荒井内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成22年7月30日

(平成22年7月30日(金) 10:09~10:30  於:消費者庁6階記者会見室)

1.発言要旨

 今日の新聞に、内閣府の経済分析担当の審議官に特定の名前が発令されたかのような報道がされておりますけれども、これはそのような事実はございません。現在、具体的な人選等を進めているところであって、報道のような事実はございませんので、訂正をお願いいたします。
 それから、経済状況ですけれども、一部鉱工業生産については前月比1.5%減と4カ月ぶりの減少となりましたが、将来の予測指数は強含みでございます。また、家計調査を見ると前月比はプラスでございますので、景気は緩やかに回復をしているという方向は変わらないというふうに考えてございます。
 以上でございます。

2.質疑応答

(問)消費者庁の長官人事なんですけれども、先週の時点では、内諾はいただいたが、まだ調整中ということだったんですけれども、その後、辞令交付の日などが決まっていたら、あと人物に関しても正式決定ということであれば教えてください。
(答)状況は変わりません。まだ調整中です。
(問)昨日、民主党の両院議員総会で参院選大敗の陳謝をした菅総理が9月の代表選に再出馬を表明しました。同時に、執行部責任を問う声がたくさん挙がった中で、執行部の続投も表明しました。この受け止めをお願いします。
(答)執行部の続投というのは、次の代表選挙が行われる9月までというふうにおっしゃっておりましたから、それはそのとおりだと思います。今のこの党を再建をし、まとめていき、そして次の代表選挙に臨むための準備をしていくというのは、現執行体制がやることが最も私はベターだというふうに思っています。
(問)総理の再出馬については。
(答)私自身は、菅総理が続投するべきだというふうに思っておりますけれども、それは内閣の一員としては軽々に言うべきことではないというふうに思いますし、そこのところについてはそのようなコメントも差し控えたいというふうに思っております。
 わずか1カ月でありますし、この間の総理がやろうとしている強い経済、強い財政、強い社会保障というものは、今、我が国の近々の課題だと思いますし、それを提示をし、それを着々と進めるということが最も今、我が国の政治にとって必要なのではないでしょうか。
(問)今朝発表されました消費者物価の評価もお願いしたいんですけれども、全国の消費者物価、CPI、マイナス1.0%と、前月よりもマイナス幅が縮小していますが、現状、政府としてのデフレの認識がどうなのかというのをお伺いしたいのが1点です。
 それから、もう1つ、加えてお伺いしたいんですけれども、今朝、民主党のデフレ脱却議連が提言をまとめまして、デフレ脱却にはインフレターゲットなどの政策が必要だというようなことを提言しています。具体的には、物価上昇目標を消費者物価の2%から3%の間として、日銀には目標の上下1%以内に維持を求めていくというような内容になっていまして、政府に対しても申し入れを行うというようなことをおっしゃっているんですけれども、大臣御自身は、デフレ下の中でのインフレターゲットということは好ましい政策とお考えになるのかどうかということと、日銀に対して、先ほどのデフレ脱却議連が申し入れしているような内容で求めていかれるお考えはあるのかどうか、以上3点、お願いします。
(答)日銀と政府との関係というのは、民主党政権になって、前政権の後半から非常に緊密な連携を保たれるようになったと思います。もともと日銀法で、政府と日銀というのは独立した関係を規定されているわけでありますけれども、しかし、デフレという現象は、金融的な局面も非常にありますから、その面からいうと、日銀と政府が両輪となって進めていくということが効果的な政策という意味ではぜひ必要だと。その意味で、民主党政権になりましてから、方向がかなり転換をされていく、あるいは強化をされていくということになっているだろうというふうに思います。
 そういう過程の中で、日銀もデフレから脱却するということを大きな政策に掲げていただきましたので、政府と同じ歩調をとるということになったわけであります。
 デフレの脱却というのは、新成長戦略の中では2年以内に脱却をしていくということを目標に掲げて、さまざまな政策をそこにフォーカスを当ててやっていくということを新成長戦略の中では宣言をしておりますし、また、今回の予算編成の方針についても、総理やあるいは閣僚の皆さんから雇用の拡大の高いもの、内需の拡大の高いものについて優先的に、集中的に予算編成の際のポイントとしていくんだということが規定をされております。
 そういう効果もあって、デフレという経済事象が少しずつ国民の間にも広く定着してきて、政府の大きな政策がデフレからの脱却だということを少しずつ理解をしていただけるような状態になったんではないかというふうに思いますし、またその効果も極めて着実に進んでいるというふうに思います。
 20年間にわたって日本の経済はデフレに苦しんでいたわけですけれども、それがデフレ脱却という大きな、鳩山政権の後期、そして菅政権になりましてからも、大きな政策のターゲットにしたわけでございますので、私は着実な成果を示しているというふうに思います。
 インフレターゲット云々という話は、これは日銀の話でありますので、私はコメントは差し控えさせていただきますけれども、政府と日銀との連携のもとに、デフレが少しずつ緩和されているというか、脱却されていくというのは実態ではないかと思っております。
(問)今日から臨時国会ということで、予算委員会も来週にかけて開かれますけれども、今後、与野党の政策協議ですとか、さまざまな支援というのもあると思うんですけれども、官邸として、いわゆる国会対策というのはどういうふうにやるべきだというふうにお考えでしょうか。
(答)官邸の国会対策は、官房長官あるいは衆議院、参議院の官房副長官かが中心になってやられることだというふうに思いますけれども、それを政府全体がアシストしていくという体制をつくっていくんだろうというふうに思ってございます。
 参議院がこういうふうに少数与党になったわけでございます。これを称して「ねじれ」というふうに言っていると思うんですけれども、ねじれが大変悪いというか、あるいは問題だというふうにとられるような向きがあるんですけれども、私は必ずしもそうではないと。
 地方自治体などでは、知事の与党と知事の野党とがねじれている現象などはたくさんあります。私も北海道庁に勤めていたことがございますけれども、そのときの知事が社会党で、道議会の多数党は自民党という状況がありまして、何度も経験しております。そういう事例というのは全国ではたくさんあると思いますし、また世界じゅうで、二院制をとっている議会では、上院と下院、あるいは衆議院と参議院といったようなところで多数党が違うという事例もたくさん見られておりまして、その都度政策によって調整していくということがその議会制度として定着をしているという国や地方が私はたくさんあるだろうというふうに思います。この事態は、ある意味で二院制における議会制民主主義の超えていく過程ではないだろうか、よりよき形を整えていく過程ではないかというふうに思います。
 年金制度問題で、かつて与野党が同じ土俵に乗るべきだという議論をしたことがございます。この提案は、当時2002年ぐらいだったと思いますけれども、お亡くなりになりました今井さんという参議院議員がスウェーデンに年金の調査に行った際に、スウェーデンの年金制度が今後の年金制度のモデルになるという調査報告をいたしまして、そのときに、スウェーデンモデルという言葉を今井さんがおっしゃいました。
 これ以降、スウェーデンモデルという言葉が日本で定着をするんですけれども、スウェーデンモデルというのは、年金の受給と給付との関係の制度設計そのものをスウェーデンモデルというふうに理解をされる向きがあるんですけれども、そうではなくて、今井さんがおっしゃったスウェーデンモデルというのは、どのように年金制度をつくり上げていくのかという、そのプロセスも含めてスウェーデンモデルと称しておりました。つまり、スウェーデンでは、与党と野党が約7年か8年ぐらいかけて年金制度の抜本改革をするんですけれども、その過程で与党と野党が協議を重ねながら年金制度の制度設計をいたしました。
 この間に、与党と野党が逆転するということが2回ぐらいあったんじゃないかと思いますけれども、何回かあって、それにもかかわらず与野党が協議を重ねて年金制度をつくり上げていったという、そのシステム自体をスウェーデンモデルと称するのだということをよく力説されておりましたけれども、まさしく今、日本もそういう状況が求められているんだろうというふうに思っております。
(問)先ほどの話で、デフレ脱却政策の効果が着実に進んでいるんだというお話でしたけれども、そんなに進んでいるようにも思えないんですが、具体的にはどういうところかということと、あと、インフレターゲットですけれども、もう一回確認ですけれども、これは政府としては基本的に考えていないということなのか、それともそうではないのか、その辺をもう一回お聞かせ願えますか。
(答)インフレターゲットという言葉は金融政策ですから、日銀がそういうふうにとらえているかどうかというのは、政府の立場としては私はコメントできないという意味であります。
 それから、デフレ脱却についての具体的な政策、一つは、今、日本の経済がデフレの状況であるということを昨年11月に公表いたしました。それが第一です。
 そして、第二に、デフレを脱却するために、具体的な需要と雇用をつくるための政策というものにフォーカスを当てていくということを予算編成、あるいは補正予算、あるいは来年度の予算編成でもそういう大きな目標を手法として立てるということで政策が進んでいるということの意味でございます。
 デフレ脱却は、私は、現実的には従来よりもかなり改善している、数値的にも改善しているんじゃないかというふうに思いますし、新成長戦略の中でも、明らかにデフレを脱却するこの2年間ぐらい、あるいは3年かもしれませんけれども、それを明確に示して、そこにあらゆるデフレ脱却のための政策を集中させるということを明言したということで、そういう意味であります。
(問)政治資金の関係で、何度もお聞きして申しわけありません。これで最後にしたいと思いますけれども、先日、A4版1枚の紙で御報告をされて、質問については事務所にお問い合わせをということだったんですが、ここは5回ぐらい文書で質問させていただいて、最後の4回ぐらいはもう既に御報告したとおりだということで、回答をいただいていないんですね。具体的には、先生がどういう支出を不適切だと考えて、どういう支出を適切だと判断したのかというのを開示してほしいというお願いなんですが、開示いただいていません。
 恐らく察するに、荒井先生は基本的には何でもオープンにすべきだというお考えであろうというふうに会見での御発言を聞いていても感じるんですが、いろいろ政権の事情だとかというものがあって出せないのかなと思いますけれども、いずれにしろ、43万円の支出という中に、どうも計算すると、例えば小説代だとか、マクドナルドの飲食代などは入っていないようでして、ただ、国民の感覚からすると、自分で見識を高めるために小説を読むだとか、数百円とか1,000円単位のマクドナルドなどは普通はサラリーマンなどは自腹で払うわけで、そういうのをわざわざ会社とかに請求する人はいないと思うんですよね。
 そういう意味で、何を適切と判断したのかというのを開示することは政治家の資質を国民が判断する上で重要だと思うんですが、いずれにしろ、今後も何を適切と判断して、何を不適切と判断したかを具体的には開示しないというお考えは変わらないんでしょうか。
(答)今回、読売新聞さんから御指摘を受けて、私の事務所費問題というのが国会の場でも問題にされるという事態に至りました。
 読売新聞さんの御提示は、第一が、主たる事務所の実態がなかったのではないかということ、第二が、主たる事務所の実態がないということですから、経費が架空計上ではないかという問題意識、あるいは問題提起だったと思います。
 そこで私のほうから、主たる事務所というのには実態がありますと。法的にも届けているし、あるいは文書等もそこに、連絡事務所として使われていたという実態がございますという御説明をさせていただきました。また、法的にも、これは質問主意書でも政府として答えていると思うんですけれども、主たる事務所の規定というのは、その当該政治団体が決定をすることだという質問主意書の中の回答だったと思いますけれども、その意味では、そこから外れているということはないというふうに考えてございます。
 したがって、その次に、経費が架空ではないかという御指摘に対して、領収書を提示をし、そして、その領収書をもって架空の経費ではないということをお示ししたつもりであります。
 ただ、そのお示しした領収書の中で、適切か不適切かという御指摘を受けましたので、私のほうから弁護士事務所や監査事務所に調査を依頼して、その調査結果に基づいて必要があるならば修正申告をいたしますという回答をいたしたところでございます。
 今回、弁護士事務所のほうからこれとこれとこれについては修正を必要とするのではないかという御指摘を受けましたので、その点について指摘をされたところについて修正をしたということでございまして、これをもって、当初の主たる事務所問題、あるいは架空経費問題、あるいは不適切な経費というものについて、私はすべて回答させていただいたというふうに理解してございます。
(問)火曜日の記者会見で、国家戦略室に関して、総理のほうから、今週中にももう一回だれか呼んでやってほしいという話をされていましたが、それがどうなったかというのと、あと、来週以降どのような活動を予定されているか、わかる範囲でお願いします。
(答)今日、平岡副大臣がイギリスから帰ってこられます。ポリシーユニットについて詳細な調査をしておられますので、その報告を聞きたいと思いますけれども、総理のほうからは、平岡さんに続いて、なるべく早い期間に外交、あるいは経済協力、あるいはアジアの問題、そういう問題についてぜひ知識人、識者の話を聞くような機会をぜひつくってほしいという御指示がございましたので、今、人選等に当たっております。

(以上)