枝野内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成22年2月16日

(平成22年2月16日(火) 8:50~9:05  於:衆議院議員食堂)

1.発言要旨

 おはようございます。お待たせしました。
 まず最初に、私のほうから、現場の皆さんには誤解はないと思うんですけれども、いろいろなところで事業仕分けと歳出削減の関係について混乱がありますので、ぜひ皆さん各社の上のほうの人を含めて、混乱のないように整理をしていただきたいと思っております。
 歳出削減に向けては、額の小さなほうから3種類、3段階あるのかなというふうに整理をしております。
 一番狭い範囲が事業仕分けそのもので、この事業、予算は削減するとか、そういった形で出てくる。これは前回、11月もそうでしたが、そこ自体で大きな金額をということは、昨年の秋以来想定をしておりません。事業仕分けで取り上げるのは、特に問題が明確でわかりやすいということが想定できるものを取り上げて、そしてその実態について明らかにする。
 その事業仕分けの結果を踏まえて、同種同類、あるいは類似の事業・予算というものがございますから、それについて事業仕分けの結果を踏まえて無駄を削減する。これが第2段階というか、第2層目として存在をする。
 ただ、いわゆる無駄の削減ということだけでは、マニフェストでもそういう表現だったというふうに理解をしていますが、我々が必要とする財源をすべて生み出すことはできません。無駄とは言えないけれども、税金の使い方、優先順位にめり張りをつけて、我々が優先順位が高いということでマニフェストでお約束をしているその事業のために、優先順位の低い事業や予算については我慢をしていただく。これが3層目としてある。この3層構造にございますので、例えば子ども手当の問題について、その財源については、この3層目まで含めてどうやって財源を明示するかということが問われているのでありまして、事業仕分けというのはその一番スタートラインのところであって、面積としては小さい部分。多分外側に行くほど面積が大きくなる。
 こういう3つに重なった円の構造だというふうに思いますので、ぜひその辺の誤解のないように、私自身も繰り返し発信をしていきたいというふうに思っております。
 それから、この週末に所管事項の説明を関係部局から受けました。行政刷新担当ではございますが、行政刷新会議事務局だけではなくて、幅広い所掌分野を抱えておりまして、それで実は私自身も大臣になるまで十分に認識をしていなかったんですけれども、各部局が地道にいろいろなことを動かしている部分があるということをあらためて認識いたしました。一般的な指示として、特に広い意味での行政改革関連、行政刷新関連の仕事をしている部局が多うございますので、せっかくそこでやっている仕事を国民の皆さんに理解をしていただく、知っていただく。知っていただくことで、応援をしていただく。そういった努力、工夫をしなければならんと、したがって、そういった視点で私のほうにも適宜報告を上げるようにと、こういう指示をいたしました。
 具体的には、1つには「職員の声」のところで、1月末までの集中受付期間で、七、八百ぐらいになるかと思いますが、意見が来ております。これを国民の支持を受ければ実現できるものという視点で整理をして、できるだけ早く私のほうに報告をしてほしいという指示を出しています。どこかのタイミングでこの「職員の声」の集中受付期間に寄せられた意見に基づいた対応については、改めて別途皆さんに御報告ができるのではないかというふうに思っております。
 それから、規制改革も担当でございます。規制改革については、行政刷新会議の下に分科会を置くということになっております。今そのメンバーの構成について、大塚副大臣を中心に調整をしていただいておりますが、同時にこの規制改革の作業を進めるに当たっても、これも国民の皆さんの幅広い理解と支持が必要でありますので、節目節目で私のほうから、こういうテーマを取り上げ、こういうふうに議論しているということを発信するので、その整理をするようにという指示をしております。
 それから、もう一つ、「国民の声」もあります。「国民の声」のほうでは、折々テーマを決めて集中的に声を集めるということでやっておりますが、この後、事業仕分けのほうで独立行政法人や公益法人を特にテーマに掲げて行いますので、この独立行政法人や公益法人に関する「国民の声」の募集を、もちろん今まで来ている中にもたくさんあるんですけれども、改めて、特に独法、公益法人という観点から、国民の声を広く集めるということを進めたいと思いますので、その具体的な指示をいたしたところでございます。
 それから、もう一つ、公益法人についての公益認定の話がございます。社団法人と財団法人の公益認定について、その手続の迅速化が、現場から、当事者の皆さんから求められております。相談会を準備しているという報告を受けておりますので、ぜひ関係する公益性のある機関、弁護士会とか税理士、公認会計士の皆さんなどにお願いをし、よく連携をとって、速やかな移行手続が、移行できる資格を持っているところについてはできるようにという指示を出したところでございます。
 それから、私のところの政務三役会議なんですけれども、若干うちはイレギュラーというか、副大臣、政務官が縦横ございますので、私と大島副大臣、泉政務官による政務三役会議と、私と大塚副大臣、田村政務官による三役会議と、2つに分けて行うことにいたしまして、定例化をいたします。枝野、大島、泉による政務三役会議は、水曜日の12時15分から45分。それから、枝野、大塚、田村による三役会議は、金曜日の12時15分から45分というのを定例化いたします。その上で、いずれも政務官によるぶら下がり取材ありという形でいたしたいというふうに思っておりますので、よろしくお願いいたします。
 私のほうからは以上です。

2.質疑応答

(問)先ほどの独法と公益法人の国民の声ですけれども、これのねらいと目的と、なぜこの対象を取り上げたのかと、あとスケジュール感について、今決まっている範囲でお願いします。
(答)とにかく昨年の事業仕分けも含めて、国民の皆さんから税金の使い方、使われ方についての疑問の1つの大きなポイントが独法や政府系の公益法人であると。ですから、事業仕分け第2段でもそこにターゲットを絞る。ということは、国民の皆さんから幅広くそこについての問題意識、あるいはそれぞれの独法とおつき合いをしている皆さん、あるいはそこで働いている皆さんもいるわけですから、そうした皆さんから率直な現場の声を聞かせていただくことで、それを参考に対象事業を選んでいくと、あるいは再仕分けをするに当たっての参考資料にさせていただくということを考えています。
 ということは、昨日申しましたとおり、事業の絞り込みは4月上旬を目標にしていますので、事務作業を急いでもらいまして、もう2月の半ばですから、1カ月内外のうちにはある程度国民の皆さんから声を寄せていただかないといけないというタイムスケジュールになるのかなと思っています。
(問)声を寄せてもらうというのは、いつごろから始める予定なんですか。
(答)これはちょっと事務的に準備がどれくらいで間に合うかというところ、指示を土曜日に下ろしたところなので、早急に報告が来ると、まず少なくともいつからできるかという報告はそう遠からず来ると思います。
(問)法令解釈の件でお伺いしたいんですが、これまでの法制局の解釈というのは、歴代の法制局長官が積み上げてきた答弁をずっと尊重してきたわけですけれども、法令解釈担当大臣として、既存のこういう解釈にとらわれない解釈の変更とかも今後あり得るとお考えでしょうか。
(答)政府としての憲法解釈が、というか一般論としての憲法解釈が、恣意的に変わるということがあってはまずい。特に憲法によって縛られている当事者である公権力の側の恣意的な解釈で、憲法が変更されるということがあっては困るというふうに思っています。ただ、前内閣、前政権のもとでの解釈が正しいものであるのかどうかということについては、政権が変わったところでありますので、間違った解釈を見直すということはあり得ると思いますので、一般論としてですよ、それは否定をしません。ただ、政権が変わったことによる解釈変更ではなくて、誤ったものがもしあるとすれば、誤ったものを正しくするということはあり得るというふうに思っています。
(問)具体的に、そういうこれまでの解釈を見直すような作業というのは、されるお考えはありますか。
(答)現時点では、そういったものに該当するものがあるとは考えていません。
(問)先ほどおっしゃった財源確保のための三層の話ですけれども、最後の優先順位づけをするというのは、これから財務、国家戦略との相談になると思うんですが、いつごろからどういう枠組みで御検討を始めていこうと思っていらっしゃいますか。
(答)これは財務大臣と仙谷大臣と御相談をしなければいけないと思っていますし、主に中心は両大臣のほうで、我々のほうからは、むしろそこに、それこそ無駄をチェックするプロセスでいろいろ把握した材料を提示していくということになるのかなというふうに思ってますので、一義的には仙谷大臣と菅大臣のところで、私も入らせていただくつもりですが、タイムスケジュールを考えていただくというふうに思っています。
(問)同じ三層目の件なんですけれども、この平成22年度予算について、その三層目の視点による削減というのは、大臣、もともと十分だったかということと、あと次の23年度予算において、国債発行額との関連でどの程度の削減というのが必要だというふうにお考えですか。
(答)1点目は、十分か十分でないかというのはまさに相対的な問題で、優先度の高いものをどれぐらいスピード感を持って推し進めるのかと、優先度の低いものをどれぐらい思い切って我慢していただくのかという相対的なものなので、どれが正解という話ではない、まさに政府判断の話だと思っていますので、ちょっと今の質問にはストレートにはお答えしにくいなと思っています。
 後者の話は、国債発行額は直接リンクしないと思っていまして、国債発行額は税収の落ち込み、その他、マニフェストの実現のための財源確保の話とは別次元のところで決まってくるということになりますから、まず我々がしっかりと責任を果たさなければならないのは、マニフェスト実現のための税源は予算の組みかえで行う。しかし、税収の落ち込みや景気対策のために必要な財源までは予算の組みかえで出すことは、これはそもそもぎりぎりのところでマニフェストをつくっていますから、それは困難です。それは税収や経済の状況によって国債発行額が変わってくるし、それに対する対応の考え方で変わってくる。これはマニフェストの実現とは別次元の話です。
(問)規制改革の話で、メンバーを今選考しているということだったんですけれども、いつぐらいにとか、めどはありますか。
(答)できるだけ早く決めませんと作業が進みませんので、できるだけ早くというふうには思っています。できるだけ実戦的なチームを組んでもらおうというふうに思っています。議論の段階はある意味では、抽象的な議論の段階はほとんどの項目で私は終わっていると思いますので、より具体的、実務的に、どういう改革をすればどういう弊害がありそうだとか、それを防ぐにはどうしたらいいのかという、相当実戦的なフットワークの軽いチームをつくりたいというふうに思っています。

(以上)