細野内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成23年7月29日

(平成23年7月29日(金) 8:45~8:58  於:第4合同庁舎6階605会見室)

1.発言要旨

 おはようございます。
 今日の閣議及び閣僚懇談会では、私の所掌に関わる話はございませんでしたので、御質問があればそれにお答えする形をとりたいと思います。

2.質疑応答

(問)NHKの内田と申します。よろしくお願いします。
 地元に関する質問を2問させていただきたいんですが、8月で事故発生から5カ月になろうとしているのですが、警戒区域の住民の方で、とりわけ原発が立地する大熊町の住民の間では、町に帰れるのか帰れないのか、帰れないならば政府にはっきりそう示してほしい、中途半端な希望を持たせることが、かえって住民を苦しめるという声が日増しに強まっているんですが、こうした声に関して大臣として、まずどのように受け止められているでしょうか。
(答)まず、大熊町、また双葉町の方も原発の立地の皆さんですので、他の皆さんももちろんそうですけれども、特にこの二つの町については、本当に苦しい思いをされている方が本当に多いと思いますので、申し訳なく思います。
 私も、避難所などをかなり回らせていただきましたので、大熊町の皆さんの中に、はっきり方針を示してもらいたいという、そういう声があるのは承知をしています。ただその一方で、どうしてもやはり大熊町に帰りたいという方にも、かなりの数、私、出会いまして話を聞いております。したがって、両方の声をしっかり受け止めた上で方向性を出さなければならないと思っております。
 率直に申し上げると、あと少し時間をいただきたいと思うんです。具体的に今かなりの密度でのモニタリングをやっておりますが、それがまだ全て終わっているわけではありません。さらには、除染を大規模にどのようにやっていくのかということについて、これも様々な取組は始まっておりますけれども、除染のやり方、さらには具体的なスケジュール、そういったものも、もう少し時間をかけて、できるだけ早い段階でお示しをしたいと思っておるんです。そういった中で大熊町の状況というのを見極めていく必要があります。
 ですから、4カ月以上たっていますので、帰れるのか帰れないのか、はっきりしてもらいたいという声があるのはよくよく分かりますし、そういった皆さんの気持ちにはできるだけ早く応えなければならないとは思っておるんですけれども、やはり両方の皆さんの思いを受け止めていかなければならないということがありますので、もう少し時間を頂きたいと思います。
(問)もう1問、関連して、今、大臣はモニタリングなど具体的なスケジュールを示したいということでしたけれども、大熊町の復興の面で、住民のほうでも、とはいえ復興に向けた動きは模索されていまして、ただ先行きが見通せないと。そういった復興の点に関して政府として、今モニタリングのお話がありましたけれども、どのような支援策をお考えになっているのかということと、例えば将来的な点で、20年後とか30年後に元の場所で復興することができないというような最悪のシナリオというんですか、そういうものは今の段階で想定というのはされているんでしょうか。
(答)それぞれの町の復興のビジョンは、それぞれの町がやはり中心でつくるのが、恐らく住民の皆さんにとっても最もいいものになると思うんですね。もちろん、そのお手伝いや財政的な後押しは国としては責任を持ってやらなければなりません。そういった観点に立つと、大熊町の場合はなかなかまだ十分なモニタリング、除染方針が決まっていませんので、復興ビジョンを立て難い状況にあることは事実だと思うんです。
 ですから、そういったことがビジョンとして立てやすい状況をできるだけ早く作るということが大切だと思います。なかなか十分な判断材料がまだない中で、あまり軽々しく私が大熊町の復興ビジョンについて語ることはあまり望ましいことではないと思いますので、その点については、今の段階では発言を控えたいと思います。
(問)フリーランスの上出と申します。同じような趣旨の質問が他でもいろいろ出ているかと思うんですが、一般の方の、放射能事故、特に食品の健康面に関して感じていることなんですけれども、率直な気持ち、私の周りでも、関東に近いところ、被災地も含めて、ちょっと言葉はストレートになりますが、なるべく買わないというか、絶対買わないようにしようと。で、西日本のほうを見つけようとしても見つからないとか、そういうことが現実に起きていまして、新聞報道もされていますけれども、そういった放射能の計測をすることを含めて、実際の問題としてはもっと国民に正しい意味で、判断するのは最終的には消費者でいいと思うんですけれども、支援を含めて関東、被災地のものを買うというのは、それは自由なんですけれども、買わないと、なるべく買わないようにしようとしている人のためには、いろいろなところに計測器を支援して、売っているところで測れるなり、チェルノブイリの問題のときも一部ありましたけれども、現実に消費者がそういうことを選択できるような、そういうことをやるとパニックを起こすとかなるんでしょうけれども、もう少し前向きに一般の消費者に本当の意味でリアルに応えられる、そういう施策というのはお考えではないでしょうか。
(答)私、食の安全についても担当しておりますので、消費者の皆さんからいろんな声があるのは承知をしています。政府が今一番やるべきは、やはり暫定規制値を決めています。この規制値以上の食料品が出回らないように、そこは細心の注意を払って最大限の対応をしていくという、このことだと思うんです。今一番問題になっているのが牛肉ですけれども、牛肉についても自治体の皆さんの協力をいただいて、当面の対策というのはほぼ出てまいりましたので、牛肉以外のものも含めて、安全性の確保について政府が責任を持つというのがまず大前提になるだろうと思います。
 御指摘のような、例えばそういう消費者に近いところで検査をするというのは、一つの方法として考えられなくはないんですけれども、現実問題としては、例えば一般に出回っている放射線を測るガイガーカウンターのようなものでは食料品は測れないんですね、外側だけですから。要するに食料品そのものの放射線量、含有している放射性物質というのは測れないんです。ですから、相当の費用をかけて、しかも時間をかけて測らないと、なかなか測れないと、そういういうことがありますので、その中間的な段階で何らか測ることができないかというのは、幾つかの市町村では検討されていると聞いておりますけれども、消費者が自らそれを測るというのは、現実的になかなか難しい面があるということは、是非御理解いただきたいと思います。
(問)関連ですが、例えば給食。東京都内でも、お母さんの中には給食は信用できないということでお弁当を持たせているということもあるんです。要するに、流通しているものは安全だということが文科省の基準だということで、現実には全部測るといろんな問題が出てくるということで、恐らく詳しくは測っていないんじゃないか。ある一定の、特定のある種類の野菜がよければ、そこの地域は全部いいというのが今までの測り方で、一つ一つ出荷のときに測るということはやっていないわけですから、安全か安全でないかを判断するのは消費者しかないんですね。現実的には、給食でお弁当を持っていくということまで結構行われているということは、やはり先程言った中間的なことより、もうちょっと踏み込んで消費者の安心に応える、これはすごく必要なことなんじゃないかと思うんですが、いかがでしょうか。特に子供たち、給食の問題です。
(答)食の安全の問題を考えたときに一番意識すべきは、子供たちだというのは今御指摘のとおりだと思います。これまでやってきたこと、これからやること、それはしっかり確認をした上で最大限の対応をすべきだと思います。
(問)新潟日報の仲屋と申します。
 新しい規制機関の関係の質問なんですけれども、組織の再編が進められておりますけれども、法律の改正もセットだと思うんです。原子力の関連法というのはかなり多岐にわたるものでありまして、その辺、どこまで踏み込んで抜本見直しされていくかということなんですけれども、例えば炉規法に集約していくような形とか、そこまでやっていかれるのか、それとも現行法の見直し、あるいは読み替えレベルでとどめるのかどうか、その辺りちょっとニュアンスを。
(答)原子力の規制機関は、在り方そのものを変えるということになれば、それぞれが所管をしてきた法律も含めて相当の大改正になります。関連する法案も多岐にわたりますし、規制の在り方、中身ですね、そういったものにもどうしても踏み込まないと、形だけつくっても具体的に安全の水準は高まらないということもなりかねませんので、それ自体は大変大きな規模になりますが、やはり取り組まなければならない課題だというふうに思っています。そこは私なりに考えはあるんですけれども、これは法律になりますので、内閣全体で方向性を出さなければなりませんし、法律ということになれば議会の理解も必要になってきます。ですから、青写真を示すときにある程度踏み込んで申し上げたいと思うんですけれども、今日この時点であまり具体的なことまでは申し上げないほうが、むしろ皆さんの御理解を得られやすいと思いますので、ちょっとそこは時間をいただけますでしょうか。

(以上)