仙谷大臣記者会見要旨 平成21年11月17日

(平成21年11月17日(火) 9:16~9:45  於:内閣府本府5階522会見室)

1.発言要旨

 おはようございます。
 閣議の報告をいたします。
 まず閣議前に、予算編成に関する閣僚委員会が開かれまして3点合意されました。詳細は菅国家戦略担当大臣のほうに御確認ください。
 それから、そのことが閣議に「予算重点指針」として報告をされまして、総理大臣からも予算編成及び新たな経済対策についてということで発言がございました。これも官房長官か、菅副総理のほうからお聞きいただければと思います。
 それから、私のほうからは事業仕分けの協力依頼を重ねてしたと。皆さん方も御承知のように、本日で事業仕分けの一応第1クールといいましょうか、第1段階が終わるといいましょうか、一応最終日という予定になっておりますので、ここまでの各府省各大臣の御協力についてお礼を申し上げました。感謝を申し上げました。
 そして、改めて各府省担当者は、ある種の複雑な感慨をお持ちになっていらっしゃると思いますけども、事業仕分けの趣旨を改めて申し上げました。つまり、初めて予算編成のプロセスの中で事業シートをつくり、これを広く国民の皆様方に提示をして、透明化して、事業そのものの必要性、妥当性、効率性、有効性というふうなものを議論をオープンにしているということに最大限の意味があると。そして、また今までの専門家、つまり財務省と各府省の事務方ということになりましょうが、そういう専門家と称する方々以外の外部の視点を取り入れて、予算事業の見直しを行っておるということにも意義があると思うと。
 それから、執行の実態について、昨日も報道ステーションで、港湾のほうの神戸港の予算執行が全然はかどらずに、いわば隠し金みたいに、つまり埋蔵金のようになっているという報道がございましたが、その種の予算執行の実態について現場の目線でチェックというものをやっているということで、ある意味で、大変意義のある取組をさせていただいておるということを改めて諸官庁の、ある種分担管理者である各閣僚の皆さん方にも御理解をいただきたいということであります。
 それから、予算査定との関係では、対象となっていない事業が多いわけでありますが、これについても類似性や共通性ということで仕分けの結果を踏まえて、その考え方を踏まえて、やっぱり国務大臣として、厳正に改めて査定をしていただく必要があるとお願いをしました。
 行政刷新会議においても、そのための考え方を整理してお示しをしたい。いずれにしましても、平成22年度予算が筋肉質の歳出構造をつくっていく必要があるということで、事業仕分けに御協力をいただきたいと、そして、国務大臣として徹底した歳出の見直しに取り組んでいただきたいということをお願いしました。
 その後、財務大臣からもこの事業仕分けの意義についてお話をいただいたというところでございます。積極的に事業仕分けに協力をしたいというお話があったということでございます。
 あと、自殺対策白書の決定等々もございましたが、それは福島内閣府特命担当大臣からお聞きいただければと思います。
 私のほうからは、そんなところです。どうぞ。

2.質疑応答

(問)今日の午後の事業仕分けについては、国会議員の方が1人も入らないワーキンググループもあるのですが、大臣はこれについては問題がないとの御認識でしょうか。
(答)あろうが、なかろうが、やるしかないと思っています。
(問)予備日を使うという選択肢は……。
(答)予備日といいますと。
(問)予備日を設定していますよね、もしも日程がずれた場合とか、あとは事業仕分けがはかどらなかったとか、延びた場合に。
(答)ただ、今度は他の仕分け担当者のほうの日程がうまく調整できるのかということがありますから、まずは設定した日程どおりやるということでございます。
(問)もともと国会議員の方は専従でやるということになっていましたし、民間の方は人数も変わったりしていますから、責任の所在が不明確になるのではないかという。
(答)責任はすべて私が負っていますから、責任の所在が不明確になるということはありません。
 専従・専念の話ですが、専従・専念にもかかわらず、もし国会を、本会議を、とりわけ今日の本会議は、相当白熱した本会議になると思いますけども、そこに不在で、特に採決もあるわけですから、不在で仕分けに臨んでいるという事態は、皆さん方が何とお書きになるかということを考えれば、これはまた火を見るよりも明らかで、それはもうどちらかを選択せざるを得ないということになります。
(問)民間の方だけで仕分けの結果を出すということについては、全く問題がないと。
(答)全く問題ないと思います。
(問)それはなぜでしょうか。
(答)私が責任持っているからです。
(問)ただ、もんじゅなどの原子力関係については、今日時間をずらしていますけれども、それはどうして時間をずらしたんでしょうか。
(答)それは、もし国会議員が参加できる可能性があるとすれば、そういうふうにしたいということじゃないんでしょうか。それは事務当局の事務局長の配慮だと思いますが。ただ、それとても、本会議、あるいは国会の活動自身も生き物ですから、それはせっかくずらしていただいても、国会議員が参加できるとは限らないかもわかりません。
(問)政治的な判断が必要な事業だという考えではないんでしょうか。
(答)それは、もしそうだとすれば、政治的な判断はボードで行うか、その後の査定で行うということでいいんじゃないでしょうか。
(問)今後の手順について確認したいんですが、まず第1期でやったものが行政刷新会議の本会議で報告されて、その上で、そこでそれを行政刷新会議の方針として、了承、決定という流れになるんですか。
(答)そこでは当然議論が行われると思いますね。事業仕分けについて、行政刷新会議の皆さん方の見識のもとで考えると、これはどういうことなんだという議論も当然なされなければいけないと思います。つまり報告がされて、当然のことながらそれをそのまま判を押すという話ではありませんね。そこは各省メンバーの大臣もいらっしゃるし、それから見識のあるボードのメンバーもいらっしゃるわけですから、それはその皆さん方の見識に基づいて、これはこうじゃないかと。だから、それを機械的な報告、決定とか、そういうことにするつもりは、私はありません。
(問)議論した上で、多少中身が変わっても、19日めどなり、その日の会議で一応その上がってきたものは、刷新会議としてはこういう方針ですということは確認されるという理解でいいですか。
(答)行政刷新会議のその段階での意見、考え方はこういうものですということは、一定の方向性がある結論を出して皆さん方に開示すると、こういうことになろうかと思います。
(問)それはそのものについては、その方針で、もう財務省の査定に入ってもらうという形になるのでしょうか。
(答)その方針でというか、それを財務省が査定に当たって極めて重視をしながらというか、使っていただきながら、さらにその上で査定というか、予算の総枠の中でどう考えるかと、こういう話になると思いますね。
(問)先ほどおっしゃった刷新会議の親会議での第1段階の決定の性格がどういうものかということなんですが、刷新会議として、これは廃止、これは削減すべきということを意思表示、決定するのか、それとも刷新会議の結果を踏まえて、内閣は予算削減に努めるべきであるというような、ちょっと緩やかなものになるということもあるんでしょうか。
(答)無限大に予算総額が使えるんであれば、一つの重要参考意見ぐらいの話でいいのかもわかりません。だから、そこのところは閣僚委員会の中で改めて考えるということにもなると思いますね。
(問)そうすると刷新会議としては、これは削減すべきだということをきちんと意思表示すると。
(答)そう言う部分もあるし、含みのある部分も出てくるんじゃないでしょうか。
(問)これは、こういう結果出たので、これを踏まえてくださいというような要求だけの場合もあると。
(答)あるいはちなみに、行政刷新会議の大方の意見としてはというか、多数の意見としてはこういう考え方が示されたと。ややニュアンスが違うとか、方向性がちょっと違うとか、程度問題としてこうだとかということは当然のことながらあるんじゃないでしょうか。
(問)個別意見に付すというような趣旨で。
(答)個別意見を付す場合もあるんじゃないでしょうか。
(問)関連なんですけれども、その刷新会議の親会議では仕分けの対象になった事業以外にも、先ほど類似性のものとおっしゃいましたけれども、類似性のものもこうしてくださいという考え方も示されるという理解でいいんでしょうか。
(答)今は中間報告の話を申し上げたのですが、それは一応来年度予算要求との関連での事業仕分けが終わった段階、第2段階が終わって、その次の段階では、当然のことながらそういう話ですね。つまり普遍化した話というか、そのことを例えば査定当局、あるいは各府省各大臣に対する要望というか、協力依頼として、そういう方法を示すということは十二分にあり得るんじゃないでしょうか。
(問)今回、事業仕分けの意義について、透明性ということを一番におっしゃられまして、一方で機械的に決定するわけじゃなくて、政治判断もあり得るということをおっしゃっていましたけれども、国民の目に見える形で議論して決まった結果について、一方で政治判断もあり得るというのは、ちょっとわかりにくい気もするんですけれども、その辺どういうふうに整理されていらっしゃいますか。
(答)それは政治がやっているわけだから当然のことじゃないですか。そこではその政治判断を下した政治家なり、その組織というものがあれば、政治責任をかけて政治判断をしなければ、それはどうにもならないんじゃないですか。そういうものでしょう、政治って。
 だから、極論すれば、皆さん方がやっていただいている世論調査がこうであっても、それは現時点での多数がこうだと。であっても、私どもはこう考えるので、皆さんこういう理由でこういうふうにしますから御理解くださいと、御支持くださいというのが政治だと僕は思っていまして、それはいいか悪いかわかりませんけども、郵政民営化のときに小泉元総理大臣がなさったのは、そういうことですよね。
 少なくとも、選挙では、その政治判断はその直前の世論調査に反した少なくとも少数派だったと思いますけども、それでも選挙では、それで勝って、その後、今の事態に至っていると、こういうことだと思いますから、それはその政治判断がそういう政治判断をしたときに、極論の、極限化して考えると、それは正しいかどうかというのは、短期的に正しかったかどうかというのも評価されるし、中長期的にも正しいかどうかというのも責任を問われるし、それから、もうちょっと長い歴史的なスパンの中でどうだったかというのも、当然のことながら問われる。それを覚悟して我々がやんなきゃいかんと思っています。
(問)その政治判断の過程なんですけれども、仕分けの結果、刷新会議の結果と違った結果が出たときに、最終的に。その段階で誰がどういうことを主張して、なぜ仕分けの結果が刷新会議の中で変わった、あるいは、閣議決定の段階で変わったということは、過程は明らかにされるんでしょうか。
(答)誰がというのはともかくとして、プロセスは明らかにするし、その説明責任も非常に重要だと思いますね。
(問)3点ほど。まず一つ確認なんですけれども、一番初めの大臣の発言ですが、閣僚懇での発言ということでよろしいのかと。
(答)おっしゃるとおりです。
(問)総理からの発言は、特段それについてはありませんでしたか。
(答)総理の発言は今日はございませんでした。
 閣僚懇談会での総理大臣の発言の中で、行政刷新会議における事業仕分けが始まり、予算編成作業が本格化してまいりました。将来世代のことを考えれば、財政規律を守っていくことは内閣としての重大な責務です。すべての予算を組み替え、新たな財源を生み出すことが必要です。私自身も先頭に立って歳出削減に取り組む覚悟でありますので、各大臣におかれても、「我が省」ではなく、「内閣の一員」という意識を持ち、査定大臣としての役割をしっかりと果たすようよろしくお願いいたしますということが、関連部分といえば、関連部分であります。
(問)あと今回の事業仕分けですけれども、今年度の予算の一部について今やっているわけですが、今後、事業仕分けというものを継続的に続けられていかれるお考えなのかどうかということと、あと、5日間終わって、4日までだとNHKの集計では凍結や削減とされて事業が少なくとも4,000億円近くいっているわけですけれども、作業チームの働きをどう見ていらっしゃるのか。
(答)それは皆さん方、事業シートを読んで分析していただければいいのですが、皆さん方、お一人お一人が各コマの事業仕分けのやり取りをお聞きいただくということは不可能だからそこまで申し上げませんけども、私どもも不可能だから、それは克明にビデオを見ればできないわけじゃないんでしょうけれども、それはまあ不可能です。ただ、このエネルギーはすさまじいし、すごいなと思って感心、感嘆しながら私は拝見をしております。
 何よりも、ここまでオープンにしたということは、日本の歴史の中で初めてですから、どういう好影響が、あるいはデメリットが出てくるのか、ちょっとわからないところはありますけども、現実には。ただ、政治と国民の関係、あるいは、税金の使い方、使われ方とタックスペイヤーの関係という意味では、このある種の百家争鳴の状況というのは、私はやっぱり本当に日本の政治文化を変えるんだろうと思いますね。
 先般から申し上げているように、お茶の間や居酒屋や各職場や電車の中やプラットホームで、このことについての会話がなされるだけでも、これは相当なもんだと思っております。
 したがって、多分、各自治体にも伝播せざるを得ないだろうと思いますし、それから国会も含めて議会の行政監視のあり方にも、予算の編成の仕方、あるいは予算の使われ方についての決算的な監視の仕方についても、これから国民の間では、議会人がどこまで反応できるかはともかくとして、国民の間では、各地域隅々まで、もったいないとか、無駄だとか、あるいはけしからんとか、そういう議論が巻き起こってくるということを大変期待をしております。
 プロセスというか、過渡期にはやっぱりそういうことがまずはオープンにされて議論されるということが何よりも大事なことで、それをどこに集約していくかというのは、正にリーダーシップ、あるいは政治力の問題だと私は思っております。
(問)事業仕分けの今回の中で、地方の判断に任せるとか、地方に移管するというのが結構結果として出たんですけれども、その財源が地方に任せた場合に、財源をどうするのかというのは、誰がどの段階で判断するのかということと、あと廃止になったものの中には、3年計画や5年計画とかで既に地方で動き出しているものもあるんですけれども、それもバスっと廃止という結果が出たものについては廃止になるのかというのをお伺いしたいと思います。
(答)昨日、地方6団体との協議がございました。私、申し上げたのは、その中で法律的に、制度的な問題として、補助金として、今、補助事業として行われているものについては、これは当然のことながら制度改正ということになりますから、その財源手当をどういう割合で行うのかということを考えなければならない。特に過渡期においては、そういうことが必要だろうというふうに考えておりますし、そういうふうに申し上げました。
 ただ、問題は、今、皆さん方がおっしゃった3年計画、5年計画とおっしゃるんだけども、これが何の法律的な根拠もない押しつけ自治事務みたいなものが、この間、物すごく多いですよね。自治事務というのは、やるかどうかを地方が自分で主体的に選択できる事務であるはずなのに、何の法律的根拠もなしに、「金やるから、こういうやり方でやれ」ということをやっておるわけですね。僕らに言わせれば、ひもつき押しつけ補助金による押しつけプロジェクトですよね。この種のものは、分権論の感覚からいって、私はあり得てはならないという論者です。したがって、そのことを一括補助金として、一括交付金としてくくるか、その中に含ませるかどうかというのは、これまた別の問題だと考えております。だから、機械的に一括交付金の中に丸めて入れて、それを地方で分けてもらうという話になる部分とならない部分があるのではないかと。事業ごとにそれこそ精査しなければいけないんじゃないかと思っております。
 基本的に、皆さん方もお感じになっていると思うけども、例の三位一体改革のときも、過剰な保護とか、過剰な介入がですね、地方に対する国の、これが大問題だというのが分権論の出発であったはずですよね。ところが霞が関のほうも、僕に言わせれば、補助金の削減じゃなくて、補助率の削減にして、ひもだけつけて、お金は従前よりも少ない補助金しか渡さないというのが、これが地方の不満でもあるわけですね。
 それならば、ちゃんとした権限も財源も税源も移譲するかわりに、自由に本当に自主的にやってくださいということにならなきゃいけないはずですよね。ところが、この間行われてきたのは、自治事務だから本来はあなた方自由にやってほしいんだけども、10分の10の補助金出すからどうと、それだったらいただけるものはいただきますという、ここがもう法治国家にあるまじき関係になっていると。これが果たして分権なのかどうなのかというのが僕の疑問で、昨日もそのことをちゃんと地方6団体の方々に申し上げました。これは再整理が必要だと、事業ごとの再整理も必要だし、この関係を、国と地方の関係を、改めて地方政府と中央政府の主体的な法律に基づく関係に直さなければ、あるいはそれをつくっていくプロセスがなければ意味がないと思っています。お金の問題だけじゃないと思っています。
(問)その再整理というのは、どこでやることになるのでしょうか。
(答)それは地域主権戦略会議でやるんじゃないでしょうか。私も参加しています、メンバーですけれども、当然そこでやることになると思います。
(問)仕分けの日程が国会の日程と重なった場合について、国対から何らかの指示があったのかということと、政治家の仕分け人の位置づけについて、大臣はどのようにお考えでしょうか。
(答)最後のほうから言えば、私のほうからお願いをした政治家としての持ち分での仕分け作業に対する参加ということです。
 それから、先の問題は指示はありません。ちょっとした打合せを私のほうでしました。
(問)国対委員長と打合せをしてそういうふうに……。
(答)国会、本会議を優先するという。
(問)先ほどの質問に関連してなんですけれども、来年以降も国として事業仕分けは継続される。
(答)私は、来年以降というよりも、残った事業を皆さん方はイメージとして、割と紙面とか画面の論調は、そして各省庁の論調は、仕分け対象になった瞬間に、これは予算額の削減とか、事業の廃止とか、縮減とか、縮小とかにつながるという何か連想ゲームがちょっと激し過ぎるんじゃないかというふうに、この間も見ています。
 仕分け対象になった際に、昨日も何かもっとやれというか、このままでいいというのも答え出てきていますけれども、私は国民の皆さん方に、この事業一つ一つを見ていただくと。やり方も見ていただくと。そのことによって、いや、もうちょっとこんなシャビーな予算じゃなくてつけたらどうだという意見が出てきてもいいと思っているんですね。
 公共サービスとして、国民の目の前に立ちあらわれる事業が、国民生活にとってどういう意味を持つのかと。そのことについて国民の皆さん方がどういう負担をしているのかということがよくわかるというのが、そしてそこで国民の皆さん方が選択権を行使するというのがやっぱり最も大事なことですから、私としては当然のことながら3,000事業あるんだったら3,000事業をすべて仕分けの対象にするぐらいの勢いでやっていったほうがいいのではないかと、やるべきだというふうに考えています。

(以上)