荒井内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成22年6月9日

(平成22年6月9日(水) 1:19~2:07  於:合同庁舎4号館4階408号室)

1.発言要旨

 こんばんは。今回、国家戦略担当兼経済財政政策担当兼食品安全、消費者担当という、何か長い名前の大臣に任ぜられました荒井聰でございます。今日はこんな夜遅くまでおつき合いいただきまして、ありがとうございます。
 経済財政や国家戦略室の関係については、総理が副総理時代からずっと一緒にやってまいりましたし、国家戦略局という組織をつくるための仕事も、菅総理の指導を得ながら努力してきたつもりでございます。そちらのほうについては、方向性といいますか、位置関係みたいなものは何となく感覚としてわかるのですけれども、今回、食品安全、消費者担当という分野も拝命をいたしました。
 消費者行政というのは非常に奥が深く、幅が広いなという、そういう印象であります。と同時に、実は民主党が政策の理念として位置づけていた生活者の目といいますか、あるいは生活者の立場というものを明確にしている行政分野なんだなということがよく理解ができました。結局、マクロ経済のような大きな部分と生活者の部分、この2つを同時に抱えることができたというのは、私は大変ラッキーというか、好運だったなというふうに思います。生活者の目から見たマクロ経済、あるいは成長戦略、あるいはマクロ経済から見た、それが生活にどう与えていくのかというような消費者行政というものを一体的に見ることができる立場に立たされたという思いでございます。
 この6月24日に総理はサミットに行かれますので、そのサミットに行かれるまでに成長戦略や、あるいは中期財政フレームといったようなものをつくり上げておく必要があるだろうと。恐らくサミットでは、今ハンガリーを契機としてユーロが低下をして、ヨーロッパ経済が混乱をしがちな状況が見えてきましたけれども、そういうことで国際金融などについて相当な議論がなされるだろうと思います。その場合に、各国の成長戦略の考え方、あるいは財政再建の考え方などが恐らく議論されるだろうというふうに思いますので、私たちの国の成長戦略、そして財政再建をも含む中期財政フレームといったようなものをぜひまとめて総理に持って行っていただきたいという思いでございます。
 さて、菅内閣の最大のテーマは、私はデフレの脱却だというふうに思ってございます。この10年間、ひょっとするともっと長く、日本経済は停滞を余儀なくされました。そして、結局はデフレ状態という世界でも珍しい経済状態に陥ってしまいました。このデフレであるという状況が、結果的には雇用を悪化させ、失業率を悪化させ、あるいは企業の成長というものを損なっていって、さらには財政収入が低下をしていくということを招いていたのだと思います。ですから、財政再建のためにもデフレを脱却するということがまず最大の課題だと。その上で、この10年間で平均3%ぐらいの成長路線に乗せようということで成長戦略を書き上げてございますので、第2ステージが本格的な成長に乗るフェーズだというふうに考えているところであります。デフレ脱却には強固な日銀との連携というのは必要であります。鳩山政権になってから、日銀との連携というのは私は前政権よりもかなり強く連携をし合うという姿勢が、体制ができたと思いますけれども、さらに一層日銀との連携というものを強めていきたいと。場合によっては、総理と日銀総裁との定期的な意見交換会といったようなものもお願いできればなというふうに思っている次第でございます。
 さらに、日本発の経済不況ということよりも、国際的な経済不況が日本経済に与える影響が大変大きくなる可能性がここ数年間あちこちで起きております。リーマン・ショックの前はアジアの金融恐慌でありますとか、金融危機でありますとか、ロシアでありますとか、そういうものが日本に与えた影響も大変大きなものがございますが、今ヨーロッパがギリシャ、そしてハンガリー、さらにはスペインでありますとか、そういうようなところが危惧されている状態でございます。これを国際的にどう連携をしながら、この金融危機に対応していくのか、対処していくのかということは、恐らく今回のサミットの中でも議論されるだろうと思いますけれども、そういうものをも、基礎的なデータでありますとか、あるいはマーケットとの対話でありますとか、そういうものを注意しながら、日本は極めて慎重に注目をしているというメッセージが市中に流れればいいなというふうに思っております。そういう意味では、菅副総理がはじめました市場とのコミュニケーションという、「マーケット・アイ」と言っておりますけれども、それは引き続き重視をしていきたいというふうに考えてございます。
 安心安全の確保というものは国民生活の基本でありますし、また民主党がこれまで求めてきた政策の根っこにあるものでございます。それのかなりの部分が私は消費者行政、消費者庁、あるいは食品安全委員会、そういうものが担っていくんだろうと思いますけれども、そこの部分についてはまだまだ体制が整備されていないと。この体制を強化することこそ、一番先にやらなければならないなというふうに思います。特にこういう食品関係の不安といいますか、あるいは事故といったらいいんでしょうか、そういうものは地方で発生しますから、地方のセンサーといいますか、地方の目というのがとても大事なんだと思うんですね。東京の体制というよりも、むしろ地方の体制の整備というものをもっと強力にやらなければいけないのではないかなというふうに思ってございます。
 先ほど官邸の記者会見でも私は話をさせてもらったのですけれども、鳩山総理を支える総理補佐官として仕事をしていて、官邸というのはこういう危機に陥るものなのだなというのをつくづく思いました。どんどん総理が情報過疎になるといいますか、そういう状態になっていくということで、私は3月の末ぐらいから総理補佐官会議というのを主催したのですけれども、もっと早くにやって、総理にいろいろな情報を上げたらよかったなと今反省をしておりますけれども、ただその根幹にあるのは、政治主導という言葉を十分に私たちが理解をしていなかったのではないか、あるいはそこの理解が若干不足していたのではないかと。
 政治主導というのは政治家主導なのではなくて、最後の決断と、あるいは選択、そして責任を持つことが政治家であって、官僚と一緒に仕事をしていくと、なるべく決断を早くしてもらうために政治家がいるのだというような、そういう概念が、官僚と政治家の間の相互信頼関係が、少しく欠けていたのではなかったのかというふうに思っておりまして、今回初の閣議で菅総理からそれに近い御指摘がございまして、官僚と強い連携をするべきだというお話が、職員を十分に使いこなして政策の意思決定をすると、職員は専門家集団として必要な情報提供を行うという役割と責任のもとに、一丸となって対応していくことが政治主導だという御発言がございました。私はまさしくこのことだったのではないかというふうに思っております。
 もう一つは、もっともっと政治家の持っている知恵が行政に生かされていく、あるいはそれが集合化されていくということが大事なのだろうというふうに思います。残念ながら前政権では政調会というのがなかったために、なかなか特定の政治家しか1つのイシューに関与できなかったという嫌いがありましたけれども、今回は玄葉大臣のもとに政調会が復活されましたので、多くの政治家がそれぞれの政策に関与していく機会を得たのではないかと。そういう人たちの知恵を成長戦略でありますとか、そういうところに生かせられるのではないかと。
 幸い成長戦略をつくる過程では、昨年の12月、わずか1カ月弱でつくり上げた計画書であったのですけれども、あの計画書をつくるに当たりまして、政治家7人が別途参加をしてくれました。それぞれすぐれた成長戦略路線を持っていた政治家でございますけれども、その人たちの力を総合的に発揮をすることによって、短い期間でつくり上げたものでございます。そういうことがもっとほかの分野でも可能なのではないかなというふうに思っている次第でございます。
 総理が代表選挙のときに言われた、あるいは当選の会見のときに言われました強い経済、強い財政、強い社会保障という3つのキーワードを持ち出しました。強い経済とは、まさしくデフレから脱却をして成長路線に乗せることであり、強い財政というのは持続可能な、そして歳出と歳入が均衡のとれたような、それを目指すような財政構造をつくり上げていくということであり、強い社会保障というのは、お年寄りも、あるいは子供さんも、安心して子育てができ、あるいは安心して老後を迎えるという、そういう社会保障をつくり上げていくということを意味しているというふうに理解をしておりまして、まさしくそれを成長戦略の中に、あるいは中期財政フレームの中に落とし込んでいく作業が私の作業だというふうに考えている次第でございます。
 以上でございます。

2.質疑応答

(問)経済財政担当大臣としてお聞きします。まず1点目は現在の景気の認識についてお聞きします。今の景気についてどのように認識されていますでしょうか。また、大臣が考える景気にとっての今のリスクは何でしょうか。
 2点は日銀についてです。デフレ脱却が重要であるというふうに大臣は御指摘になりましたが、現在の金融政策についてどう考えていらっしゃいますでしょうか。また、政策決定会合について、内閣府としてどういった方が参加されますでしょうか。方針をお聞かせください。
(答)今の日本の経済は少しずつ回復しているというふうに思っております。ただ、その回復は外需に支えられているところが大変多いですから、本格的な景気回復というのはやはり内需がもっと大きくなっていく、安定していかないと、本格的な経済回復になっていないのだろうというふうに思いますので、その意味ではこれから私たちがやることは、もっと内需を拡大していくための政策が、具体的な政策を実施していく必要があるのだろうというふうに思ってございます。内需は、拡大することによって需要が創出し、あるいは雇用が拡大するという相互の関係にありますので、この内需拡大ということを大きな目標にしたいと思います。それがある意味のデフレ脱却につながると。デフレというのは需要と供給とのギャップがあることでありますから、需要をどう創出していくのかということに大きな政策の意味があります。残念ながら、需要の創出に私たちは、失敗とまでは言えないのですけれども、企業あるいは消費者のほうから需要を積極的に創出していこうという意欲、あるいはそういう状況がなかなか生まれていないというのは残念なことであります。この間、日本とアメリカとの経済状況の差を見てみますと、企業をつくり上げていく数は圧倒的な差があります。起業家になりたいという意欲がアメリカと日本では大きく違っているという、そういうところにも私は日本の経済の停滞の原因の1つがあるのかなというふうに考えてございます。
 あと、日銀との関係ですけれども、先ほど話しましたように、日銀との連携というのはこの政権になりましてから大変強いものが、前政権ではちょっと考えられないような連携プレーができているのではないかと。特に今回日銀が政策金融に近いことを考えておられるということなどは、明らかに私たちが今つくっております成長戦略をにらんでの政策金融的な手法を検討しているということだろういうふうに思っておりまして、これなども新しい需要をつくっていくという、それを金融面からバックアップしていくということではないかというふうに思っております。それから、日銀の政策会議にどういう立場の人を出していくのかということについては、これからまた政務三役の中で話し合っていきたいというふうに思っております。
(問)中期財政フレームと財政運営戦略についてなんですが、先ほど6月24日までにまとめたいというお話でしたが、今後の具体的な調整のスケジュールなど、今イメージがありましたら教えていただきたいという点と。
 あと内容について、その調整で一番の焦点になると思われる消費税についてなんですが、ここについては現時点で、大臣としてはどういうような書きっぷり、方針をそこで示したいというふうにお考えか、以上2点お願いします。
(答)中期財政のスケジュールというのは、税財政の抜本改革をどこまで考えるかということと関係をしているのですけれども、その意味ではスケジュールが今、十分固まったわけではないのですけれども、マニフェストのほうでも、かなりそのあたりを議論しておりますので、そこと連携をしながらスケジュールを決めていきたいと思っております。ただ、24日までにはぜひ総理に、この中期財政フレームの結論を持っていっていただきたいなというふうに思っております。
 それから消費税については、消費税が単独で議論されるような例が多いのですけれども、そのほかに所得税でありますとか、あるいは地方税でありますとか相続税でありますとか、あるいは今議論されようとしている環境税でありますとか、そういう多くの税を全体的に、総合的に見ていく必要があるのではないかと。安易に、消費税というのは簡単に取れる税金なものですから、安易な増税路線になりがちなのですけれども、もっと総トータルで見ていく必要があるのではないかと。その場合にも、税の構造変化というのは雇用ができるかどうか、需要がもっとできるかどうかというようなことを、一つの起点にして考えたいなというふうに思っております。
(問)先ほど消費は安易な税で、税制についてはもっと全般を含めて考えていきたいというお考えを示されたかと思います。ただ、中期財政は3年間あるいは財政運営戦略は10年間、今の日本の財政、税収よりも国債のほうが上回っているような、そういう異常な事態の中で、財源論ということを考えると、1%上げると大体2.5兆円、ここのところはどうしても切れない、消費税がどうしても軸になってしまうというところはあるかと思うんですけれども、そういう意味で財源論という見方からしても、重要性というのはひとつあるかと思うんですが、そこら辺はどのようにお考えなのか。あるいは税制の抜本改革すべてを見た上での改革の中で、消費税を使わない道というのも考え得るのかどうか、そこら辺のお考えをお聞かせいただけますでしょうか。
(答)これからのスケジュールは、今戦略室で検討しております納税者番号、私は納税者番号というよりも社会保障番号というほうが国民に理解しやすいのではないかというふうに思いますけれども、そういう番号をつくって制度設計をすることによって、個人個人の所得の把握が進み、その個人所得の把握が進むことによって、次の民主党型年金制度の制度設計に入ることができると思うのですね。民主党型の制度設計というのはスウェーデン型の年金制度ですけれども、あれの本格的な制度設計をしますと、どれだけの財源が不足をしてくるのかということが明らかになりますので、それを踏まえた、つまり社会保障計画全体、先ほどの強い社会保障というものを実現するための税財源は何なのかと。それは当然、その税財源の中の有力な税財源というのは消費者が含まれますけれども、ただ、どうも財政再建でありますとか、あるいは社会保障の強化といったような議論をするときには、すぐ消費税に直結するというのは私はちょっと違うのではないかなという思いを持っておりますが、消費税が有力な税財源であるということは否定をいたしません。
(問)2点お願いしたいんですけれども、先ほどの税と社会保障の共通番号制度についても間もなく選択肢を出されると思いますが、おっしゃったような給付つき税額控除を早目に入れようと思うと、なるべく早い制度設計、最終的な決め方は必要だと思いますが、やはり来年の通常国会に法案を出す方向で早急に制度設計をされたいと思っていらっしゃるのかどうか、それをまず1点目教えてください。
 それから2点目に、先ほどから税財政の抜本改革という話がありますが、間もなく示される中期財政フレームや財政運営戦略の10年後なり3年後なりの目標を達成するためには、その抜本改革というのをいつぐらいまでにこういうスケジュールでこうやりますというのを出さなければいけないと思っていらっしゃるのか。その2点教えてください。
(答)番号制度については、現在相当な議論が進んでおりまして、事務的には結論がここ一月ぐらいで出されるんではないかなというふうに思っております。ただ、この番号制度は、個人情報との関係もありまして、進め方によっては住基ネットのときのような、民主党の中には反対論が大変強い制度になっていましたけれども、そういうものをそういうようなことに陥らないように制度設計をつくる必要があると。国民的な理解を得る必要があると。そのためには、若干時間がもう少しかかるのかもしれないなという気持ちはありますけれども、しかし、来年度の通常国会ぐらいには、この法案をぜひ出したいなというふうに思ってございます。
 それから、税制改革の抜本改革について、どういうスケジュール感なのかということでございますけれども、この6月いっぱいでつくる中期財政フレームの中には、この抜本改革の具体的な内容というものについては、そこまでお示しすることは、私は難しいのだろうというふうに思いますけれども、全体の抜本改革に至る、そのスケジュール感といいますか、あるいは全体像というのは、先ほど私がお話ししましたように、納税者番号とか所得の把握をすることにより社会保障全体の像を明らかにし、その中でどのぐらいの税収入を求めていくのかという、その全体像が見えないと抜本改革をつくることはできないだろうというふうに思っています。しかし、それにしても大体2年ぐらいで、その構造は国民の皆さんにお示ししたいなというふうに思いますけれども。
(問)国家戦略担当相は初代が菅さんで、それで先代が仙谷さんということで、お二人とも総理と官房長官ということで官邸にいらっしゃいますけれども、そういう中で荒井さん御自身は国家戦略担当として、どういう形で御自身のカラーを出していきたいと思っているのか、存在感を出していきたいというふうに思っていらっしゃるのか、お伺いしたいと思います。
(答)お二人とも強烈な個性を持った方ですから、大変やりづらいのですけれども、お二人の引いてきた道を、いずれも6月まででの決着を見る形になっていますので、お二人が引いてきた路線を着実に成し遂げることではないかなというふうに思っています。少し特色を出すとすると、地域経済あるいは地方経済、これが非常に冷え切っていますね。ここに対するメッセージをもっと厚くしたいなということと、それから内需拡大ということのための一番の内需拡大の王様は何なのか、私は住宅だろうというふうに思っていまして、その住宅が二世帯住宅でありますとか、あるいは2カ所住宅でありますとか、あるいは公団住宅のようなマンションの建て替えがやりやすいようなとか、そういうようなものを振興するようなことを、成長戦略の中で書き込めればいいかなというふうに思ってございます。いずれにしても内需を拡大をし、デフレを脱却していくという、その筋道をしっかりつくっていくことだというふうに思っています
(問)国民目線からなのですが、どうも先代の仙谷大臣、先々代の菅大臣が国家戦略担当相をやってきたんですけれども、一体、国家戦略室というのは何をやっているところなのかというのがなかなか見えなくて、実を言いますと、私、今フリーランスで今回参加させていただいているんですが、この大臣会見に参加するのに、3つの省庁の記者クラブに許可を得なければいけないという、すごい大変な、煩雑な手間がかかっておりまして、これをもう少しどうにかならないかなというふうに僕は個人的に思っているんですけれども、例えば大臣が、枝野大臣なんかはオープン会見というのをやっていましたけれども、そういった形で、もう少したくさんの人に記者に参加してもらうような記者会見を考えているとか、もしくは通常の会見をもう少し門戸を広げるというような考えがあるのであれば、ちょっとお聞かせ願いたいなというふうに思っております。
(答)原則的には、民主党は情報をなるべくオープンに公開していくという、そういう方針をとっていますから、そういうように考えたいと思いますけれども、私の前の人まではそういうことになっていなかったのでしょうかね。それなりの理由があったのだろうというふうに思いますので、記者の皆さんとそのあたりは相談しながら改善する必要があるなら改善したいというふうに思いますけれども。
(問)何点かお聞きします。まず消費者行政、先ほどの会見でも少々意外だった「思いがけない」というような表現がありましたが、これまで消費者行政に携わってこられた、これまでのかかわりですとか、あと今後どういった問題の意識を今持っていて、抱負についても改めてお伺いしたいと思います。
(答)私はもともと農林省出身なものですから、消費者行政というと、農林省という役所は生産者中心の農家に目の向いた役所なんですけれども、でもその中でも新しい行政スタイルということで、JAS法の改革をしたり、そういうふうに目を向けました。
 あと、日本の行政というのは、ともすればというか、ほとんどがといっていいぐらい、生産者側に拠点を置いたというか足場を置いた行政をしがちなんですね。なかなか消費者のサイドから立った行政というのは非常に少ない、そういう歴史的な伝統といいますか、ああいう蓄積がなかったと思います。
 例えば農林省の中で幾つぐらいの局があったかな、5つぐらいの局がある中で、消費者行政をやっていたのは2つか3つぐらいの課しかなかったと思います。ほんの一部分しか消費者に目を向いた行政ができていなかった。そういういろんな、今までの行政に対する反省から、今度、消費者庁というのをつくろうということから、多くの人の関心を持ちながら、この消費者庁をつくったんだと思いますけれども、新しい省庁を創造するときにありがちな、なかなか一気に体制が整備できないということに悩んでいるなという、そういう実態を見ました。そして、さらに本当の消費者行政、あるいは食品の安全という問題が起きるのは地方ですよね、町村ですよね。この霞ヶ関でもないし、永田町でもないんですね。そういうところにしっかり目配りのできるような行政スタイルをつくるのには、まだ相当時間とお金がかかるんですけれども、今の予算の状況では、本当にこれで大丈夫なんだろうかというふうに思った次第であります。
 私は、国家戦略局あるいは経済財政のマクロの経済財政、そこを菅さんから引き継いだわけでありますけれども、そういう立場からいくと「思いがけなく」という表現をしましたけれども、消費者行政をもという、そういう指示でございました。
 しかし、改めてよく考えてみると、マクロ経済とか、あるいは成長戦略は一体だれのための、何のためなんだということを考えると、それは消費者のため、あるいは生活者のためなんだということにだれでも気がつきますよね。そういう目から成長戦略や、あるいはマクロ経済というものを見てみたら、このマクロ経済や成長戦略とはまた違った角度、アングルが出てくるじゃないか。逆に言うと、消費者行政の中に、そういう成長戦略の要素でありますとか、あるいはマクロ経済の要素みたいなものを取り入れると、また違ったアングルが出てくるかもしれない。これをトータルで見るという人は、私は今までの政治家の中では、そういうことをトータルで見る立場に立った人は、私はほとんどいないのではないかと思うのですね。そういう意味で、私は大変幸運、ラッキーだし、やりがいがあるし、そういう新しい道を模索してみたいというふうに思っております。
(問)続けて、消費者行政のことをお伺いしたいのですけれども、今までお話しされていて、国家戦略、それから経済財政と、話が本当にばらばらというわけではないのですけれども、国にとって大切なことで、この消費者行政も、一つ大切なことではあると思うのです。けれども、これだけお仕事を抱えておられるということになりますと、「手が回るのか」というような声が、大臣が就任される、お名前が出るあたり、あるいはこの役職を兼ねられるというようなことを聞いて以来、やはり消費者団体等から非常に懸念する声も上がっているというような中、大臣のほうも、この体制もまだ不十分だというようなことをおっしゃられて、これは役所側の体制も不十分だというようなことだと思います。いわゆる政治主導というような形でやっていく中、この政治家のほうの体制が、果たして十分であるかという言い方は、なったばかりで非常に失礼に当たるかもしれませんけれども、果たして手が回るのかというようなことを非常に心配するのですけれども、そのあたり、今後、どのような体制を築いて消費者行政をやっていかれようとしているのかということをお伺いしたいと思います。
(答)難しい質問です。まだやっていませんから、そこまで手が足りるのかどうかと言われて、やっていないものについてお答えするのは大変難しいのですけれども、でも、政治家は何をやるのかというと、それは事務方がいろいろな選択肢をつくる、調査をして上げてくる。それを判断するのが政治家ですよね。それを、どちらの選択肢が適切なのかということを判断し、そしてその判断を間違えたときには、それは政治家の責任なのですね。決断した政治家の責任なのです。そういう形の行政の仕方、政治の仕方、そして政治家がそこに存在している意味があるのであります。必ずしも、その中身について一つ一つ細かく熟知していなければ行政ができないということでは、私はないと思っております。幸い、まだまだ不十分であるとはいえ、優秀なスタッフが消費者庁にもおられますし、あるいは食品安全関係の職員も頑張っています。その人たちに勇気を与えて、そして、逆に私も元気をもらうような、そういう指導の仕方といいますか、政治家と役所との関係をつくり上げていくということが、私の役割だというふうに思っております。
 農水省に関係しますと汚染米の話でありますとか、あるいは食品安全に直接かかわらないのですけれども、口蹄疫の話でありますとか鳥インフルエンザの話などについては、私自身も少しくかかわったことがあって、食品の安全問題というのは極めて難しい行政課題ではありますけれども、逆に言うと、それに当たっていけるということは、私は政治家として幸運だというふうに考えています。
(問)今のに関連してなのですけれども、実際に体制が不十分だとおっしゃっていて、それに対してどういう対応をされるかというのは、もうお考えでしょうか。
(答)幸い、霞ヶ関の中で定数が増という実績を持ち、また比較的前向きな省庁というのは、私はあまり知らないのですけれども、多分、消費者庁が唯一なのではないかなと思います。そういう意味では、消費者庁の定数、あるいは活動費の増というものについて、積極的に私は取り組んでいかなければならないと思っております。
 それは、単に霞ヶ関だけの、東京の部分だけの定数や、あるいは活動費というよりも、むしろ本当に必要なのは、地方の消費者行政を扱っている市町村の人たちのところなのかもしれないなと。そのあたりは、これから実態を地方に行って見てみなければならないなという思いを持っております。3,000市町村―今は2,000市町村ぐらいですか。2,000市町村でどのぐらいのそれぞれ消費者行政にかかわっている人たちがいて、どのぐらいのクレームが出ているのか。数万のクレームが出ているという話も聞かせていただきましたけれども、それを十分に国民の皆さんに満足のいくような形で対応できているのかどうかということになると、必ずしもそうではないのではないだろうか、そのための体制のあり方というのは、もっと違わないといけないのではないかと。今回、「第3の公共」でありますとか、あるいは「新しい公共」というような概念が打ち出されました。そういうものをも上手に使っていくということによる消費者行政の新しい展開の仕方というものは、もっと模索できるのではないかなというふうにも思います。
(問)福島前大臣が、消費者庁を設立してからこれまで率いてこられたわけですけれども、基本計画などで食の分野をかなり重視して、食品表示の一元化法の制定であるとか、かなり前向きな取組をされているかと思うのですが、福島前大臣がこれまでやってこられた消費者行政、食品安全行政について、どのように受けとめて、どう引き継いでいかれようか、もしくは方向転換されようかという考えがございましたら教えてください。
(答)福島前大臣が取り組んでこられました消費者行政は、私も基本的にそれを受け継いでいきたいと思っておりますし、むしろ政務三役と一緒に強化していきたいというふうに思ってございます。そんな中で、特に私が関心を持っているのが食育の話でありますとか、子供たちにとっての食品の安全、あるいは教育の観点からの食品の安全、消費者行政というものについて、もう少し考えてみたいなというふうに思っております。
(問)ちょっと違う点なのですけれども、それぞれ各閣僚に聞いているのですが、今回の内閣は、政治と金について特に注目されている内閣だと思うのですけれども、お聞きしたいのは大きく2点で、大臣御自身で政治と金にクリーンであるというか、疑いを持たれないために何が一番重要だと思うのかという点が1点と、もう1点として、小沢氏の問題について、現時点で国民への説明責任がきちんと果たされていないのではないかというような意見があるのですけれども、これについてどう思われるのかという、その2点についてお答えいただきたいと思います。
(答)政治と金の問題というのは、この内閣にとって極めて大事な要点だろうというふうに思います。今、何が必要なのかということでありますが、それは入りと出がクリーンであるか、クリーンというよりも、オープンであるかどうかと。そこが、入るお金がちゃんと経理がされているかどうか、出ているお金がちゃんと経理をされているかどうか、適正に使われているかどうか、そこに嘘偽りがないかどうかということが、一番大事なのではないかというふうに思います。クリーンであるということの意味というのは、私は公開制の原則が貫かれているかどうかということだと思います。
 それから、小沢前幹事長の問題でございますけれども、これは小沢さん個人がお考えになることでありまして、他人がとやかく言うべき問題では、私はないと思います。小沢さんという大変実績のある政治家でありますから、小沢さん自身が金と政治についてどうお考えになり、どう行動されるのかということは、小沢さんがお決めになることだと私は思います。
(問)先ほどのお答えの中にも、消費者庁の体制強化のお話がありましたが、どちらかというと現場は地方だというお話の中で、そちらのほうを重点というようなお話がございましたが、我々は消費者庁を見ていて、地方からいろいろな情報が集まってきていて、その収集・分析、この分析が十分できていなかったり、本当にそこは消費者安全課がどうというよりも、体制がやはり足りていないのではないかということを非常に強く思うわけです。そういう意味では、地方はもちろんですけれども、消費者庁自身、その体制の強化が欠かせなくて、そのあたり、今後のスケジュール感、概算要求とかもありますけれども、具体的にもうアクションを起こされていくということになるのでしょうか。
(答)そうですね。7月、8月が概算要求の状況になると思いますので、そのときまでに消費者行政全般について、今、何が不足しているのかということを、もう少し丁寧に洗い出したいというふうに思います。
 私が感じたのは、地方のほうがこれでは手薄だろうなと思いましたけれども、分析するところ自身が不足しているというような御指摘は、それを踏まえてもう一度見てみたいと思います。
(問)貸金業法が今月18日に完全施行されるわけなのですけれども、完全施行に当たって議論になったのは、総量規制を導入すると消費が冷え込むのではないかというようなことを言われて、やはり完全実施を延ばすとか、そんな議論がありました。それから、特定商取引法は、電話勧誘販売であるとか、それから訪問販売であるとか、いろいろな取引について規制しているわけなのですけれども、あまりその規制が行き過ぎると、今度は業界が立ち行かなくなるという問題があります。時には、消費者保護と、それから経済の振興が、利益相反といいますか、ちょっと相入れなくなるときもあるわけです。消費者庁というのは、消費者目線、生活者目線でつくられた役所です。そして、他の官庁、国土交通省であるとか農水省、経産省に、時によっては勧告する権限を持っています。そういう産業育成官庁に対して勧告する権限を持っているということと、それから、今、大臣は国家戦略ということで、国全体の景気の底上げとかという役割を担っていると。少し御自身の中で、先ほど「ラッキー」とおっしゃったのですけれども、相反する部分を持っていらっしゃると私は思っているのですが、どうやって整合性をとるのでしょうか。
(答)それが、まさしく政治家の役割だと思うのです。お役所あるいは官僚であるならば、「この部分の仕事」と枠がはめられているというか、あるいはマンデートがはっきりしているわけですから、例えば消費者庁の役人だったら、消費者行政に邁進するということでよいわけですけれども、それをもっと高い目で、今おっしゃったような産業の育成という面から見るとどうのこうのというようなお話を、政治家というのは全部を見ているわけです。全部の立場で判断していくわけでありますから、それがまさしく政治家がトップにいるという、あるいは政治家主導、政治主導という意味だと私は思います。
(問)私は、ふだん消費者団体とか、事故のご遺族の方とかに会う機会が多いのですけれども、多くの方が、今度の大臣は消費者行政にあまりかかわりがない人ではないかということで、不安に思っていらっしゃいます。遺族ですとか消費者団体の方から、直接、御意見を伺うとか意見交換するとか、そういった場を近々設けるお考えはありますか。
(答)それはあります。どのぐらいの実績なのかということは、ここ数カ月を見てください。

(以上)

内閣府 Cabinet Office, Governmentof Japan〒100-8914 東京都千代田区永田町1-6-1
電話番号 03-5253-2111(大代表)