川端内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成22年7月27日

(平成22年7月27日(火) 11:11~11:37  於:文部科学省 記者会見室)

1.発言要旨

 今日の閣議で、幹部人事が了承されました。文部科学省の幹部人事について、資料をお配りしていると思います。主要な部分だけ、私の方からご報告させていただきます。今回は、政権交代後初めての夏の定期人事でございます。人事のプロセスについては、正に能力主義、実績主義を第一として、各大臣の責任において検討するようにという総理の指示がございました。これに基づいて、文部科学省においても政務三役会議の場において、副大臣、政務官の意見も聞きながら、慎重に検討を重ね、最終的には私の判断で決定をさせていただきました。具体的な人事については、適材適所の観点から、文化庁長官については近藤誠一在デンマーク大使を起用いたしました。関連して、府省間交流の推進の観点から、新たに外務省広報文化交流部長に、文部科学省職員を出向させることにいたしました。また、省庁統合以来、固定化しておりました局長ポストで、このポストは旧文部省、このポストは旧科学技術庁というポストの入れ替えを初めて行いました。具体的には、科学技術・学術政策局長と研究振興局長のポストについて、旧文部系と旧科技系の入れ替えを行いました。その他、個々の知識と経験が生かせるように、適材適所でさせていただいたと思っております。私の方からの報告は、この一件だけでございます。

2.質疑応答

(問)平成23年度概算要求基準について、閣議と閣僚懇でどのような議論がなされたのかというところと、1割削減という厳しい状況の中で、文科省の施策というものをどのように実現するのか、改めて聞かせてください。
(答)今日の閣議では、その議題はございません。閣僚懇で、概算要求基準の骨子案というものがその場限りで配布されまして、自由な意見交換を行いました。流れで言いますと、その意見を踏まえて、改めて今日、関係閣僚委員会を開いて、その場で最終案をまとめるということで、今日出た意見を付して、閣僚懇としてはそういう流れを了解いたしました。そして、その体制が整った状況の中で臨時閣議を開いて閣議決定するということが、今日は確認されました。併せて、それまでのしかるべき過程の中で、国民新党さんとも、民主党政調レベル、いわゆる党レベルでの協議もするということが確認されました。中身においては、まだそういう意味で確定をしておりませんので、今日、ああいう話があった、こういう話があったというのを申し上げる段階ではないし、閣僚懇の自由討議の場でありますので、申し上げることはありません。いずれにしても前から申し上げているように、非常に厳しい財政状況の中で、71兆円という枠はすでに閣議で決めてあります。マニフェスト項目、新成長戦略項目、そして人材教育等々ということですので、そういう方向の下で最終的に決まった段階で、また皆さんにお答えしたいと思っています。
(問)閣僚懇の中で示された原案について、いろいろ話はあったかと思うんですが、各省一律1割の政策経費削減の話も出たのではないかと思われるんですが、各省一律1割削減ということが原案に盛り込まれたということに関して、大臣はどのようにお考えでしょうか。
(答)1割削減というふうに明記してある訳ではございません。各省庁ごと、個別に要求枠を内示する、概算要求額と特別要求枠というものが示されるというふうに、今考えておられるということまでは承知しております。しかし、最終決定、そして数字もまだですので、そのことを踏まえてのコメントは、正式に決まった時点で申し上げたいと思います。報道でも言われていますが、全体的にはそういう状況でやりたいということを考えておられるということは、一つの事実であり、それに基づくというときには、相当な知恵と覚悟をしておかないと、我々が責任を持って文部科学行政をやるときの予算が組めなくなるということで、これは非常に厳しい状況にあるけれども、何とか理解を求めるとともに知恵を出して予算編成はやらなければいけないと思っていますが、個々具体の話については、今の段階ではまだ申し上げられません。
(問)人事の関係なんですけれども、御退任される坂田次官なんですが、御退任後の就職先というのは決まっているんでしょうか。
(答)私は、辞任のことを了承するときにお話をしましたが、その時点においては一切決まっていないということを、ご本人から伺っております。
(問)併せて、玉井文化庁長官、木曽国際統括官も同様でしょうか。
(答)はい。
(問)独法の理事とかに、今後手を挙げられるとか、そのようなことはありませんか。
(答)それぞれの公募の人事は、当然また別途あると思うんですけれども、今公募しているものはありませんから、何もないのではないでしょうか。
(問)近藤大使の今回の就任なんですけれども、先週の会見では、まだお名前については言えないという中、文化庁長官については、資質や能力において非常に適任と思われる方を選んだというふうにおっしゃっていました。具体的に、近藤大使のどのような点が適任であるというふうにお考えなのか、お聞かせください。
(答)御案内だと思いますが、平成18年にユネスコの日本政府代表部の特命全権大使を務めておられました。これは、正に文化外交の一番の責任者でありますから、外交の立場であるけれど、文化の専門として、日本国を代表するお立場でした。同時に、皆さんもご記憶があるかもしれませんが、あの石見銀山遺跡が世界遺産に登録された時、世の中的な認知から見ると、よく通ったなというふうにお感じになった方が多かったのではないかというふうに思いますが、やはり、この部分で非常に活躍をされて、外交の責任者として、ユネスコの大使として頑張られたという部分での、そういう文化的な見識と同時に、外交的手腕というのも非常に発揮されたと私は評価をしております。同時に、外務省の大使、あるいは外務官僚というお立場ではなくて、日本国際文化学会、情報メディア学会で講演を何度もしておられたり、「文化外交の最前線にて」等々の著作という部分で、ソフトパワーとパブリック・ディプロマシーの分野を中心にして、外交官であるという部分のキャリアも生かしながら、文化的な行動がどうあるべきかということを発信し、研究してこられた方であるということも承知しております。同時に、大使を現にやっておられるということ、今までの外務省職員としてのキャリアからいうと、いわゆるガバナンス能力というか、そういう組織運営能力においても十二分な実績があると思っております。かねてから、世界の中で発信しながら文化に造けい深くリーダーシップを発揮できる人をということで、いろいろ適任者を探していたところ、最適任だという評価に至ったという経過でございます。
(問)それはやはり、文部科学省の官僚の方が、文化庁の人事異動の中で文化庁長官になった場合にはそのような能力・魅力は発揮できないんじゃないか。近藤さんの方が、上回るというようなことなんですか。
(答)それぞれの得意分野ももちろんありますし、こちらが良くてあちらが悪いという意味ではありません。ただ、文部科学行政の中で、出向したりもしながら、研さんを積んでこられた人にも優秀な人はたくさんおられますが、今回の近藤さんは、そういう中だけでは得られない力量・経験をお持ちである方ということで選ばせていただいたということであります。
(問)逆に言うと、文科省の中で、文化庁長官というのは本来文化行政に詳しい人でなければならないにもかかわらず、教育行政の中の人事異動の一環でやってきたというそこの問題点というのは、どういうふうにお考えですか。
(答)役所の統治機能という部分においては、熟知しておられることは間違いないんですが、先ほど申しましたように、非常に得意な分野というのがいろいろあるということだというふうに思います。
(問)過去には文化人の方がなったことが何回かありましたが、文化人の起用というのはご検討なさったのでしょうか。文化人でないという点について、あるいは文化人の方であることによる、河合さんのような実績を上げた方もいらっしゃいますけども、その辺りはどのようにお考えでしょうか。
(答)実際に自分が文化にかかわっておられる人という立場もあれば、文化行政にかかわっていたという立場の人もあれば、近藤さんのように国際的なキャリアをお持ちの人もという、一人が全部持っていれば一番いいのかもしれませんが、それぞれ、その時期に応じて、今ここを特に強化したいということに得手の人を起用したということです。
(問)大相撲の名古屋場所の千秋楽ですが、千秋楽を迎えた受け止めと、場所中も報道ベースでいろいろ問題が出てきましたが、独立委員会等に期待すること、双方をお聞かせください。
(答)賛否両論がある中で開催していただきました。そういう中で、土俵に上がった力士の皆さん、それから、いろいろな役割を持っておられる皆さんも、おそらく初めての経験で、非常に厳しい状況の中での場所であったというふうに思いますし、困難も多かったと思いますが、それぞれの責めを必死に果たしていただいたというふうに思います。特に、横綱白鵬に関しては、一人横綱であるというだけでも非常に横綱の重責がある中で、しかも賜杯返上という、正にそれを目指してお相撲さんは皆やっているというシンボルを辞退するという中で、大鵬の記録を上回る47連勝の記録を継続し、15戦全勝を3場所連続という前人未踏の記録で優勝したことは、賞賛に値するものだというふうに思います。皆さんが、それぞれ大変な中で場所を無事に終えられたんだというふうに思っておりますし、これは評価をしたいと思います。ただ、そのときにも多分お感じになったと思うんですが、そこまで非常に厳しい環境に相撲はあるということを、それぞれ胸に刻まれたと思います。同時に、場所中も、出先の場所の建物等々を借りたりするのに、反社会的な勢力との関係があるのではないか等々の報道が相次ぎました。個別には、それぞれに調査委員会で詳細に検討しているし、対応していただきたいと思いますが、この際、いろいろ世間から批判を浴びる、あるいは浴びかねない事に関しては、徹底的にうみを出すということだと思います。それのスタートにもしていただきたいと思いますし、そういう意味では引き続き村山代行の下で、ガバナンス独立委員会も含めて再生に向けた御提言をいただくということになっておりますが、2か月たったら次の場所が始まるという非常に短い期間しかありませんので、限られた時間の中で是非ともスピード感を持って、精力的にご対応いただきたいと思っております。それと同時に、当然ながら相撲協会としての、この場所の総括もしっかりやっていただきたいと思っています。
(問)昨日、中教審が「今後の学級編制及び教職員定数の改善について」の提言を大臣に提出しておられます。今後の概算要求に向けて、どういうスケジュールで臨みますでしょうか。それから内容についても、一方でクラスサイズを小さくしてはいけない、学級規模を小さくせよ、少人数学級を進められるように学級担任を持たない教師もある程度確保する必要もあるなど、ある意味相反するような内容も含まれていて、優先順位をこれから、文部科学省としてつけていかなければいけないと思いますけれども、内容について今言えること、どんなことをお考えか、教えていただけますでしょうか。
(答)昨日、取りまとめをいただきました。1980年に40人学級というのがスタートしたということで言いますと、30年ぶりに40人学級を踏み出した御提言をいただいたということであります。正に、概算要求の時期がいよいよ始まりますが、40人学級の時も、こういうのに取り組もうということを初年度から確か5年ぐらいかかっているので、どういうタイムテーブルで決めて、教員の配置をどういう仕組みにするのか、それから、少子化の中で生徒数が減ってきますので、特別支援学校のことも含めてトータルとしての教員の配置について、いろいろな仕組みの中で、どういうふうに対応していくかに関しては相当詰めていかないと絵が描けないんだろうと思います。ただ概算要求は8月末がリミットですので、それまでには大くくりの展望と、来年度に向けた対応を可能な限り詰めていきたいと思っています。一方で、非常に厳しい財政の縛りがかかるという部分もありますから。
(問)予算ですけれども、臨時閣議後、また改めてこういう形で会見をやっていただけるということでよろしいでしょうか。
(答)臨時閣議後の会見は、時間的に難しいかもしれません。明日、インターハイが沖縄でありますので、開会式のために今夕には出ます。臨時閣議後の会見は、普通はしていないです。
(問)人事の話に戻りますけれど、坂田次官が辞められて、清水さんが次官になられるということは、事務次官制度は今後も続けていくという御方針でしょうか。
(答)内閣として、お認めいただいたということは、そういうことだと思っています。事務次官をどうするかという議論はあると思うんですけれど、今回に関して言えば、菅内閣の下、それぞれの政務と現場の官僚の皆さんとの役割分担はあるという位置づけで整理をしていますから、そのトップとしての事務次官はあるという前提で人事はさせていただきました。各省庁皆そうだと思いますので、特段、事務次官制度を廃止するという方向性が確認されたわけではないという意味では、今のままだと思っています。
(問)官僚トップの交代でもあり、坂田さんと清水さんで、交代会見のような場を開いて、我々との質疑の場を設けていただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。
(答)お申し出があったことは、今聞かせていただきました。
(問)他省庁では、幹部人事で、公務員としての身分はそのままで民間の方に出向させるというふうな人事をしているんですが、それを受けるか受けないかで、ちょっといろいろあったようですが、文科省で発表された人事以外で、在職のまま民間の方にという人事形態はあったのでしょうか。
(答)交流人事のような形は、以前から省庁によってはあると思うんですが、文科省では今回そういうことはありません。府省によっては民間と関係する部分が非常に多い世界と、文科省のように民間というとどこになるのかなという世界と、両方あります。今回の人事に関しては、そういう対象はございません。
(問)昨日、オペラ連盟の事業費の水増しが発覚し、6千万円の返還ということなんですが、一つには、チェックをする側の文化庁の体制の不備も感じるんですが、その点いかがでしょうか。
(答)制度上でこういうことが見つけられなかったという部分は、役所側にも改めるべき点があるというふうに私は認識していますし、こういうことが見抜けなかったことは残念なことだと思っています。平成21年度からは、経費を費目ごとに区分した帳簿の提出を義務づけたり、これを参照しながら支払いのチェックを厳格に行っているわけですけれども、この問題が起こった当時は、少ない人員で効率的な運営を行うということで、ある意味、芸術団体から提出される収支計算書の書類、公演の実施状況を確認した上で支払っており、特別不審な点がなければ、伝票類を出しなさいというチェックを、必ずしも一つ一つ領収書でチェックしていたことはなかったわけです。それまでの仕組みでは、そういうチェックをしていなかったという体制であり、こういうことになったのは、制度上で言えば、まさかということであったと思います。ただ、かねてから、公演事業を応援するのか、団体を応援するのかというのは、長い間の経緯でいろいろな試みが行われていて、より厳格にしようと思って伝票を一枚ずつ全部チェックするというと、議論としては、その公演事業をまるで文化庁がやっているような仕組みになるんです。ということは、当事者もチェックして報告したものを一枚ずつ全部チェックして、その部分にお金を出すというと膨大な手間暇がかかるという経緯があって、その公演だけに着目するやり方がいいのか、トータルで見るのがいいのか等々の議論は、今までもありました。そういう意味で、今の仕組みの中ではより厳格に帳簿の提出とチェックをするということを心がけて、二度と起こらないように取り組んで参りますが、改めてこういう支援事業の在り方も、もう一度検証したいと思っています。
(問)当面、文化庁は告発しない、当面は見送る方針ということなんですけれども、やはり、騙されたということで、ここは告発されるのが本来ではないかと思いますが、いかがでしょうか。
(答)オペラ連盟に責任の明確化と対応を求めているところですので、その状況を見ながらですね、やらないと決めたわけではないですが、検討項目の一つであろうと思っています。ただ、実際に告発するということになると、立件に十分な証拠がいるとか、そういう関係もありますので、今回の部分の対応を見て、また検討していきたいというふうに思っています。

(以上)