枝野内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成22年4月15日

(平成22年4月15日(木) 18:09~18:26  於:中央合同庁舎4号館共用408会議室)

1.発言要旨

 私の方からは、事業仕分けに向けた準備が着々と進んでおりますということぐらいの御報告でございます。来週20日の夕方に行政刷新会議を開催いたしまして、そこに第2弾の前半、23日から28日までに行う対象事業を提案をして、了解をいただくべく準備、調整を進めております。概ね絞り込めていますが、個別の事業の詳細なヒアリング調査を進める中で最終的なものは確定するという状況でございます。
 なお、そうした準備の一環として、既に非公式な現地調査は国会議員仕分け人、民間仕分け人候補の皆さん、あるいは事務局の皆さんに進めていただいておりますが、私自身も早ければ明日、遅くても来週火曜日ぐらいには、対象にほぼなると思われる独立行政法人の事業の現場の調査をしに伺うべく、最終的な調整をしているところでございます。
 なお、こういうところで宣伝みたいなことを言ってもいいのかどうかよくわかりませんけれども、事業仕分けとは何か、事業仕分けでは何を目指しているのかということについて、私自身で文章を書かせていただいた本が明日集英社新書から発売になります。安いのでお買い求めいただいて読んでいただけると更に理解が進むのではないかなというふうに思っているところでございます。
 私の方からは以上でございます。
 どうぞ御質問をいただければと思います。

2.質疑応答

(問)フリーランスの大川興業総裁、大川豊でございます。
 実は、前回の行政刷新会議に出席というか、取材させていただいた時なんですが、私は地方のタウン誌にもいっぱい声をかけて、ネットで見るだけでなく是非現場に来て取材してくださいということもありまして、私は顔の見える取材を目指しておりまして、私の顔が入った行政刷新会議の風景を撮影したら、官僚の方がすぐ走ってきて、「ポーズをとって写真を撮らないでください」と報道官の方以外の方が来て、取材ができなかったということがありまして、是非、大臣、フリーランスの方からヒアリングをして、そして今度、官僚の方も初めてなんで緊張されていたと思うのでそういう結果になったと思っていますので、そういうヒアリングをして、更に参加される国会議員や官僚の方に御説明というか、そういった機会はお考えでしょうか。どうでしょうか。
(答)すみません。大川総裁にわざわざ取材にきていただけるというのは大変光栄でございます。前回の事業仕分けの現場における今のようないきさつは大変申し訳なく、また残念に思っております。
 事前にどういうことでという御希望のヒアリングを伺うというよりも、事前にこういう形でというのはオーケーかということを紙なり何なりで出していただいて、そうすれば、事前に最終的に私のところで判断できます。事務方の皆さんだけですとどうしても抑制的にお立場上なるのはやむを得ないことだと思っていますので、事前にこういう形態で、現場の整理さえできれば、例えば私たちに対するぶら下がりなども、このタイミングでここだけでやってくださいということで、そこはクラブの皆さん含めて、いろいろなお願いは現場の整理という意味ではありますので、できるだけ自由にとは思っておりますが、事前に、こういう形でこういう場所でこうするけれどもいいか、みたいなことを紙で出していただくとか、そういった形でできるだけ自由に色々な形で報道していただけるような配慮をしたいというふうに思います。
(問)いっぱいタウン誌の方も呼んだので、こちらからそれを報道官の方に一度お話ししてから撮影をしていたんですけれども、それでもあったものですから、事前にもうちょっとそういった形をとられないかなと思って大臣にお伺いしました。
(答)多分、現場でだと思います。現場でだと、なかなかいいのかどうか判断に迷うと、どうしても抑制的にお立場上そうした皆さんはなりますから、そうした意味では、こういう形でということを事前に、私が判断する時間的余裕のある形で、なおかつ私にストレートに届く形でということは、文書で出していただければ、私のところで判断をして、できるだけ融通がきくようにしたいと思っています。
(問)キャリアブレインの敦賀と申します。
 一部報道で、福祉医療機構が、厚労省関連なんですけれども、事業仕分けの対象になるという報道が出ているんですが、これに対して、日本医師会とか病院団体から小沢さんに要望書が出ていまして、医療機関の融資に支障が出るというふうに出ているんですけれども、これに関して大臣の御見解をお聞かせください。
(答)まず、具体的に仕分けの俎上(そじょう)に乗るのかどうかということ自体は確定しておりません。正直言って、私自身も、今聞かれて、候補の中に入っていたかどうか分かりません。
 ただ、医療機関に対する融資に支障が出ないようにという御要望と、仕分けで取り上げるかどうかというのは全く関係ありません。つまり、そこで行っている事業が必要であるかということももちろんそこで議論するんですが、必要な事業であるとしてもどういうやり方をすれば一番効率的かということを事業仕分けでやるんですから、必要な事業だから仕分けの対象にならないとか、必要な事業だから仕分けで改革を求める結論にならないということとは全く論理的には関係ないと、こういうことです。
(問)日本消費経済新聞の相川と申します。
 実を言うと、国民生活センターの件なのですが、珍しく、国会の委員会とか、あと消費者団体などから強化を望む声が出ている独法なのですが、国民から見たら整理しなければいけないような内容もあるようにも見えます。
 枝野大臣は消費者問題にも大変お詳しいですが、これについてどのようなお考えを持っているかお聞かせいただけるとありがたいです。
(答)これぐらい実際の事業仕分けが近づいてまいりますと、個別の独立行政法人や個別の事業について、私の従来の私見を申し上げても、それが仕分けでこうなるんだというような受けとめられ方をしかねないので、ちょっとそこは気をつけたほうがいいと、予断を与えないほうがいいと思っているので、避けたいと思うんですが、一般論として、事業仕分けで取り上げるということは、その取り上げた結果として、これは無駄だからこんな事業をやめろということも多いでしょう。あるいは、こういうやり方をすればもっと予算が削れますねということもあるでしょう。
 一方で、こういうやり方をすればもっと機能が強化される、力が発揮されるんだから、こういうやり方に変えたほうがいいんじゃないですかというケースもあります。
 第1弾でもそういったものはありました。特に独立行政法人の行っている事業について取り上げる第2弾においては、その最後の範疇(はんちゅう)に入るケースが第1弾よりも多いのではないかという想定、予測をしているところでございまして、それぞれに求められている役割が、より効果的な組織形態とか運営のやり方でなされるにはどうしたらいいか、というような視点での議論がかなりなされるということを期待をしています。
(問)医療経済社の坂口と申します。
 今、行われています厚生労働省の省内事業仕分けについてはどういうふうに見ておられますか。
(答)事業仕分け的な視点で、行政の、特に無駄をあぶり出すという作業は、本来ならば各省の中で率先して独自にやっていただくというのがまずベースにあるべきだというふうに、本来、当初から思っております。
 そうした意味で、行政刷新会議が主導する形で各府省に行政事業レビューを進めていただくということで作業が始まっておりますけれども、更にそれを超えて各省で独自にやっていただくという動きは、大変結構なことだというふうに高く評価をしているところでございます。そこでなされた議論や判断、評価というものが、自ら率先して行政刷新を進めていくということに活きていけば大変いいことである。ただ、だからといって省内においていろいろな対応をしたから行政刷新会議で取り上げないということには、そこは申し訳ないけれども、全くならない。それは内部において内部監査的に行うものと、外部で行うというものとはやはり自ずから性格が異なっていますので、内部で一生懸命やっていただくということは前提として、それを、政府という意味では内部なんですけれども、それぞれの省庁の外側から別の視点で見れば、別の見方、判断というものが出てくるという意味で、そういう意味では、それぞれが両立をする話だと。ただ、省内で頑張ってやっていただければ、刷新会議でやらなければならない部分が小さくなって、それは助かるなというふうには思っています。
(問)赤旗政治部の中祖と申します。
 法令解釈担当大臣としての枝野さんに、1カ月後に迫った憲法改正、国民投票法の施行についてお尋ねをしたいと思います。
 御案内のように、この3年間で投票年齢の整備と、それから公務員法の国民投票運動に対する適用関係がどうなるのかということについて、法整備をするということが附則に定められているわけですけれども、これが全く議論が進んでいない状況の中で、施行ができるのかどうか。
 総務省は、施行のための政令等を準備しているというふうに言っておって、政令の詳細についてもホームページ等でアップしているようですけれども、この施行がまずできるのかどうかということについて御説明をお願いします。
(答)施行ができるのかどうかということは、純粋法理論の話と政治論と、多分両面があるんだろうというふうに思います。
 今の私の立場から申し上げられることは、純粋法理論でどうなるのかという話は、それは多分いろいろな解釈のお立場があり得るというふうには思っています。
 ただ、政治論として考えたときには、これは国民投票制度自体が国会における3分の2多数、両院における3分の2多数の発議がなされなければ発動されないシステムでありますので、そういった意味では、純粋法理論上、施行できるのかどうかということの議論にあまり今意味はないというふうに思っています。
 むしろ重要なことは、3年以内に18歳投票権に向けた法整備を行うということを、残念ながら前政権下ではなされなかったということを受け止めて、我々が少なくとも政権を得てから3年以内には、その附則で求められている作業を行わなければならないという我々は責任を負っていると。その責任を粛々と果たしていくということだというふうに思っています。
(問)それは施行した上で、憲法審査会を始動させて、そこで一連の宿題について議論を進めていくべきであると、そういうお立場だということでしょうか。
(答)憲法審査会の法律の規定は、法理論上施行されているというふうに思っています。これが動くのかどうかというのは、これは純粋立法府の問題、議会の問題でありますので、私も議会人の立場を持っていますが、行政府の一員としては、権力分立原則に立っては、立法府での御議論の在り方ということについて、行政府に入っている間は意見を申し上げない方がいいというふうに思っています。
(問)おっしゃるように、そういう意味では、この法律が国会において完成させられていないという側面があると思うんです。行政府において施行できるかという以前に、国会がこの法律をちゃんと3年間で完成させられなかったという点をどう見るか。純粋法理論というふうにおっしゃいますけれども、公務員法の適用関係というのは投票年齢の問題と違って、その整備ができなかった場合にどうするかという読替えの規定とかも存在していないわけで、国が法整備をするという義務が果たされないという場合のことを想定していないと思うんですね。
 そうであるとすると、そういう公務員法の適用関係、この間、処罰意見の判断、裁判所の判決も出ているわけですけれども、そういう状況のまま施行がされるというのは、こういう重大な法律、非常に重要な法律の施行に当たって非常に不幸な出発になるというふうに思うんですけれども、枝野さんも当時自公案に対しては反対の立場を表明されていたと思うんですけれども、そのあたりについてもう一つだけお聞かせください。
(答)現在の憲法改正手続法については、私自身国会での採決のときに反対で-採決に加わらなかったのかな-反対の立場であったのは間違いございません。
 ただ、法律として形式的に整って、公布をされている法律でありますので、行政府の一員としては、少なくともその法律に基づいた義務を果たしていくということが一義的には求められているということであります。もしその義務を果たさないならば、速やかに法律を改正する作業を行わなければ、これは行政としての責任放棄ということになります。
 ということからすれば、現時点では、残念ながら行政権を握ったのが昨年の9月でありますから、その時点から法律に求められている3年以内に行うべきことをしっかりとできるだけ早く実行するということが今の内閣には求められているということだと。それを超えて、法律に対して賛成だったか、反対だったかとかいうことを行政の立場では言うことはできないというふうに思っています。
 ありがとうございました。

(以上)