児企画官 本日も熱心な御議論をどうもありがとうございました。

次回は5月27日水曜日15時からの開催を予定しておりますので、よろしくお願いいたします。

○後藤座長 それでは、本日はこれにて閉会とさせていただきます。お忙しいところをお集まりいただきまして、ありがとうございました。

(以上)