与謝野内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成23年7月1日

(平成23年7月1日(金) 10:41~10:59  於:合同庁舎第4号館4階共用408会議室)

1.発言要旨

 閣議は案件どおりでございましたが、昨晩決定しました税・社会保障一体改革の成案を御報告申し上げ、閣議では、これをもって与野党協議の成案とするということを御了解をいただきました。なお、席上、私から仙谷調査会長に対して、深く感謝の意をお伝え申し上げました。
 総理からも、仙谷調査会長にも本当に御尽力いただいたというお言葉がありました。
 以上でございます。

2.質疑応答

(問)一体改革についてなのですが、成案をもって与野党協議に入ることを了解されたということですが、この与野党協議はいつ頃を目途に呼びかけて、どのぐらいの時期を目途に協議開始を政府としては目指すのか、その辺の見通しをお教えください。
(答)与野党協議は、与野党の幹事長、国対委員長、あるいは政調会長のレベルで色々御相談が始まるはずだと思います。これから与党、野党が協議をしなければならないのは、2次補正をはじめ沢山の課題があるわけですから、そのうちの一つとして、これがなるべく早い段階で協議の対象となることを期待しております。
(問)今日の閣議では、首相から、仙谷調査会長に尽力いただいたという御発言があったということですけれども、それ以外に例えば与野党協議等に関して、その他の一体改革に関する発言は、首相からはなかったのでしょうか。
(答)総理の御発言は勿論ございまして、全文を言いますと、昨日、社会保障・税一体改革の成案、社会保障・税番号大綱という2つの大きな決定をすることが出来たということがあって、途中省略しますが、今回の決定は歴史的に非常に大きな一歩であると確信していると。中略で、社会保障・税一体改革の実現のためには、立場を超えた幅広い議論が大事であり、本成案をもって野党各党に社会保障政策のための協議を提案し、参加を呼びかけていくこととしたい。今後の御尽力を引き続きお願いしたいと、こういうことですから、野党との協議をこれから積極的に呼びかけていくということです。
(問)話は変わりまして、本日発表された日銀の短観なのですが、大企業、製造業では景況感が5四半期ぶり、1年3カ月ぶりにマイナスになりました。
 大臣は常々、サプライチェーンの回復等が想定以上に早いペースで進んでいるという御認識を示されていますが、企業の景況感という形ではまだ明るい兆しが出ていませんが、この短観に対する評価と現状の景気認識について改めて。
(答)数あるインデックスのうちで、日銀の短観は、極めて信頼性が高い指標であると思っております。いずれも少しマイナスになりましたのは短期的な動きで、中長期的には年末に向かって経済活動が大きく前進して、来年は確実にプラス成長になるということは、私の確信であります。
(問)今日から電力の使用制限令が発動されまして、節電が本格的にスタートということになったわけですけれども、企業のほうの生産時間のシフトですとか、対応はもうそれなりに進んでいるようですが、経済の夏場の影響というのは大臣はどの程度あるというふうにお考えでしょうか。
(答)影響なしとは言えませんけれども、経産省が中心となって、一律15%ということではなく、例えば病院等は勿論ですけれども、クリーンルームを使うような産業等々については特別な配慮をいたしております。
 現在まで3,000社を超えるところが例外の対象としてほしいという申請があって、それぞれ理由があって、多分、経産省は電力の使用制限の例外をつくると思いますが、そういう例外をつくって、きちんと日本の経済全体に対して、必要な電力量が供給されると私は確信しておりますけれども、やはりこれから急に電力の供給力自体を増やすというのは大変なことでして、火力発電所をつくるとしても、10年ぐらいの計画、建設期間が必要ですので、やはり節電プラス原子力に対する国民の理解を更に深めるための色々な施策というものは必要であると思っております。
 そういう意味では、海江田経産大臣が全国の電力会社に赴いて、定期検査が終わった発電所についての再開をお願いしているということは、私は政府の努力として御評価をいただきたいと思っております。
(問)2点お願いいたします。
 1点目は、閣議の後に与謝野大臣が、もしかしたら枝野官房長官とお話しされたかと思うのですが、どういった内容の懇談があったか、もしよろしければ教えていただけますでしょうか。
(答)枝野官房長官の役割は、内閣全体の中の総合調整ということも官房長官に課せられた大事な使命でございまして、そういう意味では、この6カ月間やってまいりました過程で、何度も官房長官にはお世話になりましたので、成案が出来ました御礼を申し上げにまいりました。
(問)もう一点なのですが、改革案の中では、年金の支給開始年齢の引き上げですとか、最低保障年金の扱いとか積み残した検討課題とされているものもあるのですが、今後この問題への対処という部分では、大臣はどのように対応しようとお考えでしょうか。
(答)最初から我々と事務方が考えておりましたのは、報告書に検討と書いて、そのまま問題を捨て去るということはやめようと。例えば支給開始年齢の引き上げについては、相当な議論が必要なので、これをどこでやってもらうのかということを、この成案が出来た後きちんと決めようということになっております。これは厚労省の審議会でやるのか別でやるのかは別にして、それは手当てをいたします。
 それから、低年金者に対する配慮等は、実は公明党も同じ主張をされておりますので、この問題は多分、与野党協議の中で具体的に取り上げられる問題ということで、この報告書に書いてあります検討というのは、いずれも検討する場所等を決めるつもりでございます。
(問)まず一体改革について、お伺いしたいのですけれども、今日は他の大臣からは、昨日の成案については特に御発言というのはなかったのでしょうか。
(答)当然、関係する大臣、総務大臣から御発言もあり、財務大臣からも御発言があり、厚生労働大臣からも御発言がありましたが、それはこれに関係する大臣としての御発言であって、他の閣僚から、この件に関しての御発言はありませんでした。
(問)実際に法案化の作業というのは、来年の通常国会を目指すとあと半年しかないのではないかと思うのですけれども、これはやはり与野党協議の状況を見てから具体的に始めるのか、そういう意味で、どういった今後の進め方を考えていらっしゃるのか教えてください。
(答)これから皆様方が取材に奔走しなければならないのは、復興財源の話だろうと思っていまして、私の個人の意見ですけれども、復興財源の話も、この話もなるべく早い段階で法制化をして、国会審議に委ねる必要があるというふうに思っておりまして、せっかちですから、秋にもやったらどうかと言っておりますから、通常国会でやるというふうに断定的に決めたわけでありません。
(問)確認ですが、秋にもというのは一体改革のほうという意味ですか。それとも復興のほうという意味ですか。
(答)一体改革のほうを、来年の通常国会だというふうに断定的には申し上げられないと。私個人としてはもっと早く、出来れば復興財源と一緒にやれたらベストかなと思っています。
(問)あともう一点、話は変わるのですけれども、今日発表されたCPIで、コアだけではなくてコアコアの部分も2年7カ月ぶりにプラスに転じているのですけれども、これは何か節目というふうにとらえていらっしゃるのか、見方をお願いいたします。
(答)デフレ、デフレと言うのですけれども、そういう人たちは名目成長率を上げろという議論をあわせて行うのですけれども、名目成長率が高いのは偽りの経済成長であって、やはり労働所得が向上して、実質の労働所得が向上して、働く人たちの賃金の購買力が増すということが一番望ましい姿の経済成長です。そういう意味では、1%ぐらいのマイナスなどというものは何でもないことで、むしろ働く人や年金生活者にとっては、プラス要素ですらあるというように考えております。
 したがいまして、今のデフレ論議の致命的な欠陥というのは、デフレというもの自体を定義していないということであると思っています。ちなみに、是非御一読いただきたいのは、ガルブレイスが書いた1929年の世界恐慌の話でして、この中の本当のデフレというのは、1933年には物価の下落は29年に比べて35%、失業率は33%、株価の下落率は90%、こういうものを本当の深刻なデフレというのであって、1%そこらの物価の下落というのは、物価上昇に比べて、むしろ望ましい姿であるかもしれないし、もしかしたら生産性が高まっている所以かもしれないというので、あまりデフレを強調し過ぎて、デフレだ、デフレだと言って自己暗示にかかる経済というのはあまり良くない議論だと私個人は思っています。
(問)一体改革の話に戻るのですが、秋にも法案をという、かなり前倒しのスケジュールの話をされましたけれども、そうすると、与野党協議を直ちに始めて、与野党で合意を得た上で、秋にも法案を出すというスケジュールが望ましいというふうにお考えになっているということでしょうか。
(答)そのぐらいの気概を持って臨んでいただきたいという、私の希望を述べているわけです。
(問)関連するのですが、大臣は常々、雇われ職人としてここに来られたというふうに仰っていたのですけれども、法案化の作業も雇われ職人として仕事をされるということでよろしいのか、ちょっとその辺を教えてください。
(答)雇われ職人の職は、一応、昨日終わったのですけれども、まだ鉋屑とか、そういうのが散らかっていますので、そういうのを片付けないとお家に帰れないと、そういう心境です。

(以上)