第23回 食品表示部会 議事録

日時

2013年5月30日(木)9:57~11:57

場所

消費者委員会大会議室1

出席者

【委員】
 田島部会長、夏目部会長代理、青柳委員、阿久澤委員、海老澤委員、鬼武委員、
 春日委員、栗山委員、迫委員、澁谷委員、立石委員、手島委員、中下委員、
 森(修三)委員、森(康益)委員、山浦委員、山根委員
【説明者】
 消費者庁  増田食品表示課長、今川課長補佐
【消費者委員会事務局】
 消費者委員会  原事務局長

議事次第

1.開会
2.アレルギー表示の見直しについて
3.閉会

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

議事次第(PDF形式:63KB)
【概要】 アレルギー表示の見直し(PDF形式:210KB)
【資料1】 アレルギー物質を含む食品の表示について 【資料2-1】 食品衛生法第19条第1項の規定に基づく表示の基準に関する内閣府令(PDF形式:238KB)
【資料2-2】 食品衛生法第19条第1項の規定に基づく乳及び乳製品並びにこれらを主要原料とする食品の表示の基準に関する内閣府令(PDF形式:123KB)
【資料2-3】 乳を原材料とする加工食品に係る表示の基準(PDF形式:65KB)
【資料2-4】 食品衛生法施行規則及び乳及び乳製品の成分規格等に関する省令の一部を改正する省令の施行について(PDF形式:423KB)
【資料2-5】 アレルギー物質を含む食品に関する表示について 【資料2-6】 アレルギー物質を含む食品の検査方法について 【資料3-1】 食品の表示のあり方に関する検討報告書(平成11年3月5日)(抜粋)(PDF形式:99KB)
【資料3-2】 遺伝子組換え食品及びアレルギー物質を含む食品に関する表示について報告書(平成12年7月13日)(抜粋)(PDF形式:116KB)
【資料4】 平成24年度食品表示に関する試験検査「即時型食物アレルギーによる健康被害、及びアレルギー物質を含む食品に関する試験検査」(抜粋)(PDF形式:526KB)
【参考資料1】 山浦委員提出資料(PDF形式:102KB)

≪1.開会≫

○原事務局長 おはようございます。少し時間は早いようですけれども、皆様、おそろいになられましたので、始めさせていただきたいと思います。
 ただいまから、「消費者委員会食品表示部会(第23回)」の会合を開催いたします。
 本日は、川戸委員が、所用により御欠席との連絡をいただいておりますけれども、部会の委員の方々は全員御出席ということで、部会は成立しておりますので、よろしくお願いいたします。
 会議の開催に当たりまして、配付資料の確認をさせていただきたいと思います。
 議事次第の後ろに配付資料の一覧を載せておりますけれども、座席表の次に「アレルギー表示の見直しについて」という概要をおつけしております。
 資料1といたしまして、「アレルギー物質を含む食品の表示について」、消費者庁から御提出いただいた資料です。
 資料2は、枝番が1番~6番までついておりますけれども、食品衛生法の条文、この関連の資料をおつけしております。
 資料3-1、3-2につきましては、厚労省時代の「食品衛生調査会 表示特別部会」での関連の資料をおつけしております。
 資料4といたしまして、アレルギー関連の試験検査(調査報告書)の抜粋をつけております。
 参考資料1として、山浦委員から御提出いただいた資料をおつけしております。
 不足ございましたら、お申し出いただければと思います。
 なお、本日、傍聴は80人近い方々に御参加いただいております。大変恐縮ですけれども、御発言の際はできる限りマイクに近づいて大きな声で御発言いただきますよう、お願いいたします。
 それでは、田島部会長、議事進行をよろしくお願いいたします。

○田島部会長 本日は、消費者庁から増田食品表示課長に御出席いただいております。
 なお、本日の会議につきましては公開で行います。議事録についても、後日、公開することにします。
 本日の議題に入ります。本日は、「アレルギー表示の見直しについて」を議題として取り上げます。議論に入りたいと思います。
 まず、消費者庁から御説明をお願いいたします。

≪2.アレルギー表示の見直しについて≫

○増田食品表示課長 食品表示課の増田でございます。おはようございます。
 本日は、アレルギー表示についての御議論をいただきたいと思っております。アレルギーの表示につきましては、平成13年、当時、厚労省が所管しておりましたが、厚生労働省令の改正でアレルギーについて表示義務がかけられたところであります。その後、おおむね3年ごとにアレルギーに対する実態調査を行い、必要な見直しを行ってきたという経緯がございます。今般、平成23年度及び24年度に実施いたしました実態調査がまとまりましたので、その結果を御報告するとともに、御意見を伺えればというふうに思っております。
詳細は担当から御説明いたします。

○今川課長補佐 食品表示課の今川と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
 私から、アレルギーのこれまでの経緯、現状の制度、今回の調査、今後の課題といったことを、今回はこのメンバーになられて初めてのアレルギーの議題になりますので、恐縮ですが、若干お時間をいただきまして御説明申し上げたいと考えております。どうぞよろしくお願いいたします。
 資料といたしましては、今、増田課長が申しました概要が、「概要」と書いた1枚ペーパーになろうかと思います。具体的には、資料1というパワーポイントで作った資料がございますので、こちらを中心に御説明申し上げたいと思います。
 資料1「アレルギー物質を含む食品の表示について」でございます。1枚おめくりいただきまして、ページ2枚目、表示制度とその経緯でございます。ページ番号は左に打ってございます。3枚目、「アレルギーとは」、次に、アレルギー物質を含む食品の表示の経緯です。ごく簡単な経緯がここにまとめてございます。平成11年3月、平成12年7月、当時、厚生労働省の表示特別部会において、それぞれ報告書が取りまとめられ、この報告書なども踏まえて、平成13年3月15日、アレルギーの表示基準が公布されたということでございます。その2週間後の4月1日から施行ですが、実際は経過期間が1年間ぐらいありましたので、完全な施行は14年4月になります。
 当時、義務表示として5品目、乳、卵、小麦、そば、落花生。義務ではないけれども、通知で、できるだけ表示してくださいという推奨表示というのが19品目ございました。この合計24品目からスタートしてございます。その後、全国調査なども定期的に行っている中で、平成16年12月に推奨表示にバナナが追加されています。これで推奨品目が19品目から20品目になりました。合計で25品目です。その後、20年6月に、それまで推奨表示だった「えび」と「かに」が格上げされて義務表示になりました。義務表示が7、推奨表示が18、合計25です。今の表示の品目の数がこれになってございます。
 次に、4ページは、平成11年3月、当時、食品衛生調査会表示特別部会で議論した報告の内容になります。5ページ目も平成12年のその内容でございます。
 まず、11年3月のときは、現状、表示が義務づけられていない。最近の国際的な動向を踏まえると、平成11年6月にCODEXでも8品目が採択されようとしている。そういった関係を踏まえると、日本でもこういうことを検討していく必要があるのではないかという報告を踏まえて、さらに検討を重ねた結果、5ページ目の12年7月の報告書で、義務表示がやはり必要ではないかと。5ページ目の一番下、3番の特定原材料というところですけれども、義務表示は当時5品目でしたが、5プラス19品目、合計24品目について、表示の規制を設けるべきではないかということで規制が始まったわけでございます。
 6ページ目でございます。表示の義務付けということで、現状の規制の概要になります。根拠法令等とございまして、法令と通知に分かれてございます。法令はマル1、マル2、マル3。マル1番は表示基準府令と呼ばれるものです。マル2番は乳等表示基準府令です。乳等表示基準府令は、乳の主要原料になっていますので、その主要原料に入らない乳を原料にしたものを担保する必要がありましたので、マル3番の告示を当時つくってございます。この3つで根拠法令が成り立っています。
 この根拠法令をもとに、通知が2通、主なものが出ております。マル1が当時の施行通知です。法令の解釈とか、そういうことが書かれています。マル2は、主にQ&Aが中心になった通知でございます。この2つの通知と根拠法令3つ、主にこの5つによりアレルギー表示の制度を規定しているということになります。
 その下、表がございますけれども、内閣府令で7品目義務づけをしております。通知で18品目推奨しております。現在、府令では7品目。指定した理由ですけれども、5つ、卵、乳、小麦、えび、かに、これは比較的発症件数が多い。もちろん重篤事例もございますけれども、まずは発症件数が多いということで、これが指定される主な理由になります。それから、そば、落花生。発症件数がとても多いということではないかもしれないけれども、発症したときの重篤さが非常に高いということで、そば、落花生を指定して、これで7品目になります。2つとも義務表示でございます。
 通知で規定しているものは、過去に一定の頻度で発症件数が報告されたということで、表示を推奨、任意表示になってございます。
 これが現状の規定のざっくりとしたものです。
 7ページ目、ここからは少し細かいルールになってございます。このルールもざっと御説明申し上げたいと思います。
 まず、特定原材料等の範囲です。特に義務表示をかける場合には、違反とかそういう関係もありますので、今回表示が必要な範囲を明確にする必要があるということで、これを決めてございます。主に日本標準商品分類をもとに決めてございます。ここに卵の例がございますけれども、アレルギー表示で言う卵というのはこういうものですと。主に食用鳥卵です。ですから、卵と言っても、お魚の卵ですとか、爬虫類の卵とか、そういうものは入らないことになります。それぞれの品目につきまして、こういう範囲を決めてございます。
 8ページ目、実際の表示方法になります。(1)、(2)とございまして、(1)は、添加物以外の普通の食材の場合は、原則として、食材の名前の後ろに「卵を含む」と書いていただく、こういうのが原則でございます。添加物の場合には添加物の物質名を書いていただいて、その後ろに「卵由来」とか、そういうふうに書いていただくというのが原則のルールになってございます。
 それから、個別表示と一括表示とございます。個別表示が、下に赤で書いてございますけれども、例えば、ハムの後ろに「卵・豚肉を含む」、マヨネーズの後ろに「大豆を含む」と。それぞれの原材料の後にすぐ書くのが個別表示と呼んでおります。
 一括表示は、それぞれの原材料のすぐ後ろに書くということではなく、原材料をずっと並べた後に、最後に、ここでは添加物と原材料を分けて書いてございますので、添加物の始まる前に、「原材料の一部に小麦、卵、大豆、牛肉を含む」という一括表示をしてございます。メリットは、表示のスペースは余りとらないということですけれども、一方、個別表示は重量順に載ります。アレルギーの患者の方も、重い人、軽い人、自分がどの程度かというのを把握している方が多うございますので、こういう個別表示のほうが食品を選びやすいというメリットもございます。それぞれメリット・デメリットがあるのではないかと思います。
 9ページ目、代替表記等が認められる場合ということで、マル1、マル2、マル3、マル4とございます。まず、マル1ですけれども、例えば「えび」と書いてありますが、それを漢字で海老と書いても、片仮名でエビと書いてもいい。卵も、玉子と漢字で書いてもいいし、平仮名、片仮名、あるいは鶏卵、そういうものでも基本的にはわかるでしょうということで、こういう代替表記を認めてございます。
 マル2は、ハムエッグ、厚焼玉子。玉子というのが入っていたりしますので、こういうのも認めてございます。
 マル3は、例えば、マヨネーズと言えば、あるいはオムレツと言えば、一般的には卵が入っているとわかるということで、マヨネーズと書けば、「卵」と書かなくてもいいということも認めてございます。これは後ほど、課題のところでも再度申し上げますけれども、表示がわかりづらいといったお声も聞かれるところでございます。
 マル4は、マル2番とマル3番を合わせたようなものです。チーズオムレツとか、からしマヨネーズといったものを認めてございます。こういった代替表記を認めているというものでございます。
 禁止している表記は、例えば、穀類とか、肉類と書くことはだめです。もちろん、JAS法上は認められますけれども、「アレルギー表示として」ということです。穀類と書いて、それに小麦が入っていれば、「穀類(小麦を含む)」と、ちゃんと書いてくださいということになります。
 例外規定としまして、特に魚介類は、大きな網でザーッととってしまいますので、どうしても混獲というのがあり得ますし、エサでエビを食べてお腹にまだエビが入っているとか、そういうこともございますので、魚介類に限って、「たん白加水分解物(魚介類)」ですとか、「魚醤(魚介類)」ですとか、こういった表示を5つほど認めてございます。
 10ページは、こういった義務表示を原則的に行わなければいけませんけれども、表示が免除される場合がございます。3つほどありまして、まず1つ目は、数μg/ml濃度レベルに満たない場合。数値的に10ppm未満程度とここに書いてございますけれども、そのぐらいに満たない程度の場合には、アレルギー表示はしなくていいというふうにしてございます。これは、10ppm以下でも、非常に感度の高い方はアレルギーになられることがあるとは思いますけれども、どこかで線引きをするということであれば、今の科学的知見では、加工食品中の特定原材料等の総タンパク量が10ppm未満程度であれば表示を書かなくていいというふうに規定をしてございます。
 次に、酒精飲料、アルコールの場合には、その反応がアルコール作用によるものなのか区別がつかないことから、アレルギー表示が始まった当初からここは外してございます。
 さらに、香料です。香料は、添加物ですけれども、香料でアレルギー疾患を引き起こしたという知見が乏しいものですので、これも外してございます。この3つは表示を免除している規定でございます。
 それから、必要に応じて求められる表示ということで、コンタミネーションする場合の注意喚起表示がございます。11ページ目に詳しく書いてございますけれども、製造工程上であえて原材料として加えていなくても、あるいは原材料で入っていなくても、製造工程上で意図せざる混入(コンタミネーション)が起こる可能性を否定できません。アレルギーの場合には、10ppmを超えてちょっとでも入っていると発症される方もたくさんいらっしゃいますので、コンタミネーションを起こすときに表示をどうするかということのルールを、通知で規定しているところです。
 黄色い部分、コンタミネーション防止対策をとることが重要ですということで、3つほど書いてございます。まずは、製造ラインを十分に洗浄することが大事です。それから、特定原材料等を含まない食品から順に。仮に製造ラインが同じになっても、あるいは同じ施設で製造ラインが違ったとしても、含まないものから順に製造していく工夫をする。それから、可能な限り専用器具を使用することが必要です。
 ただ、こういうことをやってもなおコンタミネーションが防止できない場合があり得ると思います。そういった場合には、下に注意喚起例というのが3つほど書いてございます。例えば、同一製造ラインでどうしてもコンタミネーションしてしまうというときには、「本品製造工場では卵を含む製品を生産しています」とか、「卵を使用した設備で製造しています」といったことを書いたり、採取の方法で、漁獲の関係でどうしてもコンタミしてしまう場合には、「本製品で使用しているしらすは、かにが混ざる漁法で採取しています」とか、「本製品(かまぼこ)で使用しているイトヨリダイは、えびを食べています」、こういったコンタミネーション表示をしていただく。
 ただし、「入ってるかもしれない」という表示は、可能性表示と呼んでいますけれども、アレルギー患者の選択の幅を狭めますので、こういった表示はしないでくださいというふうにしてございます。
 12ページは、諸外国のアレルギー表示対象品目でございます。CODEXは、1999年、8品目(グルテン、卵、乳、ピーナッツ、甲殻類、魚類、大豆、ナッツ類)を指定してございます。日本がその次に書いてございますけれども、日本の今の規定です。それから、EU、米国、カナダ。大体、CODEXに合わせています。豪州・ニュージーランド、韓国。韓国は日本と比較的似ています。諸外国では、こういった表示規定になってございます。
 ここまでが、今の表示規定の制度のこれまでの経緯と制度の概要になります。
 13ページ目をごらんください。「全国実態調査」の概要です。平成23年度・24年度にかけて全国実態調査を行っております。これは、この食品表示部会の委員でもございます海老澤委員を中心に行っていただいた調査結果になります。この実態調査の御報告をこれから申し上げたいと思います。
 14ページ目でございます。調査の方法、概要です。これまでも、おおむね3年ごと、13年-14年度、16年-17年度、19年-20年度、今回の23年-24年度に調査を行っていますけれども、継続的な確認をする観点から、調査方法の基本の骨子は同じやり方でやってございます。日本のアレルギーの専門の先生、日本アレルギー学会の先生ですとか、日本小児アレルギー学会の会員の先生に御協力いただいて、およそ1,000名、1,079名、今回、御協力いただいて調査にかけたというものでございます。
 調査対象としては、即時型アレルギーということで、何らかの食物を摂取し60分以内に症状が出て、かつ、医師に受診して判定してもらったものという形で挙げてもらっているものでございます。
 今回の調査の期間は、23年1月から約1年間にわたって、主に4期に分けてそれぞれ報告をしてもらっているものです。4期に分かれた合計が2,954例、およそ3,000症例集まっているということになります。
 15ページは、約3,000例の年齢分布です。0歳、1歳、2歳、3歳、4歳、5歳とありまして、後半は20代、30代、40代となっていますけれども、こういった年齢分布で発症があるということでございます。年齢が上がるごとにきれいに数が下がっていくというふうになってございます。
 16ページは、今の約3,000例の原因食物、原因食品をグラフにあらわしたものです。鶏卵、牛乳、小麦、この3つで72%を占めています。あとは、ピーナッツ、果物類、魚卵、甲殻類、木の実、ソバ、魚類、この10個で95%ぐらいを占めているという分布になってございます。
 17ページ、今の3,000例の発症要因です。57%、半分以上が初発事例になります。これは表示云々というよりは、初めて食べて自分がアレルギーだったと初めてわかったという、そういう初発事例が多いということです。それから、誤食が39%。これは、自分はアレルギーだとは知っていたし、表示も別に間違っていないけれども、食べてなってしまったとか、このぐらいは大丈夫かなと思ってなってしまったとか、そういう事例が入っていると思いますけれども、そういった誤食です。それから、表示ミスが2.5%ございます。こういった分布になってございます。
 18ページです。今の初発事例を少し詳しく表にあらわしたものでございます。0歳、1歳、2,3歳、4-6歳、7-18歳、19歳以上と分けてございます。1位、2位、3位、それぞれ初発事例が起こった食物は何であるかというものです。
 0歳のところを見ていただきますと、鶏卵、牛乳、小麦、大手3つが入ってございます。1歳とか、2,3歳になってくると少し状況が変わりまして、魚卵が入ってまいります。恐らくはイクラ。小さいお子さんはイクラが好きですので、こういうところで入ってくるということだろうと思います。4-6歳、7-18歳になってくると、果物ですとか甲殻類、そういったものが出てくるという分類になってございます。
 19ページは、誤食と表示ミスの部分です。これも同じように、0歳、1歳、2,3歳、からずっとありまして、1位、2位、3位ということで分けてございます。誤食あるいは表示ミスは、どの年代も大手の3つ(鶏卵、乳、小麦)が多いです。若干、ピーナッツとか、そばも入ってまいりますけれども、年代に応じて傾向の差が、初発事例よりは少ないのではないかといったところでございます。
 20ページは、出現症状でございます。この約3,000例に出現した症例です。皮膚症例、呼吸器症例、粘膜、消化器、ショックです。このショックは、アナフィラキシーショックが起きた事例ということです。皮膚症例が一番多い。アナフィラキシーショックは全体の10%ぐらいでございます。
 21ページ目、ショック症状はどんなものが多かったかというもので、鶏卵、乳製品、小麦、やはりこの3つが非常に多いということです。そのほかに、そば、木の実、甲殻類、ピーナッツのショックがあるということです。
 今回から調査項目としたものですけれども、アドレナリン使用例です。これは、全体の約3,000例の中の471例でアドレナリンが使用されたというものです。ですから、ショックまでいかない分類のところで、アドレナリンを使用している部分も幾つか入っているというものになります。
 次に、転帰です。入院された事例が391例(13.2%)ありました。これも約3,000例のうちのということになります。
 最後に、妥当性の検証でございます。今のアレルギーの制度は25品目を指定してございますけれども、義務の7品目で83.2%、18品目を加えた25品目では93.9%でございます。ショックのほうも、307例のうち7品目で82.7%、18品目を加えた25品目で91.2%が含まれてくるというものでございます。
 22ページは、今回の調査報告書より、23年・24年度調査の考察の部分を抜粋してございます。まず、表を見ていただきますと、真ん中ぐらいで表が2つに分かれております。左のほうは、下に合計と書いてありますが、2,954例、約3,000例の原因となる食物を上から順番に順位づけして書いています。右側は、アナフィラキシーショックが起こったものに限定して集計しているものでございます。
 まず、左側の約3,000例のほうから見ていきますと、二重マルが義務表示がかかっているもの、一重マルが推奨表示です。見ていきますと、途中でカシューナッツ、ゴマが空欄でございます。マグロ、タラ、マンゴーがあって、合計が2,954例になってございます。次はショック原因食物のほうです。カシューナッツ、コメ、タケノコ、カカオ、タラとかありまして、合計で307例になってございます。
 こういう結果から見まして、カシューナッツ、ゴマ、このあたりを検討する必要があるのではないかと報告されてございます。これまでが平成23年-24年度に行った全国実態調査の報告書概要でございます。
 続きまして、23ページをごらんください。エリスリトール等の摂取による即時型食物アレルギー全国調査の概要です。これは24年度に行いました。24年の10月、11月、12月にかけて行いましたけれども、今、御説明した調査とは別物とお考えください。今回、エリスリトールでアレルギーを経験したという医師がいらっしゃいまして、海老澤委員に御相談申し上げたところ、それに特化して調査してみようかというものでございます。
 したがいまして、前段で御説明した調査と調査手法も違いますし、期間も違います。特に疫学的な調査手法で、前向き調査、後ろ向き調査という言い方がありますが、御説明した約3,000例の調査は前向き調査です。これから1年間かけて4期に分けてやりますから、症例があったらちゃんと教えてくださいというもので、記憶に頼ることなく、確実性が上がってくる調査ですけれども、後ろ向き調査、レトロスペクティブ調査と呼んでいますけれども、過去経験したかどうかということで、過去にさかのぼって調査いただくものです。記憶がメインになってきてしまいますので、そういったバイアスもかかることがございます。調査手法は違いますので、御説明した約3,000例という数とこれから御説明申し上げる数は、一概に比較はできないというものでございます。
 そういう前提で御説明を申し上げますと、24ページです。調査の目的。今回、幾つか症例があったということで、これに特化して調査をかけた。せっかく調査をかけるので、甘味料と言われる添加物も含めて教えてくださいということで、全国調査に御協力いただいた医師、1,079名の方に御協力いただきまして、調査をかけました。まずは、症例を見たことがあるか、ないかということで調査をかけております。それが1次調査です。2次調査では、見たことがありますと言った医師に対して、さらに詳しい状況が聞ける状態の意思。過去かなり古いので、詳細までは覚えていないという方もいらっしゃいます。そういう方はどうしても外れてしまいますけれども、細かい調査が聞ける医師に2次調査をかけたというものでございます。
 調査対象を一番下に書いてございますけれども、1次調査は、合計877名の医師に協力をいただきました。回収率が81%、877名から返信があったというものでございます。その中で、さらなる調査に、協力可能ですと言われた11名の医師に協力していただけたということでございます。
 詳しい中身を25ページにお示ししてございます。まず、1次調査で877名の方から、あるかないかの調査をかけたところ、21名の医師から、合計33例。これは、確定と疑い合わせてでございますけれども、33例の事例が挙がってきたということでございます。エリスリトールは確定症例8例、疑い症例7例になります。
 これは、あるかないかで聞いておりますので、さらに詳しい、どういった症状とか、どういったものを食べたかとか、そういうものを聞ける場合。余り古くて今から調べるのは無理という医師もいらっしゃいますので、そういう方々を除いた方々の中で、11名の医師から、1次調査で挙がってきた合計33例のうちの14例について、比較的詳しい状況もお伺いできたというのが2次調査でございます。エリスリトールは確定症例の6件でございます。エリスリトールや甘味料等の確定と疑いを含め、合計14例の報告をいただいたというものでございます。
 一番下に、「今後について」とございます。エリスリトールですとか、甘味料については、割と新しい部類のアレルギーの発症例になると思います。今回、海老澤委員は学会発表なども行っていただいておりますので、アレルギーの専門の先生は、これで、そういったアレルギーもあるということを恐らく認識していただいていると思いますので、今後、認識いただいたもとでさらに調査をかけていく必要があるのではないかと考えております。
 次に、26ページは、先ほど御説明いたしました調査を踏まえまして、特定原材料等の見直しなどを検討していくというものでございます。
 27ページをごらんください。これは、即時型食物アレルギーの原因食物の推移です。平成13年-14年度、16年-17年度、19年-20年度、23年-24年度と、4つに分かれてございます。23年-24年度が先ほど御説明申し上げました部分です。こうやって経時的に4つの大きな調査を見てまいります。先ほどと一緒で、二重マルが義務表示がかかっているもの、一重マルが推奨表示になります。
 まず、13-14年度の調査のときに、10位を赤で囲っていますけれども、バナナが挙がっていたということで、検討した結果、16年の改正でバナナを推奨表示に入れている。16年-17年度の調査で、エビ、カニを青で囲っていますけれども、当時推奨表示だったものを、その後、試験方法とか対象食品の範囲とかいろいろ研究しながら、平成20年度に義務表示に格上げしていったという経緯がございます。そのほかに検討の中で、例えばゴマ、カシューナッツ、アジ、そのあたりも引き続き注視する必要があるという意見が出されているものでございます。
 こうやって見てみますと、ゴマ、カシューナッツ、このあたりは今回の調査でも挙がっています。数値が占める割合、全症例、今回で言うと約3,000例の中に占める割合ですけれども、比較的順位が一定化している、あるいは、ちょっと上がりつつあるというものでございます。アジやタラコ、このあたりは、今回は若干下がっていたりするものでございます。そういった状況になっているというものでございます。
 次に、28ページでございます。アナフィラキシーに特化したものです。今の全症例の中からアナフィラキシーショックのものを抜き出したものでございます。これも過去行った4つの調査です。ここでは、カシューナッツは数が比較的多く計上されています。ほかにゴマとかもありますけれども、こういった状況になっているというものでございます。
 次に、29ページです。これらの実態を踏まえまして、検討が必要になってきますけれども、検討課題マル1は、私が申し上げました経緯になります。平成16年12月の改正のときにバナナが推奨表示になった。そのほかに、経時的に見ていく必要があるとなったものです。
 次に30ページ、検討課題マル2です。これも、20年6月の改正のときに、エビ、カニが義務表示になったというもので、技術的な検証、交差抗原性の検討なども行いながら格上げしていったものです。この中でも、アジ、カシューナッツ、ゴマ、タラコ、このあたりは今後、調査結果を見ながら考えていきましょうというものでございます。
 31ページ、検討課題マル3でございます。これは、ごらんいただいた表の中からカシューナッツ、アジ、ゴマ、タラコだけを抜き出しまして、全原因食物中の割合、アナフィラキシーに特化した割合をお示しして数値的に見たものです。矢印は、割合が変わらないか、上がったか下がったかです。カシューナッツとゴマは、変わらないか、あるいは、ちょっと上がりつつあるといった傾向があります。アジ、タラコは徐々に下がっているという傾向がございます。これからすると、カシューナッツ、ゴマ、このあたりは推奨表示にしていく検討が必要になってくるものでございます。
 続きまして、32ページでございます。今後の検討課題を3ページほどつけてございます。まず、今後の検討課題マル1は、特定原材料等、今の義務表示7品目、推奨表示18品目、合計25品目の品目の妥当性について、今後、さらに検討していく必要があるのではないかということです。これは、今回、何か追加するか、しないかにかかわらず、この制度ができてからもう10年以上経過しています。25品目をさらに今までのデータを詳細に調べて、その上で、25品目の妥当性を再度検証する必要があるのではないかということで、今年度、消費者庁において実施する予定としております。
 もう一つは、先ほど申しましたエリスリトール、甘味料、こういったものにつきまして、さらに継続して調査を行いたいと考えております。これも25年度に検討を行う予定にしてございます。
 33ページ、今後の課題マル2でございます。上の四角は品目の範囲でございます。例示で「さけ」の品目の範囲を挙げています。簡単に申しますと、さけと言ってもいろいろな種類がある。海に行くもの、陸に残るもの、ます、やまめ、いわな、そういうものを含めて一括してさけ類ですけれども、どの部分の「さけ」までを義務表示に入れていくか。義務表示に入れると違反措置などの対象になりますので、厳格にこの分類で言う「さけ」はどこの範囲なのか、というふうに決めていく必要がございます。なお、さけは今、推奨表示です。
 こういったものがそれぞれの品目で分類がありますが、よく言われるのは、さけ、あるいはオレンジなどです。オレンジも、いわゆるマンダリンオレンジは入るのか入らないのか。今、日本の温州みかんは入っていないのですけれども、それは引き続き入らないでいいのか、大丈夫なのかどうか。そういった品目の範囲についても、本年度から、さらに精査して検討していく必要があるのではないかということでございます。
 次に、代替表記等の見直しについて。これは、先ほどの御説明の中で若干申し上げましたけれども、例えばマヨネーズと言うと、大人であれば、卵からつくられているというのがわかるかもしれませんけれども、小学生のお子様の中には、マヨネーズが何からつくられているのか御存じない方がたくさんいらっしゃるかもしれません。今は代替表記でマヨネーズを認めていますけれども、そういったものを引き続き認めるのか、それとも、10年たっているので、そろそろこういうのをなくしていく必要があるのかどうか。そういった検討も本年度から行いたいと考えております。
 次に、34ページ、今後の課題マル3です。まず、アレルギー表示制度の普及啓発について。これは当たり前の話ですけれども、普及啓発は引き続き実施したいと考えております。
 それから、保健所の担当者、アレルギーに詳しい人を、少なくともその場所、その場所で1人ないし複数人、「この人に聞けばわかる」という方を確実に養成する必要もございます。そういった自治体の担当者向けの研修も、引き続きやっていきたいと考えているところです。
 中食・外食のアレルギー表示については、表示の一元化検討会の中でも非常に議論がありまして、中食・外食、今は表示が基本的にかかっていないけれども、何か一つかけるとしたら、優先順位はアレルギーだろうと。ただし、コンタミネーションの防止対策が非常に難しい。そういったものも研究しながら、専門家の先生を、あるいは消費者団体、業界団体を交えながら、専門的に検討していかなければいけないということを言われているものでございます。これも、別の場なり、食品表示部会の場など、何らかの場で検討していくというものでございます。
 お時間をいただきまして、ありがとうございました。私からは以上でございます。

○田島部会長 御説明、ありがとうございました。
 引き続き、実際に調査を御担当いただきました海老澤委員から、補足等があればお願いいたします。

○海老澤委員 基本的にはとてもよくまとめていただいているのではないかと思いました。2年ごとに担当官が代わりますので、今まで6回ぐらい、担当官が代わるたびにきちんと、今までやってきた業務の内容の継続性のために説明をさせていただいていましたが、今回の配布資料は非常によくまとまっているものではないかと思います。
 一点だけ追加すれば、10ページの「表示が免除される場合」です。義務表示のレベルが決まっているのは実は我が国だけです。ほかの国では、まだそこが決めきれていないのです。ですから、12ページの諸外国のアレルギー表示対象品目というところで、義務表示というのに、例えばEUとか、アメリカ、カナダ、ニュージーランド、オーストラリアはなっていますけれども、実際のところは、義務とは言っているものの、日本みたいに検知法というものを用いてそのレベルを決めて、これ以上は絶対に書かなければいけないということが実際にはできていないのです。ですから、日本は世界で一番進んだシステムを採用しているという状態です。
 アメリカ、ヨーロッパでの基準を決めようという作業は、過去6、7年ずっと議論していますけれども、議論だけしていて何も決まらないという状態です。この間もFDAの意見募集があったので、日本の制度に関して英文で論文をまとめてあるので、それをアメリカのFDAに教えてあげて、今まで我が国で、この濃度設定で健康被害がどれだけあったかということに関しても、基本的には重篤な問題になった事例はなかったということを報告してあります。
 アメリカ、ヨーロッパは、「入っているかもしれない表示」を許可しています。企業の防衛のためには、訴訟社会のアメリカは、そうすれば企業は大変守られるので問題ないのですが、患者さんのことを考えると、「入っているかもしれない」と書かれてしまうと買えなくなってしまうのです。ですから、日本のきちんとコンタミネーションの状況が記載されているというのは、大変画期的なことだと諸外国から評価されています。
 以上、追加することとしてはその程度です。ありがとうございました。

○田島部会長 ありがとうございました。
 それでは、御質問、御意見に移ります。消費者庁の御提案は、31ページの検討課題マル3、今回、カシューナッツとゴマの2品目を、推奨品目として追加してはいかがかというふうに承知してよろしいでしょうか。
 ということで、御意見をお伺いいたします。カシューナッツは余り問題ないと思いますが、ゴマは、ゴマ油とか、最近ではセサミンとか、影響する範囲が広いので、いろいろ問題もあるのではないかと感じていますけれども、御意見、よろしくお願いいたします。
 どうぞ、栗山委員。

○栗山委員 今回の御調査、それから、この委員会の開催、ありがとうございました。本当に私たちにとってもとてもわかりやすい調査報告書で、御礼を申し上げます。
 表示検討で、ゴマですが、これは私たち患者会にはとても多い要望です。機会があるときに、患者会として表示についての質問をさせていただいていますが、カシューナッツは、挙がらなくはないのですが、ナッツ類というふうに皆さんが考えていらっしゃるせいか、カシューナッツとして挙がってきたのは1例だけでした。ゴマはものすごく多いです。最近は健康志向というか、ごはんにもパラパラとゴマがのっていたりすることがすごく多く、食事が食べにくいというお話もありますし、ゴマの追加は是非是非お願いしたいと思っております。

○田島部会長 ありがとうございました。
 春日委員。

○春日委員 ちょっと教えていただきたいのですが、このアンケート調査のときに、例えばゴマならゴマ、カシューナッツならカシューナッツが原因で、アナフィラキシーにしろ、いろいろな症状が起こったという判断は、どういうふうにされているのか。それを教えていただけますか。

○海老澤委員 今回は、アンケートというか、実際に症状が出たことによって、医療機関で治療を受けた方というふうに御理解いただけると一番わかりやすいかと思います。食べてから1時間以内に、即時型のアレルギー症状と言いまして、先ほど記載がありましたように、じんま疹が出たとか、息苦しくなったとか、いろいろな症状を訴えられて、それを医師が実際に診療してゴマによるアレルギー反応であると判断した方。そして、それに関しての治療の状況とか、そういうことまできちんと調べてあるので、実際にどのように判断したかということは、まず、症状が出ていることと、医師がその後、例えばIgE抗体の検査をしたり、皮膚テストをしたり、そういうことを総合的に勘案して、その症例がゴマのアレルギーであったと医師が診断したことが基本になっています。

○田島部会長 ほかにございますか。
 手島委員。

○手島委員 カシューナッツとゴマを推奨の表示にするということですけれども、4回のアレルギーの調査の結果でも、両者についてはどちらも上位に入っていることで推奨に入れるということで、賛成させていただきたいと思います。
 ゴマに関しては、座長がおっしゃっていましたけれども、いろいろな形態があると思いますので、表示の範囲は少し整理をするという形でしていく必要があるかと思います。ゴマ油とか、どこまで表示対象のゴマという範疇にするか、というようなところは整理をしておく必要があると思います。
 カシューナッツに関しましては、私も、ナッツということで一般にアレルギーが多いという認識ではあったのですけれども、調査の中でもカシューナッツが高く出てきているということですので、今回、推奨に入れることに対しては賛成させていただきたいと思います。

○田島部会長 山浦委員。

○山浦委員 今回、カシューナッツをはじめとして4品目を推奨に入れるかどうかということですけれども、私も入れるべきだというふうに考えております。ここのデータによりますと、いろいろばらつきはありますけれども、いずれも、被害があるということが今後の可能性としてありますので、是非、そうしていただきたい。
 今後の課題として、中食・外食での義務化についても、今回の法律の中でも課題とされておりますので、是非、義務化の方向で検討していただきたいと思います。

○田島部会長 中下委員。

○中下委員 カシューナッツ、ゴマに関しては、今回、対象品目に加えることについては、今までの委員と一緒で賛成いたします。
 もう一つ、書かれていないことですけれども、ずっと拝見していますと、イクラというのが結構高順位に出ている。これはまだ義務品目ではないのですけれども、今年度に至っては、義務品目であるソバよりも上位に位置づけられています。これは原因食物のほうでも上位に位置づけられていますので、これも、義務化も含めて検討をしていただいたらどうかというふうに思います。

○田島部会長 イクラを義務化に格上げしたらどうかという御意見でございますが、先に迫委員の御意見をお伺いします。

○迫委員 4点ほど、発言させていただきます。まず1点目は、カシューナッツとゴマの問題でございます。カシューナッツは、単独で見てカシューナッツだとわかる形態のものでございますので、これよりも、どういう形で入っているかわからないもののほうが、より表示が必要であろうということからすれば、ゴマは、いろいろな問題点があるかもしれませんが、そこを精査した上で、推奨なり義務に結びつけていくべきではないかと申し上げたいと思います。
 その関連で、実際に義務表示と推奨表示、この表示の方法によってどの程度表示が適正にされているのか。義務表示の場合は、表示しなければ、当然、違反という形になりますので、先ほどの調査の中でも、表示ミス、違反というものがあったかと思いますが、推奨事例について、違反という扱いにならないだけに、推奨表示にすることが有効とは思いますけれども、どの程度の表示がされているのかというところの精査が必要になってくるのではないか。これは既にされているかもしれません。その辺の情報があれば教えていただきたいということ。
 そういう中で、推奨表示で現在入っているものが、先ほど中下委員からもありました、イクラの問題、過去に高率で挙がっていたタラコの問題。つまり、魚卵という形で示されているものが推奨表示の中にありますが、ショックの原因食物、その辺を考えていったときに、義務に挙げていってもいいのではないか。あわせて、大豆をどういうふうに取り扱うのか。これは先ほどのゴマの問題とも絡んでまいりますけれども、大豆に対するアレルギーもかなり重篤なものがあると思っております。どの程度使われているかということが適正に表示されることは、いろいろな食品に使われているだけに、もしかしたらゴマ以上に重要かもしれないと思うところです。
 調査の関係でもう一点お伺いしたいのは、表示ミス。義務表示で70例、推奨表示だと思いますが5例。この辺についての具体的な中身と対応、その辺が一体どうなっているのかというところが3点目でございます。
 4点目に、マヨネーズの問題です。マヨネーズに関しては、マヨネーズをつくった経験のある人にとっては、卵が入っていると承知しているわけですけれども、現在、マヨネーズを手作りすることがほとんどない世の中になっているのではないか。ということは、マヨネーズという食品が原材料として考えられている。とすれば、そこにはやはり卵の表示をきちっと入れていかないと、若い年代ほど、マヨネーズはパックで買ってくるものだと思っているかと思います。子育て世代とか、そういう世代を考えていったときに、丁寧な表示が必要ではないかというふうに思います。
 以上、4点でございます。

○田島部会長 ありがとうございました。
 先ほどの中下委員の、イクラを推奨品目と。私は、イクラは見ればわかるので、義務表示にはしなくてもいいのではないかと思いますけれども、迫委員の御質問もありますので、一度、消費者庁のほうでお答えをお願いいたします。

○今川課長補佐 御意見をいただきまして、ありがとうございました。まず、1つ目、カシューナッツは比較的わかりやすい、ゴマはわからないものが結構あるのではないかということで、我々もやはりそういう認識でございます。これは、中下委員、迫委員からもお話しいただいた、イクラの部分にも通じると思います。部会長もお話しいただきましたものに通じるのですけれども、過去の議論の中でも、イクラを義務表示に挙げるかどうかという議論は何回かありました。その中でも、イクラは、何かの原材料に使われて、形がわからなくなるような使われ方は余りしないので、義務に上げるかどうかというのは、ちょっと様子を見ながらですねという形になってございます。
 そういう意味では、カシューナッツが、どこまでわからなく入っているかということになってくるのではないかと思います。カシューナッツは、主にはチョコレートの原料ですとか、カレーやシチューに入れたり、あるいは、中華料理で使われるという形です。そういう形の商品ですから、ゴマよりは多少わかりやすい部分があると思います。そういったことも含めながら、まずは、推奨に引き上げるかどうかといったことになろうかと考えております。
 それから、義務と推奨で、どの程度適正に表示されているのか、されていないのか。そういったデータがあればというお話でございましたけれども、申しわけございません。そういったデータは持ち合わせてございません。
 3番目、今回の調査の中で、義務70例、推奨5例の表示ミスということで、それがどういった状況なのかというお話がございました。これは、今回の調査の中で、どういった間違いによってこれが起こったのか、というところまでは調べていないものですので、この点について、補足で海老澤委員から何かございましたら、後ほどお話しいただければと思います。
 4つ目、マヨネーズはわからない人が多いのではないかといったお話です。これは、たびたび消費者庁のほうにも、そういった一般の方からのお声が上がっているものでございます。この表示制度ができてから10年以上たってございますので、特に代替表記につきましては、しっかり考えていきたいと考えているところでございます。
 以上でございます。

○田島部会長 海老澤委員、御追加はありますか。

○海老澤委員 表示ミスという項目に関しては、もう少し精査しないとお答えすることはちょっと難しいかなと思っています。前回調査での“表示ミスによるというもの”も、その先生にたどり着いて詳しく調べていくと、認識の間違いであったり、実際に表示ミス事例も入っていましたが、上がってきているものほどは本当の表示ミスは多くなかったと認識しています。ですから、今回は、もう少しお時間をいただいて調べさせていただきたい
と思います。

○田島部会長 ほかに御意見はございますか。
 どうぞ。

○澁谷委員 私からは2点ほど。まず、カシューナッツ、ゴマについて追加検討をということですが、これは賛成いたします。今回の調査は、非常に専門性の高い先生が診断をされているので、こういう調査は貴重な調査だろうと思います。実際には、私も経験をいたしましたけれども、イクラのアレルギーであったと思われても、通常の診療にかかったときには胃腸風邪ということで、アレルギーの診断をしていただくのはなかなか難しい。世の中には、多くのアレルギーの症状が診断されずに埋もれている可能性もあるのではないかと思います。そうなると、まず消費者の段階で気をつけることも必要なことだろうと思っています。
 今回、アレルギー疾患の対策基本法というのが検討されるということですと、さまざまな角度から環境整備をしていく必要があるだろうと思います。その中で表示というのは重要な意味を占めてくるだろうと思いますので、追加をすることについては賛成です。
 ただ、アジとタラコというのも一緒に挙がっています。これらも、見た目でわかるか、混ざっているかどうかという先ほどの形態の変化で言うと、推奨する推薦順位は、ゴマ、カシューナッツのほうが高いのではないかと思います。
 以上です。

○田島部会長 山根委員、どうぞ。

○山根委員 私も、ゴマに関しては推奨に入れることに賛成です。ただ、推奨という方法がどの程度徹底しきれるのかというのは、ちょっと思うところがあります。ゴマを含むものは相当多くございますし、工場で使用しているところも相当量多いと思いますので、ラインの徹底した分別等、かなりきちんと指導等をしなければならないですし、多くの食品が、混入の可能性がなくても、ゴマを含む製品ラインですという表現になって、食品の選択の幅が狭まることにもなりかねないので、そのあたりはきちんと指導等が必要だと思います。
 それから、17ページの表示ミスのことで海老澤委員からも御説明がありましたけれども、誤食のほうは、39%誤食とおまとめになってございますが、これは、表示を見逃したであるとか、表示がわかりづらいものであったとか、入っているとは思わなかったとか、そういういろいろな条件が含まれているという理解でよろしいのでしょうか。

○田島部会長 誤食についてはどうですか。

○海老澤委員 誤食については、表示を見落とした、あるいは、何らかの要因によって誤って摂ってしまったと。食物アレルギーの患者さんに我々は原因物質を指導しますし、加工食品などの場合は、食品表示の範囲というのをきちんと指導しますけれども、それが、認識が足らなかったとか、あるいは、人間というのは100%正しくできるものではないので、どうしてもエラーが発生してくるというところが大きいのではないかと思います。

○山根委員 そこに、表示方法のルールの課題なども見えてくることもあるわけですね。

○海老澤委員 もちろん、わかりやすい表示というのは必要だと思います。現行でできる限りのことはしているので、わかりやすさと現在の表示のシステムとの狭間で、改善すべきところはあるのかもしれませんが、自分の感覚としては、日本のアレルギーに関しての食品表示というのは、行政として大変よくやられているのではないかと思います。
 というのは、諸外国では、こういう健康被害の調査は実際やろうとしたら不可能に近いです。これだけ1,000名のドクターが全く無償で御協力いただけるというのは、日本のドクターの美徳というか、すばらしいことだなと。よく、こういうデータを外国に話すのですけれども、「何で日本の医者は無償でこういうことをやってくれるの?」と、よく言われます。アメリカでこれをやろうとしたら、どれだけお金がかかるかわからないとおっしゃいます。実際に健康被害の調査を、3年ごとにきちんとこのように全国隈なく調査をし、実際に表示制度がうまく機能しているかどうかということと、あと、カシューナッツなどもだんだん上がってきていますけれども、こういう変化をとらえながらきちんとしていこうという姿勢は、大変いいのではないかというふうに諸外国からは評価されています。

○田島部会長 栗山委員。

○栗山委員 先ほどは31ページ限定でお話をしたので、幾つか。まず、ここに挙がってきている、お医者様が診断してくださった中でもコメというのが挙がっています。コメに関しては、症例が少ないから問題がないということではないと思いますが、実際に診断されるのはこれぐらいであるのに反して、患者の親レベル、あるいは一部専門の先生であっても、おコメのアレルギーがあっても、ある銘柄なら食べられると。だから、患者さんレベルでは、「このおコメなら食べられるのですが、これだとだめです」と、普通で考えたらあり得ないようなことが結構広く流布されていることに問題を感じています。
 それが、例えば東日本大震災を境にしまして、行政で備蓄しておくおコメについて、ある地方では、銘柄を指定して患者会から要望があったりするということで、本当にそういうことが必要ではないはず。済みません、勝手に判断して。ないはずだと思っているのですが、余り知識のない行政に要望が行きますと、余計な配慮をしなくてはいけないことになってしまいます。おコメに関して、銘柄ではなく、コメアレルギーの人でもある程度の人たちは食べられるという、タンパクを操作できたものがあると思うので、一緒にそういうことも広がっていったらいいなというふうに思っています。これだけ実際の例としては少ないにもかかわらず、東日本大震災を境にして、とても患者の間で広まっていることなので、ひとつお話をさせてください。
 あと、マヨネーズに関して、おコメもそうなのですが、きちんとした患者、と言っては何ですが、問題意識を持っている人たちは、そういうところを間違えることはないのですが、これからの社会、周りの方々に御理解いただいていくことが、お子様の命を守ることでとても大事なことなので、そういう観点から表示を考える。まさにマヨネーズはそのいい例だと思いますが、考えていただければなというふうに思います。
 それと、最後のページのアレルギー表示制度の普及啓発についてです。アレルギーが表示され関心が高まっている分、最近、私たちのところで増えているのは、アレルギー産業に参入したいので相談させてくださいとか、話を聞かせてくださいというところが結構たくさんあります。そのときにお話をすると、まず一番先に来るのが、お金になる。アレルギーは、特別に表示したり、特別なものをつくるので、それが高く売れるという視点で参入される方がいて、それぐらいの知識でこういう世界に入ってくるのはやめてくださいということが結構多いので、それを含めてということはないのですが、最後のページの普及啓発について、是非よろしくお願いいたします。

○田島部会長 立石委員。

○立石委員 きょうは事業者の立場でお話しさせてもらいます。昨年12月に起こった富士見台小学校のあの事件の教訓も踏まえ、徹底的にアレルギー表示について間違いがないようにやるということで進めているわけですけれども、残念ながら、私どもでもこの3年間で4件起こしています。卵が1件、小麦が2件、それからソバが1件です。結局、複合原材料の中に含まれているかどうかがわからないのです。カレーの中の小麦とか、しょうゆの中の小麦とか、こういうのが抜け落ちてしまう。こういうことで御迷惑をかけて告示し、回収をやっているわけです。
 ソバについては、ソバのラインでうどんをつくっていたということで、うどんにソバが入ってしまった。これは保健所の指摘でわかったのです。本当に申しわけなく思っています。けれども、ただ、私が感じるのは、今のお話を聞いていて、アレルギーの発症にはさまざまな原因があると思いますけれども、添加物だとか、そういうところにも恐らくかなりの原因が潜んでいるのだろうと思います。現行、原材料は表示義務があるけれども、添加物は一括表示とか、そういう中で隠れている部分がある。そういうものが情報開示されない中で、いろいろな方がいらっしゃいますから、ひょっとするとさまざまなところで原因を引き起こしている。これがわからない中で起こっているのではないかということが心配されます。実際にそういうことはないでしょうかという質問です。今は、一括表示とか、簡略表示とか、いろいろな形で表示が非常に簡便化されていることの中に、本来必要な情報、知らされるべき情報が隠されているということはないでしょうかという質問を、まず消費者庁にお聞きしたいと思います。

○田島部会長 添加物の原材料に義務品目が使われている場合、一番多いのがレシチンですね。乳化剤として使われるレシチンは、原材料に大豆あるいは卵を使っていますので、義務表示しなければいけないと。そういうのが抜け落ちてしまうという御意見だと思いますが、消費者庁はどのように考えていますか。

○増田食品表示課長 添加物であっても、今のアレルギー表示制度の中では、義務表示の品目の由来であれば、「○○由来」という形で書くことになっております。それは一括表示で、例えば、乳化剤にそういうものがあるかどうかわかりませんけれども、添加物表示制度の中で物質名を書かないものであっても、アレルギー表示制度の中ではアレルギー物質由来のものであれば、「○○由来」という形でアレルギー物質が入っていることは表示することになっておりますので、今の義務表示7品目が添加物で使われていたから表示されないということは、ルール上、ないということになっております。
 ただ、その話と、アレルギーの原因としてそもそも添加物もあるのではないかといったことについては、確かにいろいろ調査をしてみる必要があると思いますけれども、アレルギーの問題は表示だけですべて解決できないと思っております。先ほど、澁谷委員が、一般の病院に行ったときになかなか診断されないと言われました。一方で、患者の方々が例えば専門のアレルギーのところにかかって、自分が何のアレルギーがあるのかということを把握していただくことも、表示がちゃんと機能していくためには大事だと思います。そういうことを通じて、より詳細にアレルギーの原因物質が把握できていくようになれば、よりよい仕組みになっていくのではないかと思っております。
 もう一つ、義務表示か推奨表示かというのはなかなか難しいところもありますけれども、アレルギーの表示をしていただくに当たっては、この紙の中に書いてありますけれども、コンタミネーションの防止に当たって、ラインを洗浄してくださいとかいうことをいろいろお願いした上で表示しております。もちろん、より多くの企業にそういうことに取り組んでいただく必要がありますけれども、それを一律にやっていくことは、適切にできるかどうかという担保を含めて非常に難しい部分もございます。
 そういったことを考えますと、義務でさせるものは、もちろん義務として位置づけますけれども、一方で推奨という仕組みをつくって、なるべく、できる企業に積極的にこれに取り組んでいただく。そういうことを通じて、患者の皆さんが選べる環境をあわせてつくっていくことも非常に重要ですし、環境整備ということでは意味があるのではないかと思っております。
 以上です。

○田島部会長 栗山委員、どうぞ。

○栗山委員 今のお話で1か所だけ。患者が専門病院にかかって自分のアレルギーをきちんと評価するというのは、とても大事なことだと思っておりますし、私たちのところでもそれは一生懸命お勧めしているところです。ただ、食物アレルギーに限らないのですが、日本の国民の2人に1人というか、約半分に何らかのアレルギー疾患があるという中で、実際にアレルギーの専門医は3,000人しかいらっしゃいません。現実的にはかなり無理があるところです。
 それはやはり、いろいろな関係者がそれぞれの責任を果たしていただきたいと思っているところで、例えば一般の医師であろうとも、医師の責務として、科学的根拠に基づいた最善の医療を提供するという義務を負っていらっしゃるので、そういう方たちにも、頑張って、要するに、おコメの種類によってアレルギーが出たり出なかったりみたいなことを言ってみたり、血液検査だけで診断をして食事制限をすることのない社会を、それぞれの責任で果たしていきたい。私たちも、その一端としての食品表示を担っているのだと思っています。

○田島部会長 ありがとうございました。
 ほかに、御意見はいかがでしょうか。

○森(康益)委員 特定原材料の見直しの方向性について、少しお話をさせていただければと思います。今までは、実態調査をして、その結果に基づいて、義務であったり、または推奨だという項目を追加してきた。過去4回やったわけですね。このことに関してある程度十分なところまで行き着いているのではないか。これらの検討結果を見てもほとんどの項目が網羅されている。調査そのものは、継続性という形で重要だと思いますけれども、見直しの方向性そのものを変えるべきではないかという気がします。今回、今後の課題という形で非常によく整理されていますので、ここの部分に関して今後は重きを置いて取り組んでいただければと思っています。

○田島部会長 ありがとうございました。
 どうぞ。

○森(修三)委員 今回の実態調査結果が報告されて、先ほど、消費者庁からも今後の検討の追加項目がある程度示されたということです。その中で、何人かの委員の方もおっしゃっておられるように、ゴマというのは非常に広範に使われていますし、加工度もさまざまです。そういった意味から言いますと、今回の調査でそこまでわかったのかどうかということがありますけれども、加工度の程度、例えば煎りゴマとか、先ほど部会長もおっしゃったように、ゴマ油ですとか、あるいは、特定のゴマの成分を使って商品化しているような、そういったものがいろいろあると思います。
 そういった加工度の程度から言いますと、抗原がどのような状況になっているかというのは事業者としては非常に関心があります。今後、その辺をどうやって検討されるのかということもあると思いますけれども、今回の調査において、その辺の知見について何か得られたということはあるのでしょうか。それをまずお聞かせいただきたいのと、今後、どういうふうに検討を進めていかれるのか。2点、お聞かせいただければと思います。

○田島部会長 2点目のことにつきましては、消費者庁からお願いします。

○今川課長補佐 これまでの義務表示、推奨表示を入れて25品目ございますけれども、この25品目の中でまず食品の範囲を決めて、そこから外れてもいいものを、過去、いろいろ検討した経緯がございます。外れる部分としては、先ほど御説明いたしましたとおり、お酒の部分と香料の部分、プラス、10ppm未満の部分でございます。そうした検討の中で、唯一個別の事例として出たのが乳糖。かなり精製された乳糖であれば、ある程度抗原が残らないのではないか。それであれば、必ずしも表示しなくてもいいのではないかという議論はあったところです。
 ただ、それ以外のものにつきましては、今の25品目の中でも、これを除いてもいいという明確な科学的知見は、当時、得られていませんでしたので、基本的には10ppm以上を含むものはすべて表示が必要という現状の仕組みになってございます。
 今回のゴマですけれども、残念ながら、どの食品群で残るか、残らないかという知見は、今のところ、持ち合わせていないわけでございますけれども、これまでの考え方からしますと、まずは、広くすべての食品に対してかける必要もあるかもしれないと思っております。この辺で海老澤委員、もし何か補足がございましたら、お願いいたします。

○海老澤委員 ゴマの成分に関してですけれども、私たちの施設で診ている患者さんを例にして話すと、すりゴマというのが一番強烈に誘発します。摂る量にもよります。あとは、ゴマそのものの形態で摂った場合には、消化吸収ということがあるのだと思いますけれども、周りがかなり消化されにくい状況だと、そのまま排出されるケースもあります。ゴマ油という形態の場合は、すりゴマで誘発される人の中でも、ゴマ油は摂取可能な人もいます。ただ、ゴマ油もだめだという人もいます。
 ですから、今回のモニタリング調査に関して申し上げると、どういう状況で健康被害が発生しているのかということに関して、たどり着ける先生のところに、もう一回その辺の確認は可能かなと考えています。詳細な調査をということであれば、そのようなこともさせていただきたいと思います。
 ゴマの抗原性に関しては、研究はいろいろ進んでいまして、手島先生ともずっとやっています。今、おっしゃられたようなことに関しては、義務表示化という段階になったときに、その辺が非常に大きな問題になってくるのではないかと我々は認識しています。患者さんたちからよく聞くことは、ゴマに関しては全く書かれていないので、それを使っていいのか、使ってはいけないのかが全くわからないと。推奨と義務でどうなのかというお話がありましたけれども、自分の印象では、大企業ですと大体書いてくれている。中小より下になると、推奨をきちんとやってくれているところは比較的少ないのではないかと思います。ただ、推奨というのが始まって書いていただけると、患者さんはそこに書いてくださっていたら、摂らないという選択肢が発生してきますから、患者さんにとっては、それでも大変役に立つことだろうと考えています。
 今、表示の対象になっていないものをいきなり義務にする、これは技術的にも不可能なので、まず推奨に上げていただいて、その間に、実際のどういうものでということの調査とか、あるいは、本当に義務化する必要があるのかどうかということは、直接食べてということと、加工品に入ってということと、どのような形態で摂られてということと、いろいろなことを勘案しながらこの表示制度というのは行われてきます。純粋に健康被害だけの観点から、今まで、これを推奨に挙げてとか、これを義務化してということではなかったと考えています。
 この調査に関しては、確かにかなり一定化してきていて、90%以上はカバーできていることもわかってきています。ただ、ここで見ていただくとわかるように、カシューナッツが一気に上がってきたり、小麦の症例が非常に増えてきたり、3年間のインターバルでやっていても、乳製品は調査のたびに全体の割合がどんどん上がっています。そういういろいろな変化があるので、3年間ごとに必要かどうかという議論はあると思いますけれども、定期的にモニターしていく必要はあるのではないかと考えています。

○田島部会長 ありがとうございました。
 鬼武委員、どうぞ。

○鬼武委員 まず、調査の結果、いろいろ報告いただき、ありがとうございました。後ろ向きの発言にならないようにしたいと思っていますけれども、私は今回のこの資料1を見て、これまでの経過はよくまとまっていると思いましたす。ただし、従来の厚生労働省がアレルギー表示をやってきた枠を超えていないのではないか、というふうに思っているのが一点です。
 と申しますのは、この間、食品表示一元化検討会の中でも、中食・外食含めて、アレルギー表示の必要性/重要性については、表示だけに限らず、安全性の確保の上から優先順位が高いと言われているものです。そういうものであるならば、例えば個別の義務表示である小麦、卵、乳など7品目については、従来からやってきたことはよく理解できますけれども、それ以上にリスクアセスメントなり、特定原材料ごとのきちんとしたレポートが書かれて、それに基づいてやるべきではないかと思っている次第です。
 その上で、府令で規定する義務表示、通知で規定する任意表示という範囲をどういうふうに決めるかということで言うと、プロトコルなり、規定の手続きが必要と考えます。例えば原因物質と急性アナフィラキシーが起こるという2つの要件、その他の要因を加え、3つぐらいの要因を検討項目とし、義務か推奨かということを決めることが重要と考えます。また、資料1の31ページのグラフも、実際の数値のとり方によってはすごく上がっているように見えるけれども、原因物質の構成割合が0.3から0.6と推移したとき、果たしてこの値が増加したと言えるのか。そういう判断も必要になると思うので、私は、候補とする特定原材料の否定をするわけではないけれども、まず、そういう規定の仕方・プロトコル・基準をきちんと持った上で、この部会でどのように規定するか、何をするかということも含め、所掌義務をはっきりした上で出してもらわないと、皆様方は、推奨だということを、判断され賛同されていましたけれども、なかなかそこまで断定的に判断できる資料とは言えないのではないでしょうか。
 さらに、2004年、ヨーロッパでは欧州委員会の要請を受けて、EFSA特別食、栄養及びアレルギーに関する科学パネルの意見レポートでは、200ページにも及ぶものです。その報告書では個別のアレルギー物質についてのアセスメント、IgE抗体が発現するとか、例えばタンパクが問題になっていると、どれぐらいの分子量(ダルトン)のものが入ったものだとどのくらい食べたら発症するかとか、アレルゲン表示上の規定/レギュレーションまではできていないにしても、詳細なリスクアセスメントのレポートが公表されています。ですから、アレルゲン物質ごとにある程度科学的な裏付けができているのです。
 一方、日本でこうやって推奨表示なり義務表示を広げていくことになれば、当然、輸入食品に対してもアレルギー表示をしないといけないことだと認識しています。ですから、そこには科学的根拠が要るのではないでしょうか。これまでや今回のようなやり方で規定していると、皆様方の関心のあるTPPとかいう問題を含めて国際化のなかで科学的根拠が乏しいことになります。我が国は2003年から食品安全委員会ができていますし、リスクアナリシスの枠組みの中でリスク評価とリスク管理という手法に基づいて規格・基準を設定しており、そういう点も含めて、個々のアレルギー物質を評価すべきでしょう。従来アレルゲン表示は、食品衛生法の第19条、表示の上の観点だったと思いますけれども、食品安全基本法第24条の第14項か何か、関連することについては、食品安全委員会の意見を聴取することもできると考えます。
 また、甘味料ですとか、糖アルコールというのは、これから調査ということも含めて言うと、アセスメントについては、食品安全委員会のようなところで正式なリスク評価(健康影響評価)、要するにアレルギー問題に関する常設の専門委員会を設置してやるべきではないかと思っています。再度申し上げますが、リスクアナリシスの枠組みで整理した上で、もう一度提案してほしいというのが私の意見でございます。

○田島部会長 ありがとうございました。今後の課題とさせていただきます。
 阿久澤委員、どうぞ。

○阿久澤委員 表示の目的からすると、過去4回の調査報告を踏まえた結果、それと、他の食品への素材としての利用度、そういったものを考えた場合、カシューナッツ、ゴマを推奨品目とすることは妥当ではないか。賛成と考えております。さらに品目の範囲などを、今回、課題として幾つか挙げていただいておりますが、その辺の検討もとても重要な内容かなと考えております。
 一点、質問というか、28ページに、アレルギーが増えてきているということでの2番目に、過去から、「乳製品、乳製品、乳、牛乳」とありますが、これは牛乳タンパクというとらえ方なのでしょうか。どのようにとったらよろしいでしょうか。ほかのものはみんな一貫した品名になっていますが、いかがでしょうか。

○田島部会長 平成19-20年はただ「乳」となっていて、23-24年は「牛乳」というふうに表示が変わっているのはなぜですか、という話ですが。

○海老澤委員 基本的にはこれは同じものだと認識してください。すべての乳加工品、乳製品を含むというものであります。
 それから、先ほど、サイエンティフィックにヨーロッパではいろいろなことが行われているというお話がありましたけれども、基本的にサイエンスをヨーロッパもアメリカもずっとやってきたのですが、結局は何も決められないというのが結論です。そういう会議にも自分は出ていますけれども、要は、行政的な判断がない限り表示制度というのは決められないというのが、彼らの結論であるということは御報告しておきます。

○田島部会長 それでは、そろそろ取りまとめをしたいと思います。大方の意見が、推奨品目を追加することには御異論がないと思います。品目を何にするかということにつきましても、今回、消費者庁から御提案のありましたカシューナッツとゴマの2品目を推奨品目に追加するということで、そのことにつきましても反対は余りなかったように思っております。ということで、この部会として、アレルギー対象物質として、カシューナッツとゴマの2品目を推奨品目の候補にするということで、御異議はございませんでしょうか。

○鬼武委員 部会長、私は保留とします。

○田島部会長 鬼武委員は保留でございますが、ほかの委員の方、よろしゅうございますか。

(「はい」と声あり)

○田島部会長 それでは、今後の手続につきまして、消費者庁のほうからお願いいたします。

○今川課長補佐 ありがとうございました。そうしますと、ゴマとカシューナッツにつきまして、推奨品目の候補として、これは通知の改正になりますので、通知の改正案ですとか、あるいは品目の範囲、ゴマと言っても、黒ゴマ、白ゴマ、あるいは金ゴマとか、いろいろあるわけでございます。そういった食品の範囲ですとか、あるいはQ&Aなども必要かと思いますので、そういったことを少し整備しまして、それも含めて、そういったものを用意でき次第、また御審議いただくという形をとらせていただければと考えております。どうぞよろしくお願いいたします。

○田島部会長 ありがとうございました。
 それでは、議題には上げてございませんが、御承知のように、食品表示法案が衆議院を通りまして、現在、参議院で審議が開始されております。食品表示法では、食品表示基準については内閣府令で定め、内閣府令を定めるに当たっては消費者委員会の意見を聞くこととなっております。
 ということで、食品表示部会に内閣府令の改正について審議を求められることになりますが、その進め方につきまして、山浦委員から、参考資料1の資料が提出されています。御説明を、時間が短くて済みませんが、5分程度でよろしくお願いいたします。

○山浦委員 ありがとうございます。この食品表示部会の委員で、山根委員、中下委員、立石委員と私で、今、法律の審議をされているので、早急にこれが具体化するようにいろいろなスケジュールを決めていってはいかがかということで、今回の提案書を出させていただきました。
 新しい法律には、「消費者の権利」という観点も盛り込まれまして、消費者が選択をする際の重要なツールになるようにということで表示制度が位置づけられております。そして、この表示部会でしっかり議論すべきだということも、新法の第4条2項にも書かれているわけで、これを早く進めなければいけないと思っております。
 ただ、食品表示部会の委員は18名いらっしゃいますので、全員でこれから検討するといっても非効率ではないかと考えます。かつて、原料原産地表示の調査会が設けられましたように、今回の提案としましては、例えば1ケタの委員を選出して、そこで効率的に次のようなことを検討してはどうか。そういう御提案をさせていただきたいと思いますので、消費者委員会の親委員会、そして、今回は表示部会でもんでいただいて、是非、実現するようにお願いしたいと思います。
 資料に基づきまして、内容を幾つか御提案したいと思います。まず、設置する調査会ですけれども、新法の趣旨に基づいて前向きに検討する、そういった調査会を是非行っていきたい。その際に、かつては事務局からいろいろお手伝いをしていただくという形が多かったのですけれども、食品表示部会ですから、実際にいろいろな知見を持っている委員が主体的に提案をしていく。それを事務的に取りまとめていただくのが事務局という、そんな位置づけでもいいのではないかと思います。
 設置の理由と進め方ですけれども、加工食品の原料原産地表示が今後の検討課題とされております。また、食品添加物の今の在り方を見直すのはどうか。遺伝子組換え表示の改善、こういったことが3課題として挙げられております。もちろん、きょう話題になりましたアレルギーの問題、これを早急に進めなければいけないということも課題としてあります。
 今回の設置の理由と進め方の中身としましては、消費者の権利として、安全確保、選択の機会確保、必要な情報の提供、こういったことがしっかりと盛り込めるようなルールを検討する、そういう前向きな観点から設置をしていきたい。今後、食品表示法はこれから参議院で決まると思いますけれども、食品表示基準は府令レベルで決まることになりますので、この中身をしっかり検討する、そのためのたたき台をつくる。そういうことが必要ではないかと思います。
 主な審議事項としましては、加工食品の原料原産地表示を新たな基準に基づいて行っていく。これまでは、品質の差異の観点といったことが重要視されてきたわけですけれども、「要件1」「要件2」、そういう基準にこだわることなく、例えば消費者の誤認という新たな視点も、この間、いろいろと出てまいりましたので、こういったことも含めた新たな視点から、原料原産地表示の拡大という方向性を目指したいと思います。
 食品添加物表示につきましても、一括名、簡略名表示によって、消費者が、実際にどういう化学物質があるのかということがわからない。きょうのお話にありましたように、アレルギーの問題につきましても、添加物のところで、果たして今の状況でいいのかどうかということもあるかと思います。こういったことについて是非検討をしていきたい。
 遺伝子組み換え食品の表示は、表示制度があるわけですけれども、対象食品・対象品目では、例えば食用油やしょうゆは義務表示になっておりません。例えば、EUにおける義務表示はどういう理由でそうなっているのかということを考えながら、今後、消費者が実際に選択できるような表示制度に変えていく。そういう方向性が必要ではないかと思います。
 スケジュールは、例えば6回ぐらい会議を開いて、なるべく早めに報告書をまとめてはどうか。内容としましては、海外ルールが参考になると思いますので、この比較をする。そして、ヒアリングをしていくことも必要なので、例えば韓国の表示、これが非常に優れた部分があると思いますので、韓国の制度、あるいはEUの状況、こういったことについて、現地の行政官の方々をお呼びしてもいいのではないかと思います。あるいは、この審議事項に即した有識者とか、市民団体で積極的に取り組まれている人、こういった方々をお呼びしてヒアリングをする。論点整理を2回ほど行い、たたき台を早急に策定して報告書を取りまとめる。このようなスケジュール感でやってはどうか。
 そういうイメージを持っておりますので、是非、御検討いただいて、消費者委員会としても、こういった調査会の形で早く審議を進めていただきたいと思います。
 以上、御提案です。お時間、ありがとうございました。

○田島部会長 ありがとうございました。
 提案にお名前が挙がっている山根委員、中下委員、立石委員、何か補足等ございますか。

○山根委員 では、補足です。本来、一元化の検討の中で、その時期に合わせて、改善が期待されていた諸課題の議論について、積み残しというか、今後の検討という形になっているわけですけれども、これら個別課題についての検討を早くスタートさせるべきだということに関しては、特に異論はないのではないかと考えています。消費者委員会の食品表示部会、ここのメンバーで、自分たちでこういったたたき台の提案までは是非したい。するべきだというふうに思っています。
 今までこの部会では、一元化検討会の経緯、取りまとめを見守っていたような形で、具体的に表示法等について、意見交換や検討はしていないわけです。今後、早くにそういった場を立ち上げて、きちんと取りまとめていく必要があるのではないかと思っています。書いたようなスケジュール通りにきちんと当てはまっていくかはわかりませんけれども、早々に調査会の場をつくって、たたき台づくりに着手するべきだと思っています。よろしくお願いします。

○田島部会長 ありがとうございました。
 ほかにございますでしょうか。
 どうぞ、栗山委員。

○栗山委員 質問ですが、この中にアレルギー表示も含まれるということですか。ワーキンググループのようなものをつくって、その中にアレルギー表示、アレルギーのどれにするかなどの科学的な話とか、そういうものを含めてやるということでしょうか。

○山浦委員 形を一つにするか、あるいは、分けるかということもあるかと思いますけれども、課題としては非常に重要な課題で、盛り込むべきだと思います。

○栗山委員 今、意見が出た後、賛否なり何なりだと思うのですが、確認させていただきました。

○田島部会長 立石委員、どうぞ。

○立石委員 私は、アレルギーはこの検討会では難しいのではないかと思います。山浦委員とちょっと違いますけれども、やはりアレルギーは別にやるべきではないかと思います。共通する部分は出てくる。ただ、今回の新しい法律に基づく消費者の権利、ここのところに基づいて、新たなパラダイム転換の中でもう一回つくり直すということをやる、そういう形で関係性は出てくるかもしれませんが、アレルギーは少し難しいのかなと。
 ですから、3点、遺伝子組換え、原料原産地、食品添加物、この問題はずっと課題は残っているわけでして、検討会といっても、どういう形でやるか、全くいまだもって示されていない。何度も何度も「どうするんですか」ということを問いかけても、出てこない。どこでやるのかというときに、この前みたいに、ここで調査会をやって原料原産地の問題を議論しても、そのあとの一元化検討会は全くゼロベースで行い、いろいろな人を集めて議論百出する中で、何もまとまらない。結果、先送り。こういうことを続けていたら何も決まりません。ここの18人、食品表示の識者が集まってやっているわけだから、この中で何人か集まって、きちっとした方向感を出して決めて、それに基づいて次の議論に入っていく。こういう進め方をしなければ何も決まらないだろうと思いますので、是非、この形でやっていただきたいと思います。

○田島部会長 このペーパーにつきましては、消費者委員会、いわゆる親委員会で真摯に検討をしていきたいと思っております。
 森委員、どうぞ。

○森(修三)委員 ただいまの御提案についてですけれども、私の理解では、消費者委員会あるいは消費者庁の役割があるのかなというふうに思っております。現在、確かに食品表示法が国会において審議中ですから、成立すれば、次のステップとして食品表示基準についての検討が始まるのだろう、そういう理解をしております。
 ただ、消費者庁からいろいろ審議事項が、表示事項について、実際にこちらの消費者委員会に諮問が来るわけですけれども、企画・立案に関しては、今の制度上、消費者庁のほうに役割があるのではないかと理解しておりますので、こういうような進め方をすると、どういう位置づけになるのか。そこは、ちょっと理解のできないところがあると思っております。

○原事務局長 事務局から質問させてもらいたいのですけれども、この趣旨をよく読みますと、4番のスケジュールのところに、「今後の開催が予定されている検討会までの期間にて」と書いてあります。消費者庁が示されている上に掲げてある審議事項については、「新たな検討の場」というので外に示されていますけれども、この新たな検討の場というのが、例えば内閣府令とかを決めた後というか、2年後とか3年後とか、随分先になってしまうのではないかという御懸念もあって、早くにスタートさせたいというお気持ちなのではないかと思いますけれども、それはどうなのですか。
 中身の内閣府令とか、もちろん定めていかなければいけないですけれども、その後に上の3つについて、アレルギー表示も含めておやりになるのか。それとも、並行して新たな検討の場を設けられるのか。多分、そのスケジュール感が背景におありになるのではないかと思いますけれども、いかがですか。

○増田食品表示課長 法案自体、まさに国会で審議中なので、いろいろなことを申し上げづらい状況にはありますけれども、食品表示法案において表示基準をつくる場合には、消費者委員会の意見を聞くという規定が盛り込まれております。したがって、成立ということになった後には、新しい食品表示法案に基づく表示基準をつくる必要があって、それに当たっては消費者委員会の意見を聞く必要があるということで、御審議をお願いすることになるということでございます。
 検討会などにおいて、新たな検討の場と書いておりますのは、基本的にはその時点において食品表示法案というものができていませんでしたし、どういう手続で表示基準なりをつくるということも決まっていませんでしたので、何らかの場で検討するというふうに書いております。今の法案との関係で言いますと、少なくとも表示基準に盛り込む、あるいは、表示基準で規定していくべきものは消費者委員会で御議論いただくのかなと。逆に言うと、ほかで一回議論をして、さらに消費者委員会で議論をするというのは、余り効率的ではないのではないかと思っております。
 ただ、課題のすべてが直ちに表示基準に反映できるかというところは、一個一個考える必要があると思っております。例えば、外食などにアレルギー表示をやっていくことを考えると、コンタミが一体どうやって防げるのかとか、もう少し基礎的な部分から検討しないと、直ちにルールだけつくってもうまく回らないのではないかという懸念もあります。そういった意味で、基準になるものは少なくとも消費者委員会で御議論だと思いますけれども、基準に直ちに結びつかない、ほかの検討が必要なものは、そこはほかのことを、技術者の集まりとかいうことを考えていく必要があるのかなというふうには思っております。
 ただ、御提案の中で言うと、これらは、既に表示基準であるものについて、どうしていくかということを念頭に置かれていると思うので、検討の場というのは、まさに消費者委員会になると私どもは理解しております。

○田島部会長 山浦委員。

○山浦委員 いろいろコメントをありがとうございました。私どもが念頭に置いているのは、現行の食品表示基準が、このままですと、従来のものがそのまま生きてしまうということに懸念を持っておりますので、それに先行して、この法案の成立とパラレルに実際に中身を詰めていく。そういう議論を早急に進めて、よりよい法案、そして、その実態をつくっていく、そういう方向性を出したいということでございます。

○田島部会長 どうぞ。

○鬼武委員 直接この提案とは関係ないのですけれども、この部会は1か月に1回開催されています。資料が届くのが1日前とか、今回も部会の間際でものすごいペースと分量で討議資料が送られてきて、それを見るのもままならない状況だったのです。そういうところから考えると、まず事前に読み込むためには十分な時間が必要ですし、討議すべき議題に関わる資料を早めに準備していただいて、私としてはやはり最低1週間ぐらいないと、その中身を見て検討できないですし、今回のアレルギーの案件は、私の発言が何か後ろ向きのようにとらえられたかもしれませんが、決してそうではなく、全部の資料を読み込んで理解することが十分でなく、今回の部会で個別のアレルゲン物質を判断するのは難しいと思ったわけです。やはり、1回目の部会は説明をして、2回目に決めるような慎重さが必要ではないでしょうか、今回1回限りで到底判断することは無理です。さらに推奨表示であれ表示を規定することに責任がありますし、アレルギーというものは場合によっては重篤な事態を引き起こすこともありますし、一方では、事業者へ負担にもなるとか、総合的な判断が求められるがゆえに慎重に成らざるを得ません。
 是非、定例の消費者委員会食品表示部会で行う議論の資料については、早めに出してもらって、それを最優先して議論するような形にしていただいて、そのうえで、これまでに一元化の中で懸案になっている課題ですとか、そういう案件について整理・議題として取り上げていただくことを要望します。
 以上です。

○田島部会長 事務局。

○原事務局長 大変御迷惑をおかけしました。ほかの部会や専門調査会でもやはりぎりぎりになってしまうこともあり、そこは、消費者庁とも御相談して、できるだけ早く委員の皆様のお手元に届くように努力したいと思います。

○田島部会長 立石委員、どうぞ。

○立石委員 今の消費者庁の力量を見ていると、やはり今言ったようなことで、なかなか出てこない。できないというか、やりきれない。人材的にもややしんどいのかもしれません。評論家的なことばかりここで言って、批判するのは簡単ですけれども、そうではなしに、建設的にもう一度、この3つの食品表示をどうするかということで、私は委員の提案型でいいと思うのです。その中で議論した上で方向感を決めていくということでないと、何も決まりません。
 消費者庁がこの前、一元化検討会で出してきたたたき台も、とても見れたレベルのものではないです。あれは、いろいろな意見を入れすぎて骨抜きになってしまうわけです。ですから、今回の新法に基づいて、改めてもう一度、日本の食品表示をどうするか、誰が決めるのかということでいくと、ここ以外のところがあればいいです。ここ以外にあれば私は何も言いませんし、ほかにあればそこでやってもらいたいけれども、そんなところが見当たらないわけです。であれば、ここでやればいいんです。
 忙しい、忙しいといっても、やり繰りして、時間ももっと遅くやるとか、8時からでもいいではないですか。その中で決めていく。そういうふうにしていかないと、いつまでたってもダラダラと、また2年、3年、5年と、10年かかっても何もできないということになります。そこを私は懸念しているのです。

○田島部会長 先ほども言いかけましたけれども、この問題につきましては、意見書としてお預かりし、消費者委員会が消費者庁と協議しながら、どういうふうに扱うかというのを決めさせていただきます。
 本日の議事は、以上でございます。
 事務局から、連絡事項など、ございますでしょうか。

○原事務局長 ありがとうございました。
 次回の議題と日程につきましては、改めて御連絡させていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

○田島部会長 それでは、本日はこれにて閉会とさせていただきます。お忙しいところをお集まりいただきまして、ありがとうございました。

≪3.閉会≫

(以上)