荒井内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成22年7月13日

(平成22年7月13日(火) 10:58~11:14  於:合同庁舎第4号館6階642会見室)

1.発言要旨

 今日、私からは、別段ございませんけれども、ただ、参議院選の結果についての所感だけ述べさせていただきますと、結果は謙虚に受けとめさせていただきます。総理の消費税発言の影響もあったというふうに言われているのですが、私はむしろ民主党10カ月の政権への評価だというふうに理解しておりますし、また私個人的には、地方経済の疲弊というものを十分汲み取った選挙活動ができなかったのかなと。新成長戦略では、随分地方の経済状態の疲弊ということを念頭に置いて新成長戦略の中で農業とか林業とか、あるいは観光ですとか、そういうものを書き込んだつもりだったのですけれども、そこのところを十分に伝え切れなかったなという反省をしております。
 今後は初心に立ち戻って、国民に丁寧に説明を行うという政権運営に臨む、この1点に尽きるだろうというふうに思っております。
 以上です。

2.質疑応答

(問)最初の御発言に絡むのですが、具体的な敗因についてどうお考えになっていらっしゃるかということを、最初の発言もあるのですが、改めて教えていただけますか。
(答)今、私がちょっと話をさせてもらいましたけれども、この10カ月間の民主党の政権運営についての評価というものが1つあったのだろうというふうに思います。それからもう一つは、先ほどもお話ししましたけれども、地方経済の疲弊というものが想像以上に大きかったのではないかと。そこに十分、対策は経済対策なり、あるいは新成長戦略でも、そこのところは随分考慮したつもりなのですけれども、まだまだ不十分だったのかな、そういうものを伝え切れなかったのかな、そういう思いです。
(問)菅総理が続投を表明しましたが、菅総理の責任についてどうお考えになっているか。もう一つは、9月に予定されている党代表選で、菅代表の対立候補は立候補すべきであるとお考えになるかどうか。
(答)この結果を受けても、あるいは選挙期間中でも、何社かの新聞社、メディアのアンケートで、菅総理が退陣すべきかどうかということがあったと思いますけれども、そこについては、6割以上の方がその必要はないというアンケート結果が出ておりますし、私は1年のうちに何人も総理が替わるということは、国際政治的にも、あるいはもちろん国内的にも、適当ではないというふうに思っておりますので、このあたりはぜひ国民の皆さんにも御理解いただきたいなというふうに思います。
(問)代表選で対立候補が出たほうが・・・。
(答)そこは仮定の話ですので、私からは何とも申し上げられません。
(問)与党内の一部には、執行部が全く責任をとらないでいることが果たして適切な選挙結果かどうかという意見があって、特に枝野幹事長に対しては、責任をとって辞任すべきではないかという意見もあるのですが、その辺の責任のとり方について、どうお考えになりますか。
(答)これは与党内での議論ですので、政府内の私の立場からは、コメントする立場にないというふうに思います。
(問)今の選挙結果に関連してですけれども、参院が過半数に足りないということで、今後の国会運営のほうが難しくなると思いますけれども、その辺、他党との連携を含めてどのように運営していくと思われますでしょうか。
(答)私は、新成長戦略や、あるいは財政運営戦略で示した今後の長期的な我が国の政権運営のあり方というのは間違いないし、自信を持って政府は進めていくべきだと思います。
 ただ、その際に、国会の中でそれをしっかりと議論し、そして確認していくという作業がどうしても必要ですので、そのためには安定的な政権運営というのは必要であります。今回の選挙結果で、参議院を中心にそういう形をつくれなかったということは大変残念でありますが、今後、民主党の中で、特に参議院の中で、そういう安定的な政権運営の方式、あり方というものはどういうものがあり得るのかということは議論していくべきだと思います。
 私は地方議会も経験していますし、あるいは各国で2院制をとっているところでは、こういう形、ねじれといいますかね、そういう形は通常に起きております。にもかかわらず、しっかりとした政権運営ができている国はたくさんありますので、そういうものも今後の2院制を維持していく限りは、こういう状態というのは起こり得ることでありますから、そのための手法といいますか、方策といいますか、そういうものを確立していくというのは、日本の議会制民主主義の一つの経過だというふうに思っております。
(問)今回、大臣がおっしゃった敗因の中では、基本的には地方経済の疲弊というようなお話がありましたけれども、一方で、消費税論議について、賛否いろいろあったと思うのですけれども、今後の税制改革に与える影響というのはどうなのでしょうか。
(答)消費税問題についても、多くの皆さんから御指摘を受けているのは私も理解していますけれども、ただ、将来、日本の財政問題、あるいは脆弱化した社会保障の構造というものを考えたら、消費税問題の議論というのは避けて通れないということは、ある一定程度、国民の皆さんに理解していただいたのではないかというふうに思います。今回、御指摘、御批判を受けたのは、その具体的な内容ですとか、あるいは具体的な使い道について、しっかりとした議論がなされていなかったのではないかということだと思います。そのとおりであります。
 したがって、そこについては今後、税制調査会、あるいは私たちが呼びかけております他党との協議というものを通じて明らかにしていくと。その話は、ずっと選挙期間中から伝えていたつもりなのですけれども、そこが伝え切れなかったということは反省の材料としてございますが、その方向性については、私はいささかも変わらないというふうに思います。
(問)野党時代の民主党では、選挙ですとかいろいろな形で負けると、代表なり執行部の辞任というようなことがありましたけれども、一方で、それはある種、未熟さの象徴だというふうな指摘もありまして、また、与党になってまだそういうふうな議論が出てくることについてはどういうふうにお考えになりますでしょうか。
(答)私は、与党というのは政権を運営していくという大変重たい立場であります。そういう重たい立場を考えますと、1年間のうちに何人も総理が替わる、日本国の経営者が替わるということでありますから、それはある意味では,むしろ政治の無責任さにつながっていくのではないか。ここは、苦しくても党全体で支えていく、あるいは政府全体で支えていくという姿勢がぜひとも必要ですし、そういう御理解をいただきたいというふうに思っている次第です。
(問)政権運営の安定に当たっては、今回、一定の勢力を確保したみんなの党、もしくは公明党というのは、割と政策の上でも一致する点が多いと思うのですが、その辺、他党との連携についてはどのようにお考えでしょうか。
(答)他党との連携は、党が中心になってその作業を進めるのだろうというふうに思いますので、ちょっと私の立場からは、コメントする立場にないというふうに思います。
(問)消費税の関係で、昨日、枝野幹事長は、年度内に大体、改革の方向性をまとめたいというのを、先延ばし、先送りということも示されたのですが、これはもうちょっと先延ばし、時間がかかるというようなお考えでいらっしゃるのでしょうか。
(答)私のところでは、まだそういう認識はしておりません。他党との協議を進めるに当たっても、なるべくこちらはこちらの議論をする素材といいますか、そういうものがしっかりしていなければならないと思いますので、どういう社会保障のあり方と、関連して税制の抜本的な改革がどうあるべきなのかという議論は、淡々と進めていきたいというふうに思っております。
(問)来年度の予算編成についてなのですけれども、全体の総額を抑えるためにシーリングをどういうふうに考えているのかという点と、自民党政権時代の「骨太」のようなものをつくって抑えていく考えがあるのかという点と、国家戦略室はその際、どういう役割を果たしていくのか、その点についてお願いします。
(答)シーリング作業の話が、幾つかの新聞にも載っているようですけれども、私のところでは、まだ議論はしておりません。
 ただ、シーリング的な性格のものというのは財政運営戦略で、特に中期財政フレームで3カ年間71兆円という、ある意味では厳密な厳しいシーリングという性格を持っているものでありまして、またあの中でどういう分野にこの3カ年間、中期財政フレームの期間中には予算を重点化するのかという考え方も書き込んでおりますので、あれをしっかり予算編成の過程の中で実行していただきたいというのが国家戦略室からの要請でありますし、またそれを受けとめてくれるのだと。あれは閣議決定ですから、大変重たい計画でございますので、そういうふうに理解しています。
(問)話がちょっと戻って申しわけないのですが、選挙の敗因として、菅政権そのものではなくて、これまで10カ月の民主党への評価だと。10カ月の間に、政治と金ですとか国会運営ですとか、いろいろあったと思うのですが、一番何が批判を国民から受けたと思われますか。
(答)私は、今回の敗因の大きな部分が1人区にあったわけで、1人区というのはやはり地方ですよね。地方の経済的な疲弊、特にこの数年間、我が国は20年間にわたって成長がとまっていた。ここ10カ年ぐらいはデフレという状態であって、そのデフレという状態は地方経済を直撃したというふうに考えております。そこのところは私自身も、自分の選挙区が北海道ですので、北海道の経済状況ということを踏まえて、それを痛感しておりました。
 したがって、新成長戦略の中では、地方経済の話を随分書き込んだつもりです。長期計画、あるいは経済計画で、地方の部分をこれほど書き込んだ例は、私は、ないのではないかと思うのですけれども、そういう配慮といいますか、そういう実態に光を当てたつもりだったのですけれども、十分そこのところが伝えきれなかった。あるいは、4月から予算執行して7月ですので、まだ十分地方に行き渡っていないという状況の中での選挙でしたので、この政権の地方に与える、何といいましょうか、配慮といいますか、そういうものが十分ではないのではないかという批判を受けたのではないかというふうに思っております。
(問)地方経済のほうが、政治と金とか国会運営そのものよりは対象であるということでしょうか。
(答)はい。地方にとっては、地方の住民、国民にとっては、国会の運営のあり方でありますとか、そういうものよりも、やはり身近な生活、あるいは生活が第一という、そこのところについてのほうが、はるかに関心が強かった。私なども歩いてみますと、やはり社会保障の話と景気の話に集中したように、議論していても集中していたように、思います。
(問)2点お伺いします。1点目は、来年度予算編成に関連してなのですけれども、先ほどのお話ですと、戦略室としてはこれ以上、何か前年つくられたような「予算編成の基本方針」のようなものは、改めてつくられないというお考えなのかというのを確認させていただきたいのと、中期財政フレームで大枠は決まりましたけれども、個別の分野ごとの交渉が一番大変な作業だと思うのですけれども、それについて何か一定の歯どめをかけるようなことは、改めて戦略室としてお考えがないのかということ。
 もう1点、景気の認識についてお考えを伺いたいのですけれども、最近発表された景気動向指数ですとか、景気ウォッチャーですとか、機械受注、いろいろ悪化を示す経済指標が出ておりまして、津村政務官は踊り場のリスクというようなことも言及されております。大臣の景気認識について、改めてお考えをお伺いできますでしょうか。
(答)シーリングの問題、あるいは各省庁別予算枠といいますか、そういうことについては、まだ関係省庁と議論しておりません。今後の議論になろうかと思います。
 それから、景気についてですけれども、若干アメリカの景気指標が思ったほどよくないとか、あるいはヨーロッパの景気が、金融界、金融関係であまりよい数字が出ていないという国際的な影響もあって、日本の景気に若干影響を与えているのかなというふうにも思いますけれども、基調は私は回復基調というのは変わらないというふうに考えてございます。

(以上)