仙谷大臣記者会見要旨 平成22年5月7日

(平成22年5月7日(金) 9:49~10:03  於:内閣府本府5階522会見室)

1.発言要旨

 おはようございます。
 今日の閣議は全くと言っていいほど案件がございませんでして、私自身は上海万博とベトナム訪問についての報告をいたしました。各閣僚からも、それぞれ外遊の報告がされたということでございます。
 以上です。
 何かございましたら。

2.質疑応答

(問)B型肝炎の集団訴訟の対応についてお伺いします。
 札幌地裁の次回期日が1週間後に迫っていますが、政府としては和解協議に応じるお考えなんでしょうか。
(答)これから部内の協議を更に進めます。その件に関して、記事を書いているところが数社ありますけども、私のほうは全く関知しておりません。
(問)ギリシャ問題で、昨日、ニューヨークの株が暴落して株価が大きく下げているんですが、これに対しての受け止めと、鳩山総理はギリシャ問題について、政府としてしっかり対応するというふうに先ほど御発言されたんですけれども、具体的にどういう対応があるのか。
 3点目に、これはギリシャだけの問題にとどまらないで、ほかの欧州の国にも波及してきたわけですけれども、日本に飛び火する可能性について、改めてお伺いします。
(答)今日、菅副総理・財務大臣からも、ウズベキスタンで開かれた、アジア開銀の外務大臣会合及びASEAN+3の報告も行われましたが、その中でも、アジア開銀では直接ギリシャ問題は話題となったような形跡はあまり伺えませんでした。
 とりわけ昨日のマーケットの状況を見ると、円が極度に高く振れております。ギリシャ問題については、EUがいよいよ適切な対処をしていただけるということでありますから、19日のギリシャの国債償還の期限に向けて、ある種の投機筋も含めて買ったり売ったりということがどうも激しくなっているなという感じでございます。
 マーケットの数字が急激に上に振れたり、下に振れたりするというのは大変問題があるというか、実体経済を生きている関係者にとっては非常に困ることでありますから、先ほど鳩山総理のお話がございましたけども、日本はEUと協力して、あるいはIMFとも協調して、ヨーロッパの大きな振幅を鎮めるような方策への協調・協力ということを、緊密に連絡をとって行うということが大事だろうと思います。
 この間、G7あるいはG20を含めて、国際金融の協調・協力体制が相当でき上がっていると思いますので、ヨーロッパ各国に波及をさせない、ましてやニューヨークマーケット、東京マーケット、更には上海マーケット、シンガポールマーケット等々に波及をさせないように適切な手段を行うことが重要です。
 東京を始めとするマーケットは、今日はじっと注視するということになろうかと思います。アジアのマーケットに関しては、国際的な金融の世界ではどうしても過剰流動性がありますから、直接、間接を問わず、影響はある程度あるんだろうと思いますが、現時点では、私がアジアを回ってきた実感では、アジアの実体経済にはそれほどの影響が出てくるようなことにならないんではないかと、こういうふうに見ています。
(問)今回のベトナム訪問の高速鉄道の売り込みについての手応えとどのような話をされたかをお願いします。
(答)前原大臣は、相当の手応えをお持ちのようですね。ただ、路線距離は1,500キロですから、どのぐらいの時間軸の中でつくっていくのかということが大問題で、実験的にというと語弊がありますけども、100キロ以内の分、特に人口が集中しているところの分について、これから建設に着手するために何が必要かという調査を共同してやっていくための協議を開始するということじゃないんでしょうか。先方のお許しを得て、窓口を国土交通省につくるということでございますので、そのような作業が始まると思います。
(問)米軍普天間飛行場の移設問題についてお尋ねします。
 「移設先は最低でも県外」という鳩山総理の就任前の発言について、大臣はそれを民主党の政権公約だと考えて昨年の衆院選を戦われたのか。それとも、あくまでそれは党代表としての思いであると受け止めていたか、お考えをお伺いできますでしょうか。
(答)この問題、私は今の時点でも全くそういうとらえ方をしていません。東アジア共同体を我々がつくっていく。脱亜入欧路線から入亜入欧米路線に本格的に切りかえた路線をつくっていくという、東アジア共同体形成に向けての第一歩をこの内閣で踏み出すとともに、アジアの中で日本が生きていくために日米同盟をある意味で新しく位置付け直すと。その中で、アジアの安定のための日米同盟がどうあるべきかという観点から、沖縄に展開されているアメリカの基地も、兵力編成あるいはその配置、これをじっくりと議論をすべきときであることは間違いがないと。
 そういう枠組みの中で、この普天間の問題も考えていくべきだろうというふうに考えておりまして、やはり私自身は時間軸にとらわれてできるような話でもないと考えています。これは極めて大きい平成の条約改正みたいな話ですから、明治政府でも、三十数年かかっているんですかね。締結してからだと40 年前後かかっていると思います。そのように汗水を垂らしつつ、沖縄の人々の気持ちを大事にしながら、アジア安定のための日米同盟、そして日本がアジアで生きていくための日米同盟をつくっていけるんだろうと思っております。
(問)関連しまして、それだけやはり壮大なテーマだと、これは社民党なんかが主張されていますけれども、5月末までに決着というのにこだわらずに、もっと論議を深めるべきという意見もありますが、その点についてはいかがでしょうか。
(答)私は、基本的にある時間帯の中で決着をすべき事柄であることと時間的に時間がかかるのはやむを得ないという課題であることと両方あると思いますが、我々自身、鳩山総理もですが、アジアの中で生きていくと、このグローバライゼーションの中で、プレーヤーとして日本が生きていくという道を選択しようということでありますから、そういう脈絡の中で考えていかなければならないと考えております。
(問)本日、弊社は経済再生の緊急提言というものを出させていただきました。
(答)まだ読んでいません。
(問)その中で、基本的には、マニフェストで子ども手当等に代表されるばらまき型給付が不況を招いているというふうに指摘をしておるんですけれども、今後、子ども手当や農業戸別補償等、そういった給付を改める考えはいかがでしょうか。
 それからもう一つ、消費税についても早急に10%に引き上げるべきだという内容で提言しておりますが、その点についてお考えをお願いします。
(答)それは御社の独自の御主張でしょうから、言論の自由、報道の自由の中でどんどん活発にやっていただければと思います。
 ただ、御社に1つ御注文をつけておきたいのは、5月2日に元国立がんセンター名誉総長の垣添忠生氏に論文を1面、2面にわたって書かせてありますけれども、がんセンターをこの間の状況のような、非常にシャビーな官僚支配に基づいて、そこの研究員なり、プロフェッショナルの人々が萎縮してしまうような崩壊寸前の状況にまでにしたのは、歴代名誉総長と言われている人々であるというこの厳然たる事実をちゃんと調査してから、ああいう方の文章を載せていただきたいと思います。むちゃくちゃなことが書いてある。
 私は独法のガバナンス検討チームをやってみて、許せない人たちがいます。6代前の名誉総長が大きい部屋を構え、秘書や自動車を持っているなどして君臨して、職員の皆さん方がこの先輩OBの鼻息をうかがわなければ仕事ができないような構造を誰がつくっていたのか。そのことによって士気が落ち、優秀な医師がどんどんどんどん抜けていくというような、そういう状態にしたのは誰なんだと、僕はもう怒りに震えます。
 ところが、御社はその垣添某という元総長の堂々たる論文を載せて、そこでは政治に研究がゆがめられるかのようなことを書いている。ましてや運営について、この厚生官僚の運営局長と称する者が人事と予算を握っているよういびつな構造を、そのほうがいいんだとまで書いている。こういう連中の文章を、何か権威がある人が書いた文章であるかのように一方的に載せるというのは、その見識を疑う、私はそう思います。今、がんセンターへ行って、一線の研究者やお医者さんがどう言っているか、今度の改革について、どういう思いでどういう受け止め方をしているか、ちゃんと現地の調査に入るべきだ。それもしないで、そんな御用済みの権威と権力だけにすがって自分の地位を保全しようとするような人の文章を1面、2面に出す見識を疑いたいと思います。

(以上)