枝野内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成22年2月19日

(平成22年2月19日(金) 8:53~9:14  於:第4合同庁舎642会見室)

1.発言要旨

 おはようございます。お待たせいたしました。大変恐縮でございます。
 私のほうから4点ほど申し上げたいと思います。
 1つは、お手元に配付しておりますが、今日の閣議後の閣僚懇談会で、内閣の法令解釈に関する事務について、閣僚の皆さんに認識を統一していただこうということで、お手元のペーパーのとおりのお話をさせていただきました。
 内閣法制局は、その設置法によりまして、内閣や総理等に上申や意見を述べることがその所掌事務でございます。内閣の法令解釈を決定する機関ではございません。今回新たに担当の大臣が任命されましたことからも、改めて、まずは私のところがその決定権、判断権を持ち、最終的には閣議で決定するものであるということを、若干、印象としては過去の実態として違っている印象がございますので、その点を確認させていただきました。
 さらに、それを踏まえて、各閣僚におかれましては、各省において、内閣法制局の法令解釈で御意見があるとき、これは実際に法律案、法律の改正案等の作業を各省と法制局との間でしていただくということになっているわけでありますが、そのプロセス等で御意見があるときには、私に直接意見を述べていただければということで、各閣僚の皆さんに申し上げました。同じ趣旨をできれば副大臣会議でもお伝えをして、この特に3番の点、何か法制局との間で意見の相違等があって膠着するときには、私のほうに直接意見をおっしゃってくださいということにさせていただきたいというふうに思っております。
 2つ目でございますが、「職員の声」は1月末まで集中受け付け期間ということで、役所の皆さんから直接、行政刷新に向けたさまざまな御意見をお寄せいただきました。現在、それに基づいて、各府省に対して事実関係の照会等を始めました。照会をしながら、それを取りまとめまして、3月初めには私のところにこの職員の声に基づいてまとめられたものが報告されるということにいたしました。
 それを踏まえて、それぞれもちろん対応できないものもありますが、対応すべきものがあれば、事実関係の照会のプロセスで改善されるケースも多々ありそうな気がいたしますが、そうでないケースについては、3月上旬の取りまとめ報告を事務的に受け取った段階で、個別に対応するもの、あるいは事業仕分け等にその問題点を引き継ぐものというようなことで、整理をしたいというふうに思っております。「国民の声」の独法等の集中的な受け付けについても、間もなくスタートさせるつもりでおりますので、これも同じような形で取り扱っていきたいというふうに思っております。
 それから、政治主導、行政刷新ということで、どうしても官僚の皆さんがうつむきがちになってしまいかねない側面、空気というものがあるというふうに思っています。それは決して政治主導ということの真意ではございません。政治は政治としての責任をしっかり果たしていく。その政治の方の責任で決めた方針に基づいて、官僚の皆さんがしっかりとその能力を発揮していただくということでございますので、決して役所の皆さんの仕事は要らないとか、皆さんの能力が要らないとかということではないわけでございまして、そうした観点から、順次、霞ヶ関の、特に若手の職員の皆さんと、交流会、意見交換会を進めていくことにいたしました。
 これは「職員の声」の担当のところで実務を担当してもらいまして、ちょっと頻度、どれぐらいできるかというのは、私自身も大臣としての、特に国会との関係などの忙しさ、その他がまだ感覚的につかめておりませんが、少なくとも1カ月に一度ぐらいは、若手の官僚の皆さんと、ざっくばらんに意見交換するという場をつくっていきたいというふうに思っております。幸い私自身が、若手の官僚の皆さんと年齢が近いということもありますので、そうしたところで、我々の意図するもの、真意というものも知っていただきたいし、若手の現場の皆さんが考えていること、気づいていることを把握して、それをさまざまな政策、もちろん行政刷新的なものも含めてですけれども、活かしていきたいというふうに思っております。その企画の一端というわけではありませんが、その先駆けとして、例えば今日、まず一番足元のところで、古川副大臣にセットしてもらって、行政刷新会議の事務局の若手の皆さんとの懇談を夕方しようというふうに思っております。
 最後に、今日一部報道で公文書の電子化の報道がなされております。現在、独立行政法人たる国立公文書館の中期目標の案をつくる作業を進めていただいております。最終的には私のところに御報告いただいて、私のところで判断させていただくということになっております。この案の策定プロセス自体、ネット上で公表しておりまして、その公表している案の中身と重なっているところもありますが、一部ちょっと誤解をされているのかなという部分がございます。
 電子化するということは、方向性として当然あるわけでありますが、紙媒体を残さなくていいという方向が出ているわけではありません。従来から紙で集まっている文書は、今マイクロフィルムでやっているわけですけれども、マイクロフィルムと電子媒体とどっちがいいのかというような検討は必要だろうなと思っております。
 それから、平成23年度から、電子情報で紙になっていないものをそのまま電子情報として公文書館が受け取るということを始めます。ただ、これを紙媒体に落とさなくていいのかどうか。というのは、これはいろいろな技術的な面を含めて、御検討していただかなければならないというふうに思っていて、その検討のプロセスにあるというふうに私は報告を受けております。
 相当慎重に検討していただきませんと、コストの面、それから間違っても貴重な公文書が消えてしまう、物理的になくなってしまうということがあっては困りますので、しっかりとした検討をして、方向性を出していくということでございますので、電子化、2011年度からという、一部報道にあった政府方針の方向はほぼ間違いないかなと思いますが、その中の記事に書いてあることの一部はちょっと先走って、若干誤解があるかなというふうに思っておりますので、念のため申し上げておきます。
 いずれにしろ、3月ぐらいになるかと思いますが、方針、方向性が固まりましたら、この場でも私のほうからも御報告をしたいと思っております。公文書の管理、地味ですけれども、大変重要だと思っておりますので、こうした記事が出て、御関心を報道の皆さんが持っていただいているのは、大変歓迎すべきことだというふうに思っております。
 私からは以上です。

2.質疑応答

(問)閣僚懇での発言の件なんですけれども、3番目に関してなんですが、法制局の権限としては、各省大臣に直接意見を述べることができるということがあるんですけれども、その場合、やりとりということは一応各大臣がそれぞれやっていいのか、それともそのときに枝野大臣を通さなければいけないのか、議論が膠着したときだけ枝野大臣を通すということになるんでしょうか。
(答)実務的には、法令審査、法制局の中の法令審査、下から積み重ねていくプロセスで、特別、直接的に各省大臣に法制局が意見具申をするということは、実態としては過去にも、私の知る限りでは想定していない話でありまして、そこで意見が分かれて、各省と法制局と見解が分かれてという段階で、そこで見解が分かれたら前に進まないわけですから、見解が分かれているときには私のほうに言ってくださいということであるので、何か各省大臣と法制局で直接意見が一致しなくてということは、多分想定はされないのかなと思っております。
(問)それに関連しまして、今日の閣僚懇の中で、各大臣から早速意見というのはあったんでしょうか。あと、これについてのほかの方々の発言というのは、どんなものがあったのでしょうか。
(答)これについては、特段、他の閣僚の皆さんからございませんでした。うなずいて聞いていただいた方は何人かいらしたというふうにお見受けしています。
(問)若手の職員の交流会なんですが、大体その年次、年齢的にはどのぐらいの方を想定されていますでしょうか。
(答)まだそこまで具体的に詰めてはいないんですが、まずちょっと、今日、古川副大臣が、御自身も霞ヶ関の御出身、経験もありますので、どういったやり方をしたら一番本音ベースでいろいろな話が出てくるかなというようなことを想定して、「職員の声」の担当のところと相談をしてくれるのではないかなというふうに思っております。そこはお任せをしようと思っています。
(問)今日の閣議では、国家公務員制度改革のことについて閣議決定があったと思うんですが、このことについてのまず受け止めと、これから行政刷新のお立場として、この公務員制度改革にどのような形で携わっていきたいかということについてお聞かせください。
(答)まず、新政権の下における公務員制度改革の第一歩として、大きな一歩を踏み出せたことは大変よかったなというふうに思っております。今後、例えば独立行政法人改革をしていくにしても、当然のことながら、そこで働いている人たちのことをどうするのか、そうなれば公務員制度に絡んできます。それから、そもそも事業そのもの、政府、内閣の行っている事業、各省の行っている事業そのものの刷新をしていくプロセスでも、必要がなくなった事業を担当していた職員の皆さんをどうするのかということも絡んできます。それから、総務大臣に御協力をさせていただくということで話を進めています出先機関の改革も、ではそこで働いている人たちをどうするのか。いずれも公務員制度に密接に絡んでくる。
 それぞれ私のほうの立場から、こういう人たちをこういうふうにしてもらいたいということは当然議論がされるべく、それを仙谷担当大臣と連携をして、制度のせいで、制度に柔軟性がないとか、対応できない制度になっているがために、必要のない組織や事業が残るということにならないように、歩調を合わせながら進めていきたいと思っています。
(問)その関連なんですけれども、直接的には仙谷大臣になるんだと思うんですけれども、民主党はマニフェストで国家公務員の人件費の2割削減をうたっていると思うんですけれども、これは今後こういうふうに進めていきたいというような、大臣としてのお考えはありますか。
(答)これは全体としての総額の2割という話なものですから、公務員制度改革でやる部分、それとも密接に連携する、国の行政事務そのもので必要のないものをやめていくということ、それから地域主権を確立していくという形の中で国の仕事が地方に移っていくという部分、トータルを総合的に進めていくことで、結果的にマニフェストを実現していくということになっていくというふうに思っています。
 どこかが全体構造を把握して進めていただかなければならないんだと思っていますが、そこは仙谷大臣が担当大臣、公務員の担当大臣ですから、仙谷大臣のところで全体構造をマネジメントしていただきながら、そこに行政刷新の立場としては、どんどん球を出していくということかなというふうに思っています。
(問)球を出すとしたら、何か今考えられていることというのはありますか、刷新大臣として。
(答)今回の閣議決定されたものにおいても、幹部職員の皆さんというのを一まとまりとして、他の職員の皆さんとちょっと別くくりといたしました。これは民間企業が、従業員の方と取締役の方で、全く働き方としてカテゴリーが違っていますよね。片方は雇う側で、片方は雇われる側。もちろん官がイコールフッティングになるわけではありませんが、そういったことを一つ横目で見た改革ではないかと思っています。ある一定の幹部以上は、現場の、特に法執行に当たっている皆さんとは違うカテゴリーで整理をする。その中で適切な制度にしていくということだと思います。
 これにも見られるように、民間の人事制度、人事体制というものの中で、公務員制度には直接持ってこられないものも多々あることはわかっていますが、しかし民間で工夫をしてうまくやっている部分で、公務員の世界で取り入れられるものはもっとあるというふうに思っていますので、そういったところを視野に入れた球出しにつなげていきたいというふうに思っています。
 その1つが、民間企業における親会社、子会社みたいな関係と、全くイコールとは言いません、違う性格のところはたくさんありますが、国と政府系の団体との関係というところにも言えるのではないだろうか。そうすると、民間における親会社と子会社との人の出入りの関係や給与等の関係などというのを参考にして、外郭団体、独立行政法人や政府系公益法人のあり方というものと結びつけていきたい。今、これを1つの視点として考えています。
(問)憲法解釈のことなんですけれども、先日、大臣の地元でのタウンミーテイングだったと思うんですが、過去これまでの憲法解釈について、内閣法制局が優秀であるがゆえに、うまい解釈が積み重ねられて、つじつま合わせが行われてきた。要するに、憲法の明文で読み取れないようなことも、解釈で広がってきたという、いい面、悪い面あると思うんですが、今度、逆にこの解釈をする立場になった大臣として、そのつじつま合わせとどう向き合っていくのか。それともう一つは、つじつま合わせの解消というのは、一番のやり方というのは憲法改正だと思うんですけれども、その憲法改正についてどう思われるのかということをお聞かせください。
(答)従来の内閣法制局の憲法解釈というのは、非常に皮肉を込めて言うと、大変優秀なので、大変苦しい中を、整合性のとれる解釈をつくり出してこられた。だからこそ、それによって、本来議論せざるを得なかったかもしれない憲法争点そのもののあり方についての議論を、よく言えば回避できたし、悪く言えば避けることになってきたということだと思っています。  ただ、就任以来繰り返し申し上げていますとおり、政権が変わったからといって、恣意的に政府としての憲法解釈を変えるということは、これはあってはいけないというふうに思っていますし、いろいろと大変優秀でいらっしゃるがゆえに、大変しっかりとしたといいますか、現行憲法の中の解釈判断としては、工夫をした、知恵を出した解釈をされているとは思いますけれども、それが間違った解釈であるという部分を今のところ私は見出していませんので、過去のことは過去のこととして、今後はきちっと政治が責任を持って、政治の主導的な判断で解釈を恣意的に変えることはありませんが、誤りがあったら正すし、それから新たな問題については対応していくということだと思っています。
 2点目については、私自身がかつて党の憲法調査会長などの立場で、憲法典の改正については、内閣はできるだけ受け身であるべきだ、これは国会があくまでも主導するべきだといってきました。というのは、憲法は公権力を縛るルールでありますが、もちろんそういう意味では国会も縛られる対象ではあるんですが、特に公権力の行使ということで、一種の一番中心になっているのは行政権でありますので、その行政権を行使する、縛られる一番の中心である内閣が、こうあるべきだとか、こうすべきだとかというのは、お手盛りと言われても仕方がないと思っていますので、ここはあくまでも縛る側である国民代表の直接の機関である国会が中心になって議論をすべきであると思っています。私自身、個人としてはいろんな意見がございますが、閣僚である間は、その点については発言を控えたほうがいいというふうに、従来の私の主張からそういうことが論理的に必然になっていくと思っています。

(以上)