荒井内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成22年7月16日

(平成22年7月16日(金) 11:23~11:54  於:消費者庁6階記者会見室)

1.発言要旨

 今日の閣議では、総理及び官房長官から戦略室の今後についての議論が閣僚の皆さんに御紹介をされました。戦略室は、法的な根拠もないまま各省庁の交渉、折衝、調整作業を行ってきたんですけれども、今後は総理の諮問機関といいますか、ブレーンとして徹するということにいたしましょうということになりました。
 それから、今日の閣議では、少し長い時間、来年度予算編成のシーリングについて、シーリングとは言わないんですね、予算編成の方向性について自由にディスカッションいたしました。中身については差し控えるという申し合わせがございますので、それは遠慮させてください。
 それから、6月29日の検討会において取りまとめました新年金制度に関する中間取りまとめ及び社会保障・税に関する番号制度にかかわる検討会の中間取りまとめについて、8月16日までの1カ月間にわたって国家戦略室のホームページにおいてパブリックコメントを行うことにいたしました。国民の皆さんから寄せられた意見を今後の論議の参考にしていきたいというふうに思ってございます。
 以上です。

2.質疑応答

(問)こんにゃく事故の窒息事故対策についてお伺いします。今ちょうど泉政務官のほうで会合をやっていると思うんですけれども、これまでSOSプロジェクトで7月ごろに法規制も含めた結論を出すということだったんですけれども、今日も一部報道で、年内に研究会を立ち上げて、年内までに方向性を出すといったことはもう出ています。そのあたりの事実関係を大臣にお伺いしたいと思います。
(答)今日の午後に政務三役会議で今後の対応を議論いたしまして、その結果については泉政務官が会見で説明をする予定にしております。消費者委員会が建議を出すということについては漏れ承っておりますが、その建議について、出す出さないも含めて委員会が独立して判断されるものですから、私からのコメントは差し控えさせていただきます。
(問)それに絡んでなんですけれども、結局7月に一定の結論を出すといって、今後そういう研究会を立ち上げるということになると、かなり結論の先送りじゃないかというような声が出ると思われるんですが、そのあたりはいかがですか。
(答)少し遅れぎみですけれども、しかし、消費者委員会という独立した機関の決定、あるいはさまざまな政務三役での議論、あるいは食品SOS対応プロジェクトでの議論、そういうものを踏まえて議論をしているということなので、そこのところは御理解ください。
(問)今後、国家戦略室は具体的にどういった分野の仕事をしていくんでしょうかという点と、国家戦略室は今後規模を縮小したりとか、組織のあり方についてはどういうふうになっていくんでしょうか。
(答)総理がイメージしている国家戦略室というのは、もともとポリシー・ユニットというイギリスの組織をイメージしておりまして、このポリシー・ユニットは、一部の官僚が含まれるんですけれども、民間人が中心で、総理に直接意見具申をするというか、アドバイザー的な役割をする民間の人が中心という組織のようでございます。それは、外交、安全保障も含めて、今まで国家戦略室というのは内政、特に経済関係が多かったんですけれども、内政が中心でございましたけれども、それ以外にも全般的に総理が関心を持っておられる、あるいは総理の関心事項を全般的に取り扱うということが総理が期待をしているというか、あるいはイメージをしている国家戦略室のイメージであります。
 御本人も、それから仙谷さんも国家戦略担当大臣を経験されていて、法的な根拠もないまま各省庁の折衝あるいは調整作業をするというのがいかに大変だったのかということをよく知っていて、そういう調整作業はむしろ官房長官に集約したほうがいいのではないか。と。もっと国家戦略室は民間人の持っている知恵とかノウハウとか、そういうものが直接総理に上がるような、そういう機能に純化したほうが国家戦略室のあるべき特色といったものが出るのではないかということのようでございまして、国家戦略室の職員にとっては、仕事のかなりの部分が国会対応、夜遅くまで答弁書を書くといったような、そういう作業に追われていたということから見ても、本当の国家戦略室の特色を出すためにはそういう業務からむしろ解放したほうがいいのではないかということも御本人たちは慮ったようでございますし、私もそうだろうなというふうに思っております。
(問)今日午後、正式に決まるということでありますが、信州大学で実験をやってきましたと。漏れ聞くところでは、これまで食品安全委員会は飴と同程度のリスクであるという話が出ていたんですが、どうもお餅よりもかなり危険な予想もある、もちろん飴よりも危険だというような、かなり実質的な部分で、今までの評価というか知見と比べて、随分きめ細かくデータをとっているなという感じなんですけれども、それを以ってしても、まだ具体的な安全基準とか対策を示せない。今後、研究会をつくって、言ってみれば先延ばしをするというのはなぜなのか、それがちょっと理解できないんですけれども。
(答)消費者委員会がそのあたりも判断するんだと思うんですけれども……
(問)委員会は別ですよね。庁として判断することですから、まずは。
(答)消費者委員会にもいろいろ意見を聞いているというか、独立してやっていただいているわけですので、そこはそこで尊重する義務がありますし、それから、一つの大学での調査結果を以ってして結論を出すということも含めて、それが妥当かどうかということも含めて、今日の午後、政務三役会議で結論を出したいというふうに思いますので、今後のこれからの、今日余り遅くない時間に、午後に泉さんが会見で説明すると思いますので。
(問)きちんといろいろ下調べをされて信州大学にお願いしたわけであって、一つの大学でどうかというのであれば、最初から複数の大学にお願いすべきだと思うし、この問題というのはもうずっと過去言われていて、いつ人が死ぬかもわからないというおそれもある中で、それをなぜ一刻も早くやれないのかというところをやはり指摘する声も上がっているんですけれども。
(答)この間、国民生活センターに行って、そこでさまざまな商品の検査、危険性の把握とかという検査をしているのを実際見せてもらいまして、技術者の人たちと意見交換をさせてもらいました。
 そのときに、国民生活センターの施設なり機関として、もう少し大学との連携をとってほしいと。特定の大学というよりは、幾つかの大学と連携をとってほしいと。一つは、消費者教育という観点から、もう一つは、食品じゃなくて商品の安全性というものをそこだけで調べるのではなくて、大学ともっと連携をして、深みのある、幅のある、そういう体制をつくってほしいということを要請をしたわけでして、そういう一環の中のこういうこんにゃくゼリーの話も出てくるだろうと思うんですけれども、早くということは、おっしゃっていることはよく理解できますけれども、一つのプロセスがありますから、そこはまた御理解いただければと思います。
(問)国家戦略室についてなんですが、規模が縮小されるのかどうかということと、あと、イギリスのポリシー・ユニットは民間人が中心だそうなんですけれども、今後、民間人を招聘するのかどうかと、あとこれは縮小と考えていいのかどうかということと、いつぐらいにそういった新しい体制になるかというのを教えてください。
(答)縮小するかどうかということも含めてこれから議論しなければならないし、それから、総理自身がどのような観点についてアドバイスを求めているのかということについてももう少し総理と意見交換をしたいというふうに思っていまして、それ以降、その結論が出ると思いますけれども、必ずしも私は縮小するとは思っていません。
 イギリスのポリシー・ユニットは20人から30人ぐらいで構成されているようでありまして、今、戦略室もそのぐらいの約30人の規模であります。ただ、民間人から10人ぐらいで、残りの20人ぐらいが官僚の人たちが多いんですけれども、そういう人たちも議論しながら構成については決めていきたいというふうに思っています。
 なお、総理から、総理補佐官を含めたアドバイザリーグループ、総理補佐官自体が総理に対するアドバイザリーですから、それらも含めた構成ということをも考慮してくれというお話がございましたので、総理補佐官について、今、総理補佐官は戦略担当は1人だけなんですけれども、それ以外の人たちもいろいろな分野でアドバイザリーを担っておりまして、今度、戦略室自体のアドバイザリーのアドバイスをする分野が広がりますので、そういう方たちにも参加してもらうほうが適当なのかなというふうに思います。
 そうすると、政治家と、それから民間人と、それから官僚という形のアドバイザリーボードという形になるのかなというふうに思っています。
(問)いつぐらいに。
(答)なるべく早くに議論を詰めて設定したいと思いますけれども、今日、明日ということにはちょっとならないと思いますけれども。
(問)来月ぐらいですか。
(答)そのぐらいをめどに考えたいと思います。
(問)質問が何個かあるんですけれども、一つは、国家戦略室の問題なんですけれども、いわゆる予算編成のことも含めて、経済財政諮問会議をかつてなくした後に国家戦略室になって、官邸主導というか、政治主導の象徴だったと思うんですけれども、これが予算編成においてもほかの部門においてもなくなれば、財務省主導だというふうに言われかねない懸念があると思うんですが、それについて第一点。
 もう一つ、話は変わって、番号制度の件なんですけれども、今日からパブコメをやられるそうですね。以前大臣が、年内に方針を決定して、来年の通常国会に法案を提出するというふうにおっしゃっていたんですけれども、そのスケジュール感は変わらないのかというのが一点。
 それからもう一つは、若干、導入に反対という意見をパブコメに送るのは、この紙を見ると勇気が要るような感じがするんですが、その辺の意見集約の点でどうなのかということ、すみません、3つあるんですけれども。
(答)国家戦略室が税財政の司令塔にという形で発足をしていったわけですけれども、この間、法律的な権能といいますか、そういうものをしっかりつくって、国家行政法の中に位置づけてそういう司令塔としての役割をというふうに当初考えていたわけですけれども、なかなか法案を成立させることができない。今回、こういうねじれ国会という形になってしまって、この法案を通すことはますます難しくなってきたということが一方でございます。
 もともと官房の機能の一部分を切り分けてという考え方をしていたわけですけれども、それもだんだん無理が出てきているのかなと。法律の根拠なしにそういうことをやっていくというのも無理が起きているのかなということで、それならば、それを前提とした、現実を前提として、調整機能を持っている官房長官ラインでそういう作業をやっていただくと。国家戦略室は、総理の直属のアドバイスを行う組織に純化したほうがいいのではないかというお考えを総理がお持ちになったということで、そういう形の考え方に組織を切り替えていく。
 これは、よく地方自治体では、知事室とか、あるいは審議室とか、あるいは秘書室とかというところがよくあります。そこで実質的な、総務部の中に属するんですけれども、総務部と独立して知事の直接のアドバイザリー、あるいは地元からのいろいろな意見を聞くときの窓口になっていくとか、そういうことをやって、それぞれの県ではかなり機能化しているものがございます。そういうものが念頭にあるのかなというふうに私は思います。
 ちなみに、私は北海道庁で知事室長という、知事に直接アドバイスを行うところのヘッドをやっておりましたので、その土地勘といいますか、そういうものは何となく感じます。
 それから、番号制のスケジュールなんですけれども、これはなるべく、早ければ次期通常国会の提出を目指したいという方針は変わっておりません。
 財務省主導というのは、財務省主導と見るのかどうかというのはいろいろ見解があると思うんですけれども、国家戦略室がやっていた機能みたいな、調整機能、そういうものは内閣官房に持っていくわけですから、内閣官房が前面に出てやるということでして、しかも今回は、内閣官房に加えて、政務調査会の玄葉さんのところでもそこに携っていくという形ですので、必ずしも財務省主導といったような形にはならないのではないかというふうに思っております。
(問)国家戦略室の関係なんですが、国家戦略室は、鳩山内閣の柱としてマニフェストにも掲げた話で、政治主導の関連法案も出されたと思うんですけれども、その法案に関しては継続審議になっていますが、今後臨時国会等も含めてどういうふうに対応されるのか。これがもし、通らない可能性が非常に高いとおっしゃったんですけれども、要するにマニフェストの事実上の修正ということになるのかどうかということを教えてください。
(答)マニフェストの事実的な修正というふうには私自身もとりたくないんですけれども、現実的には、この法案が極めて通過するのが難しいという、そういう現実を前提として、最も機能ある、総理にとって役に立つ組織という形にせざるを得ないということでございます。
(問)ということは、政治主導法案を取り下げるんですか。
(答)いや、取り下げる考えは持っておりません。
(問)取り下げないにもかかわらず、政治主導確立法案に書いていることを積極的に政府が実態としてやめるということは、これはあり得ないんじゃないですか。
(答)しかし、現実的には大変難しいという状況ですので、それを前提にしてこれからも走っていくというのは現実的な仕事としては難しいですよね。それよりも、今ある組織をフルに機能化させる、活動させるというのはどういう形なのかということを考えたときにこういうことだというふうに私も思いますし、もともと総理の気持ちの中には、国家戦略室のイメージの中には、ポリシー・ユニット的なイメージのほうが強かったというふうにも言われておりますので、そういう形にならざるを得なかったということを理解していただきたいなというふうに思います。
(問)今回パブコメを出された新年金制度ですとか、番号制度ですとか、あるいは新成長戦略ですとか、こういったもの、6月に一たん完成させたわけですけれども、その今後を見守るということを大臣は過去の会見でもおっしゃっていたと思うんですが、その役割というのは今後どこに移っていくんですか。
(答)私自身としては、経済財政担当の大臣でもありますので、経済財政担当の大臣としてはその立場は変わらないというふうに思っております。
 ただ、国家戦略室がフォローアップをしていくのかどうか、どこまで関与していくのかということについては、まだ十分な議論はしておりません。
(問)国家戦略室の関連でお伺いしたいんですけれども、現実的にそうならざるを得なかったという話なんですが、機能を官房長官に集約させられるということは、逆の意味で現実的に機能しなくなるのではないのかという懸念を持つんですけれども、といいますのは、国家戦略室というのは、本来経済財政運営の司令塔役ということと、税財政の企画立案という所掌を抱えて走られていて、それは壮大なテーマを抱えていらっしゃると思うんですね。
 しかも、総理がこれから強い経済、強い財政、強い社会保障と一体で、税財政と、税制と財政政策と社会保障制度改革を一体で取り組まれるときのまさに司令塔役としての位置づけが国家戦略室にあったのかなと思うんですが、その機能をなくして官房長官に移すということは、現実問題として経済運営の司令塔がなくなってしまうのではないかという懸念を持つんですけれども、その辺はどうお考えになりますか。
(答)マクロ経済の財政運営の司令塔は依然として内閣府、私のところにございます。一つ一つの、例えば予算編成の場合の今の税財政についての調整ですとか、そういうものについて移すということで、この意味は、もともとそういうふうに内閣官房長官がやっておられたところですよね。それを国家戦略局という新しい組織をつくって、そこに新たに集約をしようというのが政治主導法案の骨格だったわけでありますけれども、そこについてはもう少し時間をかけないと、そういう形は現実としてはなかなか難しいという現実の考え方が根底にあったということを理解していただきたいということでございます。
(問)一番最初に、今日の閣議で、総理、官房長官からの発言の紹介がありましたが、これは総理のかぎとして受け取ってよろしいんでしょうか。具体的には、戦略室は、法的根拠がないまま云々で、ブレーンに徹することにしようということになったというのは、総理のかぎとして受け取ってよろしいんでしょうか。
 あと、小沢さんに対して不起訴不当が昨日検察審査会で出ましたが、その受けとめをお願いいたします。
(答)前者については、懇談会での発言というのは、原則的に外に出さないでおこうということで統一をしております。ただ、私は懇談会の中で、この件は必ず聞かれるのでどうしましょうかということを官房長官にお聞きをしましたら、この件については閣僚懇談会の中で話が行われたということについては公表しても結構ですという話がありました。だれがどういう議論あるいは発言をしたかということについてまでは差し控えさせてください。
 それから、小沢さんのその件に関しては、私は閣僚の一員でございますので、それについてコメントする立場にございませんので、ご理解ください。
(問)国家戦略室に関連してなんですが、もし今のお考えがあれば伺いたいんですけれども、今年度の税とか予算に関してどのような役割を果たされるのか、直近の話なんですが、イメージがございましたらお願いします。
(答)国家戦略室としては、直接携ることは私はないのではないかなというふうに思います。これはまだ十分詰め切ったわけでもありませんし、過去に国家戦略室にはその蓄積がありますから、それらについて、その蓄積を全く放却するということはもったいないなという気持ちは個人的にはしますけれども、ただ、国家戦略室が何らかの権限で携るということは、そういうことにはならないのではないかなというふうに思います。
 ただ、平岡さんや私は、内閣府の経済財政担当の大臣であり、副大臣でもございまして、この部分では、マクロ経済、あるいは財政、税制のマクロ的な観点から意見を今までも言ってきておりましたし、携ってきておりましたので、その点からは意見を言ったり、携っていくことになるのではないかなというふうに思います。
 以上です。

3.資産公開についての質疑応答

(問)まず今回、初めて閣僚として資産を公開されましたけれども、それについてのご感想が一つ。
 それから、2点目は、これは自民党政権時代から制度的な不備、問題点というのが指摘されていました。例えば、御本人、お子さんとか奥さんは資産公開の対象ですけれども、同居の親族、扶養親族は対象になっていない。また、預貯金については定期性のものが対象で、普通預金、当座預貯金は対象に含まれていない。また、報告後に第三者が審査する仕組みがないというような問題点もあります。
 政権交代したということで、そういった問題点について積極的に取り組むべきだというようなお考えがあるかどうか、ちょっとお聞かせください。
(答)それだけですか。今までは議員としては私の資産しか公開しておりませんし、直近約3年間ぐらいは私も政治家ではありませんでしたから公開する義務がなかったんじゃなかったかな、公開していないんじゃなかったかと思いますけれども、そういう立場にありました。
 今回、大臣に就任したということから資産公開を法にのっとっていたしました。一部錯誤があったようで、特に家内の部分については今まで申請をしていなかったということで、マンションの部分の持ち分の比例をし忘れたということがあって、莫大な資産を持っているように見えてしまうようなあれになっておりますが、それは誤りでしたので、今修正をしたところでございます。私も普通のサラリーマンですから、普通のサラリーマンが持っているような資産しかありません。家内もまた同じでございます。
 資産公開については、公にある人間としては、積極的に資産の公開をしていくというのは妥当なことだというふうに考えております。
(問)御自身の政治団体についてお伺いします。修正するというふうにずっと言われていましたけれども、現在の進捗状況はいかがでしょうか。もし修正されていれば具体的に中身も教えてほしいんですけれども。
(答)最終段階に来ていまして、今、監査法人から報告が上がっていまして、それを今、弁護士さんのところでどこを修正するべきなのかということを含めた議論をしてございます。そういう段階でありまして、近々修正申告したいと思っております。

(以上)