荒井内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成22年8月16日

(平成22年8月16日(月) 9:20~9:37  於:合同庁舎第4号館6階643会議室)

1.発言要旨

 皆さん、おはようございます。
 本日公表した2010年4-6月期のGDP(1次速報)QEは、実質成長率が前期比0.1%増、名目成長率が前期比0.9%減であります。
 今回の結果は、エコポイント関連で駆け込みの反動があったことも考えますと、4-6月期においても景気の着実な持ち直しが続いていたことを示す内容だと思います。
 輸出に牽引された部分は、依然大きい一方、民間設備投資が前期比0.5%増と3四半期連続で増加しており、これが景気の自律性の高まりを意味するのかどうか、今後の経済指標等で確認をしていきたいと考えております。
 先行きにつきましては、当面、雇用情勢の厳しさが残るものの、海外経済の改善や各種の政策効果などを背景に、企業収益の改善が続く中で、景気が自立的な回復へ向かうと期待をしています。一方、アメリカや欧州を中心とした海外景気の下振れ懸念、金融資本市場の変動やデフレの影響など、景気を下押しするリスクが存在することに留意が必要であります。雇用情勢の悪化懸念が依然残っていることにも注意が必要でございます。
 政府としては、新成長戦略に基づき、日本経済を本格的な回復軌道に乗せるとともに、デフレを終結させるよう政策を運営することが必要でございます。このため、日本銀行と一体となって、強力かつ総合的な政策努力を行う所存でございます。
 私からは以上です。

2.質疑応答

(問)今回の数字、成長率は前期比で0.1%ということで、民間の予測では最低の数値の結果となっています。足もと、円高等も含めてかなりリスク要因が増えていると思うんですけれども、景気の方向感をどう考えているのか。今、基本的にはあまり以前と変えていない認識であるんですけれども、リスク要因が増えていることを踏まえてどうお考えなのか、教えてください。
(答)今回の結果は、1-3月よりも実質成長率は減少しておりますけれども、この原因は、エコポイント関連で駆け込みの反動がありまして、液晶テレビの駆け込み反動ですね。私たちとしては、4-6月においても、景気の着実な持ち直しが続いているという解釈、理解をしております。
 それから、輸出に牽引された部分は依然大きいんですけれども、民間設備投資が前期比0.5%と増加しており、これが景気の自律性の高まりを意味するのかどうか、今後の経済指標で確認が必要だというふうに考えています。
(問)内需のほうを見るとマイナスになり、あとは先ほど反動が出たと、エコポイントは反動が出たということなんですが、政策効果で言うと9月末にはエコカー減税の補助金が終了し、12月にはエコポイントが終了するといった流れになると思います。
 そういった中で2点お伺いしたいのが、民主党政権は「内需から外需へ」という名目を掲げていたと思いますが、それを受けて今回どう考えるかというのが一つと。
 あと、景気を下支えしていたこれまでの政策効果が剥落している中で、今後どのような政権としては運営を考えているのか、対策を考えているのか、その辺についてちょっとお伺いしたいと思います。
(答)現時点では、判断は大変難しいところに来ていると思うんですね。設備投資でありますとか、あるいは個人所得、そういうものについては改善の傾向が非常に出ているんですね。これは、ある意味では自律的回復の前提となるものでありますから、そこのところが改善をしているというのは、私は大いにプラスの要因だろうというふうに思っております。もちろん、エコポイントや経済政策のそういう政策の剥落というのも、今後見なければならないんですけれども、それは自律的な回復を軌道に乗せるための政策ですから、つまり、内需を大きくしていく、あるいは設備投資を増やしていく、あるいは個人消費を増やしていくための前提部分を、助走部分をつくるための政策ですから、そこはある意味できいてきたということであるわけですよね。
 今後、それが定常的な軌道路線に乗っていくのかどうかというところが、今大きな判断の分かれ目になっているんだろうというふうに思っておりますけれども、私自身は今の段階を、かなりこの政策が功を奏して軌道に乗りつつあるんではないかというふうに思います。
 ただ一方、想定外の円高という、あるいはアメリカの景気が予想よりも高くなかった、それからヨーロッパの景気もということで、円高傾向が強くなってきてしまっていて、この円高については、もちろん日銀と連携をして、しっかりとした連携作業が必要だと思うんですけれども、それが、この日本の自律的な回復軌道に乗る過程が相当大きな障害になっているのかどうかということについては、もう少し見ていかないといけないだろうなというふうに思いますね。
(問)関連して、もう一点だけ。
 そういった政策効果というよりは、子ども手当を強く全面に押し出している面はあるかと思うんです。今現在では、目立った統計で効果が出ているという感じではないようですが、子ども手当の評価について現在どう考えていらっしゃるのか。子ども手当を中心とした民主党の政策が、いわゆるエコポイント、そちらもあるんですけれども、エコポイントであったりとか、エコカー減税にかわるものになり得るのかどうか、その辺はどのようにお考えですか。
(答)これは子ども手当にしても、それから高校無償化にしても、政策それ自身は違うところに、別なところにねらいがあるわけですね。子ども手当ですと少子化対策ということですし、高校無償化ですと高校の手当を補充をしていくという、そういうねらいがあって、別なところにあるんですけれども、間接効果として、やはり消費の拡大ということは見込まれると、個人消費の拡大ということにつながっていくだろうという予測はしてございます。
 その数字は、まだ6月時点ですので統計上にしっかり出てきているかどうかということについては、分析結果はしっかり出ていないものですから、そこのところは依然としてコメントする状況にはないと思っています。
(問)先ほど景気の認識について、津村政務官のほうから「既に踊り場入りしているのではないか」というような言葉があったのですが、大臣はどのようにお考えですか。
(答)そこまでは考えておりません。依然として景気の、その基本部分というか下部構造というかファンダメンタルというか、その部分は設備投資であり、個人消費なわけでして、そこについては依然として改善の傾向が見られるというふうに私自身は思っていますので、「踊り場入りしている」という、そういう表現は当たらないだろうというふうに思っています。
(問)そうしますと、政務三役の中で景気認識に対する認識が異なるということなのでしょうか。
(答)いや、そうでもないんじゃない。津村さんは、そこのところについてどうおっしゃったか、私はそこの場で聞いていませんけれども、そのあたりは、そこを注視したいということなんじゃないですか。
(問)先ほど設備投資と所得について、改善の傾向が出ているとおっしゃったんですが、投資の面はわかるんですけれども、所得の面は今回、雇用者報酬を見ても名目ではまたマイナスになって、かなり実感では相当よくない状態だと思いますが、その点についてはどうごらんになっていますか。
(答)これも統計のとり方にもあると思うんですけれども、残業手当だとか、あるいは夏のボーナスですとか、そういうものに改善の兆しがあるんですよね。ですから、そういうものを見ると、上向きになっているんではないかという、そういう印象を持っています。
(問)ボーナスは、大企業以外のところがいいという話をなかなか聞きませんけれども、そこはどういうふうにごらんになっていますか。
(答)そうですね。中小企業にはなかなか、そこの傾向は戻ってきませんけれども、しかし中小企業関連対策としては、先般、最低賃金を政策的に引き上げようという動きをしていますので、中小企業の部分でも最低賃金のその影響が出てくるものだというふうに期待しています。
(問)そうしますと、今回、反動減で消費が大きく減速したというのはわかるんですけれども、それを補うほど政策効果以外の部分が盛り上がってこなかった理由については、大臣は現時点ではどういうふうにお考えですか。
(答)まず子ども手当については6月時点ですから、まだ交付されたばかりで、そこが消費に跳ね返ってくるという、そういうところまでは至っていないんだろうというふうに思いますし、それから、全体としては、私は自律的回復に至る、その過程にあるんだろうというふうに……、企業収益が改善をしておりますし、企業の設備投資意欲が持ち直しておりますので、景気が自律的回復に向けて進んでいる可能性を示唆しているんではないかというふうに思います。
 9月3日の法人企業統計調査を踏まえて、次回以降の月例経済報告で、このあたりのしっかりとした分析等については皆さんにお知らせできるのではないかと思います。
(問)政府与党内で追加経済対策を求める声がありますけれども、現時点でどのようにお考えになっているのかという面と、それから円高対策について、具体的に日銀とどういった協力関係が望ましいというふうにお考えでしょうか。
(答)そうですね。経済対策については、党内との調整も必要ですし、経済関係の関係省庁との調整も必要だと思いますけれども、現時点この現状況だけを見て、早急にということには私はならない、むしろ9月に出る2次QEのしっかりとした数字、それの分析に基づいた判断というものが必要なんだろうというふうに思います。
 したがって、この間は景気の動向を注意深く見つめていくという、従来からの私たちの姿勢というものを、さらに一層注意深くというぐらいなことなんだろうというふうに思います。
(問)円高対策について、日銀との関係は。
(答)これも日銀と随分、円高対策については議論をしていますし、それから具体的には財務省が事務的にも日銀との間でさまざまな議論をしているようにも聞いております。この過程を注意深く見つめていくというのが私たちの姿勢であります。
(問)今年度見通しが2.6%なんですけれども、既に政策効果は今後弱まるわけですね、それから円高の懸念もあるということであって、今年度2.6%達成より前に前期比年率で3.2%と、これは相当潜在成長率より高い数字だと思うんですけれども、これを達成することを考えますと、2.6%目標というのは相当難しくなってきたんじゃないでしょうか。
 それからもう一点は、日銀総裁と菅総理が話をするという話があるんですけれども、これはいつごろと考えているんでしょうか。
(答)総理と日銀総裁とが定期的な会談は行っておりますよね。先般は6月の中過ぎだったと思いますけれども。近々この状況を踏まえて会談をするというふうに私は聞いておりません。
 それから、2.6%という22年度の年央試算、私たちの年央試算は2.6%なんですけれども、さらに一層この2.6%に向けて政策努力をしていくと。6月から、実質5月、6月ぐらいから予算の執行が始まっておりますから、その予算執行で、ある意味の今度の予算は成長戦略になるべくのっとって執行してくださいという話を私たちからしていますし、あるいは概算要求がこれから始まるわけですけれども、概算要求に向けて成長、あるいは雇用というものに配慮をした予算の編成を各省庁に私たちのほうから要請をしていますので、政策が極めて大きく剥落するということにはならないと、むしろターゲットがしっかり絞られた、そういう予算編成、予算執行になるだろうということを期待しています。
(問)1-6の名目のGDPで限りなく中国などに近づきましたが、これに対する感想と、中国は日本にとって輸出の大事な輸出先ではありますけれども、今年確実に世界第2位の座を譲り渡すということが見えてきたような気がしますけれども、これに対する感想というかお考えをお聞かせください。
(答)どちらが上になるかとか下になるとか、そういうのはあんまり意味がないんであって、その国、その国の独自の経済体質というものがあるんだと思います。私たちの国は、中国あるいはアジア等の発展と密接な関係を持ちながら、これからも発展させていこうというのが成長戦略の考え方でありますから、お隣の国が、あるいはアジアが成長していくということは、ある意味では日本もその成長とともに歩んでいくということになるんだというふうに思います。

(以上)