消費者委員会委員、新開発食品調査部会・評価調査会委員 合同会議 議事録

日時

2015年3月10日(火)10:29~12:48

場所

消費者委員会大会議室1

出席者

【消費者委員会委員】
河上委員長、石戸谷委員長代理、阿久澤委員(新開発食品調査部会部会長)、高橋委員、夏目委員、橋本委員、唯根委員(新開発食品調査部会部会長代理)
【新開発食品調査部会】
板倉委員、大野委員(新開発食品評価第一調査会座長)、久代委員(新開発食品評価第一調査会座長代理)、清水委員(新開発食品評価第二調査会座長代理)、戸部委員、山崎委員、山田委員(新開発食品評価第二調査会座長)
【新開発食品評価第一調査会】
梅垣委員、志村委員、森川委員、山岡委員
【新開発食品評価第二調査会】
飯野委員、石見委員、岩崎委員、門脇委員、木内委員、木元委員、和田委員
【消費者庁】
川口次長、岡田審議官、竹田食品表示企画課長
【事務局】
黒木事務局長、井内審議官、大貫参事官

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

その他

特定保健用食品の表示許可にかかる消費者委員会への諮問範囲および消費者委員会での審議範囲について確認するため、消費者委員会委員および新開発食品調査部会・評価調査会委員と、消費者庁との意見交換を行いました。

○阿久澤部会長 皆さん、おはようございます。定刻より若干早いようですけれども、この時間に来ていただける方は皆さんおそろいですので、始めさせていただきます。

本日は、皆様、お忙しいところをお集まりいただきまして、ありがとうございます。ただいまから、特定保健用食品審査に関する消費者委員会委員、新開発調査食品部会、評価第一調査会、評価第二調査会、それぞれの委員による合同の会議を開催いたします。

この会議は、2月17日の規制改革会議健康・医療ワーキング・グループにおいて、消費者庁から、消費者委員会への特定保健用食品に関する諮問範囲が説明された際、消費者庁が定めている許可要件8項目のうち、一部の項目についてのみ諮問しているという説明があり、消費者委員会側の認識とかなり異なるものであったため、所管官庁である消費者庁の正式な見解をお聞きし、今後の特定保健用食品の表示許可に関し、消費者委員会の審議対象とすべき範囲を確認する場として開催するものです。

本日は、消費者庁川口次長に御出席いただいておりますので、まず次長から、改めて消費者庁の見解を御説明いただき、その後、各委員から御意見、御質問をいただくことといたします。本日は、非常に急な御案内となったにもかかわらず、多くの委員にお集まりいただきました。後ほど消費者庁の見解に対し、皆様から忌憚のない御意見などを頂戴できればと思っております。

なお、石戸谷委員長代理は所用でおくれて参加される予定ですので、よろしくお願いいたします。

では、川口次長から、消費者庁が諮問を行っている範囲、すなわち消費者庁が消費者委員会の答申に入るべきと考える範囲について、わかりやすく御見解を御説明いただければと思います。よろしくお願いいたします。

○消費者庁川口次長 御紹介いただきました消費者庁次長、川口でございます。本日は、御説明の機会をいただきまして、ありがとうございます。また、御出席の先生方におかれましては、日ごろから本日議題となっております特定保健用食品に係る審査につきまして、大変お忙しい中、精力的にお取り組みをいただきまして、ありがとうございます。この場を借りまして御礼申し上げたいと思います。

それでは、着席の上、資料に基づいて説明させていただきたいと思います。

諮問の趣旨と消費者庁の許可の運用方針につきまして、考え方を大きく4点に分けまして説明をさせていただきたいと思います。4点といいますのは、あらかじめ申し上げますと、1点目は、特定保健用食品制度の根拠法令ということでございます。2点目は、諮問等の制度的な根拠と内容ということでございます。3点目でございますが、諮問の考え方と許可権限の運用ということでございます。4点目でございますが、食生活の改善が図られ、健康の維持・増進に寄与する事が期待できるか否かの判断についてということでございます。以上4点につきまして、順次御説明をさせていただきたいと思います。

まず、1点目、特定保健用食品制度の根拠法令でございます。資料は、配付している特定保健用食品制度につきまして、適宜参照をお願いしたいと思います。特定保健用食品制度の根拠法令につきましては、この資料の2ページに主立ったものが書いてあるところでございまして、これにつきましては委員の皆様、十分御案内のとおりでございますが、健康増進法によりまして、販売に供する食品につき、内閣府令で定める特別の用途に適する旨の表示をしようとする者は、内閣総理大臣と書いてございますが、実際は消費者庁長官の許可を受けなければならないとされているところでございます。

この内閣府令で定める特別の用途に適する旨の表示の一つに特定の保健の用途というものがございまして、この用途に適する旨の表示をするものが特定保健用食品ということでございます。1点目の説明につきましては、従来、繰り返し説明しているとおりでございます。

次、2点目ということで、諮問等の制度的な根拠と内容ということにつきまして御説明したいと思います。

まず、諮問の内容ということでございます。この点につきましては、2ページに根拠条文がございますけれども、健康増進法26条第1項の規定に基づき、特定保健用食品の許可を行うに当たりましては、健康増進法に規定する特別用途表示の許可等に関する内閣府令、真ん中にあります第4条第1項の規定に基づき、特定保健用食品の安全性及び効果につきまして消費者委員会の意見を聴くとなっているところでございます。

これが諮問の内容ということでございまして、この点を確認しておりますのが3ページでございます。内閣総理大臣から消費者委員会委員長宛ての諮問書、これにおきましても、別紙で特定される食品の安全性及び効果について意見を求めるということが明記されているところでございます。資料はございませんが、答申におきましても、安全性及び効果について審査を行ったということが明記されるのが通例と承知しているところでございます。ですから、繰り返しになりますが、私どもから消費者委員会に諮問しておりますのは、特定の食品の安全性及び効果ということでございます。

次に、4ページをごらんください。消費者庁の許可に当たっての審査基準につきまして御説明いたします。これは、消費者庁が特定保健用食品の許可をするに当たりましての要件でございますが、これにつきましては法令には特段の定めがございません。消費者庁において許可するに当たっての具体的基準。これは、行政手続法第2条に言う審査基準に当たると考えておりますが、この審査基準を定めまして、特定保健用食品の審査等取扱い及び指導要領についての消費者庁次長通知、私の名前で10月30日に公にしているということでございます。

ちなみに、審査基準というのは定義が行政手続法にございまして、申請により求められた許認可等をするかどうかを、その法令の定めに従って判断するために必要とされる基準ということでございまして、いろいろな省庁で審査基準というものを定めまして公にしている。そのうちの一つということになろうかと思います。

ここに要件を8点書いてございますが、この要件はあくまで消費者庁が特定保健用食品の許可をするに当たっての審査基準でございます。この主語が重要でございまして、消費者庁が許可にするに当たっての審査基準ということでございます。審査をするに当たりまして、具体的基準を明らかにすることで審査の透明かつ公正な運用を確保するという趣旨でございます。以上が諮問等の制度的な根拠と内容という2点目でございます。

次に3点目、諮問の考え方と許可権限の運用について、考え方を御説明させていただきます。ここのところは、恐縮でございます、資料がございませんが、考え方を説明させていただきます。

まず、前提でございますけれども、先ほど御紹介がありましたが、規制改革会議において、特定保健用食品における審査手続の見直しについての審議が行われていると承知しております。ただし、審議は途中でございますので、結論が出ているものではございません。今後、何らかの対応が消費者庁においても必要になるということが考えられますが、本日は平成21年9月、消費者庁設立以来の運用を踏まえまして、現時点で理解していることを説明申し上げるということでございます。これが前提ということです。

次に、消費者庁の許可権限の運用についての基本的な考え方を申し上げます。これは、本件に限らず、行政処分一般についての考え方から出てくるものでございますが、この特定保健用食品制度の許可権限の運用の背景にもなっておりますので、一般的なところを申し上げますと、消費者庁としては、許可権限の運用については、申請により求められた許可という行政処分を行う以上、明確なルールに基づき、透明かつ公正な運用を行うことが必要というのが基本的な考え方でございます。

この基本的な考え方に基づきまして、特定保健用食品の表示の許可等につきましては、消費者庁において恣意的な形で審査がなされることがないようということで、2点留意して行っているところです。

1点目は、許可に当たっての審査の手順、また審査基準をあらかじめ広く周知しているということでございます。

2点目でございますが、十分な科学的知見に基づきまして、当該食品がその摂取者にどのような影響を与えるかとの観点から安全性及び効果を評価する。繰り返しですが、十分な科学的知見に基づき、当該食品がその摂取者にどのような影響を与えるかとの観点から安全性及び効果を評価するという考え方で、審査基準に定められた要件の適合性を判断しているということでございます。これが許可権限の運用についての基本的な考え方でございます。

次に、消費者委員会に諮問している趣旨は、私ども、現時点で考えていることでございますが、科学的知見に基づく安全性及び効果についての御意見をお伺いすることにより、許可の権限の運用に当たりまして、科学的知見に基づいた適切な判断を消費者庁において行うというものでございます。なお、この科学的知見につきましては、消費者庁においては必ずしも十分ではないということを前提にしております。

次に、諮問と、先ほど申し上げました許可の審査基準との関係について申し上げます。消費者庁が定めた審査基準は4ページにあるわけですが、これと消費者委員会に諮問している内容は3ページにあるような内容でございますが、この安全性及び効果との関係でございますが、これは必ずしも一致するものではなく、また審査基準のうち、一部だけを明確に特定して諮問しているものでもないということでございます。これは、このことの是非はいろいろ御議論があるかもしれませんけれども、現時点で消費者庁の定めた審査基準のうち、一部だけを明確に特定して諮問しているものではないということでございます。

次に、諮問と答申及び許可の運用の実態。実態でございますので、どこかに明確に書いてあるわけではありませんが、実態についての理解を申し上げます。これまでの諮問の実態といたしましては、申請書類を全てお渡しし、申請理由と食生活の改善の寄与による健康の維持・増進も含めまして、申請内容の全体像を御理解いただいた上、諮問している安全性及び効果の具体的な内容につきまして、消費者委員会の御判断に基づき、さまざまな観点から御意見をいただいてきたと考えているところでございます。

消費者庁におきましては、いただいた御意見につきましては、諮問を行っている趣旨に照らしまして答申の内容を精査し、答申を尊重して、審査基準にある4ページにある個々の要件につきまして個々に判断を行いまして、消費者庁が行います許可の判断に反映してきたと考えておりまして、今後についてもそうしていきたいと考えております。

なお、少し脱線いたしますが、厚生労働省時代と、平成21年9月以降でどう違うかということにつきましては、消費者委員会は消費者庁に置かれた審議会ではないということ、これが厚生労働省時代と異なっていると思います。その結果、消費者庁は御審議いただきます審議会の事務局ではないということでございます。消費者庁は消費者委員会の事務局ではない。諮問を行い、行政処分を行う主体としての消費者庁と審議を支える事務局とが分離している。この点が厚生労働省時代と異なっているということでございます。

ただし、消費者庁の設立の際に、厚生労働省から消費者庁に権限の移管がございましたが、これにつきましては、厚生労働省において審査及び許可を行っていた定員がそのまま消費者庁に移管されております。また、専門性については、厚生労働省より専門的知見を有する人材を活用するとの考え方のもとに、定員を移管に加えまして、その定員を満たす実員につきまして、厚生労働省から専門的知見を有する人材に出向してきていただいております。ちなみに、現在、食品表示企画課には厚生労働省から8名の方が出向してきてもらっておりまして、本件だけではございませんけれども、消費者庁の食品表示について活躍いただいているということでございます。

また、内閣総理大臣は特別用途表示についての許可を行うに当たりまして、必要な試験及び収去した食品の試験につきまして、独立行政法人国立健康・栄養研究所でそれを行うという権限を有しておりまして、これにつきましても法改正をしております。独立行政法人国立健康・栄養研究所法の主務大臣にも、内閣総理大臣が名を連ねているということで権限を持っております。これはちょっと脱線でございますが、以上が3.諮問の考え方と許可権限の運用についての御説明でございます。

次に、4番目でございます。食生活の改善が図られ、健康の維持・増進に寄与する事が期待できるか否かということの判断につきまして、少しフォーカスして御説明いたします。

まず、資料の2ページの一番下に問8というのがございます。質疑応答集でございますが、これをごらんいただきますと、消費者庁におきましては、特定保健用食品の許可に当たりまして、消費者庁の審査基準のうち、4ページに審査基準がございますが、(1)の適合性の判断に当たりましては、この(2)以降の要件には適合するものの、安全性及び効果について明確に否定すべきものがあるかが重要となると考えております。

それで質疑応答集に戻るわけですが、保健機能食品の表示が望ましくない食品につきまして、厚生労働省から引き継いだ質疑応答集の中で、ある成分が含まれることで摂取による健康への悪影響も否定できないアルコール飲料、あるいはナトウリム、糖分等を過剰に摂取させることになる食品につきまして、(1)の要件に適合しないものとして対象から除外する。これを質疑応答集の問8で明確にし、世の中に公表していると理解しております。これらにつきましては、健康への悪影響が医学的、栄養学的に明らかであることから除外されているものと理解しておるところでございます。

次に、2ページの問8の質疑応答集に示されていない食品形態についての考え方でございます。一般的に言えば、新たな食品が販売されたり、あるいは新たな科学的知見が生じたことなどにより、この2ページの問8に書いております望ましくない食品というものが増えたり、あるいは減少したりすることはあり得ると考えているところでございます。質疑応答集の問8におきましても、例えば何々等は望ましくないという形で示しておりまして、これ以外に望ましくない食品があり得る、あるいは将来生じ得るということは排除していないところでございます。

ただし、これは厚生労働省から引き継いだものではございますが、私どもの現時点での解釈でございますが、この質疑応答集に具体的に触れられていない食品形態につきまして、先ほどの4ページの私どもの許可要件の(2)から下、全て満たすにもかかわらず、その食品形態が(1)の要件に不適合であるということをもって不許可にするためには、十分な科学的知見に裏づけられた、相当程度に明確かつ直接的な根拠が必要と考えているところでございます。この考え方の背景でございますが、先ほど申し上げましたように、許可権限の運用につきましては、許可という行政処分を行う以上、明確なルールに基づきまして透明かつ公正な運用を行うことが必要という基本的な考え方に基づくものでございます。

ただし、先ほど申し上げましたように、望ましくない食品が増えたり減少したりすることはあり得るという前提でございますので、一旦こうしたものの存在が将来明らかになった場合には、速やかに質疑応答集等にも盛り込むべきものと考えておるところでございます。

なお、科学的知見ということにつきまして何度か申し上げましたが、これにつきましては、その時点における医学・栄養学等の諸学問の水準を初めといたしまして、その他食品の安全性及び効果を判断するに当たって影響を及ぼし得る知識と考えておりますが、科学的知見と言う以上、行政庁が安全性及び効果を判断するに当たりまして、影響を及ぼし得る程度に確立された科学的知識である必要があり、特定の方が有するものではなく、客観的に社会に存在する知識である必要があると理解しております。これにつきましては、科学的知見あるいは知見についての行政庁の一般的な解釈を踏まえたものと理解しております。

続きまして、健康の維持・増進と安全性及び効果に関する答申、この関係につきまして付言したいと思います。十分な科学的知見に基づいてなされる場合には、安全性及び効果についての個別の諮問に対応いたしまして、消費者委員会の答申の中で、食生活の改善が図られ、健康の維持・増進に寄与する事が期待できないとの判断が示されることもあり得ると考えております。

ただし、その際には、あわせて関与成分について保健の目的が期待できる旨が明らかであるか否かとか、あるいは適切な摂取量が医学的・栄養学的に設定できるものであるか否かなどについての御判断についても、消費者庁に理解が可能となるような形で答申をお願いしたいと考えているところでございます。

なお、必ずしも、今、申し上げましたような科学的知見に基づくものではないという場合でも、消費者委員会でいろいろ御議論いただいて、特定保健用食品制度の在り方、あるいはその運用等につきまして消費者委員会として御意見をいただくことを排除するものではございませんで、その際には、消費者委員会として建議など、別の形で別途御意見をいただくということはあり得るものと考えております。ですから、それを別にいたしまして、個別の諮問に対応する答申という形では、こういう形でお願いしたいということを申し上げたものでございます。

以上4点申し上げましたが、これがこれまでの運用を踏まえた諮問の趣旨、消費者庁の許可の運用の方針につきまして、個別に委員の方のお話を聞いたりし、私どもでさらに検討し、さらに過去を振り返って考えたことを整理したものでございます。

規制改革会議におきまして御議論ございますが、これにつきましては議論の進展も見つつ、消費者庁において検討し、仮に本日の説明と異なる考え方により諮問するという、将来、そういう場合には、改めて御説明させていただきたいと思っております。本日のところは、最初に申し上げましたように、平成21年の消費者庁設立以来の運用を踏まえました、現時点で理解していることへの説明でございます。

以上でございます。ありがとうございました。

○阿久澤部会長 どうもありがとうございました。

それでは、委員の皆様から御意見、御質問などいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。どうぞ、山田委員。

○山田委員 御説明、どうもありがとうございました。

私がこれまで審査に当たって重点的に考えていた仕組みというのでしょうか、順番を私の理解の範囲で申し上げさせていただきます。

特に第一調査会あるいは第二調査会、そして部会というものがございますけれども、4ページで見ますと、調査会においては、もちろん(1)を念頭に置きながら、(2)効果、(3)摂取量、そして(4)も安全性ではありますが、これは食品安全委員会がございますので、そこに詳しく見ていただくということを前提にして、そのほか(5)、(6)、(7)、(8)を念頭に置いて判断させていただきました。

健康の維持・増進に寄与する事が期待できるということについては、今、次長が申されたような十分な明確な科学的根拠ということは、なかなかすぐには出てこないと思います。その点については、調査会では(2)、(3)を主に論文を見て、恐らく(1)を考える場合には、可であるか、否であるかということを入れながら、調査会レベルでも、そこで部会に上げるか、上げないかということを考えてきました。そして、その判断が大変難しい場合には、部会で(1)について、多くの分野の方々が、この食品をとることによって期待できるか否かを総合的に判断してという、その2段の構えで私は審査してまいりましたし、これまでも調査会でも部会でもそのような発言をしてきたつもりです。

ですから、ただいま次長が言われたように、(1)が消費者庁で検討して、そこで判断するという認識では今まで見ていませんでした。また、そのような説明も私たちは受けていなかったと思います。そこの違いが、ただいま消費者委員会の委員長も考えられていることじゃないかと考えております。これが今の御説明を伺いましての私の率直な意見です。

以上です。

○阿久澤部会長 どうもありがとうございました。

どうぞ、次長、お願いいたします。

○消費者庁川口次長 今の山田先生からのお話につきましては、消費者委員会での検討の順序についての、今まで長年の御苦労を踏まえた流れということだと思いますが、私の発言をちょっと補足いたしますと、(1)について、もちろん消費者庁で判断いたしますが、消費者委員会への諮問の外であるということではないということを申し上げた次第でございます。ただし、その際にお願いしますのは、(2)以下は問題ない。しかし、(1)で最後の決め手のところで御判断される場合には、科学的知見に基づいたものでお願いしたいということを申し上げたのと。

(2)以下、(2)、(3)、(4)についても、御判断を消費者庁から判断できるもの。これは、答申の中で明示していただきたいということをお願いした次第でございます。

ですから、判断の経過、もちろん消費者庁も検討に陪席させていただいているわけでございますが、消費者庁が外に向かって許可していく、あるいは不許可とする、あるいは条件をつけるという際に、消費者委員会での御審議の結果を要約して説明する必要がございますので、その結果につきまして、(2)以下は問題なかったのだけれども、総合判断の中で適当でないという判断に至ったというようなことは明示していただきたいということでありまして、(1)は消費者庁が独占的に判断するので、検討しなくて結構ですということを申し上げたわけではないということでございます。

○阿久澤部会長 ありがとうございます。

大野委員、どうぞ。

○大野委員 大野と申します。今、第一調査会の座長を務めさせていただいております。

第一調査会でも、トクホ候補物の効力なり安全性なりを審議するときに、根拠、基準を決めるときに、国民の食生活の改善が図られる、健康の維持・増進に寄与するかどうかというレベルでの基準でもって、有効性なり安全性なりを判断してきたつもりでございます。

それで、今、次長は、(1)を理由に不許可にする場合には、それについて十分な根拠がないといけないとおっしゃいましたけれども、それについて曖昧だということが多いわけですね。(1)を満足することを立証する責任は企業にあると思います。それについて曖昧だから、私どもは許可できないということは可能なのではないかと思いますけれども、その点はいかがでしょうか。

○阿久澤部会長 お願いいたします。

○消費者庁川口次長 曖昧なので不許可にするということもあると思いますけれども、そこについての消費者委員会の御判断をいただきたいということであります。私どもとしては、(2)以下については相当程度明確な基準だと思っておりますが、(1)の判断ということが消費者庁としても非常に重たい判断をしなくてはいけませんので、そこについての消費者委員会としての御判断を科学的知見に基づいていただきたいと思いますので、企業の情報からすると十分ではないというのも、またこれは御判断の一つだと思いますけれども、なぜここに当たらないのかということについて、消費者庁としては、先ほど考えましたような問8の基準で基本的に判断しております。

問8を将来、カテゴリー以外に拡張すべきということも、これは十分あり得ると。これも御審議いただいて結構なのですけれども、そのことも明示的に答申の中に盛り込んでいただくということをお願いしたいと思いますけれども、(1)のみで不許可とするには、相当の明確な根拠が必要と、消費者庁としては考えているということでございます。ただ、その前提として、消費者委員会しては、今までの検討の長年の歴史、実績、経緯があると思いますので、それに沿って明確に御答申いただければということでございます。

○阿久澤部会長 どうもありがとうございます。

両座長のほうから、今までの審議をこのような形でやってきたという報告も含めて御発言があったわけですけれども、両者とも、安全性、効果等を念頭に置いて審議してきていること。そして、(1)について、曖昧な場合は企業に質問なり問い合わせ、それについての回答が不十分であることから、曖昧であるということをクリアできない場合の答申もあるわけですね。それに対して先ほど川口次長は、そういう内容については消費者庁で理解できるような形での答申をしてほしいと。その理解できる内容でというのは、どういうことなのでしょうか。考え方がもし違うと、それは理解できないことになるかと思います。

○消費者庁川口次長 答申の形につきまして、消費者庁のほうで形を特定してお願いするのは、余り適当でないのかなと。それ自体が消費者委員会の自由な御審議を制約し過ぎてはいけないと考えているのですが、私どもが許可を審査する際には、消費者委員会での答申の結果を踏まえまして、7の(1)から(8)にそれぞれ判断していくことになります。

例えば(2)、(3)、(4)につきまして、科学的データは十分なのかという点の御判断は十分だけれども、(1)を考えていくと、そこは十分ではないとか、同じ結論でも1行、ぽんと出てくるということではなくて、(2)、(3)、(4)を前提に(1)の結論を出されるとか、あるいは(1)を念頭に(2)、(3)、(4)を検討されるとか、御説明ございました。両方あり得るものだと思っておりますが、(2)、(3)、(4)のような、より科学的データの裏づけで白黒がはっきりするようなものについて、どういう判断をされたのかということも、消費者庁から見てわかるような御答申をという趣旨でございます。その上で、トータルで否定的だというのであれば、その理由をということでお願いしたいということでございます。

○阿久澤部会長 どうもありがとうございます。

戸部委員、どうぞ。

○戸部委員 御説明、どうもありがとうございました。

御説明の内容は理解しましたし、制度の安定性とか信頼性という意味では、ある一定の基準でもって判断しなければいけないということも理解しましたけれども、これまでの審議の対象の品目の中では、7の(1)で非常に心配なものといいますか、今はどうかわからないけれども、この商品を出したときに市場でどう捉えられるのか、消費者がどう使うのかというところで、調査会の場で議論しているだけではなかなか判断がつかないものがありました。心配しつつ答申しているという事例、出してみないとわからない、市場に置いてみないとわからないものなどが結構あると思うのです。

そういう場合は、今、わかる形で答申してくださいということですが、例えばこの品目については、販売後に一定期間、どういう使われ方がされているかというのを調査して報告してくださいという答申の仕方でもいいのですか。

○阿久澤部会長 お願いします。

○消費者庁川口次長 基本的には、安全性及び効果ということで諮問しておりますので、その安全性及び効果についての答申であると消費者委員会として御判断されるものであれば、あるいはそういうもので御判断されるものであるという前提で、答申の在り方というのは委員会の責任で工夫していただければと考えるところでございますし、これまでもそういうものだったのかなと理解しております。

その上で、消費者庁の方で、その内容につきまして、今回、必ずしも結論においては同じではなかったわけですけれども、基本的に最大限尊重して許可に反映しようという姿勢は持っておりますので、同じ結論にしなくてはいけないのか、あるいは条件つきであるべきなのかなど、行政庁として世の中に説明していることとの整合性の範囲で、何ができるかというのを考えていきたいと思います。

答申の中に、改めて報告するということがついた場合につきまして、対応はここで直ちに申し上げられませんが、答申の在り方というのはいろいろな形があり得るのではないかと思いますので、これは委員会の責任で基本的に御検討いただければ。安全性及び効果という点からして、非常に重要だという御判断であれば、いろいろな形で報告していただくことはあり得るのではないかと思います。

○阿久澤部会長 どうもありがとうございます。

久代委員、どうぞ。

○久代委員 私自身は内閣総理大臣からの諮問されている食品の安全性及び効果についてということでは、資料4ページの(1)が最も重要であると考えております。(2)から(8)はその必要な条件であり、(1)を達成できるかどうか、あるいはそれが期待できるかどうかという観点で関与してきました。例えば、コレステロール、血糖とか中性脂肪については、対照食品と比べて、有意差は出ていますけれども、大きな差が出ているわけではありません。試験で効果が認められていても、定期的に長期間摂取し続けてどの程度に健康増進が達成できるかについて十分な科学的根拠はありませんが、期待できるということで賛成してきました。

先ほどの御説明で、ノンアルコール飲料については、(2)から(8)は充足するけれども、(1)が十分でないことを理由に認可しない場合には、十分な科学的根拠がなければいけないとのことですが、認可されたものについても十分な科学的根拠があるわけではありません。

認可することに対しては、十分な科学的根拠がなくても良いが、認可しないことに対しては、十分な科学的根拠がなければ認可しないわけにいかないというのは、理解できませんでした。具体的に説明していただけますでしょうか。

○阿久澤部会長 お願いいたします。

○消費者庁川口次長 消費者庁の運用といたしましては、どうしているかということが1つございます。消費者委員会のほうの御審査につきまして、それを踏まえていただくにしても、全く同じである必要はないと思っております。消費者庁の運用としまして、どうしているかということにつきましては、(1)につきましては、基本的には問8の答えというのは現時点で除外されるものだという前提で考えておりまして、将来的に除外されるものがあり得るとしても、(2)、(3)、(4)等を満たした場合に健康の維持・増進に寄与する事が期待できないものではないという、最後の確認。そういうことは必要条件であるけれども、基本的に(2)以下を満たしたものにつきましては、満たしたもので問8の答えでないものについては、原則的には許可を行うという方向で今まで運用してきたということでございます。これは、消費者庁の運用ということでございます。

その上で、今、お話をお聞きしておりますと、(2)、(3)などを判断する際にも(1)のようなことを念頭に御判断いただいている。それは、消費者委員会の安全性及び効果についての御判断をされる際に、そういう前提で御判断されているということは、今日、お話をお聞きして、私ども理解いたしましたが、消費者庁の検討過程のときの(1)と、それから消費者委員会の皆様が御検討されているときの(1)の位置づけが、ちょっと異なっているのかなと思いましたが、繰り返しになりますけれども、消費者委員会におきまして、必ずしも消費者庁の審査基準どおりの審査をしていただく必要はございませんので、ここについて必ずしも一致していなくてもしようがないのかなと思います。

○阿久澤部会長 どうぞ、志村委員。

○志村委員 この第4条に書かれている「効果」という言葉です。実は私たちが審査させていただいているのは、申請書のデータから読み取るのは決して「効果」ではなくて「効能」。特定の集団、特定の条件下で調べた。そして、対象食品と当該製品の比較であってということ。であるから、これまで効果を評価する上で(1)の検討というのはずっとやってきたことであろうかと思います。この問8に書かれていることも、私たちの評価の際には、これを実際行ってきた。これを踏まえてのことで今まで答申していると私は認識しております。

ノンアルコール飲料に関して言えば、これはアルコールが含まれない。また、エネルギーも含まれないという意味では、(1)を十分に満たしているのではないか、これは私個人の認識であります。だから、これをトクホとして出したときにどういう影響があるかというのは、(1)の評価とはまた別の問題ではないかと認識しております。

以上です。

○阿久澤部会長 ありがとうございました。

どうぞ、久代委員。

○久代委員 ノンアルコール飲料自体を否定するものではありません。今回申請された食品についても、対照飲料に比べ生物学的な指標に有意差が認められています。しかし、ノンアルコール飲料がトクホとして適しているかどうかということについて、私たちは判断を求められていると考えています。国民全体の健康増進に寄与しないリスクが懸念されるので私は反対しました。

先ほどの御説明では、健康増進・維持に寄与しないという十分な科学的根拠を示さなければ許可しないことはできないという立場とは異なっていると存じます。寄与しないことについて科学的根拠を誰が示すのか、消費者庁が大規模調査をされるのでしょうか。そういう道筋がない段階で、科学的根拠がなければ認可しないわけにはいかないという言い方には、私は賛同しかねます。

○阿久澤部会長 いかがでしょうか。(1)に対する強い根拠について。

○消費者庁川口次長 意見が異なるので結論が異なったということかと思いますけれども、私どもとしては、不許可とするためには明確な根拠が必要だと。ただし、御審議の趣旨を十分踏まえまして、問題が生じないようにするという工夫は今回もさせていただきましたし、今後もさせていただきたいと思っておるところでございますので、まず委員会としては、安全性及び効果ということで、委員として多様なお考えがあろうかと思いますが、科学的根拠に基づいて御議論いただいて、それで答申にふさわしいものを出していただければ、それは私ども、毎回、答申ごとに、個別の商品の個別の審査でございますので、個別によく検討させていただきたいということでございます。

ですから、判断のところで必ず一致していなければならないということではないと思っております。現時点で本日も御意見承りましたので、今後の審査にも参考にさせていただくということではございますけれども、それは諮問の対象が何であるかということではなくて、諮問を受けた答申の中身についての御見解ということでございますので、それは消費者庁が一旦許可したから、それと同じでなくてはいけないということを申し上げるつもりもございません。ということでございます。

○阿久澤部会長 山崎委員、どうぞ。

○山崎委員 幾つか論点がありそうなのですが、まず1点目は、この消費者庁が設定されている許可要件と消費者委員会が審議する場合の審議事項とは、必ずしも一致しなくてもいいという御発言をされたのですが、これはむしろ一致しているべきだと私は思っていますし、実際に消費者庁の許可要件がきちんと満たされるかどうかという観点で、私どもは審議してきたつもりです。ですから、ここは一致するように今後もぜひそういう運用をしていただきたいというのがお願いです。

それから、もう一点、座長からも御意見がありましたけれども、消費者庁が理解できる答申というのがどういうものかというのが、もう一つイメージがわかないのですが、ここの要件に挙げられているようなことを個別要件ごとに具体的にわかるように書くという意味であるとしますと、現在のトクホの申請書が、この要件を満たしているかどうかを簡単に判断できるような様式になっていないのですね。ですから、消費者庁が理解できる答申を本当に希望されるのならば、申請書類の様式をぜひとも考え直していただければというのが、私の個人的な希望です。

それから、消費者庁が要件に合うかどうかの判断を容易にできる答申ということですと、1つのイメージとしては、この判断がいったいどういう根拠に基づいているかを一つずつ示しなさいということなのかなと想像するのです。そうすると、食品安全委員会が厚生労働省に対して答申書を書いているような、具体的な根拠をだーっと書いて、それらに基づいてどう判断したかを述べるという答申書のスタイルをイメージされているのかなということを、お伺いしたいと思います。

あと、食品安全委員会の場合、大きな問題になりますと、通常形式の答申書とは別に、何々の考え方という、相当厚い答申書別添に該当するものをつくっています。例えば、大豆イソフラボンのときはその考え方をつくっています。コエンザイムQ10の場合もそれだけで評価書をつくっている。そういう特別な場合もきちんと対応しているのですが、食品安全委員会のような答申書を書くことを消費者委員会にも求められているのか、御意見をお伺いしたいと思います。

○阿久澤部会長 では、消費者庁、お願いいたします。

○消費者庁川口次長 具体的に消費者庁において、個々の論点についての結論の当否は委員会で御判断されること、それを前提に消費者庁が判断していくということでありますので、個々についてあらかじめ一致する必要はないのではないかということを申し上げました。

それから、消費者庁の許可要件と、安全性及び効果ということが完全に一致する必要はないのではないか。これは範囲の問題でございますので、消費者庁はさまざまな許可要件を事務的に確認するところもございます。ただ、その重要なものが安全性及び効果であることは間違いないわけでございますので、完全に一致するものではないと申し上げましたが、かなり重要なところが安全性及び効果であることについては、否定するものではないわけでございます。

その上で、消費者庁から判断できるようなもの。ですから、内容は委員会で御判断していただいて結構なのですけれども、結局、7の(1)から(8)のようなことについて判断いたしますので、委員会の知見を待つまでもなく、消費者庁で判断できるであろうということまで答申に入れていただく必要はないわけでございます。7の(2)、(3)、(4)を前提に(1)を御判断されていますということを御発言なされた委員の方がいらっしゃいますけれども、そうであれば、その前提のところではどういう判断をされたのか。いわば、結論のところが明らかであれば、その根拠まで詳しく厚いものがなされるという必要はないのかなと思います。

ただ、さっき申し上げましたのは、(1)というのが非常に難しいというお話がございましたので、難しいということについて御判断されるということであれば、そこについてはどういう判断基準でそういう結論に至ったかということについて、わかるようなものを示していただくということがありがたい。そのデータが不十分ということも、それは一つの根拠になるかとは思いますけれども、(1)の前に(2)から(4)の判断ができるし、それについてできたということであれば、それなりのものを明示していただくということをお願いしたいという趣旨で申し上げた次第でございます。

それから、どのぐらい大部のものかについて、現時点で答えを持ち合わせておりません。必ずしもそういう大きなものが必ず必要だということを申しているわけではございませんで、そこは委員会が非常に難しく重要な件であるので、大部のもので答申しようという御判断であれば、それは答申を十分精査させていただく上では大変ありがたいということでございますけれども、分量について、あらかじめここでこうしてくださいというお願いをするものはございません。

○阿久澤部会長 ありがとうございました。

どうぞ、木内委員。

○木内委員 まず、1つお伺いしたいのですが、消費者庁として、この特定保健用食品の制度の理念というのをどういうふうにお考えでしょう。

○消費者庁川口次長 制度を設置している趣旨ということにつきましては、健康増進法に目的があるということだと思いますので、国民の栄養の改善その他国民の健康の増進を図るための措置を講じ、もって国民保健の向上を図ることを目的とするというのが健康増進法でありますので、その措置の一環といたしまして、この制度があると理解しております。ですから、私ども、先ほど審査基準ということを申し上げましたが、審査基準などを作る際、あるいは内閣府令を作る際においては、この法律の趣旨・目的を常に参照しつつ、作るべきと思っております。

○木内委員 そういうことだと思うのですけれども、それで審査基準の(1)の部分ですが、これは健康の維持・増進に寄与する事が期待できるものということで、それに沿った判断ということなのですが、ある面、維持・増進が期待できるけれども、反面、ネガティブな面も持ち合わせている。こういった場合、どう判断されるのでしょうか。

○阿久澤部会長 お願いいたします。

○消費者庁川口次長 ある面、期待できる成分が入っていますと。ただし、全体としてネガティブであります。アルコールにつきまして除いておりますけれども、アルコール飲料についてはまさにネガティブなものが上回るということだと思っております。ですから、アルコール飲料と同等のものというものが科学的知見に基づいて特定されるのであれば、そういうものが追加される余地があると考えております。ですから、一部のみで最終結論に至らないという趣旨で、7の(1)というのがあるのだと思っております。

○木内委員 ですけれども、先ほどの話だと、質問の8に挙げてあるものが判断の対象で、ほかは違うという御回答だったと思うのですけれども、例えばチョコレート。今、トクホで認められているものは、う蝕を少なくするという形で糖分を減らしているものがあります。ですけれども、このチョコレートに例えばカルシウムを加えて骨そしょう症にというものにした場合、お砂糖はそのまま。ですから、う蝕の原因になる可能性はあるのですね。そのう蝕の可能性を排除するようなものは、トクホとして認められている。ですけれども、そのファクターはそのままにして、新たなものを加える。カルシウムは一般的に成分として認められていますから、いいのだと思いますけれども、こんな場合、どうされますか。

○阿久澤部会長 消費者庁、お願いいたします。

○消費者庁川口次長 今のような場合、まさに消費者委員会で、まず御審議いただいて、科学的知見に基づいて御判断されて答申をいただいて、その上で私どもとしてそれを尊重し、結論はどうするかというものは個別のもの次第でございますけれども、まさに実際の成分、それからチョコレートの問題、それぞれについて科学的知見に基づいた御検討をいただいて御答申をいただければと思います。その結果、個別の食品を見ないと、現時点では結論を申し上げることはできないということでございます。

○木内委員 ですから、特に問8に掲げているもの以外は、フリーで、無条件で認可しなきゃいけないと考えているというわけではないわけですね。

○阿久澤部会長 お願いいたします。

○消費者庁川口次長 問8というものは出していますということですから、問8に当たるものは許可すべきではないと思っていると。ただ、問8以外にも望ましくない食品はあり得る。それから、将来出てき得ると思っております。これは、食品が新しく出てくるということと、科学的知見が充実すると、両方の可能性があると思います。ただ、今まで申請がなかったということで議論にならなかったというのもあるかもしれません。ですから、これだけが全てであると思っているわけではございませんが、ここを追加するような重要なものにつきましては、やはりしっかりとした科学的知見に基づいて御答申をいただきたいということをお願いした次第でございます。

○木内委員 最後にしますけれども、今の科学的知見という。先ほどもお話が出ましたが、要件の(1)の部分、要件としては期待できることということで、それに対して十分な科学的な知見があることということだと思うのですが、先ほどのお話だと、許可しないときにネガティブな、要は許可できないことに科学的な知見が必要だというお話でした。ですけれども、許可の要件というのは期待ができることという。それが十分見つからなかったら、要は科学的根拠がないということになると思うのですけれども、そこに対するお考えはいかがでしょう。

○阿久澤部会長 お願いいたします。

○消費者庁川口次長 消費者庁として、現時点ではそういう運用をしていますということですので、特に(2)以下は満たすけれども、(1)のみをもって不許可とするに当たっては、十分な明確な根拠が必要だと現時点では思っておりますということでありまして、そのこと自体について消費者委員会で別の御意見をお持ちになるということであれば、これは個別の許可ではなくて、一般的に何らかの形で御意見をいただければ、それはそれで、その時点で参考にさせていただきますということですが、現時点での運用としては、そういう形にしております。

(1)の理由ということにつきまして、問8を明らかにしておりますので、問8に挙がっていないものは許可されるのではないかという期待が国民の中にあるという前提でございますので、それを不許可にすることはあり得るという前提でございますけれども、明確な根拠が必要になるのではないかという運用をしておりますということでございます。

○阿久澤部会長 どうぞ。

○大野委員 どうしても確認したいのですが、先ほど次長はデータが不十分ということは不許可の根拠になるとおっしゃったのですけれども、それでよろしいわけですか。そういう理由で、(1)項を期待できるということに関するデータが不十分だということで不許可ということもよろしいとお聞きしたのですけれどもね。

○阿久澤部会長 お願いします。

○消費者庁川口次長 消費者庁でどうしているかということについて言えば、(2)、(3)、(4)を確認した上で、(1)については、(1)のみをもって不許可にする際には、不許可にすることについて明確な根拠が必要であると運用していますと。ただ、消費者委員会で御答申いただく際には、(1)のようなことが適当でないとするならば、それがなぜかということについてデータが十分でないという御判断の上、答申されるということであれば、そういう理由を明示した上で御答申いただきたいということであります。

その上で、消費者庁がどのように考えるかについて、一般的にはなかなか申し上げられないのですが、今まで運用においては、繰り返しですが、(2)以下について満たしており、問8も満たしているものについては、相当程度高い、それを否定するには明確な根拠が必要だという運用をしております。それについて、消費者委員会では、私どもはここの安全性及び効果という一般的な諮問でございますので、健康増進法のもとに置かれた制度における安全性及び効果についての諮問でございますから、そこについては委員会の御判断で、きょう御説明、御意見としていただいたものの前提となるのかと思いますけれども、答申をいただければということでございます。

答申としてはあり得るけれども、消費者庁としては、今までの運用としてはちょっと違う運用になっているというのも事実ということでございます。

○大野委員 ありがとうございます。

○阿久澤部会長 森川委員、どうぞ。

○森川委員 皆さんがこのトクホについて一番心配されているのは効果についてだと思います。その効果がひとり歩きしているのです。きょうの新聞広告にも入っていますけれども、こんな大きな広告で出ていて、それこそ統計と言っていますけれども、統計的に有意差なのはたった1カ所です。トクホのマークがこんなに大きく広告されているのです。実は、効果についての十分な科学的根拠は示されていないのです。効果の基準となるものは、今、薬の世界では、世界中で、トゥルーのエンドポイント(真のエンドポイント)、患者さんの健康に本当に役に立っているかが基準となって薬の効果が判断されています。

一方、仮のエンドポイントというのは、サロゲート・エンドポイントと言います。何でもいいですけれども、例えば抗がん剤でがんの直径は小さくなった。けれども、真のエンドポイントとしての延命効果がない場合は、例えばベバシズマブ、FDAでも許可を取り消しています。ベバシズマブは副作用もありましたが。

だから、消費者庁は、国民の立場で考えることが1番ですので、消費者本位に考えたら、本当にこれらの許可されているものが真のエンドポイントで国民の健康増進に役に立っているのかということを問うべきなのです。あるいは、そういうデータが出されたら、許可を出すべきなのです。実際に出ているものは、血中のコレステロールがちょっと下がった。血中へのコレステロールの吸収を下げた結果が示されているだけです。けれども、表示にはコレステロールを下げると書いてあるのです。データと表示には非常に大きな乖離があるのです。

私が非常に心配するのは、今、年金で暮らして、年金も十分にもらえず、健康保険にも入れない人もいっぱいいるわけです。そういう人たちがこんな広告を見て、これで効くのではないか。病院には行けないけれども、おじいさん、おばあさん、これだけ買って飲んでいれば安心だよということも現実には起きているのではないか。これは私の想像ですけれども。だから、このトクホを認可する場合、許可する基準を否定する十分な科学的な根拠が必要であるとおっしゃいますけれども、本来の効果自身のところに非常に不十分なデータしかないのです。1,000万本を売ったと広告に書いてありましたが、それだったら、本当に効いたことを示す真のエンドポイントのデータがあるのか。

実際にあれば、これは世界に販売できますから、大変立派な商品であると思いますけれども、効果は全くフォローされていないことが非常に問題であると思います。あくまでトクホの根拠データはサロゲートな(仮の)エンドポイントです。要するに、血中濃度がちょっと下がったというだけの話です。これを十分な科学的根拠というのは、今の科学の常識では考えられないことであると思います。

○阿久澤部会長 どうもありがとうございます。

では、石見委員、どうぞ。

○石見委員 国立健康・栄養研究所の石見でございます。

特定保健用食品の許可の要件というところで、前回の規制改革会議のワーキング・グループでは、消費者委員会には(2)、(3)、(4)だけをお願いしているというお考えだったのですが、今回、次長から、特定の項目について消費者委員会に諮問しているわけではないということで、全体を見ていただきたいというお話がありましたので、御理解いただきまして、感謝申し上げたいと思います。

それから、(2)、(3)、(4)、科学的根拠にしっかり基づいて判断するということですが、その上で(1)について健康の維持・増進に寄与する事が期待できるものでない場合は、科学的根拠を出してくださいというお話でした。そこも理解はできるのですけれども、私たち、今まで厚生労働省の時代からも関与していますけれども、(2)、(3)、(4)は満たすけれども、(1)でどうしてもトクホになじまないものがあるという場合に、よく直面いたします。厚生労働省の時代ですけれども、ここで一番問題になったのは、医薬品と間違うような形態で、カプセル、錠剤で瓶に入っていて、消費者がこれを見たら医薬品だと間違うことは大いに想像できるということで、それは結局許可されませんでした。

ですから、ここの部分で(1)というのは、リスク評価ばかりではなくて、リスク管理のところも読み取らなければいけないと私は考えておりまして、消費者委員会では(1)については科学的評価だけでお願いしますということであれば、消費者委員会もそれについて科学的根拠があれば出すべきだと思いますし、ない場合は十分に期待できるものではないということで答申してくださいというお話だったので、そのような方向で行く可能性があるとは思われますが、私が消費者庁様にお願いしたいのは、科学的根拠だけではなくて、そういうリスク管理というところで、国民の健康の維持・増進が本当にこの科学的根拠だけで言えるのかというところ、リスク管理機関としては、そういう科学的根拠だけでは説明がつかないところも酌み取っていただいて、消費者の側に立った判断をしていただきたいと期待しております。

よろしくお願いいたします。

○阿久澤部会長 ありがとうございます。

どうぞ、川口次長。

○消費者庁川口次長 ただいまの御指摘でございますが、個別の諮問に対する答申としてお願いしたいことということで主として申し上げましたけれども、個別の審査をする中で、その個別の商品のことには限らないけれども、運用あるいは制度一般について御意見をお持ちになるということはあり得ると思いますので、そういうものについて、必ずしも厳密な意味で科学的知見、通常の審査とはちょっと異なるかもしれないけれども、幅広い見地で日ごろ審査していることも踏まえて御意見をお持ちになるということについても、これは貴重な御意見だと思いますので、答申とはやや別な形で別途御意見をいただくことはあり得ると思いますし、それはそれでもう少し個別の審査を離れて制度設計の議論あるいは運用。あるいは、広告の点についても時折御指摘いただいておりますが、広告も健康増進法上、表示の一環として執行の対象になるわけでございますし、虚偽・誇大表示というのは禁止されているわけでございます。これは、個別の許可とはまたちょっと違う側面がございますけれども、消費者庁の法の運用の範囲ではございますから、そういうことについて、私ども不十分な点については御指摘いただくというのがあり得るのではないか。

ですから、それは答申に何を盛り込むかというのは、繰り返しでございますが、安全性及び効果ということについて、消費者委員会がそれに対するものだということについて、答申ということでいただく。それを超える外になるのではないかということについては、個別の答申とは別の形で御意見をいただければと思います。

○阿久澤部会長 ありがとうございます。

どうぞ、門脇委員。

○門脇委員 長年小児科医をやってきましたので、一言言わせていただきます。

ここの食生活の改善、健康の維持と増進、このことですが、トクホの許可の条件の一番として認められるべきだと思います。小児期の生活習慣に関しては、食生活の改善に値すると思いますが、20年前は高校生の80%以上が飲酒経験があった。最近、2012年のデータでは半分ぐらいに減ってきました。このノンアルコールを入れたきっかけになる人が35.3%とか、そういうふうにふえているとすれば、その食生活の改善に寄与するかどうかがまた問題になります。

もう一つですが、健康の維持・増進。これからがん年齢と高齢者を考えていただいてもいいのですが、ぜひ小児期も考えていただきたいのは、まだ18歳の年齢層にこういう商品が出回っていいものかどうか。

この健康の維持・増進ですが、小児期は成長しております。これが10年、20年たって、個人・国民にどういう影響を及ぼすか。それは、長く10年、20年見ないとわからないわけです。今、皆さん、十分な科学的根拠で判断なさっていますが、それは人間に限界がありまして、10年、20年経過した場合に、国民的、個人的にどうなっているか、推測しかねないところがあります。

十分な科学的根拠と皆さん、おっしゃいますが、人間の限界を超えた十分な科学的な根拠というのはありませんので、石見委員のおっしゃるように、リスク、これからどういうことが起きるか、絶対にフォローが必要じゃないかと思います。10年、20年の経過を観察する、これも消費者庁の責任ではないかと思いますので、ぜひその辺をよろしくお願いいたします。

○阿久澤部会長 ありがとうございました。

山田委員、どうぞ。

○山田委員 若干重なる意見なのですけれども、栄養機能食品が導入されたときに保健機能食品という形として、トクホも一緒にしてきた。その過程で、ある特別な個々の食品をずっと食べることによって、単純にある健康が増進するという、これは大変難しい考え方なので、その時代に「食生活は、主食、主菜、副菜を基本に、食事のバランスを」という、その食生活に対する反省の目ですか、個人が自分の食生活を見直すということに持っていかなければならないというキャッチフレーズを新たにつけた。

このようなことが全体にあるので、先ほど言われた健康の維持・増進、あるいは期待できるというのを測定するのはなかなか易しいことではないです。残念ながら、今もモニター制度はできていないと思います。また、許可しても、これを科学の進展で不許可にするという再審査の仕組みも、途中まで議論はしましたが、できていない。あるいは、部会、消費者委員会で否定されたものを消費者庁に預けて、そのうち消費者庁の食生活全体に寄与するかどうかということをある時点でイエスとする。そういう仕組みもなかなかできていない状況にあると私は考えています。

ですから、そういう仕組みをつくりつつ、食事で健康を維持・増進する。あるいは、一つの個々の食品でというのは、科学的には大変おもしろい話なのですが、先ほど来、各委員の方が言われているように、広告の問題もあれば、それから実際に効果が合っているのかということの明確な回答が出にくい状況にあると思います。繰り返しですけれども、そういうモニター制、再審査制というものを同時に加えながら、この制度をよりよいものにすべきではないかと私は考えております。足りないところが幾つもあるということを申し上げたいと思います。

○阿久澤部会長 ありがとうございました。

どうぞ、梅垣委員。

○梅垣委員 今のことに関連するのですけれども、十分な科学的根拠がないとか、あるとか、要はデータをつくらないと根拠は出てこないわけです。実際に私のところでトクホの利用実態調査を2013年にしました。そうすると、消費者はトクホの表示は余り見ていないことがわかりました。細かい表示はしてありますけれども、それは見ていない。要するに、摂取目安量とかどう使うかというのを見ていなくて、いい実感、効果の実感を得ていないという人は結構多いのです。一方で、ちゃんと見ているという人は、よかったという人も中にはいます。

ですから、どこが問題かというと、制度をつくって製品を許可されますけれども、その後のフォローがほとんどされていないのです。それが一番重要で、根拠がないから何もしないとか、根拠がないから却下できない。それは、ちょっとおかしいと私は思います。研究費をつけてフォローアップの研究をするとか、そういうことをやっていかないと、ただ単に許可だけしていても、いいものもうまく使えなくなるし、悪いものはどんどんふえていくという悪循環に陥ってしまいます。その部分をぜひ対応していただきたいと思います。

それから、私は許可要件の8個あるうちの(1)が一番重要だと思っています。消費者庁で許可されるときに、(1)に該当するものをまず審査して、それからほかの消費者委員会とか食品安全委員会に審査を諮問するというのが、順序としてはやりやすいし、多くの先生方が関係しますから無駄な作業をしなくてもいいと思います。

だから、まず(1)を消費者庁で判断して、判断できない場合もあると思いますから、その場合は消費者委員会とか食品安全委員会ですれば、企業も早く審査してもらえますから、審査のステップも非常に単純に早くなると思います。その部分も検討していただいたほうがいいのではないかと思います。

○阿久澤部会長 どうぞ、板倉委員。

○板倉委員 今、御発言になられました梅垣先生の資料は、日本栄養・食糧学会の第67巻の第4号に載っている特定保健用食品の利用実態調査に基づく御発言だと思うのです。これについては、日本栄養・食糧学会誌というきちんとした学会誌に載せてあるわけですから、それなりの科学的根拠があると思うのですが、私がきょう「板倉委員資料」として提出しました3つについては、あくまで一消費者団体ができる範囲でデータとしてアンケート調査をとったり、あるいは一個人の先生が、私も協力いたしましたけれども、まとめた資料でして、学会誌に載せてあるわけではございません。

こういうものについては、十分な科学的知見に基づいていないと考えられるのかどうかについて、まず御質問させていただきたいと思っております。

○阿久澤部会長 どうぞ。

○消費者庁川口次長 私ども、個々に科学的知見に基づいているかどうかということを判断する前に、消費者委員会の中で、これは科学的知見かどうかということを御判断の上、答申の前提になるのかどうか。そこにつきまして、栄養学、医学の権威の先生、そろっていらっしゃるわけでございますので、そこでどういう御判断をされたかということを踏まえて、私どもで検討させていただければと思います。今の板倉委員の御質問について、個別のものについては、ということでございます。

そこでどういう御判断をされたかによって、また栄養学の範囲につきましても、私ども、全貌を承知しているものではございません。範囲は非常に幅広いという話も別途伺うこともあるわけでございますので、科学的知見と一般論を今日、申し上げましたが、当てはめの問題につきましては、消費者委員会でまず御検討いただいて、答申に盛り込まれているということであれば、それについてよく精査させていただきたい。

○阿久澤部会長 板倉委員の御質問は、今回、提出のこの資料が、消費者庁から見て科学的根拠の資料に値するかどうかということの御質問だと思います。

○消費者庁川口次長 そうだと思うのですけれども、アンケートというのは、消費者庁もいろいろな形で活用しておりますが、個別の御判断の根拠となる際に、これをどういうふうに使われるかということについて、まさに消費者委員会において、どのようにこのデータを活用されるのか。そこを勉強させていただいた上で判断させていただきたいと思っているということでございますので、一般的に直ちにここで申し上げることはできないということでございます。データであることは間違いないと思います。

○阿久澤部会長 板倉委員、よろしいですか。はい。

○板倉委員 私は、消費者サイドとして、特に研究者として立派なものをやってきたわけでもございません。あくまで国民生活センター等で消費者の実態を、苦情も含めて把握した上で、一消費者の視点をもって発言してまいりました。それが消費者としての一個人の懸念にすぎないという形で、ノンアルコール飲料の場合は判断されたような気がいたしております。

例えばノンアルコール飲料の場合ですけれども、トクホが認可されたということで、ある方にお話をしましたら、そういうトクホがあったら、アルコール飲料を飲めない人が宴会のときに飲むのには都合がいいねとおっしゃったのです。ということは、宴会というのはふだんの食事以上にいろいろな量のたくさんの食事が出てくるわけですから、そういうところで飲めば、たくさん食事をしても、まるでチャラになってしまうという受け取り方で利用される可能性が多分にあるのではないかと想像いたしました。ですから、そういうことも懸念として私自身は持った上で、ノンアルコール飲料についてのトクホについては反対の意見を出したわけでございます。

ですけれども、消費者庁としては、こちらの(1)で問題がないと御判断されたということだと思うのですけれども、そういう懸念についてはどういうふうに思われるのかについて、この場でぜひお聞きしたいと思っております。

○阿久澤部会長 お願いいたします。

○消費者庁川口次長 消費者庁の許可の背景でございますが、ノンアルコール飲料と未成年者の飲酒の関係に係る懸念につきましては、十分な科学的知見に裏づけられた、不許可にする相当程度に明確かつ直接的な根拠が示されたとは言えないと考えた次第でございます。ただし、答申の中に懸念が示されたということは重く受けとめまして、私ども、検討すべきということでございまして、答申内容を十分精査した上で、答申を尊重する観点から、申請事業者がトクホたるノンアルコール飲料について、未成年者が手にすることができないような取り組みを行うことを条件にしまして許可を行ったところでございます。

条件というのは、単なる自主基準とは違います。この条件を違反すれば取り消しもあり得るという重たいものでございますので、答申の趣旨を踏まえ、他に採れる手段があれば、それをとるということも消費者庁としては考えているところでございますが、まず答申の中で、消費者委員会として安全性及び効果について、さまざまな観点から御議論いただいて御答申いただくということは、これまでどおりでよろしいのではないか。やや僣越な言い方をすれば、そういうことでございます。

ただ、申し上げましたのは、私ども、(1)から(8)ということで検討していきますので、(1)が十分でないにしても、(2)とか(3)とか(4)につきましても、御判断がある、途中経過なりあるのであれば、そこをわかるような形の答申であれば、なお一層ありがたいということを申し上げた次第でございます。

なお、直接御指摘はございませんでしたが、梅垣委員の御指摘ほか、皆様前提になっておりますのは、表示がされても、それを消費者が十分理解できていないのではないかということも背景にあろうかと思います。制度の趣旨ということを考えますと、私ども、消費者教育というのを担当しておりますけれども、食品表示と消費者教育。表示されているものをしっかり消費者が正確に理解して、自分の健康増進ということに活用していく能力を身につけていくということは、いわば制度の前提になっているところがあろうかと思います。そこが不十分なので、トクホの許可を与えることにちゅうちょするというお考えもあるのかなと思いました。

そこにつきましては、消費者庁で別途、消費者教育推進法というものを所管し、消費者教育推進会議というものも、別途、審議会として8条機関として設置しているところでございます。まだなかなか各論の議論まで行っていない、総論の議論でございますが、消費者教育推進会議も既に設置後2年経っているところでございますので、今後はいろいろな各論の分野においても消費者教育を進めていくことが極めて重要と思っておりますので、今日の御指摘も、消費者教育面での施策の充実についても問題意識をお持ちと私は感じたところでございまして、そこにつきましても別途進めていきたいと思っております。

○阿久澤部会長 ありがとうございます。

先ほど岩崎委員の手が挙がっていました。

○岩崎委員 科学的根拠について、ちょっと話をしたいと思います。私は統計学の立場ですけれども、医学的とか、栄養学的な人はいらっしゃると思うのですけれども、統計的に言いますと、我々が審査しているのは、効果というものがあったときに、その効果をどのように立証するかということで、企業側がどういう計画を立て、そしてデータをとり、それをどう解釈したかというところを見ております。

これは、内的妥当性といいますか、つまり、ノンアルコールでありましたら、ノンアルコールであって、ある成分が入っているものと入っていないものとを比較する。それは、ノンアルコールを飲んでいる人に対する比較。しかも、それは非常に限られたところですので、それを一体どこまで一般化できるかというのは非常に重要な問題でありますし、もう一つは、ノンアルコールビールを飲んでいない人がどうだったのかということが、もし知りたいのであれば、そういった計画を立ててデータをとるべきなのです。

ですから、我々はこのデータから何が言えるのかというところをきちんと見ているつもりであります。それが有効であったとしても、どこまで一般化できるのか。今、言った未成年まで一般化、本当にしていいのかということを考えた上で審査に当たっていると思うのです。ですので、科学的根拠とおっしゃいますけれども、これは非常に限られたことだと。それをどこまで一般化できるのかというのは非常に大きな問題で、そこを含めて見ているということを御理解いただきたいと思います。ですので、内的妥当性、外的妥当性、そして有効性、有用性。

そして、効果とは何か。さっき森川委員がおっしゃいましたけれども、果たしてそれがエンドポイントとして適切であるかどうかということを科学的に判断している。だけれども、それをどこまで一般化できるかは、残念ながらそこからは言えないという立場で我々はやっているので、そういう意味で消費者委員会の我々がやっていることは御理解いただいてと思います。今回の件について、我々はやっていないので、山岡委員もいますので、もしよかったらお願いしたいと思います。

○阿久澤部会長 では、関連で山岡委員、どうぞ。

○山岡委員 今の岩崎委員に補足させていただきますが、統計学的なこういう検定で行っていますのは、あくまで効果があるかどうかということに限定したものであり、それに対して効果がないということを、こういう臨床試験を行うということは道義的にも反していると思いますので、効果があるかないかということだけを検証しているということを、まず御理解いただきたいということ。

それから、現在、このところで問8にも関連いたしますが、6ページに出されています効果の指標とか、そういうことですけれども、これも大体成人を対象として、健康に少し問題があると感じているような方を対象とした、こういうエンドポイント、サロゲート・エンドポイントと先ほど森川委員が言われましたが、それを立てていらっしゃるということで理解しておりますが、これからいろいろな食品が出てきたときに、このエンドポイントに対して、本当にそれが妥当であるかどうかということも含めて検証していくべきだと思います。

特に未成年とか、先ほどチョコレートという問題も出てきましたけれども、いろいろな立場の人がそれを摂することになる。といった場合に、それが本当にこの対象で妥当であるか。また、臨床試験などもかなり狭い範囲でやられておりますので、先ほど岩崎委員が言われたように、何を見たいかということをもう少し明確にして、どこまで言えるかということを常に考えていかなければいけないというところで、私自身はそれができた場合には、消費者庁のほうで消費者の利益を考えて提案していただくということをやっていただきたいと思います。

○阿久澤部会長 久代委員、どうぞ。

○久代委員 多くの学会が診療ガイドラインを出していますけれども、全ての状況についてエビデンスあるいは科学的根拠があるわけではありません。その場合は、専門家の意見というのが記載され、それなりに尊重されています。トクホ食品については、申請食品と対照食品には血糖、血圧などの指標に有意差があり、一定の効果が認められています。しかし、それらの食品の摂取目安量を長期的に継続摂取したときに、どれだけ健康増進になるかということについては、科学的根拠はほとんどありません。その場合には、専門家として健康増進が期待できるのではないかということで認めてきたつもりです。

しかし、ノンアルコール飲料に関しては、広く普及したときにリスクのほうが大きいのではないかという専門家としての意見を述べました。それが一転して認可されたわけですから、専門家の意見とは一体何だったのだろうかという疑問があります。立場の違いは当然あるので、もし考えが異なった場合には、認可の前に戻していただいて再度協議するような場が設けられないものでしょうか。

以上です。

○阿久澤部会長 ありがとうございました。

清水委員、どうぞ。

○清水委員 トクホの制度ができた25年前のことを思い出しますと、当時、私の理解では全くエビデンスのない健康食品というのがかなり出てきていて、そういったものとの差別化を図ってトクホができた。むしろ、ある種の一定のエビデンスがあれば、それを積極的に認めて、それによってエビデンスのないものを駆逐していこうという考え方が一方であったような気がいたします。ただ、その後実際にいろいろなことが進んできますと、食品の効能・効果あるいは安全性の評価というのは非常に複雑で難しいということがわかってきて、きょう議論の中で出てきた幾つかの御発言の中からもわかるように、非常によくわからないことが多いということも我々は認識してきたと思っています。

今、はっきり言えることは、食品の効能効果あるいは安全性というのは、当然のことながら100%ということはなくて、必ずいい部分もあれば悪い部分もある。これは、ほかの全ての食品についても言えることですけれども、そういうことを我々はまず理解しないといけないと思います。ですから、ある種のエビデンスに基づいて、データに基づいて、効果が期待できるということであれば、それを一応よしとして、社会でそれを利用していくというので、私は考え方としてはよろしいのではないかと思っています。

今回の話に戻りますと、このノンアルコールビールの、特に7の(1)に関する部分。この7の(1)というのは、これまで議論がありましたようにとても難しいところで、自然科学と社会科学的なところが融合したところなので、判断が非常に難しい。全く黒になることもないし、白と判断することもできないグレーゾーンが非常に大きい部分だと思います。

今回のノンアルコールに関して言うと、消費者委員会はそこがグレーゾーンであるから、これを認めないほうがいいのではないかという判断をしたと私は理解しているのですが、消費者庁のほうは、これがグレーゾーンだけれども黒でないから、拒否する理由はないという、いわば法律的な判断によって結論を出されたということで、こういうことは当然起こるべくして起こったかなと私は思っています。今回、これをきっかけに、こういった認識のある意味で違いというのが明確になったというのは、ちょっと語弊がありますけれども、ある種の進歩ではないかなと思っているわけです。

ですから、今後、このグレーゾーンの考え方というのを消費者委員会と消費者庁でもう少し共有できるようなことが、それが可能かどうかわかりませんけれども、やることによって、こういった問題は少し解決が進むのではないかと思っています。

どのようにすればいいかというのは、多分大変難しいことで、先ほど梅垣先生が言われたように、まず消費者庁で判断して、これは議論に値する、しないと分けるという方法ももちろんあると思いますし、今回はむしろ下流の調査会から始まって、ずっといろいろな問題が噴出しながら上に上がっていってということなので、どちらがいいかわからないですが、そういったことも考えていく必要がありますし、消費者庁の法律を基盤にした判断ということに関しても、少し考えを変えていく必要があるかなと感じました。

以上です。

○阿久澤部会長 ありがとうございました。

今のことで、今のグレーゾーンの考え方で、今回の件は、黒でないから許可にしたということですか。消費者庁。

○消費者庁川口次長 今の御指摘には、そう違和感があるわけではないのですが、私どもは条件つきで許可しました。不許可にするほどの明確な根拠はない。採り得る他の手段があって、未成年者の飲酒に対する懸念については、この条件をつける。未成年者が手にすることができないような取り組みを行うことを条件にするということで、達成できると判断した。全くの許可ではなくて条件つき許可でございますので、不許可にするほどのものではないけれども、条件つき許可にする必要があるということで判断したということでございます。

グレーゾーンについては、グレーゾーンなので許可にするべきではないという御答申であった。それはそれで、そう理解しておりますが、その上でグレーゾーンについては結論をというよりは、検討過程につきまして、私ども審議会の調査会、調査部会、消費者委員会審議経過を検討させていただきました。そういうこともございまして、答申いただいてから結論を出すまでに相当な時間をかけているわけでございますけれども、相当な時間をかけている結果の結論ということでございます。

一般的に言えば、答申いただいてから余り長い時間をかけるべきではないということは言えるのではないかと思いますが、今回について非常に重たい答申でございますので、それについて十分な時間をかけて精査させていただいた。ただ、その経験から言えることは、結論をお出しになる際に、私ども同席はしているものの、最終的にどういう答申だったかということの判断の過程をできるだけまとめる形で答申をいただきますと、将来、それを十分踏まえた結論も出しやすくなるということでございまして、その点は今日、冒頭でお願いさせていただいたということでございます。

一般的に申し上げますと、今日、こういう形で会合に参加させていただきました。次長の立場では、なかなか個々の検討に参加するということも個人的にもないわけでございますけれども、許可というのは消費者庁長官の責任で行っているところでございますので、私の上司たる長官まで上げて判断するわけでございますけれども、今日の議論は個別の、今後諮問・答申をいただいたときに、その答申を精査させていただく、解釈する際に、皆様、どういうお考えで検討されて、この答申をおまとめになったのかということを理解する上で大変貴重な2時間であった、御意見であったと思います。

また、制度の在り方についての御意見もあったと思いますし、また執行あるいはこの制度の普及についての御意見もあったと思います。できるものについては、日々の執行あるいは制度の普及、消費者教育について対応していきたいと思いますけれども、またまとまった形で御意見をいただく機会があれば、それを精査させていただきたいと思いますので、個別の諮問・答申にとどまらず、いろいろ意見をいただいたということで、こういう機会、消費者庁ができてから余りなかったのではないかと思いますので、貴重な機会になったのではないかと感じたところでございます。

ありがとうございました。

○阿久澤部会長 ありがとうございます。

では、時間も来ていますので、手短に。すみません。

○大野委員 科学的判断をということですけれども、私どもがいつも悩んでいることは、科学論文に出ているデータは本当なのだろうか。信頼性がどこまで置けるのか。実際に論文だと、間違いとか論文間の食い違いはよくあるわけです。その一部だけ出されて、本当にこれで判断していいのかと思うことがよくあるのです。医薬品等では、データの間違いとか恣意的な選択はよくあったわけです。それで、GCPが制定されて、それに基づいてデータの信頼性を確保したのですけれども、この新開発食品についても、そういうことは考えていないのかということをお伺いしたいと思います。それがないと、私ども、いつも不安に思いながら審査しなくちゃいけないというところがございます。

○阿久澤部会長 ありがとうございました。

森川委員。

○森川委員 今、次長がおっしゃったことに関連してですけれども、次長が消費者教育ということもおっしゃったのですけれども、消費者庁ができたのは、消費者行政を一元化するということでできましたけれども、我々国民の立場からは、消費者本位というか、消費者の立場から考えてくれているという期待はものすごく大きいと思います。

ですから、今のノンアルコール飲料についても、難消化性デキストリンと茶カキテンだったら、何もアルコール類似飲料に入れる必要はないのです。商品のデザインだったら他に入れればいいわけで、それを十分な根拠とか否定する根拠がないからといって認めていくと、問題が拡大していきます。行政というのはリスク管理であるという言葉が出ていました。社会の中に商品があるからこそ、行政判断が出てくると思うのです。だから、我々がもし科学的根拠が十分なデータであると答申しても、社会的に見たら(国民の、消費者の立場に立って)おかしいのだったら、消費者庁が行政的判断から逆に否定してもいいわけです。

残念ながら、消費者庁本来の国民から期待されている消費者の立場からの判断というのが、聞かれなかったように思うのです。消費者教育よりは、消費者庁が認可しているものだったら安心して使える。本当に効能・効果が保証されているのかという視点にぜひ立って考えていただきたいと思うのです。今、矛盾がものすごく拡大していると思うのです。ぜひ、早急な対策をとっていただきたいと思います。

○阿久澤部会長 どうもありがとうございました。

高橋委員、どうぞ。

○高橋委員 消費者委員会の委員として、消費者庁の今回の許可プロセスについて確認させていただきたいことがございます。精査したとか、十分に検討をしたというお言葉はいただきました。今回のトクホの許可について独善的に判断をしたものではないという御説明もあったのですけれども、昨年8月5日に消費者委員会が問題の商品について、トクホとしての表示許可は不適切という答申を出して以降、本年2月18日にトクホ許可されるまでの間、消費者庁から消費者委員会に対して、あるいは調査会に対して、何ら協議申し入れ等がなかったということでございます。

先ほど来、委員の方々からも要件の一致を見るべきであるとか、もっとやりとりがあってよかったのではないかという御発言がありました。消費者委員会としては、記者会見で河上委員長が答申に関する見解を明確にいたしておりますけれども、消費者庁サイドのほうは、長官の記者会見等あるいは大臣の記者会見等で、しっかり検討しているという、それしか出てこなくて、突然、許可の前日に我々の耳に入ってきたというのが事実ではないかと思います。

そうしますと、昨年8月からことしの2月までの間、消費者庁は一体どのような検討や調査を行って、その許可に至ったのか。この許可プロセスというのを透明化していただく必要があると思うのです。これは、国民に対しての説明責任であると私は思います。その点、具体的に何をされて許可に至ったのか、それを簡単に述べていただきたいと思います。

○阿久澤部会長 では、次長、お願いいたします。

○消費者庁川口次長 許可の結果について、他のものとの比較とか、どういう基準に基づいて審査したのかという意味では、明確にしていくということでは透明性を確保していくことが必要かと思いますが、検討の細部について申し上げるのは、消費者委員会においてもこれは非公開になっているのと同様な理由で、適当ではないのではないかと思っております。

ただし、基本的には、消費者委員会の議事録を調査会からつぶさに検討し、そこに掲げられている御判断。答申の形では明らかではないものですから、検討過程につきまして、現在、消費者庁の職員でない者も、長い時間かかっておりますので、かかわっているわけでございます。その過程を確認しまして、御指摘のありましたようなデータにつきまして、消費者庁の方でも取り寄せて、直接言及があったもの以外についても私どもで検討し、類似のデータがないかどうか、消費者庁の方でも検討して、個々の御判断について科学的知見として明確な形で事業者、国民に示していけるかということを個々の論点ごとに確認していったということが、何カ月かやっていたことでございます。

制度的には、消費者委員会と協議するという形にはなっていないわけでございます。これは、厚生労働省や農林水産省、他省庁間で協議するというのは定められている場合がございますが、消費者委員会の意見を聴くという制度になっておりますので、今、御指摘があった中で、できるだけグレーゾーンについて考え方を共有していく。これは、一般論の御提案だと思いますし、こういうことについても検討していきたいと思いますけれども、個々のものについて、結論を出す前にもう一度御意見を聴くかどうかということは、制度的には定められていないわけでございまして、今回について、そういう手続はとっていないということでございます。

ですから、いろいろなものをお願いしておりますので、基本的には消費者委員会の答申を私どもが精査するという形で、消費者庁の責任で許可あるいは不許可を決めていくという制度的仕組みになっていると理解しています。ただし、その範囲内で、今後、個々のものについて、改めて御意見を聴くということが排除されているわけではございませんで、それは裁量の範囲内の問題かと思いますけれども、制度的に求められているものではないと思っております。

○阿久澤部会長 どうぞ、高橋委員。

○高橋委員 御説明ありがとうございました。

ただ、認可の前日に開かれた規制改革会議の第30回健康・医療ワーキング・グループの資料を見ていますと、まさにトクホの認可申請手続の合理化・迅速化について、さまざまな提案がされているわけです。消費者委員会のほうの検討にも標準処理期間が必要ではないかとか、いろいろ書かれているので、今まさに見直しの時期に入っているのだと思うのです。

ですから、どういうふうに見直していくかということに対しても、こういう専門家のお集まりの場でもきちんと話し合いがされて、適正な手続がとられないと、トクホ自体が政治的な圧力とか業界に屈したものではないかという疑義を持たれてしまう。もう既に持たれていると思いますけれども、そういう状況はとてもよくないと私は思っているのですね。ですから、手続的にどうのという理由はわかりますけれども、トクホに限らず、きょうもテレビで新しい機能性食品の問題を取り上げた番組で消費者団体が意見を言っておりましたように、国民的納得感というのはとても大切だと思うのです。裁量でと言われると、それは違うでしょうと申し上げておきたいと思います。

○阿久澤部会長 ありがとうございました。

委員の方で何か。どうぞ、飯野委員。

○飯野委員 先ほどから制度のことについて、いろいろあるのですが、先ほど大野先生がおっしゃったように、科学的な根拠でここで論議していくに当たって、ペーパーで出ているものはほとんどポジティブデータじゃないと載らないのですね。ですから、こういう委員を構成している先生方がいろいろな情報を知ることで、そのペーパーが本当に正しいのかどうか。でも、そこで出されているものは、先ほど岩崎委員がおっしゃったように、明らかに限定された条件でしかないのですね。

トクホ制度で申請するメーカーさんが出してくるものは、ガイドラインとして出された試験系で出されることが多いのです。その根拠は消費者庁が出されているわけですね。明確にこういう試験系でやればいいですよということ。そういうことについても我々、説明されていないのです。前の厚生労働省時代からずっと来たのか、むしろ業界団体が出したガイドラインがそのまま外挿されてやってきている。でも、我々はその限られた中で出されているデータで、本当に限られた試験系の中のものが、人に対して長い期間外挿できるかどうか、ということが期待できるかどうかで審議がなされているのだと思うのですね。

そういうことを同席なさっている消費者庁の方からも説明されたことはないし、そういう点で、今回のことはすごく矛盾だらけで、何をしてきたのかなという徒労感があるのです。我々のそういう気持ちは御理解いただいているのでしょうか。

○阿久澤部会長 一言、気持ちを理解しているか、いないか。

○消費者庁川口次長 大変な御議論を経て答申をいただいたということでありますので、長い時間をかけて私どもも検討させていただいたということでございます。

手続につきましては、今、直ちに全て御説明できないところがございますけれども、基本的には厚生労働省時代からの慣習でやっていたものにつきまして、消費者庁、消費者委員会が設立された当初の検討の部会等に確認の意味でもう一回お諮りをして、短い時間であったかと思いますが、その場で御承認いただいたものに沿って、私ども、進めてきたと一般的には理解しております。そうでないものがあれば、具体的に御説明を求めていただくとか、あるいは御説明させていただくというのはあろうかと思います。

今日の資料で6ページ、私から触れませんでしたが、トクホの審査に要する資料ということで、こういう形でいろいろなところで説明させていただいております。こういうものについての御意見ということであれば、これはこれで、また一つの適切な審査をするためには、こういう資料が必要だということは、これは個別の答申とは別の形ですけれども、日ごろ審査するに当たっての御意見をいただくということも、トクホ制度をよくしていくためには有意義なことではないかと一般的には思っておりますが、御承認いただいているのか、御説明したのかについては、ちょっと今、直ちには承知していませんが、岡田のほうから補足します。

○阿久澤部会長 どうぞ。

○消費者庁岡田審議官 補足いたしますと、具体的な審査に必要な資料をどういうふうに出すかということを通知類でされておりますけれども、これは個別に部会なり委員会にお諮りして、あらかじめこういうやり方でやりますということをお話させていただいております。その上で、いろいろな資料を全てお渡ししている関係で、大変御苦労いただいているかと思いますけれども、御審査いただいているという実態かと思っております。

○阿久澤部会長 ありがとうございました。

それでは、時間も過ぎてしまいましたが、時間がない中で恐縮ですが、消費者委員会の委員のほうからございましたら。どうぞ。

○唯根部会長代理 お時間が押しているところ、申しわけございません。

今回のノンアルコールについて、先ほどの川口次長からのお話で、条件つきで許可されているのですが、きょういただいた資料の許可の要件の(7)、まれに食べられているものではなく、日常的に食べられている食品に、条件つきで販売されるという点でこの要件に当たるとお考えでしょうか、その辺、消費者庁のお考えを伺わせていただきたいと思います。

○阿久澤部会長 お願いいたします。

○消費者庁岡田審議官 要件の(7)というのは、日常的に食べられているということでございますので、社会的に販売がなされているという実績もありということになれば、この要件にはおおむねはまるものと思っております。

○阿久澤部会長 販売制限をつけられて。

○唯根部会長代理 国民誰もが食べられていると言えますか。

○消費者庁岡田審議官 今回のノンアルコールは条件をつけておりますけれども、販売制限ということではなくて、販売のやり方です。

○唯根部会長代理 販売条件ということで、老若男女誰でもが手に入れられて、日常的に食べられる食品に当たるのでしょうかというところが疑問なのですが。

○消費者庁岡田審議官 成人者の方が食されるということでいえば、一般的に食べられる、日常的に食べられると理解しております。

○阿久澤部会長 よろしいですか。

どうぞ、石戸谷委員。

○石戸谷委員長代理 すみません、時間が押しているときに1点だけ。消費者委員会は答申するほうでありますので、それとの関係からいけば、当然ではありますけれども、諮問に対して答申するわけで、何を諮問したのかというのはもうちょっと整理していただきたいと思います。前回は許可要件の(1)は入らないと言ったのに、きょうは(1)は入るという話が出てきて、それとは別に、先ほども質問が出ていましたけれども、(1)から(8)に限らない。許可要件に限らなくていいみたいな話も出てきて、どういうことなのか。

答申は答申で出してもらって、意見は意見で出してもらうのはいいという、その切り分けをどうするかということとも関係しますので、全体的なイメージというのは前回よりもわいたような気がしますけれども、なお、ちょっとわからないところがありますので、明確にしていただきたいと思います。今すぐということじゃなくて結構です。

○阿久澤部会長 どうぞ。

○夏目委員 最後になるかもしれませんけれども、私も消費者委員会の委員として、調査会、それから調査部会の先生方が真摯に御議論されてきて、もともと消費者庁が諮問するときに、消費者庁には科学的な知見が十分ではないから、こちらにかけるというスタイルだったと思います。専門的な知見でもって皆様が御討論されて、その結果として答申されたものを最終的に認めない。

こういう結果になるということに対して、それぞれ御発言がありましたように、徒労感であったり、専門的な知見というのは、それぞれお持ちの知見をどういうふうに評価されたのか、非常に考えさせられたという御発言があったと思いまして、私も話を伺っておりまして、専門家の方々に対しまして、この長い時間かけた審議が本当に十分に効果といいますか、実るものであったかどうかというのは、やはり消費者庁はしっかり考えていただきたい。もともと消費者庁は何のための省庁であるかという基本に戻って、もう一度考えていただきたいと強く思いました。

感想です。

○阿久澤部会長 ありがとうございました。

それでは、最後に委員長のほうから何かございましたら、お願いしたいと思います。

○河上委員長 もう時間も押しておりまして、皆様から発言をいただいたので、つけ加えることはないのですけれども、感想としては、消費者委員会の部会、調査会委員の方々の非常に高い使命感に対して、私自身、心からお礼申し上げたいと思います。大変感じ入りました。不幸なことではあったのですけれども、答申が覆ったということについて、こういう議論の場ができ、諮問の趣旨等が幾分かは明らかになったということで、それはそれでよかったのかなと思います。

ただ、問題点はもっと深いところにあったということでして、そもそもトクホ制度というものがどういう趣旨に基づいてでき上がっているものなのかということについて、もう一度考え直す必要があるということであります。先ほど質問の中に、そもそもトクホの趣旨は何ですかという話がありましたけれども、健康増進法に基づいてという川口次長のあの答弁が、まさにそうでなくちゃいけないと思うわけであります。そうだとすると、健康増進法の趣旨にのっとった製品として効能表示を許されたものであることが第1であるということだろうと思います。私どもは、その辺をもう一度きちんと確認する必要があるということであります。

第2点目ですけれども、消費者委員会がこの表示の手続にかんでいるということの意味をもう一度考えてみる必要がある。ひいては、これは消費者庁がトクホの最終的な許可権限を持っているということの意味を考えていく必要があると思います。

トクホは、何も商品を差別化することによって、事業者の売り上げを助けてやるための制度でないことはたしかでありまして、むしろ健康増進法の趣旨にのっとって国民の健康増進に寄与することが期待される安全な製品かどうかを、専門家や消費者代表が集まって衆知を集めて検証するところにこそ、消費者委員会の意味があると思うわけであります。その意味でも、改めて、この表示許可手続の中で消費者委員会が果たすべき役割というものを痛感させられた次第です。

第3点目ですけれども、これは運用に係る消費者庁のお考えについてであります。トクホは届出制度ではなくて許可制度でして、基本的には健康増進法によって一定の機能等についての表示が禁じられていて、医薬品に関してもそうですが、そういう一般的に禁じられているものを解除して許可するという場面での裁量権はもっと広いはずじゃないかという気がいたしました。

どうも先ほどの御説明だと、恣意的な運用にならないためとか公平性を守るためということで、運用について予め基準を明確化して、不許可にするのだったら明確な根拠が必要だとおっしゃったのですが、これは逆だろうと思います。表示の自由を大前提として、それを禁止するのだったら、それには一定の理由が要ると思いますけれども、一般的に禁じられているものを解除して、医薬品と同様に一定の表示をさせるとなるときには、曖昧な点が残ったら、許可は認めないという態度で構わないのではないか。先ほど来、委員の方から、立証責任はどっちにあるのだという話がありましたけれども、そういう構造にある法律の運用なのだということを考えてみる必要があるのではないかということであります。

それから、4番目ですが、これは聞いていて大変勉強になったことなのですけれども、科学的知見とかエビデンスと呼ばれるものの限界であります。ある特定の成分だけを見て、一定の効能・効果を考えるとか、それから、どういう母集団のもとでのエビデンスなのかということも含めて、エビデンスには限界があるということでした。専門家の先生方には言わずもがなのことなのですけれども、その限界の中で、先生方が当該食品に関して、国民の健康の維持・増進にてらして、本当にトクホとしての表示がふさわしいかということを衆知を集めて検討された、その結論は重いと思います。

その意味でも、消費者庁がそれを覆すとなったときには、その手続の中でもう一度、この集団と共に英知を重ねるぐらいの手続的な慎重さは、あっていただきたかったという思いがした次第でございます。

これからも消費者委員会としては、聞かれていることに対して、消費者委員会なりのスタンスで問題にアプローチする姿勢は貫いていくべきだろうと考えておりますので、今後ともよろしくお願いいたします。

○阿久澤部会長 どうもありがとうございました。

それでは、もう時間も過ぎてしまいましたので、これで意見交換については終わりたいと思います。どうもありがとうございました。

本日は、消費者庁の川口次長から、制度根拠となる法令、あるいは諮問等の内容の根拠、また消費者庁の審査基準・要件、それに対する考え方、さらに、食生活の改善に関するところの判断基準等、改めて、その見解をお聞きいたしました。その後、多くの意見交換をさせていただきまして、その中の本日の主な論点である規制改革会議での発言は、現在の消費者庁の見解ではないということが確認できたかと思います。

また、従前、特定保健用食品の審議に当たる委員が最も重要だと考えてきた、食生活の改善が図られ、健康の維持・増進に寄与する事が期待できるという条件も、消費者庁から諮問されている審議の範囲から外れるものではないということも、ある意味確認できたかと思います。ただ、その要件(1)の位置づけについて、現時点では、考え方に若干異なるところがあるのかなという感じを受けております。

消費者庁におかれましては、本日の多くの委員の考え方、意見をぜひ御理解いただきまして、今後の答申を読み解いていただきたいと思っております。

ということで、部会、調査会の皆様におかれましては、今後の審議に御協力のほど、よろしくお願いしたいと思います。

それでは、本日はこれにて閉会とさせていただきます。お忙しいところ、お集まりいただきましてありがとうございました。

(以上)