岡田副総理記者会見要旨 平成24年8月24日

(平成24年8月24日(金) 15:05~15:35  於:合同庁舎4号館1階108会議室)

1.発言要旨

 私からは、明日、新潟で「明日の安心対話集会」を一区切りつけたいというふうに考えております。新発田市で開催するということでありますが、振り返れば、2月18日以降、4大臣で分担して、総理にも行っていただいたこともありますが、私と総務大臣、財務大臣、厚労大臣で分担して実施してまいりました。
 47都道府県で68か所、明日の新潟県新発田市で69か所目、私としては34か所目ということになります。公募によって集まった延べ8,000人を超える国民の皆様と双方向の意見交換ができたということで、非常に有意義であったというふうに思います。
 会場での御発言もたくさんありましたが、同時に、その場でアンケート等に記入いただいて、私は御意見のところについては、少なくとも全て目を通させていただいたところです。いろいろな御意見、大変率直な御意見をいただいたというふうに思っております。
 今後、法案も成立しましたので、先程言いましたように、対話集会は今回をもって最終回ということでありますが、様々なメディア、様々な方法を用いて、一体改革についての国民の理解を更に深めるための積極的な広報を行っていきたいというふうに考えております。
 私からは以上です。

2.質疑応答

(問)【明日の安心対話集会関連】
 朝日新聞の河口です。対話集会の関係で。まず、これは岡田副総理が意見交換をされて、まず、PRについてどのような効果があったかという点と、意見交換をされて、例えば、国会審議などで御自身の中で役に立ったというか、よかったねという、この辺りについてどうだったかということ。あと、もしはじいていらっしゃれば、どのぐらい経費がかかっているのか、この辺りもお願いできればと思います。
(答)まず、いろいろなアンケートの御意見のところを見ますと、直接、責任、所掌の大臣から話が聞けたということは良かったと評価する声はいろいろいただいたというふうに思います。
 それから、話を聞くことでよく理解できたという声もかなりあったわけです。
 そういった対話集会に出ますと、国民の関心がどこにあるかということがよく理解できますので、そういったこともしっかり踏まえながら国会答弁などに活かさしていただいたというふうに思います。
 例えば、本当に5%引上げ分が社会保障に使われるのかというようなことは会場でも出ましたし、そういった国民の皆さんの問題意識というものを踏まえて国会でも答弁させていただいた。もちろん中身が変わったわけではないのですが、元々全額使うというふうになっていたわけですが、よりしっかりと答弁させていただいたというふうに思っています。転嫁対策とか、価格転嫁ですね。逆進性の問題とか、国会でもかなり、特に後半議論が大分深まったと思いますが、対話集会でもいろいろな場面で御指摘いただいたことで、そういう意味で、国民の皆さんの関心がどこにあるかということを知る上で非常に有意義であったというふうに思っております。
 費用は、運営費用、つまり会場費、それから、手話通訳を必ず置くことにしておりましたので手話通訳費用、旅費などを含めまして4,000万円弱、1会場当たり58万円ということであります。その他、広告費用として募集広告、それから、事後の広報、YouTubeの動画、これは全てについてしたものでありませんが、こういった広告費用で1.8億円、合わせて2.2億円程度ということであります。
(問)朝日新聞の伊藤です。今のお話の中で、国民の皆さんの関心がどこにあるかを知る上で役に立ったというお話がありましたけれども、例えば、法案がほぼ成立すると見られた衆議院を通過する前と後で、国民の関心の在り方というのが、何か変わったなとお感じになったところがあったかどうか教えてください。
(答)3党合意ができて、衆議院を通過した後は、成立を前提にした転嫁対策とか、逆進性とかというのは、まさしくそういうある意味では成立を前提にした御質問、御意見なのですね。そういったもののウエイトが明らかに高まったというふうに思います。
 今回、一体改革必要かどうかということから若干シフトした感じがいたしました。
(問)共同通信の蒔田ですけれども、冒頭の御発言で最後に国民の理解を広げるための積極的な広報を考えていきたいとおっしゃいましたが、今後はどういったことを考えられているか、もし具体的にあれば。
(答)こういう形で大臣が地方を回ってということは特に考えておりません。
 ただ、いろいろなメディアを通じて一体改革の意味とか内容について、しっかりと国民の皆さんにより理解していただくような、そういったことはやっていきたいというふうに考えております。
(問)朝日新聞の河口です。ある意味、各全国で民主党の議員皆さんが多分対話集会と同様の質問を受けて現在政治活動されているかと思いますが、肌感覚で、こういった岡田副総理がかなりはっきりといいますか、何というのでしょう、できないものはできないとおっしゃって、これは、まだ決まっていないものは決まっていないとおっしゃって、はっきりおっしゃっているわけです、やはりそういった姿勢というのは、各議員さんといいますか、はっきりとした説明というのを政権としてもやっていってほしい。かなり選挙厳しいような状態にありますが、その辺りについてはどのように。
(答)一体改革の必要性ということを正面からしっかりと説明していただくということに私は尽きると思います。そこで逃げたり、ごまかしたりということではなくて、正面から説明し、そして理解者を広げていくということが私は重要だと思います。
(問)【その他】
 フリーランスの安積です。李明博韓国大統領の竹島上陸に関して、21日の午前中に開かれました関係閣僚会議についてお伺いいたします。副総理も出られたということで、ちょっと内容についてお伺いしたいのですけれども、20分間開かれた会議の中で、天皇陛下に対しての李大統領の発言についての言及がなかったというふうにお伺いしております。
 天皇陛下についての発言について、誰一人言及がなかったという理由は何でしょうか。
 また、副総理もおっしゃらなかったということなのですけれども、これについて問題意識はお持ちではないのでしょうか。
(答)どういう情報に基づいて言っておられるのか承知をしておりませんけれども、会議の中身について、基本的に明らかになっていないのではないですか。
(問)先日ですね、自民党の部会のほうで内容の概要について説明がありました。出席した官邸のスタッフによると、出席していたけれども、それについての言及は聞いていなかったというふうに説明がありましたけれども。
(答)果たして、そういった説明があったのかどうか承知をしておりませんが、いずれにしても、まず、日韓の問題について、竹島に李明博大統領が上陸した件、それから、陛下の訪韓に関しての発言、そういったものがあって、それに対して政府としてどういう考え方かということは、既に明らかになっているわけです。
 そのことを前提にして、どう対応していくかということが議論されたのであって、そこで改めて発言者が同じことを繰り返さなかったからといって、それが何か問題だというふうには考えておりません。
(問)朝日新聞の河口です。今の関連でお尋ねです。今日、総理は夕刻、記者会見をされるそうですけれども、このタイミングで、記者会見をあえて、委員会などでもお答えになっておられますけれども、される意図といいますか、狙いというのを教えていただければと思います。
(答)私が別に会見するわけでないので、適切なお答えになるかどうか分かりませんが、国会でのいろいろなやりとりはありますけれども、基本的に総理としての、あるいは政府としての考え方を国民に直接伝えたい、そういうことだと思います。まとめてね。
(問)朝日新聞の河口です。そうすると、先だって副総理がおっしゃっていたように、日韓双方とも冷静にという点において、総理が会見をされることはプラスになるのかどうかという点と、もう一点については、親書のやり取りを巡って、日韓のほうがかなり、例えば、韓国側が送り返してきたり、外務省が送り返してこようとするものを門前払いという、こういうやり取りになっていますが、このやり取りについては、どのようにお考えになりますか。
(答)まず、当然冷静に国民に対して説明するということだと私は理解しております。何か国民感情を煽り立てるような、そういうことではなくて、きちんと冷静に説明する。そういうことで総理の会見が行われるというふうに私は理解しております。
 親書の話は、親書を返すということは、確かに異例なことであり普通では考えにくいことですから、政府としてはそのことに対してやはり指摘するということは、ある意味当然だと思うのです。
 現場でいろいろなやり取りがあったことについては、これは外務省でいろいろ進めておられることですから、私は一々それに対してコメントすることは控えたいというふうに思います。
(問)NHKの田村です。副総理はこれまでの会見でも繰り返し冷静にということを繰り返しておっしゃっていますけれども、親書のやり取りですとか、今日、総理は予算委員会で不法占拠とか、不法上陸という言葉も使われましたが、こういう応酬を見ていて、冷静な、要は、政府間でのやり取りというのが、今後もまだできる余地があるというふうにお考えでしょうか。
(答)竹島を巡る問題と日韓関係全体というのは、別の問題ということで、領土問題については毅然と、しかし日韓関係の重要性ということは十分認識をしてですね、それに対して全体としては冷静にと、そういうことで、今日の国会決議案でもそういったことはある意味きちんと分けて考えようという、そういう考え方は前提になっていたというふうに思います。それがうまく判然と分けられないような場面というのは、場合によっては出てきますので、そこは十分気をつけながら進めていかなければいけないというふうに思います。
(問)フリーランスの安積です。冷静にとおっしゃっておりましたけれども、昨日の外務省、私、会見でちょっと行ったのですけれども、門を完全に閉ざしていまして、かなり異例な感じでした。
 昨年の11月に慰安婦関係で、慰安婦の救済を求めるような韓国を中心とした団体が外務省を取り囲むというときも、確か正門のほうは開けてあったと思います。韓国大使館の人が構内に入ったからといって、必ずしも面会に応じる必要もないし、受け取る必要もないわけなのですけれども、こういうふうなことが日本政府として冷静にというような態度であったのかどうなのか、副総理はどういうふうにお感じになってますか。
(答)安積さんからそういう質問が出るというのは、ちょっと意外な感じがしますが、いずれにしても、個々のことは先程言いましたように、外務省が対応していることなので、私が一々コメントすることはいたしません。政府としてこれはやっていることですから、それに対して何か異論があるとか、そういうことを言うつもりももちろんありません。
 ただ、いろいろな国と国の関係というのは、様々な努力を積み重ねて進めてこなければいけないわけで、日韓関係もそうです。そういう中で、後にしこりが残るような、そういったことがないように、十分配慮しながら、物を進めていかなければいけないというふうに思います。これは別に今、御質問のことに関して申し上げたことではなくて、一般論として申し上げておきたいと思いますが、日韓関係というのは非常に重要であることは論を待ちませんので、中長期的に非常に大事な関係であるという前提の中で、物事を考えていかなければいけないと思います。
(問)朝日新聞の伊藤です。先程の対話集会の最後のところで、一体改革の必要について、「逃げたりごまかしたりではなく、正面から説明していくことが重要だ」というふうにおっしゃられましたけれども。
(答)党所属の国会議員ね。政府の話ではないですよ。
(問)その場合、一体改革の必要性や負担増が避けられないということも含めて、そこは正面からというのはマニフェストに書いて訴えたほうがいいという趣旨でおっしゃったのでしょうか。
(答)今の段階で、それぞれ今、地元に帰れば、その一体改革についてのいろいろな議論が当然有権者の皆さんから出ますから、それに対してきちんと対応すべきだということを申し上げたわけです。
(問)選挙になったときに、そういったことがマニフェストに明記してあることと、マニフェストには書いてないのだけれども、それぞれの議員さんが国民にしっかり説明するということは、説明される党から出られる方から見て、何か違うところというのはあるのでしょうか。
(答)マニフェストの話は、選挙のときの話ですから、今そのことについて言及をするつもりはありませんし、基本的に党がどう考えるかの話のつもりです。
(問)朝日新聞の河口です。先程といいますか、特例公債法案が衆議院の委員会を可決されました。自民党は欠席、公明党は反対と、現段階では成立の見通しのないまま参院に送られることになりそうですが、こうした重要な法案というものを強行といいますか、そういった形で行っていくことに、国民の理解というのは得られるというふうに、現段階でお考えでしょうか。
(答)この問題は予算が成立をして以来ということで見れば、数カ月間努力に努力を重ねてきた問題です。ですから、一方的にというお話ですが、これだけの努力を積み重ねてきたということは、きちっと国民に伝えていただきたいというふうに思います。
 衆議院に置いておいても、それで物事が何か話し合いができるとか、そういう状況ではないわけですから、とにかく解散の約束をしないとだめだみたいな話だとすると、これは前に進みませんので、事態の打開を図るためにもまずは参議院に送るということを決断したというふうに私は認識をしております。
 是非、参議院において、この予算が成立しているにも関わらず、その裏付けになる国債が発行できないという事態を放置することが果たして国会として適切なことなのかどうかということは、きちっと考えていただきたいし、国民の皆さんにも我々はお応えしたいというふうに考えております。
(問)読売新聞の有光といいます。マイナンバー法案のことなのですけれども、自民党の茂木政調会長が軽減税率にするなら必要がない制度だと御発言されていて、低所得者対策の在り方というのが決まるまで、法案の成立に協力しないような考えを示しているのですけれども、3党間で進めることになって、修正協議とかにも影響が出てくるのではないかと思うのですけれども、改めて今回の茂木さんの発言の受け止めと、今国会での法案成立の見通しについて、どのように御覧になっているか、お聞かせいただけますか。
(答)自民党の政調会長が御発言になったことに私が一々コメントする必要はないと思います。いずれにしても、これは必要なことでありますので、マイナンバー制度というのは別に給付付き税額控除を行うためにのみ必要なものではありません。そして、必要性については恐らく自民党もお認めだというふうに思いますので、まだ3党でいろいろな協議をしているというふうに承知をしておりますが、早く協議を調えて、そして成立に御尽力いただきたいというふうに思っています。
(問)関連でもう一つだけよろしいですか。仮にの話なので、ちょっとお答えいただけるか分からないのですが、今国会で成立しないと、政府が2015年1月から利用を開始したいと言っている時期について、何らか影響が出てくるのでしょうか。
(答)いろいろなことで影響が出る可能性はあります。この国会における法案の成立率というのは、必ずしも高くありません。各党間でそれほど意見の違いのないものについては、しっかりと成立させる国会の本来のこれは役割ですから、意見が違うということで協議が調わないというなら分かるのですが、あまり議論が違わないのにそれが動かないということは、それは我々一人一人の国会議員がしっかり責任を感じて、そういう状況は打開しなければいけないというふうに思います。
(問)(朝日新聞・伊藤記者)8月11日に三重県で会見されたときにも質問が出ていると聞いているのですが、ちょっとそこでいなかったので、お聞きしますけれども、スリランカに行かれたときに付けられた“ひも”というのはどうされているのかということと、そこでお祈りしたことというのは、やはり効果があったというふうにお考えでしょうか。
(答)もう取りました。そのときに一体改革の成就を祈念しましたので、一応法案が通ったということで、もっと自然に取れるまで付けておこうかなとも思ったのですが、何となくもういいかなという感じで、引っ張っていたらほどけてしまいましたので、切れたわけではない、ほどけたのですね、結び目が。ということで、もうございません。
 私は今、政府の閣僚ですから、あまり宗教的な意味合いのことは言わないほうがいいと思いますので、それ以上のことはちょっと申し上げませんが。
(問)ほどけたのは何時なのでしょうか。
(答)2日ぐらい前ですかね。ほどけたというより、引っ張ってほどいたという感じです。大分黒ずんでいましたので。
(問)取った“ひも”は捨てたのですか。
(答)もう捨てました、ごみ箱に。そのことが冒涜したことにはならないと思いますけど、スリランカの高僧に付けていただいたので、お礼を申し上げた上で、捨てさせていただきました。
(問)フリーランスの安積です。物凄く前の話で恐縮なのですが、以前、私が質問しましたときに、副総理は官邸の紅茶は濃くて飲めない、ストレートで飲めないというふうにおっしゃいまして、新聞のほうのコラムでもこれは書かれたことがあるのですが、それ以降官邸のほうの紅茶、改善された点はありますでしょうか。
(答)その後、紅茶を飲んでないのですね。紅茶が出るのは、各国の首脳が来られて、首脳会談やるときなのですね、大体。そういうのに私は同席しておりませんので、副総理になってからは。紅茶は、最近、全く官邸の紅茶を飲む機会はございません。
(問)朝日新聞の河口です。自民党は問責決議案の提出をする方針なのですけれども、事実上、今国会会期を残して、かなり法案の成立等、難しい状況になっているかと思いますが、例えば選挙制度ですとか、行革の法案もかなり審議されないままという状態になっており、また国民会議、社会保障制度の国民会議についても、なかなか調整が難しい状態にあるかと思います。
 結局、今国会といいますか、これまでのところ成し遂げたのは消費増税だけというようなことになりかねない状況ですが。
(答)それは言い過ぎです。
(問)この点について、問責が出る状況になってきているわけですが、この辺については如何でしょうか。
(答)国民会議については、公明党は早くこれを立ち上げたほうがいいという、そういう御意見も聞いております。ですから、党の間でも御議論いただいておりますけれども、私からも改めて各党にお願いして、早く立ち上げをしたいというふうに考えております。これはおしりが切れてますので、そんなゆっくりしていては、実質的な議論ができなくなってしまうという、そういうことだと思います。
 それから、政治改革もこれはやはり憲法違反の状況で、解散はもちろん解散権は制限されていないというふうに私は思いますが、しかし憲法違反と最高裁に言われかねない状況での選挙というものは、なるべく避けたほうがいいことは間違いないので、しかもそれは自分たちの問題ですから、もう少ししっかりと審議に応じていただきたいというふうに思います。
 5減案というのを自民党がお出しになったわけで、しかし実質的にはこれは審議されていない状況というのも如何なものかというふうに思います。
(問)テレビ朝日の平元です。野田総理が解散時期について、「近いうちに」とおっしゃったりして、解散時期が近づいてきているせいなのか、橋下さんの大阪維新の会に国政のほうからも最近接触が以前より激しくなっているのかなという印象も受けるのですけれども、改めてこの大阪維新の会に対する岡田副総理の現在のお考えと、最近、国政の議員から、彼らのもとにすり寄るような行為がより頻度が上がってきたように思うのですけれども、こういった状況をどのようにとらえていらっしゃいますか。
(答)まず、選挙は「近いうちに」ということであって、それがいつなのかというのは、正に「近いうちに」ということで、近づいてきたとか、そういうふうに私は別に受け止めておりません。近いうちに行われるというふうに認識をしております。
 いろいろな憶測の報道などもありますが、逢沢さんの発言などをとらえて報道されたメディアも幾つかありますが、いろいろな思惑を持って語っていることを検証なく報道されるというのは、如何なものなのかなというふうに思います。
 それから、維新の会については特にコメントはございません。橋下市長が言っておられた都構想については、これは何とか法案を成立させることで、その御期待にはこたえなければいけないというふうに思いますが、それ以上の特にコメントはありません。

(以上)