荒井内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成22年6月22日

(平成22年6月22日(火) 11:21~11:36  於:合同庁舎第4号館6階642会見室)

1.発言要旨

 こんにちは。先ほど閣議を終えました。
 本日の閣議では、まず財政運営戦略を閣議決定いたしました。財政運営戦略は、先日取りまとめた新成長戦略と一体のものとして、経済成長と財政健全化、そして社会保障の再構築を同時に実現し、国民の安心と希望を確保するために不可欠なものと考えております。
 この中では、新たな財政健全化目標を定めるとともに、今後3年間の歳入、歳出にわたる取り組みを盛り込んだ中期財政フレームを定めております。我が国の財政は、このような取り組みを前提としてもなお、近く債務残高がGDPの200%を超える危機的な状況であります。本戦略に定めた目標を達成するためには、極めて厳しい財政健全化の努力が必要となります。本日の閣議では、閣僚に対し、本戦略に沿った概算要求や予算編成へ向けた協力をお願いをいたしました。
 また、新成長戦略及び財政運営戦略の参考として、経済・財政・社会保障を一体としてとらえた経済財政の中長期試算、及び当面の我が国経済見通しを示した平成22年度の経済動向、いわゆる内閣府年央試算を閣議において資料配付をいたしました。両戦略の推進に当たっては、こうした試算も踏まえ、強い経済、強い財政、強い社会保障の一体的実現に向けて取り組んでまいります。
 続いて、消費者庁案件として、地方消費者行政の支援強化を図るべく、7月1日に地方協力課を設置するための消費者庁組織令の一部を改正する政令を閣議決定いたしました。地方消費者行政の充実、強化は重要な課題であり、円滑な発足に向け、準備作業を進めてまいる所存でございます。
 以上でございます。

2.質疑応答

(問)今回の内閣府試算によると、プライマリー・バランスが、2023年度に高い水準のマイナスになると。政府債務残高が200%を超える場合もあると。これは、かなり市場に対するインパクトも大きい結果になったと思いますけれども、今後、具体的にどのようにこの問題を解決していくという考えでしょうか。
(答)2015年、つまり5年後にプライマリー・バランスが半分まで改善できるように、それから2020年にはプライマリー・バランスがそこから黒字に転ずるという、そういう計画内容なんですね。市場は、発散するかどうかということに大きな関心を呼んでおりまして、これが収束に向かうということが明確に政府の発信になれば、私は市場は安心をしていただけるものだというふうに確信をしております。
 幸い、我が国は経常収支は黒字ですし、それから国内資産はかなり高いレベルでございますので、ほかの国、ギリシャですとか、あるいはハンガリーとかという国とは違うという状況にあることをも御理解いただきたいというふうに思っております。
(問)今の話の関連なんですが、今回発表された財政運営戦略を見ると、目標はあるんですけれども、そこに具体的にどういうふうにそれを達成していくのかという道筋のところがやっぱり具体性に乏しくて、ちょっとこれでは健全化の道筋を示したというふうに言えないのではないかというふうに思うんですが、その点については、いかがでしょうか。
(答)社会保障の自然増でありますとか、マニフェスト実施に要する経費も含めて、横ばい以下に抑えるという、71兆円ということで3年間抑えていく、これは相当の削減を決意したということでありまして、その全体として削減をしていく。新しい事業をしていくという場合には、ペイアズユーゴーの原則で、財源をみずからどこかの部門を削減して見つけてくるのか、あるいは増税可能な部分については増税をしていく、みずから努力をしていくという、そういうペイアズユーゴーという原則を、我が国で初めてこの種のペーパーとしてはとらえたものでありまして、非常に大きな削減をしていくという決意だということを理解をしていただければと思っております。
 その後については、税制の抜本改革も含め、あるいは成長戦略、その前提として新成長戦略を私たちは決定をして、デフレから脱却をし、成長路線に乗せるんだということを新成長戦略で宣言をしていて、それに着々と日銀と一体となってデフレ脱却に向けた努力をしているわけで、そこのところが徐々にきいてくるだろうという計画、その2つの整合性をもって財政の再建の具体的な政策を立てていくということであります。
 税制の改正でありますとかは、今日も税制調査会をやったんですけれども、これは今年の11月から12月にかけての税制調査会で具体的な議論をいたしますし、それから、削減などについても、具体的な予算編成の過程の中でその努力があらわれていくというふうに思っています。
(問)関連で、その削減については、今回この時点で、社会保障だとか公共事業だとか、そういう各項目の削減目標というのはつくろうとされたんでしょうか。
(答)この時点ではつくっておりません。これはまさしく予算編成でありますから、その分野ごとのどのぐらい削減するかということについては、この財政戦略の中では記述されておりません。
(問)ペイアズユーゴーに関して初めて導入ということで、それは結構なことなんですけれども、文章を読むと、「原則として」という言葉が入っていますよね。原則としてということは例外もあるのかどうか。欧州の場合は、財政規律がありましたけれども、結局いろいろな例外措置をつくったことによって目標が達成できなかったということもあるわけで、例外があるのかどうかということを1点お伺いしたいのと、トータルとして、今回の内容がこれで市場の信用を得られるのかどうか、自信のほどをお伺いします。
(答)まず、後者ですけれども、これで私はマーケットの信任は得られるというふうに自信を持っております。
 それから、原則としてということですけれども、今回の場合にはこの原則を徹底させようと考えてございます。ただ、政治的な、例えば三党合意でありますとか、連立の合意でありますとか、そういうことで政治的な状況というか、条件が変化することは十分あるわけでございます。その場合には、この原則論が適用できない場合もあろうかと思ってございます。
(問)連立を組む国民新党が、参院選の公約で3年間100兆円の経済対策ということを打ち出しておりまして、その内容とちょっと矛盾するというか、両立できないように思えるんですが、その辺の御認識と、今回、これを作成するまでに、与党間の調整が行われたのかどうか、もしくは今後行う予定があればどのような形で行うか、見通しをお願いします。
(答)国民新党さん、自見先生が大臣として出られておりますし、自見先生もこの内容については御了解いただきました。党のほうにも御説明をいたしまして、了解をいただいたというふうに理解をしてございます。
 それから、国民新党さんが多額の公共投資を伴う財政投資を景気刺激策として実施をするというのを党是としているというか、党の方針としておられるというのは了知をしておりますが、しかし、そのあたりはこれからの予算編成の過程の中で議論をしていくものだというふうに理解をしております。
(問)先ほどの質問と関連しているんですが、論点整理の場合は、分野別の削減幅を決めるということが一応前提になっていたと思うんですが、なぜ今回それを決めなかったのかというのがまる1で、まる2は、成長戦略の予算をどのように確保されるおつもりなのか。要はすべて予算編成プロセスに先送りされた感じがあるんですけれども、実際は成長戦略の予算を含めて相当厳しい予算編成にならざるを得ないんだろうと思うんですが、どういうふうに整理されているのかを教えていただけますでしょうか。
(答)まず第一の成長戦略にかかわる部分、あるいは財源の確保等ということに関してなんですけれども、今回、私たちが成長戦略として指名しましたものは、むしろ規制の緩和でありますとか、あるいは民間資金がスムーズに流れるような仕組みでありますとか、いわば余り財政を伴わないものということを念頭に入れました。そして、なおかつ成長戦略としての21の大目玉というか、プロジェクトは、極力需要が喚起されるもの、雇用が埋まるものといったようなことを中心に設定をいたしましたので、私は財政にかかわるバードンというか、負担は最小限に抑えるような、そういう計画の内容にしたというふうに思っております。
 ただ、それでもなお、成長戦略絡みで大きな需要でありますとか、雇用でありますとか、そういうものが望まれるというふうに思われるものについては、この成長戦略の中に政策パッケージという言葉がございます。これはペイアズユーゴーの原則にのっとって、政策パッケージという形でその財源を見つけることになるんですけれども、それでぜひやっていただきたいという思想、思いをこの中に入れたつもりでございます。つまり、何が何でも削減、削減という冷たい計画ではなくて、十分展望があるというか、あるいは未来があるような、そういう要素も含めた計画内容にしたつもりでございます。
 それから、部門ごとに最初やろうとしたんではないかということですけれども、そういう時期もあったのかもしれませんけれども、最終的にはこういう形でおさまったというふうに理解してください。
(問)先ほど、大臣、相当の歳出の削減をしていくことを決意をした形なんだというふうにおっしゃっていましたけれども、それでもなお中長期試算では、2020年度に22兆円ぐらいのプライマリー・バランスの赤字が残るわけですけれども、この額についてどう受けとめていらっしゃるのか、これをどう減らしていこうと考えていらっしゃるのかお聞かせください。
(答)一年一年努力していくしかないと思っているんですけれども、1つは、成長戦略を軌道に乗せることによって、成長路線に乗りますと、そんなに大きな数字は出てこないだろうという思いを持っております。その意味では、今おっしゃった22兆円というのは、非常にプルーデントと言っておりますけれども、慎重な内容になっております。そのためにも成長戦略に早く乗せていって、着実な成長路線を踏襲をしたいというふうに思っております。
 それに加えて、大体この計画書の中では、3年後ぐらいに税制の抜本改革、できるものはすぐやっていきたいと思っていますけれども、税制の抜本改革ということを考えていて、その部分についての解消を図っていきたいというふうに思っています。
(問)消費者問題についてちょっと質問させていただきたいんですが、今回のマニフェストに消費者という言葉が1行も入っていないのです。それで、実は、消費者市民とか消費者団体を集めてマニフェストミーティングをしまして、実は議員政策研究会から国民生活研究会第三分科会まで挙げて、そこで了承した項目がその時点では入っていたのですが、全く1行も入っていないことについて、大臣はどのようにお考えなのか、教えていただきたいのですが。
(答)大変遺憾です。私が企画委員会か何かのメンバーに入っていましたら、そのあたりを発言したかったんですけれども。所信の演説の中でも消費者という言葉がなかったんで、私が指摘をして入れてもらったんですけれども、今度は党に強く強く申し込みます。
(問)大臣は地方を大事にしていきたいというふうにずっとおっしゃってくださっていたのですが、基金の見直しは早くにしないと、市町村の計画を立てて、都道府県が予算を組んで、もうぎりぎり6月いっぱいには出していただきたいというのが現場の声だと思うのですが、見通しと大臣のお考えをお聞かせください。
(答)私はずっと地方が大事だと、消費者行政は現場が大事だというふうに思っていますから、その意味では、この7月1日から地方協力課という課が新設をされて、地方との協力体制がもっと緊密になっていくんだというふうに思っています。地方協力課の最初の大きな仕事が、今おっしゃったことなんじゃないかなというふうに思っております。

(以上)