古川内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成24年6月8日

(平成24年6月8日(金) 10:08~10:28  於:内閣府本府5階522会見室)

1.発言要旨

おはようございます。
一点報告ですが、何人かの方は来ていただきましたけれども、昨日の夕方、有楽町にありますNPO法人のふるさと回帰支援センターにお邪魔いたしまして、地方へ移住された若い方やあるいは地方への移住を検討している若い方々と少し意見交換をさせていただきました。これは、先日、若者雇用戦略をまとめさせていただいたわけでありますけれども、その中の一つで、若者の地域における就業や起業を支援していく項目がございます。私は、戦後の日本はずっと地方から都会へ、そしてまた都会の中でも東京へと、人口がずっと都市へ、そして東京へ集中をしてきた。そういう中で今の日本の国がつくられたと思いますが、これからの日本の形を考えていく上では、むしろ東京から地方へ人が、特に若い人たちがそうしたところに向かって、地域の活力をつくっていく、そうした中心として活躍をしていただく必要があるのではないかと思っております。
こうした考え方は、昨年末にまとめました日本再生の基本戦略の中でも、そうした地方を日本の中のフロンティアの一つと位置づけたこととも連携をいたしております。若い方々が地域において新たな創業をしたり、また仕事を見つけて、そこで新しい家庭をつくり、次の世代が育っていく営みができるような社会にしていくことが非常に大事なことだと思っています。
昨日お邪魔をさせていただいてお話を伺いますと、最近、若い方々の中でそうした地方への移住を検討する方々が増えているというお話がありました。また、実際に移住をされて向こうで生活をしておられる方のお話も伺いましたが、もう東京に戻ってくるつもりはないというお話もありましたし、また、地方に移住するに当たっては、もう少し受け入れる側の体制やあるいは何か起業をしようというときの支援などのインセンティブもあると、もっと地方に行きやすくなるのではないかと、そういうようなお話も伺いました。若者雇用戦略を推進していく中ではこうした視座も大事にしてまいりたいと考えております。
もう一点ご報告でございますが、今日、閣議前に第9回のエネルギー・環境会議を開催いたしました。中長期のエネルギーミックスを含むエネルギー・環境戦略につきまして、各担当大臣から選択肢原案の検討の進捗状況についてご報告いただくとともに、エネルギー・環境会議として「選択肢に関する中間的整理」について決定をいたしました。
会議では主に次のような議論がございました。原子力につきまして、使用済み核燃料のあり方、人材育成の観点、また国際社会、平和利用との関係を考えるべき、イノベーションで減原発を可能にする観点から、2030年に原子力をゼロにすることが本当に可能なのか、また研究開発を最大限に進めた場合にも省エネは2割なのかを検証する必要があるのではないか、そういったご意見がございました。また、エネルギー安全保障、人材育成、技術などの考え方につきまして、国民に対してわかりやすく提示することが大事だというご意見がございました。
こうした今回の中間的整理を受けまして、6月中にはエネルギー・環境戦略の選択肢を決定して、7月から国民的議論を始め、8月頃を目途にいたしまして戦略を決定する方向で作業を進めてまいりたいと考えております。私からは以上であります。

2.質疑応答

(問)エネルギー・環境会議なのですが、きょうの会議で選択肢をこれから策定するに当たって、出席者で一致した点や確認した点があれば、教えてください。
(答)中間的整理が一致したことでございます。
(問)特に重視するべき点というのは。
(答)中間的整理がまさにそうです。さまざまな議論をそれぞれのところでやってきていただいて、どれが重要でどれが重要でないということではありません。いずれにしてもこれは大変重要なことだと思っております。
(問)来月行う国民的議論ということなのですけれども、具体的に国民的議論はどういうのをイメージしているのか、お伺いできればと思います。
(答)どのような形で国民的な議論をできるかについては今、検討しているところでありますけれども、既に今までも総合エネ調や中環審、原子力委員会等で専門家の方々が議論していただいている様子も外にも今までもお示しをさせていただいております。既にある意味でそうした国民的な議論は始まっていると言っても過言ではないと思っておりますが、今回、中間的整理の中では、選択肢を皆さんに考えていただくに当たって、7つの戦略の視座をまとめさせていただきました。結論としてどういう選択肢を考えていくかという大前提として、このエネルギーの問題、環境の問題については、さまざまな視点、視座が重要であります。こうした視座がありますよということをわかりやすくお伝えをしていって、国民の皆様方にも単眼的な1つの点からだけ見るというのではなくて、今回の中間的整理でお示しをした7つの戦略の視座、それぞれの視座から国民の皆さんにも考えていただいて、その上でどういう選択肢が良いと考えられるかと、そういう議論になっていくように、今回の中間的な整理でまとめさせていただきました。7つの戦略の視座、その見方についても、こうした点についてできる限り多くの人々にご理解をいただけるように、そうした認識を持っていただけるようにしていくということが、国民的な議論を実のあるものにするためにも非常に大事なことだと思っておりますので、そうした工夫もしてまいりたいと思っております。
(問)いわゆる形としては、例えばパブコメみたいな形で意見を募るのか、よく行政が行うシンポジウムみたいな形で例えば説明する場を設けるなどを考えているのか、その辺というのは。
(答)今いろいろと検討しているところであります。
(問)選択肢の3つの中、その一番最後のところに、5ページ目ですが、「すべての選択肢について2030年を目途に検証を行うことを基本とする」とありますが、この検証というのは見直しを行うという意味なのでしょうか。
(答)検証ということは検証ということであります。これからずっと将来、未来永劫にわたって、今からすべてを決めてしまう。決めたことでも、その時点その時点でさまざまな状況の変化やあるいは技術の変化など、そういうものもあろうかと思います。そういった意味では、2030年を目途にして、その時点で今回決めたことの検証はもう一度行っていきましょうということであります。
(問)そうすると、この2番は、基本問題委員会では2030年を目途に見直すということになったのですが、見直しというかその方向性、それの部分が抜けているのですけれども、2番については2030年以降はどういうふうにすると考えていらっしゃるのでしょうか。
(答)2番って何ですか。
(問)選択肢②。
(答)ですから、これは①から③、今回お示しをさせていただいた選択肢すべてについて述べているものです。
(問)いやいや、選択肢②は2030年以降はどうするのが書いていないのですけれども、そこはどうするのでしょうか。
(答)まさにその2030年を目途にして、その後のも含めてこれは検証して考えることであります。
(問)では、個々は見直すというか、そこの方向性は定まっていないということでよろしいのでしょうか、②については。
(答)2030年時点における考え方、選択肢をお示ししているわけです。ですから、ここは2030年まではこういう形で考えていく。ただ、2030年を目途にして、それ以降のことについては考えていくということです。
(問)逆に言えば、①は2030年以降にゼロということですけれども、これはゼロではないということもあるということなのですか。
(答)2030年の頃の目途のところで、その時点で、今までの総合エネ調の中でも、相当意思を持ってやっていく話であります。やっていったその結果を、その時点においてその後どうしていくのかということは、もう一度その時点で検証しましょうということであります。
(問)もう一点。基本問題委員会では数値目標を決めないという選択肢もあったのですが、それは一番最後に何か書いてありますけれども、選択肢から外した理由は何でしょうか。
(答)何をですか。
(問)数値目標を決めないという選択肢があったのですが。
(答)その問題は原子力委員会の話ですか。
(問)違います。基本問題委員会です。基本問題委員会で選択肢を決めないという選択肢があったのですが、それについて今回選択肢から外した理由は何ですかと聞いています。
(答)今までのエネルギー・環境会議の中で、どういう形でシナリオとして共有すべきかということで考えました。今のお話にあったような数字を示さない案も、総合エネ調ではあったわけでありますけれども、このエネルギー・環境会議におきましては、戦略の視座とそのための重要政策を決めて、そのもとで市場における需給家の選択を通じて、エネルギーミックスの数値などが実現する方向でシナリオを提言していきたいということで、この選択肢は落としたということであります。
(問)もう一点、少し根本的なことで恐縮ですけれども、これはなぜエネルギー・環境会議が2030年を目標にしたのかという根本的なところを教えてください。要するに、基本問題委員会ではもともとなぜ2030年をターゲットにしなければいけないのかという根本的な問題があったのですが、そこの部分についてはどう整理されているのでしょうか。
(答)戦略を期限を決めないでということはないと思います。何らかの時点を決めて、そこに向けてどうした行動をとっていくのか、政策をとっていくのかを考えなければいけないのだと思います。そうした意味で、2030年を置かせていただいたということであります。
(問)今度、6月中に選択肢を決定する部分でのお尋ねなのですが、この選択肢は大体どのくらい絞り込むようなイメージなのか、それとも、1つ何かを結論として出して、それについて話し合うような形なのか、どういう方針で進めていくかを教えてください。
(答)選択肢は選択肢ということですから、1つ出してということではないと思っています。
(問)そうすると、幾つかぐらいに絞り込むということでしょうか。
(答)中間的整理が今、示されているわけですから、その範囲の中で考えていくことになろうかと思います。
(問)いろいろ組み合わせが生じると考えられるのですけれども、そのあたりの組み合わせも提示されるということですか。
(答)今回、中間的整理をさせていただいて、まだ総合エネ調やあるいは中環審等もまだまとまるところまでいっておりません。こうした中間的整理に基づいてそれぞれのところで議論のまとめをしていただきたいと、今回お願いをさせていただきます。出てきたものを含めて、統合的に私どもとしては考えていきたいということであります。
(問)1つは温暖化との関係で、海外の技術、石炭火力の効率化など書いてあるのですけれども、国内では従来の鳩山方針などがあって、25%削減など、そういうものが選択肢としては出ていないようですけれども、温暖化対策は国内対策としては従来よりもトーンダウンさせる方針なのかどうかというのが第1点。 それから、原子力の新増設も含めた廃炉の選択肢は、この基本問題委員会が出したものをそのままエネルギー・環境会議としてはやるのかどうか、その辺の考え方に新たなものを追加するのかどうか、その辺どうですか。
(答)温暖化目標につきましては、夏にまとめる段階で決定をしたいと思っております。 廃炉の問題については、今、40年で廃炉にする法案を提案させていただいているわけであります。政府としてはその考えが基本にあると考えております。
(問)きょうの夕方にあるデフレ脱却等経済状況検討会議のことで、改めて今会議を開いている意義についてお伺いしたいと思います。なぜかというと、消費税増税について与野党協議も本格的に始まりましたけれども、このタイミングである程度デフレ脱却について政府で議論をしている意味合はどういうふうにお考えでしょうか、改めてお聞かせください。
(答)別に社会保障・税一体改革の取組とは直接リンクするものではなくて、従来からマクロの経済政策の最重要課題は、一日も早いデフレからの脱却であると位置づけて取り組んできているわけです。それを足元の経済状況から、特に総合的に政策的なパッケージも含めた取組を行っていこうということで、国家戦略会議の指示のもと、このデフレ脱却等経済状況検討会議を開催しているところであります。まさに前から申し上げているように、デフレになりやすい経済構造を変えていくということにつなげていく、日本再生戦略にもつながっていくものだと思っておりますので、そういう趣旨で今作業を続けているところであります。
(問)以前も、即効性があるものではないというか、これをやればすぐに脱却できますというものではないとお話がありましたけれども、今回まとめられるものは、どのくらいすれば、国民の実感として、ああデフレ脱却してきたなというものが見えてくればいいなとお考えですか。
(答)デフレの脱却は、期待物価上昇率など、国民のマインドの変化も大事です。ですから、脱却してきたなという意識があるというよりも、むしろある種、これから物価が上昇していくのではないかという期待インフレ率が上がることによってデフレから脱却していくところはあるわけでありますから、先にデフレ脱却という事実があって、それが国民に実感されるという前後があるというよりも、むしろそこは相まっていくものだと考えています。ですから、国民の皆さん方の中で期待物価上昇率が上がっていくような状況をつくっていくことが大事なことだと思っています。
(問)改定の問題でよろしいでしょうか。1~3月期の実質経済成長率が4.7%に上方修正されたのですけれども、これについての御認識と4~6月期以降の見通しについて教えていただけますでしょうか。
(答)今回、設備投資が上方修正されるなどしまして、若干の上方改定はありましたけれども、全体としては1次QEと大きな違いはないと思っております。今後の推移につきましては、私どもとしては、この平成24年度について、復興政策の効果が成長を下支えすることで景気が緩やかな回復を続けるという政府経済見通しで見込んだ姿が実現していくと考えております。ただ、欧州の政府債務危機等を背景とした海外経済のさらなる下振れや円高の進行等、景気下振れのリスクがあります。景気下振れの回避に万全を期していかなければいけないと考えているということであります。

(以上)