古川内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成23年11月24日

(平成23年11月24日(木) 11:15~11:30  於:内閣府本府5階522会見室)

1.発言要旨

 本日9時30分から官邸におきまして、第100回の総合科学技術会議を開催いたしました。
 今回は野田政権となって初めての会議でございました。
 科学技術政策は国家戦略の重要な柱でもあり、今後、科学技術政策とイノベーション政策を一体として推進していくべく、議論を行いました。
 まず、今年8月に閣議決定された第4期科学技術基本計画に盛り込まれた政策の実現に向けて、今後取り組むべき重要課題として、平成24年度概算要求における科学技術関係予算の重点化と専門調査会の活動等について討議を行いました。
 次に、科学技術政策をめぐる動きとして、科学技術イノベーション政策推進のための有識者研究会について報告を行い、意見交換を行いました。
 私といたしましては、この意見交換を踏まえつつ、有識者研究会の提言を受けて、科学技術イノベーション戦略本部の設置に向けて取り組んでまいりたいと思っております。
 皆様も聞いておられたかもしれませんが、総理からは、今日は100回目の本会議であり、議員の皆様方には活発な御議論をいただき、感謝申し上げたい、我が国の閉塞感を打ち破るためには、課題先進国と言われた方もいらっしゃいましたが、そのボトルネックを克服するためにも、科学技術イノベーション政策は重要であり、国家戦略を考える主力エンジンに位置付けないといけない、財政の制約がある中ではありますが、メリハリの利いた重点的予算配分を行いたい、科学技術イノベーション政策の司令塔機能の強化は引き続き議論をしてまいりたい、はやぶさやiPS細胞の話など、夢をかき立てるような話が出てくると活気が出てくる、第4期基本計画の政策を実施する中で、若手研究者が野心的に率先していく空気を皆様とつくっていきたい、引き続き有識者議員の先生方と活発な議論をしていきたいと御発言がございました。
 以上が総合科学技術会議についての報告でございます。
 続きまして、月例経済報告等に関する関係閣僚会議の概要を報告いたします。
 景気の基調判断は、「東日本大震災の影響により依然として厳しい状況にあるなかで、緩やかに持ち直している」と表現を変更はしておりますが、判断は据え置いております。これはサプライチェーンの立て直しが進展するにつれ、景気への追加的なプラスの効果が薄らいできている中、海外景気の回復の弱まりなどにより、輸出が横ばいとなっていることなどから、我が国の生産は持ち直しているものの、そのペースが足元で鈍化していることを踏まえたものであります。
 先行きにつきましては、景気の持ち直し傾向が続くことが期待されますが、欧州の政府債務危機などを背景とした海外景気の下振れや為替レート・株価の変動、タイの洪水の影響等によっては、景気が下振れするリスクが存在することに注意が必要であります。
 政府としては、震災からの復興に全力で取り組むとともに、急速な円高の進行等による景気下振れリスクや産業空洞化リスクに先手を打って対処するため、10月21日に閣議決定した「円高への総合的対応策」を迅速に実行してまいります。
 なお、これまで経済財政担当部局では、「今週の指標」という形で、最近公表された指標につきましての解説や注目される経済トピックスを中心に情報発信をしてきておりますが、このたび月次の「マンスリートピックス」という新シリーズを立ち上げて、毎月の月例経済報告に併せて、個人名でレポートを発表することといたしました。
 今月はタイの水害が我が国経済に与える影響についてのレポートを公表いたしますので、是非そちらも御覧いただければと思っております。
 私からは以上でございます。

2.質疑応答

(問)科学技術イノベーション政策推進のための有識者研究会についての意見交換では、各大臣からどのような意見が出されたのでしょうか。
(答)研究会については、私から、こういう議論をやっておりますという御報告をさせていただいて、特に御意見はございませんでした。
(問)イノベーション研究会に関連してですが、現在、科学技術、イノベーションにつなげていく体制が足りないから本部をつくるわけですよね。古川大臣としては、何が現体制に足りないとお考えでしょうか、どのような機能が足りないから本部をつくるということでしょうか。
(答)足りないのではなくて、科学技術とイノベーションを一体的に強力に推進していくことが国家戦略としても非常に重要な柱でありますから、これまでの機能をより強化する仕組みとして、今体制を考えているということでございます。つまり、足らないという考え方に立っているわけではないことは御理解いただきたいと思います。
(問)総合科学技術会議本会議の開催数が少ないのではないか、時間も短いのではないか、そこで国家戦略の主力エンジンとして位置付けていくことが本当に出来るのだろうかという声も聞かれるのですが、どうお考えでしょうか。
(答)総合科学技術会議の議員の方々には、毎週のように御議論いただいて、今までも来年度の予算編成に向けて、アクションプランをつくっていただいたり、重点化の項目を決めていただいたりという活動はしていただいております。
 また、随時関係の省庁などとも連携をとっているわけでございまして、本会議そのものは少し回数が少ないという御指摘はそのとおりかもしれませんが、日頃の情報交換、そして連絡は密にやっておるところでございまして、今後ともそういったものをしっかり続けていきます。
 その中で、今日も限られた時間ではございましたが、皆様にお配りをしている紙で、読めば分かるようなことについては、説明をなるべく短くしていただいて、議員の方々から色々な御意見を言っていただくところに時間の重心を使いました。
 今後も、本会議の持ち方そのものを、これまで以上に色々議論が出来る形に持っていく工夫はしていきたいと思っております。
(問)月例経済報告に関してですが、タイの洪水の影響について、大臣は年内で収まるのか、限定的と考えていらっしゃるのか、自動車の生産も操業が再開されているところもありますけれども、この影響がどのぐらい続くか、その影響の程度についてどう認識されているか、お伺いします。
(答)タイの洪水被害につきましては、現地や国内での生産の再開といった明るい情報も一部で出始めてはおりますが、引き続き予断を許さない状況と考えておりまして、その動向は注視しておるところでございます。
 我が国の経済に対しましては、現地で操業停止を余儀なくされている日系企業の収益の圧迫や日本からタイに向けての中間材輸出の減少、更にはデジカメ等の耐久消費財輸入の減少による品不足、部品供給の滞りによる我が国の国内生産活動へのマイナスの影響などが懸念されているところであります。
 21日に発表されました10月分の貿易統計を見てみますと、タイ向けの輸出金額は前月比でマイナス16.2%、タイからの輸入金額はこれまた前月比でマイナス11.3%と大幅に減少しております。これは洪水の影響が現れているものと考えております。
 したがいまして、今後発表される詳細な内訳やその他の10月分の経済指標なども十分に精査して、今後タイの洪水の被害がどれくらい日本経済にも影響を与えるか、その動きをしっかり注視してまいりたいと思っております。
(問)先ほど発表があった「マンスリートピックス」についてお伺いしますが、これは大臣のお考えでそういうのを公表したらどうかということなのでしょうか。
(答)従来から担当の部局では、日々、様々な分析や研究が行われています。そうした情報や試算を出来る限り国民の皆様方にも発信していくことは、非常に大事なことではないかと思っております。また、この部局で仕事をされておられる方々は、エコノミストであり、また様々な調査・分析のプロフェッショナルです。今回も個人の名前、責任で発表していただくことにいたしましたが、私は、これからの役所の人たちの仕事の仕方としても、自らの責任でもって、こうした分析を自分の名前で公表していくことも大事ではないかと考えています。
 皆様方も最近署名記事が多くなっている気がいたしますけれども、自分の名前できちんとこういう仕事をしているのですということを発表することは、その人自身の責任感にもつながると思いますし、こういう分析、しっかりした能力を持っている人が役所の中にもいるのだということを知っていただくことは、大事なことではないかと思っております。
 今後とも役所の中のそうした分析や調査は出来る限り皆様方にもお伝えをしていく形にしていきたいと思っていますので、これまでもやっております「今週の指標」も、ごく一部のプロの方にはかなり注目をされているようでございますけれども、是非皆様も関心を持っていただければなと思っておりますし、特に「マンスリートピックス」につきましては、テーマを決めて、月例経済報告と併せて発表する形でやっていきたいと思っております。
 今回は、まさに今御質問があったタイの水害についてのこれまでの調査についてのレポートでございます。時々の関心に沿ったものを出していきたいと思っておりますので、皆様方におかれましても、是非関心を持っていただければなと思っております。
(問)欧州問題についてお伺いをします。
 今月から文言として初めて盛り込まれましたけれども、昨日はドイツの国債入札で札割れをしたり、一部金融機関の救済をめぐって少し問題が発生しているようですけれども、一言で政府債務危機といっても、色々な側面があると思います。ソブリン・リスクの問題ですとか、例えば金融システムの問題ですとか、日本経済への影響を考えたときに、どういった側面、どういった経路を特に注意すべきでしょうか。
(答)今、欧州債務問題は、世界的に株価や為替レートなどの変動をもたらしておりまして、欧州経済のみならず、アメリカやアジアなど、他の地域にも影響を及ぼしていると考えております。
 我が国経済に対しましても、この問題は株価や為替レートの変動の他、欧州との直接的な輸出入、更には今回の危機の影響を受けた他の地域との輸出入、そして金融システムへの影響などを通じて、実体経済に影響が及び得るものと認識をいたしております。
 今後とも引き続き欧州経済の動向やその世界経済の影響は、しっかり注視をしてまいりたいと思っています。

(以上)