「消費者契約法シンポジウム」を開催しました

  • 日時:平成25年2月2日(土)13:00-16:30
  • 場所:主婦会館プラザエフ 7F カトレア
  • 全体テーマ:消費者契約法の課題を考える
 【配布資料】  【議事録】

シンポジウムの様子を紹介します

 「消費者契約法に関する調査作業チーム」における論点整理の中間報告を目的とした消費者契約法シンポジウムを、平成25年2月2日(土)に開催いたしました。
 参加者は、学者・弁護士・司法書士・消費者団体・消費生活相談員・事業者等159名と、たくさんの方にお越しいただきました。


<基調報告>(詳細は議事録参照)

基調講演の全体写真  河上委員長の写真

基調講演(壇上は河上委員長)


 前半の基調報告では、「消費者契約法に関する調査作業チームの取組状況」として、河上正二消費者委員会委員長の総論的報告をはじめ、当調査作業チームメンバーの丸山絵美子教授(名古屋大学大学院法学研究科)、沖野眞已教授(東京大学大学院法学政治学研究科)、角田美穂子准教授(一橋大学大学院法学研究科)、大澤彩准教授(法政大学法学部)、消費者委員会事務局委嘱調査員の山田茂樹司法書士からそれぞれの論点における課題提起がありました。
 丸山教授からは、契約締結過程に関する規定において、消費者契約法4条に規定されている、誤認類型取消権及び困惑類型取消権について、要件・効果(原状回復規定)の見直しや関連規定や新設についてなどの検討提起がありました。
 沖野教授からは、約款による取引について、約款が契約内容となるための要件を明らかにすることの検討や、不意打ち条項の取扱いについて、不意打ち条項とされる基準および効果を明らかにすることの検討などの提起がありました。
 角田准教授からは、不招請勧誘規制について、特別法に基づく禁止等も顧客保護を目的とした法規定であることから、これらの規定に違反した[勧誘・販売]行為につき、民事上も違法となる旨の規定を導入することの検討や、適合性原則について、「過大なリスクを伴う商品・サービスを目的とする」消費者契約における「販売・勧誘ルールの原則規定」として消費者契約法に導入することの検討などの提起がありました。
 大澤准教授からは、該当すれば直ちに不当条項であるとみなされる「ブラック・リスト」と評価余地のある不当条項の「グレイ・リスト」を設けることの検討や、業種毎のリストなどを政令レベルで設けることの検討などの提起がありました。
 山田委嘱調査員からは、インターネット取引において、広告は消費者の意思形成に重要な影響を与えている可能性が高いことに鑑み、契約締結過程の適正化に関する規律において、一定のルールを定めることや、対面取引(リアル取引)との比較においてみられる特徴を反映したルールの検討についての課題提起がありました。



<パネルディスカッション>(詳細は議事録参照)

会場風景写真
パネルディスカッション

 後半はパネルディスカッションを行いました。パネリストは、沖野眞已東京大学大学院法学政治学研究科教授、北村純子弁護士、佐成実東京ガス株式会社総務部法務室長、丹野美絵子全国消費生活相談員協会理事長、筒井健夫法務省大臣官房参事官、堀井奈津子消費者庁消費者制度課長の6名で、コーディネーターは消費者委員会の河上正二委員長が務めました。ここでは、1.消費者契約法(実体法部分)の見直しの必要性、2.民法(債権関係)改正と消費者契約法の関係、3.契約締結過程の規律のあり方、4.不当条項の見直し、の4つの論点について議論を行いました。

パネルディスカッションでの御意見の一部を御紹介いたします。

  • 法の改正の必要性について、1)日弁連からは改正の意見書が出ている。2)事業者の視点から見れば悪質業者が排除されるような法ができれば消費者とWin-Winの関係を築けるが、その場合でも健全な事業者を萎縮させないよう具体的な事実を基にした議論が必要
  • 現在の民法で約款に関する規定はないが、今後民法改正でどのように対応するかについては、1)消費者契約法のなかでも先鋭化してくる課題であり、採用、解釈、不当条項の3点でチェックするという従前の法理に加え、情報開示の視点が入ってくる。2)現代における約款取引の重要性から見てかかる規定がないのはおかしく、民法改正で手当てすることが必要。3)約款について、民法改正の一部とするのではなく、ドイツに倣って独立した規定を整備することも考えられる
  • 消費者契約法制定後の高齢化、IT化などの社会状況の変化、3階部分など関係法律等の改正などの動き、民事の裁判規範であるとともに事業者の行為規範としての機能も果たすという消費者契約法の性格などを踏まえた検討が必要
  • 不当条項については現在の条文では不十分であり、ブラック・リストに加えて、評価余地があるグレイ・リストを整備すべき

阿南長官写真
阿南消費者庁長官の閉会挨拶


 

参加者のアンケート結果

シンポジウム「消費者契約法の課題を考える」アンケート集計(PDF形式:9KB)

 当日、参加いただいた方からのアンケートでは、「参考になった」(「大変参考になった」+「やや参考になった」)の回答者が、基調報告・パネルディスカッションともに9割を超え、開催した意義があったものと嬉しく思っております。
 また、消費者契約法に関する御意見・御要望もたくさんいただき、今後の消費者委員会の活動の参考にさせていただきます。
アンケートにご協力いただきました皆さま、誠にありがとうございました。

  • Q.基調報告の内容は、参考になりましたか?
    円グラフ:大変参考になった65%、やや参考になった28%、普通6%、わからない1%
  • Q.パネルディスカッションの内容は参考になりましたか?
    円グラフ:大変参考になった65%、やや参考になった32%、普通3%