山本内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成25年11月29日

(平成25年11月29日(金) 9:15~9:38   於:合同庁舎4号館7階742会議室)

1.発言要旨

 今日、閣議については御報告することはありません。
 今考えてみたら、今日の夕方の総合調整会議のことに言及すればよかったかなと思っているので、何らかの機会に発言をしたいと思っています。
 今日はいくつか報告があります。まず、一つは、「北方領土問題に関する特別世論調査」、この件は、過去の記者会見でも申し上げましたが、この調査の年齢別結果について資料を配付させていただいています。全体の概要はもう既に紹介してあるので繰り返しませんが、年齢別の分析を行いました。依然として若い世代の北方領土問題に対する認知度が低いということが改めて判明すると同時に、若い世代への返還要求運動への参加を促進する上で、やはりソーシャルネットワーキングサービス(SNS)等々が有効だという結果が出ています。今後、調査結果も踏まえて、国民世論の啓発等に努めてまいりたいと思います。詳細について、何かあれば北方対策本部の方にお問い合わせを願います。
 それから、明後日12月1日日曜日に、「北方領土返還要求中央アピール行動」が行われます。私は、北方対策担当大臣として日比谷音楽堂、これは野外音楽堂ですけれども、そこで開催されるアピール行進の出発式に参加をいたします。元島民などの参加者の方々を激励したいと考えております。これについても、詳細は北方対策本部にお問い合わせ願いたいと思います。
 それから、宇宙政策担当大臣として申し上げますが、大西卓哉宇宙飛行士の国際宇宙ステーションISSへの長期滞在が決定をしたということで、大変喜ばしいことだと考えています。ISSの参画は、我が国の国際的プレゼンスの発揮に寄与するのみならず、日本人宇宙飛行士が活躍するということで青少年の教育啓発効果を生んでいると思います。更に、他の宇宙先進国との協力を通じて新たな技術を獲得する機会としても重要だと考えています。大西宇宙飛行士の今後の活躍に期待をしております。
 それから、冒頭に申し上げましたが、「領土・主権をめぐる内外発信に関する総合調整会議」、今日の午後5時から6時まで、最初の会議を開催をしたいと思います。昨今、中国政府による防空識別圏の設定等々の問題もありますので、非常にタイムリーな開催になったと考えております。一つひとつの問題に対して日本の立場を内外に発信をする手段をしっかりと考えていきたいと思います。
 それから、EEZ(排他的経済水域)等の海域管理に関する法整備に関する法制チームの立ち上げの件ですが、本年4月に閣議決定された海洋基本計画で、一言で言うとEEZ包括法の整備ですね、これを進めるということが明記をされました。11月15日の記者会見でも申し上げたとおり、この法整備に向けて関係省庁としっかりと調整を行いたいということを申し上げ、できれば年内にこの法制チームを立ち上げて、閣僚レベルの議論も始めたいということを申し上げました。今、関係各省といろいろ事務方でも議論というか調整をさせていただいていまして、調整が整えばこの法制チームを開催したいと思っていますし、これは年内に是非行いたいと思っています。海洋政策担当大臣としては、これは海洋基本計画に明記された話ですから、法制チームの議論を通じて正式に検討を始めたいと考えております。
 最初の報告はそのぐらいで、今日も一口トピックといいますか、プレゼンを行いたいと思います。
 今日は、コンテンツの海外展開についてですが、事務局に力作を作ってもらったので、私はこのスクリーンのコンテンツについて言うと最高傑作の一つかなと思っているんですが、日本のコンテンツは今世界でブームを起こしております。より長期的な視点でブームを続けていくためにはどうしたらよいのか。日本全体、官民一体で盛り上げていくためにはどうするのかということが問題で、これから知的財産戦略本部で、その点について議論を開始していくということについて簡単にプレゼンしたいと思います。
 どうしてコンテンツの海外展開が重要なのか。コンテンツという知的資産を生み出していくためには、まず、継続的な収入が必要です。日本のコンテンツ市場は、人口減少等によって確実にこれから縮小していきます。一方で、世界は新興国を中心に大きく伸びることが予想されます。この日本のコンテンツのピンチをチャンスに変えていくために、国内市場はもちろん頑張っていくんですが、やはり海外で「稼ぐ」と、これがコンテンツ振興の鍵だと思います。
 コンテンツの海外展開というのは、これはコンテンツ業界だけのためではありません。コンテンツの強みは、他の商品への波及効果が高いということなんです。国内でも、これはコンテンツ市場11.2兆円と呼ばれているんですが、実は、関連産業への波及効果は22兆円と言われています。
 例えばポケモンですが、ゲームから始まってアニメ、映画、キャラクターグッズと関連商品をどんどん売ってきました。今後このようなキャラクターグッズだけではなくて、コンテンツの力で日本ブランドをしっかり形成をしていく。それを我が国の様々な、例えば製造業とかサービス業の海外輸出の伸びに結びつけていく、つなげていくということが大事だと思います。そのような意味で言うと、コンテンツの海外展開というのは成長戦略に直結しているんだということです。
 なぜ、海外展開が進まないのか。実は、コンテンツの海外展開はすごく伸び悩んでいるんですね。これは映画輸出合計金額、こちらは地上テレビ番組輸出金額なんですが、映画も放送番組等も全部伸び悩んでいる。これはなぜかということを申し上げたいと思います。
 一つは、海外に売れるコンテンツの不足、もう一つ言うならば、準備不足だと思うんですね。
 例えば日本の映画、この絵では権利処理の都合で、一応私が主演になっているんですが、やはり現地語の字幕がないと、海外のバイヤーには見てもらえないということなんですね。海外でいきなり日本のコンテンツは売れないんです。じっくりファン層を作っていかないといけない、このような努力は必要なんですが、プロモーションのイベントを行いたくても、ノウハウ、資金不足という問題があって、効果がわからないと投資はできないということで、これは海外の販促イベントですが、ローカライズ、プロモーション支援の助成開始ということで、J-LOP(コンテンツ海外展開等促進事業)の基金を設けて、字幕とか吹替えなどをつけるローカライズ、プロモーションを支援する制度を作りました。
 もう一つの大きな問題は、もう皆さん御存じのとおり権利処理なんですね。テレビドラマを例に挙げて御説明します。これを載せるだけでもきちんと事務局が交渉しなければいけないという大変なことなんですが、これは「カーネーション」というNHKのドラマで、今、ミャンマー等々への海外販売を準備中なんですね。これをこうして載せるだけでも大変なんです。でも、実は多くの出演者とかドラマの脚本家、様々な権利者がいて、BGM流れましたが、この音楽も権利関係があるということで、このような一つひとつ全てについて権利者との契約が必要なんですね、海外ドラマを販売するにも。政府はこのような契約処理を、円滑にするための組織、これはaRma(一般社団法人映像コンテンツ権利処理機構)というんですが、これを設立して今、出演者についての権利処理をまとめて行えるようにしました。
 「あまちゃん」と、これは「カーネーション」ですかね。もう一つの問題は、リスクマネーの供給なんです。海外展開の成功事例はあるんですが、販売価格が国内価格に及ばないということなんですね。例えば「風雲たけし城」とか「SASUKE」、これを見ると150カ国以上で売られている。ドラマ「仁」も世界80カ国で放送された。日本のコンテンツは人気のあるものはあるんです。でも、実際ドラマを海外の放送局に売ろうとしても、本当にヒットするかどうかとは別なんですが、普通の売値が1本10万円程度ということで、この収入では放送枠の購入イベントを打つことができないということで、事業者のリスクテイクを後押しするために、今週月曜、私もこれに出てきましたが、クールジャパン機構が始動いたしました。ジャパンチャンネルを作ったり、放送枠確保等の事業をしっかり出資してサポートするということです。
 これ、「美男<イケメン>ですね」。「韓流」成功の原因、要因というのは、やはり政府の全面支援だということなんですが、ここが一番のキーだと思います。私は韓流ドラマは韓国研究のために時々見ております。
 結論から言うと、「官民一体」の取組が必要だということで、特にコンテンツの海外展開は経産省、総務省、文科省、観光庁、外務省、様々な官庁が連携して取り組まなければいけないと思っていまして、そこで、知的財産戦略本部が、各省連携の司令塔となって必要な施策を進めていくとここに書いてありますが、そのような役割を担っていくということで、本年6月の「知的財産政策ビジョン」においてコンテンツの海外展開の様々な政策課題を打ち出しております。
 政府の支援ツールが一通り揃ったということなんですが、月曜日のファンドを含めて、放送コンテンツ海外展開促進機構というものもできたんですけど、一通り揃った。いかにしてこのようなツールを効果的に活用するのか。足りないものは何かということを常に自問自答していかなければいけないと思います。この四つの柱で戦う体制は整ったのかなと思います。
 知財本部の「検証・評価・企画委員会」で12月に検証をするということで、立ち上がりましたので、これからしっかりここで議論をしていきたいと思います。コンテンツ業界からも相当有力な方々に参加をしていただいております。
 新たな政策の課題として、例えば最初に申し上げた「日本ブランド」を構築して、産業全体への波及効果を狙うというテーマがあります。日本のコンテンツ産業が海外展開に当たって身近な資金を調達していくためには、日本の輸出産業にスポンサーになってもらわなければいけないということなんですが、輸出産業はかなり厳しい目でブランド作りを考えているということで、どのようなコンテンツが売れると産業の輸出につながるのか、これはコンテンツ業界、それから広告業界、商社、製造業などが膝を突き合わせてブランド戦略、マーケティング戦略をしっかり練ることが必要だと思います。このような今後の課題について、先程紹介した評価委員会は、年明け以降も知財本部で議論を続けたいと思います。
 今日のプレゼンは以上ですが、各部局が結構競っていいものを作っていただいているんですね。この後ろのこの辺のところも少し凝っているんですが、更に進化をさせていきたいと思います。
 以上です。何か御質問があればお受けしたいと思います。

2.質疑応答

(問)科学新聞の中村です。今のプレゼンの中で、知財本部の「検証・評価・企画委員会」、12月、これはいつ頃、12月の何日とかまだ日程は決まっていないんですか。
(答)4日、12日です。11月5日に立ち上げました。
 これで知財ビジョンのPDCAサイクルをしっかり回していくということですね。
(問)あと、宇宙担当大臣としてちょっとお聞きしたいんですけれども、先日の行政事業レビューで戦略本部が出している広域災害監視衛星ネットワークの開発整備運用、全体500億で来年度で80億。ただ、これ事業レビューの中でも出てきたんですが、まず、各省ニーズが、例えばあの中では財務省は各省ニーズをまず把握していない。安全保障関係に使うにしても、そっちの方のニーズはスペックが足りないから使えない。どこで使うかも決まっていないのに、80億円も要求しているという結果が出たんですが、そこら辺はどのように大臣受け止めていますか。
(答)前回も中村さんから質問が出たので、同じ答えになりますが、やはり行政レビューの結果は真摯に受け止めなければいけないと思います。ただ、これは宇宙政策委員会の提言の中できちんと議論をして出てきている話なので、私はこれは必要性はあると思っていますから、必要な予算の確保に向けて担当大臣としてこれからも努力すると、これに尽きると思います、現時点では。
(問)それでも、SIP(戦略的イノベーション創造プログラム)とかImPACT(革新的研究開発推進プログラム)で、これだけ厳しい中で何とか予算を確保しようとして、みんなエビデンスをいろいろ出しているじゃないですか。にもかかわらず、宇宙のこの予算についてはエビデンスがほとんどないというふうにしか見えないんですよね。そんなことをしていたら科学技術予算全体の信用も失っちゃうし、宇宙予算なんか要らないんじゃないかという、一般の国民から見てなっちゃうかと思うんですけれども、そういう体たらくと言ったらあれなんですけれども、そんな要求の仕方でいいんでしょうかという。
(答)それは先程申し上げたとおり、行政レビューの結果はかなり厳しかったので、これはしっかり真摯に受け止めなければいけないと思うんですね。例えば、そのような結果になぜなったのかというところは検証しなければいけないし、おっしゃったとおり、そこは反省しなければいけないと思います。ただ、このプログラム自体は非常に私は意義が高いと思っていまして、この厳しいレビューも含めてきちんと、ある意味でいうと再構築をし、今おっしゃったように、例えば、省庁間の連携についての認識がもし欠けているのであれば、そこはそれを高めるような努力は必要だと思います。その行政レビューの結果だけで言うと少しもちろん反省すべき点もあったのかなと思いますから、このプログラムの必要性をやはり担当大臣としてきちんと説明しなければいけないし、訴えていかなければいけないと思っています。
(問)共同通信の須江と申します。同じく宇宙に関連して、冒頭で大西さんのISS長期滞在について触れられておりましたけれども、宇宙基本計画で2016年以降の参加形態の在り方を検討すべきであり、費用削減について経費の圧縮を図るということが述べられておりますが、大西さんが滞在するのは、まさに2016年6月頃からということで、例えば、JAXAから配布された資料を見ますと、細かい点はこれからとはいえ、主な任務は、現在の若田さんですとかの時と変わらないようなことが予定されていると見受けられまして、その参加形態の在り方の見直し、経費削減について、現在のところ大臣としてはどのようなお考えをお持ちでしょうか。
(答)まず、有人飛行は意義があると思います。これは、ある意味でいうと夢とロマンを与えるという側面もありますし、実は各国との国際協力を進めるという観点もありますし、日本の宇宙分野におけるプレゼンスを高めるという効果もあると思うので、これはもちろん意義があると思うんですね。それは一方にあるんですが、やはり、実験棟「きぼう」、もちろんISSも日本政府としてはきちんと協力をしていくということは決めているわけですが、2020年以降はまだ決まっていませんが。そこは今の段階で言うと、実験棟「きぼう」の研究が競争力強化にどう結びついているのかということについてはあまり確たるものがないということで、これはやはり全体の状況を見ながら考えていかなければいけない。不断の経費削減というのもこの宇宙政策委員会の中で議論していますので、そのスタンスは現時点で変える必要はないというふうに思います。
(問)そうしますと、今の時点ではなかなか難しいかもしれませんが、こうやって2016年、多分、ISSの計画はいろいろその次のミッションもおそらく決まっていくわけで、日本としても「きぼう」を本当に産業につなげていくのであればどう活用するか、もう早い段階でいろいろ検討すべき時期ではないかと思いますが、具体的な動きなどはいかがでしょうか。
(答)これから、どのような形態で協力をしていくのかということは、各国にとってすごく大事なことだと思うんですね。それはおそらく中ではいろいろ議論していますが、これからだと思います。おっしゃったとおり、先をにらんで、日本政府としてこれからどのような協力をしていくのかということはきちんと検討していかなければいけないと思います。
(問)日経新聞の白岩です。今日開かれる総合調整会議について1点伺いたいんですけれども、冒頭に、中国の防空識別圏の問題もあって非常にタイムリーな開催だということをおっしゃっていましたけれども、今日の会議で具体的に防空識別圏の問題について、中国側が昨日ですかね、報道官が再三もう一回主張を繰り返していらっしゃいましたけれども、それに対して日本政府としてまとめて発信をそれに対してするというような、そういう議論もされる予定なのでしょうか。
(答)今日は1回目ということですから、今の内外発信の現状、各省の取組みのようなものについてまず、各省からきちんと説明を聞くと、そこから始めたいと思います。ただ、議論の中で、いろいろな防空識別圏をめぐる問題についても出てくるかもしれませんし、いずれにせよ、一つひとつの現象をきちんと見ながら、日本としていかに効果的に領土・主権の問題について内外発信をしていくかということをここで検討していきたいと思います。
 外交的にどのような対応をするかというのは、それはこの総合調整会議で議論するべき話ではないだろうと、それは外務省が一義的に行うべきことだと思います。
(問)NHKの高野です。
 北方領土の調査の関係ですが、若い世代の認知度が低いというのは5年前から変わっていないと思うんですけれども、この施策でどういうところに原因があって、どう改善しようと、例えば、教育の在り方にまで踏み込むとか、そういうことまで考えていらっしゃいますでしょうか。
(答)北方対策本部も、過去いろいろ努力をしてきたと思います。国内啓発についても、いろいろ知恵を絞ってきたんですが、やはり今回このような結果が出たわけで、やはり若い世代の認知度は総体的に低いということですから、ここをターゲットにしてしっかり働きかけていかなければいけない。これまでは、例えば先程申し上げたSNSのような若者の意識をどう高めていくかというところについては、少しいろいろな知恵を加えていく余地はあると思うので、とりあえずエリカちゃんのキャラクターも進化させていますが、SNSの発信というものを強化していきたいと思いますし、これから国内啓発についても少し新しい知恵を取り入れていきたい。とりあえず若い世代の人たちが、今回の調査でわかったことは、いろいろな問題を吸収するということについて、ネットの割合がかなり高いということなので、そのような状況も踏まえて、またいろいろな対策を議論していきたいと思います。
 ありがとうございました。

・説明資料(PDF形式:881KB)

(以上)