第8回 地方消費者行政専門調査会 議事録

最新情報

日時

2010年11月30日(火)10:00~12:15

場所

消費者委員会大会議室1

出席者

【専門委員】
 稲継座長、沼尾座長代理、国府委員、斎藤委員、菅委員、田中委員、馬場委員、
 圓山委員、矢野委員
【担当委員】
 池田委員、佐野委員、下谷内委員、日佐和委員、山口委員
【オブザーバー】
 池本弁護士
【説明者】
 消費者庁 畑野取引・物価対策課長
 消費者庁 笠原表示対策課長
 消費者庁 相本食品表示課長
 消費者庁 赤井地方協力課課長補佐
 埼玉県県民生活部 上原消費生活課長
 香川県県民活動・男女共同参画課 県民生活グループ 小林 副主幹
【消費者委員会事務局】
 齋藤審議官、原事務局長

議事次第

1.開会
2.地方自治体による法執行のあり方について
3.閉会

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

議事次第 (PDF形式:66KB)
【資料1】 特定商取引法の執行について(消費者庁提出資料) (PDF形式:503KB)
【資料2】 景品表示法の執行について(消費者庁提出資料) (PDF形式:410KB)
【資料3】 JAS法に基づく品質表示基準の執行について(消費者庁提出資料) (PDF形式:503KB)
【資料4】 消費者被害の防止に向けて(埼玉県県民生活部消費生活課提出資料) (PDF形式:233KB)
【資料5】 香川県総務部県民活動・男女共同参画課県民生活グループ提出資料 (PDF形式:112KB)
【資料6-1】 地方自治体による法執行のあり方について(論点) (PDF形式:92KB)
【資料6-2】 法執行に関連する第171回国会における議論について (PDF形式:123KB)
【資料6-3】 地方消費者行政における法執行に関する現場の声(地方消費者行政の実態調査報告書(消費者委員会事務局 平成22年1月)別紙2) (PDF形式:146KB)
【資料7】 今後のスケジュール(案)について (PDF形式:108KB)
【資料8】 地方自治体における法執行のあり方について(圓山委員提出資料) (PDF形式:226KB)
【資料9】 地方消費者行政と国の支援のあり方に関する主な論点に関する意見(奥山委員提出資料) (PDF形式:360KB)
【資料10】 地方自治体による法執行について(国府委員提出資料) (PDF形式:86KB)
【資料11】 地方消費者行政における法執行の強化について(池本オブザーバー提出資料) (PDF形式:195KB)
【参考資料1】 相談窓口の設置や相談員の配置に関する国の関与について(他分野との比較)(保健所) (PDF形式:125KB)
【参考資料2】 「地方消費者行政に関する特別世論調査」の概要 (PDF形式:154KB)


≪1.開会≫

○原事務局長 おはようございます。時間になりましたので、始めさせていただきたいと思います。朝早くからお集まりいただき、ありがとうございます。
 ただいまから「消費者委員会 地方消費者行政専門調査会」第8回の会合を開催いたします。
 本日は、所用により専門委員の奥山委員、野口委員、山下委員が御欠席です。沼尾座長代理は、30分程度遅れての御参加となります。
 まず、配付資料の確認をさせていただきたいと思います。今、お配りしております資料は、議事次第の次に資料の一覧を掲げておりますけれども、資料1、2、3については、消費者庁提出資料ということで、特定商取引法、景品表示法、JAS法に基づく法執行について関連した資料です。
 資料4が埼玉県、資料5が香川県、今日お越しいただいておりまして、そちらの御説明に準備していただいた資料となります。
 資料6-1が、地方自治体による法執行のあり方についてということで、事務局で用意した論点です。枝番を付けておりますけれども、資料6-2、6-3は関連する資料です。
 資料7に今後のスケジュールをお付けしております。
 資料8~11については、専門調査会委員から提出された資料となっております。
 参考資料も付けておりますが、まず、資料9ですけれども、今日、御欠席の奥山委員からの資料ですので、これは地方消費者行政と国の支援の在り方に関する主な論点に関する意見ということで全般的な御意見を提出いただいております。今日は御欠席なので、またご覧になっていただけたらと思っております。
 参考資料1ですけれども、これは前回、圓山委員から保健所について、相談窓口の設置や相談員の配置との比較で国の関与について調べていただけないかということがございましたので、保健所について調べた資料ということでお付けしております。
 事務局からは、そういったところです。議論の過程で不足などございましたら、また事務局まで申し出ていただければと思います。それでは、座長どうぞよろしくお願いいたします。

○稲継座長 おはようございます。
 本日、議事に入らせていただきます前に御報告がございます。前回のこの調査会の最後の方でもアナウンスメントさせてもらいましたけれども、去る11月12日に行われた第38回「消費者委員会」において、私の方から専門調査会についての中間的な報告を行いました。
 そのときに、ほぼ全委員から御意見を頂戴したんですけれども、いろいろありましたが、大きく分けて2点ございました。
 1点目は、報告書のとりまとめに関しまして、どの委員からも、と言ってもいいと思うんですけれども、両論併記ではなくて専門調査会として、ある一定のまとまった意見を出していただきたいとの意見がございました。
 2点目は、既に活性化基金等を通じたさまざまな施策が行われているわけですけれども、その相談体制の強化の結果、どのような効果が表れているのかという実態調査を行ってほしいという意見も出されました。
 このような親委員会での御意見を踏まえまして、私といたしましても来年の3月のとりまとめに向けまして、議論を収れんさせていく必要があると考えております。できれば、両論併記ではなくて一定の方向をこの専門調査会で出すという方向にしたいと考えております。
 そこで、事務局において検討のたたき台になるようなものを今後作成していただき、次回12月16日の専門調査会において、そのたたき台を基に委員の皆様方に改めて御議論いただきたいと考えております。
 2点目の実態調査については、事務局としても対応をとろうとしておられると聞いておりますけれども、時間もかかることだと思うのですが、以上について何か事務局から補足がございましたら、お願いしたいと思います。

○齋藤審議官 事務局の齋藤でございます。
 まず、実態調査につきましては親委員会での御指摘もありましたし、その前にこの専門調査会でも、どういうニーズがあるのか調べるべきではないかという御指摘もありましたので、今、事務局におきまして、全国の47都道府県の方々にお願いをしておりまして、基金を使ってどういう効果が表れているのかといったことについての実態調査、アンケート調査を実施しております。その調査結果につきましては、できれば次回の12月16日には、中間的なものでも報告できるように作業を進めたいと考えております。
 それから、もう一つ、今、座長からお話がございましたが、今後、御議論を収れんさせていただく上で特に御意見が分かれているのは、相談体制の整備の考え方かと思いますので、整備の考え方につきまして事務局として御議論の素材になるようなたたき台を作成いたしまして、次回12月16日の専門調査会に御議論いただくために素材として提出させていただきたいと考えております。
 以上でございます。

≪2.地方自治体による法執行のあり方について≫

○稲継座長 ありがとうございました。
 それでは、議題に入りたいと思います。本日は、まず消費者庁の各法執行担当部署から法制度の枠組及び地方との役割分担等について、それぞれ御説明いただきます。
 続けて、埼玉県様と香川県様から、地方における法執行の実態について御説明いただきます。
 最後に、事務局から論点を説明いただきます。
 なお、今回は説明者が多数いらっしゃいますので、あらかじめお伝えしている説明時間を厳守でお願いしたいと思います。また、御意見、御質問は順次説明を行っていただいた後に一括してお願いしたいと思います。
 それでは、まず消費者庁の畑野取引・物価対策課長から、特定商取引法について御説明いただきます。恐れ入りますが、5分程度でよろしくお願いします。

○畑野取引・物価対策課長 了解いたしました。
 御紹介いただきました取引・物価対策課長の畑野でございます。
 今日は、あらかじめ事務局の方から、今、座長の方からもあったように5分という制限時間の中で、執行に関する国と地方の役割分担、地方の執行権限、複数県にまたがるものは国が共同でやるのか、国がやるのか。ポテンヒットでダブりがないような調整メカニズムがあるのか。地方における法執行のウェイトはどうなっているのか執行実績を示せ。それから、地方における執行実績を高めるための国としての支援策として、法令解釈の明確化、職員研修、技術的ノウハウといったことを検討するべきではないかと、こういったことについて、議論の材料となるような資料を示し、簡単に説明せよと、このような宿題をあらかじめいただいたところです。
 それでは、資料1をお開きいただけますでしょうか。あらかじめ指定させていただいた問題意識に沿う形で資料の御紹介をさせていただきたいと思います。時間が限られておりますので、また質疑応答の中で細かい説明ができればと思います。
 まず、最初の説明のポイントで示すよう意見がありました執行に関する国と地方の役割分担、それから、地方の執行権限ということについてでございますが、資料1の1ページ目をお開きいただけますでしょうか。
 これも御案内の方が多いかと思いますが、特定商取引法の執行、これは業務停止命令であるとか、あるいは指示処分をかけるといったことが処分権者に与えられるわけでございますが、国と都道府県知事が処分権者であるということでございます。
 国というのは、具体的に申し上げますと、消費者庁の長官、経済産業省のブロック機関でございます経済産業局長、これは内閣府の沖縄総合事務局経済産業部の部長も含めてということでございますが、それが国でございます。
 そこの図に表わしましたように左側、全国的に被害が及んでいるといった事案については、基本的には国、すなわち消費者庁の長官あるいは経済産業局長の方で対応を図る。
 それから、いわゆる1つの県域にとどまっている被害についての対処ということであれば、原則的には都道府県知事の方で処理をしていただく。一応、こういったすみ分けをさせていただいて、法執行に当たっているということだと思います。
 ポテンヒットでダブりがないような調整メカニズムがあるのかということでございますが、これにつきましては後でまた出てきますが、1つの方策としては、執行ネットといったものがございます。これは、国あるいは都道府県の方でどういった案件を処分という形で、言葉は悪いかもしれませんが、狙っているのかといった点、あるいはこういった処分をしたという情報について、執行に当たる担当者がそれぞれパスワードを持ちまして、限られたメンバーの中ではございますが、情報が共有できるシステムといったようなものがつくられております。
 あとは、日ごろからの連携あるいは協力ということでございますが、後でまた御紹介する機会があろうかと思いますが、特に経済産業局を中心といたしまして、各県の担当者の間でのいろいろな連絡あるいは意見交換を行うための会議、こういったものも設けている例もあるようでございますし、私ども国といたましても、消費者庁と経産局長との間の会議を不定期でございますが、開催させていただいているところでもございます。
 折しも今日、11月30日仙台で行っているわけでございますが、今年から消費者庁の方でブロック会議ということで、都道府県の消費者行政担当部局の中でフランクな意見交換を行うということで、会議をずっと開催させていただいています。こういった意見交換の場などを通じて、事実上は、1ページ目の図に示したような処分が効率的に行われる環境を整備しているといったようなことかと思っております。
 それから、2番目に地方における法執行のウェイトということで、国と県の執行実績、過去10年間分を示せということでございますが、10年のデータをそろえていないので、恐縮でございますけれども、データということで御紹介申し上げれば、2ページ目、国と都道府県の執行の件数ということでございます。過去7年分の数字を示させていただきました。
 これをどう評価するかということが、今日の議論のポイントになるのではないかと思いますので、私の方からのこのセッションでの御説明は、この程度にさせていただきたいと思っております。
 それから、もう一枚お開きいただきますと、これも今日の議論のポイントになるのではないかと思いますので、資料を付けさせていただきましたが、都道府県知事に処分の権限が下りているということでございますので、各都道府県ごとのこれまでの実績、15年分ぐらいあるんでしょうか、これをお示してさせていただきました。北海道から沖縄県まで一目で見ておわかりかと思いますが、都道府県ごとに実績の件数だけでございますが、かなりばらつきがあるなと思います。これをどう評価するかという問題があろうかと思います。
 法執行のウェイト、国と県の執行実績を示せということでございましたので、2ページ目と3ページ目で紹介をさせていただきたいと思います。
 それから、地方における執行実績を高めるための国としての支援策として、どんなものがあるのかということでございますが、4ページを飛ばして、5~6ページをお開きいただけますでしょうか。
 これは「地方消費者行政の充実・強化のためのプラン」というものがあるわけでございますが、これに基づく形でどういった策を展開しているのかという御紹介でございます。これも今日の会議の議論の材料になろうかということで、あらかじめ御紹介させていただきたいと思います。
 職員の研修といったようなことあるいは法令解釈の明確化といったようなところで申し上げますと、まず、都道府県からの研修員の受入れということで、今、私がおります取引・物価対策課に三重県、岐阜県の若手の職員でございますが、研修に来ていただき、三重県の方は、もう既にお帰りになりましたが、岐阜県の方は引き続き研修生として、今も一線で活躍をしていただいております。
 それから、研修、併せて法令解釈の明確化を県と一緒に図っていこうということで申し上げると「(2)執行担当職員等への研修の充実」ということで、立入検査にどういう形で入るのかといったロールプレイを含めた執行研修と、今日、御参加いただいている池本先生にも御講義を賜り、お話いただきました法令研修を行っています。ここでは、警察庁において、今、特定商取引法の関係でどういう取組をしているのかということも御講義していただきました。
 こういった研修、これは、都道府県、経産局の職員向けでございますが、法令解釈のスキル、法令解釈の明確化といったことにも資する研修という形で仕上げているつもりでございます。
 それから、情報共有、執行面への協力ということでございますが、6ページをお開きいただきまして、今も御説明申し上げましたが「2 国と地方などの連携強化」ということで、今日は仙台で行われているわけでございますが「消費者行政ブロック会議」ということで、こういったブロック会議を通じて、日ごろ都道府県の方が執行の場面でどういうお悩みを抱えていらっしゃるのかと、直に伺う貴重な機会をつくっていただいているということかと思います。
 情報共有という点、特に執行面の場面で表れてくるので、冒頭申し上げましたように「特商法・割販法執行NET」というのが有力な武器となっているかと思います。国や都道府県の各執行事例、調査中の案件、こういったものにつきまして担当者が執行ネットに自由に打ち込むことで情報の共有を図る、こういった取組をしているということでございます。
 5分という制限でございましたので、私の方からは以上で説明を終わらせていただきます。ありがとうございました。

○稲継座長 ありがとうございました。
 続きまして、消費者庁笠原表示対策課長から景品表示法について御説明いただきたいと思います。恐れ入りますが、5分程度でよろしくお願いします。

○笠原表示対策課長 表示対策課長の笠原でございます。よろしくお願いいたします。
 資料2で、景品表示法の執行についてまとめてございます。
 順序が前後して恐縮ですが、まず、4ページをご覧いただければと思います。こちらに景品表示法違反事件の処理手続という形で関係する組織の役割分担を示してございます。消費者庁は、全国案件が中心。
 公正取引委員会は、実質的に関東甲信越以外に所在する地方事務所が調査の主体になりますので、ブロックの案件。
 都道府県については、基本的には、県域ということでございますけれども、それぞれの御判断の中で全国的に展開している事業者に対しても、調査、処分をされているケースもかなりあるように理解をしております。
 それぞれの手続ですけれども、処分の権限は、専ら消費者庁長官が持つということになっておりまして、調査に関しまして、公正取引委員会が政令により委任を受けて、その調査の権限を持っているということでございます。
 それから、都道府県につきましては、自治事務として景品表示法の運用を行い、措置としては、法律に定められた行政指導である指示の権限を持っている。指示に従わない場合等、必要な場合には、消費者庁長官に対して措置請求を行うということで、これを受けて消費者庁長官が強制力のある措置命令を行う形で都道府県の措置の実効性を担保する枠組になっているということでございます。
 事件調査の入口になる情報につきましては、消費者庁、公正取引委員会、都道府県、それぞれのところでもって受ける仕組になっております。消費者庁におきましては、表示対策課に情報管理担当という直接そういう情報提供を受けるセクションがあるということでございますし、公正取引委員会につきましては、各地方事務所の取引課において直接そういうものを受けるということでございます。都道府県においても、各担当のところで受けられていると承知しております。
 執行の実績についてですけれども、2ページに国と都道府県のトータル、各都道府県別の国につきましては、措置命令あるいは移管前ですと、排除命令。都道府県については、指示の件数を出してございます。
 都道府県につきましては、若干上下はありますけれども、増えてきている状況にあるということでございます。また、ここ数年のところでいえば、各都道府県で連携をして、調査して、それぞれの県域のところで措置をとるという取組をされていると承知しております。
 次に、連携に向けた取組についてでありますけれども、5ページをご覧いただければと思います。情報共有というタイトルですけれども、連携の取組について整理をしてございます。
 1つは、研修ということであります。今年度も地方協力課で主催した消費者庁の研修会、都道府県を対象にした研修会において、景表法の研修を行っているということでありますのと、また、表示対策課あるいは公正取引委員会地方事務所で人事異動があって、初めて景品表示法をやるという職員が出てきた場合に研修をするときには、都道府県にも声がけをしていて、参加されたいということであれば、一緒に研修を受けていただくということもしております。
 都道府県の担当の方から法令解釈あるいは事件調査等における解釈、どういうことを確認したらいいかというような問い合わせをいろいろいただいていて、それについては、随時対応をして相談に乗り、アドバイスをしております。また、こういう相談の過程の中でこれは全国案件だから、消費者庁の中で対応してほしいというお話があると、それも通知を受けて対応するということもしておるということでございます。
 それから、景品表示法のブロック会議というものを移管前から持っておりましたが、本年度は12月以降でございますけれども、順次実施をするということで準備を進めているところでございます。
 情報の共有について、もう少しシステマティックにするということで、景品表示法の執行ネットというものをつくることを計画しており、現在、平成23年度の予算要求をしております。
 以上が、資料に基づく御説明でございます。
 それから、事前に委員の方から御質問をいただいていることでございます。景表法について、公取の地方事務所が事業者からの景品表示法に関する事前相談を受けなくなって、都道府県庁に回すようになった理由を教示されたい。また、県が事前相談を受けても独自に判断できないことから、事前相談の窓口は国に一本化できないかということ。御質問と御指摘でございます。
 ここでいう事業者からの事前相談というのは、事業者がこれから自分でしようとしている広告宣伝企画について、景表法上問題があるということで摘発されることにならないように問題点の有無を確認するという、事前にクリアランスを求めるための相談というものでございます。
 こういう相談の性格から、景品表示法の移管に伴って、違反行為に対する処分の権限というのは、消費者庁のみに移ったということですので、消費者庁が一元的に対応をする。公正取引委員会との関係では、消費者庁が一元的に対応するということにしたものであります。この移管に伴いまして、地方事務所に対しては、事前相談を消費者庁に回すように指示をしておりまして、地方事務所から都道府県に回すということは、していないと私どもの方では理解しております。
 ただ、相談者がわざわざ東京まで行けないので、地元のセクションを教えてくれということを言われたときに回答をしているということはあるかもしれません。また、事業者の方で調べて都道府県に相談をしているということはあり得ると思います。
 消費者庁はこういう形でもって公取の地方事務所に対しても、相談は全部回すようにと言っておりまして、現在、大体1日70、80件の事前相談を表示対策課において受けているという状況でございます。年間ですと、設立後の1年間で約1万6,000件。公取の本局で受けていた件数は、前年度からだと4,000件以上増えているということで、地方からの相談も多数受けているという状況でございます。こういう枠組でありますので、都道府県に事前相談があった場合には、消費者庁の方に回していただければ、結構であるということでございます。
 なお、都道府県は、自治事務として景表法の運用をされていますので、自ら事前相談に対応すること自体については、権限上の問題はないということでございます。また、相談に当たって何か疑問の点等がありました場合には、先ほど申し上げましたような枠組の中で相談、照会には乗っておるということでございます。以上です。

○稲継座長 どうもありがとうございました。
 続きまして、消費者庁の相本食品表示課長から、JAS法について御説明いただきたいと思います。よろしくお願いします。

○相本食品表示課長 消費者庁食品表示課長の相本でございます。
 資料3に基づきまして、JAS法に基づく品質表示基準の執行について御説明いたします。
 まず、2ページ目をお願いいたします。JAS法に基づく品質表示基準の執行に関しては、消費者庁の発足に際しJAS法に基づく表示の基準を定めるという事務が移管されているところです。これについては、消費者庁発足後、消費者庁が一元的にこの表示の基準をつくるという事務を実施しているところです。また、執行に関しては、権限について国と都道府県の間でその分担が分かれております。
 2都道府県以上にわたる拠点がある事業者に関しましては、国、具体的には、消費者庁又は農林水産省が監視、指導を行い、1都道府県以内の事業者に関しては、事業者所在地の都道府県が監視、指導を行うという法律上の分担がなされているところです。
 また、表示の違反の疑義等があった場合には、国又は都道府県が立入検査を行うということになっております。また、国といたしましては、従来任意と法律に基づく立入検査の両方を実施しておりましたけれども、今後に関しては、原則として法律に基づく立入検査を実施するという方針を示しているところです。
 また、JAS法に基づく表示基準の違反があった場合には、まず、法に基づく行政指導として、指示、公表を行うということになっております。この指示に違反した場合には、行政処分といたしまして、命令を行うということになっております。
 国に関しては、消費者庁発足後、この指示、命令のうち、命令の権限に関しては、一元的に消費者庁に移管されておりますので、消費者庁が実施し、都道府県が所管している県域事業者に関しては、都道府県が指示及び命令の処分を行うということになっております。また、この命令に違反した場合には、罰則の適用があり、昨年の5月にJAS法の一部改正がございまして、産地偽装に関しましては、直罰規定が設けられているところです。
 3ページ目です。JAS法に基づく指示等の実績です。上の段が国及び都道府県の指示件数の実績、平成12年度から平成22年度までの実績を整理したものです。また、下の段に関しては、JAS法に基づく命令の件数で平成16年以降、9件の命令が国又は都道府県によって行われているという実績です。
 更に都道府県の個別の各都道府県の実績に関しては、次のページに平成12年度から平成22年度まで示しているところです。この都道府県の指示に関しては、自治事務ですが、都道府県によっては、10年間で2けたの指示を行っている実績がある一方、10年間で1件又はゼロ件という都道府県も見られるところです。
 次に、3ページです。食品表示に関する執行強化に向けた取組の状況です。まず、国の中央段階としては、平成20年2月から「食品表示連絡会議」というものを設置して、食品表示行政に関わる各省庁との連携を図るための会議を定期的に実施しているところです。これに関しては、消費者庁発足後、消費者庁も参画して、現在、消費者庁、警察庁、農林水産省、オブザーバーとして厚生労働省の参画を得て、局長級の会議を定期的に開催しております。
 また、地方レベルでは、47都道府県ごとに「食品表示監視協議会」という会議を同じく設置していただいているところです。これに関しては、関係する都道府県の景品表示、食品衛生、JAS法、県警本部等の機関。それから、地方にあります国の機関、地方農政事務所、地方厚生局等が参画して、不適正な食品表示に関する情報の共有、意見交換などの取組を行っております。
 この地方レベルでの「食品表示監視協議会」に関しては、消費者庁発足以前は各都道府県等に設置されている消費生活センターの参画につきましては、それぞれの実態に応じてということで必ずしも消費生活センターの参画が見られなかったケースもありますけれども、これに関しましては、昨年10月に消費者庁より都道府県あてに通知して、この消費生活センターの参画もしていただけるよう要請を行い、現在までのところ、ほとんどの都道府県で消費生活センターの参画も見られているところです。
 次の4ページです。この執行強化に向けた取組に関しての現在の取組ですけれども、まず、今年の5月に中央段階での「食品表示監視協議会」に関しましては、ここに一部抜粋しておりますが、今後の取組方針として地方レベルでの研修の強化等の対応をうたっているところです。
 また、実際の取組に関して、事例を右側に整理しております。上の段が中国四国ブロックの例です。本年7月に中国四国地域における「食品表示行政担当者研修会」を開催し、中国四国農政局、中国四国厚生局、管区警察局の開催による連絡会議を実施し、研修を実施しているところです。具体的には、県の食品表示行政担当職員、警察、農政事務所等の担当職員を対象とし、研修内容としては、JAS法のみならず不正競争防止法、計量法、米トレーサビリティ法等、食品表示に関する制度の研修を行っているところです。
 下の段については、本年10月に近畿地域で行われた研修会におきましても、中国四国地域同様の研修会を実施しております。
 最後のページです。執行体制強化に向けた取組といたしまして、平成23年度において、定員増の要求を行っているところです。具体的には、機構として、管理職クラスの上席食品表示調査官。それから、定員として、JAS法、食品衛生法、米トレーサビリティ法、健康増進法の執行を担当する職員の増員要求。更に事務処理を行うための法執行補助職員に関して所要の経費の予算要求を行っているところです。

○稲継座長 ありがとうございました。
 続きまして、埼玉県県民生活部の上原消費生活課長から、埼玉県における法執行の実態を御説明いただきたいと思います。なお、埼玉県では、近年執行体制を強化されるなどにより、他の地域と比べて執行実績が多く、また、他県との連携も積極的に行われているとお伺いしております。その点も踏まえて、御説明いただきたいと思います。10分程度でよろしくお願いします。

○上原消費生活課長 おはようございます。埼玉県県民生活部消費生活課長の上原でございます。
 私の方から、埼玉県の法執行の状況につきまして御報告を申し上げたいと思います。
 資料4でございまして「消費者被害の防止に向けて(埼玉県の取組)」というペーパーでございます。
 私どもとしましては、消費者行政の最終的な大きな目的は、消費者被害の防止ということが大きな目的であると考えてございますので、基本的には、具体的にそういったトラブルを解決するための相談機能、更にはトラブルに遭わないための啓発機能、そして、安心して消費活動ができる、事業者間の公平の確保ができるという意味での事業者指導、その3つの分野を相互に関連付けて、被害防止をなるべく実現できるように努力をしているところでございます。
 この表の真ん中に県と市町村と囲ってございますが、県の組織体制につきましては、私の所管する消費生活課に事業者指導担当、これが現在、県警OB3名を含めまして12名を配置してございます。
 右側に消費生活支援センターとございますが、県南部の川口市に本所を置き、県内3か所の支所ということで、4か所にいわゆる消費生活センターを置き、そこで相談と啓発の事業を実施しているところでございます。市町村につきましては、県内の政令市でございます、さいたま市から唯一の村でございます東秩父村まで64市町村ということで、かなり機能にはばらつきがございます。
 そうは申しましても、標準的なことを考えてみますと、それぞれ単独の課として消費生活課のようなところを置いているところはほとんどございませんで、いわゆる産業振興系の課ないしは最近ですと、防犯、交通安全、環境分野などと一緒になっている生活安全課的なもの、そういったものの課の一係、一担当者というようなところに消費生活相談員が配置されている。一体としてイコールで結んでございますが、イメージとしますと、消費者行政の担当があって、消費生活センターというのは、消費生活相談員のことをいうようなイメージになってございます。
 埼玉県におきましては、特に相談機能につきまして県が中心となって実施してきた過去の経過がございますが、地方分権の時代でもございますし、身近な市町村に多く相談機能といいましょうか、チャンネルを多くした方がいいだろうという考えに基づきまして、私ども県が中心となって、市町村に消費生活センター、相談員の配置を長らく働きかけてまいりました。
 そういった経過もございまして、資料にございますように本年度の4月1日の段階では、64市町村すべてに相談窓口が整備されまして、市に関しましては、4月1日に33市が週4日以上の窓口を開設する消費生活センターであったわけでございますが、今年度に入りましても、いろいろお願いをいたし、5市に関しましては予算補正をしていただきまして、10月1日にセンター化しまして、残りの2つの市に関しましては、まだ議会の予算等の手続が済んでおりませんが、あくまで内諾ということではございますけれども、4月1日にはセンター化できるというお話をいただいております。町村に関しましては、もう少し増えるかもしれないという状況にございます。
 右下の方にございますように町村におきましては、一部共同設置のような取組もさせていただいております。ただ、私どもとしましては、窓口を開いてもその機能がなかなか十分ではないという状況もございますし、実績を積んでいかなければいけないということもございますので、左下の方にございますように福祉部門、自治振興部門との連携を呼び掛けまして、なるべく相談実績が市町村に上がるような県としての支援をしていきたいと考えてございます。
 更に県の取組としましては、右上の方にございますが、主任相談員を配置し、先ほど申し上げましたように市町村の相談員1人だけの配置ということもございますので、その相談員の相談員となるような機能ですとか県内の弁護士先生にも御協力をいただきまして「問題解決チーム」、これは主任相談員と専門家と県の職員による困難事例の解決チームを運用しております。
 更には、「基礎法令事例研究会」ということでございますが、埼玉弁護士会さんの御協力をいただきまして、ボランティアで先生方に平日の夜間、基礎的な法令の研修ないしは相談事例の中のかなり専門的な法律上の解釈、運用、トラブル対応につきまして、研究会を開催してございます。これにつきましては、県内すべての県と市町村の相談員及び消費生活に関わる職員の参加が可能となってございまして、私どもの事業者指導の職員もなるべく参加をさせていただくようにしております。
 こういった意味で真ん中に情報交換・支援とオレンジ色でPIO-NETと丸で表示してございますが、いろんな意味で県と市町村の窓口が交流し、情報交換をする体制の整備に努めているところでございます。
 これらにつきましては、右から矢印がございますが、すべて消費者行政活性化基金を活用させていただいておりまして、これにより相談窓口の設置、私ども主任相談員の人件費等増加する経費すべての面倒を見ていただいているという状況にございます。
 こうした情報が矢印で上に上がってございますけれども、すべて消費生活課の事業者指導担当の方に上がってくるという格好になってございます。
 あえて書いてございませんが、ここの中では年4回程度の県の消費生活課事業者指導担当とセンターの相談員、担当職員、県警本部の職員による連絡会議を開催してございますし、更には防犯会議と言っておりますが、センターの支所ごとに今、申し上げたメンバーに市町村の担当者も加わった連絡会議を開催してございます。
 ただ、こういう形式的な会議の運営だけではなくて、先ほど申し上げました「問題解決チーム」が言い方は悪いですけれども、拾ってきたような事例ないしは「基礎法令事例研究会」の中で相談員さん同士や県の職員とのいろんなコミュニケーション、そういった中でこういった情報が上がってくるというような、なるべく複数のそういう情報伝達のチャンネルの場を設けることを私どもはかなり意識してございまして、そういった意味でいろんな結果が出てきているのかなと思っております。
 例えば、平成22年度の処分案件、既に11月までに10事業者14件の業務停止等の処分を行っておりますが、そのうちの市町村の相談センターからの通報を端緒としたものが1件。県のセンターから情報が上がってきたものが2件。それから、埼玉県では大学と連携して、県内の大学、高校生の皆様方にいろんな情報提供をお願いする場を設けておるんですけれども、そこから上がってきた件が1件という格好で、端緒ということではございますが、上がってきた事例の中から事業者処分に結び付ける事例もございます。
 左わきの方に連携と書いてございますが、広域連携の部分でございます。これらにつきましては、単独で行うわけではなくて消費者庁、経済産業局の御指導の下に近隣都県との連携組織を運用してございます。具体的には、5都県ということでございますが、東京、神奈川、千葉、静岡、埼玉の5都県で連絡の会議を持ってございますし、また、埼玉県はその位置が恵まれているということでございますけれども、群馬、栃木、茨城の北関東3県の「悪質事業者対策会議」にも本年度から参加させていただきました。両方の都県をつなぐような合同の調査も実施しておるところでございます。
 私どもの広域連携につきましては、いろんな場での交流を深めているところでございますが、単なる情報交換というだけではなく、調査活動、主に実際の立入調査を合同で行い、必要に応じて合同で同時処分をするという取組をさせてもらっております。
 記憶にある限りでございますが、最近ではある1人の事業者さんに対しまして6都県で共同し、4都県に所在する7つの事業拠点に53人の体制で立入調査を実施するという取組をさせていただいているところでございます。
 こうした取組の成果といたしまして、いわゆる事業者処分がなされるわけでございますけれども、これらにつきましても記者発表の際にこれこれこういう業者をこういう理由で処分しましたという記者発表にとどまらず、例えばでございますが、最近の事例で申し上げますと、催眠商法等に関しましては、処分に合わせて消費生活センターの方からこういった手口に注意してくださいという記者発表を同時に行い、なるべく多くの県民の方々にそういう情報が届くような努力を行い、当然でございますけれども、併せて県内市町村すべての消費生活センター担当者にその旨を通知する、メーリングリストで簡単にできますので、そういった取組をさせていただいているところでございます。
 資料を1枚めくっていただきまして「事業者指導に係る体制強化と処分実績」ということでございます。先ほど、座長からも御指摘をいただきましたけれども、埼玉県におきます処分の実績でございますが、表の一番下に担当者数とございます。初めての処分、これは、指示処分でございましたけれども、これを行ったのが平成15年でございます。そのときには、担当者は2名でございましたが、その後、順次担当者を増員し、警察のOBの配置も含めまして、特に平成21年度には倍増、12人体制としたものですから、かなり実績も上がっております。
 やはり、それなりの職員数が確保されましたことは、調査なりいろんなときに対応力が高いということになっておりますので、できればこの体制を維持しつつ、事業者指導の強化に努めてまいりたいと考えておるところでございます。私からは、以上でございます。

○稲継座長 どうもありがとうございました。
 続きまして、香川県の県民活動・男女共同参画課県民生活グループの小林副主幹の方から、香川県における法執行の実態を御説明いただきたいと思います。なお、香川県におかれましても、他県と比べ、法執行の実績が増えているとお伺いしておりますので、その点の工夫も踏まえ、御説明いただきたいと思います。10分程度でよろしくお願いいたします。

○小林副主幹 香川県で法執行の担当をしております、小林と申します。よろしくお願いします。
 資料5に基づいて、説明させていただきます。香川県の執行実績を1でとりまとめております。執行実績は、以上のとおりなんですけれども、香川県の場合、業務停止命令の場合は、法律上、公表するということになっておりますが、条例によって指示以上は公表、情報提供するようにしております。
 また、指導の中でも悪質な案件、これは県民に知らせるべきだという案件については、指導の中でも一部ですけれども、公表するようにいたしております。
 2番目に香川県が他県と比べて実績が増えている理由ですけれども、自分のところの県ですので、理由はなかなか客観的にはわかりませんが、1つは、執行体制の強化だろうと思っています。平成17年ぐらいに香川県は、そういう対策を講じようという動きがあったようでして、悪質商法を取り締まるにしても、やはりノウハウ、警察的な執行能力が非常に必要になってきますので、平成18年から特商法の執行専従者、片手間ではそういうことはできないだろうと、執行に専従する職員を2名配置して、うち1名に現職の警察官を迎えました。そこで、事情聴取の取り方だとか立入検査の入り方、警察のやり方、ノウハウというのを取得したということであります。それは、平成18年、平成19年だけです。平成20年からは、行政職員が2名だけで、そのノウハウを引き継いで行っております。
 現在も課内に青少年担当グループで現職の警察官が1名在籍しておりますので、適宜相談できる体制もありますから、警察との連携も円滑にできている。こういう要素もあると思います。
 それと、これは私の個人的な意見なのですけれども、香川県の場合は、産業廃棄物、豊島の非常に大きい問題がありましたので、行政の不作為で県民に対して被害が広がったりするということを非常に恐れております。そういうこともありまして、上司の方から執行をとどまるようなことは言いません。悪質なものは、どんどん取り締まれという方針ですので、担当者としても非常にやりやすい。そういう環境が組織としてあるんだろうと思っております。
 それと4番目の市町村との連携でございますけれども、香川県の場合は日本一県土が狭い県でございます。人口も100万を最近切ったところでありますけれども、県の消費生活センターは5か所あります。高松市とあと郡部、小豆島にも1か所あるんですが、各センターに相談員が最低1人はいます。それと高松市に消費生活センターがございます。ですから、香川県の場合は、各市町に相談員がいなくても比較的ほかの県と比べれば、県レベルで相談員が配置できているのではないかと思っております。
 ただ、そうもいってはいられませんので、香川県の場合、市町とも連携して相談員は配置できませんけれども、平成21年度末からは、よろず相談も含めてですが、一応消費生活相談の窓口はつくっていただきました。適宜、専門的な相談になったら、県民センターの相談員に振るように日々連携はいたしております。
 香川県の場合は、早期摘発というのを心がけていますので、各県民センターについては、適宜相談があって、これは悪質だという業者のリストをメールで流して、もしこういった相談があれば、随時うちの県の方に情報をいただくようにということで、日々連携を取っております。
 5番目の複数県との協力の実態ですけれども、平成17年度に香川県は悪質商法に力を入れようということで、香川県が音頭を取って「四国4県悪質商法対策会議」を年1回開催するようにはいたしております。四国経済産業局や警察とも情報交換を行っているんですが、香川県だけが積極的でなかなかほかの県とは足並みがそろわない面もありまして、行政処分を同時に行った事例は今のところありません。年1回集まるのも、一応情報交換という程度のレベルでございます。
 最後に、7番で国に対する要望ですけれども、最近催眠商法というんですか、業者も法律というものをよくわかっていまして、全国を転々としています。香川県も今年3件やったのは、すべて催眠商法なのですが、手口はもちまきをするからとか、ただで商品を配るからと言って、お年寄りをまず集めるわけです。そこで、近々近くに店を出すから布団を今日は見てほしいのだということで集めるわけです。その中で温泉効果があるとか肩こりが治るとか言って、うまく1、2時間説法をして、「これ欲しい人」というと、お年寄りは思わず手を挙げてしまって、そこで20万円以上する布団を買わされるという被害が起こっています。これは、業者もわかっていますので、香川県で2、3か所回ったら、次の県に行くということなんですね。
 うちが摘発するときには、香川県にはいないわけなのですけれども、ここで香川県が何もしないと、こういった業者が野放しになりますので、摘発するようにいたしております。だから、香川県が摘発したときには、問題なくほかの県で同じようなことをやっている状態が続いているわけでして、こういう業者はどういうやり方をしても会社を変えたり、名前を変えたりしてやるんでしょうけれども、こういったことを取り締まるには、やはり県と国が合同で処分を行うというシステムも必要なのではないかと思っています。
 例えば、今のやり方ですと、香川県で事情聴取して、5件か10件集めたとした場合に国が入るとなったら、それは無になってしまうという、同じように国がまた事情聴取しなければ、法執行はできないという状況。
 しかし、消費者にとったら、事情聴取でそういう話をするのは、非常に負担なわけです。ですから、できたら同じ行政処分を行うのですから、県が得た情報を国が利用して法執行をするというシステムがあれば、もっと国と県が円滑に法執行もできるんではないか、広範囲に摘発ができるのではないかというのは、今、感じております。
 それと去年、特商法とか割販法が改正されて、ローン会社も立入検査できるようになりましたけれども、まだ実質特商法でローン会社に立入検査したことはないんですが、香川県の場合、香川県で特商法をやっている会社がローンも組んでいたといったときに、例えば、同時に立入検査をするとなったら、東京とか都市部に行かなければいけない。これは、事前調査も要りますから、なかなか国に協力とか立入検査にも協力いただかなければいけないのではないかなということも感じております。
 これは、まだ実績もないので、想像なんですけれども、そういったところもやはり国と県が共同してやるとか、そういったことも必要なのではないかと思っております。香川県からは、以上です。

○稲継座長 どうもありがとうございました。
 最後に事務局の方から、地方自治体による法執行の在り方に関する論点について御説明いただきます。よろしくお願いします。

○齋藤審議官 事務局から、資料6-1に基づきまして、論点について御説明いたします。これまでの御説明にもかなり表れていたかと思いますので、簡単な御説明とさせていただきます。
 まず、論点1でございますが「地方自治体における法執行の位置づけ」ということでございます。(1)に書いておりますのは、国全体として、この悪質商法等の被害の事案の大きさに比べて実績が全体として、まだまだ追い付いていないのではないか。
 国もあるいは地方も、双方が更に執行実績を上げていく必要があると思われますけれども、中でも地方で更に高めていく必要があるのではないか。と申しますのは(2)でございますように県ごとのばらつきが大きいということで、今日お越しいただきました埼玉県さんや香川県さんのように非常に実績を上げているところもございますが、そうでもないところもございますので、そういったところで更に実績を上げていく余地は大きいのではないかと思われます。
 (3)でございますけれども、更に地方におきましては、実態に応じた早期の対応でありますとか、あるいは条例による機動的な対応ということも可能でありますので、そういった面も含めて、地方の執行力を高めていく努力が必要ではないかと思いますし、その点について国としても更に支援をする必要があるのではないかと思われます。
 そういう意味で論点2でございますけれども、国としてどういう支援があり得るかということで、この点もこれまでの御説明でございましたが(1)に掲げておりますのは、運用基準の明示など法解釈の明確化、問い合わせの対応あるいは事例紹介などの情報提供、技術的な助言といった方面での支援というのは、1つあり得るだろうと思われます。
 また(2)で挙げておりますけれども、研修でありますとか実践的なノウハウの伝授、OJTといったような形での支援というのもあり得るかと思われます。
 (3)でございますけれども、執行関連の情報共有ということで、これも御紹介がありましたが、特商法、割販法の執行ネットでありますとか、あるいは国民生活センターによる情報提供なども行われております。また、御説明にありましたけれども、景表法についてもこれからそういうものを考えていくということでございますが、そういった情報共有の面での支援があり得るかと思います。
 (4)でございますけれども、これはいろいろなレベルでの連携を強めていくことが有効である。そのための連携の1つの場づくりということで、ブロック会議等を開いていくということも既に行われておりますけれども、こういったものも非常に考えていく必要があるだろうと思います。
 (5)でございますけれども、個別の法律によりまして、地方と国の権限の分配の仕方が必ずしも同じではない。ある法律では、国と地方とほぼ同等の権限が与えられているものもございますけれども、地方の方が国に比べると弱い権限にとどまっているものもございますので、その辺りで地方に更に権限を委譲していくという方向性も考える必要があるのではないかと思われます。
 論点3でございますが、地方としてどういう努力をしていっていただくのが望まれるかということでありますけれども(1)にありますように、まずは、やはり体制を整備するということで、係とか部署とか専門のところをつくっていただいて、適切な人員配置を図る。あるいはその中で警察との連携も図っていく必要があるのではないかと思われます。
 また(2)でございますけれども、いろんな事案を選び出す際にいろんな情報を集めていくということで、相談窓口からの情報でありますとか庁内の他部門からの情報。あるいは県下の市町村からの情報、そういったものを集めて執行につなげていくということが必要ではないだろうかと思います。
 (3)でございますが、他県との協力体制。こういったものについても、埼玉県さんの御説明にもございましたけれども、いろいろな場での協力が行われているようでございますが、こういった面での協力を更に推し進めていく必要があるのではないかと思われます。
 (4)でございますが、国の法律の執行に加えて、条例によってこれも御紹介がありましたけれども、公表という形で早期に対応しているという例もございますので、こういった条例の活用ということも今後考えていく必要があるのではないかと思われます。
 資料6-2と6-3は飛ばさせていただきまして、お時間のあるときにご覧いただければと思いますが、参考資料2というのがございまして、タイトルは「『地方消費者行政に関する特別世論調査』の概要」という紙が付いてございます。
 内閣府の政府広報の部署が世論調査を定期的に行っておりますけれども、その定期的な世論調査に乗る形で、地方消費者行政について特別の調査をしていただきました。この資料の後ろに調査概要というところがございまして、書いてございますけれども、調査期間は平成22年10月14日~24日で調査員による個別面接聴取という方式で行っております。サンプルは約2,000というところでございます。
 幾つか興味深い結果が出ておりますけれども、まず、1つ目は、国民生活センター、消費生活センターの認知度でございますが、棒グラフにございますように平成20年度の調査との対比で申し上げますと、消費生活センターにつきましては、平成20年度の調査では70.8%の認知度でございましたけれども、今回の調査では81.7%。7割程度の認知度から8割程度、1割程度上がっているということがございます。その一方で国民生活センターにつきましては、その認知度はほぼ横ばいでございます。
 1ページおめくりいただきますと、消費生活相談窓口の利用状況についての設問もございまして、窓口を利用した人というのは、この世論調査の2,000サンプルで利用した人というのは、約1割程度、200人ちょっとでございます。利用したことのある人が満足したかどうかということにつきましては、下のグラフにございますように、「満足した」が43%、「どちらかといえば満足した」が31.4%。合わせますと、74.4%で4分の3の人が「満足した」と答えておられます。
 「満足しなかった」のは、残りの4分の1となりますけれども、満足しなかった理由につきましては、3ページをご覧いただきますと、大きな理由は2つありまして、1つは「相談の受付から助言にとどまり、あっせん、紛争解決まで責任を持って対応していない」。もう一つは「対応に専門性がないなど、十分な対応をしてもらえない」といったようなところが、満足しなかった理由として大きなものでございます。
 4ページをご覧いただきまして「消費者問題に対する地方公共団体の施策に望むこと」は何かということでございますが、これで一番多い回答が得られましたのは、このグラフの一番上にありますように「消費生活センターの新設など、身近な場所に消費者問題について相談できるところを作る」というものでございました。
 最後に5ページ、「消費者問題関する啓発資料の認知度」でございますが、これは「見ている」という比率が66.8%ということで7割近くの人がそういったものに注意を払って見ているという回答が得られたところでございます。
 駆け足でございましたが、事務局からは以上でございます。

○稲継座長 ありがとうございました。一連の御説明が終わりました。
 それでは、今の御説明に対しまして御質問や御意見のある方は、御発言をお願いしたいと思います。なお、なるべく多くの方に御発言いただきたいと思いますので、御発言は簡潔にお願いいたします。
 では、圓山委員お願いします。次は、矢野委員お願いします。

○圓山委員 よろしくお願いします。
 埼玉県さん、香川県さんに、お尋ねしたいことがあるのですが、それは、後ほどさせていただきます。
 まず、先ほど事務局が御説明された論点につきまして、やや論点がずれているのではないかとも思いますので、それも含めて私の意見を述べたいと思います。資料6-1の論点です。まず、論点1の(1)の4行目の「地方の実績のウェイトが大きくなってきていることに鑑みれば」という点は、例えば特定商取引法の処分件数が、見掛け上は都道府県の件数が多いということを指していると思いますけれども、それは数字のマジックでして、違うと私は思います。
 資料8に私のペーパーがございますので、それを書いております。資料8の1の(2)です。特定商取引法の都道府県の行政処分の件数は、処分の効果がその都道府県の県内にとどまってしまうわけです。ですから、47都道府県が計47件処分をして、初めて国の1件の行政処分に匹敵するということになります。
 そう考えると、先ほど消費者庁ご説明の処分件数の推移表(資料1)を見ますと、国の業務停止命令は161件されている。都道府県の業務停止命令が313件されている。けれども、大ざっぱにこれを47で割ると、都道府県の業務停止命令は国の6.7件に相当すると思われます。ですから、国は既に都道府県の行政処分の効果の24倍やっているということですので、ここから考えると、やはり国の執行を強化していくということが私の基本的な考え方です。
 それと同じことが資料8の1の(3)ですが、ある県が行政処分した事業者は、他の県でも既に苦情を発生させています。ある県が処分すると、別の県に転進するという考え方は間違いで、全国的に苦情が発生している業者について、1つか2つの県が処分をして、ほかの県については効果が及ばない、お構いなしというのが実態です。
 それはイメージ的には分かっていましたが、データが必要だと思いましたので、委員の皆さんに配られている別紙の「取扱注意」というデータを出してもらいました。これは、事務局を通じて国民生活センターにお願いして、都道府県が今年の4月から9月にかけて、行政処分を行った事業者が29社あるので、業者名、訪問販売か電話勧誘販売かという業態、商品名、処分した県が公表されていますので、それをお渡しして、データとしては事業者名は匿名で結構ですので、作ってくださいとお願いしたものです。
 すぐに「はい、やります」とはおっしゃっていただけず、結果的に「公表不可」の資料となってしまいました。これを見ますと、例えばA社は、最近3年間を通じて国内全体では150件を超える苦情件数が発生していますが、行政処分を行ってた1つの県か複数の県かの範囲内では118件です。この行政処分はこの118件に及ぶわけですけれども、ほかの地域で発生している48件には行政処分が及ばない、つまり「取りこぼし」が発生しています。
 次のB社です。B社は170件苦情件数がある中で行政処分を行った県の苦情件数は3件です。残りの167件発生している地域には、行政処分の効果が及ばないということになってしまいます。
 そういう目で見ていきますと、今の特商法の権限分担、先ほど消費者庁から御説明のあった、県域の事業者は都道府県が処分し、全国的な事業者は国が処分をするという分担に即して見ていくと、ぴったり合うのは3ページ目のM社しかないのです。M社は、行政処分を実施した県内で19件発生しており、それ以外の地域の苦情はなし、です。その県内だけで営業しているので、その都道府県が処分をすると、それがぴたりと収まるということになると思います。
 M社以外は、「取りこぼし」やB社のような状況。B社の事例などは私は国が処分したら一番いいと思います。都道府県の側からは苦労して処分したのだということになりますが、国民の側から見ると、都道府県がすごく苦労した割には全国に効果が及ばない。きつい言い方でいうと、処分の失敗事例だと思います。こういうふうに見ていくと、今の特定商取引法の権限分担の中で、いくら都道府県にもっと件数を上げろと働きかけたとしても、大変むなしい話だと思います。
 もう一度、資料8に戻ると、1の(4)で特定商取引法の行政権限の分担が非常に特異な仕組になっています。「一般的な行政法は」と書いてあるのは、例えばさきほど消費者庁から御説明があった中ではJAS法が該当しますけれども、県域内で営業する業者は都道府県、複数の都道府県が営業する事業者は国がというのがJAS法の権限分担です。権限分担が明確であって、責任を持つ行政庁は1つですので、サボると行政の不作為ということになります。
 しかし、特定商取引法は、ここに書いたように、その事業者が営業活動をしているすべての都道府県の行政庁に処分権限がありますので、いってみれば責任の押し付け合いが発生していると思われます。
 ですから、私の意見としましては、次の(5)の特定商取引法の権限分担をJAS法並みに変更する。つまり、1つの都道府県で営業する事業者はその都道府県が処分権限を持ち、複数の都道府県で営業する事業者は国が処分権限を持つ。これは、今の特定商取引法の施行令の第19条を改正して、権限の再編成を行う。その結果、国が処分をやるべき事例がほとんどになってくると思いますので、是非そこは国、消費者庁が執行力を強化していただきたいと思います。
 そう考えてみますと、もう一度資料6の論点に戻りますが、論点2や3のあたりでは、「法執行についての国の執行力の向上、強化はどうすればいいのか。」「国がやるべきことを都道府県が処分している現状について、自治体の負担を軽減するためにはどうしたらいいのか」ということも、是非論点に含めて御議論をいただきたいと思います。以上です。

○稲継座長 今の御意見に対して、何か畑野課長の方からレスポンスはありますでしょうか。

○畑野取引・物価対策課長 御発言の機会をいただきまして、ありがとうございます。
 今、圓山先生の方から大変手厳しい御指摘を頂戴いたしまして、国としての執行の強化ということでは、私も全くその意味では同じ考えでございます。これからも努力していきたいと思っております。
 必ずしも十分な答えにならないかと思いますが、説明の中で1つ省かせていただいた話題で、今の圓山先生の問題意識にも関わる話で申し上げますと、資料1に戻っていただきまして、4ページ。圓山先生から見ると、これだけではとても十分ではないと、かえっておしかりを受けるかもしれませんが、4ページで「特定商取引法の執行体制強化に向けた取組」で、定員増をかなり平成23年度に向けてさせていただいているということでございます。人数的に申し上げますと、私ども消費者庁の方では15名。経済産業局でも20名増。それから、今、私どもの課に20名弱おりますが、法執行の補助職員、具体的には消費生活アドバイザー等の資格を持った優秀な職員でございますが、これにつきましても8名増やしたいと定員増の要求をさせていただいているところでございます。
 これは個人的な感想になりますが、実際に執行をやっている実務からいたしますと、やはりそれに携わる人が増えれば、ある程度処分といったような件数も増えるのではないか。先ほど埼玉県、香川県の方でも同様の趣旨の御意見があったかと思いますが、やはり処分の強化の1つの有力な方策としては、人員の増加を求めていくといったことで、こういった取組をさせていただいているということでございます。
 もう一点だけ、せっかくの機会でございますので、お話をさせていただきますと、圓山先生の資料の「(5)行政権限の『枠組みの再編成』が必要」で、これは「地方消費者行政専門調査会」の方で御議論をこのままお続けいただければよろしいかと思っていますが、実際何が動いているかということで御紹介させていただきますと、冒頭の私のプレゼンでも申し上げましたが、1つの都道府県で営業する事業者。これは、都道府県が処分権限を持つ。全国レベルで被害に及んでいるといったケースについては、国が処分権限を持つ。全国的というのは、複数の都道府県ということを含むわけでございますが、いわば圓山先生が御指摘されたマル1とマル2の間の形というと語弊があるかもしれませんが、何が行われているかというと、複数の都道府県で連携して処分に向けた動きをするというところで効果を上げるというのがファクトとしてはあるかと思います。
 今日、御説明から省かせていただきましたが、たまたまいい事例ということで御紹介させていただきますが、資料1の7ページ。これは、ユウキニッショーという訪問販売の会社を近畿の6府県で同時に処分をしたということでございます。これは奈良県の資料でございますが、奈良県のほかに大阪府、京都府、滋賀県、兵庫県、和歌山県、この6府県が合同で処分をしたという例でございまして、こういった形で都道府県が連携をして、また意見交換にとどまらず、こういった同時の行政処分といった取組も、今、進んでいる。こういった事実は、1つの評価の材料としては、考えておく必要があるのではないかと思います。
 それから、ついででございますが、先ほど香川県の方から貴重な御提言を賜りました。消費者庁、国と各都道府県の合同での処分についても知恵を働かせるべきではないか。ファクトとして申し上げますが、今年の2月に語学教室で、いわゆる特定継続的役務ということで英会話学校を処分した際、消費者庁と東京都がいわば合同で同時に処分をしました。こういった例が1つ上がっていることを御紹介させていただきます。ありがとうございました。

○稲継座長 ありがとうございました。関連してですか。

○国府委員 はい。

○稲継座長 では、国府委員お願いします。

○国府委員 圓山委員から御説明のあった枠組の再編成という論点に関連して、補強して意見を述べたいと思います。
 私も圓山先生の御意見に賛成の立場なのですが、我々は法執行のこの議論に関連して、地方の法執行体制を国がどう支援するかという観点からの議論をやりがちなのですけれども、果たしてそういう議論が基本でいいのだろうかと思います。香川にしても埼玉にしても今、言われていたのは、やはり法執行に携わる職員の数を増やすことによって法執行は実現できていくということで、まさに人を増やさなければならないという問題があるわけです。
 ところが、従来、地方自治体の職員を増やすのに国が何か特別な補助金なり交付金で予算措置を講じることはできないということになれば、実際上はなかなか法執行強化のための国からの支援というのは、難しいという問題があったかと思うんです。
 私は、複数の都道府県にまたがるような特商法違反の事業者があるという場合は、やはり国が本来処分するのが基本なのだということをきちっと確認しておくことが必要ではないかと思うのです。先ほど圓山先生が言われたように、それがあたかも都道府県が処分するのが基本であるかのような引っくり返ったところからの議論になっているのではないかと思います。
 国が複数都道府県にまたがる事案について処分するということを基本に据えた上で、例えば都道府県がやる場合に国がどう協力するのか。もしくは国から都道府県にその事務を委託する、かつてでいえば機関委任事務であったわけですし、例えば法定受託事務みたいな考え方でやはり国の事務なんだということから出発するべきだろうと思っております。
 資料10で私の意見を用意しておりますが、現場での感覚でいうと相談件数の約2%が特商法の被疑事案だと言われているんです。全国で仮に100万件あると、2万件ぐらい被疑事案がある。それから比べると、実際法執行がやられている事案というのは、1けたも2けたも少ないという現状です。
 この現状をやはり大きく変えていくためには、先ほど述べたような国の事務なんだということからスタートするべきことが必要であると思います。そうすると、国、東京にある消費者庁だけではできないわけで、各地にある支分局の執行体制を強化することも必要になります。景表法の場合には、各支分局に執行権限もないわけですから、景表法関係でもやはり支分局に執行権限を与えるといったことも検討していくべきではないかということで問題提起したいと思います。

○稲継座長 ありがとうございます。では、矢野委員お願いします。

○矢野委員 2点ほど質問させていただきます。
 1点目は、圓山先生の御意見と視点は同じですが、先ほど御説明いただいた特商法取引法の執行についての資料1の1ページにいわゆる国と都道府県との役割分担のことがありましたけれども、先ほど埼玉県からも御説明いただいたように広域連携をした上での執行が今、盛んに取り組まれております。
 私も東京都から委員会等でその都度そういった情報をもらっているわけですが、いわゆる同日同時刻執行ということで非常に効果的な執行が及ばされて、消費者にとっては非常に助かる部分ですけれども、1ページのこの役割分担の下で間にあるのが広域連携だということですが、今後、先ほど御説明いただいた執行ネット等で情報交換がより進めば、更に広域連携が進み、もしくはやはり国でもっと対応すべき事項が増えるのはないかと思っておりますけれども、この辺の役割分担のとらえ方、すみ分けについてはどのように考えられているのかお聞きしたいのと、併せて香川県さんの方からは国と県が合同で法執行できるシステムづくりが必要ではないかという御要望が出ておりましたが、埼玉県さんの方ではそのことについてはどういうふうに御要望をお持ちなのかを1つ目の質問で併せてお聴きしたいと思います。
 2つ目ですが、執行件数に非常にばらつきがあるということで、ばらつきの原因が本日の論点2の国の支援策や論点3の地方の努力方向のところに当たるのかなと思いますけれども、国の支援策では、1つは体制の整備。そして、情報提供。それから、職員の資質向上等。大きく3つぐらい。あとは協力体制と出ていますが、それぞれの担当でばらつきがあることの原因についてどのようにとらえられていらっしゃるのか、地方協力課も含めて少しお考えがありましたら、お聴きしたいと思います。以上です。

○稲継座長 1点目は、まず、畑野課長の方からお答えいただけますか。その後に埼玉県さんの状況を教えていただくということになりますかね。

○畑野取引・物価対策課長 1点目の質問は、もうこの会議の場で同じことを何度か繰り返しているつもりですが、確認までに申し上げますと、先ほど圓山先生から御指摘があったように、まず、県域レベルでの被害ということであれば、都道府県知事の方で御対応いただくのが基本かと思います。それから、複数の県、より広がりが大きいといった事案につきましては、国が対応するのが基本かなと思います。これが法律ないしは特定商取引法の施行令での考え方ではないかと思います。
 先ほど申し上げましたように全国的に被害が及んでいるというケースと県域レベルでとどまっているというケースで確かに間に複数の県、2つとか5つとか、こういった複数の県にとどまっているようなところをどうするかという論点かと思いますが、今、何が行われているかというと、埼玉県あるいは香川県の御報告にありましたように、あるいは先ほど私の方で御紹介させていただきましたように、こういったところについては、複数の県において共同で処分をするといったパターンが出来上がりつつあるのかなということだと思います。
 したがいまして、少しラフに申し上げれば、全国的に被害が及んでおり、消費者庁、経済産業局が取り組むケース、県のレベルで県が中心となって処分をするケース、その間をつなぐという1つのパターンとして、複数の県で共同の処分をするケース、あるいは先ほど東京都の例で御紹介いたしましたが、消費者庁あるいは県の方で協力をして処分をするケース。こういったいろいろなバリーエーションが出てきているといったところが事実関係かなと考えております。

○稲継座長 よろしいですか。

○矢野委員 事実としては。

○稲継座長 では、埼玉県さんよろしくお願いします。

○上原消費生活課長 埼玉県でございます。
 まず、役割分担ということで1つ押さえておきたいのは、平成22年度、今年、私どもで業務停止の処分等を行った14案件の中に埼玉県内のみで営業している事業者は1つもございません。過去の資料をまだ全部確認はしてございませんが、恐らく処分までいった事例ですと、埼玉県内だけで営業しているような事業者さんというのは、ほとんどないのではないかなと考えております。最低でも近隣の都県にまたがるような形でございます。
 また、通信販売等でございますと、皆様御承知のとおり、今はインターネットですぐ通販ができますので、埼玉県内で被害が生じた事業者さんについては当然自動的に全国でお仕事を通販でほとんどやられているというのが実態ではないかと考えております。
 あと、私どもの取組の効果としまして、1つ御紹介申し上げたいのは、県が処分しましたので、県だけの範囲でしか業務停止の効果はないんですが、ある事業者さんについてやはり公表という中で誇大広告だったわけですけれども、大手の新聞社や今まで広告を出していた様々な媒体から広告の掲載を断られたということで、事実上、全国的な効果があった事例もございます。
 私どもの国との連携という部分での意見ということでございますが、常日ごろから消費者庁さんからいろんな意味での御指導なり御教示なりを実務レベルでさせていただいておりまして、その他、必要なたびに必要なことを申し上げているつもりでございます。やはり正直なところ、特に通販関係ですとか、かなり厳しい調査活動が必要な案件、法の適用を私どもが一生懸命考え、調査を積み重ねてもぎりぎりになるような案件、そういった問題に関しましては、もう一歩御助力をいただければなというお願いをしているところでございます。
 国と連携してできるかどうかということに関しましては、常日ごろからそういう情報交換をさせていただいておりますし、経産局さんにも御協力いただいておりますので、何らかの工夫は可能なのではないかなと思っております。以上でございます。

○稲継座長 ありがとうございました。2点目はどなたにお答えいただきたいということですか。

○矢野委員 地方協力課も含めてと申しましたが、それぞれの執行の部署の先ほど御説明いただいたところで、それぞれみんなばらつきがあるわけですから、その原因を今日の論点に挙げられている以外にまだあるのであれば、是非お聴かせ願いたいと思います。

○稲継座長 では、多岐にわたるので、短時間でお願いします。

○赤井地方協力課課長補佐 地方協力課でございますけれども、地方公共団体の皆様とお話していると、やはり執行のばらつきの原因ということですと、人の配置というのを皆さんおっしゃいます。執行の少ない県ですと、専任の担当者さんが配置されていない。場合によっては、ほかの業務も兼務されているとか、そういった事例もございますので、そこが一番大きいのではないかと思います。
 加えまして人に関連するのですけれども、執行を実施する際のノウハウの蓄積というのも原因として挙げられていることが多いように見受けられます。例えば、今年、特商法ですと、和歌山県さんで初めて行政処分を実施された担当者のお話を伺っていると、警察のOBの方を執行担当に配置して、そのノウハウを生かして実施されたということも聞いておりますので、これも人に関連するのですけれども、ノウハウの蓄積というのも大きな原因と現場の方からは多ございます。以上でございます。

○稲継座長 ありがとうございました。全員に聴きますか。

○矢野委員 いや、もしあれば。

○稲継座長 ほかの課で、もしあれば。よろしいですか。では、斎藤委員お願いします。

○斎藤委員 最初に埼玉県さんと香川県にそれぞれ質問がありまして、その後で論点についての意見を手短に申し述べたいと思います。
 質問は、2つでして、1つは今までの議論と少し関連しますが、権限として今、持っておられる例えば指示とか指導で扱っておられる事象が解決したというのは、目の子でどれぐらいでしょうか。数量は難しいと思うんですが、それではだめでやはり処分までいかなければだめだとか、あるいは国の方にいなければだめだということがあるのかどうかです。
 それと関連して、個別法によって都道府県の権限が強い、弱いとでこぼこがある。これは論点でも指摘されていますが、県単独でそういった現行法よりも強い権限が必要とお考えになるかどうかということをお教えいただきたい。これが1つです。
 もう一つは、論点で条例の話が出ていますので、まず、香川県さんの方は特商法以外の問題について県消費生活条例で対応なさっているというのがありました。これは、横出し条例ということになろうと思いますが、そこは法律との関係は、消費生活条例で国の法令以外の対象なりそういうものをやることについては、それが独自にできるんだというお考えでおやりになっていると思うんですけれども、その場合は、条例違反の行為については、これもこちらで調べればいいのかもしれませんが、どのような実効性確保手段を持っておられるのか。それで、事案として解決しておられる感覚があるかどうかということですね。
 埼玉県さんの方は、特段条例についての指摘がなかったと思いますので、これは国の方の法律の執行というのできっちり対応するのが大事だと、そういうお考えなのかどうかという2点をお願いします。

○稲継座長 2点の質問をそれぞれ香川県さん、埼玉県さんにお答えいただきたいと思います。
 では、埼玉県さんの方からよろしくお願いします。

○上原消費生活課長 埼玉県でございます。
 ただいまの御質問の指示、指導で完結した事例があるかどうかというお話でございますが、正確に統計をきちんととっているわけではございませんし、完結したかどうかというとらえ方が少し難しいのかなと考えてございます。
 実際の事例としましては、いわゆる行政指導を過去に行ったにもかかわらず、その後の動向を注意していたところ、改善されずに処分に至った事例というものはございますし、実際の運用で本来はもしかしたら処分まで持っていければいいのかもしれませんが、処分に至るまでの調査の期間、困難性、いろいろとその間における消費者被害の発生等を考慮した上で、指導を先行させるという事例もございます。
 次々商法というような事例がございましたけれども、一部の地域ではかなり細かいところまで車で商品を持ってきてもらうので、非常に助かるという事業者さんの場合でも県内において高齢者をねらって次々販売をするというセンターからの連絡等があった場合に、なかなか被害者の方の聴取が難しいといういろんな事情と、放置しておく間にどんどんいってしまうのではないかというケースもあって、指導を先行させるということもございますので、指導と行政処分との関係につきましては、諸般の事情を考慮しながら、私どもの判断でさせていただいているという状況がございます。
 特に今年度からは、指導、処分した案件につきまして、その後のフォローをなるべくきちんとしようという取組をしてございます。実際には、よくお話が出ますけれども、処分をした業者でございますが、名前を変えて似たような仕事をほかでしているという情報提供があったりする場合もございますので、そういった場合につきましては、速やかに現地確認等を行うなど、一生懸命努めているところでございます。論理的に指導があったから、次にどう動くという関係には必ずしもないということを御理解いただければということでございます。
 強い権限が必要かどうかという御質問でございますが、私どもが一番危惧しておりますのは、立入調査の際、実際にはこれは任意の調査でございまして、強制権限がないだけではなく、私どもが実際に行う場合の職員の身を守るすべすらないという現実がございますので、可能かどうか非常に難しい問題ではございますけれども、任意の調査でございますから、立入りを拒否されればそれまでということでございますので、そういった部分については何らかの補強的な手段がないのかなということを常日ごろから考えているところでございます。
 3点目の条例と法律との関係でございますが、埼玉県の条例はすべて改善勧告にとどまっておりまして、法律上は行政指導の一環ととらえてございます。
 ただ、実際の実務といたしましては、先ほど申し上げました立入調査を拒否された場合のことを想定いたしまして、処分を前提として動く場合には、特定商取引法と条例を同時に適用する形で動いています。と申しますのは、特定商取引法は業務停止処分をした場合にのみ公表をしなければならないという規定でございまして、それ以外の事態に公表することは法律上できないという格好になっております。勿論、消費者庁さんからの御指導はございますけれども、立入調査で拒否されてしまいますと、次がないということになります。
 埼玉県の場合には、条例において立入調査、報告徴収等において拒否された場合には、その事実を公表できるという規定を設けておりますので、そういった部分も含めまして条例と法律を同時に適用して実務を進めているという状況でございます。以上でございます。

○稲継座長 ありがとうございました。では、香川県さんお願いします。

○小林副主幹 香川県については、指示と業務停止というのは国の基準に基づいてやっていますので、余り区別はしていません。問題は、指導にとどめるか指示以上にするか。香川県の場合は、指示以上は条例に基づいて、国の法律上は業務停止以上が公表ですけれども、香川県の場合、指示は公表していますので、指導にとどめるか指示にとどめるか、そこが非常にポイントになります。
 過去に指導したにもかかわらず、それ以上またやったというのは1件だけです。あとの業者については、当然指導でいけるだろう、改善できるだろうということで指導にとどめているので、過去にそれを守っていないのは1件だけです。
 それと強い権限というのは、法の効果の範囲を広げるということでしょうか。

○斎藤委員 今日、取り扱っている個別法の中には、処分権限が都道府県にないものもありますね。指示までというような。そういうものについては、むしろ業務停止命令というものまでを県としてやりたいというお考えがあるか。あるいは現在、処分というのがある場合に更に強い処分であるとか、先ほど埼玉県さんのおっしゃった立入調査の権限をもっと強化してほしいとか、そういうことがあるかどうかということです。

○小林副主幹 実務上、今のところで必要性があるというのは、感じていないです。というのは、訪問販売の場合はほとんど物的証拠が出てくることはないんです。ほとんどは消費者の声で証拠固めはする、立入検査でマニュアルが出てきたりすることは、ほとんどないです。ですから、今の権限で十分やれるのではないかと思っています。
 それと条例ですか。香川県の場合は、特定商取引法のように販売類型を設けていないんです。商行為に基づいて特商法と同じような迷惑行為とかいろんなことをした場合に罰するということになっていまして、罰則の効果という意味では、指導、勧告とひどい場合は、県民にその情報を知らせるということですね。そういうことです。

○稲継座長 御意見ということでしたが。

○斎藤委員 それでは、手短に申します。
 まず、最初は論点2の(5)ですね。これは、先ほどから各委員、圓山委員、国府委員から御意見が既にありました。ここでは、概括的に強化するべきではないかという形で示されておりますが、やはり法律によっては、先ほどの特商法のように広域被害といったものについて県単動で最後までやって実効的である、そういう保障は余りない。勿論、現場の労力を費やしてやっておられるわけですから、むしろ法律によって強化すべきものもあれば、むしろ国の方の権限を強化すべきものもあると、もう少し分けて考えるべきだと思います。
 ですから、国の方の処分権限なりを強化した上での話ですね。都道府県の場合は、むしろより現状でできることのソフトな連携をするということではないかと思います。
 ただ、国府委員が国の事務なのだ、国を強化すると言われた中で法定受託事務とか機関委任事務と言及されましたが、それは国の事務だから知事に委任するとか、そうすると、出先機関的にまた地方を使おうという話が出てきかねないので、国として強化するのであれば、それは自前でやっていただきたいというのが私の見解です。地方を出先として使うのはやめていただきたいということです。
 それから、今、条例の話を両県から伺いました。これは、論点1の(3)と論点3の(4)だと考えます。これは、自主条例でいろいろおやりになっていることは、より進めていただくべきである。では、国は何をするべきかというと、邪魔をしないでいただきたいということです。
 ですから、今、出た例でいえば、行政指導についての公表等については、国としてもそれはできるんだという見解を例えば研究会で表明するということはあり得るかと思います。ただ、それを個別の法律でこういうことはできる、ああいうことはできると書くと、それ以外はできないのかということになりますから、これはむしろ技術的助言等によって自主条例でそれぞれの工夫でおやりなっていることは、できるという解釈を示すことは適切なことではないかと考えます。
 勿論、行政指導に対する公表についていろいろ手続をとるとか、そういう権利保護の関係の工夫というのは必要だとは考えますけれども。
 最後に論点3の(1)で体制整備が重要であると、職員の数とかそういうのを挙げておられますが、前回までの私の意見と一貫しますけれども、それは自治体ごとで工夫しておやりになることであって、国の側でこういう組織を置けということを法律で書く、必置規制ですね、それから、こういう職員を置きなさいというのは、ずっと分権改革でそういうことはやめた方がむしろ自治体の創意工夫を生かせるという方向になっていますから、論点3の(1)について何か事務局でお考えになりたいというのであれば、せいぜい技術的助言ということではないかと考えます。以上です。

○稲継座長 ありがとうございます。では、山口委員どうぞ。

○山口委員 今までの議論と少し違うかもしれないんですが、権限どうこうはともかくとして、景品表示の分野でもあるいは食品表示の分野でも生活に一番近いところにあるのは、県あるいは市の消費生活センターだと思うのです。
 つまり、食品表示がおかしいとかあるいは景品表示、その商品の表示がおかしいとか、それは特商法のみならず生活の一番近いところが一番よくビビットな情報が入るのではないかと思うんです。
 そういう観点からしますと、この3つの法律はいずれも所掌が経産省だったり農水省だったりあるいは公取委だったりするから、立て付けがばらばらになっていますけれども、ここら辺を整備して、地方も国もそれなりにそういう処分権限を持つ。それでお互いに情報交換しながら、効果的な執行をできるようにするという立て付けというのは、あり得ないのでしょうか。
 本来、国がやるべきなのだから、地方は情報提供と指導か何かだけという、そういうことではなくて一番地方に情報が集まる、そこをもう少し情報も人も充実したうえで、国との連携をもっと強化して。それこそ農水省には食品表示で行政管理庁からもっとしっかりやれと、勧告が出ているような、実際に手足になる人たちが地方局には千何百人もいるわけです。そういう人たちがもっと積極的に動くような体制を提案していくというようなことはないんでしょうか。

○稲継座長 これは、当然。

○山口委員 圓山先生でも斎藤先生でも、どなたかにそこら辺の現場感覚との関係でどうなのかということは、どうなのでしょうか。

○稲継座長 では、斎藤委員お願いします。

○斎藤委員 そこは、私も地方に撤退しろと言っているわけではなくて、例えば圓山先生がおっしゃるように都道府県で完結するような事案については、処分まで都道府県がやるというのが方向としてあろうかと思うのです。
 ただ、広域の事案の端緒等についての情報が市町村や都道府県にあるというのは確かですが、それが国の方のもっと強力な全国的な処分権限を持っているところにきちんと伝わるようにするというのは、重要だと思います。
 それから、それを受け止める側の国の機関がそれに対して何かレスポンスをするべきであると思います。だから、むしろ国の方の行政機関に関する義務付け的なことは、今よりは考えなければならないことだと私も考えます。
 ただ、広域的な対応については、分権改革の委員会の勧告等で都道府県の事務の域外執行とか域外適用ということも考えるべきだというのがありましたが、それは日本の行政の現状で考えるとなかなか難しいですね。むしろ隣の県と協力して、同じような業者がいるのであれば、両方で情報共有を前提にして、その処分を打つといった手段の方がまだ実際的ではないかと考える次第です。ですから、それと国との情報の伝達なりそれに対する国のレスポンスを強化するべきだということではないかと思います。

○稲継座長 ありがとうございました。圓山委員のお名前も出ていました。

○圓山委員 消費者相談は、確かに市町村や都道府県の消費生活センターに入るのですけれども、そこに入ってくる相談は、ほとんどが県外の業者が全国的に流通させている製品や、県外業者が訪問販売に来ている問題ですので、それを地方自治体でやれというのは、出発点から少しおかしいのではないかと思います。
 それから、先ほどの消費者庁の各課の御説明にあったように、執行人員を今後どんどん強化されていく方向です。国では、それがあり得ます。地方自治体は、もう職員が増えることはなく減る一方で、何とか減少を止めるのに苦労しているということになると、地方自治体頑張れということだけ言っていても、しりすぼみになります。それよりは消費者庁の人員強化を支持して、もっと強化してくださいと各方面に働きかけをする方向がいいと思います。
 もう一つ、埼玉県さんがおっしゃっているように処分を打つのには大変な調査をして、業者から不当処分だと訴訟されないような証拠固めなど何か月にもわたる職員の努力が要るわけです。その処分の結果がこの「公表不可資料」のような、我が県では処分したけれども、ほかの県ではノウノウと営業していることになると、処分をしている都道府県自体にとってもむなしい。せっかくやるんだったら、消費者庁が全国ピシッとやってほしい。そのためには、都道府県はいろんな面で協力しますというスタンスの方が現場のお気持ちがあるのではないかなと思います。
 もう一つ、消費者庁に事前に質問を出した話です。特商法の処分に対して事業者から差止訴訟や取消訴訟が起こっている。消費者庁が訴えられた分については資料を出してもらいましたけれども、都道府県に対して起こされたものについては把握なさっていない。私が聞いた範囲ではある県が処分したのに対して、取消訴訟を起こされて、それに懲りたのかわかりませんけれども、その後ぴったりと行政処分をやめてしまっているという県も発生しております。
 このような窮地に立たされたときに消費者庁から何かしら、取消訴訟に対して県が応訴するときに消費者庁が技術的な助言を与えるなどの御協力も要るかなと思います。

○稲継座長 ありがとうございました。では、馬場委員お願いします。

○馬場委員 JAS法とか景表法というのは、どうしてもそれぞれの商品に関わる問題だと思います。商品ですから、つくっている事業者の範囲が全国の場合ですと、そういうものがあると公表して回収したりしますが、地方であれば、其処だけということになると思います。商法の場合ですと、特に先ほどお話に出ましたネットを使う通販とかは、どうしても全国に広がりやすい、都道府県をまたがりやすいと思うので、そこは議論を分けた方がいいと私は思います。

○稲継座長 池本オブザーバーお願いします。

○池本弁護士 池本です。
 今、圓山委員からもお話がありましたように特商法はそもそも訪問販売、電話勧誘販売、通信販売あるいはマルチ商法とかいわゆる無店舗販売ですから、本質的に事業者が転々とする、あるいは全国にまたがるということが避けられないですね。だから、その点をとらえて、国がもっとやるべきだというのもわからないではないのですが、やはりまず、被害は地域から起きてくるわけで、早い段階で情報をキャッチしてその地域で都道府県が早く動いて被害の拡大を防止するという意味では、都道府県の執行権限を強化するということが私は本筋ではないかと思います。
 ただ、それがなかなか大変だという意味で資料11にデータを2つと問題提起を付けておいたんですが、法執行の件数の一覧表は消費者庁からも出ていますが、私は相談件数と法執行件数の割合を比較してみました。
 4ページ目に一覧表を付けておきましたが、これをこの場で読み取るのは非常に難しいので、特にDの欄、相談件数と執行の割合というところなのですけれども、資料111ページ目で目立つところだけ拾い上げておきました。法執行1件に対する相談件数が多い、言い換えれば、法執行が十分ではないと思われるところでいうと、3万件前後の相談に対して法執行がようやく1件。
 それに対して、今日、御説明のあった埼玉県、香川県などは3,000件前後に1件。つまり、最大10倍以上の開きがあって、地方のばらつきが多いなどというレベルではない、もっと深刻なのだろうと思うのです。
 更に言うと、1年間で法執行が全然行われていないところは、相談件数が1万8,000件あっても全く反映していないということですから、やはり相談から法執行につながる体制や法執行の人員体制をどうするかということは、もはや自治体にゆだねておくだけでは十分ではないのではないか。
 だからといって、法定受託事務という性質論の問題にいきなり飛んでいく必要があるのか。自治事務だけれども、全国に影響が及ぶものについては、特にこれだけ顕著な格差があるのだとすると、国がある程度の手当をする必要があるのではないかという議論も可能ではないかと思うわけです。
 それから、もう一つの2番のところ、ある地域で行政処分をした、それが半年、1年後にほかの地域でまた悪さを続けていて、また処分を受けたという例を3つほど探して紹介しておきました。
 大事なことは、ここで出ているのはいずれも東京とか北海道、埼玉、静岡という処分件数が多い自治体なのです。それ以外のところへ転出した業者は、恐らく処分をされずに続いているのではないかと思います。その意味でやはり全国の水準をしっかりと高めていくことが必要ではないかと考えるわけです。
 2ページから3ページの個別の対応策のところは、お読み取りいただくとして、ポイントになるところを2点申し上げたいと思います。
 1つは、レジュメの3ページの(3)ですが、私は都道府県に権限があり、都道府県が頑張ってくださいということを前提にしながら、例えば特商法の処分の効果を全国に及ぼすという対処はあってもいいのではないかと思います。例としていいのかどうかわかりませんが、例えば運転免許の取消しを受けたら、どこでも運転できない。都道府県の公安委員会が処分するのですが、全国に及ぶわけですね。要するに、特商法の行政処分の性質によっては、そういう措置があり得るのではないかということです。
 それから、景表法は指示だけで措置命令が都道府県になくて、必要なときは消費者庁へ要請するとなっていますが、むしろ都道府県に措置命令の執行権限を付与して、特商法と同じような構図にしてみてはどうかということが1つです。
 もう一つは、レジュメには書いていないのですが、資料9で配られている奥山委員の資料で非常に関心を持ちました。2ページの下辺りに「県が広域ネットワーク等を活用して構成する自治体の被害情報を集約し、一括して法施行することが効率的かつ効果的」だということで、東北大学の公共政策大学院の提言が、その後ろに付いています。これは、いわゆる広域連合的に県と市が一緒になって、相談から法執行に結び付けるという提案のようです。
 実は、埼玉県の冒頭の報告の中でもすべての市町村に相談窓口をという方策でやっても、やはり小規模なところはできない。協定方式とか委託方式ということで、近隣で集まって窓口をつくって協力し合っているという例もあるようです。だとすると、今のように広域連合とか協定方式とか委託方式とか、市町村の窓口をしっかりつくってもらう方策とそれを法執行につなげていく方策という辺りで、更に何か具体案を事務局の方でたたき台を提示していただいて、やはり目に見える形で議論が進められればと思います。以上です。

○稲継座長 ありがとうございました。圓山委員お願いします。

○圓山委員 今のオブザーバーの御意見に反駁が2つと、もう一つは香川県さん、埼玉県さんに御質問の残りがございますので、併せてお願いしたいと思います。
 まず1つ目は、資料11の6の(3)のマル1で「都道府県の行政処分の全国に効果を及ぼすように制度を改めろ」という御意見なのですけれども、ある都道府県が処分した効果が全国的に及ぶというのは、やはりおかしいと思います。それは、国が直轄でやるべき話だと思います。
 今のは性質論ですが、これに加えて、現場の実態で言いますと、こういうふうに直してしまうと、どの県も処分しなくなると思います。「東京都と埼玉県が頑張っている。我が県はリスクを負って処分をしなくても、東京や埼玉を待てば、我が県にもその効果が及ぶ。だったら、じっとしておこう」と判断する都道府県が続出するのが行政機構のメカニズムだと思われます。
 2つ目は、先ほど奥山委員の資料に付いていた東北大学の提言ですけれども、この提言については3日前の先週の土曜日に岐阜県でクレジット・サラ金運動の全国大会がございまして、その分科会に東北大学の先生と池本オブザーバーが行かれて、御説明をされたと聞いています。その分科会には行政職員がたくさん来ていまして、いろんな疑問が出て、その結果、立案者の東北大学の先生が持ち帰って再検討するということで、練り直すということになっていると思います。それは是非練り直した後のものをまた奥山委員に出していただいて、議論をしたらいいのではないかと思います。
 あと、質問でよろしいですか。共同処分のお話がございましたので、是非埼玉県、香川県の方にお伺いしたいのです。複数の都道府県が同じ業者を同じ日に処分するというのは、もちろん「たまたま」ではないわけですね。どこかが幹事県になって、声をかけて一緒にやらないかとやっているのだと思います。その幹事県が親だとしますと、その船に一緒に乗せてもらった都道府県が子どもというかお客さんという関係になっていると思うのです。実態として御自分で呼びかけていらっしゃるのか、誰かが呼びかけるので、乗せてもらっているのか。
 それから、親になる場合には、すごく調査が必要だと思いますけれども、お客さんまたは子どもとして入っていく場合に調査などの負担が軽減されているのか。それとも、やはり親と同じぐらい労力がかかっているのかというところをお尋ねしたいと思います。
 共同処分した場合も、やはり共同処分をした都道府県の範囲外には効果が及ばないですし、「公表不可資料」の方も共同処分をした場合の共同処分をした県を全部調べてもらっているので、勿論「取りこぼし」というのは、必ず発生しています。共同処分の企画をするときにPIO-NETを見て、この業者の苦情が発生している都道府県全部に声をかけて、一緒にやりませんかということを実態的にやってらっしゃるのか。
 「親と子どもの関係」と「事務負担の関係」と「処分に参加しない県への呼びかけ」の関係の3点を埼玉県さんと香川県さんにお伺いしたいと思います。

○稲継座長 埼玉県さん、お願いします。

○上原消費生活課長 埼玉県でございます。
 1点目は、幹事県のお話でございますけれども、先ほど申し上げました連携の会議の中で基本的には協議をしております。どこが幹事県になるのかというお話ですが、それはそのときの状況に応じて判断をしております。
 あともう一点の軽減されるのかされないのかというお話ですけれども、これはあくまで同時処分といっても、それぞれの自治体の長の権限を行使するものでございますので、それぞれの県が消費者聴取、立入調査、すべて行った上で自らの責任の下に行っているものでございますので、他県の事例があるから、自分のところの事務が軽減されるということは一切ございません。
 逆に運用としまして、例えば5都県という集まりで議論をする中でも、この件に関しては自分のところでは証拠が足りないとか被害が少ないということであれば、話しかけをしてもなかなか参加できないというのは、当然のことしてございます。
 それから、もう一つ、すべての県に声かけをしているかどうかということに関しましては、なかなか答えづらいお話でございますので、その時々で判断をしているわけでございますが、本年度私どもが合同で行った案件に関しましては、埼玉県と北海道が同時処分をした事例がございます。
 以上でございます。

○稲継座長 では、香川県さん、お願いします。

○小林副主幹 香川県の場合は、合同処分に至った例はないです。ただ、過去、平成18年ぐらいに私はいませんでしたけれども、そういう声かけをして、香川県が音頭を取ってやろうとしたことはありますが、やはり足並みがそろわなくて、現実化した例はないです。

○稲継座長 ありがとうごいました。大体時間にもなっていますが、ほかにどうしてもという御意見がございましたら。よろしいですか。
 それでは、いろいろ貴重な御意見が出されました。本日の議論を整理して、今後の検討に生かしていきたいと思います。本日の議題は、以上でございます。

≪3.閉会≫

○稲継座長 最後に事務局から次回日程について発言があるとのことですので、お願いいたします。

○原事務局長 どうもありがとうございました。
 次回の専門調査会は、12月16日木曜日の午前10時から行う予定にしております。内容としては、論点の最後であります地方消費者行政の基盤、環境について審議をいただく予定としております。
 それから、冒頭に座長の御発言にもありましたように事務局として、今後の体制整備に向けてのたたき台、たたき台の素案というような感じですけれども、お示ししたいと考えておりますので、その点についても御議論をいただきたいと考えております。
 年明け以降のスケジュールについては、資料7としてお配りしておりますので、御参考にしていただければと思います。事務局からは、以上です。

○稲継座長 それでは、本日はこれにて閉会とさせていただきます。お忙しいところ、どうもありがとうございました。

(以上)