川端内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成22年6月29日

(平成22年6月29日(火) 10:00~10:21  於:文部科学省 記者会見室)

1.発言要旨

 初めに、週末、御理解をいただきまして、2泊5日で南アフリカに出張して参りました。皆さんも夜中に御覧になったと思いますが、日本の政府を代表してサッカーチームを激励し、試合を観戦してきました。素晴らしい結果で、改めてスポーツ、そして、このサッカーが、世界中、また日本にとっても、大変大きな影響を与えるワールドカップ大会であることを改めて認識いたしました。同時に、2022年に日本招致をしたいという名乗りを上げているわけでありますので、現地でブラッター会長にも個別に面談をさせていただき、あるいは会場ではタイのウォラウィ・マクディFIFA理事、あるいは韓国の理事含めてお電話させていただきました。直接的にそこで誘致活動をするわけにはいきませんけれど、日本の実情を含めて、我々も請い願っていることを含めて、いろんな意見交換をさせていただきました。極めて有意義だったというふうに思います。また、今日、いよいよ決勝第一回戦があります。ぜひともいい成績を上げていただきたいと思うと同時に、これは個人的な所見ですけれども、チームプレーというものが、技術と同時にチームワーク、人のつながり、心を一つに合わせる、そして、リーダーの大切さということを、改めて感じ入ったところであります。現地で伺いましたところ、ワールドカップの開会式には50か国の元首、元元首が参加され、世界で80か国が参加する、そしてオリンピックは都市開催でありますけれども、サッカーのワールドカップは国開催であります。そういう意味では、総理はサミットに行かれましたけれども、スポーツを通じての国際的な平和を願う大きな国際舞台であることを改めて実感したところでございます。また、南アフリカ共和国に参りましたので、科学技術政策担当大臣として、ナラデー・パンドール科学技術大臣と会談いたしました。日本とアフリカ全体、そして、その中心としてはどうしてもやはり、間違いなく南アフリカでありますので、南アフリカとの国も含めた日南ア、日アフリカ諸国との科学技術交流、協力について意見交換をいたしましたのと同時に、この秋に、第2回の日本・アフリカの科学技術協力の大臣会合を開催することを今検討しております。その準備を含めた意見交換をして参りました。言うまでもなく、豊かな資源を持つ国であります。今、懸命に技術開発、科学技術に力を入れている国と、我々、資源を持たない国の、いろんな意味での科学技術外交の大切さということの一環として行って参りました。アフリカ出張に関しては以上の報告でございます。

2.質疑応答

(問)昨日、日本相撲協会が特別調査委員会の勧告に基づいて、名古屋場所の開催と幕内を含む力士らの謹慎処分を決めました。この方針について、受止めをお願いいたします。
(答)かねがね、この問題は、最近でいえば野球賭博、その前が維持員席問題、暴力団の問題を含めて、いわゆる反社会的勢力とのかかわりが指摘されるという極めて深刻な問題であるということで、総力を挙げて、自浄能力を発揮して事態に当たるようにと要請して参りました。私の個人的な感想ですが、取り組むまでの時間が少しかかりましたけれども、自らの自律的な判断として、力士にかかわらない完全第三者による調査委員会を設置し、そこの客観的な判断にゆだねる形で答申を受けられた。この委員会は、本当に短期間でありましたけれども、極めて精力的に予定を前倒しして調査をされ、ある種の勧告をされました。これを、相撲協会が受け入れて対応するということでいえば、タイミング的にも中身的にも、ぎりぎりであったと思いますし、勧告自体は、客観的にいえば非常に厳しい中身だというふうに思います。いわゆる反社会勢力とかかわったことが濃厚である、あるいは誠意を持って対応しなかった者については、協会としての懲戒処分を含めた対処を取るようにと。それから、少なくとも野球賭博にかかわったと思われる力士については、十両以上については名古屋場所への出場を事実上停止する。それから、そういう力士を抱えていた親方に対しても名古屋場所へのかかわりを制限するということを含めて、これは理事長も含めて、本人たちの責任と、それから管理監督責任を厳しく問うということと同時に、これからも、維持員席の調査と同時に、本当に相撲協会が再生するための新たな組織を作って、抜本的にメスを入れてやり直しなさいということでございました。それを、すべて受け入れるということで、具体的に詳細は、随時、理事会等々を開いていかれるというふうに思いますし、新体制もすぐにできると思っております。協会においては、暴力団の関与が疑われたし、事実そういうことにつながりがあった人がいたことは、極めて遺憾なことであります。振り返れば様々な不祥事が続いてきていて、そして、そのときに、国民から、一度名古屋場所はやめたらいいのではないかという声がたくさんあることは、私も承知しております。しかし、今までいろんな事件があったのに、やはり協会の根本的な改革が不十分であったというツケが、一気にここへ出てきたんだというふうに思います。そういう意味では、今回は、厳しい処置、処分で、極めて厳しいと思いますが、これを真摯に受け止めて、いわゆるかかわっていた人、あるいは親方は、この場所を御遠慮いただくと同時に、役員体制もすべて、総取っ替えをして、新たな体制で、残った人で原点に戻って名古屋場所に臨んでいただきたい。これ以降の取組が、国民の目から見てどう判断されるかが、長年続いた大相撲の、正に命運をかけたことになるんだということを肝に銘じて、本当に、真剣に改革に取り組んでいただきたいと思っているところでございます。
(問)大臣、その改革の内容なんですけれども、座長が記者会見で、この特別調査委員会を改革委員会に発展させるというような旨の発言もあったんですが、大臣の考える改革の中身というのは、どういったことを改革する、例えば年寄株の話であったりとか、その売買の不透明な問題であったりとか、部屋制度そのものとか、その根本のところまでやらないと改革とは捉えませんか。
(答)どういう組織でやるかは、理事会含めてが問題にされるし、今の特別調査委員会が発展的にされるのか、また別にされるのかは、お任せをしたいというふうに思っております。そして、それは新たな理事長代行の下で、御議論いただくことになると思いますけれども、中身としては、やはり、なぜこういういろんな問題が起こったのかといった時にいろんな議論が実は今までにあります。そういう意味で、昔は大改革ということで、当時のいわゆるお茶屋問題というのがありましたけれども、それから部屋別総当たりの制度、そういうこともありました。実際にこういう、いわゆる公益法人として営利を目的としないで、長い歴史と伝統のある相撲というものを、スポーツと同時に、いわゆる精神的なものを含めた、道を究めるものとして、国民に国技とまで言われることをやってきた、その意義をしっかり果たしていくというのはどうあるべきなのかという原点に戻っていただきたい。その時に、いわゆるこの仕組み、ガバナンスの問題として、今回、外部にここまでゆだねなければならなかったということで言えば、前回、一部外部委員を理事に入れるということがありましたけれども、そういうガバナンスの仕組みがどうあるべきか、それからその時に、やはり民間企業と違って、あるいは普通の公益法人と違ってですね、そこに関係した人の中の一部の人が、理事になれるということ、そして、部屋の数が適正なのかということを含めて、やっぱり本当に抜本的に議論をしてほしいと私は思っています。ただ、どういうことを議論するかは、正にそこで御議論いただくんだと思います。それは、また意見交換はしていきたいと思っています。
(問)相撲協会側から、報告なりの予定というのはあるんでしょうか。
(答)今日は、協会の役員、理事と、調査委員会の両方が本庁に来られます。
(問)大臣のところへ。
(答)今日は、鈴木副大臣が対応します。
(問)今、理事長の代行の話が上がっていましたけれども、昨日までの話を聞いていますと、理事長代行ではなくて、現理事長が名古屋場所等では挨拶をして、指揮を執るのかなという印象を受けたんですけれども、大臣のお考えとしては、理事長代行というものをしっかり立てて、その人が名古屋場所なり何なりは仕切っていくというお考えでしょうか。
(答)勧告はですね、いわゆるお相撲さんでこういう処分の対象になった人がいる親方は謹慎と。これは、要するに名古屋場所の、一番極端に言えば愛知県体育館には入らない、要するにかかわらないということであります。これは、理事長も理事長という立場ではなくて、親方としてその対象であります。当然ながら、そのことを含めて、一連のことを含めて理事長代行を置くというのが勧告でありますので、これは、できるだけ早い時期に、いわゆる理事長代行を置くということで、この人にするということを含めて決めていただいて、そこからは、その理事長代行の下でやっていただくというふうに、私自身は認識しております。
(問)一応調査委員会のほうから、この人をというような推薦もある程度して、そこも提案するのではないかと一部見られているんですけれども、そこはなかなか進んでいない。
(答)仕組みとしては理事会が決めることです。調査委員会は勧告ですので、こういう処分をすべきであると。例えば、懲罰は理事会の決定事項ですので、されたらいかがですかという勧告です。その時に、理事長代行を置かれたらどうですかということで、その個別具体の名前まで言われているわけではないというふうに思っています。彼らが理事会として自律的に決めることであり、もし理事会として御相談が調査委員会等に、何か意見がありますかということであれば言われるかもしれないけれども、まだ今の段階で、こういう人でやるべきだということを言っておられるわけではないというのが事実関係だと思います。
(問)その場合は、代行というのは、基本的にはやはり外部の人間ということなんですか。
(答)どう判断するかは相撲協会でありますが、普通からいえば、そうではないかと私は思います。これは、正に相撲協会の判断です。ですから、そういう対応を含めてすべてが、今度の調査委員会を作ることを含め、勧告をすべて受け入れたことを含め、名古屋場所をどう開催するか、どの体制でするかを含めて、正に国民の中では、一回やめたらどうかという御意見もある中で、やはり国技を守るということの中で厳しい条件を飲んで再スタートをするということですから、そこにどう対応して、どう臨むのかが正に問われているということです。ですから、人から言われてではなくて、自律的にこの事態の深刻さを受け止めて、自らが改革のスタートを切るという姿勢を示していただきたいと私は思っています。そういう関係の中で、どういう人を理事長代行にするのか、あるいは、いわゆる再生するための改革の検討委員会をどういうメンバーでするのか、あるいはそのテーマは何にするのかということが、ああなるほど、過去のことを反省して本当に本気で改革に取り組んだなと、いうことが見えなければ、これは本当に、土俵際も徳俵に片足という状況だと私は思います。それも、かなりここから体勢が崩れているのではないかと。しかし、やはり原点に戻って、私はお相撲さんも親方も含めて、お相撲の土俵に上がるということがいかに責任が重いことであるのか、そして、その使命が大切なことであるのか、そして、その土俵に上がれるということの有り難さがどれだけかというのは、私はこの7月場所を開くことによって、関係者の皆が、場所を開くということは当たり前ではなく、そして、お相撲をとっていることが別に普通のことではなくて、大変な社会的責任を持ってやっていて、そこに上がれることが、どれだけ、本人にとっても責任があると同時にやりがいがあることかということを本当にかみしめて、すべての関係者が望む形で場所をやってほしい。極端に言えば、たとえお客さんがいなくても、そのことから土俵を守るというスタートをしてほしいと心から思っています。
(問)今の時点で、その、まだ調査が残っている部分もありますし、維持員席の問題についてもまだ具体的には進んでいない部分もある。その中で開催を決めたということについて、まだ早いんじゃないかという御意見があるんですけれど、それについては。
(答)調査委員会の今日の報告を正式に聞かないと、何ともいえない部分もあるんですけれども、彼らなりに、メンバーから見れば、東京高検の検事長から、警視総監、主には民暴担当のプロの弁護士まで含めて、自主申告をした人を中心に調査をし、その時に、いわゆる、反社会勢力とかかわって、相当認識をしてやったという部分はこれぐらいだったということまで調査をされたと。そして、これからまだ場所までの幾日かの間には、全員に今までの調査を踏まえて精力的に聞き取りも含めて調査をするということで、もちろん、その中で出てくれば、同じような処分になるというふうに思います。そういう中で本当によく努力していただいていると思うんです、調査委員会の皆さんは。ここで最終的にはゆだねたいというふうに思っていますし、そんなことが後でないように、本当に祈るような気持ちであります。
(問)障がい者制度改革について伺います。本日、閣議前に、「障がい者制度改革推進会議」でまとめた第1次意見が取り上げられたと思うんですけれども、この障がい児教育については、推進会議の中では、特別支援学校や特別支援教育自体に否定的な意見もあり、学校現場から制度改革への不安の声も上がっています。校長会からの意見書の提出もありましたが、どう捉えていらっしゃるか、それから文科省として、今後どう進めていくかということについて教えてください。
(答)「障がい者制度改革推進本部」が今日開かれまして、第一次意見書というのを出していただいて、それを基本的には閣議で了解したということであります。御指摘のように、いわゆるインクルーシブ教育ということで、今回のこの推進本部の委員会は、今までの政府の委員会にしては、初めて、多くの障がい者の皆さんが参加したという仕組みとしては、画期的な仕組みだったと思います。ただ、そういう中で、いろんな障がいを持つ子が皆と一緒に教育を受ける環境を作ってほしいという理念は大変大事なことであり、そのとおりだと思うんですが、その理念を実現するには、例えば保護者や本人が希望すれば、すべての学校が、その地域の学校が受け入れるということにしようと思うと、やっぱり専門の、そういうことができる先生、あるいは数、それから施設を含めて相当なハードルがあるというのは事実だと思うんです。そういう部分で逆に、行ける所が遠いから行けないからという思いも分かるし、理念を中心に検討していこうということ自体は、我々も一生懸命検討したいということであります。今日、私の方からこの本部の中で、そういう理念は非常に素晴らしいし、我々も全力でやるけれども、実際に人員の問題や施設の問題を含めて体制をしっかりきちんと整えないと、すべてインクルーシブにするということが、逆に障がいのある子どもたちにとって、むしろ危険であったり、不十分なことになるという、学校現場からの懸念の声もたくさん出ていますので、よくその現実を踏まえながら、財政的な問題も含めてしっかりと実のあるものにしていきたい、議論もしたいということを申し上げました。担当の荒井大臣からは、これから進めるに当たっては、教育現場の皆さんの意見もよく聞きながら進めて参りたい、という取りまとめをいただきましたので、良くしようという思いは一緒ですが、制度だけやってしまうと、中身が伴わないとかえって混乱するという懸念だけは申し上げておきました。

(以上)