仙谷大臣記者会見要旨 平成21年10月1日

(平成21年10月1日(木) 16:16~16:34  於:内閣府本府5階522会見室)

1.発言要旨

 どうもお待たせしました。
 閣僚懇談会が、議論が白熱して長引いて、皆さん方をお待たせして申し訳なかったと思います。
 まずは、閣議に先立って、新型インフルエンザ対策本部の会合が開かれました。これは、厚生労働省、あるいは官房長官から発表されると思いますが、あえて私のほうでその場で対処方針等々の報告がなされた後、発言の機会があったものですから申し上げたのは、軽症の方々はあまり病院なり医療機関、開業医のほうに行かないでほしいことを誰かがちゃんと言うべきだと。つまり、コンビニ受診を控えようというコンセプトが非常に重要だと。
 厚生労働省の方針でも、重症患者の治療を適切に施す体制を作ることが重要だと、こういうふうに言っているわけですが、今の小児救急、とりわけ外来ですが、休日、深夜の状況なんかを見てみると、そこで適切に行われている医療機関に、小児医療を無料化しているところもあって、殺到するんですね。そうすると、そこの現場はもう完全にパンクして、本来、そういう二次救急医療の相当高度な治療の技術とか水準を持っている医療機関が、本当に必要な重症患者を診ることができないというふうな事態に今なっているのが医療現場です。それが医療の危機です。それが長期間続くとバーンアウトして、ドクターも医師も看護師さんもバーンアウトするという事態になっていますので、できるだけ日本の医療水準を守るためにも、それから本当に治療の必要な重症患者に適切な医療が行われるためにも、そのことは今度のこのインフルでも、是非必要だというふうに思います。
 体制として申し上げたのは、保健所かコミュニティセンターのようなところに、検査とそれからワクチン接種と、それからタミフルをお渡しするならお渡しする、つまり治療でありますが、これの場所を作って、ここに病院のドクター、看護師、それから開業医の皆さん方の、つまり医師会ということになりますが、その方々の協力を求めてローテーションでそれができるような臨時の場所を作って、そこに軽症の方々も含めて行っていただくということをすべきだということを申し上げておきましたので、皆さん方にも御披露をしておきます。
 それから、閣議でありますが、これは人事案件のほかは、例の質問主意書の問題、それから平成21年度一般会計予備費使用について、閣議で決定がされました。
 この一般会計予備費使用は、例のそれこそ新型インフルエンザ対策の費用でございます。官房長官のほうからも、あるいは厚生労働大臣のほうからも報告があると思います。
 その後、閣僚懇談会になりましたので、まず私のほうから、平成21年度第一次補正予算の執行の見直し等について発言を求めて、要求大臣ではなくて、査定大臣という意識を持っていただいて、この第一次補正予算の執行の見直しを厳しく行っていただきたいと改めて申し上げました。
 それから、平成20年度予算の概算要求についても、マニフェストの工程表に掲げられた7.1兆円の主要な事項を実現させるための財源の確保に全身全霊をかけて取り組んでいただきたいということを申し上げました。
 さらに、この補正予算の執行、22年度予算の概算要求については、鳩山内閣に対する各大臣の貢献度の問題だということを申し上げて、概算要求についても、21年度当初予算よりも減額された要求が提出されることが基本であると考えておりますので、既存予算の見直しに最大限の努力を傾注していただきたいということをあえて申し上げたところでございます。
 以上です。

2.質疑応答

(問)その補正の見直しに関してですけれども、藤井大臣は総額数兆円は執行停止の対象になるべきだという趣旨の発言をされていますが、大臣としてはどういう目標を考えておられるかということと、ちょっとついでで恐縮ですけれども、大臣の所管である国立公文書館の5億円というのもありますが、これの対応もあわせてお願いします。
(答)まず最初の問題は、これは出てきてからの勝負だと思っています。数兆円、軽々しく言えるようなことではないと思っています。
 それから、公文書館の予算については、下から上がってきていませんけれども、多分今年度の補正予算分を留保するか、あるいは停止をするか、そういうことになるのではないかと。私どもにとっては、不要不急ではないというふうには、私には考えられないと、こういうことであります。あればあったほうがいいということは、公文書管理が日本において極めて遅れているという観点から、早急にやったほうがいいということは、私はそう思いますけれども、今度の見直しというのはそういう観点ではなくして行っているという理解です。
(問)先ほどの新型インフルエンザ、大臣の御発言、御提案に対して、総理、厚生労働大臣から何か発言があったのか。
(答)総理のほうからはありませんでしたけれども、厚生労働大臣のほうからは、これから体制をつくっていくについて、これは国の事業として行うわけでありますけれども、さはさりながら、手足はというか、現場で働いていただくのは、都道府県、市町村のいろいろな施設だったり、職員の方々であったり、それから医師会所属のお医者さんを始めとするメディカルの関係の専門家でございますし、さらには地方に存在する、私が申し上げたような観点から言うと、あるいはそうじゃなくても一般的に、国もしくは公的な経営形態をとっておる病院というのが地方へ行けば行くほど中心でありますから、大学病院も含めてですね。そういう方々に、ちゃんと体制をとっていただくと、参加をしていただくという、正に危機管理の問題として督励をするのは、それは厚生労働省の仕事ですから、厚生労働省は多分私が申し上げたことも忖度して、これからの実施過程においては、具体的にやってくれると私は思っております。
(問)細かい発言の確認ですが、21年度の当初予算より減額された要求というのは、21年度の当初予算の要求額より、当初予算そのものに計上された額より少ない額を要求してこいという趣旨でとらえてよろしいでしょうか。
(答)21年度当初予算よりも減額された要求ということで理解していただければ結構です。
(問)独法の天下りについてお伺いします。
 先般の閣議決定を受けて、理事長、理事クラスについては、早速凍結の人事が相次いできていますが、参与や顧問、ひいては一般の職員レベルまで官僚OBの天下りというケースというのはあるわけですけれども、今後、この顧問や参与の扱いに対する方針というのは検討されていくのでしょうか。
(答)この独法の場合、すべて一概に言えないことがなかなか悩ましい話なんだろうと思います。つまり、せっかく独法になっているということは、公務員の立場で行うのか、国のどんぶり勘定の中で行うのか、それとも独立採算事業体として一つのガバナンスを持って行ったほうがいいのかという、そういうやり方の問題と、そもそもその公共サービスが必要なのかどうなのかという、民間に任せていいのではないかという観点も改めて検討していただきたいし、それからトップ以下の理事の問題というのは、果たして現在の体制で行うことが必要なのかどうなのかということも次の問題になると思うんですね。
 あるいは、理事長以下の役員等、職員もどのような、正にガバナンスでありますけれども、スタイルで行うか、これをやっぱり根っこから検討をしていただかなければならないと。とりわけ運営費交付金、あるいは委託金、随意契約あるいは助成金とか、いろいろな名目で皆さん方の税金が入っているわけでありますから、それは非常に合理的な理由で入っている場合も多々あると私は見ておりますし、それはもう一度洗い直しをいただかなければならないと、こういうふうに思っております。
(問)関連するんですけれども、先般の天下りあっせんの禁止、大きな前進かと思うんですが、一方で同一省庁から何代も続けて再就職が指定席化している問題もあります。こういったものは、あっせんを伴わない、いわばOB同士の個人的な人脈ですとか、そういったことで再就職をなされているケースもあると承知しているんですが、こういった例に対してはどのように対処されますか。
(答)役員でそういうのありますか。各大臣の判断で、当然のことながら、そういう確保された指定席を順繰りに回していくというふうなことは、まずは役員にとってはあり得てはならないというのが我々の立場ですから、そこは公募にかけるということになりますね。ガバナンスがちゃんと確立するような役員選出が行われているかどうかは、これはそこの理事長の責任ですから、理事長に対する監督官庁の、つまり大臣の考え方と指導の問題になってくるんではないかと思います。
(問)特段、何代以上だとか、そういうガイドラインを設けるとかということではなくて。
(答)それは今までの議論の中でおおむね出てきておるんで、2代だったらよくて、3代だったら悪いなんて話じゃなくて、要するに官庁のある種の指定席になっているというふうな話は、これは基本的に許されないと。だから、公募を使って、たまたまそこへ行かれた方が元公務員で、しかし他の公募に臨まれた方よりも、はるかに人品、見識、能力とも優れているという場合は、それはたまたまそこに同じようなポストに行かれたということになるかもわかりませんが、私は本格的な公募をやれば、そういうことは起こる確率は非常に少ないんではないかと、経験上思っております。
(問)予算に関してなんですが、先日の会見で、予算に当たって大臣から早急に指針を出されたいと、それが今回の今日のこの御発言というふうに理解してよろしいですか。
(答)明日、一応補正の見直し部分が出てくるというふうにこちらは考えておりますので、さらにねじを巻いて、今日もある種苦笑をされておった大臣もおりましたけれども、ねじを巻いて、やっぱりここは一昨日ですか、要求大臣から査定大臣へという一つのコンセプトが出ましたので、鳩山内閣全体としてのマニフェスト実現のための財源をつくると、そういう全体の合理的な観点から、一つ各省庁的なある種の部分といいましょうか、省庁別の必要性という、これは個別の合理性がある場合が、それは屁理屈じゃなくて、本当の必要性がある場合もあるんだろうと私は思いますけれども、それは全然否定しませんけれども、そのことにとらわれてというか、そのことを盾にとってやられたんでは困りますよという趣旨のことを改めて発言でも申し上げましたけれども、そういう趣旨で、あえて嫌がられても、この場で、この段階で言っておこうということで、僭越ながら、蛇足ながら申し上げたと、こういうことになると思います。
(問)21年度当初より減額というのは、基本と書いてあるのは、分野によっては、例えば社会保障をやったり、そういうところについては、マニフェスト実現のために増えることも容認をするという理解でよろしいですか。
(答)そんなことは、論理的な必然性として、それを社会保障予算にカウントするのか、何か知りませんけれども、まとめてカウントして、項目別にならせば、それは子ども手当が入ったところは、社会保障に対する政府支出という項目があるとすれば、そこはどんと膨らみますよね、それは。だから、そんなことは当たり前の話というふうにお考えをいただければと思いますが。
(問)まず一つが、確認が、査定大臣として各大臣持ち寄ってくると思うんですけれども、それをさらに査定するのが仙谷大臣の役割ということでよろしいのかということと、それを査定するに当たっては突き返すこともあり得るのかどうか。
関連なんですけれども、見直しが十分でなかった場合は、大臣のほうから各省庁の大臣に対して個別に注文することはあるのか。
(答)それは私がするというよりも、私もそういう協議に入らなければいけないと思っていますが、割り込んで行っても入ろうと思っていますけれども、基本的にはやっぱり財務大臣、それから全体的な話だとすれば菅戦略大臣のほうがやっぱり主導権をお持ちになってなさるんではないだろうかと思っています。
 ただ、私、行政刷新大臣としてそのことを単独で押し返すとか何とかという、そういう不埒なことは考えておりません。それは、多分先ほど申し上げたお二人のほうが主導権をお持ちになるんだろうなと、こういうふうに思っています。
(問)3大臣でやるときは、どういう基準で査定した予算を見直すことになりますか
(答)初めてのことですから、それぞれ皆さん方頭の中にあると思いますけれども、今のところそういう申し上げるような基準があるわけではありません。

(以上)