仙谷大臣記者会見要旨 平成21年11月13日

(平成21年11月13日(金) 9:11~9:29  於:内閣府本府5階522会見室)

1.発言要旨

 おはようございます。
 今日の閣議でありますが、地方分権改革推進委員会の第四次勧告が出ました。それを受けて、民主党としては、地域主権戦略会議が設置されることになったということであります。この行政刷新もそのボードメンバーに加わるということでございます。
 それからもう一つは、会計検査院の平成20年の決算検査報告が出まして、私もまだつぶさには見ておりませんが、2,300億の不当事項等々もあり、かつ埋蔵金的な基金が1兆円に及ぶのではないかと。これはできるだけちゃんと政府のほうに戻していただくようにしなければならないということを総理大臣、財務大臣から御発言もございました。
 現在行っております事業仕分けで指摘され始めましたこの基金とか、さらには特別会計の問題にも5日間の事業仕分けで踏み込んでいくと思いますので、それが相当程度明らかになった段階で、どのような意見を我々がつくっていくかと、あるいは今後の方針をどうするのかと、あるいは来年度予算にどう生かせるのかということを考えてまいりたいと思っておるところでございます。
 もう1点、皆さん方に先般もお願いしたわけでありますが、独立行政法人役員の公募でございます。前回の段階から、11月12日17時現在の公募、28法人50ポストだったわけでありますが、今の段階で24法人42ポストに107名の応募が来ているということでございます。
 したがいまして、10日の会見で申し上げて、皆さん方もお書きいただきましたので、こういうふうに増えてきたということでございます。
 さらに、皆さん方に、私が前回、能力がある方でも、会社の社内人事でラインから外れたりされている方に是非この50ポストが待っているということで応募をしていただきたいとお話ししましたが、徐々にそういうお気持ちになっていただいている方も増えているのかなと思っております。「競争に敗れたら独法役員になろう!?」という、こういう失礼な見出しをつけた新聞社もありますけれども、そうじゃなくて、皆さん方もお一人お一人おわかりになっているように、組織というのは、必ずしも自分の力が発揮できるようなポストにいつもいつも就けるわけではないことは、皆さん方も御承知だと思うんですね。
 特に、ある種の年齢を超えた場合には、これはポストには限りがありますから、本意ならないポジションに就く方、あるいは能力が必ずしも生かされないポジションに就かざるを得ないという、これは組織の論理としてそういうことが起こってくるのはやむを得ないことなんで、それはやはり人材活用という点からも、組織の活性化という点からも、それぞれが闊達に水平移動するというか、そういう世の中というか、時代というか、システムができたほうがいいと思っているから申し上げているわけです。
 よく御理解の上、さらに、このことは、私も本当に最近考えると、日本の社会を縦割りで固定化する構造を変えるしかないんだ、この国を活性化、もう一遍元気が出る国にするのはそれもひとつ大きい方法だと本気で思っておりますので、ひとつ御理解をいただいて報道をお願いをしたいなと思っております。
 今日は以上でございます。
 御質問ございましたら。

2.質疑応答

(問)先ほどの基金の話なんですけれども、昨日の段階でも多くの基金なり特会の積立金の指摘がありましたが、早ければ来年度予算の中でそれを一般会計の税外収入なり、そういう形で財源にするというお考えはありますか。
(答)実は、独立行政法人については、独立行政法人通則法の改正案が前国会でも出ておって、この種のものを返納させるべく手続規定が盛られておったようです。これが通常国会という格好になりますと、来年度予算に間に合わせるために、通常国会でどういう法律技術を使えばスムーズにできるかということに検討作業に入っております。
(問)それは来年の通常国会でそういう改正をして、そういう環境を整えるということですか。
(答)そうですね。昨日、野田財務副大臣もそうしたいみたいなことをおっしゃっておるようですから、これは財政当局とも、あるいは行革的な観点はこちらですけども、それをやりたいと思います。
 ただ、独法だけでいいのか、今日の報道ぶり等々、あるいは事業仕分けの関係からいうとですね、公益法人、政府関連公益法人のようなところも対象にすべきだということになると思いますので、その法的な仕組みも早急に考えて、できるだけ来年度予算に間に合うようなことにスピードアップをしなければいかんなと思っています。
(問)ちょっと事業仕分けの件で、そもそも論も含めてですけれども、一つは、閣内から時間の短さなんかを懸念して、仕分けのあり方についてちょっと異論が出たりしていることについて、閣内からの異論ということについてどう思われるかという点と、あと、政務三役の役割として、そもそも概算要求を要求した側だということと、仕分けの評価者として入ることになっていたと思うんですけれども、実際の評定・判定には加わっていないという現状がありますが、そういう点で政務三役の現状というか、役割というか、どうお考えですか。
(答)これ、限られた時間内で初めてのことをやっているわけですから、細かい点でいろいろ改善点、改良点というのは問題提起があってしかるべきだと思います。
 ただ、昨日も毎日フォーラムで申し上げたんだけれども、やっぱり全体としてというか、大きい意味では、やっぱりこの予算編成というか、税金の使い道について、国民の前にこれだけ明らかにして手続が進むというのは、政治の文化大革命だと僕は言っているんだけども、そのぐらい大きい意味を、我々が考えていた以上の大きい意味がやっぱりあるのかなと。
 例えば、今日の新聞報道等を見て、今日のサラリーマンの方々が、あるいは家庭でテレビを御覧になっている方々も含めて、あるいは子供たちを保育所や幼稚園に送っていって、帰り際、お母さん同士でですね、やっぱりこの種の話題、つまり税金の使われ方あるいはため込まれ方みたいな話が話題になるとすれば、日常会話でですね、これはもう大変な大きな政治文化を変えることになると。だから、大筋では私は、我々にとっても大変な話ですけども、大変意義のある試みであるというふうに思います。
 そこで、今さっきおっしゃられた問題は、仕分けの対象、方法等々について、これから各官庁からも問題提起されると思いますので、それは丁寧に、それを議論の対象に、つまりボードの議論の対象に一度はしてみる必要はあると思っています。
 それから、各省庁の政務三役の役割ですけども、お気の毒と言えばお気の毒というふうに言ったほうがいいのかもわかりませんが、ただ、今年の、今の概算要求自身、やっぱりそうは言っても政務三役が個別に、主導的に自らが事業仕分け的な発想で厳しく見て積み上げてこられたものではない。つまりそんな時間はなかったであろうと。
 したがって、麻生政権時代につくられた概算要求が相当下敷きになっているんだろうなあと。ここは私は半分同情すべき余地があると思って見ておるわけでありますけども、そういう中で、この財政状況あるいは行政刷新会議という新しい組織で事業仕分けが始まったということで、ハムレットのような心境にそれはなられているんだろうと思います。そういうことですから、あえて評価者に、評価を求めないということにしてあるわけです。
 ただ、ここまで2日間でありますけれども、いろんな人のお話を聞きますと、やっぱりこれは今のやり方にさらに加えて、政治家がもう少し仕分け人に加わって、政治家が一般的な意味ですけども、政治家がもう少し評価側に立つ、あるいは注文をつけるという作業をしたほうがより効果的なのかなあという気はします。つまり、民間人に何の権限があるんだみたいな話が報道等々で、各官庁の説明者と言われる方々からそういう不満というか、出ておるところを見ると、それじゃあ政治家だったらよろしいんでしょうかという話になるんだろうなと、そんな感じを持っております。
 もう1点、どうぞ。
(問)今日、地方交付税交付金についての議論がされますけれども、こうした制度ものについて、来年度の予算にはすぐに反映できない部分が相当あると思うんですけれども、改めて意義をちょっと。
(答)それは、地方交付税交付金というものがどういうものであるのかということを国民の皆さん方に知ってもらうということがまず一番大きいんじゃないかと思います。
 よく言われているように、自治体間の財政調整にとどまらず、基準財政需要の保障、財源保障みたいな感じに一方でなって、さらに裏負担とか何かわけのわからん個別補助金的な要素がかなり現在色濃く出てきているという、本来の交付金、交付税との趣旨から相当離れてきているんじゃないかと。
 ただ、反対から言うと、これなしでは自治体運営ができないという地方公共団体が増えているという実情もまたこれ一つの事実ですから、ここは国民の皆さん方によくこのことこそ考えていただいて、現在の自治体から受けている行政サービス、公共サービスを維持するとすれば、誰がどのようにどこで負担をしなければならないのかという、このことの問題提起にしていただくということが私は最大の課題というか、意義だと思っております。

(以上)