菅大臣記者会見要旨 平成22年5月7日

(平成22年5月7日(金) 10:39~11:04  於:官邸記者会見室)

1.発言要旨

 御承知のように、ギリシャの情勢をめぐって、アメリカ、日本を含めて株価が大きく下がっております。2月のカナダ、イカルイットのG7のときも、また先だってのワシントンでのG7のときも、このギリシャ問題が、特にG7はヨーロッパの皆さんが多い中で、色々議論が出ておりました。ある意味では、心配された状況が進行して今日まできているというふうに受け止めております。ただ、幸いにしてと言いますか、5月2日にユーロ諸国とIMFが合わせて3年間で1,100億ユーロ、約14兆円の支援を決め、さらに5月6日にギリシャの国会も、その支援を受けるにあたっての条件でありました色々なギリシャ内における改革を了承して法案を成立させましたので、一応大きな救済及び再建の枠組みができたと、このように思っております。まだ多少の動揺は続くかもしれませんが、基本的にはこのユーロ及びIMFの支援とギリシャ自身の努力という枠組みができましたので、これで安定方向に向かっていくのではないかと、期待も含めてそのように思っております。

 為替も非常に激しく動いておりまして、ユーロが安くなるというのは、今のギリシャ情勢を考えれば理解できるわけですが、ドルに対しても一時88円とか87円台とかという、瞬間的にはそういう数字もあったようであります。しかし、今は90円台に戻っておりまして、これも段々と落ち着いてくるのではないかと。もともと為替については過度の変動や無秩序な動きは望ましくないというのがこの間のG7を含めた合意でありますので、そういった意味では多少の一時的な乱高下はありますが、少し落ち着いてくるのではないかと思っております。

 私としては、ヨーロッパの情勢はこの間も注意深く見てまいりました。もちろん今すぐ日本がヨーロッパのことに影響されるということは考えにくい情勢です。つまりはギリシャ等に対して、日本から貸しているお金とかというのは極めて僅かでありますので、そういった意味で日本の金融や何かが直接的に受ける影響は極めて小さいと思っております。ただ、やはり日本自身がこの10年、20年、財政赤字が積み重なって、GDP比で180%を超える債権残高がある、公債残高があるということ自体は十分に留意をしておかなければならないと思っております。6月には中期財政フレームあるいは財政運営戦略を打ち出して、しっかりとした日本の財政再建の道筋を、国内はもとより国際的にもきちんと説明ができるようなものをつくらなければならないということが従来以上に重要な課題になってきていると、このように思っております。私からは以上です。

2.質疑応答

(問)2点伺いたいんですが、B型肝炎訴訟について伺いたいんですが、一部では国が和解に応じるという報道もありますが、実際政府内ではそのような検討の方向で進んでいるのか。和解に応じるとすれば、患者数の多さからいっても巨額な補償費用がかかると思われるんですが、その財政負担の財源の確保についてどのような検討になっているのか。
 あともう1点、子ども手当について伺いたいんですが、民主党のマニフェストを研究している国民生活研究会が、子ども手当については2011年度以降も現金給付は1万3,000円のままにして残りは現物支給にすると、事実上現金による満額支給を見送るというような提言をまとめたんですが、副総理自身、現物給付に切り替えることの是非についてどう考えていますか。
(答)まず、B型肝炎訴訟の和解の勧告に対しては、仙谷大臣が直接には担当するということで、内閣のいわば窓口に決まっております。現時点でそれがどうなっているかということは、ちょっと私も細かいところは把握しておりません。ですから、財源等についても特に申し上げるような中身について、私自身は直接は何も把握しておりません。
 それから、子ども手当について、党あるいは党と内閣も少し絡むのですが、とりあえずは党ですかね、党の中野委員長の下の会で、ある方向が出されたというのは報道で私も聞いております。子ども手当、初年度については半分ということで予算に組んだわけですが、来年度について色々な議論があるというのは、ある意味では先ほど申し上げた財政再建といったものとも、大きく言えば色々関連をします。さらに、子育てにとって、現金給付もちろんありがたいわけですけれども、子どもを実際に預ける保育園が足りないという声も大変多いわけでありますので、そういった現物給付というのか、そういうことを併せて考えるというのは、議論のあり方としては、私はそういう議論のあり方は理解ができる、このように思っています。
(問)B型肝炎については、財務省も財政面から関係すると思うんですが、具体的な協議は来ていないということでしょうか、仙谷大臣から。
(答)仙谷大臣が窓口になるわけですが、もちろん厚労大臣や私や官房長官を含めて、正確かどうかわかりませんが、以前発表していると思いますが、4人ないし5人の大臣がこの問題のいわば内閣としての担当で、その中で仙谷大臣が特に窓口という形で担当するということになっておりますので、一般論は、かつてある程度、例えば、何というのでしょうか、未発症者の人の数がこのぐらいだとか、この裁判の判決がこのぐらいだとか、色々な数字は、相当前ですが、色々と報告を受けて、多少の共通認識は持っています。ただ、現時点でどの段階からどういう形でどういう話し合いに入るか入らないかということは、窓口を一本化しますので、それは仙谷さんに聞いていただきたいと思います。
(問)2件あるんですけれども、先ほどの株安の話は、先ほどの御見解だと、あくまでも一時的なものだという見方でよろしいのか、また政府として例えば為替介入をはじめ何か対応をとられるということを考えていらっしゃるのか、まず教えてください。
 それから2点目は、先ほど中期財政フレームと財政運営戦略の話がありましたが、財政健全化法のほうは、その後新たな総理からの指示があったのか、また政権与党内の合意を得られそうか、その2点お願いします。
(答)株価は、もちろん言うまでもありませんが、為替も含めてマーケットが決めるわけですので、あまり私がこれが適切だとか、これがおかしいとかということを言う立場ではないと思っております。ただ、一般的に言えば、先日ASEAN+3にも行ってまいりましたし、その前のG7等の中でも、一般的に言えば、足下の景気は、特に新興国は、大きくリーマン・ショック以前より超えてきていますし、先進国も緩やかながら、日本を含めて、回復基調にありますから、そういう面では基本的な経済の状況は良くなりつつあると思っております。ただ、ギリシャのいわゆるソブリン・リスクの問題が今日の状況を招いているわけで、そういう意味でこのソブリン・リスクが先ほど申し上げたような枠組みで大丈夫だということになれば、株価も落ち着いてくるのではないかと、このように思っております。為替も同じことでありまして、まして為替介入云々なんていうことをこんなところで、どっちにしても言えば、すぐに首でも飛びそうですから、為替についてはマーケットが決めて、さっき申し上げたようにあまり激しい乱高下は望ましくないというのがG7の今日に至るまでの合意だということにとどめておきます。
 健全化法については、連休前に総理のほうから少し慎重にという話があって、それ以降個別的な指示はいただいていません。ただ昨日も、今の日本の財政状況がどうかということで、私も同席する中で財務省から色々と説明があり、内閣府のつくった資料も含めて説明を、担当者ないしは政務三役でいたしております。そういう意味で、御承知のように、この法案というのは内容的にはもともとが中期財政フレームと整合性をもたすものとして、国会という場で議論をしたらどうかという考えで私のほうで準備を進めてきたもので、法案の扱いは今後どうなるかまだわかりません、率直に申し上げて。ただ、どちらにしても、同じ議論を中期財政フレームないしは財政運営戦略で、そう遠くない時期に発表しなければいけませんから、しっかりとした議論が必要になると、こう思っています。
(問)弊紙の今日の朝刊で経済提言を行っておりまして、法人税率の引き下げの他、消費税の目的税化、引き上げ、あとマニフェストの見直しなどを提言しているんですけれども、ごらんになっていただけているのであれば、その御感想というか御見解をお伺いしたいと思うんですけれども。
(答)一面を見ていたら20%台と書いてあったから、いよいよ読売新聞も消費税を20%台に引き上げろという論陣を勇気を持って始めたのかなと思ったら、何のことはない、法人税を20%台に引き下げろという極めてありきたりな中身だったので、大変私個人としては、もうちょっと勇気を持って言うのが読売じゃないかなと思っていただけに、やや期待外れの内容であります。つまりは、今まさにソブリン・リスクを含めて日本の財政再建をどうしようかというときに、もちろん法人税は法人税で経済の活性化のために色々あるということはよくわかっています。ただ今、法人税そのものが6兆円ぐらいに下がっているわけでありまして、ものの本質をわざわざ見出しで下げたのかなと、それが私の印象です。よく言っておいてください。
(問)消費税について、もっと税率を含めて10%上げようというふうには書いているんですけれども、中面のほうで。
(答)見出しにないところが、どうも腰が引けているなというのが私の印象ですから、よく伝えておいてください。
(問)子ども手当で、現金給付を現物給付にするのも1つの案であると仰ったんですが、その現金給付を変えるロジックというのは、例えばニーズがそっちのほうがあるからというふうに仰いましたけれども、例えば現金給付よりも消費に回る可能性が高いとか、もしくは他のパチンコ等で使われないかとか、どういうロジックで現金給付を現物にすることが案になるのか、もう少し説明をいただけるとありがたいんですが。
(答)先ほどの質問も含めて今の状況は、私がそれを申し上げているわけじゃなくて、党の検討の場でそういう話が出ているということについての質問でありましたから、それはそういう議論があるのは理解できるということを申し上げただけです。ですから、研究会の皆さんがどういう理論立てで言われているかは、それはそちらに聞いてもらうしかありません。ただ、一般的に言えば、先ほど申し上げたように、いわゆる待機児童をなくしてほしいという要望が大変強いというのは聞いております。また、経済の考え方として、いわゆる雇用につながる形で財政出動したほうが、現金で給付するよりもより経済効果があるという議論があることは私も知っております。ただ、今回の議論がそういうことに基づいて提案されているかどうかは、それは当事者に聞いていただきたいと思います。
(問)先ほど我々の端末に、見出しなんですが、アメリカの財務省が言っているのは、G7の財務大臣が今日コンファレンス・コールでギリシャの問題を議論するという内容なんですけれども、これで協調介入の可能性も視野に入ってくるのではないかなと思いますが、これはどう見ていらっしゃいますでしょうか。
(答)G7が何をすると言っておりますか。
(問)G7の財務大臣が今日電話会議でギリシャの問題を協議するとアメリカの財務省が今言っていると。
(答)もう発表しているのですか。
(問)はい。
(答)おかしいな、秘密にしておくはずだったのに。
(問)その議論の内容、もしくは協調介入の可能性も含めて、どう見ていらっしゃいますでしょうか。
(答)アメリカが発表したということですが、私からはまだ正式にあるなしはちょっと申し上げにくいのですけれども、私の理解では介入とかという流れでは全くないと思いますけれど。何に介入するのかちょっとよくわからない。
(問)ユーロの暴落、為替市場。
(答)ユーロを買い支えるというのですか。
(問)はい。
(答)そういうふうな流れになるとは私の理解ではあまり思っていません。どこが買い支えるのですか、アメリカと日本ですか。
(問)1回協調介入はありましたのでそんなに有り得ない話ではない。有り得る話だと。
(答)ユーロを買い支えるのですか。
(問)はい。
(答)ちょっと私には、そういう流れになるというふうには必ずしも思いません。
(問)あと、そうでなければ、この議論の内容は大体どういうことになるんでしょうか。
(答)あまり推測をする立場ではありませんからあれですが、過去にG7で色々話をしているときには、ヨーロッパの皆さんが最終的にどうするかということをアメリカとか日本は見守っている立場ですから、まずはこういう形になったということの報告があって、その上である意味で精神的なという言い方が良いかどうかわかりませんが、理解を求められるのではないかと思います。具体的に何か為替介入とかそういったことが言われるというふうには、私自身は思っていません。
(問)それ以外の支援というのは有り得るんでしょうか。
(答)ですから、それ以外のことも含めて今私が推測することはできません。
(問)仮定の話で申し訳ないんですが、もし日本のマーケットが暴落というような事態になりそうだったら、例えば一時的な取引制限みたいな緊急措置をとる用意というのは日本にはあると思ってよろしいでしょうか。
(答)何が暴落するのですか。
(問)株とか金融市場ですね。例えば、昨夜からアメリカ、それから他の国で色々株価が暴落しているんですけれども、仮に日本がそういうトレンドに巻き込まれて、日本のマーケットがそういう緊急事態になった場合に、何か一時的な取引制限とかそういう緊急措置をとる可能性というのはあるというふうに考えてよろしいでしょうか。
(答)色々な可能性を余り議論すること自体が、特に私のような立場で、それ自体が間違ったメッセージを与えますので、先ほど来言っていますように、ユーロ圏とIMFで1,100億ユーロという極めて巨額な支援を決めたわけですから、基本的にはそれで落ち着いてくるだろうと、もちろん若干のまだ揺れは残ったにしろ落ち着いてくるだろうと、またそういうことを期待していると、そこにとどめておいたほうがマーケットに対しても良いのではないかと思っています。
(問)普天間の件ですみません。今日徳之島の3町長が官邸のほうにお見えになります。沖縄県、あるいは鹿児島、徳之島をはじめ、反対運動が巻き起こってきてしまっている現状をどう見ていらっしゃるのかというのが1つ。
 それと、総理が最低でも県外というふうに言ったのは、党の公約ではなくて自身の見解だというふうに仰いました。これに関しては、総理としての発言の軽さみたいなものが指摘されているわけですけれども、副総理は以前、総理の発言の軽さみたいなことをこちらから質問したときに、宇宙人だからあまり気にしていないというようなことを仰ったこともありましたけれども、現状を今どういうふうに見ていらっしゃいますでしょうか。
(答)非常に難しい状況が続いているというふうに思っております。私自身はこの問題にほとんど内閣の中でもかかわりを持っておりません。総理からもこの問題は私までも煩わさないでやりたいということを以前に言われておりましたし、持っておりませんが、状況は大変難しい状況が続いているというのが私の印象であります。
 それから、総理の発言について、ここは色々な解釈の仕方をされておりますが、総理として責任を逃げるために言われたというふうには、私はテレビで拝見する限りはそんな印象は受けていません。逆に言えば、総理としては、まさに自分が言ったということで、自分の、何といいましょうか、自分の責任でそういう意見を言ったということを、そういうことだということをしっかり逆に言われたのではないかと。何か、逃げたというふうな解釈をされていますが、多分御本人はそんなつもりで言われたのではないと、こう思っています。

(以上)