荒井内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成22年8月30日

(平成22年8月30日(月) 18:06~18:29  於:合同庁舎第4号館2階共用220会議室)

1.発言要旨

 本日行われた関係閣僚委員会において、経済対策の基本方針が決定をされ、総理から私に、9月10日に経済対策を閣議決定すべく、その取りまとめを行うよう、指示がございました。
 経済対策は、基本方針に示されているとおり、雇用、2番目が投資、3番目が消費、4番目が地域の防災対策、そして5番目が規制・制度改革の5本柱から成り立っております。
 財源は、円高や海外経済の減速懸念など景気の下振れリスクに機動的に対応し、早期のデフレ終結に向けた基盤づくりを行う観点から、経済危機対応地域活性化予備費約9,200億円を活用することといたします。予備費であります。
 金融政策については、本日、日本銀行が臨時の金融政策決定会合を開催し、金融緩和の一段の強化を図ったことは、政府の経済対策と連携し、経済状況の変化に迅速に対応されたものとして、評価をいたします。
 今後も、景気や経済の動向に注意を払い、必要な場合には機動的・弾力的に対応することといたします。
 日本銀行とは今後とも緊密な連携を保ちつつ、適切かつ機動的な金融政策運営を期待しているところでございます。
 私からは以上でございます。

2.質疑応答

(問)まず日銀への対応、今、評価するということだったんですけれども、政府と日銀との今回のやりとりの中で、かなり政府の圧力が、日銀の独立性を損なうものでなかったのかどうか、その点について大臣のお考えを。
 もう一つはあと、細かいところなんですけれども、推進会議の設置がうたわれていますが、これはいつから始めるのかというところをお願いします。
(答)今回の日銀の追加金融緩和措置は、日銀自身の判断と責任で行ったというふうに承知をしてございます。
 それから、新成長戦略実現推進会議の設立でございますが、できるだけ速やかに行うということにしてございます。
(問)この会議には日銀総裁は出席するんでしょうか。この紙には書いていませんが、出席すると理解をしてよろしいんでしょうか。
(答)はい。出席していただくようにお願いする所存でございます。
(問)あと、開催頻度は、例えば週に1回とか月に2回とか、その辺のところはどういう想定で考えていらっしゃいますか。
(答)そこまではまだ詰めていませんけれども、なるべく定期的に会議を開催したいというふうに思います。定期的に具体的な議論を、ぜひ関係者も含めて、有識者も含めて、新成長戦略が前倒しで進められるような議論をいただくという機会にしたいと考えています。
(問)先ほど、日銀が独自に判断してやられたというお話がありましたけれども、先週総理が「実施を期待する」というふうに言いました。これは過去にはない強い表現だったと思うんですけれども、実施を期待した以上、その実施にこたえたというのが多分実態であると思うんですが、この表現がそもそも適切だったのかどうか、日銀との関係において、独立性を重視する政策をとってきた民主党としてどういうふうに総括されているのか教えてください。
(答)今回も日銀総裁と総理との懇談会が催されましたけれども、それは日銀のほうの自主的な御判断で、緊急の会合をもって御判断をいただいた後に総理と懇談をしたという経緯からいっても、日銀が自主的にさまざまなことを決定していただいたというふうに理解をしています。
(問)会議の人数はどのくらいを想定しているんですか。
(答)これはまだちょっとそこまで決まっていないんですけれども、おおむね、10人ぐらいかな、もうちょっとになるだろうか、そのぐらいの規模の会合を想定しています。もうちょっと多くなるか……
(問)10人。
(答)10人程度じゃないかな。
(問)これは10日までに開くことはあるんですか、閣議決定の前に。
(答)何とも申し上げられません。相当な有識者の方々ですし、相当な仕組みでありますので、それまでに準備ができるかどうかというのは今のところまだ詰めていないということですね。
(問)デフレ脱却が一つの大きな目標というふうになっていますけれども、この程度の消費の基盤づくりで、この程度の対策で本当にデフレ脱却に向けた大きな力となるのかということと、家電エコポイントの延長をやるのであれば、自動車の購入補助の延長も考えてしかるべきだったんじゃないかと思うんですが、それは何で外したんですか。
(答)まず、今回の対策はスピードを重視いたしました。確かに金額の量的にいかがかという御指摘はあろうかと思いますけれども、とにかくスピード感ということを重視をいたしまして、これで効果が不十分だということが判明した場合には、次なる対策、第2弾の対策を考えようという、そういう考え方であります。必要な場合には次なる機動的・弾力的な対応策を考えていきたいというふうに思ってございます。
 それから、車の件についてはいろいろな意見がございましたけれども、最終的には経産省の判断で、今回は家電を延長するけれども、自動車のほうについてはという、そういう判断がなされたものと承知しております。
(問)効果がないなら第2弾の対策ということなんですけれども、その判断というのはどういったところの基準を考えていますか。
(答)これはやはり株価ですとか、あるいは円高ですとか、あるいは雇用状況でありますとか、そういうものがメルクマールになると思います。
(問)決定を9月10日とした理由というのは何でしょうか。
 それと、予備費を活用した措置を9月中に講じるということですけれども、9月14日に民主党代表選が予定されておりますが、その結果がまた影響する可能性もありますけれども、その辺はどういうふうにお考えでしょうか。
(答)9月10日までは、この方針に基づいて各省庁から意向を取り寄せるわけであります。特に予備費使用の部分の防災関係の事業については、地方自治体なり地方との関係もございまして、それとの調整を図るためにはやはり一定の時間が必要だということでございまして、急ぎに急いでやっと10日というのが現実であります。その10日の日に予備費の決定を閣議決定いたしまして、それから実務的な実務作業に入るのに1週間から10日ぐらいかかるというのが財務省の見解でございますので、9月中に実際のお金が流れるということになろうかと思います。
 代表選の影響は、本件とは関係ございません。10日の日に実際の閣議決定をするわけでございますから、なるべく早く、代表選に影響されて経済政策が後手に回ったということがないように私たちとしては考える必要があるんだろうというふうに思っております。
(問)総理から今日、9月10日までに取りまとめるよう指示が大臣のところにあったということで、各省の大臣に対しては荒井大臣のほうからもう既に指示は出ているんでしょうか。まだだとすると、どのような形で出して、その後、どういう段取りで検討を進めていかれるのか伺えればと思うんですが。
(答)明日の閣僚懇談会の席で私から御説明をいたしまして、皆さんにお願いをするということになります。そこで意見をいただくこともありましょうし、あるいは実務的にそこから作業が始まるということでございます。
(問)新成長戦略推進会議のことについてなんですけれども、新成長戦略の推進、加速のためと書いてありますが、これはもうちょっと具体的に、どういった役割、議論を期待しているのか、その点についてちょっとお伺いします。
(答)過去の成長戦略の目標が今まで10年間に14だったかな、ものすごい数をつくっているんですけれども、いずれもうまくいかなかった要因の一つが、施策のフォローアップが徹底されなかったということが主因だったと思います。
 したがって、新成長戦略で示された施策を確実に実行するために、PDCAサイクルをやって、計画して、実行して、それがどういう結果をもたらしたのか、どこが問題だったのかということを実行するPDCAサイクルといいますけれども、そういうPDCAサイクルで進捗管理を徹底するということが大事だ、必要だということがこの民主党政権はずっと言い続けております。
 このPDCAサイクルも、実際事務局は別にあるとして、それはだれが管理して、だれが責任を持つのかということが組織的に今まで不十分であったというふうに考えておりまして、そのPDCAサイクルについてしっかりと検討して意見を言っていただくというのがこの推進会議だというふうに位置づけております。
(問)総理は31日に基本方針を決定するというようなことを御発言されたと思うんですけれども、1日前倒しになった理由を教えてください。
 あと、確認なんですが、閣議決定ではない、総理指示ということでよろしいですか。
(答)そうです。まず、今私が御説明させていただきましたのは総理指示であります。この基本方針で緊急経済対策の具体策をつくってくださいという指示書でございます。
 それから、極力早くということで、31日にと当初考えていたんですけれども、現在の状況ができるだけ早くするべきではないかと。特に日銀さんも急遽総裁が帰ってきて具体的な方策を講じていただいたということもありますから、政府の計画と金融政策とがなるべく連携が密であるという形が好ましいだろうということで今日にいたしました。
(問)こちらの経済対策のほうなんですが、まず当面予備費の9,000億円超を使うということですが、まず大臣の中で現在即効性のある、急いでやらなければならないと思っているものはどういうものなのか、5本柱の中でどういうものが必要であるのかということと、この9,000億円、すべてを全部一回で使い切ってしまうわけではないと思うんですが、どれぐらいの予算措置が必要というふうに当面お考えになっているのかということが1点と、先ほどからある新成長の会議ですけれども、自民党政権下では経済財政諮問会議という経済財政全般を議論する場がありましたけれども、新成長戦略だけに限らず、もう少し広く経済財政分野について議論するということが考えられるのかどうかということについて、大臣の御認識をお聞かせ願えますでしょうか。
(答)今回のデフレ傾向の中の円高、株安ということで、最も影響を与えているのがやはり雇用だと思います。特に雇用の中でも若年者の新卒の雇用が極めて深刻なというか、たしか大学新卒者の16%ぐらいが就職ができていないという、そういう統計が出ていると思いますけれども、これに対して適切な対応をすることがどうしても必要だろうということで、雇用関係を幾つか挙げております。
 例えば新卒者の就職応援プロジェクトでインターンシップでありますとか、あるいはトライアル雇用の拡充でありますとか、あるいはパーソナルサポーターという一人一人のカウンセリングができるような、アドバイスができるような制度でありますとか、それから、キャリア段位制度という、イギリスで極めて大きな成果を上げたと言われている制度ですけれども、そういうものが今回雇用問題ということで一番に挙げております。
 そのほかに、私はこの職に就いて、どうして日本は雇用がなかなか伸びないんだろう、なぜデフレが深刻な状態にあるのかということをいろいろと調査・検討していく中で、企業の数が少ない、起業家という人たちがなかなか出てこない。ここはアメリカとものすごく違うところでありまして、この十数年間で日本は企業の数が非常に減少しております。それは起業家を育成するということがなかなかできていない、あるいは新規に創業するという、そういう環境がうまく機能していないのではないかとか、そんな思いがあるんですけれども、今回、新成長戦略の中では環境のイノベーションというのを大きく打ち出しております。したがって、2番目の国内投資の具体的な施策の中にあります低炭素型雇用創出産業立地推進事業ということを考えておりまして、ここを積極的に活用できないかなというふうに思います。
 なお、予備費を今回使いますから、予備費の使用というのか限界があります。制約がいろいろな形でございまして、全く新しい、今まで何の予算措置もないようなやつを急にやるということは、これは補正予算と違って制約がありますから、現在できる制約の中の最大限活用できるものということで考えております。
 それから、2番目の例は、2番目の考え方は、成長戦略を前倒しをしていくというか、せっかく6月18日につくって、各国でそれなりの評価を受けた、日本経済が大きく、このデフレを脱却するための大きなツールだと思いますので、この新成長戦略を前倒しをしていくという、そういう観点もこの緊急経済対策の中では大きな視点でございます。
(問)金融政策決定会合、今日金融緩和の方針が出されて、これとこの経済戦略が両輪だというふうなお話なんですけれども、早速今、円が84円台とまた高くなってきてしまっているというこの状況について、どうお感じになるかというのをお聞かせください。
(答)どういう原因で、あるいはどういうことでそうなっているのかというのは少し市場の関係者なりあるいは市場そのもの等に注目、注意していかなければならないと思っていますけれども、ただ、当初、ぐっと伸びたというか、円安に振れたわけですよね。それから株価も相当伸びてきたということで、私は日銀の今回やっていただいたことがそれなりに効果を発揮したんだろうというふうに私自身は評価をしているところであります。
(問)推進会議なんですけれども、先ほどのお話ですと、PDCAサイクルをチェックする場というニュアンスでおっしゃっていましたが、デフレ脱却のために財政、経済運営、政策総動員でやらなきゃいけないと思うんですけれども、デフレ脱却に向けてそういう経済財政運営の司令塔的な役割を担うところまでいくのか、それとも、先ほどおっしゃったとおりPDCAサイクルをチェックする場にとどまるのか。構想はこれからだと思うんですが、大臣の基本的なお考えをお伺いしたいんですけれども。
(答)これをつくる主たる目的は、新成長戦略のPDCAサイクルの部分なんですけれども、そこを議論していくと、経済政策全般についての議論だとか、あるいは財政問題だとか、そういうところまで議論が及ぶかもしれませんですね。そこはメンバーの人たちの議論を踏まえた運営の仕方になるだろうというふうに思います。
 ただ、これをつくる目的は、新成長戦略をどう進めていくか、それの効果的な実施の仕方は何なのかということを専門家の目からしっかり議論していただきたいということからこれを設置しようと考えたものでございます。
(問)円高とか、そういったものに対応するのは基本的には金融政策と、それから介入等の為替政策であると。この対策の目的というのはどういうものなのか。例えば円高にも強く対処できるような経済対策にするためなのか、もうちょっとかみ砕いて、政策目的を説明していただけますか。デフレから脱却するのはわかるんですが、一応円高を受けて出されたものだと思うので、円高とリンクさせるとどういう御説明になるのか。
(答)円高に端を発する株安、その株安が経済全体を縮小させていくというおそれが、さらにそれがデフレを進行させているのではないかというおそれから今回緊急経済対策を実施したわけですよね。その意味で、株に対するインパクト、あるいは雇用という、最後に回り回って需要をつくっていくというのは雇用と関係していますから、その雇用を刺激をしていく、拡大していくというところにこの緊急経済対策の大きな目的があるというふうに理解しています。

(以上)