菅大臣記者会見要旨 平成22年5月25日

(平成22年5月25日(火) 8:54~9:16  於:参議院議員食堂)

1.発言要旨

 今日は私の方から、閣議で、平成21年末現在の対外貸借に関する報告書及び国際収支に関する報告書について報告をいたしました。端的に言えば、対外純資産は過去最大の266兆2,230億円となったということです。これは日本からの外国に対する投資が増えているということと、円安が若干その金額を大きくしたということはありますが、一方では外から日本に対する投資がやや減っていると。外に出ていくことは望ましいことですが、外から入ってくることも望ましいのですが、やや外から入っている方が減っているという、そういう傾向もあるということで、一概に喜んでばかりはいられないのかなと、そんなふうにも思っております。私からは以上です。

2.質疑応答

(問)今日事業仕分け第2弾の最終日となるんですけれども、仕分けによる財源捻出の見通しと期待、あと政府が今、北朝鮮の独自制裁を検討中ということなんですけれども、現状1,000万円超の報告義務の引き上げ等を検討されているということなんですけれども、その点についてお願いします。
(答)仕分けについては担当している枝野大臣自ら、必ずしも金額的なことを目標としてやるのではないという趣旨のことを言われておりますし、私の立場も、もちろん結果としてこれまでの仕分けでも色々な埋蔵金的なものが、例えば旧国鉄清算事業団から相当の額が出てきたりしておりますので、期待をしないと言えばそれは嘘になりますけれども、特にこのくらいということを念頭には置いておりません。ですから若干の期待を持ちながらも冷静に見守っていきたいと思っております。
 それから北朝鮮への制裁の中で、いわゆる送金なり現金の持ち込みの問題で、今もかなり拉致問題の制裁で低い水準に抑えていますし、更に言えば現実の送金あるいは持ち込み等はその基準をかなり下回る状況で推移しております。そういったことで、実効的な効果がどの程度あるかということはありますが、ある意味で今の状況の中で姿勢を示すという意味でそういったことも検討はしなければいけない。最終的にはこれは財務省単独で判断するというよりは、官邸で総理の下で判断をお願いしようと思っています。
(問)明後日27日から経団連の新しい会長で米倉弘昌さんという住友化学の会長のもとで新たな経団連体制が始まります。米倉体制に望むことと、特に経済界においては、鳩山政権について企業の意見を大切にしていないという不満があるようですが、今後その経済界、企業側の意見をどう受け止めていくのか、その取り組みについて伺います。
 2問目ですけれども、大臣がもともと主導されてこられました成長戦略や新年金制度、あるいは税と社会保障の共通番号制度について、間もなく5月も終わろうとしておりますけれども、それぞれのまとめの公表時期についてどのようなスケジュール感になっているのか。やや遅れているような概観があるような気がいたしますが、遅れている事情があれば伺いたいと思います。
(答)経団連が御手洗体制から米倉体制になるということであります。私も多少の面識があって、多少お話をしたこともある方です。確かに当初経団連というか、今までの会長と民主党との関係、野党時代から国会への招致といったような問題もあってなのか、やや親密というところまではなかったかもしれません。しかしこの間の民主党政権、鳩山政権の政策を見てもらえば、成長を重視し、あるいは海外、特にアジアとの連携を重視し、そういった意味では、私が接触している限り、経済界からの鳩山政権に対する見方はかなり期待を持って見てもらっているというふうに感じております。そういった意味で、米倉経団連会長誕生ということでありますので、それぞれの立場、内閣全体の立場もありますが、私自身もある意味では積極的に意見交換なりを進めたいと、こう思っています。
 年金、成長戦略、番号制度、あと税調等が動いております。やや遅れ気味ということなのかということですが、多くは私が責任者をやっているところも多いのですが、国家戦略室が事務局を担当しているケースも多くて、なかなか大変なのですね、あそこの部門は。仕事が多くて、この問題以外でもたくさんやっておられますし。そんなことで今ちょっと私の方でも、例えば番号制度については少し、先週か先々週ぐらいから発破をかけて、近く私が招集して副大臣会議を開くということで、今月中ということになるとちょっとぎりぎりですが、来月初めには何らかの選択肢を国民に示すというところまでは持っていきたいと思っております。また成長戦略も各省庁からのヒアリングといったことは国家戦略室がやっておりますが、私としては来年度の予算を考える上でどういう分野に財政出動することがより成長につながっていくのかという、成長戦略から見た予算の選択と集中ということの判断材料になるような1つの考え方を示してくれということを言っていまして、これは内閣府の旧経企庁の事務方にも全面的に参加してもらって、そこと戦略室で今色々な検討を進めてもらっています。これも私の方で直接見ております。年金の方は若干の報告を聞いておりますが、遅れているというよりも若干色々な動きと横並びでということで、これは古川副大臣が事務局長という役割でやってくれております。税調は日頃から報告している通りでありますが、そのようなことで、やや遅れ気味という指摘もあるかもしれませんが、大体が6月中の、最終結論であるかどうかは別として、あるレベルでの結論を得るという方向で進んでいましたので、それに間に合わせるようにやっていきたい、進めていきたいと、こう思っております。
(問)今、大臣、対外負債ついて、外から入ってくるものが少ないということで一概に喜んではいられないということをおっしゃいましたが、外から入ってくるようにするにはどういう取り組みが必要というご認識があるのか。
 あと1点、行政刷新会議が特会について抜本的に見直す方針を決めたんですけれども、これについて所管の特会で、外為特会の積立金の取り崩し議論というのがまた国会で幾つか質問が出ていまして、これに対してどういうお考えをお持ちなのか、改めてお伺いしたいと思います。
(答)外国からの投資ということについては、やはり日本経済が成長路線にしっかりと復帰することが出来るということが大きい意味ではそういう人達の判断になるのではないでしょうか。この20年間、色々なものが低迷してきましたから、もちろんその原因が色々なところにあるわけで、それは法人税とか云々ということも1つの要素かもしれませんが、それ以上にやはり先ほどから申し上げているように選択と集中が出来なかった、つまりはまともなハブ空港1つ20年間作っていませんので、そういう失敗が経済成長の低迷につながり、ある意味で外国からの投資が低調になっていると。そのファンダメンタルというか、そういう構造的なところから立て直していかなくてはいけない。それが私はこの鳩山政権の、まさに政権交代を受けての使命だと、こう思っております。
 それから外為特会についてですが、特会そのものの見直しは大いにやるべきで、財務省が所管しているものも全て土俵にのせていただくのは当然ですし、我々も喜んで協力していくつもりです。個別の特会、特に外為特会については、皆さんもご承知だと思いますが、現在は為替差損がトータルとしても出ている状況ですので、どう考えるべきなのか、確かに約20兆ぐらいの積立金はありますけれども、それを取り崩すことで為替差損、取り崩さなくても差損があるのですけれども、取り崩すと差損的なものの幅が広がるものですから、そこは一般的な意味の不合理な特会とか、あるいは色々な天下り先に使っているような特会というものとは若干性格が違うものですから、そこはオープンな席で必要な議論をしていきたいと、こう思っています。
(問)今日もマーケットが先ほど開いて、また120円ぐらい日経平均下げているようなんですけれども、ギリシャ問題の影響というのはかなり長引きそうなのか。前に大臣は少しすれば落ち着いてくるんじゃないかというようなご見解を示されていたと思うんですけれども、そこら辺の影響の広がり具合について教えてください。
 2点目は、先ほど年金とか番号制度のお話、税調を含めてやや遅れ気味だというご認識を示されましたけれども、これは例えば普天間とか口蹄疫とか北朝鮮の問題とかで、内閣全体としての総意をとるタイミングがなかなかないという意味で遅れているのか、そこは関係ないのか、またマニフェストの議論もちょっと遅れているようなんですけれども、そことの関係性を教えてください。
(答)ギリシャ問題あるいはユーロ問題から端を発した問題について、私としては5月9日ですか、7,500億ユーロの対応を決めたことで1つの大きい意味での対策は出揃ったというか、整ったと思っていますので、そういう意味で従来からそういうことでマーケットが落ち着くことを期待もし、あるいは落ち着いてくれるのではないかという若干の見通しを申し上げました。私の基本的認識は今でも変わってはおりませんが、その間に、マーケットというのはなかなか難しいですから、ドイツの空売り規制がある種の裏目に出るとか、今日の相場は何かスペインで金融機関が色々問題があるものをどうこうしたとか、色々なニュースが空気の悪い時にはそういうところにぼんと響くわけですから、ユーロの問題というのは非常に根っこの深い問題でもありますので、つまり通貨は共通で財政政策はそれぞれの国に任せられているという意味で非常に根っこの深い問題ですので、そういう意味を含めてだんだん落ち着いてきてほしいと、このように思っております。
 それから遅れ気味というのは私が言ったのではなくて、質問の方が遅れ気味ではないですかという質問だったので、部分的にはそういう見方もありますねということを言ったわけですが、先ほどから申し上げたようなことについては、必ずしもほかのことで遅れているというよりも、それぞれの課題に取り組んで、それぞれ頑張っていただいているのですが、やや1カ所に仕事が集まり過ぎている等々も含めて若干のそういう感じもしますので、私が絡んでいるところについては、少し気持ちの上ではてこ入れをしようということで今てこ入れをしているところです。マニフェストについてはこの間、党の方がかなり積極的に色々な場を作って、党と内閣で議論していますので、当初の言われた日程に比べればやや押しているかなという気がしますけれども、ここは私があれこれ言う分野からちょっと外れているかなと。つまり党と内閣、あるいは党の中での議論というものがかなり濃い形で議論が進んでいると、こう理解し、その濃い形の議論を進める上で若干時間がかかっているのかなと、そういう受け止めです。
(問)連日普天間で恐縮なんですけれども、閣議、閣僚懇で総理あるいは副総理ご自身から関連で発言があったらご紹介いただきたいのと、昨日小沢幹事長が、総理が党代表として言ったことと公約は一緒だというような趣旨の発言をして、例の最低でも県外と言った発言についてだと思うんですけれども、総理の言葉の軽さというか、その辺に苦言を呈したような形なんですけれども、その辺副総理自身、総理の言葉についてどうお感じになっているか。あと、野党がこの関連で、総理や官房長官、場合によっては福島大臣にまで不信任を出そうとしていますが、政府・与党としての対応をどうするか、お願いします。
(答)閣議とか閣僚懇の話をそのまま外に伝えることはしないようにと釘を刺されていますので、あまり直接的な言い方は控えたいと思いますが、私が聞いている限り、今日はそういう席では普天間という言葉は一切出ませんでした。
 それから総理の言われたこと、選挙中ですからまだ総理ではなくて党代表として言われたことがどういう意味を持つかというのは、これは以前私も聞かれて言ったのですが、党の代表がそういう形で話をされれば、一般の方はやはり公約という受け止めをされるというのが自然なことかなと、そういう趣旨のことを申し上げましたし、幹事長の表現と表現は違うかもしれませんが、そういう認識を持っています。
 それから不信任案については、これはもちろん野党の皆さんの判断で色々考えられていることでしょうし、それに対しては一般的に言えば粛々といわゆる不信任案を否決するということになると思いますが、扱いは国対中心に検討していただけるものと、こう思っています。

(以上)