荒井内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成22年9月10日

(平成22年9月10日(金) 10:11~10:27  於:合同庁舎第4号館6階642会見室)

1.発言要旨

 今朝の閣議において「新成長戦略実現に向けた3段構えの経済対策」、こういうふうに命名をいたしました。「3段構えの経済対策」と。
 本対策は、先月30日に経済関係閣僚委員会で経済対策の基本方針に基づき、総理の指示を受けて取りまとめたものであります。
 本対策は、3つの基本的視点に立っています。1つは、時間軸を考慮した3段構えの対応であると。具体的には、ステップ1として円高・デフレ状況に対する緊急的な対応。その後、ステップ2として、今後の動向を踏まえ機動的に対応すると。そして、ステップ3として、予算や税制など平成23年度における新成長戦略の本格実施と、この3つのステップを経て、デフレ脱却と景気の自律的回復に向けた道筋を確かなものにするという宣言をしているというものでございます。
 2つ目の基本的視点は、雇用を基軸とした経済成長の実現であり、予算、税制、企業社会システム全般にわたり、雇用の基盤づくりに全力を尽くすという方針を明記したものであります。
 3つ目が財政と規制・制度改革の両面の取り組みであり、予算や税制といった財政措置だけではなくて、需要・雇用創出効果の高い規制・制度改革を強力に推進するということを宣言したものであります。
 ステップ1の緊急的な対応においては、予備費9,200億円を活用し、即効性があり、需要・雇用創出効果の高い施策を実施いたします。その経済効果としては、実質GDPの押し上げ効果は0.3%程度、雇用創出下支え効果は20万人程度と見込んでおります。
 今後の景気・雇用動向を踏まえ、必要に応じ、補正予算の編成など機動的・弾力的に対応してまいる所存であります。引き続き経済財政運営に全力を挙げてまいります。
 今回のこの予備費9,200億円の使用により、事業費規模としては内閣府の試算によって9.8兆円の事業費が発生するというふうに見込んでおります。
 次に、本日9月10日から16日までの1週間、自殺予防週間を実施いたします。私は、共生担当大臣でもあり、自殺予防の業務も私の担当であります。
 早速今朝、東京駅前において、丸の内に通勤される方々をターゲットとして、菅内閣総理大臣、中井国家公安委員会委員長及び長妻厚生労働大臣、そして私が街頭キャンペーンを行ってまいりました。
 具体的には「眠れてますか?」をキーワードに、睡眠の問題を切り口に、うつのサインに気づいていただき専門機関への早期の相談を促すため、啓発用のポケットティッシュを配布いたしました。内閣府による東京でのキャンペーンと同時に、自殺対策タスクフォースの構成員たる副大臣や政務官が、各地の地方公共団体による街頭キャンペーンに参加しております。これは中井大臣の提案によります。内閣府からは、大島副大臣がさいたま市と宇都宮市に、泉政務官が大阪府のキャンペーンに参加しています。また、高井政務官も徳島で、地元ですけれども参加をしております。
 また、午後には「自殺対策国民会議2010」を開催いたします。本年は、年間の自殺者数を可能な限り減少させるため、この自殺予防週間を皮切りとして、年内に集中的な自殺対策に取り組むこととしております。皆さんも周りの方に「眠れてますか?」と声をかけてください。私からのお願いでございます。

2.質疑応答

(問)今日、GDPの改定値が発表されて、年率の1.5%と上方修正されたわけなんですけれども、改めて受けとめと今後の先行きの景気の見通しについてどう考えていらっしゃるかということをお聞かせください。
(答)先行きについては、まだまだ予断を許さないというふうに思うんですけれども、今回のこの改定が、民間設備投資などが極めて順調だということで、景気の持ち直しという方向性は、依然として変わっていないんだというふうに思ってございます。これは民間の幾つかの研究機関、調査機関も同じような見通しを持っておりましたし、私たちと大体同じ考え方、軌を一にしたんだろうというふうに思います。
 いずれにしても、足元の景気の基調判断については、その他の指標など等も踏まえ、本日の月例経済報告においてお示しする考えでおります。
(問)経済対策の関係ですけれども、この中で日銀に対して追加緩和を要求するような、ちょっと強い表現が盛り込まれたと思うんですけれども、これは日銀の独立性との兼ね合いでどういうふうに考えていらっしゃるのかということは。
(答)日銀の独立性は尊重しなければならないと思いますけれども、このような円高、あるいは下振れリスクが強まっていますから、政府と日銀が一体的にこの対策を組んだと、あるいはこれからもその姿勢を続けていくと。特に、昨日実施をいたしました新成長戦略実現会議において、白川日銀総裁がそのメンバーに加わっていただいたということは、大変大きな、エポックとまでは言えないでしょうけれども、大変大きな会議になっていく、あるいはその会議が大きな意味を持っていく、政府と日銀が一体化するための大きな機会になっていくんだろうというふうに考えております。
(問)今回の追加経済対策、円高対策というのが最初の機であったと思うんですけれども、今回のその対策で、どの程度円高対策に貢献するといいましょうか、いい点があるというか、円高対策に資するものになったか、その点を。
(答)今回の対策では、円高そのものに対して、円高の急速な進行・長期化ということが経済・金融の安定への悪影響が看過できないという問題意識から、政府は必要なときには為替介入を含め断固たる処置をとるとの認識を示しています。おそらく、これまでに比べて一段と強い表現をすることになったと認識をしております。
 また、金融面では先ほどお話をしました日本銀行に対して、政府と緊密な連携を図りつつ、デフレ脱却の実現と、ここは同じ考えですから、さらなる必要な政策対応をとることを期待しているということをお願いしているところでございます。
 こうした為替・金融面の対応に加え、急速な円高が実体経済にもたらす下振れリスクに対しては、雇用、投資、消費の基盤づくりなどにより内需の下支えを図ることで、その負の影響を最小限に食いとめるということであります。しかし、こうした円高の影響緩和を行うと同時に、円高のメリットを最大限に活用するという観点も、また重要だという認識を示しております。具体的には、商品・サービスの輸入、あるいは資源関連を含め海外の資産購入、あるいは会社のM&Aなど新成長戦略に沿って、こうした人、物、金の流れを活性化することによって政調基盤が一層強固になるものだというふうに思います。
 具体的に幾ら、幾らということは申し上げられませんけれども、そういう考え方で整理をしたものでございます。
(問)今回、強い対応を示したということなんですけれども、マーケットはどういうふうに反応すると考えていますか。
(答)今日の円は、少し円安に振れているかな。マーケットのことについては、マーケットに聞くしかないと思いますけれども。
(問)振興銀行に対するペイオフの発動なんですけれども、これは消費者マインドとか景気に与える影響については、どのようにごらんになっていますでしょうか。
(答)振興銀行という銀行は、非常に特殊な銀行であったんではないかなというふうに、一般的な銀行とやっぱり少し違うんだろうというふうにと思います。
 そういう意味では、我が国において、預金保険法のもとで金融機関が破綻した場合の対応方法がしっかり整備されております。今般の日本振興銀行の処理に当たっては、法律の定めに従い粛々と対応していくということであり、我が国の金融システムの安定が脅かされるということにはならないというふうに確信をしております。
(問)景気については影響はないと……。
(答)景気については私は、ないと言い切ると誤解を招くかもしれませんけれども、大きな影響はないと。
(問)経済対策ですが、雇用の創出下支え効果が20万人程度で、新卒者に対する効果が約5万人ということですが、ここ数年は大学の新卒者の就職内定率が、大体60%ぐらいで推移してきていまして、高卒者も合わせると15万人ぐらいの方が就職できないという状況になっていて、今回5万人程度ということが見込まれていますが、これぐらいで足りるのかと、経済対策で足りるのかというのが1点と、もう一つは代表選がありますが、代表選の結果によって、この経済対策はどういうふうになるのかという見通しをお願いします。
(答)政府として決定するわけですから、この決定事項というのは代表選に影響に私はないと、されないというふうに思ってございます。
 それから、5万人という数字は、特に新卒者の5万人という数字は、かなり大きな数字だというふうに思ってございますし、今回の新卒者に対する雇用対策の中には、例えば新卒の扱いというのは、今、日本の雇用慣行では、その年に卒業した人を新卒として扱うんですけれども、それを雇用の面に関しては3年間は新卒として扱ってくださいということでありますとか、あるいは就職を、雇用先を探しているその期間中にも、いろんなトレーニングが受けられるような、そういう仕組みも出しておりますので、私はかなり効果的な、政府は本腰を入れていると、新卒者雇用について本腰を入れているという、そういうメッセージにもなりますし、その効果も高いものだというふうに思ってございます。
 今、就職が決まらないで卒業する者が、私どもの統計では年間7.5万人、7万5,000人と。そのうちの5万人程度をこの雇用対策で救済していけるというふうに思っております。
(問)7.5万人というのは大卒、高卒合わせてですか。
(答)これは、両方合わせてだそうです。
 だれか自殺の話は聞かないんですか。聞いてくださいよ。
(問)円高対策なんですけれども、為替介入を含む断固たる措置ですとか、円高のメリットを最大限に生かすというのが、何かどこかの候補の主張で聞いたような気がするんですけれども、その辺は影響というのは、向こうの候補の政権から影響を受けて考え直したとか、そういったことはあるんですか。
(答)いや、そこはないですね。もともと円高のメリットというのをしっかりと書くべきだというのは、私は、あるいは総理からの意見でもありました。かなり前からそういうふうに思っていましたね。
 最近の論調でも、円安の輸出に対する効果ということで、円安誘導というのがありますけれども、必ずしも円高が悪いということではないという論調も最近出てきておりますし、ある意味では急激な為替変動というのが一番問題なのかなというふうに思いますね。

(以上)