仙谷大臣記者会見要旨 平成21年11月27日

(平成21年11月27日(金) 9:05~9:25  於:本府5階522会見室)

1.発言要旨

 どうもおはようございます。
 今日は、私のほうからは、閣僚懇談会で、例の独立行政法人の役員の公募が、皆さん方に御協力もあり、昨日までの到着分だけで応募者が2,000 名を超えているということを御報告を申し上げました。この公募から選考に入るわけでありますが、これが真に公平で透明なものとなるように、適任者の採用に向けて、各大臣にリーダーシップを発揮していただきたいというお願いをしました。裾野が広がっているから相当優秀かつ有能かつやる気のある方が応募していただいておるのではないかと期待をしておりますので、皆さん方からも積極的な評価がいただけるような選考をしていただければと思っております。
 それとの関係も多少あるんですが、4月に鳩山内閣としては初めてになりますが、いくつかの組織が独立行政法人化される予定です。その後、その他の独法のある種の再生、再活性化というふうなものが独法改革との絡みで必要になってくると考えております。独法改革も一つ一つの独法について、私どものほうから存在理由があるかないか、あるいは反対に言えば、むしろ国がやるべき仕事は国がやると。独法から国営、国立、あるいは国の仕事に直すということもありましょうし、独法として独立の採算事業体として、ちゃんとしたガバナンスとマーケッティングをやっていただくということを促すところもあるかとも思います。具体的には、国立高度医療専門センター(NC)6つが来年4月から独法化されますので、このガバナンスの検討チームを今日正式に立ち上げて、各省副大臣、政務官、それから専門家にも集まっていただいて、検討を開始しようと思っております。
 このNC、国立高度医療専門センターは、国民にとっては医療の面では最先端をいっていただかなければなりません。研究の面においても、臨床医療においても、最先端で、なおかつ信頼性の高いものにしていただかなければならないという観点から、どうすればそのことが実現できるのかということを専門的に検討してもらおうということで開きます。
 詳しいことは御質問があればお答えしますが、それが独立行政法人関係でございます。
 それから、今日、いよいよ事業仕分けの最終日でございますので、私も夕刻、現地に赴いて閉会式に出席をしようというふうに考えております。そんなところでしょうか。
 また、東京大学の濱田総長のところに伺って、国立大学法人自身の問題、あるいは科学技術研究予算の問題等々について、忌憚のない意見交換をしてこようと思っております。
 以上です。どうぞ。

2.質疑応答

(問)独法の役員の公募の件なんですけれども、2,000名を超えているということですが、民間の応募者と、官僚出身者の応募者の人数とか割合は。
(答)まだ整理がついてないみたいですけれども、ほとんど民間だというふうに伺っています。
(問)それから、独法の存在意義を確かめるというのは、それは1個1個仕分けのような方法でやるということでしょうか。
(答)まあ公開の仕分けということには現時点ではならないと思うんですけども、この間の事業仕分けの中で、随分指摘された独立行政法人もございますね。そういうところの問題点も整理しながら、ガバナンスというか、経営のあり方について、ちょっと専門的な分野から分析をしなければいけないと思っています。
 ただ、時間的な関係で年が明けてからになるかなあという感じはしておるんですが、その前に4月から出発するNCについては、もう時間的な関係もあるので、早々に人事を含めてある種の御提案をしないといけませんのでね。もちろん、基本的には、厚生労働大臣に人事権はあるわけですけれども。御承知のように財政も絡み、今この独法問題というのは、どうもいろんな意味で曲がり角というか、国民の関心が非常に強いものですから、どういう体制でいくのかということについてはここはきっちりとした体制、新スタートに当たっての体制づくりをしなければいかんなと、一方で思うと同時に、そこで見えてくる何かの基準というか、問題意識やそれぞれの独法についての事業仕分けで見えてきたところも踏まえて、新たな発足をさせる、まあそれぞれ使命が違いますから何とも言えないんですけれども、そういう観点から分析をしなければいかんなというふうに考えています。
(問)今ある98法人については、年度内に何らかの形で……。
(答)年度内にできるかどうかわかりませんが、これはまあ来年度の概算要求なり、あるいは理事長人事にあわせてとか、こういうことになると思いますがね。
(問)事業仕分けの件で、改めてなんですが、科学技術の点についていろいろな意見が上がっていますけれども、30日にも開かれる行政刷新会議の親会議の中で、仕分けの結果が変わるという可能性についてはどうでしょうか。
(答)ちょっと予測がつきがたいですね。
(問)変わることもあり得る。
(答)何たって理系4大臣が内閣の主要ポストにいますので、私にとっては、理系4大臣中心にどういう問題提起が出るのか、出ないのか、わかりません。
(問)そういう意味で言うと、菅副総理は行政刷新会議のメンバーなのでそこで意見が言えると思うんですが、例えば厚労大臣であったり、経産大臣であったり、ボードメンバーに入っていない閣僚もいると思うんですが、そこの差というか、入っている人はそこで変えられるんだけども、入ってない人はその後折衝になってしまうという差についてはどう見ていらっしゃいますか。
(答)今おっしゃられた話は、総合科学技術会議を菅副総理が持ってらっしゃるわけだから、基礎研究について誰が代弁するのかというのはありましょうけども、今のお話は、基礎研究ももちろん前提にあるんだろうけども、経産省とか、厚労省という話になると、より実践的な方向ということになるから、それは菅副総理のところが十二分に賄えることになるんだろうと。
(問)すみません、科学技術じゃなくて、ほかの分野について厚労省の管轄所管分野の問題で、例えば判定を変えたいというような意思表明が、ボードメンバーじゃないとその場ではできないと思うんですけれども。
(答)それは自主的に何かをおっしゃるかどうかでしょうね。それから、その後には査定もあるわけですから。だから、政治的な判断を加える査定なり、何なり、そこでこういうことを主張したいというんだったら、自主的に意見が出てくる可能性もありますよね。
(問)そうすると、基本的に仕分けの結果が変わる可能性があるのは、査定なり、その後の閣僚折衝なりという場でというふうに考えてよろしいですか。
(答)変わると言ったって、皆さん方がどういうイメージをしているのか、ちょっとよくわからないけれども、何らかの意見がつくことは十二分にある得るんじゃないでしょうか、ごく一部についてはですね。
(問)それは行政刷新会議の場でということですか。
(答)はい。それは、片山議員にしても、それから草野議員にしても、稲盛議員にしても、それから茂木議員にしても、非常に熱心に御覧いただいているようですし、雰囲気も十二分に体得して、さらにその上でそれぞれの御見識に従って、この点をもうちょっと聞いてみたいとか、詳しい事情を知りたいとか、あるいはその上で、これは私の考え方では、こういうふうな前提で査定をしてもらいたいとかいう意見がつく項目というのは、出てくる可能性は全くなきにしもあらずだというふうに私は頭の中で推測していますけれども、いざ現場でどうなるか、ちょっとそれは予測つきがたいですね。
(問)改めてなんですが、今回仕分け対象にならなかったものについては、どのように対応されていくおつもりなのかということと、もし削減対象になるとすればどういったプロセスでいつごろに……。
(答)それは、我々のほうで今から仕分けするわけにいきませんので、この間申し上げたように横串を刺してありますから、そこは査定当局と要求官庁というか、要求者側の間でのネゴシエーションというか、折衝の中で決まっていくんだろうなと思いますね。
(問)従来の予算編成のプロセスに近いような形。
(答)まあそういうことでしょうね。ただ、横串を刺してあるし、藤井財務大臣が相当程度公開するって言っているわけでしょう。相当程度なのか、全面的になのかどういう公開の仕方するのか知りませんけども、そもそも財務省のほうもあまり公開で査定をしたり、要するにプロセスを見せるということをあまり得意としないというか、好んでないという状況があったんですが、今回、公開のもとでやってみたら、ある意味でこれは国民にとっても予算編成に対する参加、といったって直接の参加ではないわけですけども、参加意識というか、関心を非常に呼んで、予算が国民のものになると言ったら、またまたちょっと大袈裟かもわかりませんけれども、そういうところに近づいていきつつあるということは財務省も評価されているやに聞きますので、それはその過程も従来とは違った透明度が出てくるんではないかと私は思っていますけどね。
(問)刷新会議の決定と査定の関係についてなんですけれども、刷新会議は総理が議長という立場です。そこで合意のもと決定したことが、査定で再びひっくり返るとか、違った結論が出るとかということもあり得るということなんですか。
(答)抽象的には全くなきにしもあらずでしょうね。それから、もちろん総枠があるわけですから、総枠が。これは閣議決定に至る前の閣僚委員会の中でも、その総枠決定に沿って、それこそ極論すればですよ、事業項目それぞれについてね、優先度をつけていって、今回は断念してもらおうとかというようなことだって、私は今回の予算は起こり得ると。だから、景気動向を横目でにらみながら、しかしボンドマーケットをまた反対の目でにらみながらですよ、そして将来の債務残高のことも頭の奥に置きながら、総枠を決定しなければいかんわけですから、その中に収まるようにしようと思ったら、それは多分、大胆な、事業仕分け的な何割見直しとか縮減とかっていう話を超えた話も最後の予算編成のところでは出てくる可能性があるんじゃないかと私は見てますけどね。
(問)民主党側から、例えば輿石参議院議員会長が事業仕分けを批判したりですとか、不満の声も上がっているようですけれども、何らかの段階で党に説明ないしは意見交換のようなことをすることはあるんでしょうか。
(答)いやあ、だけど、私は輿石先生がそんな批判していると思っていませんけれども。新聞紙上ではそう書いてあるところもあるし、大変評価しているというふうに書いてあるところもあるし、喜んでいるということを書いてあるところもあるんで、言葉の端々をとらえて、物事の分岐というか、バトルを大きくしたい方々もいらっしゃるんだろうけれども、私はあんまりそんなふうには考えていません。ただ、個別にいろいろ受け付けていたら、それは容易ならざる話になるんで、それは我々の仕事ではないと。むしろ査定段階で堂々とおっしゃっていただくものはおっしゃっていただくということが基本じゃないでしょうか。
(問)横串の話で、中抜きというのを大臣はよくおっしゃいますが、途中で消えてしまうお金。こういうものは構造的な問題から出てきているような気もするんですけれども。今回、仕分けで一つ一つ出てきたことを横串で各省の主導のもとにやることにどれだけ実効性があるのかという懸念もあるかと思うんですが、その辺どう取り組んでいくのか。
(答)だけど、財政が財政ですからね。だから、家庭のやり繰りを考えても、使えるお金の総額が少なくなれば、やり繰りをして、要するにお父さんがパチンコに持っていっていた中抜きしていたものが使えなくなるというふうな、上から絞ることによって、そういう使い方についての工夫が出てくると。無駄が削減されざるを得ないという効果もあると思いますね。つまり、それが規律だと思いますね。それが、こういう財政とか、経済とか、マーケットという関係では、正に市場による規律、ボンドマーケットによる規律性が出てきたり、それから、もちろんトップリーダーの号令一下の規律性が出てきたり、どうもやっぱり、むしろ絞っていけば規律性が高まるということもある種の真実だろうなと、私はいろんな会社の経営とかね、見ててもそう思いますね。
 だから、仕分け作業なんか見ていると、やっぱりちょっと欺瞞的ゆるゆる状況が、依然として危機感のないゆるゆる状況の中でこんなことやってるのという話は、どうもあるような気がしますから、それはそういう横串でそんなことは許さないよということを、査定当局が、今回はまあある種こういう言い方してはなんだけども、公開の仕分けによって国民の声が査定当局を励まして、そして有益なというか、効果的な予算項目というか、事業項目の組み替えにつながるようなことができれば、それはそういうことしかないのではないかという気がしますけど。
(問)先ほど事業仕分けを超えた大胆な話にもなってくるんじゃないかとおっしゃられていましたけれども、それはどういうことを想定しておっしゃられたんでしょうか。
(答)これは極論で例えばの話だけども、仮に数字が85兆円という総枠予算にしたときには、シーリング的に物すごく切るのか、あるいは優先順位つけておいて、下からもうどんどんどんどん、これはもう今年は見送りみたいなことでやっていくのか、これこそ大政治判断ということになりますね。あるいは100兆円の予算を組むんだったら、もうちょっとゆとりが出てくるという、たとえ話だけども、そういうことを頭の中で想定をしておるわけです。

(以上)