第1回 特定保健用食品等の在り方に関する専門調査会 議事録

日時

2015年8月5日(水)13:59~16:04

場所

消費者委員会大会議室1

出席者

【委員】
寺本座長、梅垣座長代理、迫委員、清水委員、野々山委員、原委員、矢吹委員、唯根委員、吉田委員
【消費者委員会委員】
河上委員長
【オブザーバー】
消費者委員会 阿久澤委員、国民生活センター 宗林理事
【参考人】
消費生活アナリスト 板倉ゆか子氏
【事務局】
黒木事務局長、丸山参事官

議事次第

  1. 開会
  2. 審議の進め方について
  3. 特定保健用食品制度に関する確認
  4. 特定保健用食品等の表示・広告について
  5. 閉会

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

≪1.開会≫

○丸山参事官 定刻より若干早いのですけれども、皆様おそろいですので始めさせていただきたいと思います。

本日は皆様、お忙しいところをお集まりいただきまして、大変ありがとうございます。

ただいまから、「特定保健用食品等の在り方に関する専門調査会(第1回)」を開催いたします。

私は、消費者委員会事務局の丸山と申します。どうぞよろしくお願いいたします。

本専門調査会には、参考資料1の委員名簿のとおり、10名の方に委員として御参加いただいております。本日は、所用により中村委員が御欠席とのことで、9名の方に御出席いただいております。

なお、本専門調査会のオブザーバーといたしまして、独立行政法人国民生活センターに御参加いただいておりまして、宗林理事に御出席をいただいております。

また、消費者委員会から、阿久澤委員にオブザーバーとして御出席いただいております。

さらに、本日は参考人といたしまして、消費者委員会新開発食品調査部会委員の板倉さんにお越しいただいております。後ほど表示・広告に関する御意見をいただく予定です。よろしくお願いいたします。

それでは、まず配付資料の確認をさせていただきます。議事次第の次に資料1-1といたしまして、「特定保健用食品等の在り方に関する論点整理」、それから資料1-2、専門調査会の検討事項(案)、1-3といたしまして、専門調査会のスケジュール(案)、資料2といたしまして、特定保健用食品等の制度のあゆみ、資料3-1が板倉参考人の御提出資料、資料3-2といたしまして梅垣委員の御提出資料、資料3-3迫委員の御提出資料、それから参考資料1から3となっております。また、板倉参考人御提出の参考資料をメーンテーブルにのみ机上配付しておりますので、御留意ください。不足等ございましたら、事務局のほうまでお申し付けください。

本専門調査会の座長につきましては、7月28日、消費者委員会河上委員長から指名を受けました寺本民生委員に務めていただくことになりましたので、御報告させていただきます。寺本委員、どうぞよろしくお願いいたします。

それでは、ここからは寺本座長のほうに議事進行をよろしくお願いいたします。

○寺本座長 それでは、始めたいと思います。私、帝京大学の寺本民生と申します。消費者委員会で特定保健用食品の表示許可に関する個別審議を行っておりまして、新開発食品調査部会の委員も務めておりまして、このたび消費者委員会の河上委員長のほうから座長の指名を受けたということでございますので、どうぞ皆様よろしくお願いしたいと思います。

この専門調査会は、特保を含む健康食品全般の表示・広告について、また特保の制度・運用について、現状を確認した上で、今後の状況を改善するには何が必要なのかということについて議論を行うことを求められております。このため、委員には、私を含む特保の個別審議にかかわっている方だけではなくて、広告の審査に携わっている方や事業者団体の方にも加わっていただいており、いろいろな立場からさまざまな御意見を可能な限りお出しいただいて議論を尽くすということが、何よりも必要だと考えております。限られた時間の中での議論となりますが、それだけに密度の濃い形で議論を進めていくことが不可欠でございます。そのように進められるよう、私も何とか議事進行に努めたいと思いますので、御協力のほど、どうぞよろしくお願いしたいと思います。

続きまして、座長代理についてですけれども、本専門調査会の設置・運営規程第2条第4項によりますと、座長があらかじめ座長代理を指名するとされております。私としましては、国立健康・栄養研究所情報センター長の梅垣委員にお願いしたいと思います。先生、どうぞよろしくお願いいたします。

それでは、きょうは河上委員長も御出席いただいておりますので、河上委員長から御挨拶いただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

○消費者委員会河上委員長 河上でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

かつて政府が規制改革の実施計画というものをつくり、そして平成25年の日本再興戦略の中で、加工食品及び農林水産物に関して、企業の責任で科学的な根拠をもとに、米国のダイエタリーサプリを参考にしながら機能性表示ができるような方策を検討して、実施するようにいたしました。この機能性表示食品に関しては既に制度が導入されるという段階に入ってきております。これは、民間の自己責任による効能効果の表示を可能にするという点で、非常に画期的なものではありますが、それが導入された段階で、従来の特定保健用食品に関する表示制度に一体どういう存在理由があるのだろうかということが問われることにならざるを得ません。

消費者委員会の食品ワーキング・グループで、この特定保健用食品の在り方に関する論点を整理させていただきまして、きょうも皆様のお手元にある資料1-1に、この食品ワーキング・グループが行いました論点整理というものがございます。そこの経緯も書いておりますけれども、御承知のように、特保制度というのは制定からもう20年たっているということで、その製品の数も1,153品目になっているという現状であります。国民の間でも、特定保健用食品というのはある程度信頼を得て、今、市場で売られているわけでありますけれども、現状を見ると、消費者がその効能効果に関して少し過大な期待をしているのではないかとか、あるいは宣伝・広告の在り方が適切なのかということについて、疑問がないではないと言われておりました。

消費者委員会の中でも、かつて健康食品に関する建議を出させていただいて、特保に限りませんけれども、現在の健康食品に関する表示の在り方について根本的に見直す必要があるという議論をさせていただいていたところでございます。

そういう経緯のもとで、今後、特保というものがどういう立ち位置で、この食品業界で存在すべきか。もう特保は要らないと言う人も中にはいます。機能性表示があるのだから、そちらをしっかり進めていけばいいのだと言う人もいますし、他方で特保というものにこれまで随分コストをかけてこられた企業にとってみると、そこには大きなメリットがあるということがあったり、いろいろなことがあります。けれども、大事なことは、消費者が口に入れるものでございますから、その安全性がきちんと確保されることと、そして誤った理解を生み出すような表示をさせないで、消費者の実質的な選択権をどうやって確保するかということが一番大事なことであります。これは、機能性表示であろうが、特保であろうが、同じ問題でございます。

いずれにしても、従来の特保制度というものをもう一度きちんと見直して、機能性表示食品制度が一方であるという現実の中で、特保制度が果たすべき役割というのは一体何かということをあらためて議論していただく必要があるということで、下部組織としてこの専門調査会を立てようということになったわけでございます。専門的見地から、この問題について十分御議論をお願いしたいと思うのですが、いかんせん、第3次の消費者委員会は8月末に任期が終わりということになります。とてもじゃないけれども、8月中に審議を終えていただくことは無理ですので、大体の見込みとして、後でまた日程が出てきますけれども、1年近くの時間を考えていただいて、そこで、これからの特保のあるべき姿を模索していただければありがたいと思います。

特保制度も20年経って、20年前だったら、その当時の基準でパスしたようなものでも、今、見直したほうがいいのではないかと思うようなものもあると思います。食品ワーキング・グループの中では免許証の更新制度みたいなものがあったらどうかとか、いろいろな意見は出ましたけれども、今後、運用の在り方も含めて、この専門調査会の中で十分な議論をしていただいて、少しでもいい特保制度に向けて議論を展開していただければと思います。

本当に連日の記録的な猛暑の中、申しわけございませんけれども、どうぞよろしくお願い申し上げます。

○寺本座長 どうもありがとうございました。この専門調査会のありよう、在り方、あるべき姿を御説明いただいたように思います。

続きまして、本専門調査会の運営についてでありますけれども、参考資料2として、本専門調査会の設置・運営規程、参考資料3として、「下部組織の会議運用の在り方に関する申し合わせ」というものをおつけしております。本専門調査会については、これらの規程及び申し合わせに沿って運営していきたいと思います。

これらの内容について、何か御質問がございましたらいただきたいと思いますけれども、いかがでございましょうか。よろしゅうございますか。

それでは、ここで専門調査会の委員の先生方、それからオブザーバーの皆さんに簡単に自己紹介をお願いしたいと思います。

まず最初に、梅垣座長代理からお願いして、その後は迫委員、唯根委員という形で席の順番にお願いしたいと思っております。よろしくお願いいたします。では、梅垣先生。

○梅垣座長代理 国立健康・栄養研究所の梅垣と申します。

私は、研究所に入って、かなり長く、恐らく特保ができた当初から関与しています。当初の特保と今の特保と基本的な意義は余り変わらないと思っています。それは、いろいろな健康食品がある中でいいものと悪いものを消費者が区別できるという意味で、特保は必要であるということです。もう一つは、国の健康政策とか栄養政策があって、特保を健康・栄養に活用するという意味です。

それが一部はできていると思うのですけれども、一部できていないところがあります。どこに問題があるかを今、見直す必要があると考えます。20年たって、特保はかなり認知されています。消費者に認知されるというのは非常に重要です。認知されているからこそ、今からどうするかというのを考えていくべきだと思って、それに対していろいろ日ごろ考えていることを発言したいと思っています。

よろしくお願いいたします。

○寺本座長 迫委員。

○迫委員 日本栄養士会の専務理事を務めております迫でございます。よろしくどうぞお願いいたします。

私は、特保についての委員会等に出ていたわけではございませんが、管理栄養士という専門職として、国民、消費者の方と事業者のつくられた製品、そういうものをつなぐ役割という中で特保にかかわってまいりました。また、私、神奈川県の行政栄養士として長年勤めておりまして、そういう中で健康増進法の虚偽・誇大表示に関する事業者指導等々も実際に実施していた経験がございます。そういうところも含めまして、特保に限らず、健康食品全般的な表示・広告等の在り方等についても意見が述べられればと思っております。

よろしくどうぞお願いいたします。

○寺本座長 唯根委員、お願いします。

○唯根委員 公益社団法人日本消費生活アドバイザー・コンサルタント・相談員協会の理事をしております唯根と申します。

現在の第3次消費者委員会の中で特保にかかわらせていただきまして、この2年間、調査部会の方で特保について初めて審査をするという立場を体験して、また食品ワーキング・グループの担当委員にもなった事で、これだけの品目、20年間見直しがされていなかったことを改めて知り、消費者センターや消費者団体の相談現場に私が長くおりました関係で、健康食品や特定保健用食品の事を消費者がわからない事とか誤解していることがたくさんあるのは当然と感じまして、今回、こういう新しい在り方について検討される専門調査会に専門知識があるわけではないので力不足ではありますが、消費者の声を届けたく委員をお引き受けさせていただきました。

どうぞよろしくお願いいたします。

○寺本座長 では、野々山委員からお願いいたします。

○野々山委員 弁護士の野々山と言います。

私は、京都消費者契約ネットワークという適格消費者団体の副理事長をしております。この適格消費者団体は、御承知かと思いますけれども、景品表示法その他の法律に抵触するような行為があった場合、これを差し止めることができます。私どもの活動の中で景品表示法に違反する健康食品の表示に対して差止請求をして、第一審は勝訴しております。そういう活動をしており、一消費者あるいは消費者団体の立場から、現在の健康食品の広告の在り方については問題点が非常に多いと思っておりますので、その立場で発言させてもらいたいと思っております。

それから、私は日弁連の消費者問題対策委員会に所属しておりまして、同当委員会には食品安全部会がありまして、そこで食品安全の問題と取り組んでおります。そこで検討された知見も含めて、特保も含めた健康食品全体の在り方について発言していきたいと思っております。

どうぞよろしくお願いいたします。

○寺本座長 清水委員。

○清水委員 名古屋文理大学の清水俊雄と申します。

私は、機能性食品の開発・制度、それから消費者の認知ということについても調査・研究を今までしてきました。特保というのは、科学的根拠を行政が実証したものについて評価して、健康表示を許可するという制度としては、世界で最初のものだということです。20年前にできて、その後、多くの国でいろいろな健康表示の制度ができてきているわけですけれども、そういう制度を参考にして、また今回、できた機能性表示食品とのすみ分けも含めて、特保についてよりよい制度にしていくということについて、少しでもお役に立てればと思っております。

よろしくお願いいたします。

○寺本座長 では原委員。

○原委員 健康と食品懇話会の原と申します。この4月より会長を拝命いたしました。企業の所属は協和発酵バイオでございます。

特定保健用食品は、今、清水先生がおっしゃいましたように、過去を振り返ると、世界に先駆けて機能性食品という研究の中から生まれてきたわけですけれども、20年という時を経て、徐々に世界から何となくおくれてきて、かえってアメリカやヨーロッパから、特にヨーロッパが進んだような制度になっておりますので、先ほど座長の寺本先生もおっしゃったように、まさに今、見直すべきかな、というところでございます。事業者として、今の問題点なり、こうしたほうがいいという意見をなるべく発信したいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

○寺本座長 矢吹委員。

○矢吹委員 日本健康・栄養食品協会で特保を担当しております矢吹と申します。

私は、特保を担当いたしまして4年ぐらいたつのですが、その前は民間企業におりました。皆さん御存じのように、日健栄協は特保の許可取得企業の7割から8割ぐらいが会員として加盟しております。そういう関係で、私の役目としましては、特保関連事業者の意見をできるだけこの専門調査会にお伝えするということかなと思っておりますので、よろしくお願いいたします。

○寺本座長 吉田委員。

○吉田委員 日本広告審査機構、JAROの吉田と申します。

私ども日本広告審査機構というのは、いわゆる一般の方から広告・表示についての苦情などを受け付けて、それを企業に情報提供して、自主的に改善していただくという民間の団体で、そういった活動を40年以上続けております。私どものほうに入ってくる、いわゆる苦情といったものについて、業種別では、健康食品はいつも上位5位以内を占めております。審査機構ということで、年間電話、手紙等で約六千件受け付ける中の三十数件ぐらいが実際審議の対象になるのですが、その中で健康食品に関するものが昨年度も一昨年度も一番多いということで、それだけ審議に値するという言い方はおかしいのですけれども、問題になる表示が多いということは事実でございます。

その中で特保というのは非常に少ないのですが、いわゆる健康食品の表示ということで特保も含む全般的な中で、こういったことが問題であるということを、今後の特保の在り方について活かせるようなことを御提案できればいいなと思っておりますので、よろしくお願い申し上げます。

○寺本座長 どうもありがとうございました。

続きまして、オブザーバーとして御参加いただいております皆様に自己紹介をお願いします。

まず、阿久澤先生からお願いします。

○消費者委員会阿久澤委員 消費者委員会委員の阿久澤でございます。

本職は、日本獣医生命科学大学で食品科学を担当させていただいております。そんな関係で、消費者委員会の中では、食品表示部会、新開発食品調査部会を担当させていただいておりまして、その検討の中、皆さんも御存じのことと思いますけれども、部会の中ではどうも検討し切れない問題が幾つかあったことから、食品ワーキング・グループを立ち上げていただきました。そこで検討させていただいた一つが、「特定保健用食品等の在り方に関する論点整理」ということでして、本専門調査会にはオブザーバーとして参加させていただきます。

どうぞよろしくお願いいたします。

○寺本座長 では、宗林理事、お願いいたします。

○国民生活センター宗林理事 国民生活センターの宗林でございます。

国民生活センターは、この健康食品に関しましては、地方の各地の消費生活センターに寄せられる苦情相談のデータベースを持っているという位置づけでございますことと、あとテスト部というところがございますので、これまでいわゆる健康食品という部類が多かったのでございますけれども、テストの結果を出してきたという経緯がございます。

私自身は、これまで厚生労働省の健康食品の安全性であったり、あるいは消費者庁の表示の在り方であったり、あるいはこの消費者委員会の中の特保制度の在り方、そういうことにもかかわらせていただいた経験がございます。今回、この特保、機能性表示食品との関係でどういうふうに位置づけていくかというところは、消費者も大変関心が高いところだと思っております。

もともと特保は、承認されたときの摂取する人の条件、あるいは摂取するときの条件等も意外に厳しくありまして、それが生活実態の中でどういうふうに活かされていって、どういうふうに機能しているのかというあたりも、前のときにも関心を高く持ってございました。今回は、特保自体もいいものに、国民にとってわかりやすい整理ができるような位置づけのものになればと考えてございます。

どうぞよろしくお願いします。

○寺本座長 どうもありがとうございました。

≪2.審議の進め方について≫

〇寺本座長 それでは、議事に入らせていただきたいと思います。

まず、本専門調査会で議論を行っていく検討事項、それからスケジュールについて確認したいと思います。本専門調査会は、資料1-1の論点整理に基づいて設置が決定されたものですので、大きなテーマといたしましては、特保を含む健康食品全般の表示・広告について、それから特保の制度・運用について、それから特保の情報開示についてということになります。議論に当たっては、もう少し細かくテーマを設定し、議論を行うスケジュールもある程度決めておく必要があると思いますので、資料1-2、資料1-3として事務局に案を作成していただいております。まず、これらの内容について説明をお聞きした後に御意見をいただきたいと思います。

それでは、事務局からの御説明、よろしくお願いしたいと思います。

○事務局 資料1-2、資料1-3について御説明させていただきます。

まず、資料1-2でございますが、この資料に記載した内容は、消費者委員会の新開発食品調査部会及び調査会、また食品ワーキング・グループにおいて出された意見をまとめたものでございます。これらの意見を踏まえて、資料1-1の論点整理が食品ワーキング・グループによってまとめられました。この論点整理では3つの柱が挙げられておりますが、この資料1-2では論点整理の3つ目に挙げられている特保の情報開示を制度・運用の見直しの中に含め、2つのテーマとして整理させていただいております。

内容を御説明いたします。

1つ目のテーマは、消費者の特保やいわゆる健康食品の受け止めと表示・広告の関係についてです。

消費者は製品を正しく理解した上で、健康食品を利用しているか。

消費者は制度を理解した上で、特定保健用食品を適切に利用しているか。

いわゆる健食及び特保の表示・広告に関する消費者の期待度は、実際の効果より過大なのではないか。広告や宣伝が消費者に過度の期待を抱かせていないか。

製品の実態と消費者の期待に格差があるとすれば、どのような手段で是正できるか。

特保や健食に関する消費者教育が十分とはいえないのではないか。

制度制定から20年以上が経ち、特保の商品コンセプトが広がったことにより、特保は「健康増進・食生活改善」という本来の目的からかい離してきたのではないか。

制度発足時と比較して、特保に対する企業側の姿勢が変化してきているのではないか。

「健康増進・食生活改善」という特保の本来の目的を、表示や広告でもっと分かりやすく表現すべきではないか。

2つ目のテーマでございますが、特保にかかる制度・運用の見直しについてです。

まず、制度見直しの議論が必要な点はあるか。ある場合、それは何か。この事項につきましては、制度・運用については、表示・広告問題以上に、この資料1-2に記載している以外にも議論対象とすべき事項がある可能性があるため、もう一度ご確認いただくということを想定して記述いたしております。

続きまして、再審査制・更新制がないことや、未販売・販売終了品の抹消が進んでいないことで、現在起きている問題は何か。その問題解決には、何が必要か。

次が、特保の審査に用いる検証データのレベルは十分といえるか。機能性表示食品のほうが厳しい部分もあるのではないか。

機能性表示食品制度が創設されたことにより、特保の位置づけを見直す必要があるのではないか。(特保の機能性表示食品とのすみ分け。)

特保の規格基準型の適用範囲を拡大できるか。拡大できる場合、範囲決定はどのように決定されるのが望ましいか。

機能性表示食品と同じように、特保も、試験結果や作用機序といった申請内容の情報開示を現在より進める必要があるか。(開示が不十分なため、製品の「医師へ相談」といった表示に従い医療従事者などが消費者から相談されて、回答できないのではないか。)

現在の製品情報の開示が不十分な場合、どのような内容を開示すべきか。開示主体は、制度を所管する行政機関である必要があるか。

以上が今までに消費者委員会の委員から出された問題点を検討事項(案)としてまとめたものとなります。

次に、資料1-3、スケジュールについて御説明させていただきます。

まず、1回目、2回目でございますが、表示・広告に関する議論をいただく予定でございます。表示・広告に関する御議論の内容によっては、制度・運用に関する点も出てくる可能性もあるため、先に表示・広告について御議論いただく案といたしました。この点については、事前に委員の皆様に御説明し、了承を得ており、本日、表示・広告に関する問題提起を板倉参考人と梅垣委員、迫委員からいただくこととしております。

2回目の会議では、原委員、矢吹委員、吉田委員から、事業者団体やJAROの取り組みに関するプレゼンをいただき、あわせて中村委員から東京都の状況について御発言いただく想定をしております。また、行政機関の対応状況確認を行うため、消費者庁からヒアリングを行うことも想定しております。

委員間の表示・広告に関する議論でございますが、これらの意見聴取やヒアリングが終わったところで、本日の3名の方の御意見の内容も含めて御議論いただくことを想定しております。

なお、第6回にも表示・広告について御議論いただく案となっております。これは、消費者委員会として、特保利用者に対象を限定した意識調査を実施したいと考えているためで、その結果を御報告した上で、表示・広告のまとめについて御議論いただきたいと考えております。調査について簡単に御説明すると、既存の調査で特保に限定した意識調査はほとんどないため、本専門調査会の議論の参考データを入手する目的で独自に意識調査を実施することといたしました。手法としては、インターネット調査を利用することを想定しておりまして、対象者を特保利用者に限定して、特保製品の利用実感や利用方法、食生活の状況、特保の表示・広告に関する意見について調査を行う予定としております。実施時期は、ことしの10月から11月ごろを想定しております。

続きまして、スケジュールの説明に戻りますけれども、3回目、4回目、5回目については、制度・運用について御議論いただく予定としております。3回目は、冒頭で制度・運用全般に関する問題点、先ほど御説明した資料1-2の制度・運用の見直しに関する検討事項の1番目に挙げている部分の確認でございますが、そちらをいただいた上で、個別の検討事項としては、再審査制、更新制、未販売・販売終了品について、現状を踏まえ、御議論いただいてはどうかと考えております。

第4回でございますが、規格基準型の追加の可能性と、特保の機能性表示食品との「すみ分け」について、御議論いただく予定としております。

5回目は、特保の申請内容の情報開示について御議論いただき、それも含めて制度・運用全般のまとめについて御議論いただきたいと考えております。

第6回については、先ほど御説明したように、意識調査結果も踏まえ、表示・広告のまとめについて御議論いただく予定としております。

第7回、現時点での予定では来年3月ごろでございますが、専門調査会の議論を踏まえた報告書案について御議論いただきたいと考えております。

以上、スケジュール(案)について御説明いたしましたが、この後の御審議で議論すべき事項が追加された場合には、このスケジュールを調整いたしまして、必要であれば日程の追加を行うことも想定しております。

説明は以上です。

○寺本座長 どうもありがとうございました。

それでは、ただいまの御説明に対して何か御議論いただく、もしくは追加すべき点等々ございましたら御意見いただきたいと思いますが、いかがでございましょうか。どうぞ。

○野々山委員 大きく分けて表示・広告の問題と、それから特保の制度・運用の問題という2つの論点として分けられていますが、まず表示・広告の問題については、論点として健康食品全体をカバーするということは適切だと考えております。特に検討事項の中で書かれていないものとしては、表示と広告の関係があります。表示・広告と一括りになっていますが、表示でどういう規制をし、広告でどういう規制をするかは別に考える検討課題です。それを近づけるべきだと考えておりますけれども、それはいろいろな考え方があるかと思います。そういう問題点が1つ重要な問題としてあるだろうと思っています。

それから、もう一つは、景表法、新薬事法と健康食品の広告の問題です。景表法、新薬事法と現実の健康食品の表示・広告との関係というものをきちんと考えていかなければいけない。特に、広告の規制の根拠法になるものは、これらの法律になってくると思いますので、その適用の問題が重要となります。

それから、もう一つは執行の問題です。違法な表示や広告が行われたときに、きちんと執行するということが担保されなければ、機能性表示食品の機能性を表示したり、あるいは特保のさまざまな機能性を表示したりする、現行法において許されている、その制度の優位性が保たれないと思いますので、そういうアウトサイダーというのですか、いわゆる健康食品の違法な表示・広告に対する執行の問題も避けて通れないのではないかと考えております。

続きまして、制度の運用等々の在り方の問題ですけれども、これは重要な問題としまして、特保制度と機能性表示食品制度とのすみ分けがあります。特保制度を健康食品のさまざまな制度の中でどう位置づけるかということが重要な論点で、その中でどういう制度を構築していくかということが重要になってくると思いますので、特保以外の他の制度との関係というのが論点として1つ出てくるであろうと思います。機能性表示食品制度の持っている機能と問題点も、そこでは関連して出てくるのではないか。ですから、ここでもある程度、表示・広告ほどではないとしても、健康食品制度全体のこともカバーしながら議論していく必要があるだろうと考えているところであります。

以上です。

○寺本座長 どうもありがとうございます。

今、お話いただいたように、最終的には規制の問題とか、それを実際にどうするかという非常に重要な問題、私も以前、そんなことを申し上げたことがあると思うのですけれども、そういったことも少し考えていく必要があるのではないかという御意見だと思います。

ほかにどうでしょうか。どうぞ。

○矢吹委員 先ほど出ました意識調査の件ですけれども、私どものほうで調べたところ、特保に関する意識調査については、平成23年に公表された特定保健用食品の表示許可制度の専門調査会の報告書で、特保への消費者意識や実態調査等が必要ということで、当時、消費者庁でインターネット調査5,000名、個別調査が500人という規模でアンケート調査が行われたと聞いております。その調査には特保の認知度や継続使用の話、一部広告の話なども入っているというお話は聞いたのですが、その結果が一部は公表されてはいるようです。せっかく同じような調査がされているので、それについて消費者庁のほうにも御照会いただいて、その内容等も出していただければとも思います。

○寺本座長 どうぞ、事務局。

○事務局 既存の調査については、御説明・御紹介のほうは予定させていただいております。いわゆる健康食品については、今回、私どもは調査対象としておりませんで、それは既存の調査がかなりございますので、その情報を出すことで御議論が進むと考えております。それと一緒に消費者庁の調査についても御紹介させていただきます。

○寺本座長 そのほかにいかがでございましょうか。どうぞ。

○清水委員 特保の情報開示ということで、主にここに製品の情報について情報公開をする、メカニズムも含めてと書かれているのですけれども、実際に審議しているときに、どういうことが問題になって、どういう追加情報が出されて、その結果、受理されたのか、許可できなかったのか。そういうことを積み重ねた情報というものが特保の技術的なレベルを上げていくことにも必要になる。情報公開には、製品の情報だけではなくて、審議して、その間のやりとりの情報公開をどうするか、これもやっていく必要があるのではないかと思います。

○寺本座長 調査部会、調査会の議事録というのは、基本的に今はオープンになっていないのでしたか。

○事務局 調査部会の議事録については、知的財産権部分についてマスキングした上で公開いたしております。調査会の御議論については、現在はまだ公開していない状況です。

○寺本座長 たしかそういう問題があって、一部はマスキングした形での公開はされているので、そういう形での問題は何とかなるのかなと思うのですけれども、いずれにしろ、本来の情報が今回の機能性食品が出てきてはっきりしたのですけれども、特保のほうは限られた形でしか公開されていないということなので、それをもう少し制度を変えたほうがいいのではないかという意見だろうと思います。

ほか、いかがでしょうか。どうぞ。

○梅垣座長代理 今の特保の情報開示のというところで、私の所属する研究所で特保の製品情報を出しています。ただ、ここに書いてありますように、企業に提出を求めて、企業が同意したものしか出していないのです。もともと特保の情報を出すようになったのは、栄養士とか管理栄養士の人がお客さんとか患者さんに説明するときに、情報がなければ説明できないから何とかしてくれと言われたので、情報を出したのです。今の特保は千幾つありますけれども、その中で載っているのは半分もないのです。

一番重要なのは、許可して、全く売っていないものもあるし、そういう実態がわからない。そこのところは明確にして、本当だったら特保として許可されたのであれば、全て情報開示するようしないといけない。特保の製品パッケージに、質問があったら医師・薬剤師に相談してくださいと書いてありますけれども、私の知っている医師・薬剤師の人から、聞かれても情報がないのにどうやって説明するのだと、結構クレームを受けたこともあります。ですから、情報は出すべきで、そこを今回明確に、できるようにしたらどうかと思います。

○寺本座長 まさしくそのとおりだと思うのですが。

どうぞ。

○矢吹委員 先ほどの情報開示に関連しまして、事務局から配布された論点整理の中では、事業者の承諾の有無によって公開という趣旨で書かれているのですけれども、実際は任意で企業のほうが作成して提出するというシステムになっていると聞いております。事業者が拒否したために掲載されていないというわけではないと考えております。

実際問題として、かなりの品目数が再許可であったり、規格基準であったりしたときに、どのような形で有効性を書くのか、安全性のデータを出すのかという点について、どういう書き方をするのか悩んでいる場合も、実際に比較的中小規模の事業者も含め多いと聞いています。また大手企業では通常特保を中心にしっかり書いて提出したりしているところもかなりあると思います。そういう意味でどのような形式、内容で出すのかということをきちんとしていただければという意見はあります。

○寺本座長 むしろ、ここでそういうことをこれから議論するので、これは恐らく重要な問題になると思いますので、そこでまた議論させていただきたいと思います。

どうぞ。

○国民生活センター宗林理事 今、個別の承認されたものの情報開示という感じで聞こえてきますが、将来的には私は、例えば生活習慣病が幾つか、脂質代謝他、機能性の表示がカテゴライズされていますけれども、それごとにどんな審査をしていくのか、その仕組みですね。そういったものも、企業の方にも、今後出していかれる方の御負担も軽減し、また一定になる、平準化するようなものへの取組も必要ではないかと思います。

○寺本座長 それは、特保に関しては、試験のやり方、それからこういう方法でやれば認められるというのは一度議論されて、この前改訂されて出ていると思いますので、その部分は恐らく。ただ、仕組みというのですか、どういう過程をたどって認可されるのかというあたりの仕組みのことですか。

○国民生活センター宗林理事 例えば医薬品の場合ですと、試験のステップが、物によって大体決まっていると思うのですが、特保の場合、まだ個別性が強いのではないかと思います。それから、ずっと以前に承認されたものも、そういった意味では見直しされていないので、一定の平準化した形での審査ステップがきちんとすると、いろいろな意味で整備されるかなと思います。

○寺本座長 これに関しては、どの程度記載されているかというのを次のときにでも1回資料として提示していただければいいかなと思います。

どうぞ。

○事務局 資料といたしましては、お机のほうに置かせていただいているドッチファイルの資料13番目(資料2-(13))に次長通知をつけさせていただいておりまして、議論のたたき台という意味で御活用いただければと思っております。

○寺本座長 どうぞ。

○清水委員 今、宗林さんが言われたことは、私が最初に言ったこととも関係していると思うのですけれども、審議しているときにどういう点が問題になって、どういうものが追加されたのか。そういう実績が積み重ねられることによって、今おっしゃられたのは、次に出そうとする企業にとってもプラスになるのではないかということだと思います。

だから、そういう実績の積み重ねというのが特保では不足しているということで、私は本を書くのに、今まで特保でどういう議論がされたのか、それからどういう情報が公開されるか、情報公開法で請求したことがあるのですけれども、書誌的事項まで黒く塗り潰したようなものが、そういうものが情報公開に出てきたりしていました。これはもっとも初歩的な段階なのですけれども、実際、審議している内容がどういう科学的な根拠で議論され、どういう追加資料が出たのか、それは重要なことだと思います。

○寺本座長 恐らく議事録というよりは、どういう論点で、どういう結論に達したかということがまとめて書いてあるものがあればいいということですかね。それは、情報のところで考えていく点かなと思います。ここで余り大きな審議に入ってしまうと、中身の話にどんどん入ってしまって、先生方、大分御意見がありそうなので、この辺で。全体のスケジュール感と実際のどういう論点があるのかということだけ、ここでちょっとまとめさせていただきたいと思いますので、そういう点で御意見をいただきたい。

どうぞ。

○梅垣座長代理 今の話に関連しないことはないのですが、製造販売者側の理論ばかりが話題になっています。特保で一番重要なのは、どう使うか。私は、製品はいいと思うのですけれども、生活習慣の改善に消費者がどう使うかというところがほとんど欠けている。いつも、製造販売者側の理論ばかり、いろいろな議論がされているのですが、使う側、使用者がどう理解して使うかというところをもう少し議論し、この専門調査会の中に入れていくべきだと思います。

○寺本座長 恐らく意識調査というのも、そういったところで消費者がどういうふうに使っていて、どうなっているのかというあたりを知った上で議論になっていくのかなと、私も理解しております。

そんなことで、先生方から大分いろいろと御意見を伺いましたけれども、内容としては、この中に組み込めるものがいっぱいあるのではないかと思いますので、そこをちょっと検討していただいて。ただ、野々山委員のおっしゃっていた規制の問題とか、その辺はもしかしたら別項目で考えなければいけないかもしれない。それはまた考えていただく。入れ込めるのであれば入れ込んでいただいて、できれば3月までには終わりたいと思っていますので、一応検討していただけますでしょうか。よろしゅうございますか。

≪3.特定保健用食品制度に関する確認≫

〇寺本座長 続きまして、具体的な議論を進める前に、今まで特保制度に関して、どのような制度・運用の見直しが図られてきたかということを再確認みたいなあれですけれども、確認していきたいと思います。これは事務局から御説明をお願いいたします。

○事務局 資料2に沿って御説明させていただきます。この資料は、これまでに厚生労働省、消費者庁、消費者委員会等で特保や健康食品について議論された経緯をまとめたものでございます。委員、オブザーバーの皆様には、その経緯について、主な議論に関する資料を机上のドッチファイルにとじて置かせていただいております。なお、傍聴の方にはそれらの資料をお配りしておりません。後ほど資料一式をホームページに掲載いたしますので、必要でしたらそちらを御利用ください。

では、説明に入らせていただきます。

資料2の1番目でございますけれども、機能性を食品に表示するという、現在の特保や機能性表示食品といった制度につながる検討が、昭和59年、当時の文部省で特定研究として実施されました。この研究により、3次機能、体調調節の提唱がされて、「機能性食品」という概念が出現いたしました。

それを受けて、昭和63年8月、当時の厚生労働省に機能性食品懇談会が発足し、食品による生活習慣病1次予防の重要性や、科学的根拠に基づく情報を表示した食品の提供の必要性等について検討が開始されました。この懇談会は、平成元年に中間報告をまとめて厚生省に提出しておりまして、机上配付しております資料でいくと資料2-(1)になりますけれども、機能性食品問題の検討結果についてという報告が出されております。

この報告では、「食品による健康保持・増進の重要性を考慮すると、体調調節機能を期待できる食品(機能性食品)を社会のニーズに応えて健康づくりのための具体的な手段として積極的に活用していくことが望まれる」とまとめられまして、機能性食品は栄養改善法第12条の規定に基づく、特別の用途に適する食品として、科学的根拠に基づき表示を許可して規制することが適当である「明らか食品」に限定することといったことがまとめられております。

これを受けて、機能性食品検討会が厚生省に発足しまして、平成2年11月に、機能性食品の制度化について、特定保健用食品として特殊栄養食品の制度の中に位置づけて制度化を進めるといった報告がまとめられました。

平成3年9月には、特定保健用食品表示許可制度の施行により、栄養改善法及び施行規則が一部改正され、「特別用途食品」の規定に取り込まれたことにより、「機能性食品」から「特定保健用食品」と名称が変わっております。これらの導入により、平成5年6月ですが、特保が初めて表示許可され、この時点では、許可については有効期間が2年とされておりました。これが平成8年に規制緩和の一環として、施行規則の一部改正により有効期限が4年に変更されております。また、翌年平成9年には、規制改革推進計画の再改訂に基づきまして、再度、規則が一部改正され、審査手続等の簡素化が図られまして、4年の有効期限が撤廃、現在同様に更新制、再許可制のない制度となったという経緯でございます。

平成13年でございますが、保健機能食品制度が施行されまして、食衛法により規定がされ、これに基づく審査の実施が開始されております。また、医薬品の範囲に関する基準の改訂により、錠剤、カプセルといった形のものでも食品である旨の表示をすることが認められ、形状規制が外れたということでございます。

2ページ目に移らせていただいて、平成15年、「健康食品」に係る制度のあり方に関する検討会が設置されまして、保健機能食品といわゆる健食の制度上の位置づけ、新たな特保の区分の導入(条件付き特保、規格基準型特保、疾病リスク低減特保など)、錠剤とかカプセル状食品のことでございますが安全性の確保について検討が行われました。

同じく平成15年、健康増進法が施行され、栄養改善法が廃止されることに伴い、保健機能食品は健康増進法に基づく制度とされました。この平成15年には、内閣府に食品安全委員会が発足いたしまして、それまで厚生省で審査しておりました特保の新規関与成分、保健の用途等の申請に係る安全性について、食品安全委員会で審議がされることとなっております。

平成16年でございますが、「健康食品」に係る制度のあり方に関する検討会の提言が出されまして、特保の審査基準について、関与成分の作用機序や体内動態の明確化を重視する医薬品的考えに準じた審査を行う仕組みに改め、実際に効果があることが科学的に確認できる食品について、必ずしも作用機序が明確化されなくても許可できるよう改められるべく、条件付きトクホの件が提言として出されております。また、疾病リスク低減表示の容認や規格基準型トクホの創設についてもまとめられております。これを受けまして平成17年、制度の見直しがされまして、条件付きトクホ、疾病リスク低減表示、規格基準型が設置され、これによって申請区分が拡大されました。

平成21年でございますけれども、消費者庁に業務移管がされる直前、規格基準型に血糖値と食物繊維が追加されておりまして、同年9月、消費者庁が健康増進法の表示許可と執行に関する所管省庁となりまして、特定保健用食品についても所管することとなりました。厚労省にありました特保に関する審議会機能につきましては、内閣総理大臣の諮問を受けて消費者委員会が答申を行う形となりまして、この消費者委員会の下に新開発食品調査部会及び2つの調査会が設置され、これにより現在の形で審査が行われることとなっております。

同年21年11月、消費者庁ですけれども、いわゆるエコナ問題に端を発しまして、多くの消費者の方々から特保制度に関するさまざまな御意見、御要望が寄せられたことを受けまして、健康食品の表示に関する検討会を設置しました。ここの検討によって、消費者庁において早急に対応すべき方策と、消費者委員会においてさらに議論すべき事項の2つに問題点が整理されております。

このうち消費者委員会においてさらに議論すべき事項とされた事項は、大きく2つございました。1つは、特保制度の再審査・更新制に関する検討。もう一つは、健康食品の表示の効果的な規制や適切な情報提供の仕組みの検討でした。これらの論点に関する消費者委員会としての対応というのが、平成22年、23年にございます本会議における健康食品の表示等に関する審議と、特定保健用食品の表示許可制度専門調査会による審議でございます。これらの審議の結果、特定保健用食品の表示許可専門調査会で再審査手続の迅速化を図るための取り組みとか、再審査手続開始後の対応の可能性、許可の更新制の導入について提言がまとめられました。

健康食品の表示に関する審議では、平成25年1月に表示の在り方に関する建議を発出しておりまして、健康食品の表示・広告の適正化に向けた取組の強化、安全性に関する取組の推進、機能性表示の検討、特性に関する消費者理解の促進などについて、消費者庁担当の内閣府特命担当大臣と厚生労働大臣に対し、建議を行ったということでございます。

特保制度に関しては、表の一番最後になりますけれども、平成26年10月、消費者庁次長通知が発出されておりまして、審査等取扱い及び指導要領ほかの改正が行われましたけれども、ここでは大きな変更はされておりません。現在の形となっております。

説明は以上でございます。

○寺本座長 どうもありがとうございました。20年以上にわたる流れがあったわけでありますが、この間、いろいろと動いてきて、実際に先ほどからお話がございます再審査の問題、規制緩和でだんだんいろいろと動いてきていることも事実なので、そういったことも含めて、今、いろいろな問題が出てきているのだろうと思います。このような経緯がございまして、特保制度は現在に至っているところであります。今回の議論というのは、これらの過去の検討を踏まえた上で、現在の状況に関する委員や参考人の意見をお聞きして、今後の対応策について議論を深めたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。

≪4.特定保健用食品等の表示・広告について≫

〇寺本座長 では、まず「表示・広告について」、調査審議を行いたいと思います。本日は3名の方から御意見を頂戴いたします。

最初に、参考人としておいでいただいた板倉さんから御意見をいただき、次に梅垣委員、最後に迫委員にお願いしたいと思います。御発言をいただいた後に、その発言内容について質問を行う時間をそれぞれとりたいと思います。

それでは、板倉さんのほうから10分程度で御意見をいただければと思います。よろしくお願いしたいと思います。

○板倉参考人 座ったままで御説明させていただきたいと思います。本日は、日ごろ感じている特定保健用食品、これからのお話では特保と申し上げますけれども、に対する意見を述べる機会を頂戴いたしまして、ありがとうございました。

私は、国民生活センターを退職して以降、日本栄養・食糧学会等で消費者視点から見た特保の問題点について発表してまいりました。それで、特保の表示・広告についてはさまざまな問題があると思っておりますけれども、今回、皆様への説明に頂戴しました時間はわずかでございます。そこで、キャッチフレーズがひとり歩きしてしまい、特保自体の限定的な有効性が伝わっていかない現状について、お話ししたいと思っております。

なお、それとの関係で、消費者庁で作成されています特保の実施要領とQ&Aのうち、特にキャッチフレーズや広告に関する部分を抜き出しました。それと、実態の一部について具体的に例示した資料を作成いたしました。資料について詳細な説明をする時間がとれませんので、お目通しいただきながら話をお聞きいただければと思っております。

消費者庁で特保の審査等取扱い及び指導要領や特保の表示に関するQ&A(事業者のみなさまへ)では、資料に示しましたように、さまざまな注意喚起がされております。

例えば指導要領では、3 表示、(1)表示事項の「ウ 許可等を受けた表示の内容」というところで、「許可等を受けた表示内容のとおり表示すること。その際には、許可等を受けた表示の一部分のみの記載はしないこと」と明記されています。全てこれに尽きると思います。それ以外には、許可等の取扱いとして、商品の表示及び広告についても、それについて触れられている部分がございますし、また監視指導ということでは、「広告についても、許可等が行われた表示の範囲内とし」ということになっておりますので、内容については、指導要領どおりであればそんなに問題は生じなかったのではないかと思っております。

また、特保の表示に関するQ&Aについては、問3-4で、許可表示の一部のみを表示することへの質問につきまして、「許可表示の一部のみを表示することは、表示内容によっては、許可を受けた保健の用途を超える効果についても、特定保健用食品として国が許可しているかのような誤認を与えるおそれがあり」ということで、例示も挙げられています。例えば「食後の中性脂肪の上昇」という場合に、「食後」ということを削ること自体についても誤認を与えるおそれがあるという指摘がされています。

こういうことがあるわけですけれども、一方、最近、意識の高い消費者の方々の間では、許可表示の内容を誤認させる特保のキャッチフレーズ、容器についているものですけれども、それが非常に目立つ位置についていることも含めまして問題になってきていました。

ただ、先ほど御紹介いただきましたように、私は一昨年から新開発食品調査部会の委員として、申請された商品についての許可をすべき保健機能についての内容を審議する場で、消費者サイドとしてかかわっております。それで、消費者庁がチェックして、消費者委員会で許可の方向で議論を進めるために提出されたと思われます分厚い資料には、さきの要領等には合致しないと思われる目立つキャッチフレーズがついた容器包装の図も入っているということには、後で気づきました。ただ、消費者委員会が責任を持つのは主に許可表示の内容であって、キャッチフレーズについては消費者庁が判断することになっていると理解しておりました。

新開発食品調査部会では、許可表示の内容についての議論がどうしても重視されます。その議論に時間がかかり、添付されている容器包装の表示については、誰かが時間が延びるにもかかわらず問題点を指摘するということがなければ、議論にも上らないという状況でございます。

しかし、それでも部会で了承された内容の一つとして、容器包装のキャッチフレーズの表示は消費者委員会が通したと、消費者庁からは外部に説明されていることを、そういう問題意識のある方からのお問い合わせに答えていらっしゃるとお聞きしたわけです。それを知ってから、審議の際には、容器のキャッチフレーズについても、特保の食品であるがゆえの限定された機能の表示の範囲を身の丈どおりに伝えているかどうか、過度に期待させていないかについては自分なりに考えて発言してきたつもりです。

ただ、厚生労働省からの長年の会議の間に議論された、保健機能の関与成分については特にそうなのですけれども、許可表示の内容や容器のキャッチフレーズについては、既に許可された製品の前例が既得権として大きく立ちはだかり、それを改善しようと発言しても、見直しするのは非常に困難な状況にあることがわかりました。これは、商品によって異なるかと思いますけれども、有効性を示す実験に有意差があれば許可すべきであり、それが実際に消費者の食生活の中で有用な差になるかどうかについては、十分な議論がされてこなかったのではないか。本当の意味で食生活の改善が図られ、健康の維持増進に寄与することが期待されるものという特保の条件に足りるかどうかということについて、議論する場が余りなかったからではないかと思っています。

最近、これらの議論について皆様方が知るところになったのは、3月10日に公開で行われた消費者委員会委員、新開発食品調査部会・評価調査会委員合同会議だったと思います。このときに話題になった、ノンアルコール飲料の特保を「どういう場面で飲むか」については議論の中に入れられなかったのですけれども、例えばノンアルコール飲料自体も毎日飲むという方はごくわずかですので、ノンアルコール飲料を飲むかわりに特保のノンアルコール飲料を飲むというのは、たくさんごちそうを食べるときだけ利用という使われ方をすることが多いと見受けられたわけですが、そこまでの議論はできませんでした。

しかも、その後のてんまつを見るに、消費者委員会の委員の方々の意見と、許可権限を持つ消費者庁の意見が大きく違ったまま許可がおりてしまい、私は消費者サイドに対する責任を強く感じ、今後、8月末の任期が終わったときには委員は引き受けないつもりでおります。

皆様も御存じのように、「食生活は、主食、主菜、副菜を基本に、食事のバランスを。」ということで実現する健全な食生活と、運動、休養を地道に続けることでもたらされるのが健康です。そのためには、許可表示の内容や、それを踏まえての容器包装のキャッチフレーズは、特保の限定的な効果がわかりやすく伝えられること。また、その機能が過度に期待されることのないようにしなければならないと思います。

しかしながら、容器包装におけるキャッチフレーズが許可表示の内容と認められたものとして誤解されている現状があるようでして、それを踏まえて、マスメディアや販売サイトでの表現がさらに過激になっているというのも当然のことと感じております。実際、サイトの表示を調べてみますと、実施要領で指摘されているにもかかわらず、限定的な効果をより大きく見せたり、誰にでも効果があるかのように見せる手法で広告が行われております。一方、一企業からスタートした、誤認されかねないキャッチフレーズというのを容器包装につけた特保というのが日々拡大しているというのは、机上配付資料等にも具体的な表示を示したとおりでございます。

最近は、医薬品と食品の境を曖昧にして、医療費を抑えようという方策がとられるようになってきています。そこで、用語1つについても、例えば特保では「ヒト試験」という用語を使って有効性や安全性のテストを説明しておりますけれども、サイトの広告などでは「臨床試験」という用語に変わっている例も多々あります。しかも機能性表示食品においては、「臨床試験」という用語が消費者庁のリーフレットにさえも盛り込まれるようになりました。もし「臨床試験」という言葉が厚生労働省などがお決めになっているような、倫理的な面も含めて、品質の保持とGCPの問題等、確保されたものであれば問題ないのかもしれませんけれども、余りにも有効性のレベルが違うものに安易につけられていることについては、私自身は非常に問題にしております。

また、消費者の方がその「臨床試験」という言葉のもともとのクリニカルテストというものがどう訳されように、最初は医薬品からスタートしたものですので、用語一つ一つについてもこだわっていきたいと思っているわけです。

なお、特保については、機能性表示との関係では非常にハードルが厳しいと指摘されておりますので、今後、さらに表示上の緩和が進む可能性もあると思っております。そういう意味では、非常に危惧しております。ただ、消費者が本当に求めるのは、針小棒大で有効性の信頼性に欠ける表示ではなく、特保自体の信頼性が見渡せる表示ではないかと思います。

今のような広告が繰り広げ続けられるのであれば、特保の信頼は地に落ちてしまうと思っております。特保の制度を継続したいということであれば、まず手始めに消費者庁のつくった指導要領やQ&Aに記載されている消費者への誤認を与えるおそれのある旨の表示の指摘にあわせて、容器包装等のキャッチフレーズの修正、並びに許可を受けた表示についてももう一度見直していただくということが必要なのではないかと思っています。特定保健用食品、特保というのは、非常に限定的な効果であるということが消費者に正しく伝わって、適切に利用されるようにすべきではないでしょうか。

また、特保の信頼性には裏づけも必要だと思います。特保の使用実態を詳細に調査して、関与成分の効果は実際にどの程度健康寿命の延長につながったか検証し、存在意義の科学的根拠も示すべきなのではないかと思っています。EUでは、特保の関与成分であっても機能性表示の申請が却下される例があると聞きます。メイド・イン・ジャパンの製品品質全体への不信を招かないためにも、海外では通用しない関与成分の有効性についてだけでも再審査をし、国としてのお墨つきを撤回するということも考えるべきではないかと思います。

この制度の見直しに当たっては、消費者がセルフメディケーションを行う際に利用する商品という観点から、医薬品も含めて、医薬部外品、機能性表示食品、いわゆる健康食品の役割や位置づけとの違いというものも整理した上で、今後求められる機能性のある商品はどういう位置づけにあるかについても、十分な検討を期待したいと思っております。

以上でございます。

○寺本座長 どうもありがとうございました。

ただいまの御発言に対して御質問があればお願いしたいと思いますが、委員やオブザーバー間の議論というのは次のときにさせていただきますので、今回はあくまでも板倉さんに対する御質問という形でしていただければよろしいかと思います。いかがでございましょうか。どうぞ。

○野々山委員 御報告ありがとうございます。

板倉さんの資料の4ページ、2.特保の表示や広告の実態についてというところで、許可を受けた表示内容の最後に、統計的に有意な差が実用的に意味のある差と言えるかどうかということで、有意性と効果の問題や、それをどう広告として、あるいはキャッチフレーズでやっていくかということが確かに問題になってくる。一つの指標で有意性があれば、それを強調して、他のいろいろな項目については、逆の結果とは言わないですけれども、そういうものもあります。この辺、どういう問題があるのかについて、もう少し展開していただくとどういうことになるのでしょうか。

○板倉参考人 例えば広告の場合には、モデルとして太っていない方が出てきている。そういう方が飲用される場合にそれなりの効果があると思われる場合もあると思うのですけれども、例えば体脂肪が300近いような方を使って出したデータ。皆様方、御存じだと思いますけれども、太い方が多ければ多いほど数字は大きく出る。その効果が大きく出るという部分がありまして、対象の中にそれほど太っていない方が入れられているかというだけで、本当にその方にどれほどの効果があるかというのは、広告ではわからない。今の広告では勘違いさせるもとになると思うのですね。ですから、そういう点で問題がある。

それから、例えば難消化性デキストリンについての脂肪排出効果ということですけれども、実際、ふん便中のデータなどを調べた結果を見ますと、ほとんど差がないと言えると思うのですけれども、私たちが過剰に食べても全く影響がないように宣伝されている場面があります。気休めと思っていただいているにしても、普通の商品より2倍ぐらい値段が高い、場合によっては3倍ぐらい違うものもあるかもしれません。しかも使う時期も関係なしに使われるということが本当に意味があるかどうかということを、常々感じております。

○寺本座長 そのほか。どうぞ。

○原委員 ただいまの御指摘は、事業者の立場からするとすごく頭が痛いというか、どきどきするのですけれどもね。

ただ、1つお聞きしたいのは、確かに特保で認められた許可表示を一部省略して、先ほど申し上げられましたように「食後に」がないと誤認を与えるかもしれませんけれども、具体的に教えていただきたいのですけれども、いろいろな製品で許可表示を一部省略したような表示で、実際に消費者が誤認して買ってしまった、だまされた、あるいは、いいと思って食べ過ぎて何か健康被害が生じた事例というのは、もし御存じでしたら教えていただけないでしょうか。

○板倉参考人 まず、消費者の方は表示を見ておられません。許可表示の部分も、そもそも正面には書いていないわけですから、選ばれるときにキャッチフレーズで買っておられるというのが実態です。まして、もともと特保というのは安全性についてはある程度確保されているわけです。しかも継続的に飲んでもいないものについて問題が出るということは、逆に言えば、あったらおかしいと言えると思うのです。むしろ私が心配しているのは、そういうものを利用して、実際に必要な治療等、別の対処方法のほうがより効果的にもかかわらず、そういうことをやらないで、自分自身をごまかすことによって、さらに生活習慣病を増加させるという問題のほうが、目には見えないけれども、大きな問題になると思っています。

○寺本座長 そのほか、いかがでございますか。どうぞ。

○原委員 今おっしゃることは、確かにそのとおりですけれども、ちょっと私も感じているところですけれども、特保の位置づけを消費者がどの辺まで考えているのか、よくわからないところがあって、一般的な話ですけれども、健康食品のサプリメントタイプと医薬品の錠剤を区別できない消費者も確かにおられる。では、明らか食品の特保で、血圧が高目の人が、本来、血圧の薬を飲まなければいけないのに、血圧の高めの方の特保で済ませているかどうか。その辺が私、よくわからないので、消費者の実態をまず見つめた上で、表示は表示で問題なのですけれども、その上で特保の位置づけ、表示の在り方、広告の在り方を考えていかなければいけないのではないかというのを感じました。

○板倉参考人 特保については、実際、講演活動等に来られる方に手を挙げていただくと、ほとんど意識して使われていないのです。ですから、どういう目的でどういうことを考え、どのように使われているかについては、きちんとした検証をして、それから、本当に効果があるなら効果があるということを示していただくというのが必要になると思います。逆に、曖昧な表示で、気のせいでも、買っておこうかみたいな利用の仕方でずるずると使われていくこと自体は、本当の意味での健全な食生活への道を閉ざしてしまうものになると思っています。

○寺本座長 どうぞ。

○野々山委員 板倉さんに直接質問ではないのですけれども、今の御報告ですと、特保の広告や表示には、ガイドラインに反しているとか、あるいは虚偽の内容のものがあるのだという御報告だと思うのですが、そういう理解でよろしいですか。

○板倉参考人 虚偽ということはないと思うのです。針小棒大に書く。

それと、先ほど議論がございましたけれども、私自身、元の文献を知りたくて企業にお問い合わせをして、広告等に載せてあるものについて頂戴できないかとお願いしたことがありますが、雑誌に載せている、そちらのほうの制限があるので出せないということで拒否されたこともございまして、元の情報との違いがどうなっているのかというのを見きわめることも、なかなか難しいような状況になっております。

○野々山委員 私が質問したいのは、消費者庁に対してですが、健康増進法28条には、一旦出した特保の許可を取り消せる場合があるという規定があります。その要件は3つ挙げられています。1つは、26条6項の規定に違反したとき。これは、ガイドラインというのですか、内閣府で定める事項を内閣府が定めるところに表示しなければならないというものに違反した場合。それから、2つには、虚偽の表示をした場合。それから、3つには科学的知見の充実によって、この特別用途表示をすることが適切でないことの判明に至ったときという、この3つが許可を取り消す場合という条文となっています。しかしながら、これまで、28条の適用があったことはなかったという理解でよろしいのでしょうか。

○事務局 消費者委員会として認識している範囲での回答ですけれども、なかったと理解しております。次回、消費者庁にその辺のヒアリングをいたします。

○寺本座長 そのほか、板倉さんに対する御質問等はございますか。よろしいでしょうか。

それでは、次に進みたいと思います。では、梅垣委員からの御意見をお願いしたいと思います。同じように10分程度でできればお願いしたいと思います。

○梅垣座長代理 資料3-2をごらんください。表示の調査というよりも、私は特保の利用実態調査をしましたので、その点について御紹介したいと思います。

まず、そのデータ紹介の前に、1.特定保健用食品の許可要件について、コメントしたいと思います。特保の許可要件というのは、(1)から(8)まであります。有効性・安全性に関する科学的根拠が必要で、(2)が非常に注目されていますし、安全性の場面で、(4)が特に注目されています。これは当然です。けれども、特保というのは摂取しても薬のような効果は恐らくないのです。もし私たちの体に強い効果があるのだったら、それは有害な影響が起こりやすいことを意味して、消費者の自己判断で使うような食品にはなじまないということです。

だから、(8)を見ていただきますと、「医薬品の範囲に関する基準」で、「専ら医薬品として使用される成分本質リスト」に含まれないもの。なぜここにこういうふうに書いてあるかというと、体に対して強い作用がある成分を消費者が自己判断で利用するものにはなじまない。これが非常に重要なことです。

それを考えると、では、特保はどういう意味があるのだろうかということです。作用がそんなに大して強くないものに、何か効果があるのかということで考えると、(1)の食生活の改善が図られ、健康の維持増進に寄与することが期待できるものであることが重要なのです。ですから、特保はほどほどの効果がある。でも、(1)のことが実現できれば特保を使う意味が非常に出てくるわけです。ここのところが余り理解されていないというのが問題です。許可要件の(1)を考えて製品開発されているのですけれども、実際に消費者の人に効果的に利用する方法が伝えられていないというのが今の問題です。

この点を踏まえて、2.特保の利用実態調査というところをごらんください。これは、国立健康・栄養研究所の千葉室長が調査して、学会誌に発表した内容です。ここでは、概要だけご紹介したいと思います。

まず、目的のところです。特保が適切に利用されているかどうかというのを調査しました。いろいろ特保の調査がありますが、それらは認知度がどうのこうのという内容で、実際にどうやって利用されているかという調査は少ないです。その点を調査しました。実際には、インターネットで15歳以上の人を対象に調査しました。回収数1,092名ということで、それほど大きくないのですけれども、男女比とか居住区によって割り付けをし、全国規模で行いました。

結果を見ていただきますと、特保のイメージで、8割以上の人が、国が認めているから「安心感がある」「安全である」と回答しているのですが、15%程度が「薬の代わりになる」と回答しています。少ないのですけれども、ここは無視できない点です。

利用している特保は、「中性脂肪」「体脂肪」「お腹の調子」「コレステロール」、つまり生活習慣病に関係するものです。生活習慣病の原因は生活習慣にあるわけです。だから、生活習慣を改善しなければ、幾ら特保を利用しても全く意味がない。ですから、最初にお話しました許可要件の(1)の食生活の改善、ここが満たされなければ、特保を利用しても恐らく意味はないだろうということが言えるということです。

利用目的としては、「健康維持」「身体に良さそうだから」「美容・ダイエット」、いろいろあります。ほとんどの人はそれなりに特保を利用しているのですけれども、「病気の予防」が26.4%、「病気の治療」が5.8%。食品に病気の治療・予防の効果は標榜できない。でも、こういう期待をしている人がいる。ですから、多くの人は問題ないのですけれども、一部こういう人がいる。ここを何とかしなければならないというのが実際の表示の問題だと思います。

では、実際に表示を確認しているかどうかということです。ほとんど「必ず見る」という回答です。ただ、どこを見ているかが問題で、先ほど板倉先生がおっしゃったように、キャッチフレーズを恐らく見ているのだと思います。消費者委員会の調査会の審査に私も関与していますけれども、主に見ているのは、枠の中の表示です。細かく書いてある枠の中の表示を見て許可とかが行なわれています。ところが、そこだけ一部を抜き出してきて、コレステロールが下がると書かれるのは、審査している者の意図と違う。最近、そういう指摘も結構しています。消費者の人は、この調査から、表示を見ていると言うのですけれども、実は見ていない。

その実態として、1日当たりの摂取目安量、摂取方法を「必ず見る」というのは2割ぐらいしかいない。これは、枠内に書いてあるのです。だから、見ていないという実態が想像できるということです。

それから、「食生活は、主食、主菜、副菜を基本に、食事のバランス」、これが消費者に伝えたい非常に重要な行政のメッセージです。これを知っている利用者は約4割。本来、特保はここが一番重要なのですけれども、ここが伝えられていないということです。

それから、生活習慣の改善に取り組んでいる人は5割ぐらいいる。運動習慣の改善に取り組んでいる人も結構います。でも、何もしていない人も3割います。それなりに特保の役割を活用している人がいますけれども、誤解している人もいる。だから、特保がいいか悪いかと両極端に分けるのではなくて、こういう誤解している人を、表示を介して何とか改善しなければいけないという課題がここから見えてくると思います。

それから、効果および体調不良というところを見ていただきますと、効果を実感できた人は2割ぐらいしかいません。実感できなかった、わからないという人は6割ぐらいいるのです。この内訳をその下のグラフに示してあります。効果があった人が青、効果の実感なしが赤、わからないのがグリーン。食品ですから、そんな明確には効果は出てきませんから、わからないというのが多いのが普通だと思うのです。けれども、摂取量・摂取方法を守っている人で、効果がある人が多い。

それから、生活習慣の改善、食生活を改善したり、運動習慣を改善している人は効果を実感している。ですから、特保の本来の目的に従ってちゃんと使っている人は、それなりにいい体感を得ていて、特保はそれなりの役割は果たしている部分もある。ただし、誤解している人も中にはいる。

体調不良を感じたことがある人というのは、9.1%ぐらいです。これは先ほど御質問されていましたけれども、下痢とか便秘です。普通の食品でも出てくる症状ですけれども、特保では特定の成分が強化されていますから、当然、普通の食品よりもこういう症状が出やすい可能性はあります。

医薬品との併用ということで、特保の利用を主治医に話している人は約1割、薬を常用している人は全体の3割、常用している薬と類似する特保の利用者は2割ぐらいです。この中に、薬のかわりに使っているとか、薬と同じ効果を持つ特保を利用している人がいると、まともな医療にアクセスができない状態になる可能性がある。ここは問題です。

今回の調査で、特保のいい面も確かに出ているのですけれども、ネガティブな面もある。だから、ネガティブな面をいかに今後対応するかという点が議論できればいいと思います。

3.特保の現状の課題。これは、私の個人的な考えも入っています。特保の本来の目的と効果的な利用方法が消費者に理解されているとは言えない。特保はあくまでも食品なので、生活習慣の改善が伴わなければ、恐らく効果はないということ。

それから、表示はそもそも消費者のためにあるわけです。製品を販売する人のためにあるような感じになっていますけれども、消費者が栄養表示や健康表示を見て、それが国の健康政策・栄養政策に合っていて国民が健康になる。これが本来の表示の役割です。そこが全くとまでは言いませんけれども、意識されていない。ですから、いい制度があっても、社会的にうまく活用されていないというのが問題だと思います。

その問題点で重要なのは、多様な消費者に効果的に情報を伝える取り組みがないことです。だから、製造販売者側の理論ばかりがコマーシャルに乗って出てくる。でも、使う側の意見というか、どううまく使えばいいかというのがほとんど伝えられていない。では、誰が消費者に伝えるかというところが非常に重要な課題だと思っています。

以上です。

○寺本座長 どうもありがとうございました。

それでは、今の梅垣委員に対しての御質問がございましたら、いただきたいと思います。いかがでございましょうか。どうぞ。

○吉田委員 貴重な御説明、ありがとうございました。

1つお伺いしたいのですけれども、2.特保の利用状態調査についての結果の1)特保のイメージというところで、7割の方は効果が期待できると考えて、15%程度が「薬の代わりになる」とお答えになられているのですけれども、この15%の「薬の代わりになる」と答えられている方というのは、もう既に疾病に罹患されている方なのか、それともこれから生活習慣病になるのを未然に防ぎたい方なのかというのは、おわかりになりますか。

○梅垣座長代理 ここの場ではわかりませんけれども、恐らく疾病に罹患している人だけではないと思います。中にはそのような方も含まれています。特保の表示を見ると、例えば血圧が下がるとは書いていないですけれども、コレステロールが下がるとは書いてある。そうすると薬のようなイメージを持ってしまうのです。ただ、今の特保というのは食品の形態をしていますから、恐らく拡大解釈はし難い。これが錠剤、カプセルの形態になると、恐らく医薬品と誤解する可能性は高くなる。だから、今回の結果で、それほど誤認していないし、特保のそれなりの意図した結果が得られている部分があるのは、ほとんど食品の形態をしているからだと私は考えます。

○吉田委員 ありがとうございます。

実は、なぜこんな質問をしたかというと、こういったいわゆる食品についての相談業務を受けるときに、特保に限らずですけれども、自分は薬を飲んだら終わりだ。薬の手前で直したいということをおっしゃって飲用されていらっしゃる方も結構いらっしゃいまして、薬の一歩手前、要は病気にかかる前、あるいは境界域の方なのかもしれないけれども、特保もしくは食品で何とか体の調子を改善したいと考えていらっしゃる方がいるので、もしそういう方が多数いらっしゃるのであれば、ここに載っている方がそういった方であれば、今、梅垣先生がおっしゃったように、食品としての理解はあるのかなとちょっと思ったものですから。

いわゆる健康食品まで拡大していいのかどうかわからないですけれども、そういった利用者の方もいらっしゃるので、食品として認識がありながらも、薬の一歩手前というか、食品以上、薬未満という感覚で飲用されていらっしゃる方がいれば、大きな誤認はこの段階ではされていないのかなと感じたものですから。すみません。

○梅垣座長代理 おっしゃるとおりで、私もよく聞くのです。薬は副作用があるが、食品は皆さんとっているから、安全で副作用はなく、かつ、食品で病気が治る、と思っている人が世の中にいます。イメージでいろいろなところから情報が出されている。それは明らかに間違い。作用があるということは副作用が出ることの裏返しです。それが一般的には理解されていないというのが非常に問題で、そこを改善しないとだめだと思います。今の特保は、幸いに形態が食品形態ですから、お茶を飲んだりして病気が治ると思っている人は極端な人で、普通はないと思います。

○寺本座長 どうぞ。

○国民生活センター宗林理事 すみません、教えていただきたいのですが、6)効果および体調不良の「効果の実感あり」という点ですが、自分で実感できる範囲の効果ということになると、例えば特保の場合、生活習慣病に関するような血糖値とか脂質、コレステロールの数値が云々ということではなくて、例えばお腹の調子がととのってきたとか、自分で実感できるものが主という感じでしょうか。その辺、どの範囲で聞いていらっしゃるのでしょうか。

○梅垣座長代理 それは、細かくは聞けていないですね。というのは、特保にもいろいろありますから、例えば血圧とか血糖値だと検査値ですぐに把握できますけれども、それ以外のものはなかなか把握できないです。ですから、自分がとっていて体調がいいとか、例えば便秘がちな人がそうでなくなったとか、そういうイメージです。インターネット調査ですから、細かくは聞けない。限界があります。

○国民生活センター宗林理事 そうすると、数値云々ではなくて、自分の主観として効果があると思ったかどうか、このとおりの言葉で実感がありましたかという感じの問いになりますか。

○梅垣座長代理 そうです。ただ、検査値とかを見て答えている人も中にはいるかもしれない。血糖値とかは出てきますから。いろいろな特保がありますから、どの特保と限定してしまえば、もう少し正確なデータが出てくるのですけれども、今回はそこまではしていません。この調査ではわかりません。

○国民生活センター宗林理事 わかりました。

結構実感できる効果が意外に少ないといいますか、実感できないものも結構多いので、ここでいう実感がどういうものかなともう少し知りたいなと思ったものですから。

ありがとうございました。

○寺本座長 そのほか、いかがでしょうか。どうぞ。

○矢吹委員 質問というより感想になるかもしれませんけれども、先ほどのお話で、2.特保の利用実態調査の利用目的の中で、病気の予防というのが25%ぐらいあるのですけれども、特保を利用している方の中で、現状の健康維持という観点で使われていて、それが結果的に病気を遠くするというか、そういう意味での予防と考えられている回答もあるかのような気もするのですけれども、そのあたりは調査方法として何か意識されているのでしょうか。

○梅垣座長代理 恐らく、今おっしゃったのは健康の維持。本当の病気の予防というのは、この商品を使って予防ができるかどうか。そこまで言える商品は、多分ない。これはインターネットのアンケート調査なので、どこまで正確かというのはちょっと疑問です。一般的にはこれをとれば病気にならないのではないか、生活習慣病にならないのではないかという思いでとっている人だと思います。

○矢吹委員 わかりました。

○寺本座長 どうぞ。

○原委員 本当に説得力のあるアンケート結果、ありがとうございます。

1つ思ったのは、表示の確認のところで、8割の方が保健の用途を確認しているのだけれども、実際にはしっかりと見ていないというお話があったのですけれども、恐らく特保になるとパッケージに書いてあることがいっぱいあって、しかも商品によっては細かい字で、私など老眼で見えないぐらい小さいこともあるのです。そういう点で、とにかくパッケージに書いてある文言が多過ぎて、これは確認できませんよということはアンケートにお入れにならなかったのでしょうか。

○梅垣座長代理 このアンケートではないですけれども、いろいろな消費者の人と話をすると、表示をもっと細かくいっぱい書いてくれという人もいますし、細か過ぎて私は読めないという人もいます。消費者の人はいろいろな方がいますから、どっちがいいかというのはわからない。やはり妥協点を探って、本当に消費者が見られるものにしなければいけないと思います。実際、特保の審査に関与していて、ラベルが提出されています。消費者は絶対に読めないので変えてくださいという指摘をしています。その点、特保はかなりチェックされていると思っています。

○寺本座長 そのほか、いかがですか。どうぞ。

○清水委員 感想ですけれども、梅垣先生が最後に書かれている「多様な消費者に効果的に伝える取り組みが出来ていない」ということが一番重要だと思うのです。今回の検討する項目になるのかどうかということにもなるのですが、一番重要なのは、消費者に正しく伝えるということ。消費者がそれを正しく理解して、消費者が行動を変容、変えていく、正しい行動をとっていくというところまで来て、初めて健康表示の食品の価値が出てくるのだと思うのです。この専門調査会で、それを実際にどうやるのか、または一定の方向性を出せるのか。そこまで行けたらいいなと思うのですが、非常に難しいのですが、ここが一番重要なのだなと思います。

○寺本座長 どうぞ。

○梅垣座長代理 私もそう思います。機能性表示食品のところに「消費者の誤認を招かないように」と書いてありますけれども、誤認を招かないためにはちゃんと情報を伝えなければいけない。その取り組みがほとんどできていないだろうと思います。パッケージに「医師、薬剤師に御相談ください」と記載されていますが、相談された医師、薬剤師は困りますね。情報がないのです。だから、そこをうまく連動するように、今後やっていかなければいけないと思います。

○寺本座長 恐らく、この辺はこれからの議論の中のかなり大きなポイントになるのではないかと思いますけれども、ほか、よろしゅうございますか。はい。

最後に、迫委員のほうからお願いしたいと思います。10分程度でよろしくお願いします。

○迫委員 10分程度ということで、急ぎ、ちょっと早口で話をさせていただきます。

私のほうは、特定保健用食品から健康食品に至るまで、全般の表示と、それ以外の部分も含めて考えてみました。お手元の資料のほうでお話をさせていただきます。

問題点1ですが、特定保健用食品と機能性表示食品の境界が非常に曖昧になってきたということでございます。従前、いわゆる健康食品のところが非常に大きな枠を持っていたわけですけれども、そこが機能性表示食品という届け出制のものが入ってきたことによって、機能性表示食品と健康食品の区分は明確になったのだけれども、逆にそれによって特保との関係が非常に曖昧になってしまった。この曖昧になった理由の1番は、条件付き特保というものの存在ではないかと思っているところでございます。機能性について十分な担保がされていないにもかかわらず、それに準じて条件付けで特保として扱われるというところは、これはちょっと問題があるものではないかと思っております。

その一方で、特別用途食品、特保、これは健康増進法等で規定されているわけですけれども、いわゆる栄養補助食品、それから栄養機能食品、サプリメントというものが医療の現場の中でも使われてきている。特に栄養補助食品等々については、特別用途食品とは別のジャンルであっても、かなり信頼度が高いものがその中にはあるのだということでございます。その一方で、眉つばという言い方は変な言い方ですけれども、ちょっといかがなものかと思われるような健康食品も多々ある。

こういうところが、先ほど来お話が出ていますように、セルフメディケーションという考え方の中で、医療費の削減の一環として、そういうものが推奨されるような方向に動いてきている。本当にこれでいいのかというところが気になっているところでございます。

食生活がベースにあって、その中で特保を使っていただく。これは、個別許可食品もあり、規格基準型もありということで、それほど大きな問題とは考えておりませんけれども、いわゆる健康食品も含めて、医薬品のかわりのような形で常にイメージさせるような方向に広告等がされるのであれば、大変大きな問題を持っているだろうと。

次のページに移らせていただきますけれども、問題点の2としましては、広告の自由度について大きな差がある。特保、栄養機能食品等々については、内容を逸脱した表示をすることは認められないことになってございます。機能性表示食品もガイドライン、それから消費者庁の次長コメント等でも、特保に準じた形でしていくのだということは言われているのですが、実態としては、そこまで規制がきちんと行われるかどうかというと、非常に難しいのではないか。健康食品の場合には、全くそういうこともなく、表現の自由という言葉の中で表現されているということでございます。

健康増進法について書かせていただきました。健康増進法において、食品として販売に供する物に関して広告その他の表示をするときは、健康保持増進効果等について著しく事実に相違、又は著しく誤解させるような表示をしてはならないとなってございます。

先ほど自己紹介のときに申し上げましたけれども、健康増進法の所管をしていたときに、虚偽・誇大表示の禁止規定の違反食品について、事業者指導にかかわったことがございます。大学病院のすぐ近くで営業しておりまして、そこで配布しているパンフレットに虚偽・誇大表示の可能性がある。がんに効くとか肝臓病に効く、ウイルスを殺す。本当にあり得ないようなことがずらずらと10ページぐらいにわたって書かれている。そういう内容につきまして、健増法と食品衛生法、当時の薬事法ですけれども、3法が合同で立入調査をいたしました。

そのときに、パンフレットの内容について、立入調査をする前に虚偽・誇大であるかどうか、一つ一つの文言について、事前にきっちりと私どもで確認して調べ上げた上で立入調査に入っていくという手順をとらざるを得ない。つまり表現の自由ということを鑑みて、本当に虚偽・誇大なのかというところを確認して、そして入っていく。実際にパンフレット等々の内容を確認しながら、事業者さんには根拠等を出していただいて、虚偽・誇大であるということでそれを焼却処分していただいて、それについての報告をいただいた。

健増法ができるのはそこまでなのです。そこから先は、薬事法等々になってまいります。健康増進法では、一つ一つの広告に対しての指導を行っていきますので、かなり難しいというか、実効性の問題。広告を変えて、また違う形で出てくるということからすれば、イタチごっこに近いような感じなのかなと思うところもあるわけでございます。

次のページですけれども、特保に関してでございます。特保については、先ほど来お話が出ていますけれども、国民の中で特保という言葉が非常に定着してきたということは事実だと思います。かつては、栄養指導をしている中で、特定保健用食品とか特保と言っても、何のこと?という感じだったのですが、今は特保という言葉で理解していただける状況になっている。相談等をしている中では、国の許可を得た製品としての信頼感、これは安心・安全、両方ともですけれども、そういうものが後ろにあるのではないか。その一方で、内容については、もう何度も言われているように理解は不十分だろうなということと、特保と機能性食品の違いが今の段階では全く理解されていないのではないかと思うわけであります。

そういう中で、私としましては、個人の意見でございますけれども、特定保健用食品のより高度化・差別化を図っていくべきではないかというのが意見の1点目でございます。つまり、これだけ健康食品が世の中に流通・流布している中で、本来は食事をきちんと食べていただいて、健康食品に頼るのではなく、望ましい食生活を営んでいただいて、生活習慣を変えていただくのが理想でございます。

しかし、健康食品についてもこれだけ出回っている、産業として成り立っているという中では、本当に安心できる安全なものをきちんと提供していくことが社会としては必要だろうと思っています。そうすると、いわゆる健康食品と違って、特保についてはより高度なものを目指していくべきなので、いろいろな見直し等々をきちんとかけた上で、より高度な、安全・安心を担保したものとして国民に提供できるようにすることが必要だろうと思います。

意見の2としましては、健康食品全体についての情報開示。これは、特保についての情報開示ということよりも、健康食品全体をカバーするべきではないかと思っております。丸を3つほど書かせていただいて、最初の条件付き特保の廃止は先ほど申し上げましたけれども、全ての特保の機能性関与成分について、一定限の情報開示は必要だろう。丸々全部必要かというと、私はそうではない。

ただ、ポイントとなるもの、消費者が確認していただいて選択に資するようなものについては、きちんと精査した上で、同じ様式の中で提供していく。これは、梅垣先生のところで提供されている特保の情報がベースになってくるかと思っておりますけれども、全ての特保について情報開示できればありがたい。これは、私ども専門職として、相談の中で有効性の根拠というものがどうしても必要になってまいりますので、この辺はお願いできればありがたいと思っております。

健康の保持増進効果、または機能性を表示している健康食品。あえてここで健康食品という言葉を使いますけれども、そういう表示をしているものについては、その有効性とか安全性の情報について開示することを義務付けるべきではないか。この会の議論と重複するか、それとも外れていくのかはちょっとわかりませんけれども、健康食品全体に手をつけずして、特保の部分だけ手をつけても、これはちょっと片手落ちではないかと思うところでございます。

最後のページになりますけれども、実際に健康食品全体を考えていったときに、健康不安を持つ人への販売が常態化しているのではないかというところでございます。

2つ目に書かせていただきました、先ほど言いましたように、健康食品が日常的な存在となっているということからすると、そういう日常的な存在になって以降の世代の方々。今の高齢者は、昔はちゃんと食事をしてきた。こういう言い方はいけないかもしれませんけれども、健康食品がなかった時代に育っております。ですから、飛びついているという面はあるかもしれないですが、健康食品が日常的な存在となった世代、子供たちの世代、それから母親とか子育て世代の利用がふえてきている可能性は無視できないのではないか。ですから、こういう世代に対しての正しい情報提供というのも、高齢者と同じように、またはそれ以上に考えなければいけないだろうと思うところでございます。

それから、3つ目ですけれども、危害の可能性という中では、日本医師会の健康食品安全情報システムで、開業の先生から、患者さんに異常が起こったときに、どの健康食品でどういうふうに起こったかという情報を日本医師会に集約されているということもございますので、ヒアリング等の中で、もし可能であれば聞いていただくのもいいのかなと思っております。この日本医師会のシステムの中で、私もそのメンバーに入らせていただいているのですけれども、1日に健康食品を18品目とっていらっしゃる方。1日18品目というのは、薬だと多剤になるのですが、それほど頼っている人がいらっしゃったということをつけ加えさせていただきます。

健康増進法31条の規定の中で、現状での行政指導、これは厚生局等で行っている行政指導の中身をちょっと分類してみたところ、事業者によるテレビコマーシャル等広告の事前相談が約77%ということで、非常に多い。実際に監視員等による調査、それから消費者の通報は非常に少ない。それと、全体の中で特保は10%程度という形になってございました。先ほども言いましたけれども、健増法そのものは、不適正表示・不適正広告、1件ごとの指導ということで、そして勧告・命令・罰則等々の規定はあるのですけれども、大部分、指導で終わっている。改善されて終わり。つまり、広告1枚、つくりを変えれば、それで済むというところからすると、この監視・指導の在り方についてもかなり問題があるかなと思っているところでございます。

以上でございます。

○寺本座長 どうもありがとうございました。

それでは、迫委員に対しての御質問をいただければと思います。どうぞ。

○吉田委員 発表、どうもありがとうございました。

1つお伺いしたいのですけれども、先ほど御説明の中に、問題2のところで健康増進法の執行とか指導に携わっておられたということで、配っておられたパンフレットが、ウイルスを殺すとかがんに効くという表現・表示をしていたということで、健康増進法31条で指摘されたということだったのですけれども、このときに特に勧告に至らなかった理由といいますか、その辺は何かあるのでしょうか。

○迫委員 まず、健康増進法の規定の中では、事業者の指導を行う。そして、その指導に従わなかったときに勧告、勧告に従わなかったときに命令と徐々に上がっていく。最初の指導の段階で事業者がそれを認めて、廃棄処分、焼却炉に持っていって焼却したという形で、その報告をいただいています。ということで、そこで既に改善されてしまったという形になりますので、次の段階には行かないことになります。

○吉田委員 そういたしますと、指導した段階で事業者が言うことを聞いてしまったり、広告を下げるという措置があった場合には、勧告まで至らずにそこで終わりというのが健康増進法31条ということでございますか。

○迫委員 はい。そういう意味で、非常に弱いと言ったら変な言い方ですが、勧告・命令とか、国のほうに通報するところまで行くと、より上位に行くと事業者名の公表という形も出てくるのですが、そこまで行かないうちに、それは当然パンフレットを処分すればいいだけですから、そういう形で。

○吉田委員 わかりました。ありがとうございます。

○寺本座長 そのほか。どうぞ。

○原委員 御説明、ありがとうございました。

4ページ目に意見1と意見2とございますけれども、意見2の健康食品全体の情報開示は、2ページ目にありますような機能性表示食品、いわゆる健康食品も含めた全体の情報開示ということでしょうか。

○迫委員 私はそう思っています。つまり、特保とか、機能性表示食品はちょっとクエスチョンがつく場合もあるかと思うのですけれども、健康食品と言われている。健康食品という言葉本来は、食品は全て健康に資するものですから、日常食べている食品は健康食品。その中に健康食品というジャンルがあること自体、ちょっと問題だと思っています。いわゆる健康食品という言葉になりますけれども、そういうもののほうの数が非常に多い。

それから、そういうものが表現の自由という言葉のもとに自由に広告がされていく。消費者に対して、明らかに誤認を誘導するものであれば、それはいろいろな手があると思うのですけれども、そうでないイメージ広告等も含めて、示唆するような形での広告が進められている。そういうものを判断する根拠が消費者の側に健康食品はついていない。特保と機能性表示食品についてはあるということから考えれば、特保の情報開示ということをより重点化するよりは、健康食品全般の情報開示、基本的な枠組みを決めて、健康の保持増進効果や機能性ということに触れた段階でそういうことをするべきではないか。これがないと、消費者が判断できないものが多々あり過ぎると思っています。

○原委員 ありがとうございます。

私、個人としては、2ページ目に書かれたように、いわゆる健康食品は淘汰されていくということを迫先生は最近おっしゃっておられますけれども、むしろこれが正常な姿であって、いわゆる健康食品で、事業者の中でもやもやとしたことを言っていることがあると思うのですけれども、本来はそういったものは機能性表示食品に取り込まれるべきですね。先ほどの意見2の全体の情報開示というのは、一般論としてはわかるのですけれども、現実的にやろうとすると非常に困難なので、現実的に考えると、いわゆる健康食品を機能性表示食品に取り込むというのが現実的ではないかなと個人的には思います。

○迫委員 まさにおっしゃるとおりだと思っています。機能性表示食品が適正に運用されていくという前提のもとに、きちんとそちらに取り込んでいって、そういう中でいわゆる健康食品の中の本当に不誠実なものについて、これはきちんと淘汰されていければいい。ただ、本当に淘汰されていくかどうかというところに疑問があるもので、クエスチョンマークをつけさせていただきました。

○寺本座長 どうぞ。

○清水委員 今の問題1ですけれども、おっしゃられたとおり、いわゆる健康食品が機能性表示食品が出たことによって淘汰されていけばいいなというのは、確かにそう思いますし、特保が個別許可型で機能性表示食品が届出制、制度としては明確なのですけれども、中身の表示は一緒で、消費者にとってみると、この境が曖昧だということもたしかで、この図は見やすいなと思ったのです。

ただ、1点、曖昧になった理由の大きなポイントが、条件付き特保があることだと、先ほど言われたのではなかったですか。

○迫委員 はい。

○清水委員 それは、今、千百幾つある特保のうち、条件付きは1つしかないわけで、この条件付きの1,000分の1がなくなったからといって、この曖昧さが消えるわけではないのではないかと思うのです。

○迫委員 ありがとうございました。

まさにおっしゃるとおりで、条件付き特保というものの存在そのものが、特保のイメージをものすごく悪くしているのではないかということがあって、あえて言わせていただきました。

この機能性についてを同じような形で表現できるという、この制度そのものが曖昧にした一番の理由だと思っています。ですから、特保といわゆる健康食品という状態であれば、そういう議論にはならなかったのかなと思っております。もちろん、制度としての見直しは必要ですけれどもね。

○清水委員 確かに条件付きというのは、一般の特保よりも科学的根拠のレベルの低いものを拾おう、すくい上げるということでできたので、これは実態としても1,000分の1しかないものであれば要らないということで、後のページにある廃止というのもあるかなと思います。

○迫委員 まさか1,000分の1とは思っていなかったのですけれども、1,200ぐらいの1ですね。はい。ただ、あくまでも特保の制度を曖昧にした象徴的なものとして考えています。特保全体が当初は明らか食品だったものが、いわゆる錠剤形態のものが出てきたり、それから規格基準はある程度きちんとしていますからいいと思うのですけれども、そういういろいろな形で広がってきたというところが、どっちかというと緩和する方向に動いてきている。それが逆に特保そのものの存在を危うくしてしまっているのではないかという感じがしております。

○寺本座長 そのほかはよろしゅうございますか。どうぞ。

○野々山委員 御報告、どうもありがとうございました。

問題2で広告の自由度に大きな差があるとおっしゃられ、いわゆる健康食品のほうにむしろ一定の自由度があるということになっておりまして、意見3で健康食品の表示・広告の適正化と監視指導体制の充実を述べておられます。これは私も必要だと思っているのですけれども、これをどうやっていくのか。いわゆる健康食品というものに対する表示・広告の適正化をどう図っていって、監視体制あるいは指導体制をどう強化していくかということについて、御意見があればぜひお願いしたいと思います。

○迫委員 まだ明確なものとは思っていないのですけれども、健康食品、これはいろいろなところでモニタリングされてはいるのですけれども、行政の中でのモニタリングが中心かなという感じがしております。こういう健康食品の広告等のモニタリングについては、消費者がどう受け取ったかというところが非常に重要な観点ではないか。ということからすると、例えば広告適正化月間とか健康食品広告モニタリング月間という形で、消費者の側からそういう通報をしていただくとか、消費者団体で取り組みをしていただくという方法が1つあるのかなということは考えているところでございます。そして、その結果に基づき行政指導を行う。

もう一点は、先ほど健増法の話を申し上げましたけれども、それぞれの法律の所管がみんな違っているものですから、いわゆる縦割りという中で、なかなかうまく機能し切れない。これも昔よりは随分機能しているとは思っておりますけれども、そういうところからすると、執行体制の合理的な体制を組み上げていく。この辺は非常に重要なところではないかと思っております。特に消費者委員会、消費者庁がどういう体制をとっていくのか。モニタリング体制であったり、監視指導体制をとっていくことを主導できるような形が望ましいと思っております。具体的な話にならなくて申しわけございません。

○寺本座長 いかがでしょうか。ほかにはございますか。今の点も、恐らくこれからちゃんと議論しなければいけないポイントかなという気がしております。よろしゅうございますか。どうぞ、先生。

○梅垣座長代理 コメントです。条件付き特保ができたときに、私の記憶では、ちゃんとした科学的根拠があるものとないものを明確にしよう、できるだけ現状の特保に入らないものでもそれなりのものは条件付き特保に取り込もうということでした。今、機能性表示食品ができていますけれども、それができたのは、いわゆる健康食品というものから、できるだけ科学的根拠のあるものを取り込もうという考えだと思うのです。けれども、以前に条件付き特保でできなかったですね。だから、機能性表示でできるのかどうかというのは、少し考えたほうがいいのではないかと、先生のお話を聞いて思いました。

○寺本座長 ほか、よろしゅうございますか。

大体時間になってまいりましたので、本日の審議はここまでとさせていただきたいと思います。

次回は、表示・広告の2回目になりますが、本日に引き続いて委員から意見をいただきまして、また行政機関の対応状況なども確認を行った上で、本日の意見も踏まえて、委員、オブザーバー間の議論を行いたいと思います。

事務局のほうから何か連絡事項はございますか。

○丸山参事官 長時間にわたり、御審議のほど、どうもありがとうございました。

次回以降の日程につきましては、事務局のほうで調整させていただきます。

○寺本座長 では、どうもありがとうございました。

≪5.閉会≫

(以上)