第22回 食品表示部会 議事録

日時

2013年4月26日(金)9:58~12:10

場所

消費者委員会大会議室1

出席者

【委員】
 田島部会長、夏目部会長代理、青柳委員、鬼武委員、迫委員、澁谷委員、
 立石委員、森(修三)委員、森(康益)委員、山浦委員、山根委員
【説明者】
 消費者庁  菅久審議官、増田食品表示課長、船田課長補佐、塩澤食品表示調査官
【消費者委員会事務局】
 消費者委員会  原事務局長、小田審議官

議事次第

1.開会
2.栄養表示基準の見直しについて
3.玄米及び精米品質表示基準の見直しについて
4.食品表示一元化に関する報告について(報告事項)
5.閉会

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

議事次第(PDF形式:61KB)
【資料1-1】 栄養表示基準の改正(案)について(PDF形式:134KB)
【資料1-2】 栄養表示基準一部改正(案)新旧対照表(PDF形式:186KB)
【資料1-3】 栄養表示基準の改正イメージ(案)(PDF形式:568KB)
【資料1-4】 合理的な方法に基づく表示値の設定について(記載イメージ)(PDF形式:75KB)
【参考資料1-1】 鬼武委員提出資料
【資料2-1】 玄米及び精米品質表示基準の見直しについて(PDF形式:204KB)
【資料2-2】 これまでの意見等のまとめ(PDF形式:226KB)
【参考資料2-1】 米の農産物検査の概要(PDF形式:298KB)
【参考資料2-2】 米の流通の状況(PDF形式:150KB)
【参考資料2-3】 第18回食品表示部会資料 抜粋(PDF形式:244KB)
【参考資料2-4】 産地・品種・産年表示等に関する関係者意見一覧(PDF形式:234KB)
【参考資料2-5】 玄米及び精米品質表示基準(PDF形式:191KB)
【参考資料2-6】 中下委員提出資料(PDF形式:95KB)

【参考資料3-1】 食品表示法案の骨格(PDF形式:620KB)
【参考資料3-2】 食品表示法案関係資料(PDF形式:571KB)

≪1.開会≫

○原事務局長 おはようございます。時間前ですけれども、皆様おそろいになりましたので、始めさせていただきます。
 本日は、お忙しいところをお集まりいただき、ありがとうございます。ただいまから、「消費者委員会食品表示部会(第22回)」の会合を開催いたします。
 本日は、阿久澤委員、海老澤委員、春日委員、川戸委員、手島委員、中下委員が、所用により御欠席との連絡をいただいております。
 栗山委員は、席を御用意しておりますけれども、けさになって体調不良でお休みということで、少ない人数ですけれども、過半数に達しておりますので、本日の部会は成立しております。また、所用により田島部会長が11時40分過ぎ、鬼武委員が11時半過ぎに退席される予定になっております。
 まず、会議の開催に当たりまして、配付資料の確認をさせていただきたいと思います。議事次第の裏に配付資料を載せておりますけれども、資料1の関連が、「栄養表示基準の改正(案)について」ということで、枝番がついておりますけれども、その関連の資料になります。
 参考資料1-1といたしまして、鬼武委員から、この件についてのコメントということで、提出をいただいております。
 資料2-1が、「玄米及び精米品質表示基準の見直しについて」ということで、消費者庁から御提出いただいた資料です。これも枝番がついておりますけれども、その関連の資料と参考資料という形で提出させていただきます。
 参考資料2-6としまして、きょうは御欠席ですけれども、中下委員から御提供いただいた関連の意見書になります。
 参考資料3-1としまして、「食品表示法案の骨格」をおつけしております。委員の皆様のお手元には、食品表示法案の関係資料ということで冊子になったものをお配りしております。
 不足がございましたら、途中でお申し出いただければと思います。
 それでは、田島部会長、議事進行をどうぞよろしくお願いいたします。

○田島部会長 本日は、消費者庁から菅久審議官、増田食品表示課長に御出席いただいております。

○菅久審議官 菅久と申します。消費者利益の実現に向けまして、引き続き努めて参りたいと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。

○田島部会長 ありがとうございました。
 本日の会議につきましては、公開で行います。議事録についても、後日、公開することにいたします。
 それでは、本日の議題に入ります。「栄養表示基準の見直しについて」、「玄米及び精米品質表示基準の見直しについて」を議題として取り上げております。また、報告事項として、食品表示一元化について御報告いただきます。
 早速、議事次第2、「栄養表示基準の見直しについて」の議論に入りたいと思います。この件につきましては、これまで継続して審議していただいたものですが、改めて消費者庁から御提案がありますので、御説明をお願いいたします。

≪2.栄養表示基準の見直しについて≫

○塩澤食品表示調査官 消費者庁食品表示課の塩澤と申します。本日は、どうぞよろしくお願いいたします。
 まず、「栄養表示基準の見直しについて」というところを御説明いたしますが、前回までの御議論で、特に御指摘いただきました点としまして、誤差の許容範囲を外れる食品が、どういうもので、どういう要因があるのか精査するようにという御指摘をちょうだいしました。本日は、そちらを中心にお話ししたいと思っております。
 それでは、お手元の資料を順に説明をさせていただきます。
 資料1-1、「栄養表示基準の改正(案)について」というものです。こちらにつきましては、前回お示しした内容と、ほぼ同じ内容になっておりますので、説明は割愛させていただきます。
 資料1-2につきましては、資料1-4の記載例に即した形に一部修正させていただいておりますので、後ほど簡単に御説明させていただきます。
 次に、資料1-3については、1枚目に「栄養表示基準の改正イメージ(案)合理的な方法に基づく表示値の設定」というものを載せてございます。この1枚目につきましても、前回お示しいたしましたものと全く同様になっております。この案を前回示させていただきましたが、この案が必要と思える理由、つまり、いろいろな誤差がどういった食品、どういった栄養成分に見られるのかというお話しがあったと思います。本日は、2ページ目以降で要点を整理してございますので、そちらから御説明させていただきたいと思います。
 2ページ目は、「栄養成分量及び熱量のばらつき要因について」というものでございます。今からお示しする資料につきましては、消費者庁が平成24年度事業で栄養成分の表示値設定方法調査事業を行っておりまして、その中でばらつき要因などを整理してございます。その中の抜粋を本日はお示しさせていただきます。
 まず、ばらつき要因のその1といたしまして、自然要因があるのではないかと思っております。自然要因には、大きく分けて植物性食品の要因、動物性食品の要因の2つに大別されると思います。まず、植物性食品につきましては、例えば露地栽培とハウス栽培の違いや季節変動、それ以外のものがあるのではないかと思っております。季節変動につきましては、下にほうれんそうの場合の例をグラフに示してございますが、夏採りしたものと冬採りしたものでは、ビタミンCの値がこのぐらい違ってくるというのが示されております。
 次に、動物性食品でございます。例えば魚の場合ですと、天然と養殖で脂質や熱量が違っています。これは図2に示してございますが、天然と養殖でこれぐらいの違いがあるというふうになっております。また、動物の年齢、例えば若鶏と成鶏、そして、飼料の違いは、乳用飼育牛肉ですとか、輸入牛肉、和牛の間で栄養成分がばらついてきます。また、種の違いとしまして、鮭やさばの例を図3、4に示してございます。例えば図3を見ていただきますと、鮭と一口に言いましても、種の違いによってたんぱく質、特に脂質の部分が、このぐらいばらついてくるというのがおわかりになるかと思います。図4はさばを例として挙げさせていただいておりますが、こちらにつきましても、まさば、たいせいようさばという種類の違いで、エネルギー、脂質がこれぐらい違ってくるということを図示してございます。
 次のページで、人工要因についてお話をさせていただきます。大きく3つあるのではないかと思っております。まず1つ目は、製造と加工という要因でございます。具体的には、熱、光、酸化、酵素、微生物の有無といったものがあるのではないかと思います。また、輸送と保管としましては、経時変化、温度、保管環境、湿度、輸送時の温度差(夏冬)といったものが影響する可能性があるのではないかと思っております。
 調理方法につきましては、例えば、ゆでるという調理法を行った場合は、栄養成分が溶出してくるかと思いますが、これにつきましては、図5、6、7にそれぞれ示してございます。また、調理に用いた水、油がどれだけ吸着するかというのも影響してくると思いますが、水さらしや加熱による食品中の成分の溶出といったものにつきましては図8にも示してございます。また、食品に含まれる水分の蒸発というものも、ばらつきの要因として考えられるのではないかと考えております。
 以上、どちらかといいますと定性的な要因を御紹介しました。次のページから、具体的にどういう食品、どういう成分がばらついてくるのかについて一例をお示ししてございますので、そちらを御説明させていただきます。
 こちらも、先ほど申し上げました、消費者庁が行いました昨年度事業のデータの一部をお示ししているものでございます。最初のページは、ばらつき例のうち、原材料、例えば季節変動や個体差、使用部位など、また、調理加工(水分や油の吸着など)、こういった影響によりばらつきが生じているのではないかと思われるような例として挙げております。複雑な製品ではなく、シンプルに調理された商品を例示してございます。
 なお、こちらのデータは、既に栄養表示がなされている市販の加工食品を470食品ほど買い上げ、その製品の栄養成分量、熱量の分析を行っております。そちらの表示値、分析値、そして、分析値に対する表示値のパーセンテージを示してございます。
 右にある「表示値÷分析値×100」というところを見ていただきますと、黄色く塗りつぶしてあるところが、いわゆる±20%を超えてしまっているものとして示してございます。こちらは一部抜粋ということですけれども、今、私どもで精査中ではございますが、現時点でざっと見ておりますところ、470品目中、どれか1つでも±20%を超えてしまっているものは半分弱ぐらいあるのではないかという感じでございます。また、品目ベースではなくて、栄養素ベース、つまり、たんぱく質、脂質など、個々の数で見てまいりますと、10%~20%ぐらいが±20%を超えてしまっているような感触を得ております。
 まず、ばらつき例(1)を御説明いたしますと、例えばほうれん草というところを見ていただきたいのですが、ほうれん草は、1番、2番は両方とも結構なばらつきが生じているのに対して、さつま揚げというところを見ていただきますと、1つ目の品目は外れ値がない。ただし、2つ目のものになると、エネルギー、脂質、炭水化物などが外れてくるといった具合になっておりますし、ソーセージ、ハム、ベーコンも同じような傾向が見られます。
 ばらつき例(2)でございます。こちらは、先ほどよりももう少し複雑な食品を並べてございます。例えばレトルトカレーですとか、レトルトシチュー、餃子、冷凍飯類、冷凍のおかず類としてコロッケなどを挙げておりますが、複数の食品を用いて製造する加工食品につきましては、使用した個々の食品のばらつきが相殺されて全体のばらつきは小さくなる可能性もあるのではないか。反対に、使用した個々の食品のばらつきが総和されて、全体のばらつきが大きくなる可能性が考えられるのではないかと思っております。他方、弁当、惣菜につきましては、盛りつけの影響も加わりますので、ばらつきは、より大きくなる可能性があるのではないかと思っております。今後、幅広く栄養表示をつけていこうと思った場合には、何らかの手立てが必要と思っておりまして、そういった意味でも、私どもが提案させていただいております合理的な表示値の設定方法について、もう一度御議論いただきたいと思っております。
 なお、個々の食品については、いろいろなばらつきは当然考えられますけれども、合理的な表示値を設定していけば、中長期的に見れば、ばらつきは平均化されていって、消費者の利益にもつながってくるのではないかと思っている次第でございます。
 次に、合理的な方法に基づく表示値を設定した場合に、どのように表示するかのイメージとして、資料1-4をおつけしてございます。前回は、イメージとしてA案、B案、C案の3案をお示ししました。このうち、消費者庁として最も適切ではないかと思う案を一つに絞りまして、今回はお示ししております。
 案といたしましては、表示値が誤差の許容範囲内におさまらない可能性について記載したいと思っておりまして、表現例といたしましては、「この表示値は、実際とは乖離があり得ます」、「この表示値は、実際の栄養成分量とは異なる可能性があります」、「この表示値は、この製品そのものの分析値ではありません」、そして「推定値」、これらの例が考えられるのではないかと思っております。
 なお、これらの例を基本として、表示値が誤差の許容範囲内におさまらない可能性に関する理由などを、任意で追記するといったことは妨げない方向でいきたいと思っております。例えば、「この表示値は、原材料に含まれる栄養成分のばらつきや、製造過程の影響により、実際とは乖離があり得ます」といった具合に、下線部を追記するといった書き方は全く問題がないということで容認していきたいと思っております。
 以上が、今回、新たにつけ加わったところのイメージでございます。資料1-4のところを反映させておりますのが資料1-2の栄養表示基準の新旧対照表、こちらは前回、書き方の案としてABCの3案を反映させてございましたが、今、申し上げた1案に絞った書きぶりに修正させていただいております。
 以上で説明を終わらせていただきます。

○田島部会長 御説明、どうもありがとうございました。
 かなり整理された案が提示されています。この件につきまして、御意見をお伺いしますが、まず、鬼武委員より資料が提出されておりますので、鬼武委員から御発言をお願いいたします。

○鬼武委員 参考資料を作成しておりますので、それに沿って発言をしたいと思っております。これまで2回議論をしてきておりますので、この部会の中で実りある議論のためのコメントということで発言させていただきたいという趣旨でございます。
 まず、世界的に見てもそうですが、栄養表示における重要な事項は、表示値をどのような方法で定めるかというのが1点目です。そして、その表示された値が正確であるのかというのが2点目であり、この2点が大きな論点だと思います。一つ目の、表示値をどのような方法で、ということについては、事業者に関する事項ですから、それに対してはさまざまな方法があると思っていまして、それは現行法である栄養表示基準で言います分析法によるもの、もしくは参照してデータをつけるもの、ということが考えられると思っております。
 そういう中で、特に今回、消費者庁の案でいきますと、あえて合理的なということで、従前のものである栄養表示基準(±20%)と分けての制度設計であります。しかし、海外の事例で見ていただきますと、例えば、オーストラリア、ニュージーランド略称FSANZというところが栄養表示情報にかかわるユーザーガイド(2012年3月栄養表示の情報に係る必要事項)を出しています。そこのチャプターで、オーストラリア、ニュージーランドで栄養表示する際には、分析表による方法、FSANZのソフトウェアによって計算されたものも参考にできますし、そのほか、商業ベースで売られているソフトウェア、もしくは、データベースに基づいて表示できるという様々な手法が書かれております。こういう手法に基づいて栄養表示をラベル表示として記載する際には参照とされています。この点は今回消費者庁の提案と大きく異なる点です。
 一方、2つ目の表示された値は正確であるのかということについては、これまでも本部会で幾度も申し上げましたように、栄養表示を利用する消費者に関する事項であると思います。消費者がその商品を手にとって栄養表示の項目を見た際にどのように認知するかです。実際に分析に基づくものであろうと、データベースによる参照値であろうと、その表示値が消費者を誤認させるものであってはいけないということが原則だと私は考えております。これは重要な原則ですから、そういうことを十分に念頭に置く必要がありますし、コンプライアンスを監視する主管省庁については、特に前回からもお示しをしていますが、例えば米国の場合は、FDAが既にガイダンスレベルということで、特に事業者が自主的に行うということでガイダンスレベルを出しておりますし、一方EUの欧州委員会/健康・消費者保護総局についても、そのような参照される文書が出されているわけです。
 このような海外の状況に鑑み、この間、消費者庁が出されています今回の資料1-1、もしくは1-3、1-4においては、この点がまだ十分に論議が整理されていないのではないかと思っております。例えば、「表示値が誤差の許容範囲内」ということについては、表現自体はもう少し正確にされるべきでありましょうし、栄養表示を利用する消費者の立場に立って、栄養表示が行われている食品の特定の栄養成分に関して、実測値が表示値に定められた公差の範囲内であるかということが重要であるので、収去検査に基づく実測値が表示値に定められた公差の範囲内であるべき、ということにすべきであると思っております。
 これまで、栄養表示は任意ですが、事業者が栄養表示をやってきた商品については、当然、公差の範囲におさまるように、実測値と表示値のところについては留意したというふうに考えてきているわけですし、こういう点からしますと、今回の提案も、私に言わせると、スターティングポイントというか議論のための出発点であり、もう少し内容について精査をして、全体的なところとして栄養表示基準全体の考え方や表示記載方法などをレビューした上でやるべきではないかと考えております。先ほど、買い上げをした調査というお話もありましたが、現行の±20%公差に対しても、許容範囲におさまらない食品が試売調査した約半分が何らかの形で外れていたという結果についてもどのような原因によるものか、さらにレビューをする必要があるかもしれませんし、そういうことも含めて全体的な今回の調査結果のデータをもう少し示すべきではないかと考えております。
 合理的な方法に基づく表示値の設定のところですが、資料1-3のところもそうですけれども、実際にここに記載されている言葉が、法律の用語で、特に言葉の説明が十分でないと思っております。この点については、後で事務局で整理をしていただくのであれば、朱を入れていますので参考にしていただきたいと思っております。それが資料1-3についての説明です。
 資料1-3は、先ほど説明がありました定量的なということで、実際に商品が逸脱しているかどうか、ばらつきの例で、22品目群ということで消費者庁からお示しいただいた一覧表が4ページ、5ページにあります。これは重大な誤りがあると私は認識をしています。つまり、今回、示された結果については、分析値を分母にして表示値を分子に持ってきています。消費者庁から示されたデータですが、どちらが基本になるかというと、分析値が基本になっているという考え方に基づいておりますが、これは考え方が違うのではないかと思っています。食品レベルに記載された表示値があって、それを実際に分析してどうであったかですから、分析値と表示値が逆ではないかと思っています。
 一般に消費者は、表示値とされたものが、実際に分析したものとどれぐらい離れているか、ということを見るわけですから、その点からすると、消費者的な視点からしても、ラベル表示値に対してどうであったかということがなされるべきでありますし、国際的にも、WHOが言っていますnon-communicable diseases(非感染性疾患)の予防ということから言ってもこのような観点が重要であると理解しています。
 例えばアメリカの場合は、公差の範囲の場合に、実際にどういうものを例にしているかということで見ますと、3つのクラス分けがあるわけですけども、クラス1は、強化された食品なので今回は省くとしましても、クラス2は、食品に天然に含まれるビタミン、ミネラルということで、こちらは少ないほうが問題である成分だと思います。逆に、クラス3は過剰摂取のほうが問題になるということで、それらがカロリーであったり、糖質であったりということで、アメリカの場合は、120%以下というロジックで現行の公差に対するばらつきを考えています。
 それを、あえて今回、消費者庁が出された10ページ、11ページの表を参照していただき再計算しますと、表示値に対して分析値がどうであったかというと、それとあわせて、こちらの場合はプラスマイナス両方、公差を加味しておりませんので、片方だけの公差になりますけれども、こういう形で逸脱の範囲が大分違った形になってくるだろうと思っております。データベースで現状の商品はつくられたものであるということでしたら、表示されたものに対してどうであったかということは、当然、分析法についてもバリデーションなりサンプル抽出の仕方でばらつきがあるわけですから、そちらを分母にしてはいけないと思うわけです。私はこちらの認識で正しいと理解をしております。
 資料1-4は、合理的な場合と分析の場合は、そういう面でいきますと区別する必要はないと思いますので、ある程度の公差の範囲にあって、今回のような乖離がありますとか、可能性がありますという表示は、消費者にとって一番わかりにくい表示ではないかと思っています。13ページに商品としてダミーで断り書きの表示例を入れてみたのですが、実際に栄養表示をして、乖離がありますということをこういう形で入れると、この数値は明らかに消費者が見た場合は、正しくないと思って購買行動を控える人がいます。もしくは、食品事業者もこういう形での断り書きで表示をつけることをやはり望まないと私は考えます。
 次のページでいきますと、「この表示値は、この製品そのものの分析ではありません」と。これは重大な誤りがあります。現行の法律で食品ラベルに栄養表示されている製品は購買しようとしている製品そのものを分析していません。世界中どこで売られている商品も、このような断り書きを表記することは同じ意味を示すものです。ですから、このことを書くことは明らかに間違いです。4つ目の推定値ということを書いてしまうと、消費者からは推定値とはどういう意味かということでさらなる質問がきます。ですから、今の4つの表示例からしても適切ではないと理解しておりますから、是非、この点から再考していただきたいと思っています。
 時間の関係で大分省略しましたが、後で参考にしていただくための参考資料として配布しました。以上でございます。

○田島部会長 ありがとうございました。
 御意見は大きく分けて2つありますが、後段のほうが重要な論点で、不確かな表示は、むしろさせるべきではないという御主張だったと私は理解しました。前段の表示値と分析値の分母と分子の関係は、説明資料のつくり方ですので、今回の議論とはグレードが違うと思います。確かに鬼武委員が言ったように、実際に消費者が買ったときに表示を見て、それに対して自分の商品がどれぐらいばらついているのかということを判断するためには、鬼武委員の主張を支持するようですけれども、やはり分析値を表示してあったほうが自然なのではないかと思っております。

○鬼武委員 それは、アメリカもそういう形で考えていますから、私だけの考え方ではないと思います。

○田島部会長 それは説明資料のつくり方の話ですので。
 2番目は、具体的な表示例もお示しいただいて、かえって消費者を惑わせるのではないかという御指摘ですが、それに対して消費者庁はいかにお考えでしょうか。

○増田食品表示課長 前回から時間も経過したこともあって、最初のほうの論点についてもあわせて御説明したいと思います。
 基礎的なことから言えば、もちろん、食品の表示は事業者の方がそれぞれ正しさを確認した上で表示していただくルールになっております。それはどの表示も同じだと思っております。一方、栄養表示について、我々も検討していて非常に難しいと思っているのは、表示する事業者が、数値そのものをコントロールすることが現実問題として非常に難しいということがあります。端的に言えば、事業者の方に1品、1品、カロリーが幾つかを正確に出した上でそれを出荷してくださいと言えば、ほとんどの企業が、結果としては出荷できませんということになるのだろうと思います。そのぐらい製品そのものに、あるいは原材料によってばらつきがあります。原材料のばらつきを抑えることによって、差を縮めていくことはもちろんできますし、そういった努力はお願いしたいと思いますけれども、完全にコントロールすることはできないだろうというふうに思っております。
 その上で、現行の日本のルールは、その差の範囲を、基本的な成分についていえば、上下20%におさめることとしております。現行は任意のルールですから、±20%におさまらないものについては基本的には表示をしないという選択をすることになっております。その結果、今のルールであれば、現実問題としてつけられるものは限られるであろうというのが現状であります。
 一方、海外、アメリカの例などについて、私も最近読み直していないので、若干、不正確なところがあるかもしれませんけれども、先ほど鬼武委員からも指摘がありましたとおり、上限、下限、どちらかで区切っておりまして、例えばカロリーでいうと+20%以下という形で上限が切られております。したがって、ルール上は、+20%を超えれば基準には違反していますということになっています。
 ただ、ここでも示しておりますけれども、ガイドラインのようなもので、どういうふうにつけたらいいかという問に対しては、まず一つは、測定の方法そのものを規定はしていません。そういう意味で、分析なり計算なり合理的に計算してくださいということは書いてありますけれども、方法そのものを縛るということはしておりません。その上で、公に示されたようなデータベースを活用して計算したものは、一般的には信用できる数値ですということが書かれております。その上で、基準に合致するかどうかの責任は事業者が負いますというふうになっております。
 この問題は、栄養表示のルール化をしている非常に難しい面であります。一方で、計算なりで出し、合理的な数値を求めていくということが必要ですけれども、そのことによって、例えばアメリカでいえば、+20%以下に必ずおさまるのかといえば、その保証はないというのが客観的な事実だろうと思います。そこをどういうふうに、現実とルールを折り合わせていくかというのが非常に難しいところだと思います。
 これは若干、私の個人的な見解ですが、アメリカのガイドラインなどを読むと、最終的に責任は事業者ですと書きつつ、一定の公的なデータベースなどを活用したものであれば、多分それは許容されるのだろう、行間を読むのだろうという気がしますけれども、明文的にそういうことは書いていません。ただ、各国、事情は同じだと思います。合理的に計算して、あるいはサンプルを計算して数値を出して、その結果、例えば±20%とか、+20%以下とかに反したとしても、それで違反をとっていくことはないのだろうと思います。そういった意味で、現実とルールを調和させていくという方法はあるだろうと思います。
 一方、日本の状況を見ると、日本人の法令順守マインドを考えると、形式的には違反しているけれども、一定のルールでやっていれば許容されるというのを運用でやっていくのは、形式的にも難しいし、事業者のコンプライアンスという観点から言っても難しいだろうと考えたのがこの案です。そういう意味で、各国にもないというのはおっしゃるとおりだと思います。
 そこで、今、我々が考えておりますのは、一定の±20%というルールがある。ただ、一方において合理的に計算した方法で示すのであれば、それが仮に±20%を超えたとしても、許容する余地があるというのであれば、それをストレートに法令ベースで落とすのがより適当ではないかというのがお示ししている案であります。そういった意味で、確かにこういったことを真正面からルールで書いているものは、私も見たことがありませんけれども、行き着く先として考えることを素直に法令化すると、こういうことになるのだろうと思っております。
 この問題は、鬼武委員が言われている、正確であるかの「正確」とは何なのかということにもよると思います。個々に示された商品そのものの本当の分析した値が正確である、というふうに正確を定義すれば、分析したら商品になりませんから、この正確は永遠に得られない。同じようにつくったものが次も同じ数値だという保証もないということです。そういった中で、むしろ、ある程度合理的に推定して得られたものであれば、ほかの同種の商品について示すことによって栄養表示としての価値は十分生かされるという判断のもとに、私どもから提案したルールはそういうものを前提につくっております。そういった意味で、2番目の正確さについては、正確とは何であるかという考え方によって大分違ってくるのだろうと思っております。
 この先は個々の議論ですけれども、お示しした、どのくらいばらつきがありますという表は、実際、数値で得られるものがこれしかなかったということもありますが、考え方としては、表示値で示されているものは、何らかのサンプルを分析するとか、計算するとか、合理的な方法で出された数値だろうということを前提に、それと個々の商品と、例えて言えば、このぐらいばらつきがあるものがありますという数値をお示ししたものです。
 これを見ると、あるものは非常にばらついていると見えるものもあります。ただ、同じ商品をもう一つ買ってもう一回分析したら、同じ数字が出るかというと、同じ数字は出ないわけです。ここが数字の比較の難しいところで、あるものを一回見てみたらこうでした、ただ、同じ数値が、特に加工度が高くなったり、原材料のばらつきが大きいものであれば、同じ商品を次に買って次の値にならないという、逆に言うと、そういう問題点があるものをどうやって表示していこうかというものです。どちらかを分母にして、どちらを分子にするかは、考え方の問題かもしれませんけれども、申し上げたいのは、確かにこの商品について言えば、出された値が正確な値かもしれませんけれども、それは必ずしも、その同一商品の、隣に置いてあった商品の数字を意味していませんという意味で、その値を分母にするよりは表示された値を分母にするほうが適当だと思ったというところでございます。
 断り書きを書くかどうかというところは、ある意味、きょうの議論の最大の論点で、最終的にはそういうことなのかと思いますけれども、ある程度合理的に計算して出した数値であれば、わざわざ断り書きを書かなくてもいいのではないかという意見はあると思います。私どもも、今の方式でやっていったとしても、ある時点で、どういう方法がいいのか再度、実際に見て検討し直すことも必要ではないかと思っております。ただ、現状を考えますと、今、表記するときは±20%という範囲で示してください、その範囲におさめるようにしてくださいということを基準で明記していて、それに対して、必ずしもその範囲におさまらないものであっても表記するということを制度化するので、その違いについては消費者にお伝えすることは必要ではないかと思っております。
 企業にとって、書きたくないと思われる企業があることは間違いないと思います。むしろ私どもとしては、企業が努力によって原材料のばらつきなどを抑えて、±20%の中におさまるような製品規格ができて、その結果、表示をしないで±20%の範囲内でおさめるような取組みをされるのであれば、それはそれでむしろ望ましいことだと思います。
 正しいか、正しくないかについては、先ほど御指摘がありましたけれども、この製品そのものの分析値ではありませんというのは、ほかもそうだからというのは、おっしゃるとおりですけれども、だからといって、この製品そのものが分析値でないという事実が事実でなくなることはないだろうと思っております。ここで書いているのは、こういうふうに書くことによって、それなりに差があるのであろうということを、消費者に伝えられるのではないかという点でございます。
 この栄養表示をどうやって伝えていくか。そもそも、数字で出すことが必要だと言いつつ、一品一品、同じにはならない、むしろ相当程度、差が出ることが避けられないというものをどういう情報とともに示していけば、より消費者に、数値として正しくというより、情報の性質として正しくお伝えできるのかという観点から考えると、今、私どもが提案させていただいているやり方がいいのではないかと思っております。

○田島部会長 御説明、ありがとうございました。加工食品に栄養表示を義務化したいということは、一昨年に行われた研究会でもその方向性が示され、また、新たな新食品表示法でも、加工食品の栄養表示を全商品に対して義務化するという方向が示されております。その中で、20%を超えるものについてどういうふうに消費者に情報として提供しようかというので、むしろ議論は方法論だと思います。その方法論として資料1-4で示されたものがございますが、これはあくまでも表示例で、このとおり事業者に求めるわけではないということで、それぞれの事業者が工夫した形で事実を伝達すればいいということで、委員の皆様も、加工食品の栄養表示を推進しようということについては御異論はないと思います。鬼武委員はいかがですか。

○鬼武委員 一元化検討会のときから一貫して私は栄養表示の義務化には賛成しています。しかし、これまで消費者庁が提案している方法が国際的なやり方ではないですし、何度も申し上げるように、日本の常識は世界の常識と違うのです。増田課長が言われたとおり、違うルールだというのはそのとおりなのです。そういう無理なルール提案してまで義務表示として法制度化していいのであろうか、ということです。今回の提案は栄養表示を義務化するルールとしては拙速ではないでしょうか。もう少し調査のうえデータを蓄積し、事業者にも使いやすいようなデータベースを構築することが先であって、先に法案を決めてしまうことには無理があり、もう少し慎重に制度設計を考えてほしいということが私の意見です。
 それと、一点消費者庁にお尋ねしますが、現行の栄養表示基準の±20%公差というのはそもそもどこから出てきたのですか。どういう形でこれまで審議されて出てきた公差であるか説明してください。

○田島部会長 私も気になりました。なぜ±20%にこだわるのか。

○増田食品表示課長 そこは、過去の議論を調べてみたことがあるのですが、正直、20%そのものに明示的な根拠があるのかというと、どうもそうではなさそうだったということです。各国、例えばアメリカは上限20%というようなことを踏まえて、差の範囲としては20%程度なのだろうということを、比較して決めたようであります。

○田島部会長 ほかの委員の先生から。
 立石委員、どうぞ。

○立石委員 この議論は、個体差の壁は越えられないのです。絶対的に。ですから、±20%におさめるということは無理があります。現実的に海外だって表示と違っている事例は相当ある。その中で、鬼武委員が言われたように、データベースとして根拠のところをどう示すかということなのです。この点が、消費者の方の栄養成分に対する理解、知識と事業者側と大きいギャップがあると思います。ですから、ここでまず、こういう表現をすると非常に紛らわしい。消費者はまさに訳がわからなくなってしまいます。必要なのは、その数値が、どんなふうに出されたのかというところ、何を根拠にして出されたのかということです。
 将来的にはデータベースみたいなところを使って同じようにつくるのがいいのですが、今は、五訂だとか、分析によっても大きく変わってきます。炭水化物の数値については、重量から脂質とたんぱく質と水分を引いた残りを数値として使っていますが、この数字が正確だと言い切れるかというと、そのような出し方だと不十分なわけです。そういったことで数字がブレるわけです。したがって、どうやって数値を出しているかというのは、本当は示すべきでしょうね。自社の分析なのか、もしくは五訂によるものか。本当は同じデータベースでやるべきですが、そういうことが開示されたときに、消費者の方がその商品を買うときに理解をして、これはこのぐらいブレている、このぐらいのことは覚悟しているというような感じでないと無理ではないかと思います。
 そういうことで言えば、乖離があるということは、もう少し分析手法ごとにブレがありますということを消費者に広く知ってもらうことを前提に、これはあくまでも目安だし、守ってもらう人はもっと詳しくこのことについて知ってもらうとか、企業側も、別の形で分析の中身を詳しく消費者の方に知らせるとか、そういうことが必要ではないかと思います。

○田島部会長 迫委員、どうぞ。

○迫委員 先生方の御意見、本当にそのとおりだと思っております。3、4点お話をさせていただきたいのですが、1点目は、今回、検討しているものは、現行の栄養表示基準をどういうふうに展開していくかというところだったと思います。食品表示法の施行に向けての規定をどうつくるかという話ではないということ。ここは、いろいろな検討の経過の中で義務化に向けた体制整備として進めていく、さまざまな事業者が、義務化になっていったときに、小規模事業者であっても、この取組みを進めていける方法を具体に検討し、体制整備を進めていく、そして、食品表示法の施行のときに、特に栄養表示の施行のときまでに、その検討をしていくための議論であり、現行表示基準を直していこうというところが前提だったと思います。
 そういう意味では、現行表示基準から、大きく逸脱した形での進め方というのは非常にしづらいだろうと思います。その一方で、小規模事業者であっても表示ができるような方法論ということを考えていったところで、計算値と分析値という問題が出てきているのではないかと思うわけです。
 先ほどお示しいただいた資料1-3の2ページに、ほうれんそうの夏採りと冬採りと本表と。この本表というのは、そこに記載のとおり、「日本食品標準成分表2010」の最新のものでございます。今まで改訂がされてきて、その積み上げの中で、その年次ごとの最新のもので分析を進めてつくられたものが「食品標準成分表2010」、現在の最新のものであります。
 これで見ていったときに、例えば、夏採りのほうれんそうで製品をつくったときに、分析をすれば非常に低い数値が出てくる。1年を通じて、あるいは冬採りのものを原材料にしたときには、当然、データの差異が生じてしまう。極端な差異が生じて3倍違ってきます。そうなりますと、食品標準成分表を使うことによって、これは中間の数値が示されている。もちろん、夏採り、冬採りも参考値として示されておりますので、データとして確実に冬のものを使われるということであれば、高い数値のものを選ぶことも可能になってくる。
 そういう意味で、食品成分表そのものが、通年のデータを試料として入手して、それを分析した上で示しているということに意味がある。さけやさばに関しても、例えばさけであれば8種類、これだけの原材料が食品成分表の中に既に示されている。これは、その時期のものだけをいわゆる分析値として単品、試料を一時期だけを切り取って分析しているものではないということからすれば、通年商品として販売されるものの根拠データとしては、「日本食品標準成分表2010」を使うということは、一時だけを切り取った分析値よりも逆に正確なのではないかと思っているところでございます。これを使うことによって、小規模事業者であっても、かなりの精度で確実に表示ができるだろうと思います。
 すべての商品に表示がされることが、消費者が食品を選ぶときに、この商品を選ぶかどうか、どちらを選ぶかというふうに見ていったときに非常に参考になる数値だろうと思います。消費者がそれを選ぶときに、1とか2とか、小さな桁の数値まで手にとって比較するかという問題よりも、自分がここで食パンを選ぶのか、菓子パンを選ぶのか。この商品を2つとったときに、きょうの食事の中で、食パンを選べば1枚で160kcal程度、菓子パンを選べば、ものによっては300~500kcal、600kcal近くのものがある。私の1食当たりの必要量が500~600kcalですから、1食を菓子パン1個で終わりにしてしまうのか、そうでないのか。そういう選択に資するということが、健康上も嗜好の問題も含めて選べるということが重要になってくるだろうと思うわけです。
 そういう意味で、データの正確性は確かに必要だけれども、それは常に分析によってしか得られないかといえば、逆に成分表を使って、すべての食品に表示がされていくということが非常に望ましい方向性だろうと思っています。
 もう1点、そういう中で虚偽表示をどう防ぐかという問題が出てくるかと思います。計算値の場合、この根拠となるものを明確に保管していただいて、それが示される状態になっていること。この辺がある意味、事業者の配合割合等が表に出てしまうところでは、企業秘密みたいなところでの使いづらさがあるかもしれませんが、ここはやはりきちんと担保していただく必要があるだろうと思っております。
 それから、鬼武委員から誤差という言葉が前の検討の中にも出ておりましたけれども、現行の栄養表示基準で誤差という言葉を使っておりますので、そこを今からいじるのか、または、次の段階で食品表示法の施行に向けた一つの課題として置いておいていただくのか、いずれにしても誤差とはやはり違うと思っております。

○田島部会長 ありがとうございました。
 青柳委員、どうぞ。

○青柳委員 ばらつきのデータを見せていただきまして、ありがとうございました。こんなに違うのかというのが正直なところです。一次産品ですから、当然、ばらつきはあるだろうと思っていましたが、やはり工業型の均質化された製品とは随分違う。
 正確性という問題ですけれども、食品ですから、個々に全部分析をしてきれいに正確に出すということは、破壊検査ですから、できないということになると、栄養表示を義務化するということは、多少乱暴な言い方をすれば、ばらつきがあるということを認めざるを得ないということだと思います。そうなると、ばらつきがあるということを、どういう形で消費者にお知らせをするかということに尽きるのではないかと思います。
 そうなると、ポイントは2つあると思います。一つは、推定値であるということ。こういう言葉を使うかどうかは別ですが、例えば計算基準を出すのも一つの方法だと思います。もう一つは、この商品、個々自体の検査値ではないということ。この2つは、やはり何らかの形で消費者にお伝えするような表示をすべきではないかと思っています。

○田島部会長 ありがとうございました。
 森委員、どうぞ。

○森(修三)委員 ただいま、議論を聞かせていただいて、先ほどの資料1-3で実際の調査データも拝見いたしました。栄養表示の事例ということですが、調査となった試料が470食品あるということですので、ここで取り上げられた事例はごく一部になるだろうと思います。これをどう見るかというのは、いろいろ議論があるかと思いますけれども、一面、実態を示しているのだろうと思っております。事業者としても、栄養表示に関してかなり努力はしておりますが、これからさらに注意をしていく必要があるだろうと思います。
 ただ、栄養表示の難しさというのは、製造されたロット全体として統計的に理解するのではないということです。要は、一つひとつ個々に見てどうなのか。ちょうどここの表題についても「ばらつき例」とありますけれども、ばらつきという言葉自体、統計的な言葉です。精度にしても誤差にしても統計的な概念ですから。しかし、ここで求められているのは、一個一個がすべておさまるのかどうなのかという議論になっているわけです。これは、かなり栄養表示の管理の難しさを示しているのではないかと理解しております。
 また、ほかの工業製品と違って、やはり食品の場合は成分の非常に変動する要因が、先ほども示していただきましたように、数多くあります。事業者としても、コントロールできる要因が必ずしもすべてということではない面もありますので、改めてなかなか難しいと感じました。このような事例を見てきますと、今回、御提案がありましたような、合理的な方法を導入するということも必要なことではないかと考えておりまして、実行可能性を高めていただくことは、是非、御検討いただきたいと思います。
 もう一つ、どう表現するのかということになりますけれども、記載のイメージということで、資料1-4ですが、皆様よく御存じのように、食品のラベルには、JAS法、食品衛生法、資源有効利用促進法など義務表示事項等がたくさんあるわけです。そういった意味からいきますと、それらに加えて栄養表示をするということになりますと、表示のスペースはかなり重要な問題になってきております。表示のスペースを確保するということは必要なことですので、表示のスペースの確保が困難な製品においては、できるだけ簡潔に記載できるという意味から、表現例として示されています「推定値」という表現は必要だろうと思っております。
 他方において、よりわかりやすく記載するという意味からは、例えば「公的データベースによる推定値」とか、「当社計算値による推定値」、これは前々回のこの部会の中で示された内容だと思います。あるいは、「サンプル品の分析による推定値」等についても必要だろうと考えておりますので、改めて御提案をしておきたいと考えています。

○田島部会長 ほかにございますでしょうか。
 鬼武委員、どうぞ。

○鬼武委員 先ほどの確認ですけれども、そもそも±20%の根拠がどういうものかということについて、その当時の資料や議事録を調べたのですが、平成8年(1996年)当時の栄養改善法に基づく食品の栄養表示基準の設定に関して、公衆衛生審議会というところで、1995年食品衛生法の改正に伴い、そこで一緒に栄養改善法の改正もあり、その翌年に答申されたものだと思います。ホームページには載っていなくて、インターネットで探したのではなかったのですが、これがそのときの文章そのものです。(ペーパー提示)
 そこにも、やはり±20%の根拠は書いていません。ですから、今回改めて思ったのは、現行で実測しても、分析によってもこれぐらい公差が出てきていることも含めて言うと、そもそも±20%はどう説明できるのかというのを改めて感じたわけです。
 海外では、多分そういうばらつきとか、最新の分析法を含めて、そこから検討がスタートして、どういう形でおさまるか、もしくは、おさまらない場合はどうするかという仮定も含めて、前回、私がお示ししました資料も出しているので、そういう点をもう少し精査することや、丁寧に調査をする必要があるのではないかと思っています。ですから、アメリカがいいとは言いませんが、ただし、プラスもマイナスも、片方を減らせば現行のところでも少し緩和されるのであれば、そういう考え方に基づいて栄養表示を記載させることも可能ではないでしょうか。
 一点、気になるのは、当時の公衆衛生審議会ということで±20%の根拠を含む栄養表示基準要綱が決定され、その公衆衛生審議会はいわゆる栄養学的なリスク評価なり健康栄養評価ができる立場のメンバーで審議をして、そこで採択されたものだと理解しています。一方、本食品表示部会は、最終表示をどうするか決定する場でありますが、今回の栄養表示基準の改訂のプロセスには当時の公衆衛生審議会と同等の厚生労働省の関係する審議会、例えば国民栄養調査をやっているような公衆衛生審議会などの部会に今回の栄養表示基準の改訂に係る案件を審議してもらい、その科学的アドバイスも参考に審議すべきと考えます。
 この間、本食品表示部会で審議している事例で言えば、新規に防カビ剤の指定される過程においては、添加物の表示のしかたについて審議されています。個別の防カビ剤のリスク評価については食品安全委員会の所掌範囲という役割になっています。このようなプロセスからいくと栄養表示の仕方、すなわちリスク管理上の表示事項は本部会の役割と思われますが、食品表示された栄養表示の役割として、リスク評価もしくは健康影響なりの基準や考え方については厚生労働省の栄養関係の審議会に、是非諮っていただきたいと提案します。

○田島部会長 ありがとうございました。
 消費者庁、どうぞ。

○増田食品表示課長 今まで幾つか御意見をいただいた中で、そもそも食品における栄養成分に相当程度のばらつきがあるということを、まず消費者に御理解いただくことが大事だということはおっしゃるとおりで、それについては、消費者庁としても情報提供をしていく必要があると思っております。
 もう一つ、どうしてそういう違いが生じるのかということについては、事業者が示すことが望ましいというのも、おっしゃるとおりだと思います。ただ、ここで分けて考えていただきたいのは、先ほど表示スペースの問題もありましたけれども、限られた表示スペースで、必ず書いてくださいと言って書いてもらう部分と、先ほど、推定値と書くと問い合わせが来るという御指摘もありましたが、まさに問い合わせがあったときに、こういう意味ですということをお伝えするという部分は、基準という意味では若干分けて考える必要があると思っております。義務で書く部分はスペースなども考えたものにしますけれども、同時に、より広い情報提供を事業者の方にはお願いしたい。書けるスペースがあれば書く、スペースがなければ電話等の問い合わせ、あるいは、各企業さんはホームページが非常に充実されていて、「よくある質問」というのを多く出されております。そういった中で御説明していただくといったことをやっていただきたいと思っております。
 外国のルールとの関係についていうと、外国でも上限、下限が定まっているものについて、明示的な根拠を把握できたものは我々が見た限りではありませんでした。逆に言うと、20%を超えると栄養学的に問題があるとか、ないとか、そういうことを検討してつけたということの明示的なものはありませんでした。ただ、鬼武委員も発言されたように、アメリカで上限だけを縛る、下限だけを縛るというのは、どちらに問題があるかということを踏まえてつくられたものだと思います。
 その点については、日本において言うと、例えばアメリカに比べれば圧倒的に肥満が多いというような状況でもない、やせ過ぎと言われている方も多いという中で、例えばカロリーの上限だけをしばるということは適当なのかというふうに考えると、今の±20%を変えるということについてはもう少し突っ込んだ議論が要ると思います。今はそこの部分は、基本的に現行を維持すべきだと思っております。
 上下限で数値をつくっている国はあります。ただ、そういう国も含めて、どういうふうに数値を出せば必ずその範囲におさまるという確証が得られるのかということについては、そこに行き着いているものは多分ないと思います。この話は非常に難しくて、今の日本でやっても同じですけれども、サンプルを非常に増やしていって分析をすれば、より中央に近い値は出ることになります。ただ、そのことによって、外延が20%を超えるものがあるかないかについては、全く論理的な問題として何の答えにもなっていないという状況はあるので、サンプルを分析すれば、その範囲におさまりますというものでもないという現実の中でどうするかということを考えていく必要があると思っています。
 厚生労働省との関係について言うと、審議会にかけるかどうかはともかくとして、栄養表示基準を変えるときには、法律上、協議することになっていますので、これは当然、協議をした上で基準改正をするということになります。

○田島部会長 ありがとうございました。
 そろそろ取りまとめをしなければいけないのですけれども、消費者側の委員の先生、山根委員、どうぞ。

○山根委員 数字の厳密さではなくて、幅広い食品に表示をすることが望まれていて、そのための環境整備ということは理解します。利用者の立場から言えば、その数字が何を根拠にできているものか。分析値なのか計算値なのかということよりも、その数字を利用する立場で言えば、どれだけ参考にできるか。要するに、どれぐらいの乖離かということのほうが知りたい情報ではないかと考えます。そういうことから言えば、表示例で示されているものではわかりやすい表示とはとても言えないと思いますし、できるかは別として、明快さから言えば、この数値は±20%を超える可能性がありますと明確に書かれていたことのほうが、一番わかりやすいと考えますけれども、まだまだ表示例については議論が必要ではないかと考えます。

○田島部会長 山浦委員、どうぞ。

○山浦委員 ばらつきのことが主なテーマになっていますけれども、消費者の利用する側としては、非常にリスクの高いものが出回っていて、これによって健康を害するおそれがあるということが、的確に消費者に伝わるようなことがまず基本にあって、そして、こういった種類のものが対象となっているわけです。以前に申しましたように、諸外国ではトランス脂肪酸の問題等も義務化の対象になっているということがありますので、その点、消費者に注意喚起をするような表現方法が重要だということが、まず基本に考えられます。
 データについては、現在の「日本食品標準成分表」に基づいたデータがあるわけですけれども、実際の現状についても調査して、新たなデータの提示といったことを努力していくべきではないかと思いますので、傾向として、こういうものになっているということがわかるような仕組みをつくっていく必要があると思います。そして事業者においても、実際の原材料については、今こういう状態になっているということを何らかの形で示す努力を是非されたいと思います。

○田島部会長 ありがとうございました。
 澁谷委員、どうぞ。

○澁谷委員 私も、表示は進めるべきだと思っております。先ほど±20%という話が出ていますが、例えばこれを25%にしても、そこから逸脱するものが当然出てきます。出てきても、それが違法かというと、そういうわけではないということで、恐らくここの数字をどのように検討して触っても、結局その範囲に全体のものの何SD入るのかという議論だろうと思っています。
 これは、現行の±20%を維持しつつ、さらに、例えば自分や家族が日常生命や健康維持のために、加工食品を選ぶときに参考にする数字ということであるならば、細かいところまでが必要ではなく、そして、1点だけを買ってそれでおしまいということではなく、続けて長らく食するということであれば、平均化をされてくるということも当然あるわけです。薬ではないので、食品として表示を見るということは、元々ここにあるように、原材料によるばらつき、季節によるばらつきというのは考える要素としてあるわけですから、そういうことに対する国民の理解、あるいは啓発を進めていくためにも、何か状況やデータが整ってからするということではなくて、今の時点でもできる範囲の合理的な表示を進め、それをしながら啓発をしていく。つまり、データが整うまで待ってから啓発するのではなく、これを進めることによって、並行して啓発していくという方法も考えていいのではないかと思います。
 ただ、資料1-4に書かれている表現例は、やはりわかりにくい。表現例についてはもう少し検討する必要があるのではないかと思っています。例えば追加を容認するということについても、「原材料に含まれる栄養成分のばらつき」というような表現がありますが、この中に、例えば産地によるばらつきがありますということを書かれると複雑になってしまう可能性もあります。どういう表現でもいいというよりは、もう少しこの辺は精査をしたほうがいいし、また乖離という言葉も難しいと思いますし、推定値というのも一般の人が聞いても、何を推定したのかということもわかりにくいだろうと思っています。

○田島部会長 迫委員、どうぞ。

○迫委員 2点ほどお話しさせていただきます。
 1点は、今回、表示基準の中で検討しようとしている部分が一般表示項目であるということで、基本的に従来の栄養表示基準に基づいて表示するときは、これだけはそろえなければいけないという項目です。強調表示についてはここには触れられていませんし、強調表示についてと扱い方が若干違ってくるのは当然だろうと思います。なぜかというと、例えば、コレステロールを下げてありますとか、カルシウムを強化してありますとか、エネルギーを低減してありますとか、そういうふうに強調表示をしてあるものは、まさに健康に直結する問題、疾病とも絡んでくる問題。これについては相当厳密な縛りが必要だろうと思っています。ただ、今回検討しているのは一般表示で、すべての食品に、消費者に対する情報提供としてきちんと表示をしてほしいというものですので、そういう意味でレベルの違いをまず認識しておく必要があるだろうということです。
 2点目は、資料1-2、今回の改正案の中身でございます。2ページの3項1号、「表示された値が」ということで、「得られた値とは一致しない可能性があることを示す記載をすること」とあります。改正の趣旨はここだと思います。先ほど来、検討が進んでいる表示例というのは、あくまでも実際に表示をするときに、どういう例を容認するのか。これは改正の次の段階での審議になってくるのではないか。例えば表示例として、具体的に「日本食品標準成分表2010」に基づいて計算しましたという根拠のものを明確にすることが大事だとは思っておりますけれども、それも一つの表示例でございます。どこまでを容認するか、しないかというのは、きょうの議論とはまた違うのではないか。改正の趣旨というよりも、改正したい内容は資料1-2ということで結論をつけていくことが必要ではないかと思います。

○田島部会長 ありがとうございました。
 確かに、本日議論すべきことは、食品表示基準の改正案についての是非でございます。この是非の中で、合理的な文言、あるいは一致しない可能性があることを示す記載をすることについて少し議論をしたかったのですが、表示例についての議論に半ば集中してしまって、少々議論の進め方がまずかったと反省しております。
 食品表示法が今国会に上程されておりますが、可決されてから施行は2年後と附則で定まっております。それまでは現行の任意の栄養表示が生きているわけです。ということで、まだ時間的にかなり余裕がありますので、さまざまな疑問点をもう一度、消費者庁で精査していただいて、例えば、消費者あるいは事業者に対してヒアリングなどもされて、表示例を、消費者にとっても事業者にとってももう少しわかりやすいものにするという工夫などを重ねて、しばらく時間を置いても構わないと思います。間に合いますので、改正案をもう一度この部会にお示しいただくということで、意見集約をしたいのですが。
 迫委員、どうぞ。

○迫委員 改正案の改正事項、ラインが引いてあるところについては、特に問題はない。この後の運用の問題の中で実際的にどう進めるのか。これを改正案として動かしていかない限り、事業者が具体的に表示に取り組んでいく手法が示されないことになっていきます。そうすると、食品表示法が成立し、施行までの体制整備というものが全く進まないということになってしまいますので、私は、ここの改正案についてはここで改正を認めるべきではないかと思っております。

○田島部会長 鬼武委員、どうぞ。

○鬼武委員 時間がないので退席しますけれども、今回言われたことで、もう少し整理をしてほしいのです。何人かの方から、進めながら運用についてはもう少し細かい話をとの意見もありますが、一旦法律を改正すると、それをさらにレビューしたり、見直すということはなかなか難しいと思われます。したがって、何度も言っているように、海外の状況とか、国内の今置かれている表示値の実際の中身とかについて解析すべきです。今回示されたものはごく一部のデータだと思います。消費者庁の実施した栄養調査の内容について詳しく本食品表示部会で説明することとあわせて、栄養表示と公衆衛生に関する案件は、やはり厚生労働省の審議会に諮ったうえで、その審議結果を本部会で報告して、更なる協議を重ねるといった丁寧なプロセスを踏んで、是非審議をしてほしいということは要望としております。本日拙速に決めていただくことについては反対いたします。

○田島部会長 迫委員からの御意見もございましたけれども、改正案そのものについて、議論を今回いたしませんでしたので、次回、消費者庁から再度御提案いただいて、そこで改めて改正案そのものについても審議したいと思いますが。
 消費者庁、どうぞ。

○増田食品表示課長 まさに海外の状況も含めて、我々としてわかっていることは御説明したと思っております。この問題が難しいのは、何度も申し上げますけれども、今の±20%のルール、海外でも±20%という数値の基準はありますけれども、実際の問題として、事業者がつけるときにその範囲に必ずおさまるというやり方をとる方法がない。特に製品によってはほぼそれができない状況にあるという中で、栄養表示をつけることを進めていくのであれば、こういった方法は必要だと思っております。少なくともそのこと自体は、回を重ねても多分変わらないと思います。
 表示例については、もし、きょうパブリックコメントをしていいということになれば、パブリックコメントをして、その上で、どういう表示がいいかという表示例はそのときに再度議論して、通知等に書く表示例はこうしましょうというのは、その段階で、パブリックコメントの意見も踏まえてお示しできるので、そういうやり方にしていただければと思います。

○田島部会長 改正案そのものについて、加工食品の栄養表示を進めていくということについて、反対する委員は誰もいないということも事実だと思います。ところが、表示例というものが、パブリックコメントの間に直せばいいというのは、やはりこの部会で納得した形で表示例をお示しするのが筋だと思いますが。

○迫委員 よろしいですか。表示例にこだわっていきますと、要項とか、その他のQ&Aとか、改正案より下部にある、さまざまな通知に関してまでの審議が必要という形になってくるかと思います。今まで何回もこの議論を積み重ね、なおかつ、その前の栄養表示の検討会、食品表示一元化の検討会、それを踏まえて表示部会という形での議論を積み重ねてきた中での改正案という形からすれば、詳細のところにこだわって先へ進めないということよりも、この改正案をまず通した上で、次の段階での、先ほどの表示例というのはQ&Aみたいなレベルのところだと思いますので、そういうものを具体に展開していくときに示していけばいい話だろうと思っております。そういう意味で、改正するべき3項の1号、2号、この辺のところの規定の仕方、これで進めていくべきだと再度申し上げます。

○田島部会長 再度の御発言がありましたけれども、この部会で改正案について御承認をいただくかどうかということですが。
 森委員、どうぞ。

○森(康益)委員 今回、消費者庁から出たデータで、市販加工食品470品目を検査して50%はだめだったとありました。これは厳密に言うと法律違反ですね。この状態を放っておくのか。この状態は早急に是正しないといけないだろうと思います。これについては迫委員と同じ意見で、やはり前に進めていかないといけないことだと思います。事業者にとっても良くない状況であり、50%違反だというところをもっと重く受け止めるべきではないかと思います。

○田島部会長 ほかの委員、どうでしょうか。本日、決してよろしいでしょうか。迫委員は強い御主張がございますけれども。
 消費者庁、どうぞ。

○増田食品表示課長 私が段取りを説明するべきではないかもしれませんけれども、今、我々が求めているのは、基本的な方向がいいのであれば、まずパブリックコメントをするという手続がございます。パブリックコメントをして、その結果を見た上でもう一度表示部会を開いて、そのときに答申をいただくというのが手続なので、今、ここで最終決定をするものでもないということです。そういった意味で、次にこの案でパブリックコメントに進むということの御了解が得られれば、ということでございます。

○田島部会長 パブリックコメントにかける案を決めるということですね。いかがですか。
 この時点で、資料1-2の案を決めるのは、まだ議論が足りないという御意見はございますでしょうか。それでしたら、もう一度、パブリックコメントを経た後に議論する機会があるということですので、資料1の案でパブリックコメントにかけることを了承するということで決したいと思いますが、いかがでしょうか。

(「はい」と声あり)

○田島部会長 それでは、反対なしということでございます。
 何回も言いますけれども、資料1-4というのは、パブリックコメントにかける前にでももう一度精査して、消費者あるいは事業者から事前に意見を聞いて案をつくっていただきたいと思います。
 それでは、議題を進めさせていただきます。
 議事次第3.「玄米及び精米品質表示基準の見直しについて」でございます。これは比較的簡単に終わると思います。消費者庁から御説明をお願いいたします。

≪3.玄米及び精米品質表示基準の見直しについて≫

○船田課長補佐 食品表示課の船田でございます。私から、資料2の「玄米及び精米品質表示基準の見直しについて」ということで、簡単に御説明したいと思います。
 お米の品質表示基準の見直しということですけれども、これまでも継続して御審議していただいている件でございまして、これまで論点を3つほど挙げておりましたが、まず一つ、お米の品位の表示というものがありました。論点2つ目としまして、農産物検査法の証明によらない品種・産年の表示ということ。3つ目として、複数原料米の産地・品種・産年の表示の義務づけがございました。今般、農産物検査法の証明によらない品種・産年の表示ということで、これまでも御審議いただいているところですが、なかなか議論が深まらないものですから、再度、ここで御議論いただければということで上げさせていただきます。
 資料2-1は、これまでの議論ということで、第18回の食品表示部会において、考え方とか方向性を示させていただいたものになります。農産物検査法の証明によらないという場合に、検査法の要件としまして、品種・産年の表示を証明するには、生産履歴、流通・取引時の記録(伝票)、生産・流通の各段階での現物確認等が必要になるのではないか。こういったものをチェックしていくという形でございますと、第三者のチェックが必要ということで、その際に科学的分析等による証明も使えるのではないかということが、これまでの議論の中で出てきたものとなります。
 2ページは、第三者チェックが要るということでこれまで御議論いただいていますけれども、ある程度表示の根拠としまして客観的証明が必要ということであれば、第三者のチェックが要るのではないか。お米の場合、生鮮ということもありますが、種類が多いということで、そういったものを管理していくために、かなり難しいということにはなるかと思いますけれども、現在、農産物検査法が検査法として定着しているわけで、それに代わる制度というのはなかなか難しいのではないかということも出ております。
 科学的分析による証明については、DNA検査ということになろうかと思います。DNA検査につきましては、品種を判別することは可能でございますが、産年を判別することは無理となります。また、DNA検査を証明の代わりとすることにつきましても、ロットの管理ですとか、検査実施機関はどうするのか、いろいろ課題が残っているという状況でございます。
 今後の議論の進め方ですが、昨年の11月30日に「日本再生加速プログラム」というものが閣議決定されております。この閣議決定の内容は、平成22年の閣議決定の内容と同じ内容となります。「米の年産・品種について、農産物検査法に基づく検査証明書以外の方法により、証明を行うことができれば、表示を可能とすることについて、平成25年度上期までに結論を得ること」とされたところでございます。これを受けまして、引き続き食品表示部会におきまして、農産物検査法以外の方法というものが可能かどうかということを御議論していただきたいと考えているところでございます。
 上期までということで期限を切られているところでございまして、何らか新たな検査法が提案されれば、継続して審議していくところでございますけれども、難しいということであれば、一旦議論を中断させていただきまして、ここには適当な検査法と書きましたが、農産物検査法に匹敵するような新たな検査制度を、消費者庁では検査制度をつくっていくことは難しいと考えておりますが、他省の制度という話にはなるのかもしれませんけれども、そういった検査法が確立したところで、検討を再開することにさせていただければと考えております。

○増田食品表示課長 若干、補足いたしますと、この話は平成22年の閣議決定で、農産物検査法以外の方法により証明ができればということを前提に、表示の拡大ができないかということを御議論いただいているものであります。これまでも御議論いただいて、代わりの証明の方法があるかというところがメインポイントですけれども、これについては、少なくともこのためだけに新しい証明ルールとか、証明の仕組みをつくるというのは、客観的にも困難だという中で、消費者庁そのものに証明のルールとして既存のものがございませんので、他省庁の制度等についても事務的にはいろいろ検討はしてきたところです。ただ、現実問題として、お米の品種・産年を組み込むというのは、事務的に検討した限りでは、直ちには難しいというのが事務方の今の結論でございます。
 難しさのゆえんとして、2点申し上げられると思います。一つは、第三者チェックなりをするに当たっては、当然、コストがかかるということ。そのコストは、どういう方法をしても今の農産物検査よりかなり高いものとなるという中で制度をつくっても、利用者があるということが見込めない。さらに、そもそも農産物検査法以外の証明方法について、どの程度需要があるのかということについて、少なくとも消費者庁で当たった限りでは、まとまった需要が見えてこないということがございます。一方、消費者の方にとって、今の品種・産年は基本的に証明を受けた単一原料米で証明をされたものを選んでいただくというルールになっているわけですけれども、少なくとも消費者の方から、今、自分の望んでいる品種が買えないという声も聞こえてこないという意味で、需要サイド、供給サイドとも、今の表示で少なくとも現状、選択等に困っているのかというと、そこの状況が一方で見えてこないということもあります。
 DNAの方法については、やり方としては、コストをかければできなくはないわけですけれども、流通事業者が自分でDNA検査をしましたといっても、まさに売る米が、その検査をした対象のお米かどうか、その証明にはならない。誰かほかの人がチェックをするなりしないと証明できないという中で、DNAという手法だけで証明をするには、少なくともそのままは使えないのではないかと思っております。
 そういった今までの御議論、及び事務方でいろいろ検討したわけですけれども、少なくとも農産物検査法以外の証明を行うことの可能性というのは、現時点では難しいという状況があります。きょう議論をしていただくというよりは、今後の進め方として、委員の方々で、こういった証明、ここに出されている証明方法はどうかというものがあれば、御提案いただきたいということと、現実的、具体的なものとして証明の方法が現時点で見出せないのであれば、一度この議論としては締めて、新たな方法があったときに改めて議論をするという段取りを踏ませていただければ、ということを御説明する資料でございます。

○田島部会長 ありがとうございました。
 この問題につきましては、現地検討会までして、かなり長い間、審議をしましたが、今、課長から御説明があったとおり、なかなか農産物検査法に代わるいい方法が今のところの段階では見つからないというので、適当な検査法が確立された時点まで検討を中断したいという御提案でございますが、御意見はございますでしょうか。
 山浦委員、どうぞ。

○山浦委員 以前より申し上げておりますが、実際、農産物検査法というものを重要な根拠として、こういった品種・産年等も書くというルールですけれども、実際に農産物検査法による検査というのは、目視によったり、自主申告によるという実態がある中で、本当にそれが事実に即しているかということは我々にはなかなかわかりにくいということがあります。実際に出回っている精米の素性については、農産物検査法とはまた違うルールに基づいた流通が行われているわけですから、そういった問題について、中下委員もきょう意見書を出されておりますけれども、ここの問題点は、矛盾を解消しないといけないということが前提となるのではないかと思います。
 具体的なやり方があるかというお話でしたけれども、中下委員も言われているように、2次元バーコードとか、新たな仕組みを袋につけるというルールなども可能性としては考えられますので、農産物検査法だけが唯一の証明であるという考え方をもう一度検討し直すという立場に立って、この議論を進めていただきたいと思います。

○田島部会長 ありがとうございました。
 山根委員、どうぞ。

○山根委員 私も、もっと生産者、流通、小売事業者を幅広く集めて、トレーサビリティ制度の拡大ということで議論を進めていただきたいと思います。業務用であれば、伝票の伝達だけで未検査でも表示ができるけれども、袋詰めすると、表示と中身が合っていても違反であるといった現状もおかしなことではないかと思います。一方、ふるい下米の問題が、ここでもいろいろと長く議論等ありまして、食味テストの結果等々でも、特に問題がないようなふうに取りまとめられたようにも思いますが、いまだに等級検査で弾かれた主食むきでない低品質とされるものがわからないまま主食用に混ざっているという現状は、変わっていないわけですので、それにもトレーサビリティ制度の改正で何らかの対応ができるのではないかと思いますので、是非、今後ともしっかり議論をお願いしたいと思います。

(田島部会長退室)

○夏目部会長代理 これから進行が代わります。夏目でございます。よろしくお願いいたします。
 今、山浦委員、山根委員から御発言がありました。そのほか。
 立石委員、どうぞ。

○立石委員 何度もこの議論はしてきましたが、かなり農産物検査法に対する誤解があるのではないかと思います。先ほど増田課長からあったとおり、この仕組みは極めてローコストで、1袋50円という検査料で、生産者が負担してやっています。500万トン以上、この仕組みで検査が行われていて、昨年、一昨年よりも増えているわけです。ですから、流通サイドの中でも、このことによって秩序、信用という部分で非常に高い評価があるということです。結果としてこの検査によるものでないと安心して取引ができないということなのです。
 ですから、トレーサビリティということもありますけれども、誰かがどこかで客観的に、きちっとそのことを評価できる仕組みがないと困る実態にあります。今は、農産物検査法を前提にしているわけで、ほかに同じことが担保できる仕組みがあれば何でも構わないけれども、このことが無くなれば、消費者が結果的にはこのことによって非常に不利益を招くことを私はおそれています。このことによって守られているわけです。米というのはプロでも見抜けないわけです。まして産年などは全くわからない。品種もそうです。そんな中で、一番川上で確認をしてもらう。それは、地域の中でさまざまな面はあるし、実際、生産者の自主申告がいい加減と言われればきりがないけれども、基本的に地域の中できちっとやっているという前提で確認しているということです。そこで判をついて検査済ということで流通していく。このことの大きさというのは消費者にとっても非常に利益になると確信しているから、何度も申し上げていますけれども、なかなかこの点が御理解いただけないということが非常に残念です。

○夏目部会長代理 ほかに、いかがでございましょうか。
 今、3人の委員から御意見が出されました。消費者サイドからは、特段、農産物検査法に代わる新しい御提案があったということではなく、やはり消費者としては、違う方法を引き続き検討していただきたいという御議論だったと思います。ここで新しい提案はなかなか出てこないかと思いますので、もし、皆様のほうでよろしければ、継続審議ということにさせていただいてよろしいでしょうか。

○増田食品表示課長 私どもは、この資料をもって、きょうこの場で結論をということで出したわけではございません。まず、進め方としてこういうことをお願いしたいというものでございます。したがって、我々から新しく何か提案をするのは難しい状況ですけれども、これから先の8月、9月までの間に1回は議論の機会を設けていただいて、その場で何かいい方法があればということを一旦議論した上で、あればそれに焦点を当ててやっていく。なければ、新たなものがあったときに再度立ち上げて議論をするということにさせていただければという提案でございます。
 もう一点、中下委員の意見書も同じだと思いますけれども、現状、玄米及び精米品質表示基準における産地の表示の仕方は、まさに生鮮一般の表示のルールと異なっております。端的に言うと生鮮のルールは、自分が何々産ということがあれば、ただ単にそれを伝達すればいいということになっているのに比べて、玄米及び精米品質表示基準においては、検査をしたものでなければ表示をしてはならないこと。これが、いろいろな販売の場面において、ここではダブルスタンダードと書いてありますけれども、同じ米でも違う基準が適用される場合があることは事実です。
 ただ、この問題は突き詰めれば、お米についても、生産者の方が、自分の品種はこうです、産地がこうですというふうに書けば、それだけで表示してもいいという、生鮮と同じルールのもとに置くかどうかという問題になるかと思います。それはそれで一つの大きい議論ですし、選択肢なのかもしれませんけれども、まず一つは、この議論が始まったときの出発点となっている閣議決定については、ある一定の証明は必要であるということを前提に、他の証明ができればという範囲で、まず議論を区切って始まっているという経緯があるので、そもそも証明は要らないのではないかという議論をするのであれば、それは別の場で議論をする必要があると思います。
 そのことは、確かにいろいろな場面において、表示のルールは、ちぐはぐな面が出てくるものはありますけれども、やはり米については、それなりに品種とか産地によって価格差がある一方で、食べる消費者が、買ったときに「あっ、違う」とわかるかというと、なかなかわからない。そういった意味で事実と違う表示がなされやすい環境がある中で、正しい表示をさせるための仕組みとして、言ってみれば先人の知恵として、今の検査のルールがあるということも一方で事実でございます。全く新しい方法、証明は要らないという方法を検討するのであれば、そもそも論に立ち返って、それで本当に正しい情報が伝達されていくのか。伝達されるメリットと、正しくない情報が伝達されるデメリットを比べたときに、本当にメリットが大きくなるかということを一から検討する必要があると思いますので、証明は要らないというルールは、こことは別の場で、もしそれが必要であれば改めて議論することにさせていただきたいと思います。

○夏目部会長代理 ありがとうございました。
 いかがでございましょうか。委員の中からは、証明が要らないという議論はきょうは出されていないと思います。きょう議論するのは、農産物検査法に代わる具体的な提案があるかどうかという御議論なので、今の段階ではそういう御議論は出ておりませんので、また新しい状況になりましたときにこの審議会で検討するということで、消費者庁におかれましては、情報を集めながら、また審議する時期を検討していただければと思います。
 委員の皆様、いかがでしょうか。

(「異議なし」と声あり)

○夏目部会長代理 特に異論もないようでございますので、今後の進め方はそのようにさせていただきます。ありがとうございます。
 それでは、時間も限られておりますけれども、次の議題に入ります。「食品表示一元化に関する報告について」でございます。
 それでは、消費者庁のほうからよろしくお願いいたします。

≪4.食品表示一元化に関する報告について(報告事項)≫

○増田食品表示課長 時間も押してきてしまったので、簡潔に説明したいと思います。お手元に資料3-1があると思います。
 食品表示法の考え方については、これまでも御説明しております。食品衛生法、JAS法、健康増進法の表示基準の部分を統合して新しい制度をつくるというものでございます。もう一つ、それを踏まえまして、現行、任意となっている栄養表示については、義務化が可能な枠組みとするということで、端的に言うと、栄養表示についても基準が定められた場合には、全事業者がその基準を遵守して表示をする仕組みに変えるということでございます。
 目的の部分は、新制度と書いてありますけれども、現行の3法の目的をつなぎ合わせるということではなく、消費者への情報提供という観点から、食品を摂取する際の安全性、選択の機会の確保を目的にするものと位置づけております。言ってみれば、表示の考え方の変更を示すといった観点から、表示の仕組みが消費者基本法に基づく消費者政策の一環だということを、基本理念というのを立てて明示しております。ただ、この表示のルールが、事業者に義務をかけて表示をさせることによって成り立っているという面もありますので、事業に及ぼす影響もあわせて配慮する必要があることを書いてございます。
 表示基準のところにつきましては、先ほど申し上げましたとおり、目的の範囲でということで、食品を安全に摂取し、自主的かつ合理的な選択をするため、必要な事項については、表示基準が定められると書いてございます。
 もう一つ、表示基準については、内閣府令で定めるわけですけれども、府令に丸投げするのではなく、どういった事項は表示すべきかということを法令に極力書くべきではないかという御指摘もありましたので、そういったことを反映して、名称、保存方法等、条文に示しております。基準の策定変更に当たっては消費者委員会の意見を聞くということで、現行、JAS、食品衛生法のルールと同様に消費者委員会で御審議いただくことになっております。
 指示等の部分ですけれども、指示につきましては、現行、食品衛生法においては、表示を是正するというのは明文の法律上の規定がございません。JAS法や健康増進法にはあるという状況でしたけれども、食品表示法では、ここの部分については、違反があった場合には指示を出すということで統一をしております。そういった意味で、指示の対象が3法に比べると拡大したという状況になります。指示をする主体としては、消費者庁のほか、関係業所管大臣にも指示の権限を与えて、取締りの徹底を図ることを期したいと思っております。それ以降、指示に従わなかった場合等の命令については、内閣総理大臣、消費者庁がやると位置づけております。
 立入検査等については、基本的には現行の3法のスキームを踏襲しておりますけれども、書類の提出命令等、一部、他法令等を参考に調査権限の充実を図っております。
 申出の部分につきましては、現行のJAS法にも同様の規定がございますけれども、違反があった場合の調査の申出を規定しているということ。それから、現行、消費者庁が所管しております他の法律である特定商取引法、景品表示法にございますとおり、法違反行為があった場合の差止請求という規定を食品表示法にも置いてございます。
 権限委任、罰則はここに書いてあるとおりで、特に罰則につきましては、現行の水準を維持するという観点から、原料原産地の偽装等については直接、基準違反の段階で罰則がかかるようにしております。それ以外は、指示・命令の命令に違反した場合の罰則となっております。
 附則で公布から施行までの期間を2年と置いております。この間に、今の表示基準を全部一本化した新しい食品表示基準を策定して、それについて消費者委員会で御議論をいただいて、パブリックコメント等所要の手続きを経た上で内閣府令の公布をするという一連の段取りを、この2年間でやっていく必要があるということでございます。
 その下の部分は府令レベルでの表示基準の部分でございます。表示基準の策定の考え方としましては、法律自体、これから国会での御審議ですので、審議におけるいろいろな意見等によって変わることはあるわけですけれども、念頭に置いておりますのは、事務的に考えた範囲では、2年というのは作業をするにはかなり短いと思っております。一本化すれば、要望をどう統一していくのか、それによって若干動くかもしれない義務の範囲、対象とする食品の範囲のズレをどういうふうに位置づけていくのかといった問題を議論すると、相当期間がかかると思っております。まず、新しい表示基準を、基本的に現行の表示事項をそのままスライドすることを基本につくることを考えております。
 もう一つ、きょうも御議論いただきましたけれども、栄養表示の義務化については、この2年の間に議論を進めたいと思っております。新しい義務化の枠組みは、公布のときに合わせてお示しできればというのを目標にしております。ここの部分はもちろん、栄養成分をどうするのかとか、適用についてどうするのかとか、いろいろな議論をあわせてしていく必要があるので、期限を切った議論もできないということは同時に考えております。いずれ、施行までにやっていかなければならない、最低限の部分をこなしつつ、参考として表示基準の取扱いに記述のあります個別の表示事項についても、準備ができたもの、あるいは時期的に可能なものから議論を開始していくということを考えています。

○夏目部会長代理 ありがとうございました。
 ただいまの御報告につきまして、御意見、質問等がありましたら。
 山浦委員、どうぞ。

○山浦委員 消費者庁の御説明、ありがとうございました。私どももかねがね主張しておりますように、基本理念の消費者の権利という形で、安全を確保する、選択の機会を確保する、必要な情報の提供といった内容の権利を消費者は持っており、それに基づいたさまざまな制度をつくろうといった意気込みが盛り込まれたことは、大変喜ばしいことだと思っております。
 問題は、今後、実際にどういった食品表示基準がつくられるかということですが、消費者委員会での検討といった手続きも入っているということで、これを是非、実質化していただいて、よりよい基準になるように関係者が努力したいと思います。現行の表示義務の範囲の変更はないという参考のところの指摘がございましたが、これは、初めからそういうふうに決めつけるのではなく、やはり必要な改正点があれば、それは議論をして正していくという方向性もあっていいのではないかと思います。
 実際に消費者の権利として、申出の権利、差止めの問題ということも盛り込まれましたけれども、これは単に今の法的なルールに違反して、黒だと言える事例だけではなくて、グレーゾーンの問題も実際には起きているわけです。その対象を少し幅広くとらえて、消費者としてこれは問題ではないかと申出ができるように、そういう体制を今後つくっていただきたいと思います。

○夏目部会長代理 ほかに、いかがでございましょうか。
 森委員、どうぞ。

○森(修三)委員 この新しい食品表示法については、私も一元化の検討委員として参加をさせていただきましたので、1点だけ質問をさせていただきたいと思います。特に目的の部分ですけれども、一元化の検討会の報告書の概要にありますように、食品の安全性確保に係る情報を最優先に、消費者の商品選択上の判断に影響を及ぼす重要な情報を、食品表示の目的とするように、かなり明確に報告書ではまとめることができたのではないかと、委員の一人としてそう思っております。
 報告書の概要の中には、「本報告書で示された基本的な考え方を踏まえ、新法の立案作業に着手する」という説明がされていますが、今回の新しい法案を拝見いたしますと、目的の部分で、かなり目的を拡大といった部分が出てきております。この辺の経緯がどのようなものであったのか、お聞かせいただければと思っています。

○夏目部会長代理 それでは、消費者庁、お願いします。

○増田食品表示課長 基本的に検討会で取りまとめられたものを法文化したと理解しております。食品の安全にかかわる部分が非常に重要ですという部分については、もちろん、その理念をなくしたというつもりではございません。法文に書くに当たっては、法文は基本的には範囲を書いております。どういうものを優先的に、あるいは重要度の高いものとして位置づけるかというのは、表示基準の検討の中で反映されるものと理解しております。このことについては、たしか検討会の中でも優先ということについては、条文で書くのかという御質問を受けて、それは条文の話ではないと思いますということをお答えしていると記憶しております。
 若干の文言については、法令上の文言という、選択の機会の確保という言葉を使ったか、重要な情報と書くかということについては、基本的に同趣旨と思っております。法令で使われている用語等を参考にこれを書いているということで、そこの範囲について変更したということは少なくとも作成サイドとしては思っておりません。

○夏目部会長代理 立石委員、お願いします。

○立石委員 今回、基本理念の中に消費者の権利という形で、安全確保、選択の機会確保、必要な情報の提供という考え方で進めるということになったわけですけれども、一つは、前からこの部会で議論になっている原料原産地表示の件に関して、これまで、原料原産地は品質という考えとリンクしていたわけです。ここは、新しい法律で、いわゆる3法が一緒になることによって取り払われて、食品衛生法を含めて、再度見直していくという方向がこれで確認できたと考えてよろしいのでしょうか。そうすれば、即、検討に入って、新しいルールをつくるべきだと思いますが、一向にその話が具体化してこないということは非常に不安に思っています。その辺についてお聞かせいただきたいと思います。

○夏目部会長代理 消費者庁、お願いします。

○増田食品表示課長 原料原産地の品目の選定の考え方は、過去の共同会議等で示されたものが、JAS法の品質に関する適正な表示という法律の枠の中で表示されるものの選定基準になっていたというのは、立石委員のおっしゃるとおりです。それに対して新しい食品表示法においては、品質に関するものであるかどうかということを表示基準策定の範囲の対象にしていないことも事実でございます。自主的かつ合理的な選択に必要なものであれば、基準がつくれるということになっている部分は委員のおっしゃるとおりだと思います。
 新しい法律の考え方のもとに、個別の今までのルールについてどういうふうに検討していくかということについては、原料原産地に限らず、一つひとつ議論すべきものだと思っております。ただ、あまたある検討事項のうちどこから着手していくのかということについては、最初に申し上げましたとおり、まず移行するために必要な最低限の食品表示基準の策定はやらないと2年後が過ごせないということと、一元化検討会の中でも、栄養表示の義務化については検討していこうという方針が出されて、なるべく猶予期間を長くとるという観点を考えると、形をなるべく早く示すことが大事で、これについては進めていきたいと思っております。その2つの事項との時間的・作業量的な絡みの中で、ここにあります個別の課題事項について、検討していくことになろうかと思います。
 個別の検討事項のうち、どこからやっていくのかということについては、これまで確かに原料原産地はある程度議論が進んでいて、そういった意味では取りかかりの経緯があることも事実ですけれども、具体的にどの項目からやっていくのかというのは、マンパワーがあるので、同時並行にはすべて動かせないという状態の中でどうするかということは、新たな食品表示法における消費者委員会との関わりということになるのかもしれませんけれども、その中で具体的な進め方については御議論いただければと思います。

○夏目部会長代理 ほかに、御意見はいかがでしょうか。
 ほかにないようでございます。時間が押してきておりますので、本議題につきましては、食品表示一元化検討会において議論されている段階から、この表示部会及び消費者委員会において数回にわたって御報告をいただき、意見を述べさせていただいてきました。今後は食品表示基準の策定段階に移るかと思います。2年という縛りのある中で、大変膨大な作業量を事務方は進めなければいけないと思いますけれども、策定に当たりましては、食品表示部会としても十分に審議をしてまいりたいと思っております。
 それでは、本日の議事は以上でございます。
 事務方からお話がありましたら、お願いいたします。

○原事務局長 本日はありがとうございました。
 次回につきましては、議題、日程につきまして、調整の上、改めて御連絡させていただきたいと思っております。よろしくお願いいたします。

○夏目部会長代理 それでは、本日はこれにて閉会とさせていただきます。お忙しいところ、お集まりいただきまして、ありがとうございました。

≪5.閉会≫

(以上)