第3回 地方消費者行政専門調査会 議事録

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日時

2010年6月15日(火)10:00~12:00

場所

消費者委員会大会議室1

出席者

【専門委員】
 片山座長、稲継座長代理、国府委員、菅委員、田中委員、馬場委員、
 圓山委員、矢野委員、山下委員
【担当委員】
 櫻井委員、佐野委員、下谷内委員、日和佐委員、山口委員
【オブザーバー】
 池本弁護士
【説明者】
 消費者庁 甘利地方協力室長
 国民生活センター 井守理事、日下部総務部企画調整課課長、藤森相談部調査役
【消費者委員会事務局】
 齋藤審議官、原事務局長

議事次第

1.開会
2.相談ネットワークのあり方について
3.今後のスケジュールについて
4.閉会

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

議事次第 (PDF形式:67KB)
【資料1】 国、県の相談体制に対する問題意識・改善すべき点、小規模の町村での取るべき対応(田中委員提出資料) (PDF形式:187KB)
【資料2】 消費者庁提出資料 【資料3】 国民生活センターにおける地方支援について(相談業務関連)(独立行政法人 国民生活センター提出資料) (PDF形式:345KB)
【資料4】 相談ネットワークのあり方に関する論点について (PDF形式:92KB)
【資料5】 国と地方のネットワークのあり方(圓山委員提出資料) (PDF形式:164KB)
【資料6】 地方消費者行政充実のための提言(新しい消費者行政を実現する連絡会)(国府委員提出資料) (PDF形式:210KB)
【資料7-1】 消費生活相談窓口の拡充のあり方(池本オブザーバー提出資料) (PDF形式:115KB)
【資料7-2】 埼玉県内の消費生活相談体制の拡充について(池本オブザーバー提出資料) (PDF形式:86KB)
【資料7-3】 「相談ネットワークのあり方」について議論すべき視点(池本オブザーバー提出資料) (PDF形式:89KB)
【資料8】 消費者委員会地方消費者行政専門調査会 今後のスケジュール(案)について (PDF形式:107KB)
(参考資料1) 平成20年度版 国民生活白書(抜粋) (PDF形式:487KB)
(参考資料2) 都道府県と市町村における苦情相談・処理業務のあり方について-国民生活審議会消費者政策部会報告-(要旨) (PDF形式:180KB)

≪1.開 会≫

○原事務局長 おはようございます。今日は朝早くからお集まりいただきましてありがとうございます。ただいまから第3回「消費者委員会 地方消費者行政専門調査会」の会合を開催いたします。
 本日、所要により専門委員の斎藤委員、野口委員、沼尾委員、奥山委員、担当委員の池田委員が御欠席となっております。ちょっと少ないですけれども、申しわけございませんが、審議を進めていただければと思います。
 議事に入る前に配付資料の確認をさせていただきたいと思いますが、配付資料の一覧を議事次第の次に付けております。
 資料1については、この後御報告いただきますけれども、田中委員提出の資料となっております。
 それから、資料2が消費者庁の提出の資料。
 資料3が国民生活センターにおける地方支援についてということで、国民生活センターの提出資料となっております。国民生活センターは15分ぐらい遅れて来られるということなので、すみませんが、よろしくお願いいたします。
 資料4が後段の議論の参考のためということで、「相談ネットワークのあり方に関する論点について」をお付けしております。
 資料5、6、7につきましては、委員、それからオブザーバーからの審議のための資料として提出いただいているものです。
 資料8ですが、今後の専門調査会のスケジュール案ということについて、これを御提示して皆さんの御意見も少しお聞きしたいと思っております。
 参考資料1と2ですが、前回、消費者相談の現場の様子がもう少しわかるようなものがないかということで、私どもの方でお付けした資料です。平成20年度版の国民生活白書からの抜粋、それから国民生活審議会消費者政策部会の報告、これは2000年のものになりますから、やや前のものではございますけれども、今回の論点と重なるところもあるかと思いまして、参考資料としてお付けしております。
 それでは、ここから片山座長に議事進行をどうぞよろしくお願いいたします。

≪2.相談ネットワークのあり方について≫

○片山座長 おはようございます。それでは、議事に入りたいと思います。
 最初の回で御確認いただきましたとおり、本日から各論点の審議に入りたいと思いますけれども、各論点の審議スケジュールについても確認しておく必要があると思います。そこで、今回は相談ネットワークのあり方と今後のスケジュールについて、を議題として取り上げたいと思います。
 今後のスケジュールについては後段の議論といたしますけれども、まず論点の1つであります相談ネットワークのあり方についての議論を行いたいと思います。
 最初に、熊本県の消費者団体で活躍されておられます田中委員から、消費者として相談窓口を利用する立場から、国や県の相談体制に対する問題意識や改善すべき点、さらに小規模の市町村ではどのような対応をとるべきかなどについて御説明いただきたいと思います。
 その次に、消費者庁の方から、消費生活センターを初めとする全国各地の相談体制の実態について、各種のデータを基に御説明いただきたいと思います。
 さらに、独立行政法人国民生活センターから、相談ネットワークが円滑に機能するために、センターがどのような役割・支援を果たしているかについて、今後の課題を含めて御説明いただきたいと思います。
 最後に、相談体制の実態を踏まえて、事務局から相談ネットワークのあり方に関する論点を説明していただきたいと思います。
 御質問や御意見については、説明が終わってから一括して行いたいと思います。
 それでは、最初に田中委員の方から御説明をお願いします。

○田中委員 おはようございます。熊本消費者協会の田中三恵子でございます。今日は、国、県の相談体制に対する問題意識や改善すべき点、さらに小規模の町村でのとるべき対応というテーマをいただいておりましたけれども、そこまで行き着く前に、熊本県の現状というものを把握していただかないと、またその問題点も見えてこないところもあると思いまして、既にいろいろな問題については言い尽くされていたかもしれませんけれども、改めて熊本県の現状について御紹介したいと思っています。
 ペーパーを3枚準備しております。熊本県は平成20年度までは県のセンターと熊本市のセンターの2つのセンターしかありませんでした。そして、平成21年度、昨年度になりまして、資料には県のセンターがカウントから抜けていますので、プラス1になります。従来からの熊本市と、プラス2つのセンターが追加して合計4センターになりました。また、今年度には、活性化基金の利用ということもあって、市のセンターが5センターで、県のセンターが1で、県内では6センターが存在することになります。
 これまでの熊本県の状況といいますと、消費者行政でどれだけのことがなされてきたというのが、予算を検討すればわかるのではないかと考え、平成19年度の時点で調べましたところ、予算ゼロの市町村が48市町村のうち35、ほとんど対応されていなかった。
 平成20年度に入って少し予算を取ったところがありますけれども、これも全国から見ると下から2番目に位置する程度の予算を持っている市町村の状況でした。
 そして、平成21年度になりますと、活性化基金の利用もあって、一応予算は取っているということです。急に予算を取ったからといって消費者窓口が機能するようになるかというと、そうでもないのではないかと思っています。
 それから、分母の部分が違いますのは、市町村合併で町村数が減っていくということで、今、45市町村あります。
 熊本市以外の市町村というのは、熊本県のセンターに相談を頼ることが多かったわけですけれども、熊本県のセンターが被害救済額というものを計算しておりますが、これが平成20年度では3億5,520万円ということが資料に載っておりました。これは県センターのみですから、熊本市についても同様な相談を受けておりますが、熊本市自体は救済額の計算をしておりませんから、もっとあるということになります。
 現在、相談体制がどうなっているかということを第1表に書いております。
 現在、相談員を配置して窓口を持っているところは、熊本県、熊本市、八代市、荒尾市、宇土市、上天草市、宇城市、阿蘇市、天草市、合志市、人吉市、大津町。この相談窓口の状況を、横軸に書いております。専任の職員がいるのは熊本県と熊本市と、昨年からセンターを設立しました人吉市だけで、ほかには全くいらっしゃいません。
 ここで私、先日、消費者委員会事務局の方から送っていただきました、内閣府が出されていました資料で確認しましたところ、各市町村に専任の職員がいるという表示になっておりました。全然データが違うと思って困ったわけです。国に報告されている数値と実態が違うということで、数を扱うときに、これだけに限らずに悩んだところがあります。なぜそういうことになったのかということを疑問に思っている点もデータでは多々ありました。専任職員はそのような形です。
 それから、相談体制も丸5日、週いっぱい相談を行っているというのは、これは平成21年度の体制ですが、八代市とか宇城市などは途中から5日体制をとりましたけれども、まだ毎日相談されるような自治体が少ない。それから、毎日相談できたとしても1人体制のところもある。それから、週1回で1人体制ということでは、相談窓口はあるものの、とても十分と言えるような体制ではないということです。
 その隣の欄には、熊本県が受けた件数と、それから各市町が独自に受けた件数を書いております。この各窓口を設けたところの特徴として、電話相談よりも来訪の相談が非常に高い。これは、例えば熊本県とか熊本市であれば1けたのパーセントですが、ほかのところは来訪による相談が34%から96%と、非常に身近な相談窓口として必要とされている。また、相談は来訪によって受けなくてはいけないものが非常に多くあるということの証しではないかと思います。
 さらに、また身近にあることで再相談率があります。前回も新規相談だけではなくて、相談員は継続相談を受けているということが言われておりましたけれども、それの再相談の件数も非常に多い。27%から184%と、非常に高く再相談が行われています。
 さらに特徴的なのは、高齢化率の高い県ですので、60歳以上の相談割合も当然高くなるのですけれども、それは県と比べてどうかということでは、40%から60%という範囲で非常に高齢の方の相談が多いというのが熊本県の特徴ではないかと思います。
 それから、PIO-NETを設置しているところが、昨年度までは2箇所しかありませんでした。熊本県と熊本市だけ。一応、黒丸のところは今年度から設置されるということですけれども、設置したからといって、すぐ入力ができるようなPIO-NETのやり方でもないと思います。慣れるまでに時間がかかる。新しいPIO-NETは、今までやっていた者でも時間をちょっと要しているのではないか。これがうまくデータが入力されればよろしいですけれども、その辺の危惧もあります。
 それから、窓口が設置されたことによって、どれだけの相談をその自治体が受けているかということ。今までがどうだったかということで、県センターへの相談の依存度ということで表をつくっております。50、50であれば、半々に相談を受けているということになりますし、高い値であれば県センターへの依存度が高い、それから低ければ独自の相談窓口が頑張っているという事になります。当然ですけれども、窓口を設置することによって依存度は下がってきておりますけれども、その中でもいろいろな差が出てきている。
 この差が出てきているというのは、よく話題になりますのが阿蘇市や人吉市ですけれども、ここは相談員自身の頑張りとか、かなり個人的な頑張りによるところがあって、1人でやっていらっしゃると病気もできない、そこから動くこともできないということで、過重な負担が1人の方にかかっているのではないかと思います。そのような状況が熊本県の状況です。
 それで、PIO-NETが2つしかありませんということでしたので、計算してみますと、このPIO-NETの情報というのは、マル3に3,154件が未入力ということで、熊本県全体の相談からいきますと約18%がPIO-NETに入力されないで、情報としては死んでいるといいますか、活かされていないという状況であります。そういうことで、特徴的なものを見ながらも、来訪相談によるものというのは、本当に住民が要望しているものである。さらに、電話相談であっても、再相談が必要ということで、来所が必要なのですけれども、例えば県のセンターなどで相談した場合に、途中であきらめて、結局救済されないでいる方もたくさんいるということになるのではないかと思います。
 それから、窓口の設置率が非常に低いので、県全域でどの程度の相談が眠っているのか、潜在するものを推測してみましたのが第2表です。
 第2表は、現在、熊本市は20数年間、センターを設置し、センターとしての機能を十分果たしている。それで、熊本県への依存率も40%前後ということです。独自に機能しているというところで、もしほかの地域が相談員を設置しているところでも、今後十分な能力を持つようになると、もっと相談が増える。
 言ってみれば、今、隠れている相談というのはどの程度だろうかということを仮定してみました。熊本市民は熊本県なり熊本市のセンターに人口の1.24%の方が相談しているということになります。それで、それぞれが熊本市と同じような相談のパーセンテージになるとすると、それぞれ増加していくわけですけれども、その増加が相談員未設置のところでは全体で6,514件になって、今までよりも92%程度増加する。さらに、相談員を設置している市町村であっても6,864件ということが仮定されて、まだ30%の相談が眠っている。これは、今までの相談件数の26.8%、4,732件が県内ではまだ救済されずにいる住民の方がいるということで、未設置あるいは不十分ということで、救済の必要な方がたくさん存在するということがこれで見られるのではないかと思います。
 それで、数については下にグラフを書いておりますけれども、大体このようになるということで、全体的には相談が減っていますということが言われておりますけれども、もっと設置が増えると相談は当然増えて、まだたくさんの相談があらわれてくるということになると思います。
 それから、高齢者率が高かったということで、高齢者はなかなか遠いところまで行けないということがありまして、調べた内容では、高齢者や障害者のところに直接、相談員が訪問して、相談の聴きとりをするとか、だんだん高齢化社会になってくると、そういう相談の対応も必要になってくるのではないかと思います。
 それから、PIO-NETに入力されていない情報というのは、当然県にも国センにも行っていないということで、そういう窓口が不十分なところほど、悪質な業者がねらって被害が拡大しているのではないかと推測いたします。
 あと、これは付け足しですけれども、一方的に救済とかいうことで、相談窓口のこと、あるいは相談員待遇ということで話題になっておりますけれども、相談員自身あるいは相談窓口自身も改善していくために、その中での評価とか、そういうことをするために利用者、相談された方の満足度などを調査しながら、相談窓口の体制を充実していくということは必要ではないかと感じるところです。
 熊本県内のことについてお伝えしましたが、消費者がどこにいても同じ水準の消費者行政サービスを受けられるようにということになると、必ず窓口の設置というのが義務化されないと、同じ水準のサービスを受けられないということになるのではないかと思います。
 それで、今までは自治体の自主的な判断で、見識がある首長のリーダーシップによって設定されてくるという経緯がありましたけれども、こういう自主性に任せているのであれば、今までどおり、例えばお金がなくなればしないとか、そういうことにもつながっていくということで、国主導で設置については十分な措置をお願いしたいと思いますし、独自でできない、あるいは採算が合わない自治体もありますから、それについてはさまざまな既存の広域連合のタイプもあると思いますので、そういうところで必ずどこかで相談する場所がそこの住民にはあるということで、センターなり窓口なりを設ける必要があると思います。
 そこで十分な相談を受けられることによって、県はもっと消費者基本法にあるような、高度な、あるいは専門的なものについて集中して専念することができるのではないかと思います。
 それから、市町村の消費者行政に専任職員が必要と感じますのは、相談窓口を置きさえすれば、それでよいと受け取られる職員の方がいらっしゃるように感じるのですけれども、消費者行政というのは安全とか取引とか表示ということで、全般的なものに対応しなくてはいけない。相談だけに偏っているところ、そこしか見えていないというところも、小さい市町村ではあるのではないかと思います。今後、いろいろな庁内のネットワークをつくっていく上では、どこがするかということがはっきり決まっていないと、いつまでたっても決まらない問題ではないかと思います。
 さらに、消費者行政というのは専門職ではないかと思うのですけれども、自治体では、結局は今まで、消費者センターさえ知らなかったという方が異動してこられて、一から始まるということで、それによって消費者行政の質は低下していくと思いますので、消費者行政自体を専門職としての位置づけをしていただかないと、今後の展望は開かれないのではないかと思っております。
 3枚目に行きますが、相談員1人というのは負担が大きいので、これも考えなくてはいけない。
 それから、先ほど申しましたように、消費者行政は全般的なことを行うものであって、情報提供とか消費者教育などにも力を入れるためには、一般の消費者、被害に遭っていない消費者の活用、消費者行政に活用する。あるいは、消費者団体の支援をするということで、よりよい社会をつくるためにはそこまで考えたいろいろな施策が行われる必要があるのではないかと思っております。
 それから、県の相談体制についてですが、県は市町村が独立することによって専念することも出てきます。ただし、先ほどの表にもありましたように、PIO-NET未設のところがまだありますので、そういうPIO-NETの未設地域への人的な支援をしていく。情報を生かすとか救済を高めるためには、そのような必要性が出てくるのではないかと思います。
 それから、解決困難な事案へのあっせんにおいても、まだ相談員も一人ひとり、それぞれの能力というものが違っておりますけれども、求められるところには協力していくということが必要ではないかと思います。
 それから、相談員自身もひとつのところにとどまるということで、いろいろな停滞・滞留というものがあると思いますので、いろいろな地域を周りながら高めていく。窓口自体の水準もそれで向上していくのではないかと思います。
 それから、相談体制の専門家ということで、それぞれ消費者相談員にも法律分野、消費者庁が関連する法律分野もありますし、さまざまな高度化してきた商品とかサービスがありますから、何かのスペシャリストになる必要があると思います。
 それから、弁護士さん、建築士とかの専門家にバックアップしてもらって、その方たちを市町村で共有しながら全体の問題解決を進めてくということ。
 それから、法執行のためには情報収集を積極的にしなくてはいけないのですけれども、今の段階では情報として入っていないものがたくさん存在していますので、そういうものをもっと執行につなげる、あるいは改善につなげるということで収集していく必要があるのではないか。時々、県のセンターには相談がないということで、各市町村が投げかけても、それに十分な対応がなされないということもあるようですので、そういうことがなく、積極的にいろいろな被害情報を集めるという姿勢が必要なわけです。
 5番目の商品テストについてですが、これはだんだんなくなっていっております。熊本県は、今のところ、まだ簡易テストはやっております。この簡易テストのできる範囲というのは決められていますけれども、苦情の原因究明に当たっては、高度な分析が必要なところには、近隣の専門機関との提携ということが必要になるのではないかと思いますし、簡易テストということだけ持っても、苦情対応に利用する簡易テストでなくても、簡単なことであればこれを消費者啓発に利用していくということで、消費者自身の消費者力をアップすることにもつながっていくので、そういう使い方がテストにはあると思います。
 それから、先ほど何度も言ったかと思いますけれども、消費者行政の水準をアップするために、消費者行政を専門職として、市町村でもそうですけれども、県であっても広域での専門職間での異動ということを考える。そうしないと、異動によって質の低下というのは起こってくる。いい関心のある人が来ればアップするかもしれませんけれども、通常100%継続されるかというと、そういうものではなくて、だんだん落ちていくというのが大体全体の状況ではないかと思っています。
 それから、消費者団体は市場の監視役としての役割がありますし、悪質な事業者を排除して、真面目な誠実な事業者に健全な取引に対する意識の向上を、健全な取引のためにちゃんと対応しなければいけないという意識を向上する面もありますので、消費者団体を利用することも必要ではないか。大都市ではそういうことはあると思いますけれども、地方では消費者団体自身がだんだん縮小していって、活動も見えなくなってしまっている状況です。
 今まで県とか市町村についてのお話をしてきましたが、結局、国が十分に機能するためには、市町村や県という段階で機能しなければいけない。そのためには、今までなぜそうならなかったかということを考えていくと、お金がないから動けない、お金がないから小さくなっていくというところがありますので、国に対してはそのような財政支援というか、言葉が悪ければ措置ということで考えていただかないと、県や市町村というのは今後は動けないのではないかと思います。
 それから、消費者行政を専門職として位置付けるのであれば、それなりの法令の改正ということが関わってくるのであれば、改正して専門職としての位置付けを求めていかなければ、消費者行政は衰退するのではないかと思っております。
 それから、5番目ですけれども、情報の一元的収集のため、県や市町村のルートの枠組の指示を国にしていただきたいと思います。それも、市町村段階では、何か安全について、どのようなルートでその情報を入手するか、あるいは提供するかということが全然決まっていないような状況です。これは熊本の場合ですけれども、そこのところを、市町村でも行政の中身はよくわかりませんけれども、いろいろな課が関わっているところがありますけれども、大体のルートというのを幾つかタイプを設定して提示していただくことで、市町村なども理解できるのではないかと思います。
 以上で終わります。

○片山座長 ありがとうございました。
 続きまして、相談体制の実態について、消費者庁の甘利室長から御説明いただきたいと思います。ちょっと押しておりますので、少し簡潔にお願いします。

○甘利消費者庁地方協力室長 消費者庁の甘利です。資料に沿いまして、相談業務の実態につきまして我々の方で把握しているものを御紹介したいと思います。
 2ページ目ですけれども、都道府県、市町村別の相談件数、平成18年から平成20年度の受付件数を一覧にしているものでございます。
 一番下の行に全国ということで、受付件数としましては、平成18年度132万件から平成20年度112万件ということで、件数自体は減ってきている状況でございますが、レベルは依然として100万件を超えているということで、非常にたくさんの方から相談が寄せられている状況かと思います。
 それから、分担率ということで、市町村の方でどのぐらい受け付けているかというのをパーセンテージにお示ししたものが、それぞれの年度の一番右の欄でございます。こうして見てみますと、例えば和歌山県とか山梨県のように、市町村というよりは都道府県の方がメインで、そのほとんどを受け付けているような体制をとっているところもございますし、一方、神奈川県や大阪府のように、市町村の受付件数がその大部分を占めるというところもございまして、それぞれまちまちであるということが言えるかと思います。
 次のページですが、消費生活相談員の数の推移を一覧にしてございます。
 平成21年度はまだ新しい数字ですが、2,800人という数字が出ています。平成19年度、平成20年度のところに二重線が入っておりまして、統計に断層がございますので、2系列で見る際には気を付けていただきたいと思います。平成19年度までの統計は、実態に即した数字になっていなかったのではないかということで、平成20年度から数字のとり方をちょっと変更してございます。
 それから、平成21年度につきましては、相談員かどうかということを判断するメルクマールとして、備考の2にございますように、相談に対応しているかということと、消費者安全法施行規則第7条に規定する、該当する方を相談員という形で明示して統計をとったということで、いわゆる3つの相談員さんの資格を有する方、またはこれらと同等以上の専門的な知識・経験を有する方に絞り込んだ形で統計をとってございますので、平成20年度から平成21年度、微増ということでございますけれども、数字的にはそういうことで絞り込んだ形での統計とご覧いただければと思います。
 次のページですが、消費生活センター数の推移でございます。
 こちらも平成21年度の新しい数字をお示ししました。全体で503ということです。ここも平成20年度との間に二重線がございますが、備考にございますように、消費生活センターの経緯につきましては、平成20年度までは週4日以上、窓口を開いているところということで統計をとってまいりました。平成21年度から消費者安全法上の基準ということで、専門的な知識・経験を有する方を充実しているとか、あるいは事務の効率の実施のために適切な電子情報処理組織、その他などの設備を備えているものといった要件を加えて、消費生活センターを定義付けした上でとらえてございますので、数的には平成20年度から減ったように見えるという形ではございますけれども、500を超える消費生活センターがあるということでございます。
 次のページでございますが、都道府県別センター数ということで、都道府県ごとに県のセンター、市町村のセンターがどれだけ置かれているかというものの、503の内訳をお示ししたものでございます。センター数の割合を全体的に見ますと、都道府県の割合が24.5%、市区町村の割合が75.5%ということでございますが、それぞれ都道府県別に見ますと、やはり都道府県主体のところと市区町村のセンター主体で対応しているところと、かなりまちまちのセンター設置の対応が見られるということでございます。
 次のページは、都道府県別の消費生活センター設置市区町村人口の当該都道府県人口に占める割合ということで、全国で見ますと68.7%ということで、約7割の方を、人口としては市区町村にあるセンターでカバーしているということが見てとれるということで、特に東京都とか神奈川県といった市区町村の消費生活センターの人口カバー率は、97%あるいは95%近くという形でございます。
 一方、岐阜県とか、極端な例ですと、宮崎県の場合は、市区町村はこの時点で統計上、センターがございませんので、ゼロ%ということで、都道府県がすべて見ているような格好になっているということでございます。勿論、それぞれの市町には相談窓口がございますので、全部が都道府県のセンターに行くということではございませんけれども、そういう数字になっております。
 次のページは、複数の市町村が連携して消費生活センターや相談対応を行っている事例ということで、こちらは先般発表しました「地方消費者行政の充実・強化のためのプラン」先導的な取組の事例集から引用してございます。皆さんの方にはお配りしていると思いますので、簡単に御紹介しますが、マル1とマル2は、いわゆる中心市集約方式という形で連携がとられているもの。
 マル3は、相互乗り入れをして広域の連携が図られている。
 マル4は、巡回方式。
 マル5、マル6は、広域連合あるいは広域事務組合を活用した事例ということで、それぞれプランの抜粋を引用してございますので、ご覧いただければと思います。
 次、18ページに飛ばせていただきますが、相談員の方のバックアップ体制をどのように構築しているかという実例をお示ししています。
 (1)は埼玉県の例で、主任消費生活相談員という新しい体制を県に置きまして、相当困難な案件について、主任相談員のほか、弁護士等専門家の方で構成する問題解決チームをつくって、相談処理ができる体制をつくっている事例でございます。
 (2)は京都府、消費者あんしんチームの設置ということで、こちらの方も市町に寄せられた相談について、府の協力のもとに迅速に対応するということで、職員、相談員、弁護士で構成するチームとして発足しているということで、それぞれ助言を行ったり、対処法を考えていくということで、特に困難な事例については、あっせん会議を開催しながら対応していくということでございます。
 (3)は佐賀県の例で、消費生活相談スーパーアドバイザーということでございます。こちらは、佐賀県内の多くの市町では消費生活相談員が1名体制ということがある。それから、経験年数等もまちまちということで、相談員のレベルアップ、情報交換が必要になっているということから、県のセンターにそういう方を配置して、問い合わせに対する助言あるいは共同処理といった形で、県全体で相談体制を強化しているという事例でございます。
 次のページで、市町、県の連携により相談員のレベルアップに取り組む例ということで、たじま消費者ホットラインで、兵庫県と但馬地域の3市2町の連携を御紹介しております。
 こちらは、県のセンターに各市町の相談員の方を配置しながら、オン・ザ・ジョブ・トレーニングで相談員のレベルアップを図っていくということで設置されているということで、困難事案とか緊急事案に対しても、県の相談員と一緒になって処理することができるという形で、但馬の地域の方の相談を受け付けているという例でございます。相談員のレベルアップに取り組んでいる。
 パンフレットをその後ろに付けてございます。
 22ページ、相談と執行の連携を図っている事例ということで、北海道のメーリング・リストの活用を(1)で御紹介しています。
 こちらは、悪徳事業者の動向につきまして、道の担当課、消費生活センター、市町村の間でメーリング・リストを使って情報を共有し、執行に活用するというもので、他の自治体が警戒を強める、あるいは道の方で事業者指導を行うということで消費者被害の拡大防止に取り組んでいる例です。
 (2)の佐賀県の消費生活相談スーパーアドバイザーも、市町への訪問指導ということだけではなくて、同様に現場に足を運ぶことで県内の状況を把握するということで、悪徳事業者に関する情報を収集して、法執行との連携を図っているということでございます。
 次のページに相談員の勤務実態についての「現場」の声ということで、(1)に平成20年の内閣府の消費生活相談員に関する調査の中から幾つか紹介しています。
 相談員の方は、御自分たちが苦労していることをあまり率直にこういう調査に語られないので、数はどちらかというと少なかったのですけれども、例えばクレーマーの方が増えて非常に神経をすり減らしている。相談内容が複雑化して、1件に費やす時間が長くなってきている。
 それから、法改正も多く、新しい商品、サービスに関する相談を受けるということで、常に勉強していかないと相談業務に対応することが難しい。あっせん等では、悪質事業者と消費者の仲介ということで、かなり危険を冒すことも現場ではあるということがございます。
 それから、消費生活相談員の業務が増加している例でございますけれども、多重債務等、1件に費やす時間が長くなっているということはあるわけですけれども、新しいPIO-NET端末の導入による入力業務の増加。市町村が新しく相談窓口をつくってきているということで、市町の相談員への助言・指導といった業務が増えているということが言われているところです。
 次のページ、相談の潜在的なニーズや相談の掘り起こしということで、潜在的なニーズは、こちらは平成20年度版の国民生活白書のページでございますが、消費者被害に遭ったときの相談先ということで、一番右のところでございますが、どこにも相談することも伝えることもしなかったという方が33.7%でございます。一方、中ほどにあります、消費生活センターまたは国民生活センターに相談したというのが13.5%という数字で、3割方の方がどこにも相談しないでいるという状況がございます。
 次のページ、高齢者への被害が増加しているということで、こちらはPIO-NETのデータからつくってございますけれども、トレンド的に60代、70代の高齢者の被害が増えていっている。また、被害額ということではございませんが、契約購入金額あるいは既支払金額を見ましても、60代、70代あるいは80代の方の案件がかなり高額になっている状況がございます。
 それから、掘り起こしの例ということで、次のページ、阿蘇市の例を取り上げてございます。
 平成16年度、阿蘇市の窓口で受け付けた件数というのはかなり少なかったわけでございまして、県のセンターの方でほとんど受けていたということでございますけれども、平成17年に相談員を配置して相談体制の強化を図ったところ、市の消費生活センターで受け付けた件数が大幅に増えた。また、全体として掘り起こしが図られたということで、このほか白山市では5.6倍、人吉市は2.4倍ということで、消費生活センターの相談件数が伸びたということでございます。
 それから、消費者ホットラインのポンチ絵と実際ということで、29ページに数字挙げましたけれども、月ベースにならしますと全国で2万件ぐらいの方が消費者ホットラインを利用されている。ただ、これはホットラインにかけたという利用件数をとっていますので、相談案件にどこまでつながっているかということは、これからは見てとれないわけですが、身近な消費生活相談窓口に御案内するということで、こういうことを1月から始めてございますけれども、地元の相談窓口の電話番号を使わずに、こちらのホットラインを利用してみたという方がこれだけおられるということではないかと思います。
 次のページは、消費者行政にかかる交付税措置ということで、私どもが措置しているものについてお示ししてございます。
 以上でございます。

○片山座長 ありがとうございました。
 続きまして、国民生活センターの井守理事から、相談ネットワークが円滑に機能するためにセンターがどのような役割を果たしているかについて御説明をお願いしたいと思います。

○井守国民生活センター理事 それでは、資料3をご覧いただきたいと思います。国民生活センターにおける地方支援についてということです。
 国民生活センターの相談体制につきましては、主に3つの柱でやっております。1つは、消費者からの相談を直接受けて解決するということで、これは直接相談と呼んでおります。それから、各地の消費生活センターを支援するために相談対応をしていくということで、これは経由相談と呼んでおります。この両方の相談を基に、被害防止のための情報提供を行っているということになります。
 それでは、資料の方をご覧いただきたいと思いますが、国民生活センターの経由相談につきましては、各消費生活センターから寄せられた相談処理の方法等に関する問い合わせに対して、アドバイス等を行って、各消費生活センターを支援するということで、全国的な案件あるいは広域的な案件、それから高度で専門的な案件、あるいは最近、大変これが増えているのですが、小規模な消センの相談員からの相談等に対応しているということになります。
 この経由相談につきましては、国民生活センター自身が専門グループをつくりまして対応するということで、現在、5分野の専門チームをつくっております。金融・保険、情報通信、特商法関係、不動産の品質や安全関係、個人情報ということになっております。
 受付状況の推移でございますが、平成21年度、一番右を見ていただきますと5,317件ということで、これは後ほどまた御紹介させていただきますが、非常に増えております。これは、巡回訪問事業の成果・効果も入っているということです。ただ、この表の中で平成19年度が5,500件と非常に多くなっておりますが、ここは前年度4,300件だったのに対して1,200件ほど増えています。NOVAの最高裁の判決が出たということで、これに対する問い合わせが非常に多かったということで、この年度の特徴的な件数です。経由相談について見てみますと、10年前、2000年、平成12年になりますが、約1,000件ほどだったところが、現在その5倍ほどの対応ということになっております。
 2番目、経由相談における対応状況でございます。それぞれ縦軸のところで経由相談の内容につきまして、助言、共同処理、移送となっております。
 この一番上の助言につきましては、処理方法や同種事例の有無など、各消費生活センターの問い合わせに対してアドバイスを行うというものでございます。この点数が一番多くなっております。
 また、共同処理につきましては、受付センターと国民生活センターが共同して処理を行って、あっせん解決を試みるということでございます。
 それから、移送でございますが、ここは受付センターから国民生活センターにすべての相談処理を移して、事業者交渉、相談者対応ともに国民生活センターが行うという種類のものでございます。
 こういった地方の相談窓口の支援を、経由相談という形で私どもは専管的に行っているということでございますが、経由相談のホットラインという専用の電話を設置いたしまして、対応しております。
 そのほか、3.消費生活相談緊急情報ということで、これは一般に「マル急」と呼んでおりますが、こういった情報、それから製品関連事故情報の配信ということで、一般的に情報提供している案件ではありませんが、特に苦情相談及び処理の支援をするために、相談事例や業者情報、相談事例というのは、解決の方法、あっせんの方法などを細かく盛り込んだものということで、これを毎月2回配信しております。
 それから、製品関連につきましては、危害に関する相談処理等の情報を盛り込んだ製品関連事故情報を月1回、消費者行政フォーラムにおいて定期配信しているということで支援させていただいております。
 今後のセンターの対応でございますが、先ほども申しましたように経由相談の充実ということで、非常に増えております。現在、市町村の相談窓口は1,600か所ぐらいございます。また、消費生活センターも基金事業の造成等で増えていく傾向を示しております。ただ、先ほども説明の中に出ておりましたが、依然として相談員の1人窓口あるいは2人窓口が6割ぐらいを占めている。1人窓口につきましては16%、2人窓口については39%ということで、両方合わせて56%が非常に少ない人数の相談員の方々で対応されている。
 それから、市町村の多くの相談窓口の中では、行政職員の兼任・兼務で行われているということがございます。こういった窓口に対しての支援ということも積極的に行っていきたいということで、今後とも経由相談の充実を果たしていきたいと思っております。
 ちなみに、全国消費生活相談員協会が平成20年に、相談員の方々に解決困難な事例の相談はだれにするかという調査を行っております。その中で、相談員の方々は他の相談員、同僚の相談員の方々だと思いますが、相談するというのがマルチアンサーになっておりますが、76%、それから弁護士さんが56%、それから都道府県のセンターが33%ということです。国民生活センターにはどのぐらい相談されているかということなのですが、65.9%ということで、同僚の相談員の方の次に多くの相談が寄せられるということです。こういったことでも非常に使いやすくなっているということだと思いますので、この辺についてはより一層充実していきたいと思っております。
 次に、めくっていただきまして巡回訪問事業になります。
 相談部での経由相談での支援とは別に、平成21年度以降につきまして、これは補正予算事業になりますが、地方消費者行政の活性化に向けた国の取組ということで、国民生活センターによる地方支援事業で消費生活相談体制の強化ということで、4番目には消費生活相談専門家による巡回訪問事業というものを行っております。
 また、これとは別に土日相談も行っておりまして、これにつきましては、身近な消費生活センターへの相談ということではございますが、まだまだ土日相談を実施している自治体数は少ないです。土曜日だけ、5%、日曜日だけ、5%、両方合わせて約10%という状況でございますので、こういった自治体の窓口の支援も土日相談で行っているということでございます。この辺につきましては、全国消費生活相談員協会の御協力もいただきながら行っているということでございます。
 ちょっと前後いたしましたが、戻りまして、4番目の巡回訪問事業ということです。巡回訪問事業につきましては、パワーポイントの資料の目的と概要というところをご覧いただきたいと思います。
 1番目に示しておりますのは、消費生活相談体制の強化のために、最前線の市区町村の消費生活相談窓口の相談担当者の実務能力の向上が不可欠ということ。しかし、現状としては、まだまだ経験の浅い相談員が1人で対応しているところが多い。専任の相談員がいない。あるいは自治体の職員が他の業務と兼務しているということで、相談窓口のサポート体制の構築が重要な課題になっているということであります。
 こうした課題に対応するために、国民生活センターが全国の都道府県などから主に推薦をいただきまして、前年度は392名の相談専門家を委嘱いたしまして、延べ2,200回の巡回訪問を実施しております。市町村につきましては、289の市町村を回っております。
 めくっていただきまして、助言内容につきましてはマル1からマル4までございまして、相談処理で処理中の案件とか、あるいは過去に処理した案件につきまして適切であったかどうかの確認をする、あるいは事業者交渉の方法についてもお聴きするということ。
 2番目は、相談を受ける上での心構え。
 それから、専門分野に関する専門的な知識、あるいは消費者啓発に関する助言、窓口の強化につながる助言と非常に多岐にわたっております。こういった事業を行っております。
 こういった事業を通じながら地方の相談窓口の支援を行っているわけですが、平成22年度も引き続き同様な事業を行っていきたいと思っております。
 平成21年度の事業実績に対しまして、その効果ということですが、アンケート結果が出ております。
 消費生活相談専門家につきましては、この訪問事業を通じて人的な交流ができた、あるいは相談員業務への理解が向上した、それから県と市町村との連携強化ができた、あるいは相談員のスキルが向上したということでございます。9割以上の専門家が非常に役立っているとの御回答をいただいております。
 それから、受入先の市町村ですが、やはり同様の評価がございまして、同じように9割以上の市町村が非常に役立っているということで、引き続き実施していただきたいという意向が寄せられております。
 簡単ではありますが、以上でございます。

○片山座長 ありがとうございました。
 最後に、消費者委員会事務局で相談ネットワークのあり方に関する論点を整理されておりますので、齋藤審議官から御説明をお願いします。

○齋藤審議官 大分時間が押しておりますので、資料4に沿って簡単に御説明させていただきます。
 前回の専門調査会でもかなり御議論ございましたが、県と市の窓口の役割分担でありますとか、あるいはそもそも行政が相談を行う意義についての論点を、これまで国民生活審議会等でも議論されてきておりますので、特に目新しいものではございませんが、一応確認の意味も込めまして紙に落としたものでございます。
 1に、行政が相談業務を行う意義は何かということで3つ挙げておりますが、1つ目は、いろいろな意味で弱い立場にあります住民の立場で、住民に身近なところで利用しやすいサービスを提供するという意義がある。
 2つ目は、相談を通じて得られた情報を、その地域の適切な行政対応に活かしていくという意味での意義がある。
 3つ目は、もう少し広いマクロ的な意味でありますけれども、消費者行政に関する諸制度が期待されている機能を果たしているかを知るための情報収集インフラとしての機能を果たしている。いわゆるセンサー機能と言われているものでございます。
 2つ目の論点で、市町村が相談業務を行っているわけですが、先ほどの御説明にもありましたけれども、都道府県もやっているわけでありまして、都道府県が相談業務を行う意義は何かということで4つほど挙げておりますけれども、広域性があって広域的に対応した方がよいものについては、都道府県で受けた方が合理的である。
 それから、専門性が必要なものについては、バックアップ体制を仕組む観点から見ても都道府県レベルで行う方が適当である。
 それから、消費生活センターが置かれないような市町村については、都道府県が補完的な役割を担う必要がある。
 4つ目は、普段からそういう苦情処理を行っていないと、支援するといってもなかなか支援できないということで、実際にそういう業務を行っていなければいけないということがあるかと思います。
 それから、3つ目でございますが、県はどこでも必ず置かれているわけですけれども、市町村は大きなところは大分対応ができてきておりますけれども、小さなところはなかなか対応が進んでいない。そういった場合にどういう対応をするべきかということであります。
 1つ目は、そういう中でも頑張って専用窓口をつくって相談を受け付ける体制をつくる。
 2つ目は、1人では無理なので、周りの市町村と協力して対応する。
 3つ目には、ともかく受け付けるだけ受け付けて、振り分けるということだけでもやる。いわば最低限の対応ですけれども、そういうことも考えられるということであります。
 消費者庁の御説明でもありましたように、広域連携でいろいろなやり方がありますし、広域連携しながらそれぞれの市町村が窓口を設けているというのもありますので、どれか1つに限るということではなくて、いろいろなバリエーションがあるだろうと思います。
 それから、4つ目ですが、消費生活センター相談窓口の整備を進めていくために、何らかの設置基準、専門性確保などのガイドラインも含めてですけれども、そういったものを設けるべきか。また、設けるとしたらどのようなものか、このような議論がいろいろあるところでありますし、基本的に自治事務という位置付けがなされている中で、どれくらいのことが言えるかという問題もあろうかと思います。
 最後ですが、国民生活センターが市町村、県の相談ネットワークの中でどういう役割・支援を果たしていくべきかといった論点があろうかと思います。
 簡単ですが、以上です。

○片山座長 ありがとうございました。
 それでは、予定よりも時間が大分過ぎましたけれども、これから皆さん方の御意見なり御質問なりをいただいたと思います。できるだけ多くの皆さんに御発言いただきたいと思いますので、御発言いただく方は簡潔にお願いしたいと思います。いかがでしょうか。馬場さん。

○馬場委員 質問です。田中さんから御報告いただきました際に、身近なところで相談件数が増えているということをお話いただいたのですけれども、その中で、資料2に、連携などの場合で、3か所ぐらいが、顔見知りがいない方が相談しやすいという報告が入っていたのですけれども、その辺り、報告と田中さんの発言とに差がありましたので、補完いただければと思います。というのは、次の広域のバリエーション、小規模の地区への展開のときの参考にしたいと思いますので、お願いします。

○田中委員 私の中に、顔見知りがいない。別の資料ですね。

○馬場委員 小規模な方が顔見知りに出会うのでは。今日御説明いただいた資料の中に、件数が増える想定の資料があったと思います。表2で、熊本市並みに小規模のところに窓口を設けていくことによって、件数が増えていくのでしょうか。

○田中委員 これは、まだこれだけの件数が潜在的にあるのではないかということで、救済されない方が27%ぐらいになります。地元にあるときに、時々私どもも聞きますのは、顔見知りがいると行きにくいということをよく耳にします。ところによっては、相談員の方がそういう方だとわかっておりながら、そうではないような雰囲気で接触するとか、あるいはこれはいいのかどうかわかりませんけれども、相談員の方が外に行って会うとか。あるいは、窓口を目立つところではなくて、目立たないような出入りの少ないところに置くということは聞いたことがあります。それはまた方法があるのではないかと思います。

○圓山委員 先ほど消費者委員会事務局から論点について御発言がありましたけれども、私、事前に読んでいまして、この論点では間口も奥行きも狭いので、論点の補充とか組み替えを提案したいと思います。それは、私が出している資料5とも関係します。その前に今の御説明の中に国民生活審議会の今までの議論を踏まえてとお話があったので、この資料に字は書いていませんが、振り返りたいと思います。
 相談ネットワークについては、昭和の時代は都道府県が頑張るという方針だったと思います。ですから、国は都道府県の消費生活センターに補助金を出していました。それは途中で終わり、平成に変わるころから市町村へシフトという報告書が出て、都道府県がいっぱいいっぱいになったので、あとは市町村が身近な自治体で相談するのが相談しやすいという、耳ざわりのよいスローガンのもとで市町村への業務のシフトというのが起こったわけです。
 それがちょっと行き過ぎて、平成の1けたの時代に、例えば神奈川県で消費生活センターをやめてしまうとか、広島県で消費生活センターをやめてしまうということがあったので、それを巻き返すために行われたのが平成12年の報告書。今日の参考資料2がこれです。これは、都道府県のセンターが廃止されるという危機感の中で、都道府県も頑張りましょうということを書いていたわけで、それを受けて、その後の消費者基本法の改正で、都道府県も市町村も苦情相談を受けるのだという規定が入ったと思います。
 ところが、後でお話しするように、昨年の消費者安全法の制定で、またどんでん返しがありまして、それがまたぐちゃぐちゃになっているということだと思います。

○片山座長 ぐちゃぐちゃとはどういうことですか。

○圓山委員 それは資料5でお話しします。
 資料5の1の(1)消費者基本法と消費者安全法の矛盾です。相談について消費者基本法では第19条に書いてあります。苦情のあっせん等については、地方公共団体が行うという表現で、それは都道府県と市区町村が含まれますので、両方が行うのだという、先ほどの平成12年報告書のトーンで出ているわけです。けれども、消費者安全法の第8条、第9条を読んでいると非常に違和感があって、よくよく読んでみると、苦情の相談、あっせん等については、市区町村のところに書いてあり、都道府県のところには書いていないのです。
 都道府県のところには、広域的な見地のあっせんと専門的な知識による調査というものが入っているが、通常の相談は都道府県の任務ではないと、字面を見ると読めるわけです。そこがずっと私、疑問でした。一方で消費生活センターは都道府県は義務付けで、市区町村は任意なのに、義務付けの都道府県で一般的な苦情相談のあっせんが入っていないのはなぜか。これをこの消費者安全法の立法担当をされた方に、何か月か前に尋ねたわけです。
 それが下のQ&Aです。まず、矛盾しているのはなぜですか。消費者基本法は議員立法だったので、国会の法制局が見ていた。消費者安全法は内閣提出だったので、内閣法制局が審査して許さなかったという話なのです。2つ目の、それはなぜかと尋ねると、都道府県に苦情相談、あっせん等、通常のものを規定すると二重行政になるので、内閣法制局は絶対に認めなかった。ですから、通常の苦情相談、あっせんは市区町村の役割ということにして、広域のものだけ都道府県の役割としたというお話だったわけです。
 それで、やはりそうかと私は思ったのですけれども、このままいくと、今後法律を変えるとか予算を取るという話になったときに、この二重行政が障害になると思われるわけです。それは、前回稲継委員が最初におっしゃったところがすべて引っかかってくるので、この二重行政議論というのは避けては通れないと思われます。
 さらに今、私がぐちゃぐちゃだとお話しした点なのですけれども、消費者安全法の広域という言葉の定義を見てみますと、広域というのは複数の市町村で発生した苦情を、広域的な見地の苦情だと言っているわけです。ところが、今の苦情相談の中身を見ると、苦情相談の9割以上は複数の市町村で発生しているわけです。ある訪問販売業者が幾つかの市町村で被害を起こす、ある食品、ある製品で複数の市町村で被害が起きています。消費者安全法第8条、第9条でまず市区町村がやるのだと整理していながら、広域的な苦情は9割以上あって、実は都道府県の任務にそれが入ってきている。市区町村は、1つの市区町村の中での苦情だという話なら、市区町村の任務としては1割ぐらいである。
 ところが、それは今、御説明のあった都道府県と市区町村の受けている苦情の割合ということからも矛盾していますし、それから現在の相談体制とも矛盾するわけですね。ですから、基本法と、安全法と、苦情の実態が複数市町村あるいは複数自治体で起こっている実態というものが、全く整理されていないところに、また更に二重行政の批判がかぶさってきていて、もうどうにもならない状態に来ていると思われます。
 それで、先ほど申し上げた消費者委員会事務局の論点は、このどうにもならない現状を維持したまま、何か少し工夫したらいいのではないかみたいな論点になっていますので、それは奥行きをすごく深くとって、どういうあり方がいいのかということを一から論議していただかなくてはいけないのではないかという発想です。
 奥行きの点が3つあります。今の二重行政が1つ目です。
 2つ目が、私、まだ意見が持てないので、行政法や行政学の先生方に、今日でなくても次回以降に是非教えていただきたいのですけれども、1つは、自治体の消費者行政は、県境や市境を超えた利害の調整をやっているわけです。今の田中さんの熊本の例で言うと、熊本市民の苦情というのは、例えば東京や大阪の業者と熊本市民との紛争を、熊本市の消費生活センターがあっせんということで利害の調節をしているわけですけれども、それが県や市の仕事なのかというのが私、疑問なのです。ほかにこういう市境、県境を越えた利害の調節を県や市という自治体がやっている例があるのかどうかという辺りをお聞きしたいというのが1つあります。
 もう一つお尋ねしたいのですけれども、あっせんという仕事があるわけです。それは、消費者が相談に来ると消費者の話を聞いて、今の利害の調節で業者の話も聞いて、それで消費生活センターは事業者を説得しながら、こういう形で解約してほしいとか、こういう形で賠償してほしいとか、いろいろ詰めてやっているわけです。
 このあっせんが公権力の行使なのか、単なる情報提供サービスなのかというところの位置付けは、消費生活センターが行政機関としてやるべき話なのか、公の施設としてやるべき話なのかというところと関係してくる話になってきます。その辺りの、昔でしたら事実上の行政指導という位置付けだったわけですけれども、今は行政指導という概念もかなり変わってきていますので、そこはどちらの性質を、あるいは混じっているのかもしれませんけれども、この辺りを次回でも是非教えていただきたいなと思います。
 3つ目が役割分担の組み方の話になります。
 私ばかりしゃべっていてもいけませんので、資料5の2枚目の表だけみてください。
 消費生活センターは、国がやるべきだ、県がやるべきだ、市がやるべきだと言っても、イメージがなかなかわきませんが、分担の仕方としては、身近なところにたくさん実例があるわけです。消費者行政は、左上の1番の形で、ある意味では二重行政なのですけれども、ある意味では空白地帯、小規模の1人体制、2人体制が、ごちゃ混ぜになっているわけです。しかし、病院にしろ、労働基準監督署にしろ、警察署、児童相談所、保健所、福祉事務所、消防、学校といういろいろな組み方があるということになります。
 これらの何がメリットがあって、何がデメリットなのか、どれに近付けていくべきなのかといった辺りの議論を是非この調査会で、かなり大がかりの議論ですけれども、やっていくことによって、国の支援とか措置のあり方とか、いろいろなものにつながっていくのではないかと思います。一々読みませんが、病院から学校まで、消費者行政以外の7つについては、すべて国の法律で国の金が出ていますし、配置基準なり業務基準が設定されている。何もない放任状態というのが消費者行政だけであるということが、このイメージ図で言いたかったことになります。
 以上でございます。

○片山座長 今の論点というか、提言について何かコメントありますか。

○櫻井委員 ちょっと関連するかもしれません。問題意識がちゃんと正確に理解できているかどうかわからないですけれども、私が持っている問題意識は、まず前提として消費者基本法と消費者安全法の比較をされたのですが、消費者基本法は理念法なので、矛盾とかいう話ではないのではないかという疑問が前提としてあります。
 それで、今の議論で私自身も疑問に思っているのは、1つは相談という活動が一体何なのかということで、もう一つ苦情処理という言葉がありますけれども、これが混然一体になっているところがあって、その辺りの整理が多分必要ではないか。
 委員会のペーパーにもありましたけれども、例えば相談と言った場合にも、民・民関係の相談という話と、それから行政の対応がどうかという視点の二通りある。それは官と民の関係ということになりまして、恐らくちゃんぽんで言葉を使っているのだと思います。それから、苦情処理ということになると、普通は職権行使についてどうかという形のところを念頭に置きながら、しかし実際には多分民・民も入っているのですね。なので、このあたりの概念の整理がおそらく必要で、そうした上で行政の性質が違ってくるのではないかというのが1点あります。
 もう一つは、専門性に関する議論があって、さっき消費者相談員の専門性という議論もありましたけれども、消費者行政の専門性というのは一体何なのかということがやや疑問でして、基本的にはゼネラリストだろうと思います。そうすると、スペシャリストと言っても、たこつぼ的なスペシャリストとはおそらく違いますので、どういうレベルで、どういうベースで、どういう視点で専門性を要求していくのかによって、市町村と都道府県と国を入れるか入れないかというところが変わってくるのだと思います。
 それで、田中さんのペーパーもそうなのですけれども、県までは書いてあるのだけれども、実際にはいろいろな相談を受けた場合に、一般消費者の相談というのは、例えば大村先生の本に書いてあるのは、話を聴いてもらったということ自体が目的であって、それで満足して終わる相談というものが基本的にあるということから説き起こされているのですが、そこから非常に高度な法律解釈をしないといけないという事例まで入っております。
 そのような問題についてはそう簡単には相談に乗れる人はそれほどいなくて、かつて問題点を理解して、どういう数値を具体的にとるのかというところまでおそらくつなげていかないといけないのですが、そういうルートというのは、多分都道府県でもちょっと足りなくて、最終的な権限とか法律をどうするかという辺りになると、基準も含めて国の方が関与していかないとできないところがあるので、そこの縦の軸みたいなところも含めて、二重行政云々というお話がございましたけれども、そこの整理をやらないと多分だめだろうと思っています。
 それで、この間、聞いて、大変興味深いと思ったのは、警察の苦情処理制度というものは、警察の不祥事が起きた後に換骨奪胎して新しい仕組みをつくったのですが、それだと相談から入って、苦情処理みたいなことをやるのですが、最終的に全部本部長まで上げているのだそうで、全国で7,000件ほどあります。そうすると、本部長が全部見ますので、本部長は国の役人ですね。だから、そこは県でありつつ自治事務なのですけれども、ちゃんと実際に措置を具体的にやるところまでやっていて、随分うまくいっているのだと胸を張っておられましたけれども、最後、そうしたことも視野にいれた仕組みがあると、実際に機能する。それから、非常に深刻な案件というのも多分入っているので、そういうものについての対応が生きるのかなという感じがしています。そんなことで、もう一回再整理を全体にしないといけないのではないかという感触を持っております。

○圓山委員 いいですか。

○片山座長 はい。

○圓山委員 今おっしゃった苦情相談は、消費者と事業者の間の利害の調節はあるのですけれども、そこで発見された問題を国の施策に反映してゆくというのは消費者安全法の中にも入っています。後ろの方の条文ですけれども、都道府県知事から要請するという話が入っているわけです。それは、市町村と都道府県の段階で苦情相談を聞いていて、これは例えば国の通達がおかしいから、国の政令がおかしいからうまくいかないということは、そこで論点を形成して都道府県から消費者庁に要請して、消費者庁が司令塔になって各省庁に働きかけていくというルートは既にでき上がっているわけですが、なかなかそれに見合うところまで行っていないというのがあると思います。
 そっちの行政に対する手口ということも含めて、いわゆる相談、苦情、あっせんという行政への措置要請みたいな形のところをどう仕組んでいくのかということを念頭に置きながら、是非御議論いただきたいと思います。

○片山座長 ここの地方消費者行政体制を中心に議論する場で、一から全部やりましょうというと、多分無理だと思います。さっき櫻井さんが言われた、行政法の中でどういうふうに位置付けるかというのは、この地方消費者行政の問題というよりは、どっちかというと国が解決すべき問題だと思います。それを前提にして、地方消費者行政体制をどう整備すべきかという整理ではないかと思います。ここだけで全部やるというのは、多分無理だろう。
 もう一つは、新しい法律ができて、国が体制を整えて、では地方消費者行政体制はどうなっているのですかという問題意識だから、法律を変えてしまいましょうというのは、それは立法論として多分あるのだと思いますけれども、ここの仕事ではないのではと思います。というのは、いろいろ文句はあるだろうけれども、新しい法律のもとで地方消費者行政をどう体制を整えていくかというのが多分ミッションではないかと思います。
 勿論議論として、今のいささか中途半端な地方消費者行政をめぐる法制というのは問題がありますよという問題提起はいいと思いますけれども、どうあるべきかという2枚目のペーパーのようなことを中心にやるというと、多分ミッションを外れると思います。だから、こういう方がいいのではないかという議論がありましたとか、そういうことはいいと思いますけれども、正面からとらえるのはどうかと思います。あくまでも今の法律のもとで、地方消費者行政体制はどうあるべきか。どういうサポートとか、どういう工夫とか、場合によってはどういう若干の規制があり得るのかということに論点を絞らないと、ちょっと拡散してしまうのかなという印象を持ちます。

○山口委員 よろしいですか。

○片山座長 はい。

○山口委員 圓山さんがおっしゃったような枠組み論を現実に議論していると、確かに切りがないと思います。ただ、市町村の相談業務と県の相談業務、それから国民生活センターでやっている相談業務、この3すくみといいますか、この3つの役割分担をどうしたら一番効率的かつ機能的にいいのかという観点は、ここで是非議論していただければと思います。

○片山座長 それは勿論です。ですから、今、例えば地方で言うと、都道府県と市町村がそれぞれやることになっていて、若干の仕分けはあるけれども、それこそごちゃごちゃになっている例はあるのです。それをどういうふうに整理すれば、効率的で質の高い行政ができるか、これは当然正面の論点だと思います。
 例えばこれから議論になりますけれども、似たようなことはほかにもあります。例えば図書館というのは、県立図書館を設けているのです。そうすると、市町村はそれでいいやということで設けなかった。でも、それではいけないというので、近年市町村がどんどん自前の図書館を設置しているのですけれども、では県の図書館は何をやるのですかということになり、二重行政の批判を受けたりしているのです。そのときに、例えば県は、県内の公共図書館のネットワークの中枢になるという気概を持つか、そういう体制を整えるかどうか、より高次の機能を持つ研修とか市町村の体制整備まで目配りするとか、鳥取県は実はそういうふうに脱皮していますけれども、この消費者行政の分野でも、県の役割というのは、市町村が整ってくればおのずから変わってくると思います。
 そういうものは、現在の法律の体系の中でもやろうと思えばできることです。そこに加えて、さらに何か法的な整備が若干必要かどうかというのは、当然これは議論しなければいけないと思います。という意味で私、申し上げました。はい、池本さん。

○池本オブザーバー 池本です。今のどういう視点、どういう論点を議論すべきかということに関連して、資料7-3をご覧いただければと思います。
 中ほどから下、「今後の在り方」というところに論点1、2、3と分けておきました。先ほど消費者庁からの報告、資料2の中でも、各市町村で広域的なセンターを設けている、こういう工夫があるという報告がありました。これは、市町村の窓口を拡充・強化するための一つの方策ということで紹介されたものだと思います。
 総体として、今の相談窓口では不十分だ、もっと強化すべきだという共通認識、現状認識というのは、前回、前々回で共通認識になっているべきところ、これもさらに若干の補充が必要だと思いますが、むしろ今後どうするかということこそ、ここで議論していただきたい。その場合に、市町村ごとに相談窓口を設置する方向で努力している自治体もあります。埼玉もそうです。他方で、広域的な窓口を設置しようという動きがあります。将来像として、あるいは本当に効果的な窓口としてどういう方向があるべきなのかというとき、先ほど圓山委員から指摘されたような他の分野も視野に置きながら、あるべき論を議論していく必要があると思います。
 問題は、各自治体で一生懸命頑張っているところはいいのです。そのどっちもやっていないところがまだまだ多い。だからこそ、論点2で言うと、例えば活性化基金。3年間の基金は出ていますが、4年目以降の財政負担が見通せない現状では体制強化はできません。動きが鈍いというのがむしろ実態ではないか。だとすると、これから先をどういうふうに国として措置を講じていく必要があるのかということが、ここで議論すべき一番核心ではないかと思うわけです。
 そこで選択肢の例を挙げておいたのですが、これは自治事務なのだから、国が措置基準とか財政的措置を行うべきではないという考え方から始まって、どういうふうに設置するか、配置するかは自治体の判断にゆだねつつも、今ある活性化基金、活性化交付金を延長するような財政支援はどうかという選択肢もあるでしょう。あるいは、自治体などからよく出ている意見では、何らかの設置基準、それは目安的なものなのか、あるいは一定の義務化するようなものなのか、そういうものを設けてほしい。なおかつ、それを満たすような財政的な措置を講ずるという、この辺りをどう設計するか。さらに議論を進めていくと、先ほどの圓山委員の意見にもありましたが、相談業務を国の法定受託事務化して位置付けて、そうすれば当然設置基準とか財政措置も伴うことになる。その辺りの議論を進めていく必要がある。
 勿論財政措置のあり方というのは、窓口だけではないので、今日結論が出ることではないし、この一連の議論の中で最も核心に当たるところですので、まとめて議論していただく必要があると思いますが、さらに3番目に、県、市町村だけではない、国が動く。ただ、国がといっても、現場の相談窓口を支援するということになれば、国民生活センターの役割が重要でありますから、国民生活センターがそこへどう関わっていくというのが、さらに私の論点の3つ目ということになるのではないかと思います。

○片山座長 今の話を受けて言いますと、これは現行法では、さっき齋藤審議官が言われたけれども、自治事務という位置付けがあって、それを前提に地方の行政でやっていると思いますけれども、そもそもそこを変えるべきだということでしょうか。法定受託事務にして、もっと国の関与を強めるのだという選択肢も含めた検討の場という位置付けなのですか、どうですか。発注者に聴いてみたい。

○齋藤審議官 私自身が発注者かどうかというのは疑問があるのですけれども、消費者委員会でまずこの問題を受けとめて、消費者委員会から専門調査会をつくって、こういうことで御議論をお願いしたいということでマンデートを置いているわけです。消費者委員会でお願いしたいというときに、必ずしも現行の制度の枠内の中でだけ考えるというところまで絞ったといいますか、制約をかけておろしてこられたのでは、多分ないのではないかと思います。もう少し幅広い視野で御議論いただければということでおりてきていると思いますので、そこは現行制度の枠内でだけ考えなければならないということでは多分ないだろうと思います。

○片山座長 では、そういう前提で議論を進めましょう。

○稲継座長代理 先ほどの圓山委員のお話、非常によくわかりました。法制度そのものの議論はちょっと難しいかもしれませんけれども、資料5の2枚目の図が非常にわかりやすい。要するに、消費者行政というのは今、こういう状況に置かれている。他方で児童相談所とか保健所の方式はこうなっている。これは法律でこうなっているからそうなのですが、それに比べるとごちゃごちゃになっているのではないか。これを何とかしなければならないのだというお話だったと思います。
 特に、1番の消費者行政の空白地域の部分を、例えば機能連携する形で広域連携を図るような例。これは消費者庁の方から御説明いただいた資料2の中に幾つか出ていたと思いますけれども、こういった例ですとか、好例、先導的な事例があるので、それをもう少し発展させるようなことをここで提言していくことも必要だし、他方で二重行政とここに書かれていることで言うと、先ほど田中さんの報告で言うと、熊本市の場合には潜在的な消費者相談の部分はゼロだと。そういうところについては、県の方は引くべきところですね。そういったことをいろいろ考えられる、非常におもしろいといいますか、頭の体操になる図だと思います。
 この図の中で、一体どこの部分を強化して、どこの部分を引いていって、どこで市町村と県と国民生活センターとの間の機能連携をうまく図っていくかということを考えて、それを提言していくのがここの場所ではないかと思います。そういう意味では、この図は非常にいい原点になるのではないかと思いました。

○片山座長 いかがですか。はい。

○国府委員 発言のタイミングが少し遅れていますが、先ほど座長が圓山委員なり櫻井委員の御発言に対して、そういう基本的な議論が今後できるかというお話だったと思います。確かに予定されている回数なり時間的な制約なりからすると、消費者行政なり苦情・相談をめぐる基本的な議論というのはなかなかしにくいという問題はあろうかと思います。
 ただ、私はこういった問題を議論する我々委員が、現状をこのように少し変えたらよくなるだろうということだけにとどまらず、もう少し根本的に共通認識をつくりながら議論する必要があるのではないかと思っております。というのは、先ほどの甘利さんからの御報告の中で、被害を受けた人のうち13.5%しか消費生活センターに行っていない。30数%の人たちは泣き寝入りをしているという現状がある。これは、まだ被害の掘り起こしが十分でないという問題があると思うのです。
 それから、田中さんが熊本の例を報告されていたのですが、県のセンターが相談を受けて、市町村窓口が十分機能していないところ、つまり県への依存度が高いところというのは、人口比にして相談件数が0.2%とか0.3%ぐらいなのです。これは大阪などでもそうですが、市町村のセンターがそれなりに相談受付をしっかりやっていて、府への依存度が低いところは、人口比で大体1%強。つまり、人口1万人当たり100件の相談。依存度が高いところは相談件数の人口比が低い。つまり、市町村にセンターがないところは、それだけ被害の掘り起こしが進んでいないという問題があると思います。そういうところで、我々は被害の掘り起こしが必要なのだということを確認するということが大事だと。
それから、これまで消費生活センターが設置されてきたという歴史的な経過があるのですが、法律的な定めというのは、先ほど圓山さんが言われたように、かつては消費者基本法にしか規定がなくて、そういったものについて法律的な定めがないまま、事実上、設置されていたところがあるので、この機会に苦情処理とは何かとか、相談を行政が受けるというのは一体どういうことなのかという、櫻井委員が言われたようなことも含めて整理する必要があるのではないかと私自身は思っております。
 それで、我々のミッションとしては、今後、消費者安全法ができ、消費者庁が設置された4年以降の制度のあり方を見直す。国は、パラダイムの転換ということで消費者庁ができたのだけれども、地方をどうするかというのが消費者庁設置のときの議論として積み残しになったので、それを我々がやっているのだと考えると、根本的なところについても少し議論するような機会を、何らかの形でもう少し時間を設けていただきたいなと思います。

○片山座長 いかがでしょうか。はい。

○櫻井委員 私の言い方が悪かったかもしれないのですが、そんな大きい話をするつもりはあまりなくて、立法ということではないのですが、要するに現行制度の中で相談業務は事実上行われているものであり、それは公権力の行使でも何でもありませんので、それのネットワークの構築というのは現行法の枠内でいかようにも工夫の余地があるということで、頭の整理としてどうするのかということにむしろ主眼があって発言したということでございます。
 それで、例えば池本さんのペーパーを見ても、法定受託事務にするみたいな話は、これは消費者問題はべたべたの自治事務だと思いますけれども、法定受託事務にするとか相談員を国家公務員にするとかいう議論は、私からすると荒唐無稽な感じもしまして、そんな話ではなだろうというところで、もうちょっとミドルレンジのスペックで考えていくというのが穏当ではないかと思います。
 それから、さっきちょっと申し上げましたけれども、圓山先生のペーパーはわかりやすいのだけれども、ちょっと違うかなという感じがしているので、改めて私の方でも整理してみたいなと思っています。

○国府委員 櫻井先生と私とでは、相談についてのとらえ方が違うと思います。私は、例えば資料4「相談ネットワークのあり方に関する論点について」という中で、第2項の「都道府県が相談業務を行う意義は何か」というところで1つ抜けているのは、「事業者規制の法執行権限を有する都道府県が相談を事業者規制につなげる」という点だろうと思います。都道府県というのは事業者規制などの法執行権限を持っている。そういう権限は市町村にはなくて、都道府県にはあるのです。私は、こういう都道府県こそが直接相談を受ける中で、身近に被害の情報を得るといった中で、これを法執行につなげていくという意味があると思います。
 ですから、苦情処理なり相談というものを、交渉力に格差のある消費者に行政があっせんで助力して、それで事業者と対等の力を持って交渉するといった場を提供するということだけではなくて、そこで得られた情報を法執行なり、それから政策の企画立案につなげていくという意味で、国なり都道府県の基本的なインフラという役割があるのだという位置付けをきちっとする必要があるということ。そうすると、場合によっては、これは国の機関にすべきだという議論にも発展する可能性はあるのではないかと思っています。

○櫻井委員 おそらく意見は基本的には変わらないのですが、最後の出口は違うのですけれども、県と市町村の権限はもともと違うので、そして法執行ということを言ったときに、これは法定受託事務であれば処理基準というものがあるし、自治事務であれば技術的助言という形で、国は実際上の執行基準を定めていますから、そういう意味では、ちゃんとやるというときに国がどういうことを言っているのかということを視野に入れないと、相談業務自体も有効に機能しないということはあると思います。
 だけれども、そのことが一足飛びに法定受託事務にするかというと、そこは少し飛んでいるかなということなので、その辺りが多分共通点と違いではないかと理解します。

○山口委員 国府さんの言っているのは、どうもまどろっこしくてよくわからないのですが、端的に例えば池本さんの資料7-3の論点2についての選択肢がマル1からマル5までありますが、マル3辺りのところでこの調査会で合意ができるのかできないのか。マル3ではとんでもないよということなのか、せめてマル3まで行こうよという話なのか、この論点は率直な議論によってとりまとめができないのでしょうか。私は、マル3が落ち着きどころかと思っているのですが、決して別にこだわっているわけではないです。そこら辺、端的にマル2かマル3かマル4辺りで、勿論マル1というのもあるかもしれませんが、どうなのか。この論点について、当調査会で知見を集めて議論してほしいのです。一定の方向を出すことは、この専門調査会でできないのでしょうか。

○片山座長 それは、議論の成り行きによって、そうなるかもしれませんが、最初から結論を決める話ではないと思います。はい。

○齋藤審議官 済みません、ちょっと事務局から。今、山口委員がおっしゃいました点は非常に大きな論点で、ただ、片山座長がおっしゃいましたように、かなり結論部分に近いところでございますので、今日は相談のネットワークの議論をしていただいておりますけれども、この後、情報のネットワークの議論もありまして、情報をどうやって集めるかというところの事務というのは、相談の事務とはまた違う性格を持っておりますので、そういったところもあわせて御議論いただく必要があると思います。
 それから、本日、お休みの委員も何人かいらっしゃいまして、またいろいろな御意見もお持ちだろうと思いますので、そういう委員の御意見も聞いた上で、最後はまたどこに落ち着かせるかという議論に発展していっていただいたらよろしいのではないかと思います。

○下谷内委員 圓山先生とか、いろいろな大枠のところの話は出ておりますが、私は相談員の立場といたしまして、現在の法律の中でどうあるべきか、そして平成24年度以降をどう考えるかということが、この専門調査会の役割であろうと思っております。
 そういたしますと、今回3回目と4回目に相談ネットワークの強化といって、このスケジュール表を見るとかなりきついものですので、論点をこの中で絞っていくような形にしていかないと、最終的に出ないと思います。現場といたしましては、平成24年度以降どうなるかというのを非常に心配しておりまして、平成24年度以降、本当に財政支援ができるのか。そしてまた、消費生活センターが活発に動けるのかというのがなかなか見えてこないという不安があります。
 センターに1日だったのを2日にしたい。そこには、勿論PIO-NETは入っておりませんが、新しくセンターをつくる、それを大きくしたいということをお考えになったときに、そこの行政の方がおっしゃるのには、やはり平成24年度以降はわからない。ともかく平成23年度までに4日開設すれば、PIO-NETも入りますし、相談業務もきちんとできるというお話をいたしましても、24年度以降が見えないということで、非常に不安感を抱いていらっしゃいます。
 そういたしますと、相談のネットワークの強化といいましても、先ほど田中委員がおっしゃられましたように、PIO-NETが入力されないという問題が出てまいります。資料8の今後のスケジュールに、相談のネットワークの強化というものが出ておりますので、余りに法律的なところとかではなくて、ここの中でどうあるべきかということを検討していただければ、地方にいる者にとりましても、少しは安心して意見も言っていけるのではないかと思っております。是非そこのところをよろしくお願いしたいと思います。

○圓山委員 反論があるのですけれども、相談員の多数派の方は今の法体制ではどうしようもないから法律を変えてくれとおっしゃっていると思います。
 それから、今の法律の枠内という御発言がありましたけれども、消費者庁設置法の附則のことが忘れられていると思いますけれども、設置法の附則は、消費生活センターの法制上の位置付け並びにその適正な配置及び人員の確保、消費生活相談員の待遇の改善その他の地方公共団体の消費者施策の実施に対し、国が行う支援の在り方について所要の法改正を含む全般的な検討を加え、必要な措置を講ずるものとする、と定めています。そのミッションに従って消費者委員会で論議が始まって、この地方消費者行政専門調査会に付託されていると思っています。
 私は、法改正しないのであれば辞めたいと思います。この附則があるから、私は希望をつないで制度改正について議論に参加するという気持ちになっているということです。

○下谷内委員 勿論制度改正につきましては、相談員も非常に期待いたしております。検討の中でそれが進んでいくべきことではないだろうかと思っております。初めから法改正ありきでやるのではなくて、今、検討する中でどのような法改正をするべきかということを検討していくのではないかと私は思っておりますが。

○片山座長 はい。

○池本オブザーバー 資料7-3での選択肢というところをめぐって意見をお伺いしたのですが、法改正という言葉の意味がどうもひとり歩きしている。ここで言うとマル5の法定受託事務化ということと自治事務、そこに収れんし過ぎている気がするのです。むしろ全体としてどういう配置をし、どういう体制、窓口をつくるべきかという実質論がまずあって、それを実現する方策として、目安プラス財源措置で、それだけでも効果的なのか、いや、一定の設置の義務付けのようなものが必要だ。でも、義務付けまでするというのは、自治事務の中では行政法規の整合性上、だめなのか、できるのか。それでだめだとすると、法定受託事務化するのかという、いわば着地のための制度設計をどうするかという部分は、これは行政法の先生方の意見も含めて最終的にどう措置するかということですが。
 まずは、どうあるべきかというところの議論を先行させるべきではないかと思います。その関係でちょっと発言させていただきたいと思います。資料7-1をご覧ください。
 実は、4月17日に消費者団体、相談員団体などの有志で東京でシンポジウムを開いたときに、この相談窓口の拡充のあり方を議論した中で、このごろ広域センター構想ということが非常にアピールされている。勿論それをすべきでないという議論をしているのではないのですが、そういう動きと、それから各市町村に窓口を求めるという議論と、この関係をどう位置付けるのかというところを議論しました。
 そこの囲みのところへ要約してあるのですが、自治体の視点というのは、小規模な自治体では、費用対効果の関係で窓口を毎日つくるほどのニーズがないのではないか。それほどの財政負担も難しい。それから、相談員もひとり体制での相談処理とすると、なかなか困難な案件の処理が難しい。隣にもう一人相談員がいて議論したり、あるいは職員のバックアップもしっかりあってほしい。あるいは、週1日2日では継続相談がしにくい。相談員の視点からすれば、そういう意見を聞きます。
 他方で、住民の側、利用者の側からすると、困ったときにすぐ駆け込める身近なところに窓口がある。先ほど田中委員からもありましたが、高齢者とか市町村には、直接駆け込んで書類を持ち込んで相談できるところがある。これは電話ではなく面談の利点ではないか。そして、もう少し視点を広げると、相談の掘り起こしというときには、相談者、消費者個人が直接窓口を知って、そこへ行くだけではない。例えば高齢者の福祉の部門などでキャッチした情報を相談の方へ回すとか、あるいは税金の滞納とか、ほかの部署でキャッチした情報で多重債務者を発見してこちらへ回すとか、そういう相談の掘り起こし。
 逆に、新しい手口で、こういう問題に気を付けましょうというときに、それを町内会とか婦人団体とか、地域のネットワークに情報を広げていくということ。このように情報を集め、あるいは情報を伝えるというのは、基礎自治体ならではではないか。相談業務というのは、先ほど国府委員からあったように、その情報を活用して事業者規制をするという法執行の面もありますが、まずは情報を集め、あるいは提供するという部分もあるわけで、その意味では、各市町村の窓口をということを余りおろそかにすべきでない。むしろ、広域窓口をつくれば、あそこがやってくれるのだから、うちはつくらなくてもいいとなっては逆効果である。
 ちなみに、資料7-2で言いますと、埼玉県は各市町村に窓口をつくるという方向で取り組んでおります。現在64市町村ですが、そのうち61の市町は平成23年度末までに週4日以上の窓口、いわゆる消費生活センターにする。残り3つも、2~3日の相談窓口はつくることになっています。
 勿論、その中には、単独でつくるところと委託方式、中央市で集約する委託方式、あるいは複数のところでお互い融通し合う協定方式もあるのですが、注目していただきたいのはマル3で、人口2万人未満のところの4町、一番少ない1万2,000人台のところでも、単独で週4日以上つくろうという方針を打ち出して進めているわけです。
 その意味では、基礎自治体ならではの力量というか、広がりを活用するという点も是非考慮していただきたい。最終的に設置の目安になるのか基準になるのかわかりませんが、つくっていただくときに、余りハイレベルのもので地方自治体ではなかなかつくれないようなものではなくて、多くのところがつくりやすいものと、それから機能とのバランスをどう見るかを是非議論していただきたいと思います。

○片山座長 もうそろそろ時間がなくなりましたので、今日のところは収束に向かいたいと思います。ちょっと議論が余りにも拡散し過ぎると懸念しています。時間的制約もありますから、どこかで絞っていかなければいけないという気がします。
 それで、私の感想を申しますと、櫻井さんもさっき言われていたのですけれども、この種の業務というのは余り類型化されないといいますか、自然発生的な行政ニーズなのです。だから、例えばすぐれて法的な整理が必要な面があり、行く行くは裁判になるケースもありますし、さっき言われたように話を聞いてもらうだけでもいいとか、池本さんが言われたように、ちょっと何かあったときに相談できる窓口が欲しいとかというケースもある。非常に多様なニーズだと思います。
 そうすると、こういう類の事務は自治事務で、基礎的自治体を中心にした事務になじむのだろうと私は経験上、思います。国家事務としてきちんと規制して、基準を全国津々浦々張りめぐらすような問題では余りない。そうすることによって、多分却って質の低下を来すのだろうと思います。まさに基礎的自治体の市町村が創意工夫を凝らして、実態に合った行政サービスを提供するということだと思います。これは理想なのですが、なかなかこれが自治体の認識が付いてきていないという実態もあります。恐らくは、多くの自治体では、多分国からいろいろ言われているから、しょうことなしにやっているところもあるし、できればどこかがやってくれるなら、自分のところはちょっと店じまいしたいと思っているところもある。だから、多くの自治体では重要な分野だと思っていないという例が現実にあるのですけれども、そこをどうするかということだと思います。
 自治体がちゃんとやってくれるのが一番いいのだけれども、ちゃんとやろうという認識がなかなか高まっていない。そのはざまで相談員の皆さんが非常に苦労している。処遇もそんなに恵まれないしという状況だろうと思います。そこをどういうふうに打開するかということが一番大きな論点ではないかという気がします。
 田中さんが熊本県はお金がないと言われましたけれども、そんなことないですよ。整備新幹線にいっぱいお金を出しているのです。

○田中委員 ほかのところに使う。

○片山座長 だから、ないのではなくて、優先劣後で消費者行政は劣後しているのです。だから、そういうところに幾らお金を付けてあげても余り関係ないのですよ。悪いですけれども、基金で乏しい金を付けて、それで細々と現場がやっているというのは、それは自治体の中でも無視されているということなのです。首長とか議員が本気で取り組みたい仕事は、国がそんなお金を出さなくたって、どっと自前のお金を出すのです。だから、そういうところの認識から変えていかないと、ちょっとお金を出したり、基準・規制をいっぱい設けたりしても、結局は仏つくって魂入れずになってしまうのだと思うのです。
 だから、迂遠なようでも、自治体の切実なニーズ、弱い立場にある人たちのニーズにこたえるようなリテラシーを高めていくということを本当はやらないといけないだろうと思います。それは、決して法律とか規制と無縁ではないけれども、それが正面ではないわけです。私などは、そこが一番の論点かと思います。
 そうしますと、今、統計上は例えば相談に行く場所がない人が3割いるとか、潜在ニーズがどうもあるらしいというのは、それはわかるのですけれども、それを具体的な自治体に突き付けた場合にあまり説得性がないのです。うちはちゃんとやっていますとみんな言います。適切に措置しています。予算も人員も付けているし、そんなことをいろいろ中央から言われなくていいというのが基本的な態度です。そうではなくて、お宅の自治体の住民はこんなに困っていることがありますよということがリアリティーを持って提示できるものがないのかなと、私などは思うのです。ですから、もしそういうものがあれば優先的に出していただきたいと思います。
 あとは、非常に多様な住民の皆さんのために、とりあえずどういう体制が整えられたらいいかというのが1つの大きな、さっき池本さんが言われた論点で、そんなところから始めたらわかりやすいのではないかと思います。はい。

○池本オブザーバー すみません、時間が余りないのですが、前回、座長が最後におっしゃったところも今、御指摘があったことだと思います。
 参考資料1をご覧いただきたいのですが、これは平成20年度国民生活白書の103ページと打ってあるところ。先ほどから話題にも一部出ていたのですが、2007年度、平成19年の消費生活相談に係る契約金額がわかるものを集計して、未払い金、既払い金、合計すると被害総額が3兆4,000億円であるという莫大な数字です。この数字だけではわかりにくいのですが、実は同じ平成19年の地方公共団体の消費者行政予算の総額が109億円なのです。単純に割り振ると311倍です。勿論予算を倍増すれば、その相談が全部解決するという単純な話ではありませんし、逆に相談にあらわれているのは一部分で、潜在的なものはもっと多数あるということからすると、その経済的効果というのは大きいのではないか。
 これは、被害に遭わないという意味もあるし、それがもっと地域の有益な経済活動に還元されれば、二重に利益があるのではないか。個別の事案というよりは、経済的なデータということでも参考にしていただけるのではないかと思います。

○片山座長 それでは、今日は時間が参りましたので、これで終わりたいと思いますが、事務局から何かありますか。

≪3.今後のスケジュールについて≫

○原事務局長 すみません、資料8に今後のスケジュール案についてお示ししていますので、簡単に御紹介させていただきたいと思います。
 これは昨年12月14日に消費者委員会で地方消費者行政の充実強化を検討するに当たってということで、論点をまとめております。それを並べたものですけれども、今日は相談ネットワークの強化、第1弾ということでお話いただきましたけれども、その後、情報ネットワークの強化、ここで中間整理の上、消費者委員会報告となっていますが、この段階がいいかどうかは、まだ検討の余地があるかと思いますけれども、随時消費者委員会にも報告を上げていくということで、秋は関係法執行の強化、そして年末から基盤・環境の整備ということで、消費者教育啓発とか組織体制とか人材育成のあり方などを含めて全体的な議論をしていただいて、3月に提言案をとりまとめていきたいと思っております。
 一番大きな論点なのですが、下に論点1として掲げておりますけれども、消費者行政における国と地方の役割分担のあり方、今日も議論の中に出ておりましたけれども、各論点の検討の中で適宜御議論いただいて、最終のとりまとめに向けていきたいと考えております。
 以上、こういうスケジュールで進めてはどうかということの御提案をさせていただきたいと思います。

○片山座長 これはこれでよろしいですね。また何か途中でありましたら、可変的にしたいと思います。とりあえず、これを基本にやっていくということですね。最後に、事務局から。

≪4.閉 会≫

○原事務局長 今日は活発な議論をありがとうございました。次回の専門調査会ですが、7月28日水曜日の午前10時から開催したいと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。

○片山座長 それでは、これで終わります。

(以上)