末松内閣府副大臣記者会見要旨 平成22年12月22日

(平成22年12月22日(水) 16:16~17:00  於:消費者庁6階記者会見室)

1.発言要旨

 二役会議の席で出ましたのは、まずこんにゃくゼリーについて話が出ました。それと、パワーウインドの事故についても出ました。
 それから、自殺予防のテーマソングというものを、我々、今、内々考えておりまして、そこでそのミュージックを聞いたのですけれども、非常によいということで大臣もものすごく評価していまして、私もいいなと思ったので、その評価は一致したということがございます。ただ、いろいろとまだ関係者との詰めがありますので、そこはまだ最終的に採用されるかどうか分かりませんけれども、これは出ればよいなと私は個人的に思っております。
 それから、今日8時から、新橋駅でクレジットカード現金化防止キャンペーン、これをやりましたという報告がございました。
 それから、国センと消費者庁との問題について、タスクフォースの件についてお話ししたということでございます。
 あと、漏れはありませんかね。大体そんなところですかね。
 二役会議については以上でございます。
 私から、まず今日、こんにゃくゼリーの件についてお話を申し上げたいと思いますけれども、食品SOSプロジェクトとの観点から、9月から研究会をずっと開いてきましたけれども、本日、最終会議におきまして、本当に多くのお医者さんや歯科医師さん、あるいはいろいろな物性とか形状を研究する信州大学の研究等を通じて、さまざまな専門家の方から御提言をいただいた。年内をめどに一生懸命にやっていただいた、このことに対して、心から感謝申し上げたいと思っております。
 研究会終了後のブリーフィングで、向殿座長がお話しされましたとおり、マンナンライフ提供のサンプルというものは、破断応力とか破断ひずみともに非常に大きな位置を占めている。今、皆さんに具体的な紙が示されていると思いますけれども、そういうかたさ、あるいは壊れにくさというのかな、弾力性、これがあまりに強いと、やはり形状等で、そういう物性は非常に窒息事故の原因になりやすい。さらに、形状で1センチぐらいがちょうど気管に詰まるという危険性も御指摘いただいて、それよりもかなり大きなものにするか、あるいは小さなものにするか、こういう形状のものについて、極めて有益なアドバイスも賜ったということでございます。
 また、この売り場、販売方法につきましても、1,000店ぐらいこの実態調査をしたところ、注意喚起が7割の場所で十分な対応が行われていなかった。これも、我々としては極めて有益なアドバイスでございました。
 それから、意識です。大体、ゼロ歳から4歳までの子供が亡くなるケースの半分が窒息事故だという御指摘も賜った。こういうことから、まだ親御さんの意識が、窒息事故に対して十分な理解が得られていない。こういうことを、私どもは網羅的にこれから判断していきまして、その一つ一つに合わせた対応をとっていきたいと思っております。
 特に、物性、形状につきまして、この製造業者、あるいは輸入事業者や販売・流通事業者に対しまして、早急に、年内を目途に改善要請を実施していくことを決定いたしまして、先ほど事務方に指示したところでございます。特に、私どもとして、生産会社について7社ある中、大きな社は直接、この研究会にも来ておられましたけれども、あとの6社についても、業界を通じる要請書と同時に、直接6社に対して、私ども、要請書を発出する方向といたしております。
 それから、大きな社であるマンナンライフ社に対しましては、私ども、事前に課長を群馬県まで派遣して、いろいろな話をさせていただくと同時に、またさらに要請書を発出するということで、その結果、内々には「前向きに検討させていただきます」という、極めて積極的な前向きな反応を得られているところでございます。ですから、これによって速やかな対応を図っていかれることを、強く我々としては期待したいと思いますし、また期待できるものと思っております。
 一応、まずこんにゃくゼリーについては、私からはここにとどめておいて、また質問等につきまして対応していきたいと思います。

2.質疑応答

(問)今も触れておられたと思うのですけれども、改めてこの指標の内容、これまでこのこんにゃくゼリーをめぐっては、長い期間、規制すべきではないかとか、あるいは一方で、消費者の責任ではないかという議論もありましたし、注意喚起なされてきたわけですが、結果的に22人が亡くなってきているといういきさつも含めて、ようやく消費者庁発足から1年あまりたって、一つの目安が示されたということへの副大臣の受けとめをお願いします。
(答)この検討会を発足するに当たりましては、消費者庁として行政ができるぎりぎりのところまで我々はやったと思っております。当然、それは業者に対してもぎりぎりのところまでやって、そして行政、事業者がここまでやったということであれば、あとは消費者の自己責任が当然だというところまで、私どもは今、来ているのではないかという形で評価しております。
 内容を具体的に申し上げれば、こういう形で私は説明したいのですけれども、まずはアクセスの観点からいきまして、商品に触れるというところからいくと、まず商品そのものの表示、これは私どもとして、お年寄りとかお子さんに「危ないよ」というところを、まずもともときちんと表示をやって、事業者もそれに応じていった。それから、販売方法についても、子供の菓子の場に注意喚起がなされているべきだというところから始まって、それから実際に、今、調査ではなされていないというところだったわけです。そういうところも、これからきちんと対応していくということ。そして、実際に商品を手にとってアクセスする場合に、形状あるいは物性で、そこでも窒息事故が起こらないというところまでここで対応させるのだということで、専門家の会議を開いて、この検討会で結論を出していただいた。そういった手にとって食べるところまで、そこで窒息事故が起こらない範囲での商品をきちんと開発してもらうということを、我々はアドバイスを得たわけでございます。
 ですから、これからこれに対して非協力的な事業者に対しましては、それはもう私ども、消費者安全法第22条に基づいて、もしそれを全く無視して従わないところがあれば、報告等を求めまして、その結果、何ら改善がなされていないという話になった場合には、消費者安全法第15条に基づいて、社名を挙げて注意喚起していくということでございます。
 そこは、この絵にございます1枚紙、この形状等において、例えば1センチよりも大きく、あるいはもう少し小さく変えないのであれば、このブルーのかたさにやわらかくし、さらに、弾力性がないようにもろくした形のところまで、我々としてはここまでが合格商品だというところをもってやっていきますし、また、さらに形状等もいろいろと変えるというような形であれば、またそれなりの対応、そこまで私たちとしてはきちんとやっていくという方針を掲げて、今から対応していきたいと思っております。
(問)あえてお聞きしますけれども、今おっしゃった、かたさとか弾力性とか、あるいは大きさも含めて、これまでのこんにゃくゼリーと随分変わってしまうということになるわけで、そうすると、これは相当ファン、消費者がついている商品なのですけれども、そのあたりはいかがですか。
(答)我々も、そういうこともございましたので、ある意味では、過去、慎重なところもある面ではとっておりましたけれども、今、22人犠牲者が出ているところでございますので、次にまた23人目を出してはいけないという思いで、この検討会の研究結果を踏まえて、私どもとして踏み切ったということでございます。
 これに対して、今はまだ一部の事業者ですけれども、「前向きに検討いたします」というお約束もいただいているということでございます。
(問)年内をめどに改善要請するという話ですけれども、要請はされる。実質、メーカーが製品を一時停止で改良という流れだと思うのですけれども、それをいつまでにやってほしいという考えはありますでしょうか。
(答)もうできるだけ早くやっていただきたいと思っています。そこを、我々はチェックいたします。多分、製品ができるまで、やはり1年近くかかるかどうか、そこのところはいろいろとあると思いますけれども、その開発状況なども我々はフォローしながら、また、大きな節目として、ある適当な間隔の中でどうなのか、改善が見られるのか、一切見られないのか、あるいは反応はどうなのかということを総合的に判断して、そこで先ほど言ったような法的なことで報告聴取、そして、全く改善が見られない場合には、名前を挙げて注意喚起、これはどういうことかといいますと、非常に厳しいことになると思います。名前を挙げて、「ここの社の製品は、消費者庁から見て安全基準よりも劣っているのだ」という話を天下に公表するわけですから、そういったことを我々としては考えていると。その前に事業者の方々は、そういった我々の断固たる方針に対して、そこは従っていただけるのではないかという期待をしているところでございます。
(問)今、製品の開発は1年ぐらいというお話もあったのですけれども。
(答)ただ、そういった努力を、その方向でやっておられるところと、実際に製品のサイクルとしては、そういうふうな話を我々は聞いています。ただ、その前に、やはりそういう方向でやっていただいているのか、全くやっていただいていないのかというようなところはあるかと思います。
(問)確認ですけれども、先ほどの研究会で出された指標をもとに、物性、形状をメーカーに改善するよう、新しい商品を1年くらいをめどに開発してほしいということを要請するということですよね。
(答)できるだけ早く開発していただきたいのです。ただ、業界の常識というのは、1年ぐらいかかるのではないかというお話をいただいているということでございます。
(問)非協力的な業者に対しては、社名を挙げて注意喚起するとおっしゃいましたけれども、もしこれでも変わらない場合は、あと何かできることがあるのですか。
(答)先ほど申し上げましたように、名を挙げて消費者庁が「これは我々の安全基準から劣っている」と言う話というのは、通常、ビジネスの世界においては……
(問)あり得ない?そこまでいかない?
(答)あり得ないと思いますよ。
(問)もし、この構造を改善している途中、例えば今日とか来年中にこんにゃくゼリーを食べて人が死んだら、それは消費者安全法が適用されて、仮に商品の販売をとめたりすることまでしますか。
(答)それは、ちょっと個々のケースを見ながらやらないといけないと思います。我々が今回努力してきたのは、もう行政としてはここまでぎりぎりまでやっていく、事業者に対してもぎりぎりまで求めていく。だから、これについては自己責任というところの消費者の立場もあると思うのです。だから、裁判所の、多分個々の判断にもなると思いますけれども、ただ、その中で我々が強調したいのは、ぎりぎりまでやっていっているということを、国民の皆さんにはまたさらに注意喚起するわけです。いろいろなところで販売方法についても、それから意識についてもこれから啓発していくという中でやっていきますから、さらに法的なという話は、ちょっと個々の判断を見ないと難しいのかなと思います。
 ここで専門的、法的な立場から、誰かコメントできますか。
(消費者庁長官)副大臣がお話ししましたように、個々のケースを見ないと、一般論で断定するのは難しいと思っています。
(問)そうすると、さらに踏み込んでこれから法規制ということは、今のところ、考えていらっしゃらないということですか。
(答)我々は一度ここまでやるわけですから、様子を見守ることも必要だと思うのです。これでも全然そこが全く効かないというのだったら、それはまた今度は別途の段階に入るということになると思います。法規制そのものを、最初から否定するわけではありません。ですけれども、直ちに法規制という話には、今、なる段階ではない。そのために我々は、内容的にここまで踏み込んでいっているということでございます。
(問)この図表なのですが、先ほどブルーの部分は安全基準を満たすものであると。では、現在、市場に流通されているものは大体どこら辺にあって、何割ぐらい改善が必要だと見ていらっしゃいますか。
(答)先ほどのマンナンライフ提供のサンプルというのは、破断応力、破断ひずみともに大きな領域という、ここで言う―ここはちょっと私が答えるよりも、担当の課長、そこはどの辺までになりますか。
(消費者安全課)右側の赤い領域に入っておるということでございますが、破断ひずみが約70%程度、それから破断応力が約8×104N/m2というものでございます。
(問)図で大体のグラフの場所を示していただけますか。
(消費者庁長官)実は、先ほど私の懇談会でも申し上げましたが、図表に直接明示するのはやめてほしいというマンナンライフ社からの話があるものですから、ただ、もう座長が数値を申し上げましたので、皆さんでグラフの中にその数値を入れていただければ、その点になるということです。ですから、副大臣がお話ししましたように、完全に赤い領域にあるということははっきりしているということです。
(問)危険領域であるという解釈でよいですか。リスクが高い。
(答)そうですね。「安全」と我々が認める以下の部分だということです。
(問)その他に、今、市販されている商品についてはどうでしょうか。
(答)先ほど申し上げましたように、7社が製造メーカーとしてやっておられるという中で、マンナンライフ社はオブザーバーとして出ておられますし、だから、ほかの6社の業者に対しても、直接、我々で要請書を発出して、そこは対応の改善を求めるということでございます。
(問)やはり安全基準を満たしていないものが多いという理解でよいですか。
(答)多分、今示されたこの研究会の基準が、一番厳しい基準だと私は思っています。
 ただ、ここも誤解があってはいけませんけれども、例えば形状で1センチより小さなものにするとか、あるいは大きなものにして、例えばスプーンでとるとか、そういう形があるのだったら、それは今度、この安全基準の危険の程度はもう少し容認されるという、ある意味ではこことのバランスということです。だから、最初からこのブルーの部分だけというのではなくて、それがちょうどのどに詰まったときになかなか破断されにくいという話、このときに危険性があるということであって、のどに挟まらないような形状をやっていただけるのであれば、それは別に今の質だって是認されないわけではない。言っておきますけれども、このバランスの関係だということです。
 ただ、今の一口サイズのワンカップで、すっと飲み込めて、これが気道にちょうど詰まってしまう。ここの部分であるならば、「これはブルーの一番厳しいところでないと安全ではありません」ということを、我々は申し上げているところでございます。ですから、今までの質が全部だめだという話ではないですよ。それは、そういう気道に詰まらない、窒息事故が起こらない、こういう形にしてくれというのが私どもの立場です。
(問)サンプリングをいろいろされているようなのですけれども、市販のものは幾つか種類があると思うのですが、大体どのぐらいがこの基準に照らし合わせてだめなのか。それが半分なのか、6割なのか、7割なのか、ざっくりでよいので教えていただけますか。
(答)私にとっての知識は、25種類ぐらいのサンプリングがあったということでありまして、それでどういうふうな研究の過程でどうなっているのかというのは、私はちょっと知識がございませんので、もしここにいる人たちに求めても、それは難しいと思いますので、本来であれば向殿先生とか、あるいは実際に研究をやった方に申し入れるのが一番よろしいかと思いますけれども、もし知っているのであれば答えていただければと思います。
(消費者安全課)こちらの行いました実験なのですけれども、全部一定の円錐の形で実験していまして、市販のものは1社、先ほど副大臣が言われたマンナンライフの形をわざわざ実験の大きさに合わせてつくっていただきまして、ほかのはやっておりません。ここに書いてあるサンプルは全部、わざわざ研究者の方がつくっていただいたサンプルなので、そういう意味で市販がどうなっているかというところまでは、今、分かっておりません。
(問)さっき副大臣がおっしゃいました、非協力的な企業がもし出たら消費者安全法の適用を考えるという話で、このグラフの中の力学特性の中で、ブルーの中にいけば非常に分かりやすい範囲だと思うのですが、例えば中には、努力したけれども、上の赤いラインからオレンジっぽいところに行くのがせいぜいだったとか、あるいは努力していると言いつつ、このぐらいにしか行けなかったというところで、具体的な数値的な基準がなかなか引きにくいというのはよく分かるのですが、そこがないだけに、要するにどこをもって非協力的と認定するのかという判断も、これは難しいかと思うのですけれども、この辺のイメージはどういうふうにお持ちなのでしょうか。
(答)そこは、総合的に判断せざるを得ません。さっき申し上げていました、繰り返しになりますけれども、要は、その大きさとか、気道に詰まらない形に極めてよく配慮されているというふうな形状であるとか、そういった場合は、少しこの赤っぽいところに上がってくるわけです。あるいは、そこは現在の質でもよいのかもしれません。あるいは、販売方法について、全く菓子類とは違った形のところに置くとか、あるいは注意喚起を確実にしているとか、そういったところも勘案の一つの考慮材料になると思います。そうすると、そういったことを判断しながら、ここは一番気道に詰まりやすいところが改善されていないと総合的に判断したときに、我々としては非協力的だというふうに考えることになります。
(問)その総合的な判断をする際に、とても難しいようなグレーゾーンに近いようなものが出てきた場合には、これを役所として主体的に判断するのか、それとも第三者の意見を聞くようなことをして判断するのかというのはどうでしょうか。
(答)それは、我々として、専門家にもいろいろと聞きながらやっていきますから、ある意味では同じ回答になると思います。
(問)こんにゃくゼリー本体については、先ほど次の段階、つまり法規制についてはしばらく様子を見るということでしたが、今回、こんにゃくゼリーが、当初事故が起きたときにすき間事案と言われたように、こんにゃくゼリーを含む一般的な食品について、その物性ですとか形状について規制する法律がないという状況は、これが出たところで変わっていないわけなのですけれども、そうした食品の安全性の取組については、副大臣、今後のお考えはどうでしょうか。
(答)そこは、我々としてとにかく窒息事故、特に子供の窒息事故をなくしたいというところから、すき間事案で発して、実際に実態的にこれを予防するにはどうするのだろう、単に法的にこうだという話ではない、もう少しきめの細かい実態を踏まえた対応の中で、我々は何ができるのだろうということを話し合ってきたわけでございます。
 だから、例えばそれをあまりにも言い始めたら、では、もちはどうなのだと。老人の息が詰まった。では、もちを全面的に法的に規制するのかという話というのは、昔から言われてきているわけですけれども、この中で特にこのこんにゃくの問題が出てきましたので、まずはそこを丁寧にやって、実態を改善する方向でやっていこうと。それがどうしても無理で、もう全然これが後を絶たないという話のときに、今度は法的な規制という話は当然出てくる話だと思っております。
(問)こんにゃくゼリー以外の食品については、今のところこのような、例えば指標づくりであるとか、もしくは関連する法律をつくるというのは、しばらくは様子を見るということですか。
(答)それは、そういった事例、例えばこんにゃくそのものを食べて気道に詰まってという事件が物すごく多くなったとか、それはあまり聞かないわけですけれども、ただ、あのこんにゃくが、例えばワンカップになっていて、お菓子類みたいな感じになっていてという話になれば、それは当然ですけれども、要は、そういったいろいろな事例が出てきて、そうやったときに、本来、ここは規制という話になってくるのではないかなと思います。だから、このこんにゃくゼリーというのは、非常に我々として丁寧に、しかも、ここまで行政がぎりぎりまでやるのだという事例を示したものとして、私は非常に評価しているところです。
(問)新規開発に1年程度見るというのは分かるのですけれども、現状、在庫とか市場流通量、そういうものはどの程度の期間、猶予があって許されるものなのですか。
(答)ここ自体は、私―すみません。そこはどうですか。もし在庫とかという話がいろいろあるのであれば。
(消費者安全課)そういったところも、業界の実態等も踏まえてどういった対応が考えられるのかというのは検討していきたいと思っております。
(答)多分、そのときに販売方法といったものも、そこは非常にきちんと対応していただくとか、そういったことを強化していくという話は、多分あると思います。
(問)以前の泉政務官が7月に発表されたときには、こんにゃくゼリーは消費安全性を欠くおそれが高いというような発言がありましたが、今回、この消費安全性というのは、今後、消費者安全法を扱うに関して非常に重要な観点だと思うのですけれども、それに関して、現状、こういうデータが出てどのようにお考えかということと、もう一つは販売方法なのですが、6月に消費者庁は全業態というか、小売店と製造業者の業界団体全部に注意喚起しているはずなのですが、実態としてほとんどそういうところがなされていなかったというか、動いていなかったという、この関係はどのようにお考えでしょうか。
(答)そこは、我々が本当に反省すべき点だと思います。あそこの報告の中に、大体1,000社の中の半分ぐらいでしたか、注意喚起がなされていなかったと。要は、そういった必要なものがなされていなかったところが7割あったという話は、我々としても非常にショッキングな話でございますので、そこは私どもとしてどういう形でこれをきちんと対応していくかというのは、今、担当課のほうに指示して、どういう形でできるかというのを、これから検討させていくところでございます。
(問)消費安全性に関しては?
(答)消費安全性は、例えばこの当時のワンカップのこんにゃくゼリー、これについてのリスクが高いというのは、それがそのままの認識です。ただ、それをどういうふうにして下げるのかというのが検討会の努力なので、この検討会の結果をきちんと踏まえて我々が対応するならば、リスクは極めて小さくなるというふうに考えております。
(問)消費安全性が高いというのは、今回の検討の文字から消えているような気がするのですけれども、それは意図的ではないのでしょうか。
(答)いや、全然。消費安全性を高めるために我々はやっている、それは大前提ですから。
(問)「欠いているおそれがない」という文言がないのは不思議な気がするのですけれども。前回の検討結果でもあったもので。
(答)いや、だから、そのときの認識は、我々、変わっていないわけです。変わっていないから、どれだけその安全性を高めるかということの努力が一連で行われてきたわけです。だから、当然、それで高まったと。私が一番最初から言っているように、行政としてぎりぎりの内容を、改善をきちんとやるためにどこまでやるべきなのだということをずっと検討会でやってきて、そこで消費安全性がこれであれば高まる、高まった、消費安全だというところまで、我々は行政としてどこまでやるべきかが今回のチャレンジで、それを専門委員会での検討結果でいただいたので、そこで我々が実施していくということ、これによって、多分、完結するのではないかなと私は思います。
(問)戻りますけれども、今、「ショッキングだった」とおっしゃった、ほかの業者にあまり伝わっていなかったという話なのですけれども、実態として販売方法……
(答)伝わっていても、業者のほうでそれを、例えば1~2カ月か何かやって、あとはもうやらなかったとか、いろいろな事情があると思うのです。それを、我々として定期的にやっていくとか、そういうことも含めて、どういう形ができるかというのを対応したいと思っているわけです。だって、ずっとやっているところもあれば、やっていないところもあった、以前はやっていたとか、大体定着したと思ったからやらなくなったとか、いろいろな理由はあると思うのです。
(問)その辺は、お聞きになっていますか。私がたまたま取材した2つの大手のコンビニチェーンだと、「その話は聞いていない」と。
(答)「聞いていない」。
(問)ええ。これはどこでとまっているのか分からないのですけれども、少なくとも、本部と広報にも確認したのですけれども、2社は「全く聞いたことがない話だ」というふうに言っている。なので、多分、どういうふうにどこまで前回伝わったのかも検証されないと、次にまた同じことが起きるのではないかと思うのですが。
(答)だから、そこは今の御指摘に全く私は反していないと思うのですけれども、それでショッキングだったので、何を改善としてやれるのかということを、今、指示しているということでございます。
(問)資料のことなので事務方からでも結構なのですけれども、先ほどから、青いゾーンに来るとかなり安全な物性になっているということなのですが、この数値のめもりとしては、青いゾーンはどれぐらいの領域に入っているのでしょうか。
(消費者安全課)物性の先生に参考的に調べていただいて、いろいろな誤差もあるのですが、ブルーのゾーンは、縦軸の破断応力のほうが約1、ひずみのほうが約15%というのが代表値になると聞いています。
(答)だから、現在の形状でやるのであれば、ここまできちんと改善してもらわないと安全ではないという話ですね。
(問)なるほど。それで副大臣にお伺いしたいのですが、今の数値ですと、商品の今の形状、今の販売方法と全く同じで物性だけで改善対応しようと思うと、それぐらいかなり大きく製品を変えていかなければならないということだと思うのですが、製品として、多分、このまま現状の製品はこれには当てはまらないので、かなり変わってしまう。こんにゃくゼリーという、いわゆる一般にイメージされる商品は、消えてしまう可能性もあるのですか。この点はどうでしょうか。
(答)いや、それはないと思います。それは形状で、ちょっとカップを大きなものにして、気道にちょうど詰まらない形状で、そのかたさとかを楽しまれる方はおられるでしょうし、あるいはすごく小さなものにして、気道の窒息という問題を避けるのであれば、今の性質を保持することは可能だと思います。
 ただ、ちょうど幼児、あるいは気道に詰まる形状でこれをさらにずっと続けるのであれば、このくらいにしていかないと、また23人目の死者が出るという話、これは我々として絶対認められないということでございます。
(問)確認なのですが、先ほど、もちという話も出ましたが、現状ではもちなどについて、同じく基準を検討しようとか、似たような指標をつくるという考えは今のところはないという理解でよろしいですか。
(答)ないです。
(問)別の話になりますが、介護ベッドでまた人が死にました。これは、消費者庁が注意喚起した後に亡くなったわけですが、この命は救えなかったのでしょうか。
(答)これは、ちょっと具体的なところで、長官からいいですか。
(消費者庁長官)非常に残念な結果だというふうに受けとめています。改めて、厚労省も取組をしてくれて、すき間を埋めるスペーサーに消費者庁あるいは厚労省が取り組む前よりは、ちょっと今、手元にデータがないのですが、非常に普及がまた進んだというデータはあるのですけれども、結果としてああいう事故が起こってしまったということで、非常に残念なのですけれども、改めてどういう状況だったのか徹底して把握して、どういう対応をさらにしないといけないのかということを早急に固めていきたいと思っております。
(答)あと、ちょっとテーマは違いますけれども、パワーウインドで、今、重大だということで、あれも極めて残念な事故なのですけれども、そこも今、警察でそのケースを調べていらっしゃるということで、私ども、「警察にきちんと聞け」ということで指示を発して、今、警察にも、我々としても調査しているところでございますけれども、しかるべき担当者を実際に起こった現地に送って、警察の協力を得ながら、実際のその車がどうだったのかというので、現地に派遣したいと思っております。
(問)分かりました。ぜひ実効性がある施策をお願いいたします。
 消費安全法に基づいて業者に資料などを請求する場合には、基本的に名前を公表すると認識しているのですが、今度、恐らくスーダンポンドとかイラクディナールの業者に対して資料を請求することになるとは思うのですが、その14社なり15社の名前を公表するお考えはございますか。
(答)一般論ですから、そこの悪質とか、いろいろなそういうことが判断されたときに、我々としては総合的な判断からやっていくという話でしょうから、直ちにいつも名前をどうこうという話ではないと思います。我々は適切なタイミングで、公表についてもまた検討していくということになると思います。
(問)ちょっとショッキングな話というわけではないのですけれども、NHKがこんにゃくの組合の鈴木事務局長に今回の指標について伺ったら、何か「これを絶対に守れば安全なのか」とか、ちょっと受けとめとして、どこまで業界として対応すべきなのかというところについて、あまり積極的ではない発言がありまして、やはり売り場への配置とか警告表示であるとか、そういったことも含めてリスクを提言することが大切ではないかというようなコメントもあり、もう一つスタンスが、今日の段階で決まっていないのではないかという不安があるのですけれども、いかがですか。
(答)そこは、我々は行政ですから、一定の基準で動いていきます。事業者の方がどう思われようが、業界の方がどう思われようが、そこは勝手ですけれども、我々として考え方そのものは、今ある鈴木さんと大きくずれているわけではありません。さっき申し上げましたように、同じ形状、今の形では認められないというのが一番大きな話であって、いろいろな形状対応とか、あるいはかたさの対応とか、あるいは売り場の対応とか、いろいろなものがあります。そういった総合的な判断の中で、我々としては安全か、安全でないかという話を見ていくわけです。
 ただ、我々がこの検討会の報告をもとに、まずは彼らの努力の状況を見ながら、そこで報告をやるので、消極的かどうかは、我々は勘案しません。安全ではないという話であれば、そこは名を挙げて、きちんと安全基準に劣っているという話を、我々は淡々とやるだけです。それは業者にとっても、世間の信用度からいったら、消費者庁から「これは安全ではないのだ」と言われることは、極めて大きな影響があると私は思いますし、普通はそんなことはないです。考えないです、事業者の方であれば。

(以上)