川端内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成22年5月21日

(平成22年5月21日(金) 08:43~09:05  於:文部科学省記者会見室)

1.発言要旨

私の方から2点でございます。一つは、本日6時58分にH-2Aロケット17号機の打上げが成功しました。そして、金星探査機「あかつき」が、所定の軌道に入りました。併せて、5機の小型副衛星も一緒に打ち上げたわけですが、それぞれすべて切り離しに成功したという報告を受けております。H-2Aロケットは正に基幹ロケットでありますけれども、世界最高水準の信頼性の確立に向けて今まで努力して参りましたが、 11機連続の成功ということで、またその信頼確保に関しては大きく前進できたというふうに思います。「あかつき」が、金星という正に謎に包まれた星であり、大気がある星でもありますので、この解明に貢献していくことを期待しております。
もう一点は、いわゆる最先端次世代研究開発支援プログラムの中で、若手、女性、地域ということに特化して応援しようというプログラムがございますが、昨日5時に日本学術振興会が公募を締め切りました。応募件数は5,628件、男性が4,068名、女性が1,560名でありまして、非常にたくさんの応募がありました。大体、300件程度を予定しておりますので、相当、競争倍率が高いことになりました。非常に多くの研究者がこのプログラムに関心を持ち、期待をしていただいているということは有り難いことであります。厳正な審査で対象のテーマを決めて参りたいというふうに思っております。大体11月を目途に決める予定にしております。私の方からは以上です。

2.質疑応答

(問)文部科学省と厚生労働省がまとめた、今春の大学生等、高校生等の就職状況を見ると、いずれも就職率が前年度より悪化しているようですけれども、文部科学省、厚生労働省、経済産業省が新卒者の支援に取り組んでいたと思うんですが、それでもなかなか厳しい結果になったわけなんですけれども、この結果をどういうふうに受け止めていらっしゃるのかということと、新たな取組というのを何か考えていらっしゃるのか、この2点をお話願えますか。
(答)昨年同期で、大学生は3.9パーセント下回る91.8パーセント、短大は6.1ポイント下回る88.4パーセント、高校は1.6ポイント下回る91.6パーセントということで、とりわけ短大、大卒が昨年を下回るという結果でありまして、大卒は、いわゆる就職氷河期というのが平成12年ですから、10年前とほぼ同じ水準まで落ち込んだということでありまして、高校生も去年下落をしておりまして、大変厳しい結果になったことは事実であります。厚生労働省、経済産業省含めていろんな手だてを打って参りました。打った効果も一定はあったと思うんですが、しかし、やはり厳しい経済環境の中でのこういう結果だったということでありますので、既卒者になってしまいましたけれども、あるいは、場合によっては就職浪人をした人もいるかもしれませんが、そういう人も含めて、引き続き企業に対して、そして学生に対して、就職のマッチングのいろいろなお手伝いができるような仕組みを継続してやっていきたいというふうに思っております。
もう一つはですね、やはり、こうして各般の協力を得ながら、学生さんも大変苦労をして就職されていますが、3年間で、中卒者は7割、高卒者は5割、大卒者は4割の方が職を変わっているということでいうと、一生懸命いろんなことで就職をするということが、結果として、ある種のミスマッチを生むという事態になる。一生懸命やってもそれがうまくいかないという例もあれば、無理矢理やるからうまくいかないという側面もあるのかもしれない。どこでもいいから就職だけしようとかというふうになると、また結果的にうまくいかないということもあります。この背景には、やはり学校教育という我々の立場からいうと、いわゆる職業教育というもの、学生の意識と、それから実力というんですか、職業力というんですか、そういうものを強化して、社会の一員としての自覚とスキルをしっかり持った子を社会に送り出すということが、やはり改めて大事であるということの認識を私自身としてはいたしております。中教審でも職業教育の在り方について熱心に御議論いただいていますが、そういったものも早急に取り入れる中で対応していきたいと思います。企業においても就職協定の問題や、いわゆる新卒者と既卒者で就職の、ある種のハンディを付けるということが、結果として大学を卒業しないで留年するという学生を生んでしまっているという状況もありますので、企業の理解と協力も大変大事であります。そういうことと同時に、教育現場としてやるべきことが、やっぱり随分たくさんあるなというのが、この一連の半年ほどの就職状況の推移の中で、私としては課題をたくさんいただいたと思っております。
(問)昨日、急きょ関係閣僚が集まって、例の韓国のしょう戒艇の沈没事件で、政府としては韓国の方針を支持すると総理の談話でも発表されました。その受止めを閣僚の一員としてお聞きしたいのと、あと、土日も含めて万全を期したいということで、土日も含めてこっちにいるようにという指示を受けているんですか。
(答)閣議、閣僚懇の御報告をすればよかったのですが、総理、官房長官、外務大臣の方からそれぞれありまして、韓国のしょう戒艇の沈没に端を発して非常に国際的に緊張した状況にあるということで、不測の何かが起こり得ると。何かというのは特定できないけれども、何かが起こり得るという状況であるので、一つは土日の連絡態勢等々は遺漏なきようにということの改めての御指示がありました。それと同時に、こういう場合にはこういう対応をということを、改めてしっかりと、閣僚にも別途徹底するということであります。もう一つは、それぞれの所管の中でできる危機管理態勢をしっかり見直し、点検をしておくようにということでありまして、文部科学省的に言えば、いわゆる国の重要施設と言われている施設を所管しておりますので、そういう部分に関しては、改めて安全以外のですね、危機管理態勢としての再点検と、緊張感を持って臨むようにという指示を、この後、出す予定にしております。
(問)北朝鮮の関与が強いという韓国の調査結果を支持するという政府の方針に関しては、受止めとしてはどうでしょう。
(答)政府の方針ですから、それは内閣としての方針として受け止めています。ただ、それに対して非常に反発をしている状況もありますので、どこで何がどう起こるかということにおいては、緊張感を持って臨むようにということであります。
(問)就職活動に関してなんですけれども、この春に就職をした学生さん、もう社会人ですけれども、そういった方たちの中で、内定を取った後から企業によく呼ばれて働かされたり、あと、入った直後に誹謗中傷、「君はもう駄目だ」というような、かなり圧力をかけるような企業があるとのことで、文科省とかかわりがあるかは微妙なところではあるのですが、そういった事態があることに関してはどのようにお考えですか。
(答)ちょっと事実を承知していないのですが、一般論的に言って、今言われたような2例は、場合によっては法令に違反すると思います。あってはならないんではないでしょうか。若干の見学研修みたいなのはあり得るかもしれませんが、それでも一定の何らかのペイはあるんではないかと。ペイがどうだったかは知りませんが。それと、優先的地位を利用してうんぬんということもありますので、個別のことは分かりませんけれども、特に後段の部分は、ある種のパワーハラスメントに、そのままの話でしたら完全に当てはまるんではないでしょうか。そういう意味でですね、優先的地位と言いましたけれども、やっぱり雇用者と被雇用者という2つの立場は、法的に保護されているとはいえ、やはり非常に微妙な、場合によっては弱い立場になり得ることでありますので、それはよほど気を付けないといけないことだと思います。具体的に何かあるようだったら、所管は多分違うと思いますので、逆に、今お話のあったこと、あるいは、例の派遣等々の問題などを見ていましてですね、いわゆる働く人たち個人として有している権利というものがしっかり身についていないと、せっかくある法律が、私はよく言うんですが、法律は懲らしめて捕まえるためにあるのではなくて、個人の権利を守るためにあるというときに、その守られるべき、守ってくれるはずの法律を知らなければ、ある種の泣き寝入りというか、泣き寝入りでもなくて、知らないままではいけないという意味での教育は、結構大事なんだなというふうに改めて思っているんです。昨日、連合の事務局長、政策担当者も、ある種の要請、意見交換においでになったんですが、そういう労働法制、働く人の権利等もしっかり教えてほしいという御要請もいただきました。教科書には書いてあるんですけれども、どこまでしっかり教えるかということなのかもしれません。今のお話を聞いても、やっぱり、そういうことがもしあったときに、これはおかしいということを自らもやっぱり、なかなか言えないというのがハラスメントの世界ですけれども、そんな感じがします。ちょっと僕が聞くのは変だけれども、何か、採ってしまったけれども、本当は辞めてほしいみたいな感じがあるということですか。
(問)連日呼ばれて罵倒されたりというケースもあるようなんですけれども、それで、法令上は問題にはならないように、自己理由という形で退職届を書かせたりとか。
(答)だから、採用してしまったけれども、本当は採りたくなかったというような感じですか。
(問)推測はできます。
(答)要するに、企業としては、自分で辞めてくれといわんばかりの感じになっているということですね。
(問)先日、改定常用漢字表の方針案がまとまりましたけれども、200字近く常用漢字の数が増えるということもあって、教育現場への影響というのが当然考えられるんですけれども、そこら辺どのように大臣はお考えになっているでしょうか。
(答)今までも、何度もそういうことはやってきているわけですから、その方針に応じてということで、これは、皆さんの世界にも当然全部影響してくる話でありますけれども、周知徹底をいろんな角度で図る以外にありません。多いことは多いですね。
(問)例えば、子どもたちに教える際の配慮とかですね、増えるということでの社会の受入れの混乱を防ぐ意味でですね、施策を当然されると思うのですが。
(答)当然ながら、世の中的に一般への広報ということ以外にですね、学校教育現場等々へは、別途いろんな諸般の会議等々がありますから、しっかりと周知させていきたいというふうには思っております。
(問)口てい疫の関係について、この前、政府の方針を決めましたけれども、文部科学省としてこれから対応することは。
(答)本部から、あるいは関係府省から、あるいは県から、いろんな御要請があれば積極的に協力するようにということの中でですね、宮崎大学の農学部獣医学科は、宮崎県と連携して、4月20日に発足した県の口てい疫対策本部に5月2日より教員1名が行っております、獣医学科の先生が1名。それから、5月18日から、県・家畜保健衛生所へ家畜防疫に精通した教員1名を派遣して、家畜の病性診断などを行っているということで、宮崎大学農学部獣医学科という形では、いろんな形で協力をしている。それから昨日ですね、農林水産省から、給食に関して、口てい疫に関しての正しい知識をしっかりと周知徹底をさせてほしいという御要請がありました。そういう意味で、各都道府県の学校給食関係者等に対して、正しい知識の普及と冷静な対応ということで、これは、都道府県の教育委員会の学校給食関係者、私立学校、国立大学法人等々に、「口てい疫に関する正しい知識の普及について」ということで、例えば、口てい疫にかかった家畜の肉や牛乳が市場に出ることは、今の態勢ではあり得ませんと。だから、例えば、豚肉食べたらいかんとか、そういうことは一切ありませんと。出回っているものは、安全なものが確保されています。それから、偶てい目の家畜や野生動物が感染する病気で、人が感染することはなく、牛肉や豚肉を食べたり牛乳を飲んだりしても、人体に影響を与えることは一切ありませんということですので、飲食店、小売店において、「宮崎県産の牛肉は使用していません」との表示を行うなど、消費者に根拠のない不安を与えることがないように、適切に指導してくださいと。うちは宮崎県のものはありませんなんていうのは、別に、あったら悪いということはないので、逆にそういうことをすると変な不安をあおるということや、市場に影響を与えるということになりますので、というふうな、不適切な表示ということで消費者庁が出しています。食品安全委員会もいろんなものを出しているということですが、農林水産省も、食べたり飲んだりしても人体には影響がないので、給食に関しても一切影響ないので、心配せずにちゃんとやっていただきたい、冷静な対応をしてほしいということで、こういう情報を周知して、皆さん知ってくださいという活動をしているということです。
(問)昨日発売の週刊誌の報道で、相撲の琴光喜関について、野球賭博をやっている上、その事実をばらされたくないだろうというのでゆすられて、金を払った払わないという、これに対しては何か協会の方に、例えば、お問い合わせをされたりとかしているのでしょうか。
(答)見ていませんでした。一度確認してみます。ちょっと事実関係を私自身が承知していなかったのと、昨日夕方、委員会の後は出てしまいましたので、今朝は閣議ということで報告を受けていないので、その週刊誌も読んでいないのでちょっと精査をさせてください。そういうことが報道されているとしたら、当然ながら、文科省としては協会に対して、事実関係の照会を行うことから始まるというふうに思います。
(問)ロケットの打上げの視察には行かれないのですか。鳩山政権になってから、大臣は誰も現場に行かれていないのですが。
(答)今朝の分は後藤政務官が行きました。先ほど、成功したという報告を電話で受けました。時間的に許されればと思っておりましたが、一回延期にもなりましたが、当初の部分も今回も国会日程で無理でした。一度は是非とも、そういう激励も含めてと思っておりますが、かなっておりません。行けると、皆さんにも御同行いただけるといいんですが。
(問)高校無償化の件で、外国人学校の対象になるならないの検討会について、5月はもう来週だけに事実上なりましたけれども、開催の目途はいかがでしょうか。
(答)5月に開くことで、ほぼ内定をいたしました。近々開けると思います。
(問)今日ではないですか。来週、週明けには。
(答)もう少し詰めておりますので、鈴木副大臣の会見のときぐらいに、どこまでお話できるのか分かりませんが、粗々はお話させていただける目途で、今進めております。だから、来週の木曜日でやりましたと言うのか、やりますと言うのか。ほぼ開ける状況までこぎつけてきていると報告を受けています。

(以上)