仙谷大臣記者会見要旨 平成22年4月13日

(平成22年4月13日(火) 9:45~10:09  於:内閣府本府5階522会見室)

1.発言要旨

 おはようございます。  閣議及び閣僚懇談会については、私のほうから報告するようなことはございませんでしたので、御質問いただければと思います。

2.質疑応答

(問)高速道路の新料金制度についてお尋ねします。
 週末に本四の料金設定に異論を唱えられましたが、これに対して国土交通省は6月からは試行だとして、あくまで公表どおりの額で進めていく構えです。大臣としては、6月の試行段階から上限料金の変更を求めていくお考えか、それとも本格導入のときに上限料金を変えればいいというふうにお考えでしょうか。どちらのお考えでしょうか。
(答)あまりそんな難しいことは考えておりませんが、これは大臣としてというよりも、四国選出の一議員としての話でして、今日、四国選出議員のすべてに呼びかけて、全員に御出席いただけるかどうかわかりませんが、意見交換をしてどう考えるか、協議をする会を持っていただけるということですので、私も一議員としてそこに出席して、私自身の考え方を述べようと思っております。
(問)そこでまとめられたら、今日、前原大臣とお会いになるとか、そういった御予定はあるんでしょうか。
(答)議員集団の何人かがお会いいただきたいという申し入れをするのかどうかも含めて協議することになると思います。
(問)今朝の産経新聞掲載のインタビューで、中期財政フレームについて、消費税の引き上げを明記するというような内容のインタビューになっていますけれども、税率引き上げの幅も財政フレームに明記されるお考えでしょうか。
(答)去年の税制大綱でも、消費税を含めた税制の抜本改革が必要で、やっぱり歳入改革が必要だということですから、中期の問題としては税制改革全般に触れざるを得ないと。現に、税調の中では専門家委員会で所得税、それから消費税、法人税を含むその他の税目についてどうふうに考えるべきなのか、その前提としての納税環境のインフラをどうするのかという議論をしていただいています。当然、中期財政フレームということになれば、中期の財政の枠組みを歳入、歳出のいずれもどのように考えるべきかということで、基本的には定性的な問題でしょうけども、これはマーケットとの関係においても、ある種の数値目標的なものが出てこないと信頼度はそれほど高くないと思いますので、何らかの格好で財政フレームとしては触れるというか、文字としては書かざるを得ないというふうに私は考えていますけども、何%とか具体的な数字まで出るかどうか。それから、皆さん方の関心は来年度予算でしょうから、単年度の話で御承知のように各国が財政・金融ともに出口戦略に入る中で景気動向がどういうふうになっていくのか、これはじっと目を凝らして検討しなければならないと考えております。
(問)中期財政フレームは来年度から3年間の話だと思うんですが、総理は4年間は消費税を上げないというふうに明言されていますが、その整合性というか、調整というのは今後、どういうふうにお考えでしょうか。
(答)菅大臣も私も今まで言っているのは、もし総理の就任時の公約と時期的に合わせることができるかどうかという一つの問題があって、それとやっぱり衆議院の解散時期との関係が当然問題になると。やはり総理が今までおっしゃっているわけですから、「4年間」とおっしゃるけども、6月になれば現にもう3年間ですね。だから、3年先にそれを掲げて、衆議院の選挙を戦うのか。あるいはもうちょっと前倒しになるのか。そこのところは、今のところ、私の考え方も定まっていませんし、私が言える話ではないですから。そういう時期的な頃合いの話になるんじゃないでしょうか。
(問)菅財務大臣が最近、デフレ克服などのために財政支出をすべきだというような見解をされているんですけれども、景気が持ち直している中でなぜ必要かということで、恐らくこれまでは景気の底上げを防ぐような対策で財政をやってきたのを、今度はより景気回復を確実にするための財政支出が必要だというインプリケーションだと思うんですが、こういう目的の財政出動に対しては仙谷大臣はどういうふうにお考えでしょうか。
(答)需給バランスが相当程度崩れているという前提に立って、供給過剰のほうが主たる要因と見るのか。その供給過剰といっても、いわば国境を外して、少なくともアジア内での供給能力とその地域の需要とのギャップというふうに考えるのか、それとも一国の財政出動でこの需給ギャップを解消し、あるいは需給バランスが逆転して緩やかなインフレを起こし得るというふうに考えるのかの差はあるだろうと私は思います。非常に単純な子どもみたいな経済学だと、例えば20 兆円の需給ギャップが現在あるとすれば、20兆円放り込めば需給のバランスがとれるんだという議論になる可能性があるわけでありますが、私はもう今の時代はそんな時代ではないという基本認識を持っています。現に、そういう単純な20兆円路線のような話は、もし実行するとしても財源を探せないと、今の時点で中期財政フレームでもう一歩ですしねと言いながら、そんな金額の単純な需給ギャップ解消論で脱インフレをすればいいかと言えば、そこはむしろマイナスの影響のほうも大きいんではないかというふうに私自身は今の景気動向を見ております。菅大臣がどういうつもりでお話になったのか全くわからないんで、菅大臣自身のお話がどうのこうのじゃなくて、一般的にデフレ解消のための財政出動というお話ならば、今、お答えしたとおりです。
(問)内閣支持率についてお尋ねしたいんですが、NHKの調査でも6ポイント下がって32%となっています。それをどう受け止めるのかということと、また、普天間の基地の移設問題について来月末までに決着できなかった場合に鳩山政権は退陣すべきだと答えたのが36%、逆に退陣する必要はないという答が 27%でしたけれども、その辺についてどうお考えかお伺いいたします。
(答)世論調査の数字は重要な参考になりますけども、先般、久しぶりに地元に帰って、この間、地域を歩いてみると、肌感覚として大変厳しいなと。特に夏の参議院選挙はなかなか容易ならざる事態になりつつあるなと。そのことを今の世論調査も表現している部分が多いなと。私としてはそういう感想ですね。
(問)昨日、民主党の小沢一郎幹事長が会見で参院選のマニフェストについて、去年の夏の衆院選からまだ半年しかたっておらず、それを変えるのは国民は納得ができないんじゃないかというふうなお話をされて、慎重な姿勢を示されましたけれども、大臣とは少し考え方に違いがあるように感じるんですけれども。
(答)いや、基本的なところを変えないというのは当たり前の話でね。ただ、財政のやり繰りというのは当然のことながらあるわけで、それとの関係でどういう修正を施すのか、修正しないでもいいのかと。これは今から考えないといかんですね。例えば、3年でやる話を4年でするというのは、修正といえば修正だけども、こんなことはそれほど皆さん方が大騒ぎして紙面に書かれるような話なのかどうなのか。特に有権者の多くがどういうふうに受け止めるのか。あるいは、子ども手当の点も、最近これは市町村長から多く意見が寄せられることによって、だんだんと閣僚間でも全額直接交付するよりも高校無償化のやり方のようなやり方もあるんではないかということで、その原資を自治体の手元にとどまるようにして、そこで保育環境、あるいは義務教育の中での費用填補に充てていただくということも十二分にあり得るんではないかというような議論がかなり多くなってきたと私は思います。修正とか、変更とか転換とかおっしゃられたところで、それが国民や有権者の思いやニーズにより大きく合致しているとすれば、それはそのほうがいいのかもわかりませんね。そのためには、これからの党内の議論、あるいはマニフェスト企画委員会での議論、それから国民の皆さん方の意識動向の変化というものを我々がデリケートに受け止めていく必要があると思います。
(問)閣議の前に官房長官や原口大臣らと、恐らく公務員の関係か何かで協議されていたんだと思うんですけれども。
(答)原口大臣のほうから記者会見で報告されているんじゃないかと思いますが、例の新規採用の枠をどうつくるのか、新規採用の枠がどうなるのか、従来どおりでいいのかどうなのかといったことについて、基礎的な事実関係をまず把握しようという作業をこの間からやっておりまして、今回は実質的にはその第一読会、形式的には第二読会ということでございました。
(問)先ほど、衆議院選挙の解散との関係というお話をされたんですが、衆議院の解散という話はどういうことを念頭に置いておっしゃられたのか、もう一度御説明いただければ。
(答)常識的な政治センスとしては、4年間の任期を満了する、そして、そのときの選挙の前に、次の任期で鳩山総理が消費税を上げて、そのことによって医療・教育・年金、あるいは保育というようなところに重点的に打ち込むという政策を鮮明にされる、つまり、消費税をこのぐらい上げて、生活回りの部分をこういうふうにしたいという政策を掲げて選挙をするのであれば、それは当然実質的に今から3年後だと、こういう話になろうかと思います。もし、その前の時点で「やっぱりもう翌年度にはそこにいかないと、国民のセーフティネットや社会保障、あるいは国民の生活自身もほころびが大きくなり過ぎると。そして、いわゆる従来社会保障と言われてきた分野を産業としても伸ばしていくのが成長戦略の実行であり、これが日本の成熟した社会の成長戦略として必要だ」という旗を掲げるとすれば、それは任期の1年前なのか、1年半前なのか、あるいはそれは半年前なのか知りませんけども、打って出ると。そのときには当然のことながら、私は今の財政状況、あるいはこの間取り組んできた医療、年金、あるいは教育、保育、介護など、これらすべてをもう少し分厚くする必要があるというふうに考えていますから、そこは消費税だけではないと思いますけども、歳入改革を掲げて選挙しなければ、それは国民に対して甚だ失礼なことになるし、また信頼のおける政権として、「じゃあ、もう一期やってみろ」という話にはならないだろうなというのが、私の政治的な分析であり、政治学だというふうに御理解いただければいいんじゃないかと思いますが。
(問)そうすると、衆院選の前倒しがあった場合には、総理の「4年間」という発言も見直したとしても、国民に理解が得られると。
(答)「4年間」というのはこの任期中ということでしょう、多分。そういう趣旨だと思いますよ。次の政権を鳩山さんが担うとしても、政権がある種、総選挙という格好でリセットされるんだから、次はこういうステージ入っていくということは明確におっしゃらないと、だらだらと現状の延長線上に物事が続くなんていうのはこの時代にはあり得ないと僕は見ていますけども。
(問)大臣の認識としては、4年の任期の間は要するに財政の限界が来るかもしれないというふうな認識でいらっしゃいますか。
(答)今の税収のまま続くのであれば、それは大きな壁にぶち当たるでしょうね。これは政策いかんに係る問題もないわけじゃないけれども、もう明らかに経済構造、産業構造、あるいは全世界のパラダイムが変わっていて、従来、10億人の先進国の民の豊かな水準を保つためにあとの50億人はちょっと辛抱してくれという状況が産業革命以降といったら語弊あるかもわかりませんが、少なくとも日本にとっても100年ぐらいは続いてきたと、こういう時代認識が必要だと思いますね。この10年ぐらい前から起こっていることは、現象としても、もうそういう状況ではなくて、少なくともあと20億人がその世界に参入をしてきている一方、やっぱり先進国は成熟社会というか、実体経済上の成長率が極めて小さくならざるを得ないという状況だと思います。その中で無理して金融政策や財政政策を打って打って打ちまくると、どこかにバブルを起こして、そのことによって数値としては何か経済成長が発生したかのように見えたわけです。もうこの 20年の間にもバブルを何回起こしましたかね、ITバブルもあったし、エネルギー自由化バブルとか、資源バブルとか、そしてとどめを刺したのがサブプライムローンバブルとか。こういうバブルを起こして、ロンドンのシティとニューヨークのウォールストリートを中心に何か物すごく調子よかったねと。だけども、リーマンショックから1年半たってみると戦い済んで日が暮れて荒涼たる風景が少なくともヨーロッパには広がりつつあると、こういうふうに私は見ています。アジアは成長するでしょうけども。先進国の中で年間成長率3%が10年間続くというのは、日本の場合はアジアとの関係で、可能性が十分あるとは思っているんだけど、アメリカやイギリスも含めた他の先進国ではそういうことというのはあまり考えられないと思います。だから、やっぱり警戒するのはハイパーインフレーションというか、バブルを警戒する経済財政運営でないといけないんだろうと僕は思っています。
(問)先ほどの発言ですが、次の衆院選のマニフェストに消費税率上げは大きな焦点になるんだと、こうおっしゃっているわけですよね。
(答)消費税率上げを含めた税制改革、歳入改革というふうに申し上げました。
(問)その一方で、会見の際に冒頭のほうでは、中期財政フレームでも何らか書かざるを得ないとおっしゃいましたよね。
(答)「歳入改革を行って」みたいな表現になる可能性はあるでしょうねというふうに言っているわけです。
(問)抽象的な表現で盛り込むけれども、具体的にするのは衆院選のマニフェストだとおっしゃっているんですか。
(答)やるんであれば、衆議院選挙をやらないと国民の皆さん方に失礼になるので。
(問)なぜ参院選じゃ駄目なんですか。
(答)それは政権の公約として鳩山総理もそうおっしゃっているわけでしょ。参議院選挙は政権を問う選挙ではないですよね。
(問)消費税の問題を掲げても別にいいと思いますけどね。
(答)それが良いと思う方々は掲げてやっていただいたらいいと思いますが、我々は2004年の参議院選挙の際にはちゃんとそのことを書きましたよね。それによって、ある種、好成績を得られたという体験は持っていると、このことはもう常々申し上げているところです。

(以上)