川端内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成22年4月2日

(平成22年4月2日(金) 09:01~09:29  於:文部科学省記者会見室)

1.質疑応答

(問)高校授業料の無償化が昨日から始まりました。ホットラインが設けられるなど周知体制もスタートしましたが、私立高校の生徒には就学支援金の申請手続きがあるんですが、手続きのない公立高校等の生徒に対しては、国の支援で無償になっていることをどのように周知していかれますでしょうか。
(答)関係各位の御努力と御協力で、昨日から無償化の法律が実際にスタートいたしました。本部を作りまして、円滑に推進できるように、同時にいろんな問い合わせにも対応できるように、そして、進めていく中の検証も含めながら対策をとっていこうということでスタートしまして、今日からホットラインを設置いたしました。御指摘のように、私学の生徒には代理受給の申請書がありますので、そこの一部を使って、この制度の趣旨等々を書いたので、必ず本人、あるいは保護者の目に止まるようになっているんですが、公立高校に関しては、一応、リーフレットをお配りするということと、ポスターの掲示も学校にそれぞれ貼っていただくということは共通的でありますが、あとはそれぞれの学校の御判断でありますけれども、入学式、ホームルーム、あるいは公民の教科等々で、こういう仕組みになっているということの趣旨や、あるいは、そういう背景は、皆さんがしっかり勉強して、「社会人として世の中のために頑張ってほしいというために皆が税金を使っているんですよ」という期待を込めた意義もお話をするとか、皆で話し合うとか、そういう工夫も含めて、例示的にしながら、それぞれに取り入れてほしいというお願いをしようと思っております。
(問)学力テストの入札ですけれども、一昨日の夜辺りに、入札方法を見直すというような通信社の記事が流れていたんですけれども、現状では新規参入が十分確保できていなくて不適切だという判断に至ったのかということと同時に、どのような見直しが考えられるのかというのを教えてください。
(答)結果的に一社入札になっているという状況は事実であります、部分的にですね。経過とやり方に関して不適切であるという認識ではありませんが、より透明性を確保し、より競争性を確保するという観点から、もっと前向きに検討すべきではないかということで、今までの部分の検証と、それから改善、あるいは良くする方法があるのかどうかを検討しようということを思っているということはこの前申し上げました。その時点から別に変わっているわけではありません。それを具体的に中川副大臣の方から、一度そういう意向でやるから準備に入るようにということは、指示をいたしました。ただ、このことに関して、一部報道にありますように、何かチームを作ってですね、誰かをヘッドにみたいな報道が一部あったようでありますが、そこまで今やっているわけではありません。
(問)外国人学校の3番目の検討の場ですけれども、いつぐらいから、どういったメンバーで行うのかということとですね、これも一部報道で、最終的には都道府県の判断に任せるという報道もありますが、そういった方針があるんでしょうか。
(答)前段の部分は、正に昨日スタートしたので、省令も昨日出させていただきました。それを受けてということで、正に今日からですね、どういう人選、どういう形でやるのかということを、作業にこれから入るように指示をしております。一部報道で、細かく、検討の場と基準まで報道していただいたんですが、教えてほしいなと。どうしてこういうふうになっているのかを知りたいもんだと。一切ここに書いてあることには、私どもは関知をしていない報道でございます。見出しでいう「都道府県に一任」、あるいは、3つの項目で高校と定義等々のことは、事実として我々としては承知をいたしておりません。
(問)それに関連して、朝鮮学校がまた昨日ですね、会見を行いまして、できるだけ早い適用を求めることを会見の方で要請しているんですが、大臣のスケジュールとして、夏とか秋ぐらいまでその可否というのは、時間がかかるかもしれませんけれども、その辺のスケジュール感というのは以前から変わりないのですか。
(答)この前の参議院の委員会でも、この問題に関してだけではないですが、そもそも高校とは何ぞやとかという話もいっぱい出ているわけです。やはり、外形的な部分においても、どういうことを基準にするのかということと、その確認の方法と、それを判断する場というのをどうするかは、丁寧にやらないと国民的関心もあるということでありますので、そう1か月とかでぽんぽんと出るものではないだろうという意味での夏ぐらいまでかかるのかなという感じであります。
(問)基準に沿って判断されるのは、大臣が判断されるということで変わりはないでしょうか。
(答)最終的に告示するのは大臣ですから、そういう検討の場でこういう基準で、こいうやり方で、こういう場で決めたら、判断、議論をしてやればいいのではないかというのが出た時点で、それを最大限に尊重して、そういう検討を経て、そして、これらの学校が例えばOKになったということであれば、それは私が指定するということで、告示をするということです。
(問)山崎宇宙飛行士の打上げが来週早々に迫っていますが、どんなことを期待するかというのが一点と、あと、国際宇宙ステーションの運用延長に関して、前原宇宙開発担当大臣の有識者会議でいろいろ御意見が出ているんですが、運用延長に関して大臣はどのように考えていらっしゃいますか。
(答)山崎さんが日本人女性宇宙飛行士としては2人目ですかね、お母さんでもある山崎さんが行かれるということは素晴らしいことだと思いますし、初めて、宇宙ステーションで野口宇宙飛行士と日本人2人が一緒に活動されるということで期待も非常にしておりますし、是非ともこのミッションが成功裏に行われるように今は期待をしております。後段の部分でありますが、アメリカ、オバマ大統領の教書で一定期間続けてやろうと、先般もNASAの長官が日本に来られて、私どもに是非とも日本にもお支えをいただきたいという御要請はありました。私の立場で言えば、ここまで着実に進めてきて、HTVを含めてですね、非常に大きな成果を上げ、国際的な宇宙開発の大変責任のある立場を日本としては担っているという意味からも、私の立場では、引き続きしっかりと支えていく方針を政府として持つべきだと思っておりますが、いずれにしても、宇宙開発戦略本部において基本的には決めていかれる方針になるんだと思います。そういう部分では、私の方からはそういう方向で議論していただけるように働きかけていこうと今は思っております。前原大臣の下で私的に諮問でいろいろ御議論されるのは前原大臣のお立場ですから、基本的にはいろいろそれぞれの関係閣僚、あるいは副本部長が官房長官と前原大臣、あと関係大臣ということで私もその部類ですが、という中でどうしていこうかと、そうすると、宇宙ステーションの問題もそうですが、宇宙基本計画をどうしていくのかということは、そこでどう議論しようかというのも含めてされていくものだと思っています。今はそれぞれの段階のそれぞれの御議論でしょうから、前原大臣の下の御議論は、そうやっておられるらしいというぐらいの認識です。
(問)その委員の意見の中で、維持管理に年間400億円ぐらいかかると、それだけの費用対効果が果たして成果として出ているのか、そういう問題提起が出てるみたいなんですが、費用対効果という意味ではどのように考えていますか。
(答)というか、前原諮問委員会の中身の議論にコメントするつもりは一切ありません。本来やるべきことは、だからそこはそこで御議論されるのは別に御自由ですから、どうぞですが、宇宙開発というものを日本の国としてどう位置付けるのか、そしてそのことで今までどうやってきたのか、そして課題は何なのか、成果は何なのか、それを検証し、現状認識を共有する中でこれからどうするかという議論があるべきであって、それをする場は戦略本部ですから、そこでやればいい。それまでにいろいろそれぞれがお勉強されることは御自由でしょうということです。私の認識としては、過去いろいろありました、組織もいろいろ整理、統合する中で、今の日本の宇宙開発計画自体のいろんなミッションは、基本的に着実に成果を上げているというふうに思いますので、体制を含めてより効率的効果的にするということに関しては、前向きにとらえることは議論は必要だと思いますが、今、ここが非常にトラブって具合が悪いことが起っているから何とかしなければならないという状況にあるとは思っていないです。費用対効果の議論というのは、当然これは宇宙開発にしても海洋開発にしてもですね、科学・技術関係すべてにおいて、費用対効果というのをどう判断するのかというのはいつも議論になりますけれども、そう単純なものではない世界に入っていることは間違いがないですね。ケネディが、大統領に就任して「我々人類は近い将来必ず月に立つ」と言ったことは、そのことがこういうメリットが得られるとかね、経済的効果があるとかということではなくて、非常に、ある意味では何か夢みたいな、政治は夢を語る部分もあるのかなと個人的には思っています。それは結果として、そのことが科学・技術の進歩に大きな役に立ったことは間違いないけれども、そういう要素もあるので、正にそういう提起があれば、これはどう考えるんだろうということをしっかり議論をして、国民的な御議論もいただいて、皆で可能な限りの共通の認識を持って進めていくことでないと、多額な税金を使うことのコンセンサスは、難しいということは事実だと思います。
(問)この前の教科書検定でパスした教科書のことですけれども、全体的にボリュームが増えて、特に理科、算数が増えたのですが、こういう結果になったということについての御所感をお願いいたします。
(答)いろんな客観的な調査において国際的な水準でいう学力低下が言われ、あるいは、正に悉皆の学力テストを含めて、こういうところにウィークポイントがあるとかということでの、教育のこれからはどうあるべきかということが大きなテーマになり、議論がされて、新学習指導要領が決められ、それに基づいて教科書ができたということですから、国語や英語におけるいわゆるコミュニケーション能力というものを強化しようということと同時に、やはり理数においては幅広くもう少し何か、よく使われる例が、台形の計算式とパイはいくつにするのかみたいなのがありますが、よりしっかり教えようということの中でボリュームが増えました。当然ながら、授業時間のコマ数も増えました。それで、コマ数が増えたのとセットでですね、教える内容も増えたことは間違いないし、ただ教科書に書いてあることを全部教えねばならないということよりも、それを目安にして、どういうふうにに児童生徒に教えるかというのは教育現場に任されていますけれども、ここ数年来の国民的関心、課題であったトータルとしてより学力をしっかり上げようと、そして、そのときに理数が本当に弱くなってきている、コミュニケーション能力が落ちているということに重点を置いた学習指導要領に基づいた教科書ですから、せっかくできたんですから有効に活用して、その所期の目的を達成してほしいなと。同時に、そういう意味では先生のきめ細かな授業という意味でのいろんな環境の変化があるから、数も増やそう、そしてレベルも上げようという免許制度の在り方と数の増員、それから今年度から検討に入ったいわゆる学級編制の基準の在り方、総合的な中の一つの切り口として教科書が出てきていると思っています。
(問)あと検定に絡んでですね、今回、調査官の意見書と検定審の議事概要が初めて公開になりまして、そのプロセスの透明化っていう意味では一歩前進っていうことだと思うんですけれども、ただし、読んでみるとですね、やっぱりよく分からないというか、書き方が簡略であったりですね、議事概要の方で言いますと、どういうやりとりがあってですね、こういう意見に落ち着いたのかが、よく分からないんですよね。そこら辺で、プロセスの透明化というものを、もうちょっと進めていくお考えがあるのかどうか、その辺りをお伺いします。
(答)今までいろいろ実質的に議論がされているのかというふうなことはですね、情報公開を今回することによって、必ずしも専門家のペースでどんどん話しているのではなくて、いろんなケースがあるということ自体は分かっていただいたと思うんですが、その中で、生々しく全部書くのが後々良いのかということもあっての判断でこういう形になったんだと思います。これは、やっぱりステップ・バイ・ステップでですね、今回こうして今のような御意見もあれば、ただ、前から見たら随分良くなったということを踏まえながら、また、今回は大改訂でありますからあれですが、またこういう皆さんの受止めも踏まえながら状況を判断していきたいというふうに思っていますが、今のところ、今できる、考えられる部分で精一杯公開をしたというふうになっていますが、私も詳細をそこまでちょっと読んでいない部分があるので、状況状況であろうというふうに思っています。
(問)関連でですね、教科書の調査官の採用のことですけれども、先日、欠員がお三方できて、新しくこういう方が入りましたということのリリースを頂いたんですけれども、その採用のプロセスが前任者の推薦であるとかですね、基本的には公募になってないんですね。ややちょっと不透明かなと思いまして、この辺を変えるお考えなどはどうでしょうか。
(答)かなり専門的な部分といろんな議論の経過とかが積み重ねできていることも事実ですから、公募をしていこうというのになかなかなじまない部分、非常に専門性を問うという部分で、専門性を問うというとかなり細かい区切りですので、そんなにたくさんの人がいないということの中で、今までの選考方式が経験的にやられてきたんだというふうに思います。そういう部分では、いろんな御指摘を踏まえながら、同じ話でしてね、公開の問題も、いろんな経過の中で、非常に何か良くないことが起こっているという認識は基本的に持っていませんが、より良くしていくのにいろんな提起はいただく中で、またおりおり考えていきたいということです。
(問)参院選挙の関係なんですけれども、小沢幹事長が出している、複数区には2人を擁立するということに関して、党内とか、例えば連合の地方組織であるとかから批判が出ているわけですけれども、内閣支持率がここまで低迷する中で、そうした方針が妥当だとお思いになられるのかということが一点目とですね、一方で自民党もですね、支持率が低迷する中で、あいかわらず執行部刷新を求める声が上がっているんですが、そうした動きに関しての受止めをお聞かせください。
(答)この立場で党の選挙方針をどうこうというのは、直接的にコメントすることは基本的に控えたいと思うんですけれども、感想としてというか、支持率がどうこうということも、もちろんそれはありますけれども、やはり政権として参議院で過半数を取ろうというときに、それぞれの選挙区で半分以上、複数区においては過半数ということになると、1人区は1人でいいんですが、これは過半数ですから、3人区は2人が過半数ですけれども、2人区は1人では過半数ではないので、2人というのは基本的には選択としては、基本、大原則だと思うんですね。最近こういう状況になってきましたからあれですが、昔は2人区で自民党が独占しているなんていうのは山盛りあったし、2人でいるというのも当たり前だったわけですから、そういう意味での戦術論としてはね、別におかしいことでも何でもないです。またそのときに、現職が今1人でというときに2人目というのは結構きつい、元々きつい話である中にこういう支持率では厳しいなという意見があることもありますが、そこら辺は党の判断でしょう。よそさんのことは余計言うつもりはないんですが、野党であったときに、支持率が低迷すると人事を刷新しようという声がよく起こったなというのも思い出しております。民主党が野党のときに、いろいろ支持率が低迷すると人事を変えようということがしょっちゅうありましたので、よくそういうことがあったなと、民主党も、自民党も段々、大変だなと思っております。
(問)教科書の関係なんですけれども、ちょっと余談なんですけれども、大臣御自身の教科書に関する思い出なんかがもしあれば、お聞きしたいんですが。
(答)教科書の思い出。どの段階かは覚えていませんが、要するに中学校高校と歴史を学んでいくと、今生きている時代にたどり着かないで終わったという印象が残っています。書いてはあるけどそこまでいかなかったというのが何か覚えていますね。あとの教科書は大体皆終わりまでいくんですけれども、なぜかあの分だけはですね、明治維新、大正、戦争に行き着くくらいから新しい憲法ができたぐらいまで習ったかなぐらいですよね。それも最後の方は駆け足みたいなので、日本人の基本的に縄文、弥生にやたら詳しくて、近現代に弱いというのが非常に、記憶としては個人的に残っています。
(問)文科行政と関係ないんですけれども、若林元農水相がですね、一昨日31日の本会議で代理でボタンを押したと、民主党が懲罰の提出をしたということなんですけれども、そういう動き、まあ異例だとは思うんですけれども、それに関してはどういうふうに思いますか。
(答)配信で言うと、自民党幹部が議員辞職を求める方針ということが流れていますが、選挙に有権者が行って、他人の入場券で投票したらこれは捕まりますよね。その有権者の選挙で選ばれた議員が、本会議上で投票権を行使するということは、正に国民によって選ばれた議員の最大の権利の行使ですから、これはあってはいけないことであることは間違いないと思います。
(問)教科書の関連ですけれども、今回、中学校の現場を取材しまして、先生の皆さんは、学力の向上に関して非常に希望とですね、期待を持っていらっしゃるんですけれども、やはりいろいろ聞いていますと、授業時間が増えている割には、やっぱりあまりにも内容が多いので実際に教えるのが大変だなという声が多いのと、やはり算数とかですね、本来、練習とかを何度も何度も繰り返して定着させるというのが大事なんですけれども、実際はそういう時間を削って教えていたのでは、新しいことを教えていくことなんてできないという、そういう不安も非常に多く声がありました。あと、やはり学校の先生の作業がですね、ゆとり前の、今よりも多い学習指導要領の内容の頃と全然違ってですね、かなり雑務も多いと、そういう中でこういう新しい内容もどんどん増えてですね、先生方もやっぱり今、うつの問題とかいろいろありますけれども、そういう意味でちょっと不安に思う声もいろいろありました。そういうことに関して、フォローアップというか文科省としてどのように考えてますでしょうか。
(答)先ほども言いましたけれども、それでなくても先生は忙しい。授業に係るという部分でいったときにも、いろんな特別に支援をする必要のある子どももどんどん増えてきている。教え方の技術的な部分でもいろいろ工夫をしないといけない。そして、それぞれの学年での学力をきちっと習得しているということを前提に、次の段階というときに、そこの接続の部分でまた、そこがないからまた大変だと。それから授業以外に非常に仕事が多いと。これはよく国から都道府県教育委員会にいろんな調査をお願いすると、調査は全部先生にされると。あるいは保護者の問題、地域の問題ということが基本にある中で大変であるという現状にあることは事実だと思っています。そういう意味で、一方でそういう負担を減らすという部分での教員の数を増やすことや、いろんなサポーターや、あるいはカウンセラーの配置とか、できるだけそういう部分はスクールカウンセラーやソーシャルカウンセラーとかいろんなことで支えるというふうなことや、理科の実験の支援とか、そういう人数を増やすと同時に、バックアップするような体制を取るということで、できるだけ事務的な部分で先生の負担がかからないような工夫をするとかということは配慮をしておりますし、学級編制の少人数化も、今、検討しているということの環境整備は、また別途一生懸命やっていますが、それはまだ間に合っていない部分や始まるという部分は確かにあると思いますね。ただ、ボリュームだけ増えて授業時間数が一緒というわけではなくて、授業時間数も増やしましたから、そういう意味ではいろんな研修を通じて創意工夫も含めて、意欲はしっかり持っていただいていると思うので、またその実施を進めながら、また実態はフォローしながらですね、現場の声も聞きながら、もっと他の形で何か応援することがあるのかどうかも、それはフォローしていきたいと思っています。

(以上)