菅大臣記者会見要旨 平成22年5月24日

(平成22年5月24日(月) 15:45~16:05  於:合同庁舎4号館4階408号室)

1.発言要旨

 それでは、月例経済報告についての会見を行います。

 月例経済報告が、14時から官邸で開催をされました。景気の基調判断につきましては、「着実に持ち直してきているが、なお自律性は弱く、失業率が高水準にあるなど厳しい状況にある。」と、先月と同様の判断をいたしております。これは企業収益が改善し、雇用、所得環境が安定的に推移する中で、設備投資が下げ止まりつつあり、個人消費の持ち直しが続いていること。他方、こうした景気の持ち直しは、外需や経済対策に牽引される面が大きく、自律的な回復とまでは言えないこと。さらに、雇用の厳しさに表れているように、景気の水準は依然として低いこと。こういった、これまでの状況が大きく変わってはいないということを踏まえての判断の据え置きであります。

 先行きにつきましては、当面、雇用情勢に厳しさが残るものの、企業収益の改善が続く中で、海外経済の改善や緊急経済対策を始めとする政策の効果などを背景に、景気の持ち直し傾向が続くことが期待されます。一方、欧州を中心とした海外景気の下振れ懸念、金融資本市場の変動やデフレの影響など、景気を下押しするリスクに留意する必要があります。また、雇用情勢の悪化懸念が依然残っていることにも注意が必要です。

 政府としては、「明日の安心と成長のための緊急経済対策」を推進するとともに、平成22年度予算を着実に執行してまいりたいと考えております。政府は、日銀と一体となって強力かつ総合的な取り組みを行い、デフレ克服、景気回復を確実なものとしていくよう、政策努力を重ねてまいります。

 私からは以上です。

2.質疑応答

(問)2点お伺いしたいと思います。
 1点目ですが、先週発表された1-3月期GDPが設備投資などの押し上げ役となり、かなり好調に推移しております。足もとの景気は堅調なんですが、あえて今回、景気判断について表現を据え置きにした理由についてお教えください。
 2点目についてですが、日銀は決定会合で「回復に」という表現に踏み込みました。一方で、まだ政府は「持ち直し」という表現をしておりまして、やや認識に違いがあるのではないかというふうに見られますが、この点、大臣のほうはどう考えていらっしゃいますでしょうか。また、金融政策に対して考えがあれば、お教えください。
(答)2つの質問といっても、内容的には1つなのかなと思いますが、見方はそう日銀と変わっているわけではありません。ただ、QEについては、二次QEが6月上旬に出るわけですけれども、そういうことも若干、念頭に置いて、表現はよくなっているが、まだ十分でないというのか、多少不十分さはあるけれども、よくなっているというのか、そこは微妙な表現ですが、少なくとも内閣府としては、私の立場としては、よくなってはいるけれども、まだ十分ではないと。それが十分になるかどうかは、二次QEなどを見て、さらに判断していこうということで、やや慎重なといいましょうか、姿勢で申し上げていると、そういうことです。
(問)関連して、白川総裁は先週の会見で、ギリシャの影響については極めて限定的であるという見方をしています。今回据え置いた理由は、まず二次QEを待ってからということが一番の理由なのか、それともギリシャの要因のほうが大きいのかというのがまず一つ目の質問です。
 2つ目は、ギリシャの「限定的である」という白川さんの見解について、どうお考えになっていらっしゃるか、教えてください。
(答)もちろん、ギリシャの状況あるいはヨーロッパの状況は、長く言えばこの数カ月、いろいろな経緯をたどっていくわけですから、そのことが念頭にないわけではありません。
 ただ、先ほど申し上げたように、やや慎重な姿勢で申し上げているのは、国内的な状況を主に見たときに、かなりよくはなりつつあるけれども、まだ確実なものと言えるかどうかという、二次QEを含めて慎重に判断したということです。
 それから、ギリシャを含むヨーロッパの問題は、まさに非常に注意深く見ておかなければいけない段階だと思います。5月の初め、G7等でいろいろな場面に、私も電話の中で参加をしたりしましたが、一定のしっかりした枠組みは打ち出せたと。いわゆるユーロ圏とIMFで7,500億ユーロという大きな枠を決めたわけですから、私はそれが一つの大きな、この問題が収束し得る、大きな枠組みは提起できたと思っております。
 ただ、その後いろいろとドイツの発言などで、マーケットがいろいろと反応しておりますが、そういうことは注意深く見ておかなければなりませんけれども、大きな枠組みはしっかりしたものが提起されている。また、日本という意味での影響ということで言えば、全体が大きく揺らぐときは、また別ですが、個別的に言えば、ギリシャに日本の資金は、極めて限定的にしか行っておりませんので、そういう意味での直接的な影響は極めて限られていると。それを白川総裁が言われたのか、その詳細の気持ちはわかりませんが、私もそういう意味での影響は極めて限られていると、こう思っています。
(問)現在、米中戦略対話が北京で行われています。人民元の問題等々も両対話では話題になるかと思いますが、まだ結果は出ておりませんけれども、今回の米中対話について、大臣として期待している点があれば伺いたいと思います。
(答)ほかのことがなければ、人民元の問題というのは相対的には非常に大きな課題だったと思います。どういう形で推移するかわかりませんが、一部報道では、切り上げを期待するような、あるいは予想するようなものも出ておりますが、ここはいろいろな、そうなったとき、ならないとき含めていろいろな影響がありますので、注意深く見守っておきたいと思っております。
 今日的に言えば、やはり北朝鮮の、いわゆる魚雷による攻撃ということが大変大きな問題でありますので、米中がこの問題について、どういう形で、ある種の共同歩調がとれるのかどうか。もちろん我が国としての対応、あるいは米国と韓国との間での対応というのは当然重要でありますが、米中がどういう対応を共同歩調的にとれるかどうかということも非常に大きな要素だと、これも注目しております。
(問)今後の景気判断については、来月頭の二次QEも踏まえてというお話もありましたけれども、景気が自律的な回復に向かっていると判断するには、あとどのような点が必要になってくるとお考えでしょうか。
(答)「自律的」という表現の中には、やはり雇用情勢というものも重視をしているわけですが、雇用情勢、微妙な変化にとどまっております。
 また、当然ながら、設備投資、これはややいい傾向が出ておりますが、この増加とか家計所得の改善を通しての個人消費、収益、所得部分の支出の好循環といった、部分的には出ているわけですが、それが確かなものになるかどうかということが判断材料になろうと思っています。
(問)経済のことじゃなくて恐縮なんですけれども、普天間のことで伺いたいんですが、昨日、総理が沖縄に行かれて、辺野古周辺ということを正式にお願いし、県外を果たせなかったことについて、おわびをしたわけですが、これについて総理の政治責任を厳しく問う声が出ています。総理の政治責任についてはどういうふうに対処していくべきだとお考えか。あと、この関係で、社民党内に連立離脱論が出ていますけれども、社民党への対応をどうしていくべきか、この2点をお願いしたいんですが。
(答)総理が大変、ある意味では厳しさが予想される中で、二度目の沖縄に、現地に入られて、知事や関係市長にお会いになって、総理としての考え方というか、あるいは報告をされたと。私は、大変だったと本当に思いますが、そういうことをやられたことは、少なくとも理解を求めるという行動として、私はやらないのに比べれば、非常にやられたことはよかったことだと思っております。
 確かに、御本人も言われておりましたように、「県外」ということが守られなかったことについて、おわびといいましょうか、そういうことも言われておりまして、そこは私たちも、ある意味では内閣をともにする者として、そのことが実現できなかったことは、おわびを申し上げなきゃいけないと思っております。その上で、この問題は本当に、大きな、あるいは時間的にもいろいろな、歴史的な経緯もある問題でありますので、そういう中で、今後のいろいろな努力を通して、もともとの約束を守るというところまではいけないわけですけれども、できる限り、沖縄の皆さんにも理解をいただけるような努力をしていくと、また総理もそうされるだろうと思いますが、そういう形で責任を果たしていくということが必要かと思っております。
 それから、ちょっと話は戻りますが、せっかくの機会ということでもありませんが、景気の問題は、その都度こういう形で説明もしておりますが、私は、個々の景気動向に加えて、かなり活発に経済政策といいましょうか、いろいろな活動がこの内閣で動いているという認識を持っております。連休中も、いろいろな報道はありますけれども、一般的にいえば多くの大臣が海外に出る中で、主に経済といいましょうか、場合によってはトップセールス的な形の活動を積極的に展開したと。
 私もウズベキスタンでインドの財相にもバイで会談をしたり、もちろん、もともとがアジア会議の総会でありましたので、そういうアジアにおけるいろいろな課題についても議論をすると、アジアの成長をいかに日本につなげていくのか、日本のファイナンスの仕組みは十分なのか、そういうこともいろいろ参考になりました。
 そういう意味で、そういったこの間の活動、さらには来年度予算に対して、今「成長」という観点から何を優先し何を後回しにするのか、つまり選択と集中の基準を、成長という形で見るときにどういう考え方があり得るのか。現在、戦略室と内閣府の経済財政担当部局を中心に議論を進めていただいております。
 すべて、昨年の9月に政権交代をしてからは8カ月、9カ月たとうとしているわけですが、ある意味ではようやくにして、そういうことについて、この年が変わってから準備をし始めたわけですが、本格的な成果につながるような活動ができていると、このように思っております。
 よく申し上げるように、この20年間近く、日本の成長がなぜ止まっていたのか、そういうことを考えますと、この間ウズベキスタンに行く途中、仁川のソウルの空港を経由しましたけれども、結局は仁川空港に匹敵するハブ空港を20年間1つも持てなかったという、そういう意味での政治的なリーダーシップのなさとか、そういう幾つかのことを、今の内閣のメンバーそれぞれが感じて、意欲的に動き出していると。ぜひこういう部分も、皆さんも機会があれば、大いに取材に来てもらいたいと、陳情しておきます。よろしくお願いします。
(問)社民党との件については。
(答)社民党とのことは、私も一応、基本政策閣僚会議をもし開くことになれば、私もその座長的役割がありますけれども、現在この問題では、官房長官を軸としたところで対応していただいていますので、心配はしておりますけれども、それ以上、私から見通しなど申し上げる、そういうような要素は持っておりせん。

(以上)