川端内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成22年6月18日

(平成22年6月18日(金) 10:55~11:23  於:文部科学省 記者会見室)

1.発言要旨

 おはようございます。
 先ほど閣議が開かれました。一つは、平成21年度の文部科学白書を閣議で配付いたしました。今年は、我が国の教育水準と教育費をテーマにして、教育費の切り口から現下の教育状況を検証する、分析を行うということでありまして、また、無償化あるいは就学支援金という高校に対する制度がスタートしましたので、それに関してQアンドAの形でもまとめております。また、現物を見ていただきたいと思います。それから、今日の閣議で総理及び財務大臣の方から、公立学校の施設整備費に係る予備費の使用について御発言がございまして、公立学校の耐震化等に伴う経済危機地域活性化予備費の使用について閣議決定がされました。818億円の予備費の決定でありました。総理及び財務大臣の方から、夏休みも間近に迫っているのでできるだけ迅速に対応するようにという御指示があったところでありますが、予備費から新たに818億円拠出されたということで、当初予算の1,032億円と合わせて、地方公共団体が本年度に計画をしている約4,600棟の学校耐震化及び老朽化対策事業がすべて実施できることになりました。夏休みを利用して工事ができるようにということも踏まえて、速やかに対応して参りたいと思います。今日、早速、関係市町村にお知らせする予定にしております。
 もう一点は、本日の閣議で新成長戦略が閣議決定されました。冒頭の第1章の中で、基本的には、「強い経済」、「強い財政」、「強い社会保障」という、総理の強い思いであります3本柱でありますが、それを支える意味での強い人材というものが不可欠であるということで、未来への投資としての人材力の強化ということを、我々としては成長戦略の大きなものとして位置付けていただきました。文章的には現物を見ていただければと思いますが、「強い人材の実現が、成長の原動力として未来への投資であることを踏まえ、教育力や研究開発力に関し世界最高水準を目指し、効果的な施策に対する公的投資を拡充する」等の表現が盛り込まれております。今日決定されましたので、これを受けて、しっかりと対応した政策の作成と実行に取り組んで参りたいと思っております。私の方からは以上です。

2.質疑応答

(問)昨日公表された民主党のマニフェストでは、大学生や専門学校生を対象に、希望者全員が受けられる奨学金制度の創設が盛り込まれています。高等教育に着目した支援ですけれども、他党は幼児教育の無償化を掲げています。大臣のお考えと、今後どういうスケジュール感で進めていくのか、見通しがありましたらお聞かせください。
(答)マニフェストの工程表というのはまだ詳細が明らかにされておりません。これは我々の概算要求も含めて、これから整理されていく話だというふうに思います。まだ確定的な部分ではありませんが、これは、もともと衆議院選挙のときの我々の大きな基本的な理念として、高等教育の充実の中で、高校だけではなくて、学ぶ意欲のある人が学べるような教育環境作りということで、鳩山内閣、菅内閣ともに、私、文部科学大臣に対する指示書として指示をいただいている案件でありますので、マニフェストも含めて、着実に実施をしていく施策であろうと思っています。
(問)大相撲力士らの野球賭博問題で、既に名前が挙がった大嶽親方に続いて、新たに時津風親方も関与したとの報道があります。複数の親方がかかわっていたとすれば日本相撲協会の体質も問われるかと思いますが、大臣のお考えをお願いします。
(答)既に内部の調査で、自己申告で、かなりの人数の人が、いろんな賭博にかかわっていたというところでありましたが、間違いなく、相撲協会が、反社会的勢力である暴力団と何らかの関係があることは、断じて許されることではない。これは大原則でありますが、今回のいろんな事象でいえば、暴力団が介入する余地があったということは、極めて深刻な問題だと私たちも受け止めております。そういう中で、いろんな調査結果等々、あるいは報道があるんですけれども、先般来、こういったことの専門家を中心とした外部の第三者機関による徹底的な事実の調査をしなさいということを要請して参りました。特に、過去の賭博を自己申告した65名の力士等の個々の事案の取扱いの検討について着手しなさいという指示をしました。多分、今日にもメンバーが確定すると思うのですが、日弁連にもお願いをいたしまして、いわゆる民事介入暴力、民暴ですね、そういう部分を専門的に手がけておられる先生方も含めて御協力をいただいて、第三者機関で、この65名の実情、実態を含めて徹底的な調査に着手して、検討結果を6月末を目途に明らかにするという方針を決めていただきましたので、それに沿って動き出したというふうに思います。少なくとも今の日程でいえば、7月11日に7月場所が始まるわけです。そのときに、土俵に上がる力士が胸を張って堂々と相撲の勝負に臨めるように、そして、ファンも国民も安心してそれを声援し、見られる環境を作るということが一番大事なことだということで、指導しながら協力もして、先ほど冒頭申し上げましたけれども、暴力団が介入する余地があったことを厳に戒めて、そういうことがない形でスタートしていただきたいと思っております。
(問)文科省としては、こういう対策がきちんと取られなければ、やはり名古屋場所について考えざるを得ないというようなことなんでしょうか。その辺の意気込みといいますか、スタンスをお願いいたします。
(答)何もやっていない力士にとっては迷惑な話なんです、正直言って。そして、ファンや国民から見て、一生懸命応援するという立場から見たときに、土俵に上がっている力士が、ひょっとしたらこの力士は怪しいのかななんていうことがあってはならない、許されないことであります。優勝して、皆さんは直接スポーツ関係の取材をされるのかどうかは分かりませんけれども、優勝インタビューで、あなたは野球賭博のメンバーでしたかなんていう話はあってはいけないことです。申し上げましたように、7月場所が力士にとってもファンにとっても、安心して土俵の勝負をお互いに集中して見られるようにという環境を作ることが、どうしても必要なことだと思っております。
(問)そういう対応策というのは、外部の調査委員会を設置して、実際に自浄できるとお考えですか。
(答)まずは、この実情を、何がどの程度あったのかということを明らかにしないといけないし、それを精力的にやる中で、その後、どういう対処をするのかということがあるんだと思います。これは当然ながら、捜査当局も重大な関心を持っている案件でも一部あるわけですから、その部分では、今までもそうでしたけれども、引き続き、警察関係者を含めて情報交換と連携は密にして対応して参りたいと思いますし、今言われるような状況に対応できるようにしなければならないというふうに思っています。
(問)大臣、今、7月11日の場所までにとおっしゃいましたが。
(答)いや、場所が始まると言いました。
申し上げたように、第三者機関の調査は6月末というふうに聞いております。
(問)現実的には番付発表は28日の月曜日ですよね。そうすると、その前の日に力士の皆さんたちが名古屋に乗り込むということですので、それこそ1週間で、25日金曜日までにはかたを付けないと、時間はないということですね。
(答)先ほどから申し上げているように、7月場所がきちんとした形で行われるように、いろんなそういうことも含めてですね、最大の努力を協会はしなければいけないと思っています。
(問)そうすると25日の金曜日、来週末までに何らかの決着を付けるために、土日もやってもらうという、そういうことですか。
(答)すべては、7月11日にきちんとした体制ができるということのために、それは夜を徹してでも、いろんなことはやらないといけないときがあればそれはそうすべきであって、何も土日があるからということが前提になっているわけではないと思います。
(問)マニフェストの関係で、菅総理が自ら消費税当面10パーセントということに言及しました。この時点で言及することは早すぎるとか、選挙を戦えないという意見も党内から出ていますけれども、言及されたことについてはどういうふうに受け止めていらっしゃいますか。
(答)マニフェストは党のものですから、党の代表として責任を持っておっしゃったことですし、正に国民に対して、党としてのお約束のものがマニフェストですから。そして、議論としては、そういう消費税の議論と一定の方向付けが、いつの時期か必要であるということを否定する人は党内に誰もいないと思います。その時期の問題ということが、今までも多分あったんだと思います。それを代表として政治判断をされたというふうに受け止めています。
(問)この時期が、選挙に悪影響とかという声は党内に…。
(答)そういう議論はすべきであり、一定の時期に答えを出すべきであるということは、多分、基本的なコンセンサスとしては皆あると思うんです。それをいつ、どのように、判断するのかということにおいては、選挙の前だったら、ああだとか、こうだとかという議論はいっぱいありますよ、当然。あるいは景気の状況を見てどうするかということもあるということの中で、総理としてという前に、民主党代表として、最高責任者が判断をされたというものだというふうに受け止めています。
(問)一方で、10パーセントという数字そのものは、民主党だけではなくて、自民党のマニフェストにも書かれている話で、代表は、他党との超党派の合意形成を目指したいと言っていますけれども、ただ、当然自民党からは批判も出ていますけれども、その合意形成が可能だと思われますでしょうか。
(答)代表に聞いてください。そういう合意形成を含めて、正にトータルとして代表の判断としてやられたわけですから、それができると思われますかということには答えられませんが、当然、代表として、そして、結果として総理としておっしゃったんですから、それで審判を受けるということの結果としては、それに向けて最大限リーダーシップを発揮されるということだと思います。
(問)新成長戦略ですけれども、科学技術政策の7本柱の一つに入っていたと思うんですけれども、官民合わせて研究開発投資GDP比4パーセント、これは入っていたんですけれども、官の部分1パーセントという数字については多分入らなかったということだと思うのですが、それについてはどうでしょうか。
(答)トータルとして、他の分野を含めて、財政状況が厳しいというのがあると同時に、一方でそういう数字自体は、予算編成の中で議論されるべきものということと、もう一つは、総合科学技術会議が今議論していますからこの部分においては、何か数字で財政の部分にある一定の枠をはめるということは基本的にしないという最終的な議論の結果でありました。官民ということになるというもので、大きな目標値はあるんですけれども、官だけの部分がある種財政を拘束するということがあるので、理念、精神、政策の考え方としての部分は位置付けるけれども、数字だけは書かないということに最終的になりました。ちょっと読みますと、「2020年度までに官民合わせた研究開発投資をGDP比の4パーセント以上にする」、これは今までどおりです。「そのため、政府の関与する研究開発投資を第4期科学技術基本計画に沿って拡充することとし、効果的、効率的な技術開発を促進するための規制改革や支援体制の見直し、官民連携の強化」等々を検討するということでありますので、ここには書かなかったけれども、4パーセントということと、第4期の基本計画で大きな方針は示されるから、それに沿って拡充するという表現になりました。
(問)関連してですが、大臣は、「官の1パーセント目標」に関しては、明文化にかなり意欲を示されておられましたが、今回は、そういうことで結構財務省の反対にあったという声もあるんですけれども、その辺はいかがでしょうか。
(答)どこが賛成反対かということは、ちょっと申し上げにくいんですけれども、非常に財政状況が厳しいことも事実であるということと同時に、今の消費税というか税制の議論もあり、そうすると、今の部分でいえば、5年間という科学技術の基本計画、それから成長戦略は2020年までという10年間、それぞれの部分で、財政上もいろんなことが起こり得るわけです。だから、そこを見据えながら、トータルで、いろんな議論の中で、今回、成長戦略においては、第4期科学技術基本計画に沿って拡充するという表現で、最後、決着したというのが事実であります。
(問)相撲に戻って恐縮ですけれども、時津風部屋の話が冒頭にあったと思うんですが、あの件で時津風親方が関与していたということは報告として受けていらっしゃったのですか。
(答)昨日の報告までではまだ聞いていません。配信というかニュースで聞いていますが、今、毎日連絡を取り合って、報告を受け、そして要請をし、それでまたフォローをし、ということをやっていますので、今日また出てくると思います。もともとは、そのことを含めて、捜査当局の事情聴取というのも一部やられているんですが、協会としての調査というのは、アンケートで出てきましたではなくて、やはり、相当重いものではないかといわれる案件については、自らがしっかり調べなさいということでの要請を今しています。親方で一部、名前が出た人とかは今回当然またそういうリストに入るんだと思いますが、一方で、多分、今日、明日にでもですね、いわゆる正に完全な第三者の調査機関ができますので、そこでしっかり調べていただくということが一番大切なのかなと思っています。
(問)では、まだ事実関係としては。
(答)まだ、正式には来ていません。
(問)マニフェストの方に戻りますけれども、去年のマニフェストに比べて昨日発表になったものは、教育の分野で簡素化されていると、項目が少なくなったと思うんですけれども、去年は書いてあったけれども、今回は落ちている部分、例えば教員養成6年制だとか、教育委員会制度の改革なども落ちているんですけれども、落ちた部分というのはどうなるのでしょうか。
(答)別に、書いていなかったらやめるという意味ではありません。6年制の話などは、基本的にいえば、目的としては教員の質の向上という大きな目標があって、そのために資質と数の向上、いわゆる教育環境の充実ということですから、質を向上させるのにどうしたらいいのかというときに、教員免許のやり方を一度考えようということで、6年制というのも一つのアイデアとして出てきているということですが、中教審に諮問をしてありますので、その部分では事実上は動いているということと理解していただいたらいいというふうに思っています。
(問)落ちたものの中に、教育委員会制度の見直しとセットで監査委員会の設置というのがあったと思うのですけれども、ガバナンスという意味ではかなり大きな改革だと思うのですけれども、落ちているというのは。
(答)別に、やめるという意味では全くありません。
(問)引き続き、それは生きているということですか。
(答)ちょっと他の分野まで私自身も精査できていないのですけれども、基本的には、非常に細かく各政策を書くというよりは、今回は大きな理念みたいな部分に、ある種簡素化といいますか集約化みたいな書きぶりになっていますよね。そういう整理の中だというふうに思います。
(問)先ほどちょっと話に出たんですが、奨学金の関係で、今回のマニフェストに入れられているのですが、制度創設と書いてあるんですけれども、今実際に旧育英会時代からの制度があると思うのですが、それとは別個に新しい制度が生まれるという理解でよろしいでしょうか。
(答)今の制度がありますけれども、やはり、この前からの議論としていうと、給付型も含めて、一度仕組みを再構築というか、総ざらいして点検することで、本当に学ぶ環境をサポートできるということをしたらどうかという議論がずっとありますので、創設というのは、今あるものと全く別になるのか、これをモディファイするのかも含めての議論だというふうに思います。
(問)念頭にあるのは、大学段階での給付型の奨学金ということでよろしいですか。
(答)そこも視野に入れて、決め打ちではないですけれども、枠をどれぐらい増やせるかということです。もともと給付型は、前のときも何とか実現したいということだったんですが、財政状況もありましたから、引き続きということも含めて検討課題です。
(問)対象としては、去年からの議論の続きということでいくと、高校もその対象に入るということですか。
(答)マニフェストの書きぶりの個別の項目としては、大学、専門学校ということで、やはり高等教育の充実という視点を重く書いています。この意味で、トータルとしての教育環境の部分でいえば、無償化法案のときの修正条項や付帯決議等々の課題もマニフェストにそこを抜き出しては書いていないけれども、当然のこととして取り組むということです。
(問)オランダ戦に臨む岡田ジャパンに大臣指示をください。
(答)その前に、カメルーン戦では、すばらしい試合をしてくれて大変興奮しながら見て、うれしかったです。大変良かった。もともと言われていた日本らしいサッカーのスタイルがかなり出たのかなというふうに評価しています。そういう意味で、オランダは大変な強敵であります、優勝候補の一角を占めているわけですから。とはいえ、勝てないと決める必要は全くないので、サインとしては、「1-0で勝て」というサインでございます。
(問)耐震化の予備費についてですけれども、今回、予備費をこういうものに対して使うということはかなり異例の対応で、首相指示もあって異例の対応だったかと思うんですけれども、改めて今回これに取り組むということの意義と、それから、今回は予備費で対応できましたけれども、来年度以降、どういう対応を考えていくのかお聞かせください。
(答)今までの分でいいますと、耐震化の当初予算額というのは大体一緒で、補正で上乗せするというパターンをずっとやってきたんですね。だから、約1,000億円前後がいつも当初予算であって、後は上に、補正が年によってこんなにのるときもあれば、これぐらいのるときもあるというやり方だった。補正でやるというのは、いろんな財政状況とか予算編成のことで、ある意味ではやむを得ない部分もあったのかもしれませんが、やはり非常に、各地域での学校耐震化への御希望が多いということと、早くしてほしい、世界中でいろんな大震災が起こっているということでニーズが非常に強いということと、補正では基本的に夏休みの工事は間に合わないということがありました。今回は要望が多いので、当初予算を4月からずっと箇所付けして割り当てをしたら、あっという間になくなるという事態に今なっていますので、極めて異例でありますが、臨時緊急的に、予備費の発動をしていただいた。来年以降はですね、そういう過去の予算編成の位置付けの在り方をどうするのかというのは、一度しっかり議論して対応したいなと思っています。他のところも皆そうなんですね、大学とかの建物もそうです。そういうことと、もう一つは、小・中学校を含めた耐震化に関しては、一番直さなければいけないし、直したいとおっしゃっている部分は今年全部やるわけですから、大分進んではきているというふうに思っています。
(問)相撲について、今回の不祥事で相撲協会が公益法人としての公益性が問われている部分もあると思います。大臣御自身も、まだ現時点では、協会にこれから第三者機関も含めて対応してもらうということですが、公益法人として存続するということに対して、文科省として何か対応を取るということについてはお考えでしょうか。
(答)というか、公益法人であるからこそ、国民の皆さんに、反社会的勢力とのかかわりを疑われることがあってはいけないのに、かかわりがある可能性をじゃっ起することが起こっているから、それは絶対駄目ですよと、そういうことのないように組織を大掃除をしてくださいというお願いをしているのであって、その結果を見ていきたいと思っています。

(以上)