菅大臣記者会見要旨 平成22年5月20日

(平成22年5月20日(木) 9:10~9:22  於:合同庁舎第4号館6階共用643会議室)

1.発言要旨

 本日発表しました2010年1-3月期のGDP速報値、QEについて、報告というか、私から申し上げます。

 数字は皆さんのお手元に行っていると思いますが、実質成長率が前期比1.2%、年率で4.9%、名目成長率も数字としては同じですが、前期比1.2%、年率4.9%となりました。これは、内需の寄与度が0.6、外需が0.7で、実質成長率は4四半期連続のプラスということになります。また、名目と実質が逆転しなかったのは5四半期ぶりであります。

 2009年度の実質GDP成長率は前年度比マイナス1.9%となり、政府経済見通しのマイナス2.6%よりはマイナス幅が縮小をいたしました。

 今回のQEは、1-3月期において景気の着実な持ち直しが続いていたことを反映したものであります。このような高い伸びとなったのは、外需、さらには経済政策に牽引される形で民間需要が増加したことによるものと考えております。

 先行きについては、当面、雇用情勢に厳しさが残るものの、事業収益の改善が続く中で、海外経済の改善や緊急経済対策を初めとする政策の効果を背景に、景気の持ち直し傾向が続くことが期待をされております。一方、海外景気の下振れ懸念、金融資本市場の変動やデフレの影響など、景気を下押しするリスクが存在をすることに留意をする必要があります。

 政府としては、緊急経済対策や今年度予算に盛り込まれた施策等を着実に実施するとともに、中長期的には新成長戦略の推進により、需要からの成長を目指していきたいと考えております。

 さらに、日銀におかれましても、引き続き政府と緊密な情報交換、連携を保ちつつ、適切かつ機動的な金融政策運営によって、早期のデフレ克服を目指すとともに経済を下支えすると、そういうことの働きを期待をいたしております。

 私からは以上です。

2.質疑応答

(問)まず1点目ですが、日本の潜在成長率を大きく上回る高い成長率となりましたけれども、大臣として、今回のGDP、一番のポイントはどこに注目されていらっしゃいますでしょうか。
(答)1次の速報値ということで、2次が出るまでは、何といいましょうか、やや数字についても、それで確定したということになりませんので、手放しでどうこうとは言えないところです。
 全体としては、先ほど申し上げたように、内需の寄与度0.6、外需の寄与度0.7ということで、やはりアジアの成長というものを背景に、外需と、それから政策的なものが引っ張っていった結果がこういう結果ではないかと思っています。必ずしもこれがすべて自律的な回復そのものかどうかは少し慎重に見てほしいと、こう思っています。
(問)2点目ですけれども、今回、名目成長率と実質成長率がほとんど同じで、わずかに名目が上回っておりますが、日本経済のデフレの状況について、どのように評価されていらっしゃいますでしょうか。
(答)1次QEの段階ですが、確かにいわゆる実質と名目の差がゼロになったということですが、まだ前年同期比で見ますと、1-3月期、今回のものと前年同期比を見てみますと、マイナス3.0ということになっております。今回のQEでは、GDPデフレーターの前年同期比、ただいま申し上げたように、マイナス3.0と4四半期連続のマイナスとなっております。
 なお、GDPデフレーターの季節調整済み前期比は、御承知のように、0.0%となっておりますが、これは野菜価格の上昇等の一時的な要因も影響していると考えております。
 また、実質GDPの成長率は引き続きプラスとなったものの、需給ギャップは依然として大きなマイナスが続いていると、このように見られまして、物価下落圧力が残っていると、このように思っております。
 そういったことで、今回の前期比が0.0になったからといって、緩やかなデフレ状況というものがなくなったわけではなくて、まだ緩やかなデフレ状況にあると、こういう認識を持っております。
(問)今、デフレの話がありましたけれども、今日、昨年11月のデフレ宣言からちょうど半年ぐらいたつ時期になるんですが、まだ今、緩やかなデフレ状況が続いているというお話でしたが、今後、それを解消するに当たって、政府としてどういったことに力を入れていくおつもりなのか、もう一度よろしくお願いいたします。
(答)デフレ宣言という言い方を当時されましたけれども、ある意味でそういう認識のもとで政府もいろいろ手を打ってきましたし、日銀も、その後、政府と緊密な連携の中でいろいろと手を打っていただいてきたところであります。デフレ克服ということは大変重要な課題であると思っておりまして、今後も日銀とも認識を共有しながら、それぞれの政策、手段によって景気の下支えと同時に、これからもデフレ克服に取り組んでまいりたいと、こう思っております。
 具体的にどうさらにするかということでありますけれども、1つは、今、緊急経済対策や平成22年度予算に盛り込まれた施策を着実に実施する、また実施している段階でありますし、また中長期的には新成長戦略を、もちろん内容的にも今検討しておりますが、その方向に沿っていろいろな努力をいたしております。例えば、さきの連休のときも、多くの大臣がトップセールスではないですけれども、いろいろなところで経済的な売り込みをかけるという努力もしていただきました。
 なお、22年度予算において、景気対策に万全を期すために、1兆円の経済危機対応・地域活性化予備費、及び限度額1兆円の非特定議決国庫債務負担行為を合わせて2兆円規模の財政上の措置が講じることができるような仕組みもありまして、こういった点も含めて適切な経済運営、財政運営をしていきたいと、こう考えております。
(問)今回のGDP以外に、足下の経済指標もかなり明るめの数字が出ておりますけれども、政府として景気判断を上方修正するお考えについて、どう見ていらっしゃいますか。
(答)近いうちに月例経済報告をする時期もそう先ではありませんが、少し今日のこのQEを含めて、全体としてどのような判断をすべきか、その段階では何らかの表現をしなければいけないということで、今日の時点ではまだ確定的にどうこうということはまだ言えない、まだ言う段階ではないと思っています。

(以上)