前原内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成24年11月20日

(平成24年11月20日(火) 10:25~10:43  於:内閣府本府5階522会見室)

1.発言要旨

おはようございます。私からは特にございません。

2.質疑応答

(問)前回の記者会見でもお伺いしましたが、金融政策についてのお考えをお伺いいたします。
 安倍総裁が非常に踏み込んだ発言を日々しておりまして、株価も上がり、円安方向に行き、安倍さんも非常に満足されているようなのですが、前原大臣も安倍さんも、強力な金融緩和を日銀に求めるという点では一致していると思うのですが、安倍さんが日銀法3条を、日銀の独立性をないがしろにしていて、前原大臣はそうではないということであるとすれば、同じように強力な金融緩和を求めていて、その違いはどの辺にあるのかを教えてください。
(答)一番大きな違いは、安倍さんが日銀法改正まで視野に入れて、政治が金融政策に介入しようとしていること。私は、日銀法改正ということについては極めて慎重です。やはり日銀の独立性は担保されなければいけないと思っております。
ただ、他方で日銀法2条においては物価の安定、そして日本の経済に対して責任を持つということ、そして、日銀法4条においては政府と日銀の政策協調が書いてある中で、日本の今の問題点は何かと言えば、デフレが続いていることなのです。物価安定に責任を持つということであれば、このデフレを放置している責任の一端は日銀にあると。しかも、2月の政策決定会合において、中長期の物価上昇率については、2%以下のプラスの領域、当面は1%目途にということを言っているわけですから、しっかりと強力な金融緩和を行う中で、それに向けて努力をしていくということが大事だろうと思います。
もう一つ申し上げれば、私は過去の日銀の政策決定会合に2回出席しました。もう1回目の議事要旨が出ておりますので申し上げますと、私は日銀だけにこのデフレ脱却の責務を負わせるということは考えておりません。日銀の役割は重要であるけれども、しかし、経済の体質転換が行われなければいけない。あくまでも日銀というのは金融緩和で、そして資金を使う企業側、あるいは個人があって、それがしっかりと使う、そして、新しい方向に日本経済を転換するために使うこと、こういう前提でなければいけないわけであって、金融緩和自体は目的ではないはずです。やはり大きな目的というのは、日本の経済の体質改善がなされること。だからこそ、我々は日本再生戦略をまとめて、再生戦略を実行する中で体質の転換を行っていくと。そして、日銀との協力ということでありますので、あたかも日銀がお札をたくさん刷って金融緩和をすれば全てが解決するということでは全くないというのが私の認識でございます。金融緩和の方向性については安倍さんと共通しているかもしれませんが、何よりも大切なのは日銀の独立性と、日本の経済の体質改善が根本であるということを申し上げたいと思います。
(問)自民党の政権公約でも非常にリフレ色が強いといいますか、そういった公約が出てきていますが、それについての御感想、御見解があれば教えてください。
(答)繰り返しになりますけれども、金融緩和を強力に推進してもらわなければいけないという点は我々が主張していた点であります。他党のマニフェストはどうかということについては、我々がコメントすることではありません。有権者の方が、あるいはマーケットの関係者の方がそれについてしっかりと評価をされるということが大事だと思います。我々民主党は金融緩和の必要性は認めながらも、また、日銀と政府のデフレ脱却の協調というものの必要性は認めながらも、日銀の独立性の維持と、日本経済の体質改善が必要であるということにおいて、自民党とは一線を画していると御理解をいただければと思います。
(問)その関連でお願いします。職務権限がない、総理になると目されてはいるけれども決まっていない党首の発言によって、市場が動くことについて、経済閣僚としての思いをお願いします。
(答)先般の会見でも申し上げましたけれども、若干私が危惧をしているのは、投機家の動きが発言によって見え隠れしている、そういった情報も寄せられております。マーケットというのは賭場の色彩がございますので、そういうもので実体経済がゆがむということのないように願っております。
(問)関連でお願いします。安倍総裁が土曜日に、次の日銀総裁人事についてインフレターゲットに賛成している人を選びたいとおっしゃいましたけれども、これについて受け止めと、改めて大臣が次期日銀総裁に求められていることがありましたら、お願いいたします。
(答)これは国会の同意人事で決まることでありますので、今、私がそれについてコメントすることはございません。先ほどお答えしたとおりでありまして、金融緩和の必要性については安倍総裁との認識は一致をしております。そして、デフレ脱却、円高是正をやっていかなくてはいけないということは一致をしておりますけれども、日銀の独立性の維持、そして日本経済の体質を改善することこそが本当の日本再生につながるという意味において、一線を画していると御理解をいただければと思います。
(問)30日に閣議決定される予定の第2弾の経済対策についてですけれども、省庁からは、今大型の案件を出すと、民主党の選挙対策に協力している形になるということで慎重にならざるを得ないという声を聞いております。大臣は9,000億円余りの予備費を全て使っても足りないとおっしゃっておられましたけれども、省庁がこういった理由で案件を出し渋っていれば、更にその規模が見劣りするようなことになろうかと思いますが、こういう事態に対してどのように受け止めていらっしゃるかということと、何か手を打たれることはないのでしょうかということをお願いいたします。
(答)今日の閣議後の閣僚懇談会において私は発言をいたしました。閣僚懇談会で発言をした内容についてお話をするということは異例かもしれませんが、お話をしたいと思います。
私は、野田内閣が続く限りは、この政権が、日本の経済に、あるいは国民の生活に責任を持たなければいけないと思っております。しかも、今、世界情勢の変化などによって、後から見れば景気後退になっているのではないかという足下は極めて厳しい経済状況になりつつある中で、今、我々野田政権がなすべきことは、できる限りの景気対策、経済対策を行うことであると考えております。したがって、もし今おっしゃるような役所のサボタージュが仮にあるとすれば、それについては、私は政治に空白は許されないという観点から、各閣僚がしっかりと必要な施策を出していただくことが大事なことではないかということを申し上げたところでございます。
それに対して、岡田副総理からは、日本の今の政治に空白があってはいけないし、この政権が続く限り、日本の政治に我々がしっかりと対応していこうと。今の経済下において対応することが必要だという話がございまして、総括をしていただきました。
仮に、12月16日に投票が行われて、新たな内閣ができる。そして、補正予算ということになろうかと思いますけれども、補正予算をまとめるのに数週間かかり、印刷にまた3~4週間かかるということになれば、相当先になると思います。そうすると、むしろ逆に、なぜあのときにしっかりとした対応をとらなかったのかという批判をむしろ私は生むことになるのではないかと思っております。もちろん、数さえ積めばいいという考え方には与しませんが、中身のあるもるのをしっかりとまとめ、足下の景気、下振れを何とか回避をするために、しっかりとした対応をとらせていただきたいと考えております。
(問)民主党が今まとめているマニフェストの関連で、野田総理が政策について、御自身のおっしゃっている方向性にきちんとついてきてもらうという趣旨のお話をされておりまして、一方で念書をとるような動きもあるようなのですけれども、これまで民主党というのは消費税まとめるに当たって、野田総理御自身が「熟議」という言葉をお使いになって、議論をして結果を出すということを進めてこられたと思うのですが、それにむしろ反するような動きを今回されているように受け止めておられる向きもあるのですけれども、それをどう御覧になっているかということと、なぜこういう動きが今回の選挙に当たって必要なのかということをもし大臣のお考えがあれば、お願いします。
(答)執行部が幹事長室中心に行われていることについては、私は全幅の信頼をしておりますので、幹事長室がやられることについて何もコメントはありません。他方でTPPが党内でマニフェストの争点になっているようでありますが、私が総理から伺っているのは、野田第三次改造内閣ができるときに所信表明で申し上げたTPP、RCEP、そして日中韓FTAを同時に進めていくという書き方をそのままお願いをしたいというお話であって、何も無理なことを私はおっしゃっているのではないと思っております。
自由貿易を進めるということは、我が党の柱でもございますし、しっかりと進めていかなくてはいけないことであると思っておりますので、最後はしっかりと議論をして、私も政調会長1年やらせていただいて、相当気長になったと自分でも思っております。いろいろな議論をし、そして最後はまとめる。そしてしっかりと腹を合わせて戦うということが大事だと思いますし、そういった一皮むけた民主党を見せるということが大事なことではないかと思います。
(問)安倍さんの話に戻ってしまうのですけれども、建設国債の日銀引受けということもおっしゃっておられます。これは、公共事業のあり方という問題とも絡んでくることだと思われるのですけれども、この主張について、大臣どのようにお考えでいらっしゃるでしょうか。
(答)詳しくどういう文脈でおっしゃったのかということについて私は承知をしておりませんが、仮に直接引受け、つまりは、国が国債を発行して、マーケットを通さずに国が引受けをするということは、私はあってはならないと思っております。
ただ、今でも例えば国債については、毎月1.8兆円ずつぐらい買増しをしています。そして、基金を設けて、そして全部合わせて、この間の日銀の政策決定会合で91兆円にまで拡大をし、その中枢にあるのは国債の買取りなわけでありますから、国債をマーケットから買っている。
我々が日銀の仕事は何ですかということを学校で勉強したときに、買いオペ、売りオペ、そしてそのころは公定歩合について責任を持つというのが日銀の仕事だという勉強をしたと思いますけれども、そういう意味においては直接引受けというのは、私どもはあり得ないと思っておりまして、あくまでも市場から買うということについては今でもやっていますし、我々としては金融緩和の一つの手段として日銀も努力をしていただいていると理解している。
しかし、円高是正、デフレ脱却という観点においては、強力な金融緩和を推進してもらいたいという観点に立って、さらなる日銀の努力を期待したいと考えております。
(問)革新的エネルギー・環境戦略について伺いたいのですが、来月、12月下旬にグリーン政策大綱や原子力委員会見直しの期限が来ると思うのですけれども、その工程表について、どういうふうに進めていくつもりなのか、お聞かせください。
(答)先ほどの経済対策と同様に、内閣が続く限りは、今の脱原発、そして再生可能エネルギーを広めていく、省エネをしっかりと日本の社会に定着させていく、そういった流れについては責任を持って進めていこうと思っております。
したがいまして、来週のどちらかの閣議の前後において、エネルギー・環境会議を開きまして、工程管理をしっかりとやろうと考えているところでございます。それに向けまして、原子力委員会のあり方、そしてグリーン政策大綱も今私の責任のもとで進めておりますし、どのような今進み具合になっているかということについては、しっかりと環境・エネルギー会議でお示しをし、また経産大臣、環境大臣、文科大臣が責任を持っておられる点についても、どれだけ進んだのか、12月に向けてどれだけ努力をしてもらえるのか。これをしっかりとお話をしていただこうと考えております。
(問)大臣、この後日銀の政策会合にお行きになると思うのですが、もう3回目になるわけですよね。
(答)3回目ですね。はい。
(問)これまでの2回と比べて、より一層訴えていきたいと思うことなど、具体的でなくていいのですけれども、どういった姿勢で臨まれるのか、一言いただけますか。
(答)繰り返しになって恐縮でありますが、日銀政策決定会合で何を言うか、何を言ったかということは言わないということになっておりますし、方向性としては円高是正、そしてデフレ脱却のために強力な金融緩和を求めるという姿勢は変わりがございません。
(問)マニフェストの件なのですけれども、昨日の党のマニフェストの作成委員会で、TPPについて素案で盛り込まれる形になったのですけれども、結局、党の中で反対派の意見があってまとまらなかった、了承を得られなかったということに関して、最後にはまとまると先ほど前原大臣おっしゃられていましたけれども、今この党の現状についてどのようにお考えでおられるか、教えてください。
(答)私が党の議論の相場観というのを一番分かっている人間の一人だと思います。徹底的に議論していただいて、最後はしっかりまとめるという文化が、私は定着しつつあると思っておりますので、最後はまとめていただけると確信をしております。

(以上)