馬淵内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成22年11月16日

(平成22年11月16日(火) 8:43~8:51  於:院内・内閣記者会3)

1.発言要旨

 閣議後の定例会見を始めさせていただきます。まずは冒頭に私からは、今後のダム事業の検証の進め方について御報告いたします。後ほど事務方より資料を配布させていただきます。今後のダム事業の検証についてでございます。これまで、「できるだけダムにたよらない治水」への政策転換を進めるとの考えに基づき、治水対策のあり方について検討を進めてきているところであります。昨年12月に「今後の治水対策のあり方に関する有識者会議」を発足し、12回にわたる討議を経て、本年9月27日に「中間とりまとめ」がまとめられました。これを踏まえて、9月28日に、私、国土交通大臣から検討主体、これは関係各地方整備局等並びに水資源機構、そして関係各道府県などでございますが、これに対してダム事業の検証に係る検討を行うよう、指示又は要請を行い、同日付けで、検討の手順や手法を定めた「ダム事業の検証に係る検討に関する再評価実施要領細目」を通知いたしました。今後、全国のダム事業について検証が本格的に進んでいきますが、予断なく検討が進められるよう、国土交通本省が、最終的に検討結果の報告を受けるだけではなく、検討が進められる過程においても随時関与し、その状況を公表することにより、検証の趣旨の徹底と透明性の確保を図ることといたします。具体的には次の通りです。検討の手順や手法については、検討主体で検討が進められる過程で様々な疑問が出てくると考えられます。このため、国土交通本省に窓口を設置し、検討主体からの検討の手順や手法に関する質問を受け付け、有識者会議の御意見をお聴きして回答し、結果をホームページで公表いたします。これまでは、「中間とりまとめ」に基づいて、国土交通本省は検討主体から最終的な検討結果の報告を受け、必要に応じ再検討の指示又は要請を行うこととしていましたが、これに加えて、検討が進められる過程においても政務三役を始めとする国土交通本省は、各地方整備局等及び水資源機構の検討状況について、随時、報告を求めてチェックを行うことといたします。継続を前提とした検討が行われている懸念がある場合等には、是正の指示を行うとともに、報告や指示の内容をホームページで公表します。あわせて、与党の関係国会議員にも御報告をさせていただき、政府・与党一体となった対応について工夫をしてまいりたいと考えています。また、補助ダムについては、道府県に検討を「要請」していることから、直轄・水機構ダムのように「報告」を求めたり、「チェック」を行ったりはしませんが、事業の「継続」を前提とするのではなく、「予断を持たずに」検証を進めていただきたいと考えていることを、この場を借りて改めて表明させていただきます。以上でございます。

2.質疑応答

(問)昨日、否決はされましたけれども、大臣への不信任決議案が出されたことへの受け止めをお願いします。また、そのことを受けて、改めて今回の尖閣のビデオを巡っての御自身の責任問題について伺います。
(答)昨日の不信任決議案について、不信任の理由として尖閣ビデオ問題、八ッ場ダム、高速道路無料化とございましたが、とりわけこの尖閣ビデオ問題については、繰り返し申し上げているように事実の徹底究明と捜査への協力、更には再発防止策を講じることに全力を挙げなければならないと思っております。御指摘1つ1つを踏まえながら、私は今後ともしっかりと責務を果たしてまいりたいと、このように感じているところです。
(問)ビデオを流出させたと名乗り出た保安官の捜査について、捜査当局が逮捕しない方針を固めたようですけれどもその受け止めと、逮捕が見送られたことで関係者の処分の時期や内容についてどう考えているでしょうか。
(答)捜査の方法や判断については、私どもはコメントする立場にないと思っております。今後も推移をしっかりと見守って我々のできること、捜査への協力、あるいは再発防止策の検討というものについて一歩一歩前に進めていきたいと考えております。
(問)その43歳の海上保安官ですが、昨日、「広く一人でも多くの人に遠く離れた海で起こっている出来事を見てもらい、一人一人が考え判断し、そして行動してほしかった」と言っている反面、「公務員のルールとしては許されないことだったと反省もしています。」とのコメントを出しているのですが、このコメントに関する大臣の受け止めはいかがでしょうか。
(答)御本人の正に思いであるということで率直な思いを話されたのだろうと思います。今後は捜査において、これは事件として今後どのような方向へ向かうのかということも含めて我々としては協力する立場にありますが、一方で公務員としてのルールということを述べられているということであります。我々としても故意の流出などがあってはならないということで情報管理の徹底を図っておりますので、今後とも国土交通省、あるいは海上保安庁においては情報管理の徹底に努めてまいりたいと、このように思っております。
(問)整備新幹線の未着工区間の状況についてお伺いします。近く課題検討チームが立ち上がるようにもお聞きをしておりますが、一方で、そもそもこの検討・検証というのは費用対効果を検証して優先順位を含めて判断するということだったと思うのですけれども、実際に作業がかなり遅れていると思うのですが、現状として費用対効果の検証というのはどこまで進んでいるのでしょうか。
(答)これは費用対効果のみではないです。5条件を掲げておりますから、この5条件についてクリアしていくということも一つの課題ですので、一つ一つ進めていく作業の最中ですから、具体的なことを申し上げられる段階のときにはお伝えをしたいと思います。これは北海道のみならず、北陸、九州ルートも含めまして、これら三つの未着工区間に関してはそれぞれしっかりとした議論をしていきたいと思っております。
(問)現在、作業中という理解でよろしいですか。
(答)ええ、これはもう今年の夏に決定した方向でしっかりと検討を進めているという状況です。
(問)需要予測について鉄道分野も含めて、来年3月までに、順次検証の方法も含めて、トータルに見直すという方針だと思うのですけれども、新幹線の未着工区間に関しても来年3月までに総点検をして、その結果について示す、こういう理解でよろしいですか。
(答)それはちょっと違います。今、需要推計の第一段階については、一つの事業評価の方法として検討が進めてこられたと、そして今度はそれを統合したモデルを作っていくということですから、来年の概算要求時までにこれらの結論を出して、そこで改めて事業の、これは再評価の仕組みを変えましたので、事業評価にちょうど当たる部分については、しっかりとこれらの需要推計を基に事業評価、再評価なりを行うということですから、特にこの3月までにということではなくて、今まずは需要推計のモデルについての検討を行っているということでありますので、そこは誤解無きようにお願いしたいと思います。
(問)雇用情勢のことなのですけれども、今日、文科省と厚労省の発表で、大学生の就職内定率が過去最低になるという数字があるのですが、これについて受け止めと国交省としてどうすべきか、大臣としてどう考えられていますか。
(答)私の周りにも就職活動をしているインターンの学生達やいろいろな若い人たちの声が寄せられています。大変厳しいという声を聞くにつけ、まずは経済対策ということが重要だと思っております。これは三段構えの経済対策のうち、第二段のこの補正予算は衆議院で昨日議論をしていただいて、予算委員会を通過いたしました。23年度の予算までが三段構えですので、しっかりとこれを提示していくことだと思いますし、一方、国土交通省としては傾斜地域に対して、再度血流が指先まで回るようにというような形で、建設産業のみならず、所管する産業に対するこの抜本的な経済官庁としての対策というものを、私は就任当初に申し上げてまいりました。まだ具体的に御提示するまでに至っておりませんけれども、しっかりとこの経済官庁としての役割を果たすということで、この方策なりをまた御提示してまいりたいと思います。少しでも、若い方々の仕事に就くという機会に資するような対策を提示してまいりたいと思います。

(以上)