玄葉内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成22年11月5日

(平成22年11月5日(金) 10:24~10:44  於:内閣府本府5階522会見室)

1.発言要旨

 おはようございます。
 まず、今日は閣議の前に安全保障会議がありまして、防衛大綱の見直しの議論が関係閣僚間でございました。民主党としても、政調会長として申し上げれば、外交・安全保障調査会の役員会の中で議論を今、行っていると聞いておりまして、そのたたき台が恐らく外交・安全保障調査会の平場にこれから出てくるのではないかと思います。提言がまとまれば、当然、私から関係閣僚会議に報告をしたいと考えております。
 続いて、閣議がございましたが、その後の閣僚懇で、昨日の会見で申し上げた元気な日本復活特別枠に関する評価会議について、閣僚の皆様に対して御協力をお願いをいたしました。申し上げた内容は昨日申し上げたことと一緒でございますので、繰り返す必要はないかと思いますが、簡単に言えばパブリックコメントが36万件あったということで、その位置付けであるとか、今後のスケジュールとか、私から昨日申し上げた5原則を出しましたので、その5原則に沿って、公開で行うヒアリングでは御説明いただきたいと申し上げたということでございます。
 私からは以上でございます。

2.質疑応答

(問) 海上保安庁が中国の漁船の衝突事件で撮影したものと見られるビデオ映像がユーチューブに流出されていますけれども、見られていたらその感想を、見られてなくても、流出したことに対する受け止めをお願いします。
(答)昨日は遅かったですし、今朝もほかの件で様々な電話をいただいたりしていたものですから、残念ながら現時点では見ておりません。
 ただ、これは調査中だと聞いております。この件については、官房長官、あるいは海上保安庁のほうにお尋ねいただくのが適当ではないかと思っております。
(問)昨日、民主党のTPPに関する作業チームの提言がまとまりましたけれども、その内容についての受け止めをお願いします。
(答)まず、1つは本当によくまとめていただいたと思っています。16回プロジェクトチームが開かれたと聞いておりますし、私もその内容については逐一報告を受けておりましたけれども、内容の濃い議論が交わされたと思います。この種の非常に対立しがちな大きなテーマにおいて、一定の考え方を党としてまとめることができたというのは、大変大きな成果であると思っておりまして、山口座長を始め役員の皆さん、そして議論に参加された皆さんに心から敬意を表したいと思っております。
 昨日の提言の内容は、私の解釈をあえて申し上げると、基本的にはいわゆる交渉参加の前の段階の協議の開始を示しているのではないかと思っています。菅総理が所信表明で検討とおっしゃいましたが、検討の次には協議があって、協議の次には交渉があって、交渉の次に参加があるわけであります。そういう意味では、一歩前に出たと思っております。
 「情報収集のための協議」と書いてございますけれども、いわゆる交渉の前段階を通じて得られる情報、すなわち各国の取組の進捗状況、あるいは各国の我が国に対する見方といったことをしっかりと情報収集していく、そして、同時に国民の皆様の理解の深まりの度合い、そういったものを通じて、交渉に入るかどうかが判断されるという意味では、当然、私は一つの党の提言として、大切な貴重な提言であると受け止めております。もっと申し上げると、二国間のEPAについても、日韓、日豪、日中、日米、もちろんペルー、あるいはモンゴル、ASEANプラス3、ASEANプラス6も含めて、バイもマルチも積極的に推進をするということを書いてあります。そういう意味では、一歩前に出たと思います。
 私が発言している内容は全く最初から変わっておりません。それは皆さんがこれまでメモされたことを全部掘り起こしていただければおわかりになると思いますが、私は経済連携も農業も一歩前に出るべきだと申し上げてきました。その経済連携が、バイ、つまりは二国間かマルチ、包括的な経済連携か、その組合せは別として、私たちが改めて通商国家として生きていく宿命を持っている国家として、やはりこの問題は乗り越えていき、一歩前に出る必要があると思います。
 一方で、農業についても先般も申し上げたように、農業従事者が260万人というのは、私が初めて国会に出してもらったときの半分です。農業所得もピーク時の半分です。このままで農業、農村は果たして持続可能なのかどうかという危機感を私自身大変強く抱いています。
 このことについて、根本的な対応をしていかなければいけません。何もしないで立ち止まっていて本当にいいのか。日本の将来を考えたときに、私たちの子供や孫の代に豊かさを引き継ぐという使命を負っている中で、経済連携も農業も立ち止まっていました。そういう状態をどう考えるのかが問われているのが今だと思っています。しっかりと議論しながら、国民の皆様の理解も得ながら前へ進んでいく。そういう意味では、それぞれ一歩前に出るというのが正に大事で、しかし同時に一緒に考えていただきたいのですけれども、例えばアメリカのオバマ政権が初めてTPPに言及したのはいつか。これは昨年11月の日本での演説が最初です。昨年11月に初めて言及して、交渉に参加したのは今年3月ですよ。そこには4カ月、5カ月のタームがあるわけであります。
 ですから、やはりアメリカでさえそういった慎重な、熟度の高い議論をした上で、交渉入りをしているわけでありまして、こういう大事な岐路に当たって、日本はこの1カ月間はかなり濃密な時間だったと思いますけれども、APECをスタートにもっと熟度の高い議論をして、日本の歩みを間違いのないものにしていくことが極めて大事なことだと思っております。
(問)当面は基本方針の閣議決定が最初の作業としてありますけれども、国民新党が慎重姿勢を示す中、どのように一歩踏み込んだ内容にするか、調整をどのように進めていくか、考えをお聞かせください。
(答)これは昨日の晩から調整をしておりまして、いずれにしても従来方針どおり9日の閣議決定は揺るぎません。
 ですから、実はできれば今日中に関係の閣僚委員会での決定を目指したいという思いを申し上げておりましたけれども、農林水産大臣が今日は朝一番からレク、閣議、会見、そして委員会が午前と午後もあるということでございますから、やはり拙速は避けないといけないだろうということで、ここは慎重を期して、少し時間をかけて最終調整を図りたいという思いで今少し遅らせました。
(問)関連して、政府案の取りまとめに当たっては民主党の提言をどの程度反映させていくものにするのか、ここから更にまた一歩前に出ることを考えていらっしゃるか、その点についていかがですか。
(答)先ほど民主党の提言の私の解釈を申し上げましたけれども、基本的にはそういう解釈の下での文言、あるいはその文言の説明にならなければならないのではないかと私自身は考えております。
 どの程度民主党の提言を政府案に反映させるのかということについては、私は政調会長でもありますので、もうかなりの程度反映させなければいけないと思っております
(問)提言を受けて、政府としても交渉参加の前段階の協議を始めるということでよろしいのでしょうか。
(答)提言の解釈はそういうことだと思います。これは交渉入りを宣言する話ではないと思っています。
 基本的に検討し始めて、そして先ほどの繰り返しになるかもしれませんけれども、協議をし、交渉をし、参加になるということです。情報収集のための協議という私の解釈は、正に得られた情報によるもので、その情報というのは、各国の取組の進捗状況、我が国に対する見方といったことなどではないかと思っております。同時に、やはり米国でも4カ月かけたわけで、これだけ重要な問題でストレートに交渉入りというのは、果たしてどうかという思いを私は実は最初から持っておりましたけれども、ただやはり全体として一歩前に出ていかないと、私たちの成熟した豊かさを子孫に伝えるという使命は果たせないと思います。
 併せて大事なことは、やはり農業強化策のこれからの具体化だと思っております。これをやはり党派を超えてしっかりと議論しなければならないと思っております。
(問)民主党の提言の解釈として、交渉入りを宣言する話ではないということですが、政府案も交渉入りを宣言する話ではないということですか。
(答)先ほどと同じ質問だと思いますが、私はやはりいずれにしても検討があって、協議があって、交渉があって、参加に至るということではないかというのが私の民主党の提言に対する理解であり、今回のいわゆる交渉というか、今回のTPP全体の段階的手続の解釈でございます。
(問) アメリカでは交渉入りまで4カ月かけたということですが、大臣の考えでは日本はどれぐらいかけて交渉入りを判断するのですか。
(答)日本は農業も含めてそうなのですけれども、今、大事なことは、戦略的に物事を考え、進めることだと私は思っております。そういう意味では、タイムスパンもそうでありますし、バイをどうするのか、つまり二国間をどうするのか、そういった包括的な経済連携をどうするのか、バイを進めるに当たってもどの国とどういう順番でどういう時間軸で進めるのかといったことを戦略的に考えていくということこそ、今、日本に求められていることではないかと、現時点ではそのくらいにとどめたいと思います。
(問)当初、交渉参加を目指して政府はやっていた中で、党の消極的な慎重論によって交渉参加へのスピードが遅れてしまうという懸念はないのですか。
(答)率直に申し上げて私の思いは最初の段階から全く変っておりません。自分が考えていた方向に進んでいると思っております。
 政府が本当に交渉参加をここで宣言しようとしていたかどうかも極めて疑問であります。一部の方がそう思っていたかもしれませんけど、私は必ずしもここで何が何でも宣言しなければいけないなどとは全くと言っていいほど思っておりませんでした。
(問)似たような質問なのですけれども、交渉参加を宣言しないことで、これから協議に入るに当たって、米国なり他国から日本の真剣度を疑われて、あまり相手にされないのではないかという懸念も出ているのですがいかがでしょうか。
(答)何回も申し上げていますけれども、結局交渉の前に協議があって、協議の前に協議をするかどうかの検討があるわけです。仮に今交渉入りを宣言するといったならば、恐らく2カ月ぐらい前からその根回しをしていなければ、各国に対してできなかったと思います。最初からそう思っていましたので、私が元々考えていた考え方、着地点とそれほど乖離はないと申し上げたわけです。
 ただ、政府の文言の調整は正にこれからでございますので、そのことは改めて申し上げておきたいと思います。
(問)毎回聞いているのですけれども、昨日小沢議員と岡田幹事長が会談して、小沢議員が政治倫理審査会の要請に対して断ったのですけれども、それはどのようにお考えですか。
(答)これはとにかくいつも申し上げていますけども、私は今、戦略課題、政策課題に集中していますし、岡田幹事長を信頼しておりますので、ここは岡田幹事長が民主党内の様々な意見を踏まえた上で、判断をし、発言をし、行動されていると思っております。

(以上)