古川内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成24年3月16日

(平成24年3月16日(金) 8:31~8:42  於:内閣府本府5階522会見室 )

1.発言要旨

 私から1点申し上げます。明日、愛知県に出張する予定でございます。この夏に決定する革新的エネルギー・環境戦略の柱でありますグリーンイノベーションの実態を把握するため、次世代自動車の蓄電池の再利用を支えるスマートディーラー及び豊田市のスマートグリッドの実証を視察する予定でございます。私も前の国家戦略室長のときから、蓄電池がこれからの社会、産業を考える上で、キーコンポーネントになると考えてまいりました。自動車に使った蓄電池を再利用することは、蓄電池にとっても市場が広がるわけでありますし、価格下落にも影響を与えると思います。私は前から考えていたことの実証が始まったということで、その現場を見させていただきたいと思っておりますし、また、豊田市はスマートグリッドの実証をやっておりますので、これも分散型エネルギーを推進していく、大変重要なポイントになってまいります。私が岡山で申し上げましたエネルギーテクノロジー革命、ET革命の、IT革命で言うインターネットに当たるのがこのスマートグリッドだと考えておりますので、そうした実証も見てまいりたいと考えています。
 こうした取組をしっかり、私自身も自分の目で見させていただいて、今後のグリーン成長戦略の策定に生かしていきたいと思っております。
 私からは以上であります。

2.質疑応答

(問)民主党で行っている消費税法案の事前審査についてお伺いしたいのですが、成長率の関係で、景気弾力条項に具体的な数字を明記すべきという意見も数多く出ているのですが、これについて法案に明記することへの大臣のお考えをお伺いします。
(答)素案をまとめるときにも様々な議論があって、そういう議論も踏まえて素案の記述になりました。この素案については、党も含めて了承を得られたものであります。それに基づいて大綱をまとめ、今回の法案もできているものでありますから、私は今から数値を入れるというものではないと考えております。
(問)数字の明記を求められている議員の方の中の意見として、政府が成長目標を達成することに本気で取り組ませるために数字を明記する必要があるというような主張をしていて、政府が本気ではないというような口ぶりで言っていることについての大臣の反論等あれば聞かせてください。
(答)政府として、とにかく一日も早いデフレ脱却を実現して、経済を安定的な成長軌道に戻していくことは、政権交代以来、ずっと取り組んできていることであります。
 また、私も経済演説の中で、少なくとも消費税がすぐ上がるわけではありませんから、これから2年間は経済再生に集中をしていくのだということを申し上げて、政府、日銀がお互いにしっかり連携をとって、今やっているわけでございます。今後ともそうした具体的な取組を通じて、御理解をいただくように努力をしてまいりたいと考えております。
(問)今の関連で2点ほどお伺いしたいのですが、増税に慎重な方たちの中には、今のような景気が悪いときに増税をするともっと景気が悪くなるという主張をされている方もいらっしゃるのですけれども、こういった経済認識についてはどの様にお考えでしょうか。
(答)現時点においては、経済はこれから次第に回復をしていくものと私どもは見ております。したがって、復興需要が続いているうちに、民需主導の自律的な成長ができる状況にしっかり位置づけていくことが大事であって、そういう中で財政健全化への取組をきちんと進めていくということであります。また、中長期で見ますと、財政の健全性を維持していく、そして財政に対する信任を確保するということは、中長期的の安定的な経済成長のためにも必要不可欠な要素だと考えています。
 今、ヨーロッパで起きていることを見れば、一旦財政危機が起きれば、経済の状況にかかわらず、増税をしたり、社会保障を中心に歳出を大幅にカットしたり、ますます経済に大きな悪影響を与えるということが起きているわけでありますから、そういうことを踏まえても、財政危機に陥らないような状況をつくっていく。このことは、中長期で安定的な経済成長を実現するためにも必要不可欠なことであると考えております。
(問)増税のタイミングですけれども、以前、大臣は、デフレ脱却をしないと増税できないかというと、そういうことではないという趣旨の御発言をされていたように記憶しております。反対に言えば、若干のデフレであったとしても、総合的に勘案するという行為を挟めば増税することもあり得るということでよろしいでしょうか。
(答)今、申し上げたように、中長期の安定的な経済成長と財政の健全化は密接不可分なものだと考えております。そういった意味では、財政に対する信任をしっかり確保していくことは、やっていかなくてはいけない。したがいまして、経済状況等を総合的に勘案して最終的に判断する。今、そういう考え方になっているということであります。
(問)現在の景気の現状認識について伺います。日経平均が1万円台を回復し、ドル・円相場が83円台後半をうかがうようなところまで、若干の円高が改善されつつあります。このような外的要因の状況について、大臣はどのようにとらえていらっしゃいますか。
(答)外的な要因について言うと、ギリシャの債務危機がとりあえず今落ち着いている状況にあること、アメリカの景気回復の傾向がだんだんと顕著になってきていること、そうしたことが対外的な好材料としてはあると思います。
 また一方で、最近公表されております国内の経済統計の結果を見てみますと、内需に関してもかなり上向きの動きを示すものが多くなっております。これが一過性のものではないか、今後とも持続し得るものなのか、見極めていくことが重要だと認識いたしております。
(問)1点関連してなのですが、先程の復興需要があるうちに、民需主導の経済に切りかえていきたいというお話がありましたが、今、一部の市場関係者やアナリストの間では、今年の後半には大体復興需要の効果も剥落していくのではないかという見方もあります。民需主導に切りかえるタイミング、復興需要はいつ頃まで日本経済を下支えすると見ているのでしょうか。
(答)正にこれから復興需要は本格化してくるところでございますので、どこまで続くかを今の時点で見通すのは難しいかと思っております。私どもも日本再生の基本戦略などでも、とにかく新成長戦略を再強化して、前倒し、そして集中的に、特に被災地を中心に取り組んでいくということを申し上げております。
 昨日もこの新成長戦略の中間検証でしっかりフォローアップしていくことを、政務官の皆さんにも集まっていただいて、確認をさせていただきました。本質的には、成長力の強化を実現していくことが、民需主導の景気回復軌道に乗せていくために極めて重要なことでありますので、こうした成長力強化につながる施策をできるだけ迅速に、思い切って打っていきたいと考えております。

(以上)